コロナで住宅ローン負担増、借り換えできない場合の選択肢とは!

更新日: / 公開日:2020.08.05

新型コロナウイルスの影響で家計の収入がダウンし、住宅ローンが重荷になってきた家庭は少なくありません。とはいえ、住宅ローンそのものの借り換えが思うように進まない方もいるでしょう。この記事では、住宅ローンの返済に不安をもつ方が、少しでも気持ちを楽にして今後を過ごせる手段として、どのような方法があるのかをご紹介します。

<ご相談者 Hさん>

  • 61歳男性・会社員(年収400万円)
  • 妻は病弱で専業主婦。子供はいない。
  • 新型コロナウイルスの影響で、夫の会社の業績が落ち、ボーナスは大幅減。
  • 45歳で購入したマンションの住宅ローンはボーナス返済が大きく辛い。
  • 借り換えをしようとしたが、審査で落ちてしまった。

ボーナスダウンで住宅ローンが重荷に、借り換えしたかったが…

Hさん:会社員の我が家でも新型コロナウイルスによる収入ダウンの影響を受けています。60歳までは色々な手当があったのですが、定年後に再雇用となったことに加え、新型コロナウイルスの影響によりボーナスも大幅減です。

FP吹田:この新型コロナウイルスの影響は大変ですよね。何年前に住宅ローンを借りられたのですか?当初の借入金額や金利、返済期間を教えてください。また、繰上返済などをされたかどうかも念のため教えてください。

Hさん:はい、住宅ローンは45歳のとき、今から16年前に3,300万円を公庫で借りて、当初の金利は2.5%、借入期間は35年でした。当時は忙しくて金利などに無頓着だったこともあり、繰上返済もせずほったらかしでした。

FP吹田:仕事が忙しいと、なかなか住宅ローンを見直しする時間もとれなかったでしょうね。

Hさん:ただ、返済開始から11年目以降に金利が上がる段階金利型だったので、金利が2.5%から3.5%になり、今の返済は毎月9.5万円、ボーナス月で22.5万円も返済があります。今私は61歳ですから、まだ19年も今の返済が続くのは辛いと思って借り換えを試みたのですが、ダメでした。

FP吹田:そうだったのですか。住宅ローンの審査は金融機関ごとに異なりますが、ご年齢が61歳であることや再雇用により給料が減少したことで断られてしまった可能性がありますね。

Hさん:借り換えができないとなると、どうしたらいいでしょうか?なんだか、今後も返済し続けるということに大きなストレスを感じてきました。とはいっても、いきなり賃貸物件へ引越すのも、妻の身体が弱いので体力的に心配です。

住宅ローンを完済しつつ、今の自宅に住み続ける手段への転換も

FP吹田:なるほど。新型コロナウイルスの時代に、今後も住宅ローンを返済し続けることそのものに、ストレスを感じていらっしゃるのですね。とはいっても、奥様のことを心配して、いきなり引っ越しは避けたいのが本音ですね。今、このタイミングで両方を満たせる手段がありそうと言ったらご興味ありますか?

Hさん:そんな方法があるのですか?

FP吹田:はい、不動産という資産があって、ある程度住宅ローンを返済されてきたからこそできる手段で、リースバックというものです。

Hさん:どんな内容なのですか?

FP吹田:簡単に言うと、ご自宅をリースバック運営会社に売却し、そのままその会社から現在の自宅を賃借して住み続けるというものです。以下に仕組みやメリット・デメリットを整理してみました。参考までに住宅ローンの借り換えとも比較しています。

リースバックと住宅ローンの借り換えのメリット・デメリット

リースバック住宅ローンの借り換え
仕組み不動産を売却後、そのまま賃借して住み続ける住宅の所有権はそのまま、
住宅ローンの借入先を変更
メリット手元資金を確保する事ができる借り換えできれば、金利条件などでローン返済が軽くなる
融資審査ではなく不動産売却後の入居審査のため、融資に比べ審査が通りやすい所有権は変わらない
デメリット所有権を手離すことになる(売却価格は周辺相場よりも安くなりがち)不動産を所有することで生じるリスクが残る。(災害リスク・金利上昇リスクなど)

Hさん:なるほど。自宅を所有し続けるのではなく、売却するけれども、引越しをしたりすることなく、そのまま住み続けるということですね。

FP吹田:はい、売却代金が入るので、住宅ローン残高が残っていたとしても、残債を売却金額が上回っていれば住宅ローンを精算することが可能です。

Hさん:あとは、家賃を払うのですね。

FP吹田:はい、毎月の家賃(リース料)という形なので、管理費や修繕費用、固定資産税などの維持費がかからないですし、会社によっては賃借の費用である敷金・礼金・更新料も不要な場合もあります。

Hさん:維持費がかからないのは、本当に気楽になりますね。固定資産税も重荷でしたから。気になるのはいくらで売れるかですね。

FP吹田:はい、売却価格が周辺相場より下がる傾向はありますが、買い手が見つかるまで待つこともなく迅速に現金化できることや、今後、新型コロナウイルスの影響で不動産の価値も変わる可能性を考えると、今の時点で整理してみる価値はあるかと思います。

Hさん:確かに。今の自分の状態から優先順位を考えると、住宅ローンから解放されることと、維持費負担も楽になること、引っ越さなくてもいいという利点は、無視できませんね。検討してみます。たぶん、妻も賛成してくれると思います。

FP吹田:はい、共同生活者でもある奥様と相談されて、今後の生活で一番不安が少ないこと、安心できることを優先に意思決定されるのがよいと思います。今回、住宅ローンの借り換えができなかったのがきっかけですが、今までの延長でご自宅を所有することよりも、大切なことに気づかれたのではないでしょうか?

Hさん:はい。これだけ環境が変化すると、自宅の所有に伴う負担がずいぶん重荷になっていたのに気づきました。住宅ローンを返し続ける重荷がなくなれば、今後は、働き方や生活拠点ももう少し自由に妻と話し合っていけそうです。前向きに検討します。

まとめ

住宅ローンの借り換えができない現実に!住宅ローンを完済し、かつ引っ越しをせずに生活を維持できる方法は?

リースバックのメリットとデメリット

<メリット>

  • 不動産売却により住宅ローン残高の精算ができる
  • 引っ越しせずに今の自宅に住み続けられる
  • 固定資産税などの維持費や、修繕費用などの突発的な出費がなくなる

<デメリット>

  • 自宅の所有権はなくなる
  • 売却価格は、周辺相場より安くなりがち
  • 毎月のリース料(家賃)が発生する

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執筆者紹介

吹田 朝子( Tomoko Suita )
人とお金の理想的な関係を追求するお金のメンタリスト®・1級ファイナンシャルプランニング技能士・宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・キャリアコンサルタント
(社)円流塾代表理事、ぜにわらい協会会長、STコンサルティング(有)代表取締役社長
一橋大学卒業後、金融機関の主計部を経て1994年より独立。中小企業経営者から個人まで相談実績は3,300件以上。自己実現のためのお金の使い方や増やし方のサポートに力を入れている。
<主な著書>
「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」スタンダーズ社・「小学生でもわかる!お金にまつわるそもそも事典」C&R研究所・「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」C&R研究所 など