「制度」の記事一覧

  • 登記情報提供サービスとは

    登記情報提供サービスとは?概要と利用料金を解説

    登記情報提供サービスは、インターネット上で登記情報を確認できるサービスです。法務局に行かなくても登記の内容を把握できるため、情報取得にかかる時間や手間を省けます。この記事では、登記情報提供サービスの概要と使い方、利用料金について解説します。 登記情報提供サービスとは 登記情報提供サービスとは、登記所が保有する登記情報を、インターネットを使用してパソコンの画面上で確認できる有料サービスです。提供される登記情報は以下のとおりです。 不動産登記情報(全部事項) 不動産登記情報(所有者事項) 地図情報 図面情報 商業・法人登記情報 動産譲渡登記事項概要ファイル情報及び債権譲渡登記事項概要ファイル情報 請求した時点における登記情報を、リアルタイムで表示、保存できます。さらに、照会番号の発行も行っています。照会番号とは、登記事項証明書の代わりに添付できる番号のことです。行政機関等へのオンライン申請等の際に照会番号を添付することで、登記情報提供サービスで取得した登記情報を登記事項証明書に代えて申請できます。 登記情報提供サービスを利用するには 登記情報提供サービスを利用するには、パソコンを用意して、ネットを利用できる環境を整えることが前提となります。スマートフォンやタブレットは動作が保証されておらず、非推奨となっているので注意が必要です。そのうえで、以下3つの利用方法があります。それぞれの概要について解説します。 ①一時利用 一時利用とは、申込手続(登記情報提供契約の締結)をすることなく、一時的に利用する方法です。一時利用者登録を行うと、クレジットカードの即時決済ですぐに利用できます。登記情報を請求できるのは、初回ログインを行った当日のみです。翌日以降のログインは、マイページの利用に限られます。マイページでは、利用実績や利用明細の確認ができます。 ②登録利用 登録利用とは、あらかじめ申込手続を行い、利用登録をしたうえで利用する方法です。個人と法人で、利用方法は異なります。 個人は、申込単位にひとつの利用者ID(登記情報を請求できるID)が交付されます。同一IDで同時に複数ログインはできないため、複数名で利用する場合は、利用する口数分の申し込みが必要です。申込手続は約1週間で、手続完了後は「登録完了通知書(利用者ID)」が交付されます。料金の支払いは、登記情報を請求する都度、クレジットカードで決済されます。 法人は、申込単位にひとつの「管理者ID」が交付されます。管理者IDでは、登記上の請求はできません。管理者IDでログインし、利用人数分(最大200名分)の利用者IDの登録を行います。申込手続は約1ヵ月で、手続完了後は「登録完了通知書(管理者ID)」が交付されます。料金の支払いは、月ごとに預金口座からの引き落としです。 ③公共電子確認 照会番号の提供を受けた公共機関が、オンライン申請等の確認時に使用する方法です。法人の利用登録と同じく、発行された管理者IDでログインし、利用者ID(最大200名分)の登録を行います。 登記情報提供サービスにかかる費用 登記情報提供サービスでは、「登録手数料」と「利用料金」がかかります。それぞれの内容と料金を紹介します。 登録手数料 登録利用の場合、利用区分に応じて以下の登録手数料がかかります。 個人登録利用…300円(273円) 法人登録利用…740円(673円) 国、地方公共団体等…560円(510円) ※登録費用の()内の料金は、消費税不課税対象者(利用者の住所等が日本国外にある場合に、消費税法の課税対象外となり消費税が課されない方)の登録費用です。 出典)登記情報提供サービス「サービス概要」 一時利用と公共電子確認の場合、登録手数料はかかりません。 利用料金 利用料金は、確認する登記情報や内容に応じて以下の利用料金がかかります。 出典)登記情報提供サービス「サービス概要」 公共電子確認の場合、利用料金はかかりません。 登記情報提供サービス利用上の注意点 登記情報提供サービスを利用する際の注意点は以下のとおりです。 受付時間に制限がある 登記情報提供サービスはインターネット上で手続きを行いますが、以下の受付時間内しか利用できません。 <登記情報提供サービスの利用時間> 平日:8:30~23:00 土日祝日:8:30~18:00 ※地図及び図面情報については平日の8:30~21:00 また、年末年始(12月29日~1月3日)は休業日となります。利用終了時間になると途中で送受信が切断されることがあるので、時間に余裕をもって利用しましょう。 法的な証明書にはならない 登記情報提供サービスでは、利用者が請求した時点において登記所が保有する登記情報を確認できますが、あくまで「閲覧」と同等のサービスです。登記事項証明書とは異なり、証明文や公印等は付加されないため、PDF形式で受領したデータを印刷しても法的な証明書にはなりません。 ただし、行政機関等へのオンライン申請等は、登録事項証明書を添付する代わりに照会番号を利用できることもあります。詳細は、申請先の行政機関等へご確認ください。 関連記事はこちら登記簿謄本(登記事項証明書)とは?取得方法や記載内容を解説 まとめ 登記情報提供サービスは、インターネット上で登記情報を確認できる便利なサービスです。法務局で書面請求するよりも費用が安く済むのもメリットです。 ただし、データを印刷しても法的な証明書として認められず、契約時などには利用できません。「登記情報の確認に限定する」「行政機関等への申請には照会番号を添付する」など、状況に応じてうまく使い分けましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住所変更登記等の義務化はいつから?手続き方法や注意点も解説 不動産所有者の氏名や住所などに変更があった場合の、法務局での住所等の変更登記はこれまで任意でしたが、不動産登記法の改正により登記申請が義務化されることになりました。変更登記をしないと罰則を科...記事を読む

