43条但し書き道路とは?申請の流れとローンへの影響を解説

公開日:2025.06.18

一般的に、接道義務を満たさない土地は、建物を新築することができません。

ただし、その土地に接する通路が建築基準法第43条第2項第2号「旧第43条第1項但し書き(以下、この記事では43条但し書き道路という文言を使用します。)」に基づく特例として自治体から認められれば建物を建築できる可能性があります。

この記事では、43条但し書き道路の概要や申請の流れ、ローンへの影響について解説します。

43条但し書き道路とは

43条但し書き道路とは、建築基準法で規定する道路に接道していなくても、一定の要件を満たせば建築が認められる通路を指します。建築基準法第43条第1項に但し書きがあったことから「43条但し書き道路」と呼ばれるようになりました。

その後、平成30年9月の建築基準法の法改正により、建築基準法第43条第2項第2号に記載されるようになりました。
43条但し書き道路説明図

43条但し書き道路の許可

建築基準法第43条第1項では、「建築基準法の道路と2m以上接している土地でなければ建物を建てることができない」と規定されています。この規定のことを「接道義務」といいます。

接道義務は、防災対策として緊急車両が通れるようにすることが目的です。原則として、建築基準法上の道路に2m以上接していない土地は、建物を建築することができません。

43条但し書き道路について、建築基準法では以下のとおり規定しています。

その敷地の周囲に広い空地を有する建築物その他の国土交通省令で定める基準に適合する建築物で、特定行政庁が交通上、安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの

出典)e-Gov法令検索「建築基準法」第43条第2項第2号

43条但し書き道路の許可申請の流れ

43条但し書き道路の許可は、以下の流れで申請を行うことができます。

  1. 自治体に事前相談をする
  2. 申請書を提出する
  3. 建築審査会で審査を受ける

まずは、現地の写真や現況図などを準備して自治体に事前相談を行い、申請ができるかを判断してもらいましょう。自治体から連絡が来たら、正式に許可申請の書類を提出します。

申請時には、申請理由書や位置図、登記事項証明書などの書類提出が必要です。その後、建築審査会の同意を得られた場合は「許可通知書」が発行され、建築が可能となります。

事前相談から「許可通知書」発行までの手続き完了期間は、各自治体によって異なります。例えば、神奈川県横浜市は2~4週間と目安を定めています。

出典)神奈川県横浜市「敷地等と道路との関係の許可・認定(建築基準法第43条第2項)

43条但し書き道路に関する注意点

43条但し書き道路は、以下のような注意点があります。

建築審査会から同意を得られるとは限らない

43条但し書き道路の申請をしても、建築審査会から同意を得られるとは限りません。敷地の状況や建築の計画内容によっては同意を得られない場合があるので、事前に自治体と入念に協議を行うことが重要です。

また建築できない場合を想定し、どのような選択肢があるのかを事前に検討しておくことが大切です。例えば、リフォームをして使用する、更地にして駐車場にするなど活用法が考えられます。

43条但し書き道路の許可は増改築、再建築の際に再申請が必要

43条但し書き道路の許可は、建物に対する許可になるので、建築を行う度に自治体に許可申請が必要です。43条但し書き道路の許可を一度取得したからといって、「許可通知書」が永続的に適用されるものではないので注意が必要です。

住宅ローンへの影響がある

43条但し書き道路の許可が必要な土地を購入し、建物を建築する場合において、自治体から申請許可を得られたのであれば、金融機関の審査を受けて住宅ローンを借りることは可能です。ただし、一般的な土地と比べると、金融機関の審査は厳しい点に注意が必要です。

買い手が限られる

43条但し書き道路に接している土地は、再建築や住宅ローンのハードルが高いため、買い手が限られる傾向にあります。そのため、一般的な土地よりも売却に時間がかかる場合があります。

一方で、一般的な不動産に比べると、再建築や住宅ローン組むハードルが高いため、相場より価格が安い傾向にあります。43条但し書き道路の許可が下りる前提にはなりますが、不動産事業者が買取再販を前提とするのであれば、購入を検討してみても良いかもしれません。

まとめ

43条但し書き道路は、建築基準法の接道義務を満たしていない土地でも、一定の条件下で建築が認められる例外規定です。自治体へ申請の手続きが必要ですが、許可を得ることができればローンも利用できる可能性があります。

ただし、将来的に売却が難しくなることもあるので、43条但し書き道路の許可が必要な土地を取得する場合は、特徴やリスクを理解したうえで検討しましょう。

執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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