「住宅ローン」の記事一覧

  • 住宅ローンの借り換えは効果がほとんどない?実態調査から見えたこと

    住宅ローンの借り換えはなぜ行った?実態調査から見えたこと

    住宅ローンの返済を続けていると、毎月の返済を軽減できないかを考えることもあるでしょう。住宅ローンの借り換えを行うことで返済負担を減らせる可能性もありますが、タイミングを見誤ると、思ったより効果が得られないこともあります。 この記事では、実際に住宅ローンの借り換えを行った人を対象として住宅金融支援機構が行った、「2021年度住宅ローン借り換えの実態調査」の結果をご紹介します。直近住宅ローンの借り換えを行った人の実態を掴み、住宅ローンの借り換えは本当に効果が得られるのかについて考えてみましょう。 住宅ローン借り換えの実態調査の概要 住宅ローン借り換えの実態調査とは、住宅金融支援機構が毎年行っているインターネットによるアンケート調査です。2023年5月時点で最新の2021年度調査は、2021年4月から2022年3月に居住用の住宅ローンの借り換えを行った人(学生、無職の人を除く)を対象に調査が行われ、998人からの有効回答を得ました。 調査結果①:借り換え後の金利タイプ 借り換え後の金利タイプについて、回答結果は以下のとおりです。 出典)住宅金融支援機構「2021年度住宅ローン借り換えの実態調査」 借り換え後の金利タイプは、変動型が半分を占め比較的安定している一方で、固定期間選択型が増加傾向にあり、全期間固定型が減少傾向にあります。 続いて、借り換え前の金利タイプにも着目します。借り換え後にどの金利タイプを選択したかを、借り換え前の金利タイプ毎に分けると以下のとおりです。 (調査結果から著者が作成) 借り換え前の金利タイプが変動型もしくは固定期間選択型の人は、金利タイプを変えずに借り換える場合が最も多く、全期間固定型へ借り換える人が最も少ないことが分かります。一方で、全期間固定型は他2つとは異なり、借り換え前と違う金利タイプを選択している割合が大きいことが分かります。 以上のことから、借り換え前の金利タイプを変えずにより条件の良いローンで借り換えようと考える人が多数派である一方、全期間固定型は約半数が違う金利タイプに変更することが伺えます。また、借り換え前の金利タイプを変える場合は、変更先として変動型、固定期間選択型、全期間固定型の順番で多く選択されていることも分かります。 調査結果②:借り換えた理由 金利タイプごとの借り換えた理由の回答結果は以下のとおりです。 出典)住宅金融支援機構「2021年度住宅ローン借り換えの実態調査」 借り換えの理由として金利タイプ問わず多い理由は、「金利が低くなる」「返済額が少なくなる」と、月々の返済額を減らすためでした。一方で、今後変動型で借り続けることに対して不安に思い、一定数固定期間選択型や全期間固定型に借り換えていることも分かります。 調査結果③:毎月の返済額の増減 金利タイプごとの毎月の返済額の増減に関する回答結果は以下のとおりです。 出典)住宅金融支援機構「2021年度住宅ローン借り換えの実態調査」 どの金利タイプであっても大多数は月々の負担軽減に成功している一方で、かえって返済額が増加してしまった人も一定数いることが分かります。 変動型について 変動型に変更した人の月々の返済額の増減を見ると、返済額が結局変わらなかった、もしくは増加してしまった人が約3割を占めることが分かります。さらに返済額が減少した人の中でも、その7割近くは10,000円未満の減少に留まっています。 前述の調査結果より、変動型に変える人は月々の返済額を減らすことを目的として借り換える人がほとんどです。その割には十分な効果が得られなかった人や、目的を達成できなかった人が多い実態がこの調査結果から読み取れます。 固定期間選択型について 固定期間選択型に変更した人の月々の返済額の増減を見ると、返済額が結局変わらなかった人から20,000円以上減少した人まで満遍なく存在していることが分かります。また、返済額が増加してしまった人の割合が、他の金利タイプよりも少ないことも特徴です。 実態として、固定期間選択型を選択した人は、他の金利タイプを選択した人と比較して効果的に借り換えできていると言えるでしょう。ただし、固定期間選択型を選択すれば成功確率が高い、とは言い切れないので注意してください。 全期間固定型について 全期間固定型に変更した人の月々の返済額の増減を見ると、形状が変動型と類似していることが分かります。ただ、変動型と大きく異なるのは、返済額が増加した人がかなり多い点です。 なお、全期間固定型で返済額が増加した人の中には、返済額の増加を許容したうえで変動型への不安を理由に借り換えた人が含まれます。そのため、全期間固定型は変動型以上に「返済額を減らすつもりがかえって増えてしまった人が多い」とは言い切れません。一方で、全期間固定型に借り換えてすぐに返済額を減少させるのは、他の金利タイプと比較すると難しいと言えるでしょう。 住宅ローンの借り換えをなぜ行ったのか ここまでの調査結果を振り返ると、住宅ローンを借り換える理由として返済額の減少を目的としていた人が多いのに対し、毎月の返済額が変わらない、増加したという人が20%前後いることが分かりました。 毎月の返済額の減少額が変わらない、増加したと回答した人が借り換える理由は、金利が低い住宅ローンに借り換える際に、併せて返済期間を短くした結果、毎月の返済額減少という意味ではメリットがなくなったと考えられます。 そのほか、今回の調査結果では読み取ることができませんが、住宅ローンを借り換える理由として「金利タイプを変更したい」「団信の内容を拡充したい」という目的を持つ人も一定数いることが推察されます。 また、住宅ローンの借り換えの際には、以下のような費用がかかることには注意が必要です。 完済にかかる費用:繰り上げ返済手数料、抵当権抹消登記費用など 借入にかかる費用:保証料、事務手数料、抵当権設定費用、印紙税など 借り換え時には必ず上記費用が発生するので、目先の金利減少や毎月の返済額減少だけで判断するのではなく、総合的に判断することが重要となります。 また、費用以外でも、借り換えのための手続きには一定の労力がかかります。「労力に見合った借り換え効果を得られるか」という視点で考えることも大切です。 まとめ 住宅ローンの借り換えを適切なタイミングで行うことによって、月々の返済額を減らすことができる可能性があります。しかし、「2021年度住宅ローン借り換えの実態調査」から、住宅ローンの借り換えた人の多くが十分な効果を得られていないと推測されます。 こうした実態を踏まえると、住宅ローンの借り換えは必ずしも効果的であるとは言えないため、借り換えを検討する際には「本当に効果があるのか」を考慮する必要があります。費用や労力に見合った効果が得られるか、しっかりと試算したうえで判断しましょう。 出典)住宅金融支援機構「2021年度住宅ローン借り換えの実態調査」 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローンの借り換えで忘れてはいけない注意点 住宅ローンの借り換えとは、新たな住宅ローンを借りて既存の住宅ローンを一括返済することです。現在より低金利の住宅ローンに借り換えることで、総返済額を減らせる可能性があります。 ただし、住宅ロー...記事を読む

  • 外国人でも住宅ローンを借りることはできる?

    外国人でも住宅ローンを借りることはできる?

