マンション管理計画認定制度とは?認定基準やメリット・デメリットを解説

2022年4月から「マンション管理計画認定制度」がスタートします。マンション管理適正化の推進を目的に創設された制度で、マンションの管理や資産価値などに影響を与える可能性があります。

本制度の開始によって、具体的にどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。今回はマンション管理計画認定制度の概要や認定基準、手続きの流れについて詳しく解説します。

マンション管理計画認定制度とは?

マンション管理計画認定制度とは、マンション管理計画が一定の基準を満たす場合に地方公共団体の認定を受けられる制度です。「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の改正により、2022年4月から開始されます。

マンションは重要な居住形態ですが、神奈川県の県土整備局によると、2020年末時点で、築40年超のマンションは103万戸あります。10年後には232万戸(約2.2倍)、20年後には405万戸(約3.9倍)に増加する見込みです。築年数が古いマンションが増加傾向にあり、維持管理には多くの課題があります。

マンション管理計画認定制度の創設は、マンション管理の適正化を推進することが目的です。マンションの管理水準を底上げするため、必要に応じて地方公共団体が管理組合に指導や助言、勧告を実施します。

なお、認定を受けることができるのは、地方公共団体が「マンション管理適正化推進計画」を作成している地域にあるマンションです。

マンション管理計画の認定基準

マンション管理計画認定制度の創設を踏まえ、2021年9月には「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な指針(管理適正化指針)」が策定されました。本指針では、管理計画認定制度の認定基準などが定められています。主な認定基準は以下の通りです。

  • 修繕その他管理の方法
  • 修繕その他の管理にかかる資金計画
  • 管理組合の運営状況
  • 管理適正化指針・市区独自の管理適正化指針に照らして適正なものであること

「長期修繕計画の計画期間が一定期間あるか」「計画に基づいて修繕積立金が設定されているか」「定期的に総会を開催しているか」といった点が審査されます。また、管理適正化指針や市区独自の指針に照らして、管理計画が適正なものであるかも判断されます。

助言・指導・勧告の判断基準の目安

地方公共団体は、管理適正化指針や市区独自の指針に基づき、必要に応じて管理組合の管理者などに助言や指導、勧告を行います。助言・指導・勧告の判断基準の目安は以下の通りです。

助言・指導・勧告の判断基準の目安

判断項目 助言・指導・勧告の判断基準の目安
管理組合の運営 管理者が定められていない
総会が開催されていない
管理規約 管理規約が存在しない
管理組合の経理 管理費と修繕積立金額が区分されていない
長期修繕計画の作成および見直し 修繕積立金が積み立てられていない
その他 組合員名簿、居住者名簿がない

上記のような状況の場合、マンション管理が不適切と判断される恐れがあります。

マンション管理計画認定制度のメリット

マンション管理計画認定制度のメリットは以下の通りです。

  • マンション管理水準の維持向上につながる
  • 市場評価・地域価値の向上が期待できる
  • 購入希望者がマンション管理状況を把握しやすくなる
  • 金利優遇を受けられる(新築の場合)

管理者や区分所有者のマンション管理に対する意識が高まり、管理水準の維持向上につながります。地方公共団体の認定を受けたマンションであることをアピールすれば、市場評価や立地している地域価値の向上も期待できるでしょう。

現在は、購入希望者がマンションの管理状況を把握するのは簡単ではありません。しかし、今後は認定の有無を確認すれば、一定の管理水準を満たしているかを把握できるようになります。

また、中古だけでなく、新築マンションにも管理計画を認定する制度が開始される予定です(予備認定)。予備認定を受けた新築マンションを取得する場合は、住宅金融支援機構の「フラット35」の金利が一定期間引き下げられます。

参考)住宅金融支援機構 「【フラット35】令和4年4月の制度変更事項のお知らせ」より

マンション管理計画認定制度のデメリット

マンション管理計画認定制度のデメリットは、マンション管理組合の事務負担が増えることです。

認定を受けるには認定申請書や長期修繕計画を作成し、必要書類を準備して地方公共団体に申請しなくてはなりません。一度認定を受けたら終わりではなく、5年ごとの更新もあります。管理水準の底上げは期待できますが、管理組合の負担は大きなものになるでしょう。

ただし、マンション管理センターによる「管理計画認定手続き支援サービス(オンライン申請)」を利用すれば、事務負担の軽減が期待できます(詳細は後述)。

マンション管理計画認定の流れ

マンション管理計画の認定申請方法は、「オンライン申請」と「窓口への直接申請」の2つがあります。オンライン申請の流れは以下の通りです。

  1. マンション管理センターへ認定申請依頼
  2. マンション管理士の事前確認
  3. 事前確認適合通知(適合証)の発行
  4. 地方公共団体へ認定申請
  5. 認定(マンション管理センターの閲覧サイトで公表)

オンライン申請でマンション管理士の事前確認を受けて適合証が発行されると、地方公共団体が審査の事務手続きを省略できる仕組みになっています。オンライン申請のほうが、申請手続きをスムーズに進められるでしょう。

窓口への直接申請は地方公共団体によって手続きの流れが異なるため、申請する地方公共団体に直接確認してください。事前確認や認定申請では手数料がかかる可能性もあるので、申請前に確認しておくことが大切です。

認定申請の必要書類

認定申請に必要な書類は以下の通りです(神奈川県の場合)。

  • 認定申請書
  • 総会議事録の写し
  • 管理規約の写し
  • 貸借対照表
  • 収支決算書
  • 各戸の修繕積立金滞納額がわかる書類
  • 長期修繕計画の写し
  • 組合員・居住者の名簿の保証書

必要書類を準備する際は、記載内容や事業年度などの諸条件を地方公共団体に確認しておきましょう。神奈川県の場合、長期修繕計画については「計画期間30年以上」「残存期間内に大規模修繕工事2回以上含まれている」といった要件があります。

まとめ

マンション管理計画認定制度を利用して地方公共団体から認定を受けると、マンションの価値向上につながるかもしれません。ただし、認定基準はマンションを適切に維持管理するうえで最低限の基準を定めているものなので、認定を受けることが必ずしも価値の向上に寄与するとは限りません。

マンション管理組合の事務負担が増えるデメリットがあり、認定制度の効果には不透明な部分もあります。認定制度創設の影響は冷静に見極める必要があるでしょう。

参考)
神奈川県県土整備局「マンション管理計画認定制度管理組合向け説明会」
国土交通省 「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針」の策定について


執筆者紹介

大西 勝士(Katsushi Onishi)
金融ライター(AFP)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで年間200本以上の記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。
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