全日本不動産協会(全日)とは?全宅連との違いや事業者の入会メリット

公開日:2026.06.03

宅地建物取引業者(以下、事業者)が入会する業界団体としては、全日本不動産協会(以下、全日)と全国宅地建物取引業協会連合会(以下、全宅連)が代表的です。

事業者が開業する際は、保証協会との関係上、いずれかの業界団体へ入会するケースが一般的です。開業後の事業運営を円滑に進めるためにも、それぞれの特徴を理解したうえで、自分に合った団体を選ぶことが重要です。

また、消費者としても業界団体の会員である事業者と取引することでメリットもあります。

この記事では、全日と全宅連との違いや事業者および消費者としてのメリットを整理したうえで、今回は全日の基本概要や入会手続きの流れをわかりやすく解説します。

※本記事で紹介している『全日ローンコンシェルジュ』は、全日とSBIアルヒ株式会社・SBIエステートファイナンス株式会社の提携によるサービスです。

全日全宅連
シンボルマークうさぎマークハトマーク
加盟数約3万7,000社約10万社
特徴開業支援や会員向けシステムなど、
実務面のサポートに特徴
会員数が多く地域ネットワークの
広さが特徴

全日本不動産協会(全日)の基本概要と保証協会の役割

全日本不動産協会とは

今回は、全日の基本概要を確認します。

シンボルマーク「うさぎ」に込められた理念と安心感

全日は、1952年に建設大臣(現在の国土交通大臣)の許可を受けて設立された不動産業界団体です。2013年からは内閣総理大臣認定の公益社団法人として活動を開始しました。宅建業の健全な発展を目指し、全国規模で活動しています。

全日は会員事業者に対する研修や情報提供を通じて、適正な不動産取引の推進や不動産流通の円滑化を支援しています。

また、全日のシンボルマークは情報を的確にキャッチする耳、未来を見る眼、躍進するジャンプ力ある足を備えた「うさぎ」です。

オレンジ色は明るい未来を、緑色は豊かな大地と自然を表現されています。

変化の多い不動産業界において、「法改正や市場動向を的確に捉えながら事業成長を目指す」という理念を表現したシンボルマークといえます。

消費者としては、事業者が全日の会員であることを「うさぎ」のシンボルマークで識別できます。

出典)公益社団法人 全日本不動産協会「協会シンボルマークとラビーちゃんについて」

宅建業の必須インフラ「レインズ(REINS)」の利用

事業者が全日や全宅連に加盟することで、「レインズ(REINS)」や大手民間ポータルサイトとの連携機能などを利用でき、営業活動の効率化を実現できます。

レインズは、国土交通大臣から指定を受けた「不動産流通機構」の運営する物件情報や取引事例の不動産業者間におけるスムーズな共有が可能なシステムです。消費者としてもレインズを有効活用できる事業者であれば効率的な取引が期待できます。

出典)公益財団法人 東日本不動産流通機構 東日本レインズ「レインズってなに?」

最新法令に対応した契約書式のダウンロード機能

全日および全宅連では、最新法令に対応した契約書式を会員事業者向けに提供しています。民法改正や宅建業法改正などが行われた際には最新法令に対応した書式を使用する必要があります。全日や全宅連の会員になることで必要な書式をダウンロードできるため、法改正対応の負担軽減につながります。

「全日 書式」や「全宅連 書式」と検索される背景には、このような実務対応へのニーズがあります。

特に独立開業直後は、契約書作成や条項確認に不安を感じるケースが想定されるため、最新の法令に対応した契約書式を利用できる点は、事業者にとって実務上の安心材料といえます。

宅地建物取引業保証協会の役割と入会メリット

事業者は、宅建業法の規定に基づく「宅地建物取引業保証協会(以下、保証協会)」にも入会することが一般的です。全日に入会した場合は、「不動産保証協会」に入会することになります。この「不動産保証協会」は、全日を母体として設立された保証協会です。各種保証制度を実施し、消費者保護を推進するとともに、宅建業法の適正な運営と取引の公正を確保することを目的として活動しています。

