2020.05.01

老後の生活に84%が不安!貯蓄の目安、老後資金はいくら必要?

updated:2021.09.16

老後の生活に84%が不安!貯蓄の目安、老後資金はいくら必要?

人生100年時代、長くなる老後期に備えて、老後資金はいくら用意しておけばいいのでしょうか。実際に高齢者はどのように老後資金を捻出しているのかについてもデータを見てみましょう。また、マイホームが老後生活の最後の砦になるかもしれないことも知っておきましょう。

老後は長くなっている

何歳から「老後」と呼ぶのかによっても異なりますが、平均寿命や平均余命は年々伸びています。平均余命とは「あと何年生きられるか」の平均年数で、生まれたばかりの0歳の子の平均余命が平均寿命です。

平成30年「簡易生命表」によると、平均寿命は男性81.25歳、女性87.32歳と前年よりもやや高くなっています。平均余命も、65歳で男性19.70年、女性24.50年、80歳で男性9.06年、女性11.91年で、やはり前年を上回っています。

また、95歳まで生きる確率は、男性で10人に1人弱(9.6%)、女性で4人に1人強(26.0%)です。毎年じわじわと長寿化が進んでいることから、いわゆる「人生100年時代」も意識しておく必要があります。

参考)厚生労働省 「平成30年簡易生命表の概況」

年金はいくらもらえる?

年金がいくらもらえるかは、加入していた年金制度や加入期間、厚生年金であれば給与額によっても異なります。

まずは、平均額で見てみましょう。65歳以上の受給者の平均額は下表のようになっています。会社員・公務員の男性で約17.1万円、女性は約10.9万円です。国民年金だけの自営業や専業主婦の平均額は5.6万円です。

表)年金の平均受給額

年金 性別 平均月額(円)
国民年金+厚生年金
(会社員・公務員)
男性 171,305
女性 108,813
国民年金のみ
(自営業や専業主婦など)
男性・女性 56,049

厚生労働省「令和元年度厚生年金保険・国民年金事業の概況 」より筆者作成

国民年金(老齢基礎年金)については、保険料の納付月数で支給額が決まります。20歳から60歳まで、40年間(480ヵ月)保険料を納めれば、満額で月65,075円(2021年度)を受け取ることができます。

老齢基礎年金額(月額)
= 780,900円* × 保険料納付済月数 ÷ 480ヵ月(加入可能月数) ÷ 12ヵ月

※2021年度

※一部免除や全額免除を受けた月数に応じて加算あり

自分が受け取れる年金額について把握する最も良い方法としては、誕生月に毎年届く、ねんきん定期便を確認することです。

【50歳未満】

これまでの加入実績に応じた年金額が記載されています。
「ねんきん定期便」50歳未満(裏)
出典:日本年金機構サイト より

【50歳以上】

現在の収入水準が60歳まで続いた場合の、受取り見込み額が記載されています。
「ねんきん定期便」50歳以上(裏)
出典:日本年金機構サイト より

また、ねんきん定期便に記載されているアクセスキーを利用して日本年金機構の「ねんきんネット」にアクセスすれば、最新の年金情報等を確認することができます。

なお、年金受取開始は原則65歳ですが、これを早くしたり(繰上げ)、遅くしたり(繰下げ)することもできます。受給額がどれくらい変わるのかなどの試算も、ねんきんネットで行うことができます。現在、70歳雇用が企業の努力義務になっていることから、70歳まで働く人も増えると思われます。ちなみに、老齢厚生年金の繰下げ時の増額率は、<繰下げ月数×0.7%(0.007)>(最大42%)です。

「老後が不安」というデータも

生命保険文化センター「生活保障に関する調査(令和元年度)」によると、8割超(84.4%)の人が自分の老後に「不安感あり」と答えています。しかも、「非常に不安を感じる」という人が2割弱(19.0%)もいます。

不安を感じる理由としては、次のようなものが上位を占めます(複数回答)。

  • 「公的年金だけでは不十分」82.8%
  • 「日常生活に支障が出る」57.4%
  • 「退職金や企業年金だけでは不十分」38.8%
  • 「自助努力による準備が不足する」38.5%
  • 「仕事が確保できない」31.6%

