公開日:2025.07.30
フラット35は、住宅金融支援機構が提供する全期間固定金利の住宅ローンです。本審査に落ちる確率は公表されていませんが、審査に落ちやすい人の傾向は把握することができます。
この記事では、フラット35の主な審査基準と本審査に落ちやすい人の特徴、落ちた場合の対策を紹介します。
フラット35は、申込者の収入や信用情報、購入する物件によって本審査で否決になることがあります。まずはフラット35の主な審査基準についてみていきましょう。
フラット35は、申し込み時の年齢が満70歳未満の人が対象です。ただし、親子リレー返済を利用する場合は満70歳以上でも申し込みできます。親子リレー返済とは、申込者本人とその子・孫などの後継者が2世代でローンを返済していく制度です。
収入状況は、年収に応じて総返済負担率の基準が定められています。総返済負担率とは、年収に占める年間合計返済額の割合で、フラット35以外の住宅ローンや自動車ローン、教育ローン、カードローンなどの返済額も含めて計算します。
年収は、原則として申込年度の前年の収入で確認されます。会社員は給与収入金額、自営業者などは事業所得や不動産所得などを合計した所得金額をもとに判断します。
信用情報は、申込者の返済能力を判断するために確認されます。金融機関は、税金や他のローンの滞納などがないかを確認します。クレジットカードやローンの滞納歴が信用情報に記録されていると返済能力を問題視され、審査に通過しにくくなる恐れがあります。
フラット35の資金使途は、申込者本人またはその親族が居住する新築住宅の建設や購入、中古住宅の購入に限定されます。第三者への賃貸を目的とした投資用物件、店舗・事務所用の物件などの取得資金には利用できません。
フラット35は、住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅が対象です。例えば、住宅規模の基準では、床面積は戸建てが70㎡以上、マンションが30㎡以上と定められています。また、基準を満たしていることを証明するために、物件検査をして適合証明書を取得しなくてはなりません。
フラット35の主な審査基準をまとめると下記のとおりです。
主な審査基準 | |
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年齢・国籍 |
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収入と返済負担率 |
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信用情報 |
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資金使途 |
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新築住宅の主な技術基準 |
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フラット35の主な審査基準を踏まえ、本審査に落ちやすい人の特徴も見ていきます。
フラット35は、勤続年数の最低期間を定めていないため、転職して間もないケースでも収入があれば申し込みは可能です。ただし、転職して数ヵ月など、勤続年数があまりに短い場合は「継続した安定収入がない」と判断されることがあります。
フラット35の審査基準である総返済負担率は、すべての借り入れを含めて計算されます。すでに自動車ローンやカードローンなどの借り入れがある場合は、総返済負担率が高くなり、本審査に影響が出ることがあります。
フラット35は、一定の要件を満たせば頭金・自己資金なしでも借り入れが可能です。ただし、金利は高めに設定され、審査が厳しくなることがあります。
住宅ローンの審査では、物件の担保評価も重要視されます。フラット35の技術基準はクリアしていても、築年数が古い物件や立地が悪い物件は担保価値が低く見積もられ、審査に影響を与えることがあります。
フラット35の本審査に落ちた場合は、以下の対策を検討しましょう。
住宅ローン審査において、金融機関は申込者の支払能力を調査するために、信用情報機関に照会をします。例えば信用情報機関の株式会社シー・アイ・シーは、申込情報を照会日より6か月間保有します。
申込情報に審査の可否は記載されませんが、フラット35に再度申し込む場合は、審査に落ちた理由を分析・改善したうえで、一定期間をあけてから申請しましょう。
出典)株式会社シー・アイ・シー「信用情報早わかり!」
配偶者などに収入がある場合は、ペアローンや収入合算を利用することが可能です。ペアローンとは、1つの物件に対して、夫婦・親子・パートナーなどがそれぞれ主たる債務者となって住宅ローンを組む方法です。一方収入合算とは、申込者本人の収入に、配偶者や親子の収入を合算して住宅ローンを組む方法です。
ペアローンや収入合算を活用することで、単独で住宅ローンを組むよりも借入可能額を増やせるため、審査に通過しやすくなります。
担保評価の低さが原因で本審査に落ちた場合は、別の物件を購入することで解決できるかもしれません。新築物件や立地のよい中古物件などを選択すれば担保評価が上がることもあります。
住宅ローンの審査基準は金融機関によって異なります。フラット35の審査に不安を感じている人や、審査に落ちた人は、ノンバンクの住宅ローンの利用を選択肢に加えておくとよいでしょう。
ノンバンクの住宅ローンは、銀行の住宅ローンと比べて、独自の審査基準を設けて柔軟性が高い傾向があります。ただし、銀行に比べて金利が高めに設定されていることには注意が必要です。
フラット35の本審査では、申込者の収入状況や信用情報、物件の担保評価など、さまざまな要素が総合的に判断されます。そのため、審査に落ちやすい人には一定の傾向が見られます。しかし、そのすべてがすぐに改善できるとは限りません。
どうしても購入したい物件がある場合は、たとえ審査に落ちたとしても、冷静に原因を分析し、前向きに対策を進めることが重要です。
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