相続時の不動産評価方法は?評価に関する特例も併せて解説

相続財産には預貯金や有価証券のほかに、土地や建物といった不動産も含まれます。相続で不動産を取得した場合、相続税評価額はどのように算出すればよいでしょうか。今回は、相続不動産の評価方法や特例について解説します。

相続財産のうち不動産が占める割合は?

国税庁の資料によると、2019年の相続財産の金額構成比は以下の通りです。

  • 土地:27.3%
  • 家屋:5.4%
  • 有価証券:15.3%
  • 預貯金39.2%
  • その他12.8%

最も多いのが預貯金で、全体の約4割となっています。不動産の割合も多く、土地と家屋で全体の3割弱を占めています。この結果から、相続において不動産の重要度が高いことがわかります。

参考:国税庁「令和元年(2019年)分の相続税の申告状況について」

相続税評価額の評価方法

土地や建物の資産価値(取引価格)は、最寄り駅からの距離や利便性、築年数などによって左右されます。しかし、不動産の相続税評価額は、通常の取引価格とは異なります。詳しい評価方法は以下の通りです。

土地

土地の評価方法には、「路線価方式」と「倍率方式」の2つがあります。

路線価方式とは、路線価が定められている地域(都市部などの市街化地域)の評価方法です。路線価は、道路に面する標準的な宅地の1㎡あたりの価格のことで、国税庁が毎年7月に公表しています(基準日は毎年1月1日)。

倍率方式とは、都市郊外など路線価が定められていない地域の評価方法です。その年の固定資産税評価額に、一定の倍率(地域によって異なる)を乗じて計算します。

路線価方式・倍率方式ともに、評価額は公示価格(国土交通省が毎年3月に公表する土地取引の指標となる価格)の8割程度が目安となります。

建物

建物の評価額は、「固定資産税評価額×1.0」で計算されます。つまり、建物の評価額は固定資産税評価額と同じです。

固定資産税評価額は、固定資産税を計算する際の基準となる価格のことで、公示価格の7割程度が目安となります。固定資産税評価額を調べる場合は、固定資産税の納税通知書を確認するか、自治体の担当部署に問い合わせるといいでしょう。

その他の不動産

借地権がついていたり、賃貸に出していたりする不動産は、権利関係に応じて評価額が調整されます。たとえば、貸宅地や貸家(マンション、アパートなど)は、通常の評価額から借地権割合や借家権割合などが調整されるため、評価額は下がります。

参考:国税庁「No.4602 土地家屋の評価」

土地の相続税評価額を下げる「小規模宅地等の特例」

小規模宅地等の特例とは、被相続人が住んでいた土地や事業を営んでいた土地などを相続したときに、一定の要件を満たすことで、その土地の評価額を最大80%減額できる特例です。本特例によって評価額が下がれば、相続税を節税できます。

適用対象となる宅地の種類と評価額の減額割合、限度面積は以下の通りです。

  • 特定居住用宅地:80%減額(330㎡まで)
  • 特定事業用宅地:80%減額(400㎡まで)
  • 貸付事業用宅地:50%減額(200㎡まで)

たとえば、実家の土地(特定居住用宅地)を400㎡相続し、その土地の評価額が3,000万円だった場合、減額後の評価額は以下のように計算します。

3,000万円-(3,000万円×330㎡÷400㎡×80%)=1,020万円

特定居住用宅地の限度面積は330㎡であるため、相続した400㎡のうち、330㎡について評価額が減額されます。

本特例の適用を受けるには、相続税の申告書に特例を受けようとする旨を記載した上で、「小規模宅地等に係る計算の明細書」「遺産分割協議書の写し」などの一定の書類を添付する必要があります。

自身で手続きをするのが難しい場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。

参考:国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」

不動産の評価方法によっては争続になることも

相続人が複数人いる場合、不動産の評価方法は争点の一つです。

不動産の相続税評価額は、実勢価格の8割程度で評価されます。そのため、遺産分割協議で相続税評価額を使うか、実勢価格を使うかによって、以下のように相続人の間で不公平が生じる可能性があります。

  • 土地を相続する人:相続税評価額が有利
  • 土地を相続しない人:実勢価格が有利

たとえば、相続財産6,000万円(預貯金3,000万円、不動産3,000万円(実勢価格3,750万円))を、AさんとBさんで2分の1ずつ相続するとします。

相続税評価額で分ける場合、Aさんが預貯金、Bさんが不動産を取得すれば、3,000万円ずつ相続することになります。しかし、不動産を実勢価格で考えると、Aさんは3,000万円、Bさんは3,750万円となり、Bさんの取得分が多くなってしまいます。そのため、相続財産を一律で相続税評価額で考えると、争続に発展する場合があります。

相続財産に不動産が含まれている場合は、相続トラブルを避けるために、遺産分割の方法について相続人同士で十分に話し合うことが大切です。

まとめ

相続した不動産は、路線価や固定資産評価額などで評価されます。「小規模宅地等の特例」の適用を受ければ評価額が減額されるため、相続税の節税が可能です。不動産の評価方法や税制特例について、自身で判断するのが難しい場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。

執筆者紹介

「金融/不動産知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。
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