    「外国人でも住宅ローンを借りられる?」「外国人が住宅ローンを借りる条件は?」など、日本で家を買いたい外国人の方は、これらの疑問を持つかもしれません。 この記事では、外国人でも住宅ローンを借りることができるのかを、外国人男性の悩みを基に解説していきます。 [ご相談者Gさん] 35歳アメリカ人男性。世界展開する外資系企業に勤務。 日本支社への転勤で、5年前から日本に住んでいる。 妻は日本人で、2歳の子どもが1人。日本国内の家を買い、永住したいと考えている。 外国人が住宅ローンを組む条件とは? Gさん:気づけば日本に来て5年になりました。日本人の妻と出会い、子供にも恵まれたこの日本に永住したいと考えています。自宅を買うために住宅ローンの検討を始めたばかりです。調べていく中で、外国人が住宅ローンを組むにはハードルがあるとわかってきました。他にも調べれば調べるほど、不安要素ばかり出てきます。外国人は住宅ローンを借りることができないのでしょうか? FP加藤: いえ、そんなことはありません。外国人の方でも住宅ローンを借りることはできますよ。一方で、気をつけるポイントや、住宅ローンを組むための必須条件はありますね。 Gさん:外国人が住宅ローンを組むための条件があるのですか?どのような条件か、ぜひ教えてください。 FP加藤:はい、わかりました。外国人の方が住宅ローンを組むのも、最近では珍しいことではなくなっています。とはいえ、日本人が住宅ローンを組むケースに比べると、下記のような条件をクリアする必要があります。 <外国人が住宅ローンを組む条件例> 永住権※を取得する 日本人の配偶者が連帯保証人になる ※永住権とは、外国人が期間の制限なく永住できる権利のことです。また「永住許可」と呼ばれ永住者への在留資格変更を法務大臣から許可された場合も含みます。加えて、永住権を持つ、または永住許可を受けた外国人のことを一般に「永住者」と呼びます。 永住権を取得する FP加藤:住宅ローンは何十年という長い期間で返していくローンです。また、自宅購入のためのローンですから、そこから居なくなることは原則として想定されていません。そこで外国人がローンを借りる場合、永住権を持つことが一つの条件になっている銀行が多いようです。 Gさん:なるほど、だから永住権が必要になるのですね。 日本人の配偶者が連帯保証人になる FP加藤:日本に住み続けたい外国人の方でも永住権を取得できていない人はいますよね。実は、永住権がなくても住宅ローンを借りることができる場合があるのですよ。 Gさん:永住権が必ずしも必要なわけではないんですね!ぜひ詳しく教えてください。 FP加藤:それは「日本人の配偶者が連帯保証人になる」ことです。はっきりとした根拠を明かしている金融機関はないですが、融資の連帯保証人になるにはかなりの覚悟が必要ですし、ローンを借りた人と同等の責任や義務が生まれ、リスクが回避できると考えられるからでしょう。 Gさん:なるほど。もし永住権が取得できなくても、住宅ローンが組めるのはありがたい話ですね。 FP加藤:ここまで外国人が住宅ローンを借りる条件として「永住権を取得する」「日本人の配偶者が連帯保証人になる」の2つを説明してきました。どちらにも共通しているのは、住宅ローンを組んだ人が「これからも日本に住み続けられるのか?」「住み続ける意思はあるのか?」という点であることは、ぜひ覚えておいてください。 外国人の住宅ローン審査でチェックされるポイントは? Gさん:外国人が住宅ローンを組むための条件があることはわかりました。住宅ローンの審査でも、外国人だから特にチェックされることもあるのでしょうか? FP加藤: そうですね。確かに外国人の方が申し込んだ場合に、特にチェックされるポイントはいくつかあります。中でも特に重要な項目は、先ほど話した「今後も日本に住み続けるのか?」という点に加え、「日本語での意思疎通は可能か?」ということです。 今後も日本に住み続けるのか? FP加藤:ここまでの説明に重なるのですが、外国人でも住宅ローンを組めるのは、日本に長く住むという前提があるからです。そこがクリアされれば、外国人だからといって、年収や勤続年数などが特別に厳しく審査されるとは限りません。この点は、日本人、外国人問わず同じ審査で、一様にハードルが高くはならないのが原則です。 Gさん:そうなのですか?外国人にはいろいろクリアする条件があるので、やはり厳しく審査されるのかと思っていました。 FP加藤:そもそも返済が遅れるリスクは日本人も同じですので、外国人だけ厳しい目で見ることはありません。一方で、たとえば母国の政情が不安定になるなど、想定外の理由で帰国する人もいますので、「日本に住み続けるか?住み続ける意思はあるのか?」が大きなポイントになります。永住権や日本人の配偶者が連帯保証人になることを条件にしている金融機関が多いのにはこういった理由が影響しています。 日本語での意思疎通は可能か? FP加藤:住宅ローンを申し込んでから契約するには、さまざまな注意事項や契約条件などの説明を聞き、理解する必要があります。ここで日本語での意思疎通ができないと、住宅ローンの申し込みは難しくなります。 Gさん:それはなぜですか? FP加藤:たとえば日本人の配偶者が隣にいて通訳することも可能ですが、融資の申し込みや契約は「本人の意思確認」ができることが大前提なので、人を介してやり取りすることはできないのが原則だからです。ちなみに金融機関の中には、外国語での受付や英文での書類作成を認めているところもあるようです。 永住権がない場合にはどうする? Gさん:外国人を比較的受け入れている金融機関でも、永住権が必要なところは多いですね。でも、私は日本に来てまだ5年ですし、永住権を取得できるかわからないので不安になります。永住権が取得できなくても、住宅ローンを組めるでしょうか? FP加藤:そうですね、 Gさんが不安になる気持ちはよくわかります。ではここで一度、Gさんが「永住権を取得するにはどうすればいいか」をおさらいしてみましょう。そ 永住権の取得方法 FP加藤:永住許可を取得するには、以下のような基準をクリアする必要があります。 <永住権の取得方法> 原則として日本に10年以上在留している 公的な支援や扶助を受けなくても、資産や技能で安定した生活ができる 罰金や懲役刑などを受けていない 納税や年金、健康保険料などを納めている 出入国管理などの法律で定められた届出をしている なお在留期間や他の基準も、日本人の配偶者がいるなどの場合には特例で免除されるケースもあるようです。 出典)出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和5年4月21日改定)」 永住権なしで住宅ローンを組むには? Gさん:永住権を取得するために必要なポイントをわかりやすく説明していただき、ありがとうございます。では、永住権がなくても住宅ローンを組むにはどうすればいいんですか? FP加藤:一定の自己資金を用意できたり、購入物件が主要都市圏であったりすれば、利用可能な金融機関もいくつかあります。たとえば、2023年12月現在、東京スター銀行では、「(永住権未取得者向け)住宅ローン」、スルガ銀行には「外国人のお客さま向け住宅ローン」があり、どちらも永住許可を受けてなくても相談が可能と記載されています。 まとめ 外国人でも住宅ローンを借りることができます。条件はいくつかありますが、特別に厳しいものとは言えません。条件はいくつかありますが、日本に長く住み、これからもずっと住み続けたい意思があることが大前提です。この記事が、住宅ローンを検討している外国人の方の参考になれば幸いです。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 加藤 隆二(Ryuji Kato) 勤続30年の銀行員でマネーライター、 ファイナンシャルプランニング技能士2級。銀行員として事業資金調達から、住宅ローン、カードローンなど借入全般に従事。 住宅ローンの審査基準は?通らない場合の対処法も紹介 マイホームを購入するときは、住宅ローンを利用するのが一般的です。しかし、住宅ローンには審査があるので、必ず利用できるとは限りません。金融機関は、どのような基準で住宅ローンの審査を行うのでしょ...記事を読む

