住宅ローンは30年と35年どちらにすべき?返済額や完済年齢から比較

公開日:2025.10.22

住宅ローンを検討する際、「30年」と「35年」のどちらの返済期間を選ぶべきか迷う方は多いのではないでしょうか。毎月の返済額や総返済額、完済時の年齢などを比較し、自分のライフプランに合った期間を選ぶことが大切です。

この記事では、30年ローンと35年ローンの違いをわかりやすく解説し、選び方のポイントを具体的にご紹介します。

返済期間35年で住宅ローンを組む人が多い

住宅ローンは30年と35年どちらにすべき?返済額や完済年齢から比較

住宅金融支援機構の「住宅ローン利用者の実態調査」によると、返済期間「30年超~35年以内」を選ぶ人が全体の45.8%と最も多く、次に多い「35年超~40年以内」でも18.4%にとどまっています。一方、「25年超~30年以内」は8.5%と少数派であり、35年ローンを選ぶ人が圧倒的に多いことがわかります。

これはあくまで「年数の範囲」での集計ですが、30年よりも長い返済期間を選ぶ傾向が強いことは明らかです。

返済期間割合
10年以内3.6%
10年超~15年以内3.7%
15年超~20年以内6.3%
20年超~25年以内6.6%
25年超~30年以内8.5%
30年超~35年以内45.8%
35年超~40年以内18.4%
40年超~50年以内7.1%

出典)住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査 p.5

住宅の種類ごとの返済期間の傾向

国土交通省の「住宅市場動向調査」によると、住宅の種類によって平均返済期間に差があることがわかります。

住宅の種類平均返済期間
注文住宅(建築)33.9年
注文住宅(土地)35.6年
分譲戸建住宅30.9年
分譲集合住宅28.2年
既存(中古)戸建住宅25.5年
既存(中古)集合住宅27.7年
リフォーム住宅12.3年

出典)国土交通省「住宅市場動向調査 p.53

注文住宅は土地の購入が先行し、建築費が高額になりやすいため、返済期間が長くなる傾向があります。一方で、リフォーム住宅を含む中古住宅は購入費用を抑えられるため、短期間での返済が多いようです。

住宅ローンの返済額は30年と35年でどう変わる?

借入金額4,000万円と6,000万円のケースで、「元利均等返済、ボーナス払いなし」の条件で返済シミュレーションを行うと、以下のようになります。

毎月の返済額

毎月の返済額がどれくらい変化するか確認しましょう。

借入金額4,000万円の場合(元利均等返済・ボーナス払いなし)

適用金利30年ローン(月額)35年ローン(月額)月額差
0.5%119,675円103,834円▲15,841円
1.0%128,655円112,914円▲15,741円
1.5%138,048円122,473円▲15,575円
2.0%147,847円132,505円▲15,342円

借入金額6,000万円の場合(元利均等返済・ボーナス払いなし)

適用金利30年ローン(月額)35年ローン(月額)月額差
0.5%179,513円155,751円▲23,762円
1.0%192,983円169,371円▲23,612円
1.5%207,072円183,710円▲23,362円
2.0%221,771円198,757円▲23,014円

出典)住宅保証機構株式会社「返済額の試算」をもとに筆者作成。

返済期間を30年から35年に延ばすと、月々の返済額は軽減されます。借入金額が4,000万円の場合15,000円強、6,000万円の場合23,000円強と、借り入れが大きいほど月々の差額も増え、家計の負担を抑える効果があります。

総返済額

次に同様の条件で総返済額がどれくらい変化するかを確認しましょう。

借入金額4,000万円の場合(元利均等返済・ボーナス払いなし)

適用金利30年ローン(総返済額)35年ローン(総返済額)総返済額差
0.5%43,083,107円43,610,126円+527,019円
1.0%46,315,920円47,423,753円+1,107,833円
1.5%49,697,092円51,438,816円+1,741,724円
2.0%53,225,058円55,651,862円+2,426,804円

借入金額6,000万円の場合(元利均等返済・ボーナス払いなし)

