確定申告とは?手続きの流れや方法を解説

更新日: / 公開日:2022.01.19

個人で事業を営んでいなくとも、「副業収入がある」「ふるさと納税をした」などの際に、確定申告が必要になることもあります。一方で、どのような時に、どのような手続きが必要なのか、正確に理解していない人も多いかもしれません。

この記事では確定申告の概要や手続き、申告方法を解説します。

確定申告とは

確定申告とは、定められた期間内に確定申告書を提出する手続きです。確定申告書には、1月1日から12月31日の1年間に生じた、すべての所得金額と所得税額を記載する必要があります。確定申告をすることで、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金と、実際に納めるべき税金との過不足が調整されます。

このように、納税者自らが税金を計算して納税するため、「申告納税方式」と呼ばれます。確定申告期間は、毎年2月16日から3月15日であり、申告期限が土日祝日の場合は、その翌営業日が期限となります。

確定申告と還付申告の違い

確定申告と似たような言葉に「還付申告」があります。還付申告とは、納めすぎた税金を受け取るための申告です。納めた税金が不足している場合、確定申告は義務が生じますが、還付申告に義務は生じません。また、確定申告期間とは関係なく、1月1日から5年間提出することが可能です。

出典)国税庁「No.2030 還付申告」

確定申告が必要な人

確定申告は、「確定申告をしなければならない人」と「確定申告をしなくてもよい人」に分かれます。ここでは、どのような人が確定申告をする必要があり、どのような人が確定申告をする必要がないか、を説明します。

確定申告をしなければならない人

まずは、確定申告をしなければならない人について、「会社員」「年金受給者」「それ以外の人(個人事業主等)」に分けて説明します。

会社員

会社員は勤務先で年末調整を受けられるので、基本的には確定申告は不要です。ただし、以下の要件に当てはまる人は、確定申告をする必要があります。

  • 年収が2,000万円を超える人
  • 給与を1か所から受けていて、かつ、給与所得以外(副業など)の所得が年20万円を超える人
  • 給与を2カ所以上から受け取り、かつ、年末調整をされなかった給与収入と給与所得以外(副業など)の所得の合計が20万円を超える人

副業をしている場合でも、所得が20万円を超えなければ、確定申告は不要です。また、給与を2か所以上から受け取っていても、所得が20万円を超えるか否か、が境界線となります。

年金受給者

年金受給者は確定申告不要制度が設けられているため、多くの人が確定申告をする必要がありません。ただし、以下の要件に当てはまる場合は、確定申告をする必要があります。

  • 公的年金等の収入金額(2か所以上ある場合は合計額)が400万円超
  • 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円超

年金受給者も、会社員と同様に、公的年金以外の所得が20万円を超えるか否か、が境界線となります。ただし、異なる点として、公的年金等の収入が400万円を超えた場合にも、確定申告が必要となります。

出典)政府広報オンライン「ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度」

それ以外の人(個人事業主等)

会社員、年金受給者以外の人は、基本的に確定申告をする必要があります。具体的には以下のような人です。

  • 事業所得や不動産所得などがある人
  • 退職所得がある人

個人事業主やフリーランスなど、事業所得がある人は、原則として毎年確定申告をしなければなりません。退職金については「退職所得の受給に関する申告書」を提出すれば、源泉徴収による課税が済みます。ただし、外国企業から受け取った退職金など、源泉徴収されないものがあるので注意しましょう。

出典)国税庁「確定申告が必要な方」

確定申告をしなくてもよい人

確定申告をしなくてもよい人は、前述の「義務がある人」以外の人を指します。しかし、その中には、「確定申告をしたほうが良い人」が存在します。「確定申告をしたほうが良い人」とは、一口に言うなれば、確定申告をすることで、経済的なメリットがある人です。たとえば、以下のような人が該当します。