  • リ・バース60と住宅ローンの違いとは

    老後に向けて自宅の住み替えやリフォームなどを行う場合、まとまった資金が必要になります。預貯金があれば手元資金から捻出すればいいですが、老後資金への備えのためにローンを利用しようとしても、高齢になるとローンを借りるのが難しくなります。そのような時に高齢者向け住宅ローンの「リ・バース60」を活用できます。一方で、リ・バース60と通常の住宅ローンは何が違うのでしょうか。 この記事では、リ・バース60と住宅ローンの違いや類似点について詳しく解説します。 リ・バース60とは リ・バース60とは、住宅ローンの一種で満60歳以上の方向けの商品です。通常の住宅ローンと同じように、住宅の購入や建築、リフォーム、住宅ローンの借り換えなどに利用できます。 リ・バース60は毎月の支払が利息のみで、月々の返済負担が少ないのが特徴です。元本の支払いは、債務者が亡くなったときに担保不動産を売却して返済するか、相続人が現金で一括返済するかを選べます。 リ・バース60と住宅ローンの違い リ・バース60と住宅ローンはともに自宅を担保にした住宅ローンである点で共通しています。しかし、金融機関の借入限度額への考え方は大きく異なります。リ・バース60は不動産の評価額をベースに借入限度額を算出する、不動産担保ローンの考え方に近いです。一方で、住宅ローンは不動産の評価額をベースに借入限度額を算出するというよりは、債務者の与信を基に借入限度額を算出します。 このような考え方は融資条件にも表れます。具体的には、リ・バース60と住宅ローンは以下のような点で異なります。 返済方法 リ・バース60は、毎月利息のみを返済する仕組みです。毎月の返済額が小さく、据え置いている元本は債務者の死後に一括返済します。そのため、返済は生きている限り無限に続きます。 一方、住宅ローンは、元本と利息を毎月返済する仕組みです。返済方法は、毎月同じ金額を返済する「元利均等返済」と毎月同じ元本を返済する「元金均等返済」の2つが一般的です。毎月元本を返済していくので、返済期間は有限です。 元利均等返済は返済額が毎月一定のため、返済計画が立てやすいのが特徴です。一方、元金均等返済は元利均等返済より総返済額が小さくなりますが、当初の返済額(元本+利息)が大きくなります。収入や支出、返済期間などを考慮して返済方法を選択することが大切です。 関連記事はこちら住宅ローンの返済額を計算する方法とは?金利と利子の違いを解説 借入限度額 上述のとおり、リ・バース60と住宅ローンの借入限度額の算出方法は異なります。リ・バース60の借入限度額は、不動産評価額の50~60%程度(上限8,000万円)です。つまり、不動産の担保評価額が3,000万円なら、1,500~1,800万円(3,000万円×50~60%)が借入限度額となります。 一方で、住宅ローンは与信によって返済可能と判断されれば、不動産の購入額のみならず、住宅ローンの手数料や登記費用などといった諸費用分まで融資を受けられます。ただし、リ・バース60よりも年齢や収入、勤続年数といった申込人の属性に左右されます。 融資対象 リ・バース60は、契約時点で満60歳以上の方が対象です。満50歳以上60歳未満の方も利用できますが、借入限度額の取扱いが変わってきます。そして、下限年齢は定められていますが、融資条件に上限年齢を定めていることは少ないです。 一方、住宅ローンには上限年齢に制限があり、「完済時年齢80歳まで」が一般的です。安定収入があることや団体信用生命保険(団信)の加入も条件となるため、転職して勤続年数が短い場合や健康状態に問題がある場合は、審査で不利に働きます。 適用金利 適用金利は、リ・バース60が年利2.00~3.00%程度です。一方、住宅ローンは年0.30%程度から提供されていますが、金利タイプ(固定金利・変動金利)や借入期間などによって変わります。具体的な適用金利は金融機関ごとに異なるため、利用前に必ず比較検討することが大切です。 その他 リ・バース60と住宅ローンは、団信の取扱いが異なります。団信は、ローン返済中に債務者が亡くなった場合、保険金によって残債が弁済される制度です。リ・バース60は亡くなった後に元本を返済する、いわゆる亡くなることを前提にした住宅ローンであるため、団信に加入できません。一方で、住宅ローンは一般的に団信への加入が必須です。 また、取扱金融機関の数にも違いがあります。リ・バース60は比較的新しい商品であるため、取扱金融機関は限られます。一方で、住宅ローンは都市銀行から地方銀行、信用金庫、ネット銀行、ノンバンクまで幅広い金融機関が取り扱っています。 リ・バース60と住宅ローンの類似点 リ・バース60と住宅ローンの類似点についても確認していきましょう。 借り入れまでの流れ リ・バース60と住宅ローンは、申込手続きや審査方法は基本的に同じ手順で行われます。ただし、リ・バース60は住宅ローンの借り入れの流れに加えて、推定相続人の同意が必要になります。これは元本の返済が債務者の死後に行われるという商品性から、相続人の協力が必要なためです。 エリア リ・バース60と住宅ローンは、どちらも対象エリアは全国です。ただし、金融機関によっては対象エリアを限定しているケースもあります。上述のとおり、リ・バース60は比較的新しい商品であるため、全国でも取り扱う金融機関が限られ、地方などは対応する金融機関がない場合もあります。 資金使途 リ・バース60と住宅ローンは、住宅の購入や建築、リフォーム、借り換えなどにのみ利用が認められています。事業資金や納税資金、教育資金など、住宅関連以外の使途には利用できません。 収入要件 リ・バース60と住宅ローンは、どちらも一定の収入が必要です。これはどちらも借入可能額が返済比率を基に審査されるためです。なお、リ・バース60は毎月の返済額が少ない傾向にあり、住宅ローンに比べると比較的少ない収入で借り入れができます。 その他 リ・バース60と住宅ローンは、どちらも抵当権による不動産の担保設定が必要です。取扱金融機関ごとに異なるものの、基本的に事務手数料や返済手数料も発生します。また、「市街化調整区域が利用できない」「再建築不可物件が利用できない」といった諸条件も類似しています。 まとめ 年齢の関係で住宅ローンを組めない場合は、リ・バース60が選択肢となります。リ・バース60は住宅ローンの一種ですが、通常の住宅ローンとは異なる点もあります。老後に向けて住宅取得やリフォームを検討するなら、リ・バース60と住宅ローンの違いを理解しておきましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リ・バース60のよくある質問 リ・バース60は、満60歳以上の方向けの住宅ローンです。一般的な住宅ローンは、安定収入が必要で年齢制限もあるため、高齢になると借りるのが難しくなります。一方で、リ・バース60であれば、住宅ロ...記事を読む

  • 住宅ローンの審査基準は?通らない場合の対処法も紹介

    住宅ローンの審査基準は?通らない場合の対処法も紹介

    マイホームを購入するときは、住宅ローンを利用するのが一般的です。しかし、住宅ローンには審査があるので、必ず利用できるとは限りません。金融機関は、どのような基準で住宅ローンの審査を行うのでしょうか。 この記事では、住宅ローンの審査基準や通らない場合の対処法を紹介します。 住宅ローンの審査項目 国土交通省の調査によると、金融機関が融資を行う際に「考慮する」と回答した割合が高い項目(90%以上)は以下のとおりです。 完済時年齢(99.1%) 健康状態(98.2%) 担保評価(98.2%) 借入時年齢(97.8%) 年収(95.7%) 勤続年数(95.3%) 連帯保証(95.1%) 返済負担率(92.1%) 金融機関の営業エリア(91.0%) 出典)国土交通省「令和2年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書P19」 ほとんどの金融機関で年齢や健康状態、担保評価、属性(年収、勤続年数)を重視していることがわかります。上記の他に融資可能額、雇用形態、国籍、他の債務の状況・返済履歴の割合も高い傾向にあります。 また、住宅金融支援機構の調査によると、住宅ローンの本審査で「重視度が増している」と金融機関が回答した審査項目は以下のとおりです。 返済負担率(65.9%) 職種、勤務先、雇用形態(45.3%) 借入比率:(39.0%) 借入者の社会属性(30.7%) 返済途上での返済能力の変化(28.2%) 預貯金や資産の保有状況(27.5%) 担保となる融資物件の時価(12.5%) 出典)住宅金融支援機構「2020年度 住宅ローン貸出動向調査P41」 返済負担率とは、月収に対する毎月返済額の割合のことです。約65%の金融機関が返済負担率の重視度が増していると回答しており、前回調査(63.0%)よりも割合が増えています。 住宅ローンの本審査に必要な書類 住宅ローンを利用する場合、一般的な例として、以下の必要書類を用意します。 •  本人確認書類(運転免許証、パスポートなど) •  印鑑証明書(実印も) •  収入証明書(源泉徴収票や納税証明書を含む) •  預金通帳や証書 •  購入物件に関する各種資料 •  その他必要書類 本人確認書類として運転免許証やパスポート、契約の際は印鑑証明書と実印が必要です。収入証明書や納税証明書は、一定の収入があること(返済能力があること)や税金の未納がないことを証明するために用意します。加えて、購入する物件の状況を確認するための書類として不動産登記簿謄本等の資料や他に借入中のローンがある場合は返済予定表も必要になります。上記以外にも自身の状況に応じて書類が必要になる場合があります。住宅ローンの審査をスムーズに進めたい場合は事前に金融機関に確認しておきましょう。 住宅ローンの審査の流れ STEP1 事前申し込み 購入する物件が決まったら住宅ローンを取り扱っている金融機関に事前の申し込みをします。ここでは、本人確認資料や収入証明書、購入物件に関する各種資料などの書類が必要になります。なお、現在ではWebサイトで事前申し込みを受け付けている金融機関もあります。 STEP2 事前審査 事前審査の結果が出るまでの期間は金融機関によって異なりますが、一般的には3~4日程度の場合が多いようです。 STEP3 正式申し込み 事前審査に通った後、住宅ローンの正式申し込みを行います。正式申し込みにあたっては、上記にて紹介している各種書類をそろえる必要があります。こちらも事前審査と同様に、Webサイト上で申し込みを受け付けている金融機関もあります。 STEP4 本審査 本審査では、事前審査と比べて厳密な審査が行われます。そのため、審査期間も長くなります。一般的には、1~2週間程度かかる場合が多いようです。 STEP5 契約締結 本審査に通ったら、金融機関と金銭消費貸借契約を締結します。加えて、担保となる物件の土地・建物に抵当権を設定するため、抵当権設定契約書の締結も行います。 STEP6 融資実行と所有権の移転 金銭消費貸借契約の締結後、物件の引き渡し日になったら融資の実行と所有権の移転を行います。 住宅ローンの審査に通らない理由 ここでは、住宅ローンの審査に通らない理由を項目別に詳しく確認していきましょう。 年齢:借入時年齢と完済時年齢 住宅ローンでは、借入時年齢と完済時年齢に上限が設けられています。借入時年齢は65~70歳、完済時年齢は75~80歳が一般的です。そのため、高齢になるほど、審査に通過するのは難しくなります。 健康状態:団信に通るか 住宅ローンは、多くの金融機関で団体信用生命保険(団信)の加入が条件となっています。契約者に万一のことがあった場合に、保険会社から金融機関に支払われる保険金で残債を回収できるからです。 団体信用生命保険の加入は多くの金融機関で必須であるため、健康上の問題で団信に加入できないと、住宅ローンの利用は難しくなります。 収入:年収や返済比率、雇用形態、勤続年数 住宅ローンは契約者の収入から返済されるため、年収や雇用形態、勤続年数といった属性が重視されます。 一般的には、高年収の正社員で勤続年数が高いほど金融機関の評価は高くなります。一方で、低年収で勤続年数が短い会社員や収入が不安定な自営業者は、融資条件が悪くなる場合や、そもそも住宅ローンの審査に通らないことがあります。 また、年収に対する住宅ローンの返済比率は30~35%が目安です。年収に対して借入希望額が大きすぎると、審査落ちの可能性が高くなります。 個人信用情報:延滞の有無 カードローンなどの返済を延滞すると、その情報が個人信用情報に記録されてしまいます。個人信用情報は金融機関に共有されます。延滞履歴があると住宅ローン審査でマイナス評価となるため、審査に通らない原因となります。 不動産:担保評価や取扱エリア 住宅ローンの審査では、購入物件の担保評価や取扱エリアも重視されます。契約者が返済できなくなった場合、金融機関は担保物件を売却して残債を回収するので、担保評価が低いと審査に通過できないことがあります。 また、住宅ローンは金融機関によって取扱エリアが決まっているため、エリア外の場合は申込ができません。 その他 住宅ローンの審査に通らないその他の理由として、申告内容と金融機関が把握している情報に相違があることが考えられます。たとえば、「他にローンを借りているが、個人信用情報に登録されている借入金額と申込書の記載金額が異なる」といったケースです。 このようなケースでは虚偽の申告をしたとみなされ、審査落ちの原因となります。 住宅ローンの審査が通らないときの選択肢 住宅ローンの審査に通らないときは、原因によってアプローチを変えることが大切です。具体的には以下のような選択肢が考えられます。 年齢:リ・バース60やリレーローンの取扱がある金融機関 高齢で通常の住宅ローンを利用できない場合は、高齢者向けの住宅ローンが選択肢です。たとえば、リ・バース60は60歳以上の方向けの住宅ローンです。返済が利息のみで、元金は債務者が亡くなったときに担保不動産を売却して返済する仕組みになっています。 親子リレーローンとは、親子で1つの住宅ローンを契約し、二世代に渡って返済を行う制度のことです。借入期間は、後継者にあたる子どもの年齢を基に算出されるので、一般的には、親の年齢で算出される借入期間よりも長い期間に設定することができます。 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 健康状態:ワイド団信や団信なしの住宅ローン 健康状態に問題がある場合は、ワイド団信や団信なしの住宅ローンが選択肢です。 ワイド団信とは、健康上の理由で一般団信に加入できない方向けに引受基準を緩和した団信です。基準は緩和されますが、住宅ローンの適用金利に一定の利率が上乗せされる点に注意しましょう。 金融機関によっては、団信なしの住宅ローンを取り扱っていることもあります。自身で一定の保証を確保できているなら、団信なしの住宅ローンを検討してもよいでしょう。 収入:収入が上がるまで待つ、連帯債務者を追加する(ペア、親子) 収入や勤続年数が原因の場合は、「基準を満たすまで待つ」という選択肢もあります。たとえば、転職したばかりで収入が下がっているなら、数年勤務すれば収入が上がり、審査に通過できるかもしれません。 また、ペアローンや親子ローンで連帯債務者を追加することで、審査に通過できる可能性もあります。 個人信用情報:滞りなく返済を行う 個人信用情報が原因の場合は、現在抱えている債務の返済を進めることが大切です。延滞の情報は5年程度で消えるため、滞りなく返済を行えば審査に通過できる可能性があります。 可能であれば、住宅ローンを申し込む前に自身の個人信用情報を確認しておくといいでしょう。個人信用情報はCIC、JICC、全国銀行個人信用情報センターで確認できます。 不動産:物件を替える、取り扱いのある金融機関を選ぶ 不動産が原因の場合は、担保評価の高い物件に替えることが選択肢となります。これから物件を探す場合は、担保評価も考慮して物件を選ぶことが大切です。営業エリアにも注意して、取り扱いのある金融機関を選びましょう。 その他 住宅ローンを申し込む際は、金融機関の質問に対して正直に答えることが大切です。万が一虚偽の回答をし、金融機関の持っている情報と異なると不信感につながり、審査落ちの原因となります。もし住宅ローンを借りられたとしても、後で嘘が判明すれば一括返済を求められてしまう場合もあります。 住宅ローンの審査は手動か?自動か? 最近の傾向として、住宅ローン審査は自動が増えています。ローン審査を自動化すれば、人件費の削減やリスク分析の精度向上などが期待できるからです。自動審査では、AI技術によって申込者の情報を分析し、スコアリング方式で審査します。 スコアリング方式とは、申込者のデータをもとに審査項目ごとに点数をつけ、その合計点で融資判断を行う方式です。国土交通省の調査によれば、金融機関のスコアリング方式の採用状況は以下のとおりです。 スコアリング方式を使って審査をしている(46.9%) スコアリング方式では審査を行っていない(53.1%) 出典)国土交通省「令和2年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書P18」 住宅ローンの審査に柔軟な対応を求めるなら、スコアリング方式で一律に審査を行っていない金融機関に相談するのも手といえます。 まとめ 住宅ローンには多くの審査項目があり、基準を満たさないと審査に通過できません。無事にマイホームを購入するためにも、住宅ローンの審査項目を理解しておきましょう。審査に通らない場合は、原因を見極めて適切に対処することが大切です。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローンを比較する5つのポイント マイホームは、住宅ローンを利用して購入するのが一般的です。さまざまな金融機関が住宅ローンを扱っているので、どのように選べばよいかわからないのではないでしょうか。 自分に合った住宅ローンを選ぶ...記事を読む

