公開日:2024.12.25
住宅ローンを借りるときは、保証料や融資手数料などの諸費用がかかります。支払方式に応じて「保証料型」と「融資手数料型」の2つに分けられますが、どのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、住宅ローンの保証料型と融資手数料型の違い、返済シミュレーションの比較を紹介します。
住宅ローンの保証料とは、保証会社の保証を受けるために支払う費用です。契約者がローンを返済できなくなった場合、保証会社が契約者に代わってローンの残債を支払う仕組みです。
保証料型は、契約者が保証会社へ保証料を支払う必要がありますが、基本的に融資手数料はかかりません。保証料型の住宅ローンは、「一括前払い型」と「金利上乗せ型」の2種類があります。
一括前払い型(外枠方式)とは、住宅ローンの借入時に一括で保証料を支払うタイプです。保証料は、借入金額や借入期間によって変動します。一括で支払うため、初期費用は増えますが、金利上乗せ型に比べると毎月の返済額を抑えることが可能です。
途中で繰り上げ返済をすると、一括前払いをした保証料の一部が返還されます。これを戻し保証料と言います。戻し保証料を受け取る際は、手数料がかかることがあります。
金利上乗せ型(内枠方式)とは、住宅ローンの借入時に保証料を支払わない代わりに、毎月の金利が上乗せされるタイプです。一般的には、借入金利に0.2%程度が上乗せされます。仮に借入金利が年0.6%の場合、0.2%上乗せされて年0.8%となります。
借入時の初期費用は軽減されますが、外枠方式に比べると毎月の返済額が増える点に注意が必要です。
融資手数料とは、住宅ローンを借りる際に金融機関に支払う手数料です。金融機関によっては「事務手数料」と呼ばれることもあります。
融資手数料型は、契約者が金融機関に融資手数料を支払うタイプの住宅ローンです。保証会社への保証料は、契約者から受け取った融資手数料の中から金融機関が支払います。
融資手数料型の住宅ローンは、「定額型」と「定率型」の2種類があります。
定額型とは、借入金額にかかわらず一定金額の融資手数料を支払う方式です。借入金額が増えるほど、定率型と比較してお得になります。金融機関によって異なりますが、融資手数料は3~5万円程度が一般的です。
ただし、通常は定率型より適用金利は高くなります。そのため、融資手数料を含めた総支払額を比較して、定額型と定率型のどちらが有利かを判断する必要があるでしょう。
定率型とは、借入金額に対して一定の割合(例:2.2%)を手数料として支払う方式です。借入金額が増えるほど、手数料も比例して増加します。
例えば、融資手数料が借入金額の2.2%、借入金額3,000万円の場合、融資手数料は66万円(3,000万円×2.2%)です。
定額型よりも適用金利は低めですが、初期費用は高くなります。
保証料型の内枠方式を利用する場合、金利が上乗せされるという点で融資手数料型と大きな違いはありません。また、保証料と融資手数料は、どちらも住宅ローンを借りる金融機関に支払う諸費用という点では同じです。
しかし、保証料型の外枠方式は、以下2つが融資手数料型とは異なります。
なお、繰り上げ返済については、住宅ローンの借り換えも含まれます。そのため、保証料型(外枠方式)で借りた住宅ローンを借り換える場合は、保証料が返還されるでしょう。詳細は住宅ローンを利用する金融機関に確認してみましょう。
ここでは、住宅ローンの保証料型と融資手数料型の違いをイメージするために、以下の条件で保証料、融資手数料、総返済額(元金+利息)の合計額の比較を紹介します。
保証料型(外枠方式) | 保証料型(内枠方式) | 融資手数料型(定額型) | 融資手数料型(定率型) | |
---|---|---|---|---|
保証料 | 800,000円 | |||
融資手数料 | 33,000円 | 880,000円 | ||
総返済額 | 47,453,342円 | 49,041,316円 | 49,041,316円 | 47,453,342円 |
合計 | 48,253,342円 | 49,041,316円 | 49,074,316円 | 48,333,342円 |
※2024年12月1日付で試算
出典)住信SBIネット銀行「住宅ローン 新規借入シミュレーション」
上記条件では、保証料型(外枠方式)が最も有利な結果となりました。しかし、どのタイプが有利かは、借入期間や借入金額によって異なります。
また、金融機関によって金利や諸費用に違いがあるため、シミュレーションを行ったうえで自分にあったタイプを選択することが重要です。
住宅ローンは、大きく「保証料型」と「融資手数料型」の2つがあります。さらに保証料型は「外枠方式」と「内枠方式」、融資手数料型は「定額型」と「定率型」に分けられます。
それぞれメリット・デメリットがあり、どのタイプが諸費用を抑えられるかは借入金額や借入期間などによって異なります。住宅ローンを借りる際は事前にシミュレーションを行い、どの手数料タイプが自分に向いているかを見極めましょう。
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