また、社会的にも、団塊世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年には、4人に1人が75歳以上となる見込みです。少子化も進み、高齢者を支える現役世代とのバランスが崩れつつあります。2012年は65歳以上1人を2.4人で支える「騎馬戦型」だったものが、2050年には1.2人で支える「肩車型」になります。
このひずみは社会保障を直撃します。公的年金の削減や、医療・介護の保険料アップ、サービスを受けるときの負担増といった形で、すでにじわじわと現れ始めています。

参考)生命保険文化センター 令和元年度「生活保障に関する調査」【PDF】

年金だけでは足りない老後資金

老後資金は、定年などで仕事を辞めてからの人生を全うするための、生活を支えるために必要な資金です。金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2019)」によると、「年金支給時に最低準備しておく金融資産残高」は、2人以上世帯で1,974万円、単身世帯で1,909万円でした。ほぼ2,000万円となっています。

参考)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2019)」

数年前、大きな話題になった「老後資金2,000万円問題」を覚えているでしょうか。金融審議会「市場ワーキング・グループ」による試算が曲解され、「2,000万円ないと老後は安心して暮らせないのか」といわゆる炎上のようになりました。

2,000万円という金額は、総務省「家計調査」の全国平均データから計算したものです。夫65歳以上、妻60歳以上の無職世帯では、毎月約5.5万円の不足が生じることから、20~30年間の不足額が約1,320万~1,980万円になるという単純な試算です。

もちろん、年金の範囲で暮らしている人もいるし、不足額は人によって異なりますので、全員が「2,000万円ないと老後資金が不足する」ということではないかもしれません。逆にいえば、人によっては、「2,000万円でも不足する」という人もいます(具体的な老後の生活費については次項)。一般論や平均額がどうあれ、自分にとっての老後資金を把握しておけばいいのです。

FPの立場で言うなら、人生100年時代と言われ平均寿命が延び続ける中で、生活費の不足分も膨らむ傾向にあります。また、退職金のない企業が増え、退職金そのものの金額の低下もあるほか、公的年金も徐々に引き下げられることになっています。さらに、生活費以外にも、医療・介護の予備費や、ライフイベントごとにかかる費用も必要で(後述)、それなりに老後資金の準備は必要だと思います。老後の生活をどう送りたいかにもよりますが、目安額としては、「夫婦で3,000万円」「おひとり様は2,400万円」などと筆者は相談の際に伝えています。

老後に本当に必要な生活費の目安

老後に必要な生活費の目安を見ておきましょう。前述の「老後資金2000万円問題」でも計算の際に活用されたのが、総務省「家計調査」の高齢無職世帯の家計(夫65歳以上、妻60歳以上)です。

2019年のデータで見ると、毎月の支出の内訳は下記の通りで、消費支出のほか税金・社会保険料を含め、夫婦無職世帯で27.1万円、単身無職世帯で15.2万円となっています。毎月の実収入はそれぞれ23.8万円、12.5万円で、毎月の不足額の平均が、夫婦無職世帯で3.3万円、単身無職世帯で2.7万円です。

30年分の累計額を計算すると、夫婦無職世帯では1188万円(=3.3万円×12ヵ月×30年)、単身無職世帯で972万円となっています。

ただ、家計調査の支出を眺めてみると、住居費がかなり少ないことに気が付きます。これは、高齢世帯の多くが持ち家であること背景にあると考えられます。持ち家であれば住居費がほとんどかからなくなっていることから平均額としてかなり低くなっています。また、「消費支出」のため、住宅ローン返済分(平均月数千円ですが)が含まれていないことも低めになっている原因です。

生涯賃貸の世帯や、住宅ローン返済が高齢になっても続くような世帯では、現実には住居費に平均とのギャップがある点も考慮しないといけません。また、持ち家のマンションの場合、管理費・修繕積立金で月2万~3万円、固定資産税が年数万~十数万円かかれば、住宅ローンが終わった後も、平均額を超えます。他の費目も、自分の老後の生活費と比べて極端に差がでないか確認してみる必要があるでしょう。