  • 住宅ローンを払い終えたらやること

    住宅ローン完済後の手続きについて解説

    住宅ローンの利用時は、不動産会社のサポートもあり、滞りなく進めることができる人が多いと思いますが、住宅ローン完済後の手続きについては、よくわからない人も多いのではないでしょうか。住宅ローン完済後の手続きを忘れてしまうと、売却や資産活用の際に不都合が生じることがあるので注意が必要です。 この記事では、住宅ローン完済の方法や、完済後の手続きについて詳しく解説します。 住宅ローン完済の方法 住宅ローンを約定返済で完済する場合には、特に手続きは必要ありません。一方で、住宅ローンを繰り上げ返済で完済する場合は、原則として金融機関の窓口で手続きをする必要があります。 繰り上げ返済による完済は、契約者本人が金融機関の窓口に返済依頼書を提出し、返済用口座に返済資金を入金するのが一般的な流れです。ただし、インターネットやアプリ上で手続きが可能な金融機関もあります。 繰り上げ返済で完済する場合には、借入残高の他、完済日当日までの未払利息、金融機関所定の手数料も必要です。シミュレーションや金融機関の窓口で確認をし、必要な金額を把握しておきましょう。 なお、完済手続きはすぐにできるわけではありません。通常は、完済手続きの完了まで数週間から1カ月程度かかるため、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。まずは金融機関に問い合わせて、手続きの流れや必要書類を確認することから始めましょう。 住宅ローン完済後の手続き 住宅ローン完済後の手続きは、「抵当権の抹消手続き」と「火災保険の質権設定の解除」の大きく2種類に分かれます。順に解説します。 抵当権の抹消手続き 住宅ローンを利用する際、自宅に抵当権を設定する登記手続きが行われます。この抵当権は、住宅ローンを完済しても、自動的に解除されるわけではないので、抹消手続きが必要となります。 一方で、抵当権が設定されたままでも、直ちに不都合が生じるわけではありません。しかし、不動産を売却したり、相続が発生したり、不動産を担保に融資を受けたりする場合は、抹消手続きをしなければなりません。 そのため、住宅ローンを完済したタイミングで抵当権の抹消手続きを行っておくとよいでしょう。抵当権の抹消手続きは、自身で必要な書類を準備して手続きを行うほか、司法書士などの専門家に手続きを依頼することもできます。抵当権の抹消手続きの流れは、後ほど詳しく説明します。 火災保険の質権設定の解除 火災保険に質権設定をすると、融資をした金融機関が契約の被保険者や、ほかの債権者に優先して保険金を取得できるようになります。火災保険の質権設定は必ずしも行われるわけではありませんが、保険金請求権や返還保険料請求権に対して質権を設定されることもあります。 仮に住宅ローンの担保となっている建物が火災で全焼した場合、金融機関は抵当権を実行できなくなります。そのため、建物が火災で全焼しても金融機関が貸付金を回収できるように、住宅ローンを組むときに火災保険の質権設定がされます。 火災保険に質権設定がされていると、住宅ローン完済後に金融機関から「保険証券」「質権消滅承認請求書」などの書類が送られてくるので、保険会社に連絡して質権消滅手続きを行います。不明点があれば、金融機関や保険会社に相談しましょう。 なお、火災保険が満期を迎えた後は、「更新」「乗り換え」「解約」の3つの選択肢がります。火災や自然災害で建物が被害を受けると、生活を立て直すためにまとまったお金がかかります。基本的に解約は避け、更新または乗り換えを検討するのがおすすめです。 抵当権の抹消手続きガイド ここでは、抵当権の抹消手続きの流れや必要書類、費用などについて詳しく説明します。 抵当権の抹消手続きの流れ 抵当権の抹消手続きの流れは以下のとおりです。 金融機関から完済書類を受領 管轄の法務局を確認 抵当権抹消登記申請書の取得・記入(※法務局ホームページからダウンロード可能) 必要書類の準備 法務局へ申請 住宅ローン完済後、金融機関から抵当権抹消に関する書類が送付されます。抵当権の抹消手続きは法務局で行う必要があるため、物件所在地の管轄の法務局を調べましょう。法務局のホームページから抵当権抹消登記申請書をダウンロードして印刷し、必要事項を記入します。記入内容に誤りがあると、手続き完了までに時間がかかるので注意しましょう。 必要書類が準備できたら、法務局に持参して申請を行います。無事に受理され、申請内容に問題がなければ手続きは完了です。申請内容に不備があった場合は法務局から連絡が来るので、指示に従って補正申請を行いましょう。 抵当権の抹消手続きに必要な書類 金融機関から送付される抵当権の抹消手続きに必要な書類は以下のとおりです。 登記済証(登記識別情報) 弁済証書/抵当権解除証書 抵当権抹消の委任状 金融機関の資格証明書 登記済証は、抵当権設定時に抵当権者(金融機関)に交付される書類です。法務局がオンライン化された後に発行された場合は登記識別情報になります。登記済証は赤いゴム印が押されており、登記識別情報はパスワード部分にシールが貼られています。 弁済証書/抵当権解除証書は、住宅ローンの返済が終了したことを証明する書類で、金融機関によって名称が異なります。抵当権抹消の委任状は、金融機関が物件所有者に抵当権抹消手続きを委任するための書類です。代理人欄が空欄になっているので、申請者の署名・捺印が必要です。 金融機関の資格証明書は、住宅ローンを借りていた金融機関の登記簿です。「代表者事項証明書」「登記事項証明書」など、金融機関によって名称が異なります。金融機関の資格証明書は、有効期限が3カ月しかないので注意しましょう。 自分で抵当権抹消手続きを行う場合は、上記書類の他に本人確認書類や印鑑証明書、抵当権抹消登記申請書の作成なども必要です。 抵当権の抹消手続きにかかる費用 抵当権抹消手続きでは、「登録免許税」と「登記取得費用」がかかります。登録免許税は、登記申請の際にかかる税金で、1つの不動産につき1,000円かかります。たとえば、一戸建ての場合は土地と建物それぞれ1,000円ずつかかるため、合計2,000円*です。 ※土地が一筆の場合 また、抵当権を抹消したい不動産の登記内容の確認や、手続き後に抵当権抹消が行われたかを確認するための登記取得費用も必要です。物件種類や取得方法によって異なりますが、一通につき500円程度かかります。 司法書士に任せて抵当権抹消手続きを行う 抵当権の抹消手続きは前述のとおり行うことが可能ですが、自身で行うことが不安だったり、手間に思ったりすることもあるでしょう。そのような時には司法書士に依頼をするとよいでしょう。 専門家である司法書士に依頼すれば、自身で行う費用に加えて司法書士報酬が発生しますが、確実に手続きをしてもらえるので安心です。知り合いに司法書士がいない場合でも、司法書士会のホームページを確認し、近くの司法書士に問い合せしてみるといいでしょう。その他、住宅ローンを借りていた金融機関に司法書士を紹介してもらえるかもしれません。 抵当権抹消手続きを司法書士に依頼する場合の司法書士報酬は1~1.5万円が相場で、実費と合わせて数万円程度の費用がかかります。住宅ローンの完済が借り換えの場合は、完済する住宅ローンの抵当権抹消と新たに借りる住宅ローンの抵当権設定を同時に依頼する形になります。 抵当権抹消手続きを行わなかった場合どうなる 住宅ローンを完済した後に抵当権を抹消しなくても、すぐに大きな影響が出るわけではありません。しかし、不動産の売却や借入を行う際にスムーズに手続きができなくなるので、完済後は速やかに手続きをしておくほうが良いでしょう。 売却への影響 住宅ローンを完済した不動産を売却する場合、抵当権が設定されたままでは買主側に不都合が生じます。なぜなら、新しい買主がその不動産を担保にローンを借りる際に抵当権を設定する必要があるからです。 法律上では抵当権が設定されたままでも、不動産を売却することは可能です。しかし、実際の取引においては「抵当権が残っている状態では売却できない」と考えておくといいでしょう。 ローン審査への影響 住宅ローンを完済した不動産を担保に借り入れをしない限り、抵当権を抹消しなくてもローン審査に影響はありません。住宅ローンを完済していれば、抵当権が残っていても信用情報においては借り入れがないことになっています。 ただし、住宅ローンを完済した不動産を担保に新たな借り入れを行う場合、抵当権の設定が必要になるため、完済した住宅ローンの抵当権は解除しなくてはなりません。急にまとまったお金が必要になれば、不動産を担保に借り入れを行う可能性も考えられます。 資金が必要になったときに慌てずに済むように、住宅ローンを完済したタイミングで抵当権を抹消しておきましょう。 住宅ローン完済後に考えるべきこと 住宅ローンを完済したことで、毎月の返済に充てていた金額が自由に使えるようになります。だからこそ、その分のお金を今後どのように扱うのか、考えておくことが大切です。 まず考えられるのが、将来のための貯金でしょう。今後の自宅の修繕やリフォームのため、子供の教育資金、老後の生活資金など、住宅ローンの完済後にも想定しておく出費はいくつか考えられます。一方で、全てを貯金に回すのではなく、これまで返済のために我慢していた旅行や趣味の費用に充てるのも良いでしょう。人生を楽しくするための出費も含めて、今後の資金計画を立てることをお勧めします。 住宅ローンの完済に資金の大部分を充ててしまい、手元資金が少ない、今後の生活費が苦しい、といった悩みを抱えている人もいるかもしれません。また、完済後すぐに急にまとまった資金が必要となり、困ってしまうこともあるでしょう。そのような場合には、住宅ローンを完済した持ち家を活用することで、資金を工面できる可能性があります。 関連記事はこちら住宅ローンを完済したがお金がない!そんな時の持ち家活用術とは? まとめ 住宅ローンを完済したら、そのタイミングで抵当権を抹消しておくのがおすすめです。抵当権が設定されたままでも、当面は不都合が生じることはありません。しかし、抵当権が設定されたままでは、不動産の売却や借り入れの手続きに時間がかかってしまいます。 抵当権の抹消は自身で手続きできますが、司法書士に依頼することも可能です。申請内容に不備があると時間や手間がかかるので、不安がある場合は司法書士に依頼して手続きを進めましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローンの借り換えで忘れてはいけない注意点 住宅ローンの借り換えとは、新たな住宅ローンを借りて既存の住宅ローンを一括返済することです。現在より低金利の住宅ローンに借り換えることで、総返済額を減らせる可能性があります。 ただし、住宅ロー...記事を読む

  • 住み替えローンとは?利用の流れやメリット・デメリットを解説

    住み替えローンとは?利用の流れやメリット・デメリットを解説

    長く住み続ける予定でマイホームを購入しても、仕事や人間関係、環境の変化などを理由に「住み替えたい」と思うこともあるでしょう。しかし、住宅ローンが残っている状況では、新しい家に住み替えができるか不安を感じるのではないでしょうか。 住宅ローンが残っている場合、自宅の売却代金で残債を完済するのが基本です。ただし、自宅の売却代金で住宅ローンを完済できない場合は、「住み替えローン」を利用する方法もあります。 この記事では、住み替えローンの概要やメリット・デメリット、注意点について詳しく解説します。 住み替えローンとは? 住み替えローンとは、自宅の売却代金で住宅ローンを完済できない時に、残債を新居の購入代金と併せて借入する事ができるローンのことです。 自宅の資産価値よりも住宅ローン残高のほうが多い状態のことを「オーバーローン(貸出超過)」といいます。住み替えローンは、今の住宅ローンの返済資金と新たに購入する家の購入資金をまとめて借りることができるため、オーバーローン状態であっても利用できます。 「住み替えたいが自宅の売却代金で住宅ローンを返済しきれない」という場合は、住み替えローンを検討するといいでしょう。 住み替えローンを利用する際の流れ 住み替えローンの手続き自体は、通常の住宅ローンと大きな違いはありません。ただし、住み替えの際は「自宅の売却」と「新居の購入」の2つの取引が必要です。 自宅の売却活動では、不動産仲介業者に自宅の査定を依頼し、仲介により売却するのが一般的です。また、不動産会社と直接取引することで、より早期に売却できます。どちらも売却価格の合意後に売買契約を締結することになります。また、新居の購入活動では、不動産会社に物件を紹介してもらい、購入物件が決まったら売主と売買契約を締結します。 住み替えローンを利用するときは、自宅の売却(住宅ローンの完済)と新居の購入の決済は同じ日に行わなくてはなりません。自宅の売却と新居の購入はどちらから始めても構いませんが、なるべく平行して活動を進めて決済日を合わせる必要があります。 住み替えローンのメリット 住み替えローンのメリットは以下のとおりです。 住宅ローンの残債を完済できなくても住み替えができる 住み替えローンの最大のメリットは、自宅の売却代金で住宅ローン残債を完済できなくても住み替えができることです。 住宅ローンの残債が減るのを待つことなく、自分の好きなタイミングで住み替えができます。転勤や子どもの進学などでどうしても住み替えが必要な場合は、住み替えローンを利用するといいでしょう。 手元資金を使わずに済む 住み替えローンは、住宅ローン完済のために手元資金を使わずに済むのもメリットです。 手元資金で住宅ローンの残債を完済すれば借入はなくなりますが、大幅に手元資金が減ってしまう可能性があります。急にまとまったお金が必要になる可能性もあるので、もしものときに備えて「まとまったお金を残しておきたい」と考える人もいるでしょう。 住み替えローンを利用すれば、手元にお金を残しながら新居に住み替えができます。 住み替えローンのデメリット 一方で、住み替えローンには以下のデメリットもあります。 不動産の価格以上に借入金額が膨らむ 住み替えローンは、今の住宅ローンの返済資金と新居の購入資金をまとめて借りることになるため、借入金額が膨らんでしまいます。借入金額が増えれば、これまでよりも返済負担は大きくなるでしょう。 せっかく住み替えをしても、ローン返済が困難になれば新居を手放すことになりかねません。住み替えローンを利用する場合は、無理なく返済できるかを見極めることが大切です。 金融機関の審査が厳しい 住み替えローンは、住宅ローンに比べると金融機関の審査が厳しい傾向にあります。 不動産(新居)の評価額以上の金額を融資するオーバーローンであるため、返済能力や新居の担保価値を厳しく審査されます。そのため、勤務先や年収、ローン返済歴などによっては審査落ちの可能性もあります。 住み替えローンの注意点 住み替えローンは、自宅の売却と新居の購入を同時決済しなくてはなりません。そのため、不動産会社や金融機関と相談し、同じ日に決済できるように調整する必要があります。 新居の購入は物件や購入日を自分で選べるため、コントロールできる部分が多いといえますが、仲介で自宅の売却をしようとしても、買主が見つからないと手続きを進めることができないため、決済日の調整が難しいでしょう。 そのため、売却は購入のタイミングに併せて不動産会社に直接買い取りを依頼するなど、購入と同時に決済が出来るよう段取りをしておく必要があります。このように売却を仲介ではなく、不動産会社による直接買い取りにする場合には、価格が時価より下がりやすいので注意が必要です。 自宅売却で譲渡損失が生じても税制上の特例が使える 自宅の売却代金で住宅ローンを完済できない場合、譲渡損失(売却損)が発生する可能性が高いでしょう。マイホームの売却で譲渡損失が生じた場合は、「譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」が利用できます。 本特例は、マイホームを売却して譲渡損失が生じたときに、一定の要件を満たすとその譲渡損失をその年の他の所得(給与所得、事業所得など)から控除(損益通算)できる制度です。 また、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、最長3年間にわたって繰り越して各年の所得から控除できるため、所得税や住民税が軽減されます。特例が利用できるか判断できない場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。 出典)国税庁「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき」 まとめ 住み替えローンは、今の住宅ローンの返済資金と新居の購入資金をまとめて借りることができるのがメリットです。ただし、借入金額が膨らむため、審査に通ったとしても毎月の収支を圧迫する恐れがあります。住み替えローンの利用は慎重に判断しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住み替えの流れや費用、利用できる税制上の特例を解説 ライフスタイルの変化などから、「住み替え」を検討することがあるかもしれません。しかし、住み替えたいと思っても、どのように住み替えを進めていいか、わからないことが多いかもしれません。また、住み...記事を読む

