地震保険で家財は補償される?補償範囲と加入判断のポイント

公開日:2026.01.21

地震による被害に備えるため、建物だけでなく家財補償も重要です。しかし、地震保険で家財がどこまで守られるのか、補償範囲や保険金額の仕組みを正しく理解していないと、「保険金が支払われない」という事態になりかねません。

この記事では、地震保険で補償される家財と対象外のもの、保険金額の決まり方、そして加入判断のポイントをわかりやすく解説します。地震保険の基本的な仕組みや火災保険との違いについては、以下の記事をご参考にしてください。

地震保険で家財は補償される?基本の仕組みと補償範囲

地震保険で家財は補償される?補償範囲と加入判断のポイント

地震保険は単独では契約できず、必ず火災保険とセットで加入する仕組みです。契約の形は次の3パターンから選べます。

  • 建物のみ :建物だけを補償
  • 家財のみ :家財だけを補償
  • 建物+家財:建物・家財を補償

ここで注意したいのは、建物の地震保険に加入していても家財は自動的に補償されないという点です。まずは、どのようなものが「家財」として補償対象になるのか確認しましょう。

地震保険で補償される家財の具体例

地震保険で補償される家財は、居住用建物に収容されている生活用動産(普段の生活に使う動かせるもの)です。具体的には次のようなものが対象になります。

  • 家電製品(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、パソコンなど)
  • 家具(ベッド、ソファ、タンス、食器棚など)
  • 衣類・寝具
  • 食器・調理器具

これらは日常生活に欠かせない「動かせるもの」です。逆に、キッチンや浴槽、備え付けのクローゼットなどの動かせない設備は「建物」の一部として扱われ、家財補償の対象外となります。

地震保険で補償されない家財と対象外になる理由

地震保険で補償されない家財には、次のようなものがあります。

  • 自動車・バイク(総排気量125cc以下の原動機付自転車を除く)
  • 現金や通貨類(小切手、株券、商品券など)
  • 印紙・切手
  • 高額な貴金属・宝石・骨とう品(1個または1組で30万円超)
  • データやソフトウエア(パソコン内部のデータなど)

これらが対象外となる理由は、価値の評価が難しいことや、地震による損害の確認が困難なためです。

特に注意が必要なのは「自動車」です。通常の自動車保険(車両保険)でも、地震・噴火・津波による損害は原則として補償されません。車を守るには、自動車保険に「地震・噴火・津波危険車両全損時一時金特約」などの特約を付帯する必要があります。

地震保険で補償される家財の保険金額と損害認定の仕組み

「家財が壊れたら修理代が出る」と思っている方もいるかもしれませんが、地震保険は実損払い(修理費の支払い)ではありません。保険金は、損害の程度に応じて定められた割合で支払われる仕組みです。

地震保険で補償される家財の支払基準

地震保険では、保険の対象である家財全体の時価に対する損害額の割合に応じて、次の4段階で認定されます。

損害の程度認定基準(家財全体の時価に対する損害額)支払われる保険金
全損80%以上地震保険金額の100%(時価額が限度)
大半損60%~80%未満地震保険金額の60%(時価額の60%が限度)
小半損30%~60%未満地震保険金額の30%(時価額の30%が限度)
一部損10%~30%未満地震保険金額の5%(時価額の5%が限度)

※平成29年1月1日以降保険始期の地震保険契約の場合

出典)財務省「地震保険制度の概要」をもとに筆者作成

重要なのは、「家財全体の中でどれくらいの割合が被害を受けたか」で判断されるという点です。食器や家具、家電などをカテゴリーごとに分類し、それぞれの被害状況をポイント化して算出します。

「1点だけ壊れた」では保険金が出ない理由と仕組み

地震保険は損害割合で認定されるため、家財の場合は1つだけ壊れても基準に達しない場合があります。例えば、地震により数十万円する大型テレビが壊れても、他の家財が無事なら損害割合が10%未満となり、「一部損」にも該当せず保険金は支払われません。「1点壊れたら補償される」という誤解に注意しましょう。

保険金が支払われないその他のケースと注意点

損害認定の基準以外にも、次のようなケースでは補償対象外となります。

地震発生日の翌日から10日経過後に生じた損害時間が経過すると、地震との因果関係の証明が難しくなるためです。
紛失や盗難による損害地震の混乱に乗じた盗難や、避難中の紛失は補償されません。

家財にも地震保険は必要?加入判断のポイント

建物への地震保険だけでなく、家財も補償対象にすべきかどうかは、次のポイントで判断しましょう。

生活再建に必要な自己資金を備えているか

被災後の生活では、避難費用や仮住まいの確保に加え、冷蔵庫や洗濯機、衣類などの買い直しに数十万円~百万円単位の出費が発生することもあります。これらの費用を貯蓄で賄えない場合は、家財を対象とした地震保険加入を検討しましょう。

高額な家財を所有しているか

大型家電や高級家具など、生活を構成する家財の総額が高い世帯ほど、被災時の経済的ダメージは大きくなります。家財の評価額(時価)を試算し、失った場合のインパクトを把握することが重要です。

地震保険に加入したらいくら受け取れるか

地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%~50%の範囲で設定されます(家財の上限は1,000万円)。例えば、家財の再調達価額が1,000万円の場合、火災・地震保険金額は以下のようになります。

  • 火災保険金額:1,000万円
  • 地震保険金額:最大500万円(50%設定の場合)

つまり、地震保険だけでは生活を完全に元通りにすることはできません。地震などが起きた場合に「全額は出ないが、当面の生活再建費として数百万円が下りれば助かるかどうか」という視点で判断しましょう。

まとめ

地震保険の家財補償は、被災後の生活を立て直すための重要な資金源になります。しかし、「自動車や現金は対象外」「1点だけ壊れても保険金が出ない場合がある」など、仕組みを正しく理解していないと期待した補償が受けられないこともあります。

加入を検討する際は、次の3つの視点で判断しましょう。

  • 自己資金で生活再建が可能か
  • 高額な家財を所有しているか
  • 保険金額の上限を把握したうえで、生活再建にその資金が必要か

地震保険だけで「元通りの生活」を完全に取り戻すことはできませんが、数百万円の補償があることで生活再建の負担を大きく減らせる可能性があります。ご自身の家財の量や貯蓄額を確認し、必要な備えを検討してみてください。

執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

関連キーワード