全宅連に入会した場合は、「全国宅地建物取引業保証協会」に入会することになります。

保証協会・事業者・消費者の関係図
保証協会・事業者・消費者の関係図

※住まいとお金の知恵袋編集部作成

保証協会に入会し弁済業務保証金分担金を納付することで、事業者は営業保証金の供託が免除されるメリットがあります。その他、研修や講演を受講することができ、法改正の最新情報などを把握することができます。

消費者としても保証協会に入会した事業者と取引するメリットがあります。

例えば、不動産の売買契約時に「手付金」を事業者に預けることがあります。万が一、契約直後に事業者が倒産するなど不測の事態で手付金が返還されない場合において、損害額の還付にかかる弁済業務の対応を保証協会に申請することができます。

全日本不動産協会(全日)と全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)の違い

次に、事業者から見た全日と全宅連の違いを確認していきます。

組織規模の比較

全日の会員数は約3万7,000社で、全宅連と比較すると規模は小さいものの、全国本部の方針に基づき各都道府県の地方本部が運営され、全国で統一的な運営が実施しやすい体制といえます。

全宅連は、全日と同様に公益社団法人として不動産業界の健全化を目的に活動している不動産業界団体です。全国47都道府県の宅建協会を傘下にもつ連合会組織で、約10万社が加盟する最大規模の団体です。

また、全宅連のシンボルマークは「ハト」です。
2羽のハトは、全国10万社にのぼるグループ会員と、その先にいる地域の人々が、ともに繁栄し同じ方向を向いて未来へ進んでいくことを表現しています。

色については、太陽を象徴する赤、大地を表す緑、そして取引の公正を意味する白として表現しています。

消費者としては、事業者が全宅連の会員であることを「ハト」のシンボルマークで識別できます。

出典)公益社団法人 全国宅地建物取引業協会連合会「新しくなったハトマークのご紹介」

入会費用・ランニングコストは全日が抑えやすい傾向

全日、全宅連いずれも入会費や年会費などのランニングコストがかかります。また、それぞれ入会する保証協会や関連団体が指定されており、それらの入会金などでも差が生じます。

金額は各都道府県によって異なるため、各地域の窓口で確認する必要がありますが、全日のほうが全宅連よりも費用負担を抑えやすい傾向にあります。

以下は、東京都の場合を比較した表です。

<入会時の諸費用(本店(主たる事務所)・東京都の場合)>

全日全宅連
入会金465,000円500,000円
入会金(保証協会)80,000円200,000円
弁済業務保証金分担金600,000円600,000円
年会費43,200円48,000円
年会費(保証協会)9,000円6,000円
その他費用(関連団体の入会金・年会費等)134,800円201,000円
合計1,332,000円1,555,000円

出典)全日本不動産協会 東京都本部「入会金について」

出典)東京都宅地建物取引業協会「入会メリット」

※2026年5月時点の金額です。減額キャンペーンなどは反映していません。最新の費用は各協会の公式ホームページなどをご確認ください。

※年会費は入会月によって月割り計算により変動することがあります。

なお、入会するタイミングによっては、諸費用減額などのキャンペーンが実施されているため、入会を検討する際はキャンペーンを調査することをおすすめします。

全日本不動産協会(全日)に入会する独自の2つのメリット

全日に入会する独自のメリットは主に以下の2つです。

  • 実務支援システム「ラビーネット」が提供される
  • 資金調達の情報提供や紹介サービスを受けられる

実務支援システム「ラビーネット」による業務効率化

全日では、会員事業者向け実務支援システム「ラビーネット」を提供しています。

ラビーネットでは、物件情報の登録や間取り図作成、顧客管理など、不動産実務に必要な機能が利用可能です。

開業直後は限られた人数で業務を回すケースも多いため、ITツールによる業務効率化は重要な要素といえます。

資金調達の情報提供や紹介サービスの活用

宅建業を運営する上では、事務所費用や広告宣伝費、運転資金など、まとまった資金が必要です。

全日では会員事業者向けの支援策として、融資相談窓口である「全日ローンコンシェルジュ」を通じて金融機関等との提携ローンを提供しています(※『全日ローンコンシェルジュ』は全日とSBIアルヒ株式会社・SBIエステートファイナンス株式会社の提携によるサービスです。)。