  • 住宅ローンを比較する5つのポイント

    住宅ローンを比較する5つのポイント

    マイホームは、住宅ローンを利用して購入するのが一般的です。さまざまな金融機関が住宅ローンを扱っているので、どのように選べばよいかわからないのではないでしょうか。 自分に合った住宅ローンを選ぶには、比較するポイントを理解しておくことが大切です。この記事では、住宅ローンを比較する5つのポイントをお伝えします。 住宅ローンの比較ポイント1:審査基準 住宅ローンでは、基本的に審査金利と返済比率が独自に決められています。 まず、審査金利とは、住宅ローン審査で使われる金利のことで、通常は適用金利よりも高めに設定されています。次に、返済比率は年収に対する年間返済額の割合(年間返済額÷年収)を意味し、一般的には30~35%が基準といわれています。 高めの金利で審査が行われると借入可能額が下がるため、借入希望額によっては審査に落ちる可能性があります。また、連帯債務者の収入を返済比率にどのように組み込むかによっても、審査結果は変わってきます。 注文住宅の場合は、土地先行決済の分割融資(つなぎ融資、土地先行融資)への対応が可能かどうかも確認しておきたいポイントです。 まずは不動産会社や金融機関の担当者に話を聞き、借りられそうだと判断できる場合は仮審査に申し込んでみましょう。 関連記事はこちら住宅ローンの審査基準は?通らない場合の対処法も紹介 住宅ローンの比較ポイント2:金利 住宅ローンは適用金利が下がるほど、毎月の返済額や総返済額を減らすことができます。金利タイプが同じであれば、最も金利が低い住宅ローンを選ぶといいでしょう。 住宅ローンで比較が難しいのが、固定金利期間選択型(当初固定型)の住宅ローンです。固定金利期間が終了すると、一般的に変動金利に切り替わるため、当初の固定金利だけでなく、変動金利も考慮して比較する必要があります。 住宅ローンの比較ポイント3:手数料 住宅ローンを借りる際は以下の手数料がかかります。 事務手数料 保証料 司法書士に払う登記費用 事務手数料は、借入金額にかかわらず定額の場合もあれば、借入金額の一定割合(借入金額×〇%)の場合もあります。借入金額が大きいときは、定額を選ぶと費用を抑えられる可能性があります。 保証料は、保証会社に支払う費用です。債務者が住宅ローンを返済できなくなった場合、保証会社が代わりに返済する仕組みになっています。保証料は一括で払うか、0.2%程度の金利が上乗せされます。 保証料が無料の住宅ローンもありますが、その場合は事務手数料が高くなることがあります。そのため、事務手数料と保証料はセットで比較するといいでしょう。 住宅ローンを借りる際は所有権の移転登記や抵当権を設定する必要があるため、司法書士に払う登記費用もかかります。司法書士は一般的に自分で探すのではなく、金融機関や不動産会社に紹介してもらえます。 また、繰り上げ返済や借り換えなどを見据えて、一部繰上返済手数料や全額繰上返済手数料も忘れずに確認しておきましょう。 住宅ローンの比較ポイント4:団体信用生命保険 住宅ローンの団体信用生命保険(団信)とは、債務者が返済期間中に死亡または高度障害状態になった場合に、住宅ローンの残債が全額弁済される保険のことです。団体信用生命保険は、特約の種類や上乗せされる保険料(金利)が比較対象となります。 特約については、特定の疾病にかかると住宅ローン残高が0円になる、一定期間の返済相当額を保障してくれるなど、さまざまな種類があります。住宅ローンを比較する際は、特約の種類をそろえるとわかりやすいでしょう。 団体信用生命保険は、基本的に年齢や性別による保険料の違いはありません。一方で、医療保険やがん保険で保障を確保しようとすると、年齢が高くなるほど保険料が割高になるため、借入時の年齢が上がれば上がるほど団体信用生命保険による保障が有利に働きます。 住宅ローンの比較ポイント5:口座開設の手間、返済のしやすさ 住宅ローンでは、他の金融機関の口座を返済口座に指定できないことが多いため、口座を持っていない場合は新たに口座開設が必要になります。 マイホームを購入するときはやることが多いので、金利差が小さい場合はすでに口座を持っている金融機関で住宅ローンを借りるのも一つの考え方です。取引の実績があれば、金利優遇などを受けられる可能性もあります。 ただし、口座開設の手続きはアプリ上で完結するなど、短時間で済むこともあります。また、他の金融機関から手数料無料で返済口座に資金移動ができたり、他行の口座を返済口座に指定できたりする銀行もあります。 住宅ローンを選ぶときは、口座開設の手間や返済のしやすさについても比較しましょう。 まとめ 上記で紹介した5つのポイント以外にも、住宅ローンを利用すると、特典を受けられることがあります。たとえば、金融機関によっては、振込手数料やATM手数料が一定回数まで無料になります。また、新たな借り入れの際に金利優遇が適用されることもあります。住宅ローンの特典内容は金融機関によって異なるので、どのような特典を受けられるかも確認しておくといいでしょう。 住宅ローンは、比較するポイントを明確にすると選びやすくなります。ただし、希望条件をすべて満たす住宅ローンがあるとは限らないので、何を重視するか優先順位をつけることが大切です。マイホームを購入するときは、今回紹介したポイントを参考に住宅ローンを比較してみましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローンの返済額を計算する方法とは?金利と利子の違いを解説 住宅ローンを借りるとき、「金利が低いかどうか」が気になる人は多いと思います。一方で、その金利を用いてどのように住宅ローンの返済額が決まるのかまで正しく理解できている人は、意外に少ないかもしれ...記事を読む

