2022.07.06

長期優良住宅とは?認定制度の概要やメリット・デメリットを解説

住宅を購入しようとするときに、「長期優良住宅」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。長期優良住宅であることで、税制優遇措置や住宅ローンの金利引き下げなどのメリットがあるため、これから住宅を購入するなら選択肢の1つとなります。

今回は、長期優良住宅の概要やメリット・デメリット、申請手続きの流れについて解説します。

長期優良住宅とは

長期優良住宅とは、長期にわたって良好な状態で使用するための措置が講じられた住宅です。「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づいて、2009年6月から「長期優良住宅認定制度」が開始されました。

背景には「ストック重視の住宅政策への転換」があります。環境負荷の低減や建て替え費用の負担軽減のため、従来の「作っては壊す」スクラップ&ビルド型の社会から、「いいものを作って、きちんと手入れをして、長く大切に使う」社会への移行を目指しています。

長期優良住宅の認定を受けるには、必要な措置を講じたうえで所管行政庁に申請する必要があります。一度認定を受けたら終わりではなく、工事完了後も維持保全計画に基づく点検などが求められます。

参考)国土交通省「長期優良住宅のページ」

長期優良住宅の認定状況

長期優良住宅の認定戸数の累計は、令和2年度末で120万戸以上(新築と増改築の合計)です。全体の約98%は戸建て住宅が占めています。認定戸数は年間10万戸程度で推移しており、新築戸建ての約4戸に1戸は長期優良住宅の認定を取得しています。

参考)住宅性能評価・表示協会「長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について」

長期優良住宅の認定基準

長期優良住宅として認定されるためには、定められている認定基準を満たす必要があります。新築戸建ての主な認定基準をまとめました。

項目 認定基準の内容
劣化対策 数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できる
耐震性 耐震性能が高く、地震の振動に耐えられる
維持管理・更新の容易性 構造躯体に比べて耐用年数が短い内装・設備について、維持管理を容易に行うことができる
省エネルギー性 断熱性を高めることで冷暖房負荷を軽減できる
居住環境 良好な景観の形成、地域における居住環境の維持・向上に配慮している
住戸面積 良好な居住水準の確保に必要な規模を有する
保持保全計画 将来を見据えて定期的な点検・補修等に関する計画が策定されている
災害配慮 自然災害による被害の発生・防止・軽減に配慮されている

「耐震性は耐震等級2以上」「住戸面積は75㎡以上」など、それぞれの項目について一定の基準が設けられています。

共同住宅(マンションなど)については、上記に加えて以下の基準もあります。

項目 認定基準の内容
可変性 居住者のライフスタイルの変化等に応じて間取りの変更が可能
バリアフリー性 共用部分について将来のバリアフリー改修に対応できる

長期優良住宅のメリット

長期優良住宅のメリットは以下の通りです。

補助金を受けられる

長期優良住宅を取得する際は、「地域型住宅グリーン化事業」の補助金を受け取られます。本事業の採択を受けた中小工務店などが整備する木造住宅を建築することが要件です。

令和4年度の場合、長寿命型の住宅は最大140万円、ゼロ・エネルギー住宅型は最大150万円が補助されます。

参考)地域型住宅グリーン化事業「令和3年度事業からの変更点」

税制優遇措置が設けられている

長期優良住宅の認定を受けた新築住宅には、以下の税制優遇措置が設けられています。

税目 優遇措置の内容
所得税
(住宅ローン減税)
控除対象限度額を5,000万円に引き上げ(一般住宅は3,000万円)
登録免許税 所有権保存登記の税率を0.1%に引き下げ(一般住宅は0.15%)
固定資産税 減税措置(1/2に減額)の適用期間を戸建ては5年間、マンションは7年間に延長(一般住宅は戸建て3年間、マンション5年間)
不動産取得税 課税標準からの控除額を1,300万円に増額(一般住宅は1,200万円)

住宅ローン減税は2023年12月31日までの入居、その他は2024年3月31日までの入居が要件です。

参考)住宅性能評価・表示協会「長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について」

住宅ローンの金利優遇を受けられる

住宅金融支援機構のフラット35Sが適用されると、フラット35の借入金利から年0.25%引き下げられます。金利引き下げ期間は住宅の技術基準レベルによって異なり、Aプランが当初10年間、Bプランが当初5年間です。

参考)住宅金融支援機構「【フラット35】S」

地震保険料の割引がある

長期優良住宅は、住宅の耐震性に応じて地震保険料の割引を受けられます。耐震等級を有している建物の場合、割引率は耐震等級2が30%、耐震等級3が50%です。免震建築物の割引率は50%となっています。

参考)住宅性能評価・表示協会「長期優良住宅認定制度の技術基準の概要について」

長期優良住宅のデメリット

一方で、長期優良住宅には以下のようなデメリットもあります。

認定を受けるために費用がかかる

長期優良住宅は、認定を受けるための費用がかかります。具体的には、図面・計算書の書類作成費用や認定申請手数料、申請代行費用などです。所管行政庁や建築会社によって費用は異なるため、いくらかかるかを事前に確認しておきましょう。

一般住宅より建築コスト高い

長期優良住宅は、耐震性や省エネルギー性などの認定基準を満たなくてはなりません。品質の高い材料を使ったり、基準を満たす設計を行ったりする必要があるため、一般住宅よりも建築コストは高い傾向にあります。

住宅の維持保全に手間がかかる

長期優良住宅は、工事完了後に計画的な点検の実施、適切な補修・改良、記録の保存などが必要です。10年に一度の定期点検などを怠った場合、認定を取り消される場合もあります。

長期優良住宅の認定手続きの流れ

長期優良住宅の認定手続きの流れは以下の通りです。

  1. 認定基準を満たすように設計を行う
  2. 登録住宅性能評価機関に審査を依頼する
  3. 必要書類を準備して所管行政庁に認定申請をする
  4. 認定通知書が届く(着工開始)

認定申請は着工前までに行う必要があります。申請手続きは施行事業者が代理で行うことも可能です。工事完了後は維持保全計画書に基づいて定期的に点検を実施し、必要に応じて調査・修繕・改良を行います。

まとめ

長期優良住宅は長期にわたって快適に住み続けることができ、取得する際は補助金や税制優遇制度、住宅ローンの金利引き下げなどを受けられます。一方で、建築コストが比較的高く、維持保全に手間がかかるというデメリットもあります。メリット・デメリットを比較したうえで、長期優良住宅の取得を検討しましょう。

執筆者紹介

大西 勝士(Katsushi Onishi)
金融ライター(AFP)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで年間200本以上の記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。
<運営ブログ>
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