2021.03.31

老後破産とは?その原因と事前の対策を解説

updated:2021.10.11

老後破産とは?その原因と事前の対策を解説

公的年金の財源や年金支給年齢引き上げの問題など、将来の老後の生活に不安を感じていらっしゃる方も多いでしょう。

現在、現役世代の人は老後破産にならないようにどのように対策すればよいのでしょうか。また、老後の資金繰りが厳しいという方はどのように準備を進めるとよいのでしょうか。今回は、老後破産に向けて定年前にできることや破産に向かっている時の対策についてお伝えしていきます。

老後破産とは

老後破産とはその名の通り、定年後に破産してしまうことですが、より具体的には「定年後の年金生活の中で家計が立ち行かなくなること」だと考えるとよいでしょう。老後の収入は年金の他、現役時代に貯めた貯蓄や退職金を取り崩して生活していくことになりますが、それらが不足することで老後破産となります。

また、現役世代の生活レベルのまま老後も同様の水準で生活してしまうことや、未完済の住宅ローン、教育費や思わぬ医療費の発生なども老後破産の要因となりえます。

老後破産の原因

破産の原因については、日本弁護士連合会と消費者問題対策委員会の「2017年破産事件及び個人再生事件記録調査」によって詳しく報告されていますが、その中から老後に特有な破産原因を紹介していきます。

所得の低下

同調査より破産の一番の原因は所得の低下であるとの結果が示されています。老後は、主に年金収入で生活をしなければなりませんが、それだけでは足りず家計が立ちいかなくなってしまうケースが多いと考えられます。

老後に受け取る年金の受給額は現役で働いていた頃の給与収入よりも少なくなることが一般的です。従って、現役時代と同じ生活水準を続けてしまうと、老後破産を引き起こす可能性があるとの結果が示唆されています。

医療費・介護費の増加

高齢になるにつれて予期せぬ怪我や病気のリスクが高まります。1回の通院ではそれほど大きな支出にはならなくても、持病等によって定期的に通院することになれば、大きな支出となります。さらに、三大疾病等の病気にかかってしまった場合、公的年金のみでは足りず自己負担しなければならない医療費も大きくなります。このように、老後は医療費が負担となりやすく、それが原因となって破産を引き起こしてしまうケースが多いと考えられます。

また、老後には介護の問題もあります。自分自身やパートナーに介護が必要になった場合、介護施設や老人ホームへの入居費等の介護費用がかかります。加えて、近年の平均寿命の延びに伴い介護期間が長くなればなるほど、介護費が大きな負担となり、老後破産に繋がる可能性が高くなると言えます。

住宅ローンの返済難

近年、晩婚化や住宅価格の高騰によって、住宅ローンの完済年齢が上昇しています。定年後に住宅ローンを返済しなければならない場合、年金収入でまかなわなければならず、大きな負担となります。その結果として、老後破産となってしまうケースが多いと考えられます。

同調査においても、個人再生申立者のうち45%が住宅を所有しているとの結果が示されており、少なからず住宅の購入が破産や個人再生の原因となっていることが示唆されています。

参考)2017年破産事件及び個人再生事件記録調査

老後を迎える前にできる老後破産対策

老後破産しないためには、定年前から老後に備えて十分な準備をすることが求められます。

老後を見据えた貯蓄

あらかじめ老後にどのくらいの支出が想定されるかを計算し、十分な生活が送れるよう貯蓄していくことを考えましょう。現役時代は家族の生活費に加えて教育費や住居費などさまざまな費用がかかりますが、将来発生する老後資金のための貯蓄をすることが大切です。

老後の収入源の確保

公的年金以外に老後の収入源を確保することも大切です。民間の保険会社の取り扱う個人年金のほか、iDeCoも税制優遇を受けられるのでおすすめです。
ただし、iDeCoはサラリーマンの方で拠出限度額2.3万円(諸条件あり)が上限などの制限があるため、利用する前には必ず自身の限度額をシミュレーションしましょう。
他にも不動産投資を始めて老後に賃料週を手に入れるといったことも考えられるでしょう。