表 高齢無職世帯の家計(単位:円)

消費支出・その他 夫婦無職世帯
(夫65歳以上、妻60歳以上)
単身無職世帯
(65歳以上)
食費 66,458 35,883
住居費 13,625 12,916
水道光熱費 19,983 13,055
家具・家事用品費 10,100 5,681
被服・履物費 6,065 3,659
保健医療費 15,759 8,445
交通・通信費 28,328 13,117
教育・教養娯楽費 24,824 16,596
その他(交際費、雑費等)* 54,804 30,387
税・社会保険料 30,982 12,061
支出合計 270,928 151,800
実収入 237,659 124,710
収支 ▲33,269 ▲27,090

※端数処理の誤差の調整をその他で行っている

総務省「家計調査」2019年

なお、生命保険文化センター「生活保障に関する調査(令和元年度)」によると、夫婦2人で老後生活を送るうえで「ゆとりある老後生活費」がいくらあればいいかについて聞いた回答(対象:18~69歳)の平均額は月36.1万円です。老後資金に「旅行やレジャー」「趣味や教養」「日常生活費の充実」などが上乗せされた金額です。

この36.1万円と家計調査の実収入を比べてみると、月12.3万円のマイナスであり、30年の累計では月4,428万円のマイナスとなってしまいます。これを実現するには、公的年金や企業年金が手厚いか、老後資金を手厚く準備することが必要です。

老後の生活費以外の目安

老後には、生活費以外にもさまざまなライフイベント費がかかります。例えば、次のようなものです。

<老後のライフイベント費>

  • 住宅のリフォーム費や建替え費
  • マイカー買替え費用
  • 家具・家電の買替え費用
  • 旅行・レジャー費
  • 趣味・教養費
  • 交際費・慶弔費
  • 医療費・介護費(予備費)
  • 葬儀費用

この中で具体的に見積もるのが難しいのが、医療費・介護費でしょう。いくらかかるかが不明なこれらの支出については、予備費という形で準備することをお勧めします。

医療費に関しては適切なデータがないのですが、介護に関しては、平均額は在宅・施設混合のデータで494万円(一時費用69.0万円、毎月7.8万円、要介護期間54.5カ月。生命保険文化センター「生命保険に関する実態調査 平成30年」)です。有料老人ホーム等への入所を考えている場合はさらに費用がかかります。なお、在宅介護だけに限ると311万円(一時費用67.2万円、毎月4.6万円、要介護期間53.1ヵ月)となります。

医療費も介護費も収入に応じて負担が変わるようになっているものの、負担軽減の仕組みもあります。特別な支出を見込まない場合は、医療・介護の予備費として1人300万~500万円を目安に準備するといいでしょう。

老後のライフイベント費を書き出してみると、日常の生活費以外にもまとまった資金が必要になることがわかります。

本来的な老後資金は、こうした費用も見積もったうえで準備をする必要があります。次のように計算します。

老後資金=(年金予想額-老後の月生活費)×(100歳-働く年齢)+ライフイベント費

※夫婦2人分で試算する場合は年金やライフイベント費を合算するようにしましょう

当然ながら、公的年金の範囲で暮らすようにすれば、ライフイベント費を見込む程度で済みます。しかし、公的年金でもらえる額は大幅に減りますので、それが本当に可能かどうかを現在の生活水準と比べて確認しておく必要もあります。

老後資金を作るには?

老後における生活資金源はどうなっているかも見ておきましょう。

金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2019)」によると、60代では、多い順に「公的年金」、「就業」、「企業年金、個人年金、保険金」、「金融資産の取り崩し」となっています。2人以上世帯では半数弱、単身世帯では3人に1人強の人が働いています。

70歳以上は2人以上世帯しかデータがないのですが、60代と少し違い、「公的年金」、「金融資産の取り崩し」、「企業年金、個人年金、保険金」、「就業」と続きます。70歳以上でも5人に1人は働いています。

表 老後における生活資金源(複数回答)(単位:%)

