金融/不動産知恵袋

不動産の「抵当権」とは? 内容から手続きまで――不動産担保の基礎知識(2)

ローンの担保として最も利用されているのが不動産です。不動産は土地と、その土地の上に存在している建物から成っていますが、ローンの担保とするためには、「抵当権」を設定しなければなりません。今回は、この抵当権と、混同しやすい「根抵当権」について、お話をします。

「抵当権」の抹消は自分で行う必要がある

抵当権とは、金融機関が融資をする際、ローンを借りる人(=債務者)が所有する不動産に設定をする権利のことです。その権利とは、債務者がローンの返済ができなくなったときに、融資をした金融機関(=債権者)が不動産を競売にかけて、売却代金から優先的に返済を受けられる、というものです(ただし、法律上では、お金を借りる債務者が「抵当権設定者」と呼ばれ、お金を貸す債権者が「抵当権者」と呼ばれます)。

実際の手続きは法務局が行っており、不動産の登記簿に抵当権を登記することで設定が完了します。登記すべき内容には、おもに①債権額、②債権の内容、③債権者・債務者、④利息、⑤損害金等の5つがあります。

また、登記をするには「登録免許税」がかかり、その税額は融資額に0.4%の税率を掛けたものになります。融資額が1,000万円であれば登録免許税は4万円になる計算です。なお、このほかの費用としては、「抵当権設定契約書」に貼る収入印紙代や、手続きを代行する司法書士に支払う報酬などがあります。

抵当権が設定されても、所有者はその不動産を使用することができます。住居として使っていれば住み続けることができますし、賃貸物件として使っていれば、家賃収入などを得ることができます。

また、抵当権が設定されている不動産であっても、相続の対象になります。相続の際には、通常の不動産と同じように相続税が課税されます。このとき、抵当権が設定されているからといって、不動産自体の相続税の評価額が下がる、といったことはありません。ただし、抵当権の債権額(=ローン)が残っていれば、相続をする財産の全体から債権額を差し引くことになります。

「抵当権」の抹消は自分で行う必要がある

ローンの返済が終了すれば、金融機関が有する抵当権の権利は無くなります。しかし、抵当権を抹消する手続きをとらないと、登記簿には抵当権が記載されたままになります。抵当権が残ったままだと、その不動産を売却するときなど、支障が生じる可能性があるので、速やかに抹消の手続きを取った方がよいでしょう。

抵当権の抹消は、法律上の抵当権設定者である、ローンを借りた人が自分で行います。抹消の手続きについても、法務局で登記簿に「抹消したこと」を登記することが必要です。この手続きにも登録免許税がかかり、税額は不動産1件につき1,000円です。したがって、土地と建物の抵当権を抹消するには合計で2,000円になります。なお、手続きは、司法書士に代行を依頼することが一般的ですが、抹消の手続きは抵当権の設定に比べると簡単なので、自分で行うこともできるでしょう。

「根抵当権」はコストの削減につながる

次は、根抵当権(「ねていとうけん」と読みます)について。根抵当権は抵当権の一種です。債務者がローンの返済ができなくなったときに、担保としている不動産を競売にかけて、その売却代金から優先的に返済を受けられるところは、抵当権と同じです。違う点は、抵当権は〝特定〟の債権にのみ有効であるのに対して、根抵当権は〝不特定〟の債権にも有効になるところです。

抵当権は1つのローン契約にのみ有効なので、そのローンが完済されれば権利は消滅します。一方、根抵当権に基づいた契約は、あらかじめ融資をする金額の上限を決めておいて、その範囲内で〝何回でも〟融資ができるようになります。したがって、根抵当権が設定されれば、1つのローンが終了しても根抵当権は消滅しません。権利は残ったままになります。

このように説明をすると、債務者にとっては、抵当権よりも不利な権利であるようにみえるかもしれません。しかし、不動産担保ローンのように、複数回借りる可能性のあるものについては、根抵当権を設定しておくことによって、融資のたびに登記の手続きをして抵当権を設定する、ということが避けられます。これは手間と費用(登録免許税や収入印紙代、司法書士への報酬など)の省略につながるのです。

「根抵当権」では「極度額」が設定される

実際の手続き他は、抵当権とほぼ同じと考えてよいのですが、登記簿に登記する内容に違いがある点には留意しましょう。根抵当権の場合、おもに登記するのは、①極度額、②債権の範囲、③債務者・債権者等の3点です。この中では、①の極度額が重要です。

根抵当権の極度額とは、根抵当権を設定するときに定められる担保の限度額です。あらかじめ融資額の限度決めておいて、その範囲内なら、何回でも融資ができるわけです。例えば、極度額が3,000万円であれば、最初に1,000万円を借り、その返済が終了する前に、追加で1,000万円を借りる、といったことが可能です。その追加で融資を受ける際、わざわざ手間と費用をかけて法務局で手続きをする必要はありません。

なお、根抵当権は、債務者と債権者の合意があれば抹消をすることができます。事業の運転資金を借りる場合、追加融資を受けることは珍しくありません。そうしたケースでは、融資を受ける側にとって、根抵当権は使い勝手がよいといえるでしょう。

 

▼シリーズ「不動産担保の基礎知識」の記事一覧

・第1回:融資における担保の種類
・第2回:不動産の「抵当権」とは? 内容から手続きまで
・第3回:「用途」からみた土地の種類
・第4回:権利関係からみた不動産の分類について

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