提携ローンは融資審査の通過を保証するものではありませんが、資金調達の相談先や選択肢が広がる点が特徴です。特に独立開業して間もない時期は、実績不足から資金調達に苦戦するケースも想定されるため、全日経由で情報収集や相談ができることはメリットといえます。

全日本不動産協会(全日)への入会手続きと開業時の資金計画

全日に入会する場合は、宅建業免許の取得手続きと並行して準備を進めることで、営業保証金の供託が免除されるなど開業までの流れがスムーズになります。

ここでは手続きの流れや免許証交付までの期間、供託金(弁済業務保証金分担金)の仕組みについて説明します。

全日本不動産協会(全日)への入会および開業までの基本フロー

全日への入会申し込みから営業開始までの流れは以下の通りです。

  1. 事務所の設置・開業準備
  2. 宅建業免許の申請
  3. 地方本部への入会申し込み・必要書類提出
  4. 事務所調査・入会審査
  5. 入会費用・弁済業務保証金分担金等の納付
  6. 免許証受領(営業開始)

入会申し込みから営業開始までの期間は、約1~2ヵ月が目安です。地方本部によって手続きが異なることがあるため、各地方本部のホームページなどで事前に確認しておくことが大切です。

「弁済業務保証金分担金」による初期費用の負担軽減

宅建業を営む際は、宅建業法に基づき、原則的に営業保証金として主たる事務所につき1,000万円(その他の事務所は500万円)を法務局に供託しなくてはなりません。営業保証金の目的は、不動産取引の相手方に損害が生じた場合に、その損害を弁済できるようにするためです。

しかし、全日に入会し、保証協会へ弁済業務保証金分担金として主たる事務所につき60万円(その他の事務所は30万円)を納入すると、営業保証金の供託が免除となります。開業時の経済的負担が大幅に軽減されるのは、大きなメリットといえます。

なお、宅地建物取引業保証協会(全宅連)への入会に伴い保証協会へ弁済業務保証金分担金を納入することで、同様に営業保証金の供託が免除されます。

<弁済業務保証金分担金と営業保証金の比較>

弁済業務
保証金分担金
営業保証金
制度の仕組み事業者が保証協会に入会し、
協会を通して供託する制度
事業者が直接供託する原則的な制度
直接の納付先・供託先指定の宅地建物取引業保証協会法務局
主たる事務所の負担額60万円1,000万円
その他の事務所の負担額(1事務所につき)30万円500万円
保証協会への入会必須不要
その他の主な費用上述の不動産協会の入会金、
年会費、地方本部会費などが別途必要
特になし

弁済業務保証金分担金の納入により営業保証金の供託は免除となりますが、上述の入会時の諸費用や運転資金など、開業時の資金計画を策定しておくことが重要です。

また、全日や全宅連では開業にかかるセミナーの開催なども行っているため、まずはどのような支援を実施しているか確認してみることをおすすめします。

まとめ:協会の入会は目的に合った選択を

全日は、比較的初期コストを抑えやすい傾向があり、実務・ITサポート体制も充実しています。

また、会員限定の融資相談窓口である「全日ローンコンシェルジュ」を提供している点も魅力です。

一方で、協会によって費用体系や支援内容、地域ネットワークには違いがあります。宅建業で独立開業する際は、重視したいサポート内容を踏まえて所属する協会を比較検討することが重要です。

執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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