年代 60代 70歳以上
世帯 2人以上 単身 2人以上
公的年金 86.8 78.1 89.9
就業 45.8 36.0 20.1
企業年金、個人年金、保険金 37.1 32.0 26.1
金融資産の取り崩し 30.2 27.5 26.9
利子配当所得 2.6 10.0 4.2
不動産収入 7.6 4.8 8.4
子供などからの援助 4.3 1.7 5.5
公的援助 3.6 10.2 4.3

出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2019)」より作成 

※70歳以上は単身世帯のデータなし

老後資金不足に気づいたら、公的年金や職場の企業年金などのほか、いくつかの方法で準備をすることができます。

働く期間を延ばす

そのためにも健康維持を心掛け、定年後も働きやすいように資格を取っておく。

自分年金づくりをする

iDeCo(個人型確定拠出年金)や、NISA(少額投資非課税制度。つみたてNISAまたは一般NISA)口座を活用しての投資、個人年金保険、個人向け国債、不動産投資など。優先的に活用すべきものとして、長期で積立投資を行い、節税効果のあるiDeCoや、つみたてNISAが挙げられます。この2つを比較したのが下表。

負債を減らす

住宅ローンなど負債を減らすことも老後資金対策の1つ。できるだけ定年までに住宅ローンを完済し、退職金を住宅ローンの返済に回さないようにしたいもの。

表 iDeCoとつみたてNISA

種類 iDeCo つみたてNISA
目的 老後資金 自由
対象年齢 20~60歳未満 20~60歳未満
非課税投資枠 職業などにより年14.4万~81.6万円 年40万円
非課税期間 60歳まで(積立期間) 最長20年間
対象商品 元本確保型商品(預金・保険等)と投資信託 長期投資に向く投資信託等
途中引出し 原則60歳まで不可 いつでも可能
掛金の所得控除 あり なし
受取時の課税 優遇あり 非課税

※筆者作成

老後資金の“最後の砦”が不動産活用

 
前述の老後資金の目標額には、実は不動産の資産価値は含まれていません。持ち家の人は金融資産だけでなく、「不動産」という資産もあるわけです。そして、この不動産が老後資金の“最後の砦”になる可能性も秘めています。

老後資金、特に介護資金などで不動産を活用する方法には次のようなものがあります。不動産の立地や評価額によって、利用できない場合もあります。

リバースモーゲージを利用する

「リバースモーゲージ」とは、自宅に住み続けながら、自宅を担保に毎月の生活費を借りる仕組みです。一時金や、枠内で自由に借りるタイプもあります。首都圏に限定されていることが多く、一定評価額以上の戸建てが中心。また、条件として相続人全員の同意や連帯保証人を求められることもあります。

リースバックを利用する

「リースバック」とは、自宅をリースバック会社に売却し、売却代金を受け取る一方で、買主にリース料を支払って自宅に住み続ける仕組みです。売却代金は一時金で受け取れます。物件は主要都市に限られ、最低価額が設けられていることもあります。引っ越しをせずに住み続けられる点が大きな特徴。リースバック会社によって条件などが異なります。

不動産担保ローンで借りる

不動産担保ローンとは、不動産を担保にお金を借りることです。戸建て、マンションとも対象ですが、主要都市に限る金融機関が多いようです。金融機関によっては本人名義の物件だけでなく、配偶者や親名義でも担保にできるところもあります。比較的低金利で借りられます。

自宅を売却する

自宅を売却することで有料老人ホームの入居金に充てる、老後資金の不足分を補うなど、売却代金を活用できます。売却後の住まいがない場合は、住まいをどうするかという問題が残ります。

賃貸に出す

自宅を賃貸に出すことで、収入を得ることもできます。リフォーム費用などをかけても、空室リスクがある点に注意。また、こちらも売却する場合と同様に、住まいをどうするかという問題が残ります。

老後への備えとして、わが家の住まいを点検し、将来、どのような活用の選択肢が使えるのか、あるいは使えないのかなども知っておくといいでしょう。それも老後資金準備の一環と言えます。

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執筆者紹介

豊田 眞弓( Mayumi Toyoda )
マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。
個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。
<主な著書>
「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。

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