  • 医療費が10万円を超えた人
  • 寄附やふるさと納税をした人
  • 住宅ローンを借りた人
  • 事業で赤字を出した人
  • FXや株で損を出した人

医療費控除や寄付金控除は、所得控除に該当し、所得が減少することで減税できます。住宅ローン控除は、税額控除に該当し、所得税や住民税から直接的に減税されます。事業赤字や投資の損失は、損失の繰越控除ができるため、翌年以降の利益を圧縮できる場合があります。

確定申告の方法

確定申告は以下の手続きで進めます。順に説明していきます。

  1. 必要書類の準備
  2. 確定申告書の作成
  3. 確定申告書の提出
  4. 納税、還付手続き

必要書類の準備

まずは確定申告に必要な書類を準備しましょう。主な必要書類は以下のとおりです。

  • 確定申告書(AまたはB)
  • 源泉徴収票
  • 各種控除証明書
  • 金融機関の口座情報
  • マイナンバーカード

確定申告書はAとBの2種類があります。確定申告書Aは、申告できる所得が限定されている簡易版です。確定申告書Bは、すべての所得の申告に使用できます。会社員や年金受給者が医療費控除などを受ける場合は、確定申告書Aを使うといいでしょう。

確定申告書の作成

必要書類が準備できたら、書類の内容に基づいて確定申告書を作成します。主な作成方法は以下のとおりです。

  • 国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成する
  • 会計ソフトで作成する
  • 確定申告会場や税務署で作成する
  • 税理士に依頼する

給与所得者などが、医療費控除や寄付金控除などを行う場合は、国税庁の確定申告書等作成コーナーが便利です。個人事業主やフリーランスの人は、市販の会計ソフトを使うと帳簿や青色申告決算書なども一緒に作成できます。

自分で作成することが難しいときは、確定申告会場や税務署で、作成方法を教えてもらうこともできます。また、申告内容が複雑な場合などは、税理士の代行サービスを検討しましょう。

確定申告書の提出

確定申告書の作成が完了したら税務署に提出します。提出方法は以下3つです。

  • 郵送
  • 税務署に持参
  • e-Tax(電子申告)

パソコンやスマホの操作に慣れている人にとっては、e-Taxが最も手軽な方法です。紙で作成した場合など、所管の税務署に持参や郵送する方法もあります。いずれの方法においても、申告期間は毎年2月16日から3月15日です。

納税、還付手続き

納税義務がある人は、納税手続きを行いましょう。納税方法は以下6つです。

  • ダイレクト納付
  • インターネットバンキング等
  • クレジットカード納付
  • コンビニ納付
  • 振替納税
  • 窓口納付

個人で事業を営んでいる人など、毎年確定申告を行う場合は振替納税が便利です。一度手続きを行うと、次回以降も振替納税とすることができます。一度限りや、毎年するわけではないという人は、e-Taxを利用して、パソコンやスマホから納税することも可能です。

納税ではなく還付の場合は、確定申告書に記入するだけで、別途手続きは不要です。確定申告書に記入した口座に還付金が振り込まれます。通常、還付手続きまでは1か月から1か月半程度かかりますが、e-Taxの場合は3週間程度で処理されることもあります。

出典)国税庁「[手続名]国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)」

確定申告の注意点

申告義務がある人は、必ず期限内に確定申告を行いましょう。確定申告をしないと。無申告加算税や延滞税が課されることがあります。また、申告義務がなくとも確定申告をすることで、減税や損失の繰越控除が利用できる人も、申告をするようにしましょう。

確定申告の内容に間違いがあった場合は、「修正申告」をする必要があります。税額を少なく申告をしているときは、必要な税額に延滞税が上乗せされて課されることもあります。一方で、税額を多く申告しているときは、「更正の請求」を行いましょう。請求内容が認められると、納めすぎた税金が還付されます。

まとめ

確定申告の義務がある人は、必ず期限内に、正しく申告しましょう。また、義務がなくとも、減税メリットがある人もいます。まずは、自身が確定申告の必要があるのか、ない場合でも受けられる控除はないか、などを確認するところから始めてみましょう。

執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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