  • 住宅ローンの借り換えで忘れてはいけない注意点

    住宅ローンの借り換えで忘れてはいけない注意点

    住宅ローンの借り換えとは、新たな住宅ローンを借りて既存の住宅ローンを一括返済することです。現在より低金利の住宅ローンに借り換えることで、総返済額を減らせる可能性があります。 ただし、住宅ローンの借り換えは諸費用がかかるため、必ず効果が出るとは限りません。金利やローン残高、返済期間といった諸条件によっては損をするケースもあるため、住宅ローンを借り換えるべきかを冷静に見極めることが大切です。 この記事では、住宅ローンの借り換えで忘れてはいけない注意点について説明します。 借り換えの効果が期待できないケースがある 住宅ローンの借り換えを検討するときは、総返済額だけに注目しないことが大切です。借り換えによって総返済額が減少したとしても、諸費用を合算して考えると、実際には総返済額がほとんど変わらない、または損をするケースもあります。 一般的に、住宅ローンの借り換え効果が期待できる目安は以下のとおりです。 金利差1.0%以上 ローン残高1,000万円以上 残存返済期間10年以上 これら3つの条件に当てはまる場合は、借り換えを検討してみるといいでしょう。住み替えの予定があるなど完済までの期間が短い、または借り換え前と後の金利差が小さい場合は、住宅ローンの借り換え効果は期待できません。 住宅ローンの借り換えには諸費用がかかる 住宅ローンの借り換えを検討する際は、どのような諸費用がかかるかを理解しておくことが大切です。借り換えでかかる主な諸費用をまとめました。 完済にかかる費用:繰り上げ返済手数料、抵当権抹消登記費用など 借入にかかる費用:保証料、事務手数料、抵当権設定費用、印紙税など 既存の住宅ローンを完済するときは、繰り上げ返済手数料や抵当権を抹消するための費用がかかります。また、新たに借りる住宅ローンについては、保証料や事務手数料、抵当権の設定費用などが必要です。 住宅ローンに関する各種手数料は、金融機関によって異なります。また、店頭とインターネットのどちらで手続きするかによって、手数料が変わることもあります。 借り換えにかかる諸費用が高額になると、費用を回収するまでに長期間かかるので注意しましょう。 諸費用を組み込んで借り換えをすると元金が増加する 住宅ローン借り換えの諸費用を準備できないときは、諸費用を組み込んで借り換えをすることも可能です。すべての諸費用をローンに組み込めるとは限りませんが、準備するお金は少なく済みます。 ただし、諸費用を組み込むと元金が増加し、諸費用を別途支払うより月々の返済額や総返済額が増えてしまうため、結果として借り換え効果が小さくなります。 金利などの諸条件によっても変わりますが、基本的には諸費用を元本に組み込まずに借り換え・返済する計画を立てましょう。 住宅ローンの借り換えをうまく利用するには 住宅ローンの借り換えをうまく利用するには、借り換えによって得られる効果やリスクをはっきりさせることが大切です。具体的には、以下の3点について検討しましょう。 将来的な住み替えの可能性は? 将来的に現在の持ち家を売却して、別の家に住み替える可能性はないでしょうか。住み替えの予定があるなら、あと何年住んだら借り換えのメリットが出るのかを試算しておきましょう。退職金などの臨時収入で早期に完済した場合も借り換え効果が少なくなります。 具体的な予定がなくても、子どもが独立して夫婦二人の生活になれば、現在よりコンパクトな物件に住み替えたいと考えるかもしれません。 ライフスタイルの変化に対応できるように、住み替えや早期完済の可能性を考慮して住宅ローンの借り換えを検討することが大切です。 毎月の返済額の軽減効果は? 住宅ローンの借り換えを検討するときは、毎月の返済額の軽減効果も判断材料となります。毎月の返済軽減額と借り換えにかかる諸費用を比較し、何年で諸費用を回収できるかを試算しましょう。 実際に計算をしてみると、予想以上に諸費用の回収に期間がかかることもあります。最終的には総返済額を減らすことができても、一時的に手元資金が不足して急な出費に対応できなくなる恐れがあるので注意が必要です。 諸費用を含めた総返済額の軽減効果は? 諸費用を含めて総返済額の軽減効果を得られないと、住宅ローンの借り換えを行うメリットはありません。「元々の総返済額」と「借り換え後の総返済額+諸費用」を比較し、どれだけ返済負担が軽減できるのかを確認しましょう。 住宅ローンの借り換えでは2つの金融機関と同時やり取りする必要があり、手続きも煩雑で時間と手間がかかります。「労力に見合った借り換え効果を得られるか」という視点で、借り換えを行うか判断するといいでしょう。 まとめ 持ち家で住宅ローンを返済している場合、新しい住宅ローンに借り換えることで総返済額を軽減できる可能性があります。ただし、ここ数年の低金利の環境下に借り入れをした人にとっては、住宅ローンの借り換えでメリットが出せるケースはそれほど多くありません。 借り換えを行うか判断する際は、諸費用を含めて総返済額の軽減効果を得られるか見極めることが大切です。ホームページで「住宅ローンの借り換えシミュレーション」を提供している金融機関もあるので、借り換えを検討するときに活用してみましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 老後資金を確保するための住宅ローン返済術(60歳未満編) 住宅ローンの返済に追われて貯金する余裕がないと、老後に不安を感じるのではないでしょうか。さらに、自宅の住み替えを予定している場合は、より多くの資金を準備しなくてはなりません。現在の年齢が60...記事を読む

  • 住宅ローンの返済が厳しくなった人はどうすればいい?FPが解説

    住宅ローンが払えないときはどうすればいい?FPが解説

    コロナ禍による収入減で、住宅ローンの返済に苦しむ人も増えているようです。住宅ローンの返済が厳しくなったときにできることは何があるでしょう? また、2020年12月から「自然災害債務整理ガイドライン」にコロナ禍で失業・収入減となり返済が困難になった人に適用される特則が加わったことによる変更点についても知っておきましょう。 住宅ローンを払えないときは延滞前に金融機関に相談を コロナ禍の影響で、2020年冬のボーナスは減額や支給がない企業も増えました。特に、中小企業への影響は大きく、飲食・観光含むサービス業などではボーナスどころか、会社の存続すら危ぶまれるところもあるようです。 コロナ禍による収入減や、ボーナス減・不支給で、住宅ローンの返済に苦しむ人はどうしたらいいのでしょうか。選択できる方法を考えてみましょう。 まず、最初のステップで絶対にやってはいけないのは、住宅ローンの延滞です。家計が厳しい、住宅ローンの返済ができないという場合は、とにかく金融機関へ相談に行きましょう。この段階では他の方法はありません。 関連記事はこちら融資のリスケとは?メリットやデメリットを解説! 金融機関に相談して認められれば、返済期間を延ばしてもらう、しばらく利息だけの返済にしてもらうなどの方法が適用されます。ただし、返済負担率(年収に対する年間返済額の割合)などの状況によっては適用されない場合もあるので注意が必要です。 フラット35では次のような選択肢がありますが、適用を受けるには一定条件もあります。 <フラット35の返済方法の変更メニュー> 返済期間の延長(最長15年、完済時の年齢上限80歳) 最長3年間、元金の支払いを据置いて利息だけ支払う(返済期間は変わらず) ボーナス払いの見直し(ボーナス返済分を月払いに変更など) 機構団信特約料が別払いならその支払いの猶予も可 出典)住宅金融支援機構「新型コロナウイルス感染症の影響により機構の住宅ローンのご返済にお困りの方へのお知らせ」 民間の住宅ローンについては、金融機関によって対応が異なりますが、選択できる方法としては、次のようなもの挙げられます。ただし、現在の家計や返済負担率などの状況によっては、適用されないケースもありますので、個別に相談をして確認しましょう。 <民間の返済方法の変更メニュー> 返済期間の延長 返済猶予(一定期間、利息だけの支払いとする) ボーナス払いの見直し(ボーナス返済分を月払いに変更など) 金利タイプの変更(例:固定金利期間選択型→変動金利型) ※家計や返済負担率などの状況によっては、適用されないケースもある 例えば、残債2800万円の住宅ローン(詳細条件は下記のとおり)で、条件変更や返済猶予が受けられた場合、どれくらい軽減されるかを試算したものです。 <現在のローン> 残債2800万円 毎月返済額(ボーナス払い分)82,782円(191,016円) 残返済期間28年 全期間固定金利1.4% ボーナス払いなしに変更した場合 残債2800万円 毎月返済額100,780円 残返済期間28年 全期間固定金利1.4% ボーナス払いなし&変動金利0.5%に変更した場合 残債2800万円 毎月返済額89,321円 残返済期間28年 変動金利0.5% ボーナス払いなし&変動金利&返済期間を5年延長した場合 残債2800万円 毎月返済額76,716円 残返済期間33年 変動金利0.5% 住宅ローンの返済が苦しくなったときの最初の方法としては上記のようなものとなりますが、あくまでも一時しのぎにすぎません。これによって時間を稼いでいる間に、家計や収入の立て直しを図ることがマストです。それが難しい場合は、後述する売却などの手段を検討することになります。 関連記事はこちら自宅売却の流れや損をしないためのポイントを解説 住宅ローンを払えず延滞し続けるとどうなる? 最初の段階で延滞してはいけないと前述しましたが、もしも延滞してしまったらどうなるのかについても知っておきましょう(金融機関によっても異なる場合があるので、実際には借りている金融機関で確認を)。 延滞1カ月 延滞をしてしまうと、返済する予定だった住宅ローンの元金部分に遅延損害金が発生します(遅延日数分)。さらに、金融機関によっては金利優遇が受けられなくなることもあり、店頭金利の適用となって返済額が大きく増加する場合もあります。 延滞2~3カ月 金融機関から催告書や督促状が届き、延滞損害金の請求もあります。 延滞4~6カ月 金融機関から、「期限の利益の喪失」に関する通知が届き、住宅ローン債務の一括返済を求められます。保証会社を利用している住宅ローンでは、保証会社が金融機関に対して「代位弁済」し、以降は保証会社から請求されます。 *延滞3カ月超は信用情報機関に載り、一定期間、借入れやクレジットカードの使用などが制限される可能性もあります。 延滞7~12カ月 住んでいたマイホームは任意売却(残債がある状態で抵当権を解除しての売却)をしたり、競売にかけられたりします。 関連記事はこちら住宅ローンが払えない!競売を回避する「任意売却」とは? 競売や任意売却をしても住宅ローンが完済しきれずに残ってしまうと、その債務を返済しながらの生活になってしまいます(無担保ローンで高金利)。これを解消できるよう、後述する「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」がコロナ禍も対象とする特則もできました。 住宅ローンを払えないときの対処法は? コロナ禍で住宅ローンの返済が困難な状態にあり、返済猶予などをしても収入回復のメドが立たないという場合もあるでしょう。その場合は、傷が深くなる前に、売却など別の方法を検討する必要があります。 最も避けなくてはいけないことが、一時しのぎで高金利のカードローンやキャッシングなどに手を出す行為です。 どうしても、今後3カ月から半年以内に家計や収入の立て直しが難しいときは、家計のダメージが広がらないうちに住宅を手放すことを考えましょう。自主的な売却の方が競売よりも高く売れる可能性が高いです。ただし、有利に売却しようと考えたら、時間がかかります。不動産業者の直接買い取りだと早めに売れますが、価格は2~3割程度安くなります。 なお、自宅を売却してもそのまま住み続けたい場合にはリースバックという選択肢もあります。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 「自然災害債務整理ガイドライン」にコロナ禍が加わった 最後に1つ、重要な変更点を押さえておきましょう。 「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に、新型コロナウイルス感染症の影響で失業や収入減となり住宅ローンの返済が困難になった人に適用される特則ができ、2020年12月1日から適用となりました。 この特則は、住宅ローンを借りている人が、債務免除を受けて、生活再建を行うことを目的としています。自己破産等の法的倒産手続きではなく、特定調整手続きを活用した債務整理による債務免除を行うことで、信用情報に登録されることもありません。 対象となるのは、2020年2月1日以前からの債務(住宅ローンやその他のローンが幅広く含まれる)に加え、2020年10月30日までに新型コロナ対応のために負担した債務です。 関連記事はこちらコロナで住宅ローンの返済がお困りの方へ、ローン減免制度を紹介! 特定調停手続で債務整理をした場合は、以下のようなメリットを受けながら、対象債務の減免が受けられます。 特別定額給付金などの差押禁止財産に加え、財産の一部を手元に残せる 信用情報登録機関に登録されないので、その後の借入の可能性を残せる 弁護士、不動産鑑定士など専門家の支援が無償で受けられる 一定の財産を残しつつローンの減額や免除を受けることができ、住宅を手放さずに、住宅ローン以外のローンだけを減免する方法もあるようです。 簡易裁判所の特定調停手続を行う必要がありますが、弁護士などの登録支援専門家が必要な書類の作成や債権者との協議などの手続を無償で支援してくれます。利用するには、最も借入残高が多い債権者から、制度利用の同意を得た上で弁護士などに手続支援を依頼します。こうした制度も上手に活用しましょう。 出典)自然災害による被災者の債務整理に関するガイドラインについて リースバックの仮査定はこちら お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 豊田 眞弓( Mayumi Toyoda ) マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。 個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。 <主な著書> 「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。 任意整理完済後は住宅ローンが借りれない!ではどうする? 借金の返済が出来なくなってしまった場合など、任意整理をすれば返済負担を軽減できる可能性があります。しかし、任意整理はどのように行うのか、任意整理をした場合に自宅などの所有資産がどうなるか気に...記事を読む

