2020.05.01

老後資金はいくら必要?老後生活の“最後の砦”となるマイホーム

人生100年時代、長くなる老後期に備えて、老後資金はいくら用意しておけばいいのでしょうか。実際に高齢者はどのように老後資金を捻出しているのかについてもデータを見てみましょう。また、マイホームが老後生活の最後の砦になるかもしれないことも知っておきましょう。

老後は長くなっている

何歳から「老後」と呼ぶのかによっても異なりますが、平均寿命や平均余命は年々伸びています。平均余命とは「あと何年生きられるか」の平均年数で、生まれたばかりの0歳の子の平均余命が平均寿命です。

平成30年「簡易生命表」によると、平均寿命は男性81.25歳、女性87.32歳と前年よりもやや高くなっています。平均余命も、65歳で男性19.70年、女性24.50年、80歳で男性9.06年、女性11.91年で、やはり前年を上回っています。

また、95歳まで生きる確率は、男性で10人に1人弱(9.6%)、女性で4人に1人強(26.0%)です。毎年じわじわと長寿化が進んでいることから、いわゆる「人生100年時代」も意識しておく必要があります。

参考)厚生労働省 「平成30年簡易生命表の概況」

「老後が不安」というデータも

生命保険文化センター「生活保障に関する調査(令和元年度)」によると、8割超(84.4%)の人が自分の老後に「不安感あり」と答えています。しかも、「非常に不安を感じる」という人が2割弱(19.0%)もいます。

不安を感じる理由としては、次のようなものが上位を占めます(複数回答)。

  • 「公的年金だけでは不十分」82.8%
  • 「日常生活に支障が出る」57.4%
  • 「退職金や企業年金だけでは不十分」38.8%
  • 「自助努力による準備が不足する」38.5%
  • 「仕事が確保できない」31.6%

また、社会的にも、団塊世代が後期高齢者(75歳以上)になる2025年には、4人に1人が75歳以上となる見込みです。少子化も進み、高齢者を支える現役世代とのバランスが崩れつつあります。2012年は65歳以上1人を2.4人で支える「騎馬戦型」だったものが、2050年には1.2人で支える「肩車型」になります。
このひずみは社会保障を直撃します。公的年金の削減や、医療・介護の保険料アップ、サービスを受けるときの負担増といった形で、すでにじわじわと現れ始めています。

参考)生命保険文化センター 令和元年度「生活保障に関する調査」【PDF】

老後資金はいくら必要?

老後資金は仕事を辞めてからの生活を支えるための資金です。目安額としては、一般的に「夫婦で3,000万円」「おひとり様は2,400万円」などと言われますが、必要資金は個々に異なります。

老後資金は、公的年金で不足する生活費の累計分とライフイベント費を足し合わせて試算します。「老後」の期間も人によって異なります。
月5万円程度の不足を30年分見込むのであれば、それだけで1800万円となり、さらに住宅の修繕費や建て替え費、マイカー費用、レジャー費、医療費・介護費、慶弔費をはじめ、日常の生活費以外にまとまった資金が必要な分を想定してプラスします。
公的年金の範囲で暮らすことができれば、ライフイベント費を見込む程度で済みます。

ちなみに、金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2019)」によると、「年金支給時に最低準備しておく金融資産残高」は、2人以上世帯で1,974万円、単身世帯で1,909万円でした。ほぼ2,000万円です。

老後資金を大きく左右するのは介護費でしょう。平均額は496万円(一時費用69.2万円、月平均7.8万円、平均54.5カ月。生命保険文化センターのデータ)ですが、ケア付き有料老人ホーム等への入居を考えている場合はさらに費用がかかります。

あなた自身でどのような老後の暮らしを送るかをイメージして、自分自身の老後資金の目標額を設定しましょう。

参考)金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2019)」

高齢期はどう生活費を捻出している?

では、老後における生活資金源はどうなっているかも見ておきましょう。
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2019)」によると、60代では、多い順に「公的年金」、「就業」、「企業年金、個人年金、保険金」、「金融資産の取り崩し」となっています。2人以上世帯では半数弱、単身世帯では3人に1人強の人が働いています。

70歳以上は2人以上世帯しかデータがないのですが、60代と少し違い、「公的年金」、「金融資産の取り崩し」、「企業年金、個人年金、保険金」、「就業」と続きます。70歳以上でも5人に1人は働いています。

表 老後における生活資金源(複数回答)

年代 60代 70歳以上
世帯 2人以上 単身 2人以上
公的年金 86.8% 78.1% 89.9%
就業 45.8% 36.0% 20.1%
企業年金、個人年金、保険金 37.1% 32.0% 26.1%
金融資産の取り崩し 30.2% 27.5% 26.9%
利子配当所得 2.6% 10.0% 4.2%
不動産収入 7.6% 4.8% 8.4%
子供などからの援助 4.3% 1.7% 5.5%
公的援助 3.6% 10.2% 4.3%

出典:金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査(2019)」より作成 
※70歳以上は単身世帯のデータなし

老後資金の“最後の砦”が不動産活用

 
前述の老後資金の目標額には、実は不動産の資産価値は含まれていません。持ち家の人は金融資産だけでなく、「不動産」という資産もあるわけです。そして、この不動産が老後資金の“最後の砦”になる可能性も秘めています。

老後資金、特に介護資金などで不動産を活用する方法には次のようなものがあります。不動産の立地や評価額によって、利用できない場合もあります。

リバースモーゲージを利用する

「リバースモーゲージ」とは、自宅に住み続けながら、自宅を担保に毎月の生活費を借りる仕組みです。一時金や、枠内で自由に借りるタイプもあります。首都圏に限定されていることが多く、一定評価額以上の戸建てが中心。また、条件として相続人全員の同意や連帯保証人を求められることもあります。

リースバックを利用する

「リースバック」とは、自宅をリースバック会社に売却し、売却代金を受け取る一方で、買主にリース料を支払って自宅に住み続ける仕組みです。売却代金は一時金で受け取れます。物件は主要都市に限られ、最低価額が設けられていることもあります。引っ越しをせずに住み続けられる点が大きな特徴。リースバック会社によって条件などが異なります。

不動産担保ローンで借りる

不動産担保ローンとは、不動産を担保にお金を借りることです。戸建て、マンションとも対象ですが、主要都市に限る金融機関が多いようです。金融機関によっては本人名義の物件だけでなく、配偶者や親名義でも担保にできるところもあります。比較的低金利で借りられます。

自宅を売却する

自宅を売却することで有料老人ホームの入居金に充てる、老後資金の不足分を補うなど、売却代金を活用できます。売却後の住まいがない場合は、住まいをどうするかという問題が残ります。

賃貸に出す

自宅を賃貸に出すことで、収入を得ることもできます。リフォーム費用などをかけても、空室リスクがある点に注意。また、こちらも売却する場合と同様に、住まいをどうするかという問題が残ります。

老後への備えとして、わが家の住まいを点検し、将来、どのような活用の選択肢が使えるのか、あるいは使えないのかなども知っておくといいでしょう。それも老後資金準備の一環と言えます。

執筆者紹介

豊田 眞弓( Mayumi Toyoda )
マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。
個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。
<主な著書>
「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。

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