適用金利30年ローン(総返済額)35年ローン(総返済額)総返済額差
0.5%64,624,757円65,415,305円+790,548円
1.0%69,473,978円71,135,774円+1,661,796円
1.5%74,545,747円77,158,299円+2,612,552円
2.0%79,837,661円83,478,019円+3,640,358円

出典)住宅保証機構株式会社「返済額の試算」をもとに筆者作成。

借入金額4,000万円では、金利2.0%の場合で約240万円、6,000万円では約364万円の差が生じます。借入金額の差も当然ながら、金利が高いほど差額は顕著に大きくなります。

このように長期にわたる住宅ローンでは、「毎月の返済額の減少」と「総返済額の増加」のバランスをどう取るかが重要になります。

住宅ローンの返済期間を決める4つのチェックポイント

住宅ローンの返済期間は、月々の支払いだけでなく、将来のライフプランにも大きく影響します。以下の4つの視点から、自分に合った返済期間を見極めましょう。

1. 完済時年齢

金融機関で設定されている住宅ローンの年齢制限(完済時年齢)は、75~80歳が一般的です。定年(65歳)までに完済したい場合は、現在の年齢から逆算して返済期間を設定するのがポイントです。たとえば、現在30歳なら35年ローン、35歳なら30年ローンを組むことで、定年までに完済可能です。

なお、35歳で35年ローンを組んだとしても、計画的に繰り上げ返済を活用することで、定年時に住宅ローンを完済するプランを立ててもいいでしょう。

2. 毎月の返済額と金利タイプ

返済期間が長くなるほど、毎月の返済額は少なくなります。ただし、長期のローンでは金利変動の影響を受けやすくなるため、金利タイプの選択が重要です。フラット35などの全期間固定金利なら毎月の返済額が固定され、変動金利なら金利次第で返済額が変動するため、将来的なリスクを抱えます。

3. 総返済額

同じ借入金額でも、返済期間が長くなるほど利息の支払いが増え、総返済額が高くなります。金利や借入金額によっては、30年と35年で数百万円の差が生じることもあるため、慎重な比較が必要です。

4. 収入の安定性とライフイベントとのバランス

長期にわたる住宅ローンでは、安定した収入が欠かせません。以下のようなライフイベントも踏まえて、無理のない返済期間を設定しましょう。
・転職・独立・退職などの収入変化
・教育費・車の買い替え・老後資金などの支出
・将来の資産形成や貯蓄とのバランス

返済期間を長めに設定することで、毎月の負担を軽減し、他の支出に余裕を持たせる選択も可能です。

住宅ローンの返済期間は後から変更できる?

住宅ローンの返済期間は、契約時に決定するのが基本です。しかし、ライフスタイルや収入状況の変化に応じて、借入後でも返済期間を調整できるケースがあります。ここでは、主な2つの方法をご紹介します。

返済期間を延長する方法

収入の減少や支出の増加などで返済が厳しくなった場合、返済期間の延長を相談できる金融機関もあります。たとえば、【フラット35】では、返済中の金融機関にて返済期間の延長に関する相談を受け付けています。事前に制度の有無や条件を確認しておくことで、万が一のときにも安心です。

出典)【フラット35】「月々の返済でお困りになったときは

繰り上げ返済で期間を短縮する方法

手元資金に余裕がある場合は、繰り上げ返済によって返済期間を短縮することが可能です。繰り上げ返済には、以下の2つのタイプがあります。

期間短縮型返済期間を短くすることで、利息の支払いを減らす効果が大きいタイプです。総返済額を減らしたい人に向いています。
返済額軽減型返済期間はそのままで、毎月の返済額を減らすタイプです。月々の負担を軽くしたい人に向いています。

まとめ

住宅ローンの返済期間は、30年と35年で毎月の返済額や総返済額に大きな違いが生じます。どちらを選ぶべきか迷ったときは、金利や借入金額によるシミュレーションをしながら、収入の安定性や将来のライフイベントも踏まえて判断することが大切です。

また、返済期間は契約後でも延長や繰り上げ返済によって調整できる場合があるため、柔軟な選択肢があることも知っておきましょう。自分のライフプランに合った返済期間を選ぶことが、安心して住宅ローンを返済していく第一歩です。

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執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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