公開日:2025.07.09
住宅ローンを組むには、金融機関の審査に通過する必要があります。住宅ローンで審査されるとき、申込者に税金滞納があるとどのような影響があるのでしょうか。
この記事では、税金滞納が住宅ローンの審査に与える影響と対策について解説します。
税金滞納とは、納税義務者が法定の納期限までに税金を納めなかった状態を指します。税金を納期限までに支払わない場合、財産の差し押さえなどの滞納処分が科される恐れがあります。
税金を滞納していても、必ずしも住宅ローンの審査に通らないわけではありません。しかし、審査のハードルが高くなると考えておくべきでしょう。金融機関は申込者の返済能力を重視するため、税金の滞納があると「返済能力に問題がある」と判断されやすくなります。
また、金融機関は申込者に納税証明書の提出を求めるなどして、国税や地方税の納税状況を確認します。そのため、税金を滞納している場合は金融機関に知られることになり、一般的に住宅ローンの審査に通るのが難しいといわれています。
さらに、税金以外にもローンや社会保険料の滞納にも注意が必要です。ローン返済の延滞は信用情報に記録されるほか、健康保険料や年金保険料などの社会保険料を滞納している場合も、返済能力に問題があるとみなされることがあります。
前述のとおり、住宅ローンの申し込み時には、納税証明書の提出を求められることがあります。会社員と個人事業主(自営業者)では、求められる書類が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
会社員の場合、所得税や住民税は給与や賞与から源泉徴収されるため、納税状況を証明する書類として源泉徴収票や住民税決定通知書を提出します。
一方、個人事業主(自営業者)は、自身で納税手続きを行う必要があるため、確定申告書や住民税納税証明書、納税証明書「その1・その2」など、会社員よりも多くの書類を準備する必要があります。
税金は、以下のように課税主体によって対象税目や納税証明書の申請窓口が異なります。
課税主体 | 対象税目 | 申請窓口 |
---|---|---|
国 | 所得税、法人税、相続税、贈与税、消費税 など | 税務署 |
都道府県 | 住民税(県民税)、事業税、自動車税、不動産取得税 など | 都道府県税事務所 |
市区町村 | 住民税(市民税)、固定資産税・都市計画税、軽自動車税 など | 市区町村役場 |
もし、税金を滞納した状態で住宅ローンを組むことを検討しているのであれば、まずは税金滞納の解消を最優先に考えましょう。
最も確実な方法は、滞納している税金を一括で支払うことです。支払いの余裕がある場合は、速やかに納税手続きを進めるのが理想です。一方で、すぐに全額を支払うのが難しい場合でも、決して放置をせず、管轄の税務署や市区町村の窓口などに相談しましょう。
支払いが困難と認められる事情があれば、分割納付が認められることがあります。また、状況によっては、財産の差押え猶予や延滞税の免除が認められる可能性もあるため、早めの相談が重要です。
住宅ローン返済中に税金を滞納すると、重大な影響を及ぼすこともあるため、注意が必要です。税金を納期限までに支払わなかった場合、督促状が送付されます。一般的に、国税は納期限から50日以内、地方税は20日以内に督促状が発布されるのが原則です。
督促状が届いても納付しない場合、税務署や自治体から電話や訪問、文書による催告が行われます。滞納を放置すると財産の差し押さえなどの措置が取られることもあるため、早めに対応することが重要です。
出典)国税庁「第1編、第2章、第2節、督促」
法律の規定に基づき、納税者の所轄税務署の徴収職員は、本人の同意を得ることなく金融機関や勤務先、生命保険会社などに財産調査を行うことが可能です。調査の結果、預貯金や生命保険、自動車、給与、さらには住宅ローンで購入した不動産などの財産が差し押さえの対象となることがあります。
税金滞納がある場合、金融機関から返済能力に問題があると判断されることが多く、住宅ローンの審査に通るのが難しくなるといわれています。ただし、滞納があるからといって必ず審査に落ちるわけではなく、条件次第ではローンを組めることもあります。
しかし、税金の滞納を抱えたまま住宅ローンを組むと、返済計画が不安定になりやすく、将来的な支払いに影響を及ぼすことも考えられます。特に、税金の滞納だけでなく住宅ローンの延滞が発生すると、個人信用情報に記録され、希望する条件での借り入れが難しくなるリスクもあります。
そのため、住宅ローンを申し込む前に、まずは税金の滞納を解消することを優先し、無理のない資金計画を立てることが重要です。安定した返済ができる状況を整えることで、住宅ローンを計画的に返済できる基盤を築くことができます。
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