リースバックは、自宅を売却した後も同じ家に住み続けられるサービスです。売却先であるリースバック運営会社と賃貸借契約を締結しますが、契約の種類によって退去の条件が変わります。リースバックの賃貸借契約では、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
今回は、リースバックにおける賃貸借契約の種類と退去について詳しく解説します。
リースバックにおける契約は、「不動産売買契約」と「賃貸借契約」の2つに分かれます。
自宅を売却する際は、運営会社と不動産売買契約を締結して手続きを進めます。売却後にリースバック運営会社との賃貸借契約が成立すると賃貸が開始され、家賃を払うことで引き続き同じ家に住み続けられます。
リースバックの賃貸借契約は、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類があります。どちらも契約期間が定められていますが、普通借家契約は借主であるリースバックの利用者が希望すれば契約更新が可能です。一方、定期借家契約は更新がなく、再契約するためには運営会社の合意が必要となります。
リースバックによる賃貸借契約は一般的な賃貸借契約と基本的には同じです。そのため、引っ越しなどで退去したい場合には、貸主であるリースバック運営会社に申し出をすることで問題なく退去できます。どれくらい前に申し出ればよいかは契約内容によって異なるため、契約時に確認しておきましょう。
また、賃貸借契約の継続については希望の有無にかかわらず、ずっと住み続けられるとは限りません。状況によっては、運営会社の都合で強制的に退去させられる可能性もあります。強制退去の理由として以下3つが考えられます。
それぞれ詳しく確認していきましょう。
賃貸借契約に違反し、運営会社との関係が悪化すれば強制退去の可能性があります。運営会社が裁判所へ強制退去を申し立て、請求が認められれば退去しなくてはなりません。
契約違反は長期間の家賃滞納、近隣への騒音や悪臭、ペットによるトラブル、運営会社に無断で転貸するといったケースが考えられます。
普通借家契約であれば、契約期間が満了しても利用者が契約更新を希望すれば引き続き住み続けられます。しかし、定期借家契約の場合は、運営会社と利用者の双方が合意できなければ再契約できません。そのため、運営会社が再契約を認めなければ退去する必要があります。
賃貸物件の所有者である運営会社は、建物の瑕疵や修繕義務の違反により、入居者がケガをしたというような場合には賠償する責任があります。
瑕疵とは、普通なら備えているはずの品質や性能を満たしておらず、何らかの欠陥があることです。所有している建物の瑕疵が原因で何らかの損害を与えた場合、運営会社はその損害を賠償しなくてはなりません。
そのため、経年劣化により建物が老朽化し、隣家に被害が及ぶ恐れがある場合などは、利用者に退去するよう申し出ることができます。
リースバックでは、退去時に現金を払うことをうたっている運営会社もあります。「引っ越しサポート費用」など、その名目は会社よってさまざまです。
「退去時に現金を払う」と説明された場合は、「対象期間」「支払金額」といった条件が契約書に明記されているかを必ず確認しておきましょう。
ここでは、リースバックの退去に関するよくある質問とその回答を紹介します。
リースバックで利用者が死亡した場合、その賃貸借契約は相続の対象です。そのため、親族が賃貸借契約を相続した場合は、そのまま住み続けることが可能です。
運営会社が変わっても退去する必要はありません。賃貸借契約は新しい所有者に引き継がれ、賃貸人が変わるだけです。ただし、定期借家契約の場合は、これまでと同様に再契約を断られるリスクがあります。
退去時に費用が発生するかどうかは、リースバック運営会社によって異なります。通常は、契約書に退去時の費用について記載されています。賃貸借契約を締結する際に、退去時の費用の有無や内容を確認しておきましょう。
また、退去に伴い転居先の賃貸物件を探す場合は、新居を借りる際の初期費用(敷金、礼金、仲介手数料など)や引っ越し費用がかかります。ある程度まとまった資金を準備しておくと安心です。
運営会社は退去後に物件を売却するため、基本的に退去後の買戻しはできません。交渉次第ではできるかもしれませんが、「買戻しはできない」と考えておくほうがいいでしょう。
リースバックで売却した自宅の買戻しを想定している場合は、事前に買戻し条件を確認したうえで退去前に申し出ることが大切です。
リースバックは自宅を売却してまとまった資金を手に入れた後も、家賃を払うことで同じ家に住み続けられるのがメリットです。
しかし、定期借家契約の場合は再契約が認められず、退去となるリスクがあります。普通借家契約でも、契約違反や建物の老朽化などの理由で退去せざるを得ないケースもあります。リースバックを利用する前に、賃貸借契約の種類や退去について理解を深めておきましょう。
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