  • コロナで住宅ローンの返済がお困りの方へ、ローン減免制度を紹介!

    コロナで住宅ローンの返済がお困りの方へ、ローン減免制度を紹介!

    新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少した人を対象に、住宅ローンに加え、カードローン等のその他の債務を抱える方の返済負担を軽減する制度が新たに開始されました。新制度は自然災害による被災者向けの債務整理ガイドラインを改正し、新型コロナを対象に加えた特則で、2020年12月1日から適用されています。 住宅ローンの返済が困難になって自己破産を行う場合、通常は自宅を手放さなくてはなりません。しかし、新制度を利用すれば、自宅を手放すことなく債務の減額・免除を受けられる可能性があります。 この記事では、ローン減免の新制度の概要やポイント、申請の流れについて解説します。 ローン減免制度の概要 ローン減免の新制度は、新型コロナの影響で返済困難となった債務を抱える個人・個人事業主の生活や事業の再建を支援するための制度です。新制度を利用すれば、住宅ローンに加えてカードローンなどの債務を抱える個人・個人事業主は、住宅を手放すことなく、住宅ローン以外の債務の減額・免除を申し出ることができます。具体的には、新型コロナの影響で、以下のような状況にある場合に利用可能です。 失業または収入の減少によりローンが返済できない 住宅ローンに加えてカードローンなどの債務も増え、返済の見通しが立たない 事業を廃業して再スタートしたいが債務を返済できない 新制度では、以下の債務が減免の対象となります。 2020年2月1日以前に借りていた債務 2020年2月2日~10月30日に借りた新型コロナ対応関連の債務 2020年2月1日以前の債務は、住宅ローンやカードローン、事業性ローンなどが対象です。2020年2月2日以降の債務は、政府系金融機関や民間金融機関の新型コロナ関連の貸付が対象となります。 債務の減免を受けるには、一定の要件を満たすことや借入先の同意、簡易裁判所の特定調停手続きが必要です。一定の要件を満たしているかは、債務者の財産や新型コロナの影響前後の収入状況、信用情報などから総合的に判断されます。 ローン減免制度の3つのポイント ローン減免の新制度のポイントは以下3つです。 手続支援を無料で受けられる 新制度を利用する場合、弁護士などの「登録支援専門家」による手続支援を無料で受けられます。手続きには金融機関との協議や書類作成などが必要ですが、専門家から無料で支援してもらえるため、ローン返済が困難な人にとっては利用しやすいでしょう。 個人信用情報として登録されない 債務整理を行う場合、通常は個人信用情報に登録されるため、当面は借り入れが難しくなります。しかし、新制度なら個人信用情報に登録されないため、将来借り入れがしやすいメリットがあります。 財産の一部を手元に残せる 債務者の生活状況や個別事情によって異なりますが、財産の一部を手元に残すことも可能です。新制度を利用することで、通常の債務整理(自己破産など)より多くのお金を残せるかもしれません。 ローン減免制度の申請の流れ ローン減免の新制度を申請するときの流れは以下のとおりです。 借入先の金融機関に手続着手を申出 専門家による手続支援の開始 債務整理の申出 特定調停の申立 調停条項の確定(債務整理の成立) 新制度の利用を希望する場合、まずは最も多額のローンを借りている金融機関に手続着手の申出を行います。金融機関の同意を得られたら、地元弁護士会などを通じて登録支援専門家による手続支援を依頼しましょう。 その後は専門家の支援を受けながら、金融機関に債務整理の申出を行い、必要書類の作成や金融機関との協議を進めます。債務整理の対象にしようとするすべての金融機関から同意を得られた場合、簡易裁判所へ特定調停を申し立て、調停条項が確定すれば債務整理は成立します。 ローン減免制度の注意点 ローン減免の新制度を利用する際は、以下の点に注意する必要があります。 新型コロナ以外の理由でローン返済が困難になった場合は利用できない 過去に滞納などの契約違反があると利用できない可能性がある 特定調停の申立費用は債務者の負担となる 今回の新制度は、あくまでも新型コロナの影響での失業・収入減により、債務の返済が困難になった個人・個人事業主が支援の対象です。新型コロナ以外の理由でローン返済が困難になった場合、新制度は利用できません。 利用要件を満たすかどうかは、収入状況やローンの支払条件、家計の状況などから総合的に判断されます。そのため、過去に滞納などの契約違反がある場合は、金融機関から同意を得られない可能性があります。 また、専門家による手続支援は無料で受けられますが、特定調停の申立費用については債務者の負担となります。 まとめ 新型コロナの影響で住宅ローンやカードローンなどの返済に困っている場合、ローン減免の新制度を利用すれば、自宅を手放さずに済むかもしれません。また、新制度は個人信用情報に傷がつかないので、将来借り入れがしやすいメリットもあります。専門家による手続支援も無料で受けられるので、まずはローンを借りている金融機関に相談してみてはいかがでしょうか。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 【FP相談事例】コロナウイルスの影響で住宅ローン返済に困ったら コロナウイルスの影響で家計の収入がダウンし、住宅ローンが重荷になってきた家庭は少なくありません。住宅ローンそのものの見直しも考えられますが、長期的なローン負担を気にして、もっと迅速かつ身軽に...記事を読む