    2024.01.03制度
  • 家族信託の費用

    家族信託にかかる費用・税金と相場、手続きする際の注意点を解説

    家族信託とは、財産の管理、運用、処分を家族に任せるための制度です。親の判断能力が低下した場合、子どもの判断で親の財産を運用、処分できるため、認知症対策として注目されています。家族信託をする場合、どのような費用や税金がかかるのでしょうか。 この記事では、家族信託にかかる費用や税金とその相場について解説します。 家族信託でかかる可能性がある税金 家族信託では、状況に応じて以下5つの税金がかかる場合があります。 贈与税 相続税 所得税(法人税) 固定資産税 登録免許税 それぞれ詳しく見ていきましょう。 贈与税 家族信託の場合、委託者と受益者が同じ人であれば贈与税は発生しません。しかし、委託者以外の人が受益者となった場合、財産を贈与したとみなされ、受益者に贈与税がかかります。 例えば、「父:委託者、子:受託者、母:受益者」とし、信託財産である収益不動産(信託前は父名義)の家賃収入を母(受益者)が受け取るような場合が考えられます。 相続税 家族信託では、信託財産から生じる利益を受け取る「受益者」が亡くなったときに相続が発生します。受益者の死亡によって信託契約を終了する場合は、信託財産を相続する人に相続税が課されます。受益者の死亡後も信託契約を継続する場合は、受益権を引き継ぐ人に相続税がかかります。 所得税(法人税) 信託財産から得られる収入(所得)については、受益者が所得税を納めなくてはなりません。また、受益者が受益権を売却した場合は、その利益に所得税がかかります。なお、受益者が法人であれば、法人税が発生します。 固定資産税 不動産を信託する場合、不動産の所有者が委託者から受託者に代わります。そのため、次年度からは受託者に固定資産税の納税義務が生じます。 ただし、信託契約において「固定資産税は受益者が負担する」と明記すれば、受託者の自己資金ではなく信託財産から納めることが可能です。 登録免許税 信託財産に不動産が含まれる場合、「信託による所有権移転登記」の登録免許税がかかります。 所有権移転登記は、不動産の名義人を委託者から受託者に変更するための手続きです。登録免許税額については後述します。 家族信託を手続きする場合の費用と相場 ここでは、家族信託を自分で手続きする場合と専門家に依頼した場合の費用相場を紹介します。 自分で手続きする場合の費用と相場 戸籍謄本、印鑑証明書、住民票などの資料取得費用 家族信託の手続きでは、戸籍謄本や印鑑証明書、住民票などの公的書類を取得しなくてはなりません。信託財産に不動産が含まれている場合は、登記事項証明書(登記簿謄本)も必要です。取得費用はいずれも1通につき数百円程度です。 信託口口座開設費用 家族信託では、信託財産を管理するための信託口口座を開設します。金融機関によって異なりますが、開設費用は5~10万円程度が一般的です。正確な金額は金融機関に確認しましょう。 公正証書費用 家族信託では、信託口口座を開設する際に、金融機関から公正証書で作成された信託契約書の提出を求められる場合がほとんどです。そのため、信託契約書を公正証書にする必要があります。公正証書にかかる費用は以下のとおりです。 