2023.04.26

公示価格とは?実勢価格との違いと活用法をわかりやすく解説

公開日:2023.04.26

公示価格(公示地価)は、国土交通省が公示している土地の価格です。土地価格の動向を示す重要な指標ですが、実勢価格(実際の取引価格)とは何が違うのでしょうか。特に土地を売買する予定がある人は、公示価格について理解しておくことが大切です。

この記事では、公示価格の概要や調べ方、活用する際の注意点について解説します。

公示価格とは

公示価格(公示地価)とは、適正な地価の形成に寄与するために、国土交通省土地鑑定委員会が毎年3月に公示する標準地の価格です。

地価公示法に基づいて、全国の分科会に属する鑑定評価員(不動産鑑定士)が毎年1月1日時点の1㎡あたりの正常な価格を判定しています。令和5年地価公示では、全国約26,000地点で実施されました。

公示価格は、一般の土地取引に対して指標を与えるもので、不動産鑑定や公共事業用地の取得価格算定の規準となります。また、土地の相続税評価や固定資産税評価の基準としても活用されます。

公示価格を調べる方法

公示価格は、国土交通省の「標準地・基準地検索システム」で調べることが可能です。地図上で調べたい都道府県名や市町村名を選択し、検索条件を入力すると、地価情報の詳細が表示される仕組みになっています。

具体例として、神奈川県横浜市西区の公示価格を確認してみましょう。

▼まずは地図上で神奈川県を選択します。
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▼次に、地図上で横浜市西区を選択しましょう。
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▼検索条件指定の画面が表示されたら、「対象」「調査年」「用途区分」「地価」について選択もしくは入力を行い、検索ボタンを押します。
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▼検索結果が表示された後、「詳細を開く」や「標準地番号」のリンクを押すと、地価情報の詳細が表示されます。
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複数の地域を選択して検索したり、詳細な地名を入力して検索したりすることも可能です。

出典)国土交通省「国土交通省地価公示・都道府県地価調査」

公示価格と他指標との違い

土地価格の指標は複数存在し、「一物五価」と言われることもあります。具体的には、「公示価格(公示地価)」「実勢価格」「基準地価」「路線価」「固定資産税評価額」の5つです。

ここでは、公示価格とそれぞれの語句との違いを説明します。

実勢価格との違い

実勢価格とは、実際に取引された土地価格のことです。土地の価格は需要や立地、周辺環境、当事者間の価格交渉などの影響を受けて変動するものなので、同じ標準地にある土地であっても、公示価格と実勢価格は一致しません。

公示価格と実際に取引される土地価格は異なることを理解し、一つの指標として活用することが大切です。

基準地価との違い

基準地価とは、国土利用計画法に基づき、都道府県知事が毎年7月1日時点における標準価格を判定する土地価格です。適正な地価の形成を目的として、毎年9月頃に公表されます。令和4年の基準地数は約21,000地点です。

公示価格との違いは下記のとおりです。

公示価格基準地価
調査名国土交通省地価公示都道府県地価調査
調査主体国土交通省都道府県
根拠法地価公示法国土計画利用法
基準日毎年1月1日毎年7月1日
公表時期毎年3月毎年9月
評価方法不動産鑑定士2名以上による鑑定評価不動産鑑定士1名以上による鑑定評価

公示価格は1月1日時点、基準地価は7月1日時点と基準日に違いがあるため、基準地価は公示価格を補完する指標として活用されることがあります。

路線価との違い

路線価とは、相続税や贈与税における評価額の基準となる土地の価格です。一連の土地が面している路線ごとに評価した、1㎡あたりの土地価格を意味します。毎年1月1日を評価時点として、国税庁がその年の7月に公開しています。公示価格の80%程度が目安です。

路線価は、国税庁が運営するサイト「路線価図・評価倍率表」で確認できます。

出典)国税庁「路線価図・評価倍率表」

固定資産税評価額との違い

固定資産税評価額とは、固定資産税を計算する際の基準となる価格です。市町村の固定資産台帳に記載された土地の評価額を意味し、3年に1回「評価替え」が行われます。宅地については、公示価格の70%程度が目安です。

固定資産税評価額は、市町村から送付される固定資産税の納税通知書で確認できます。また、固定資産評価証明書の発行や固定資産台帳の閲覧を自治体の担当部署に依頼し、確認することも可能です。

公示価格の活用法

土地売買の際に公示価格を参照するのは、適切な売却価格かを判断する上で有効です。一方で、公示価格を指標として用いる上で、以下の特徴を把握しておくことが大切です。

  • 地価は変動するので、公示価格と実際に取引する日の地価は異なる
  • 公示価格が高い標準地の土地であっても、立地や周辺環境などの条件が悪ければ金額が低くなることがある
  • 公示価格を算出する標準地は、都会には多いが地方には少ないため、土地の所在地によっては参考にならない場合がある

土地を売買する場合は不動産会社の査定価格を鵜呑みにするのではなく、公示価格や基準地価など、複数の指標と比較して問題ないかを確認した上で、売買判断を行うことが大切です。上記公示価格の特徴を正しく理解し、有効に活用しましょう。

まとめ

公示価格は、国土交通省が毎年公示していることから、信用度の高い土地価格といえます。ただし、公示価格と実勢価格は必ず一致するものではないため、参考程度にすることが大切です。実際に土地を売買する際は、公示価格だけでなく、基準地価や査定価格なども確認した上で売買判断を行いましょう。

執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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