老後を見据えた支出カット

老後を見据えて生活支出のカットも大切なことで、特に住宅ローンを完済しておくことが重要です。現役時代に住宅ローンを完済していれば、老後の住居費をカットでき、大きく支出を減らせるでしょう。
また、老後に備えた保険として、定期保険等ではなく終身保険や養老保険など現役時代に保険金を積み立てて、老後に保証を受けられるものを利用するのも有効です。

住宅ローンの返済について

老後の生活を考えるにあたり住宅ローンの返済は重要なポイントです。住宅ローンを借入期間35年で組んだ場合、30歳で住宅ローンを組んでも完済年齢は65歳です。65歳前に退職するという方や30歳より後に住宅ローンを組む方は繰上げ返済を活用して退職予定年齢までには住宅ローンを完済することを考えましょう。

40~50代にお子様の大学や専門学校への進学費用などのまとまった資金が必要になることもあるので、住宅ローンを組むときにファイナンシャルプランナーなど専門家に相談して一度ライフプランニングしておくことをおすすめします。購入前に相談をしておくことで、購入予定の物件がそもそも自身の収入に合った物件なのかといった点も確認できるでしょう。

健康に気を付ける

65歳以上になっても家計が厳しい場合には、パートやアルバイトなど働きに出ることも検討するでしょう。一方で、働きたくても健康面の問題から働くことができなくなる恐れもあります。

若いうちは病気にならないため、自分は大丈夫だろうとあまり健康面に気を遣わない人もいます。しかし、60歳未満の世代に比べて60歳以上の世代では病気になったり、入院が必要になったりするケースは増加します。公益財団法人 生命保険文化センターの統計「性・年齢階級別にみた入院受療率(人口10万対)」によれば、入院受療率が40~44歳では311人(0.311%)に対して、65~69歳では1,305人(1.305%)と4倍以上となっています。

高齢になっても働くためという理由に限らず、老後生活を豊かにするため、日ごろから健康に気を遣って生活しましょう。

(参考)公益財団法人 生命保険文化センター

老後破産に向かっているとき

現状ですでに老後破産に向かっているという方はどのような対策が考えられるのでしょうか。

不動産を活用した資金調達を考える

生活費を改善しただけでは家計収支が改善しないという場合には、不動産を活用した資金調達を考えてみるとよいでしょう。

例えば、リースバックでは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けることができます。売却時にはまとまった現金を得られるため、生活を立て直すことが出来るかもしれません。

ただし、リースバックは立地が悪いなどマイホームの資産的価値が低いと判断された場合、断られるケースがある点に注意が必要です。

場合によっては不動産を処分した方が良い場合も

最終的には不動産を売却してしまうことも考えましょう。ただし、住宅ローンに残債がある場合には不動産の売却代金で住宅ローンの残債を完済しなければそもそも売却できません。完済できない場合には任意売却といって金融機関に交渉しながら売却を進めていく必要があります。

また、住宅ローンの返済を延滞してしまい、それを放置していると最終的に相場より大きく目減りした価格で競売にかけられてしまう可能性があるため、早い段階で決断することが大切です。

なお、賃貸物件の大家の中には高齢の方が住まれることを嫌がる方もいるため、売却前に引越し先の賃貸物件についてもあらかじめ目星をつけておくことをおすすめします。

まとめ

老後破産について定年前にできることや住宅ローンの返済について、また破産に向かっているときの対策についてお伝えしました。少子高齢化の進む日本においては、今の現役世代は十分な額の公的年金の給付を受けられない可能性が高く、自分で準備しておくことが求められます。これから老後を迎える方についても、本記事の内容を参考にすると共に早い段階で専門家のアドバイスを受けるようにするとよいでしょう。

執筆者紹介

「金融/不動産知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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