目的の価額 手数料 100万円以下 5,000円 100万円超 200万円以下 7,000円 200万円超 500万円以下 1万1,000円 500万円超 1,000万円以下 1万7,000円 1,000万円超 3,000万円以下 2万3,000円 3,000万円超 5,000万円以下 2万9,000円 5,000万円超 1億円以下 4万3,000円 1億円超 3億円以下 4万3,000円+5,000万円ごとに1万3,000円 3億円超 10億円以下 9万5,000円+5,000万円ごとに1万1,000円 10億円超 24万9,000円+5,000万円ごとに8,000円 出典)日本公証人連合会「手数料」 信託監督人・受益者代理人への報酬 家族信託では、状況に応じて信託監督人や受益者代理人を設定する場合があります。 信託監督人:受益者のために受託者の監督を行う者 受益者代理人:受益者のために受益者の権利を行使する者 信託監督人や受益者代理人を専門家に依頼すると、月額数万円程度の費用がかかります。 登録免許税 上述したように、信託財産に不動産が含まれている場合は、信託登記の登録免許税がかかります。税額は「不動産の固定資産税評価額×0.4%」です。ただし、土地については0.3%の軽減税率が適用されます(2026年3月31日まで)。 例えば、土地3,000万円、建物2,000万円の場合の登録免許税額は、以下のとおりです。 土地:3,000万円×0.3%=9万円 建物:2,000万円×0.4%=8万円 専門家に依頼した場合の費用と相場 専門家に依頼する場合は、上記の「自分で手続きする場合の費用」に加えて、以下の費用負担が発生します。 コンサルティング費用 信託契約書の作成費用 公正証書の手続き代行費用 不動産登記の代行費用 実際にかかる費用は専門家によって異なります。依頼の際に費用をしっかりと確認することが大切です。 家族信託の「損益通算禁止」とは 租税特別措置法第41条の4の2によると、信託財産から生じた損失は、信託財産以外から生じた所得との損益通算ができません。例えば、信託された収益不動産で赤字が生じても、信託財産以外の収益不動産の所得とは損益通算できないため、税負担が増える恐れがあります。 大規模修繕などで赤字の発生が見込まれる収益不動産がある場合は、信託する前に税理士などの専門家に相談しましょう。 出典)国税庁「第41条の4の2(特定組合員等の不動産所得に係る損益通算等の特例)関係」 まとめ 家族信託は、認知症などによる判断能力の低下に備えるには有効な手段です。ただし、専門家に手続きを依頼する場合はまとまった費用がかかります。家族信託でかかる税金・費用の相場を把握したうえで、利用するかを判断しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 家族信託とは?仕組みやメリット・デメリット、手続き方法を解説 親の判断能力が低下した場合、子どもの判断で親の財産を運用・処分することはできません。親の認知症対策としては「成年後見制度」が一般的ですが、近年では新たな財産管理方法として「家族信託」が注目さ...記事を読む

  • 自筆証書遺言書保管制度とは

    自筆証書遺言書保管制度とは?メリットと注意点、利用の流れを解説

    相続トラブルを避けるには、遺言書を作成するのが有効です。ただし、本人が自筆で作成する自筆証書遺言の場合、正しく作成しないと無効になる恐れがあります。また、盗難や紛失、偽造・改ざんの危険性もあります。このようなリスクを回避する方法として、「自筆証書遺言書保管制度」があります。 この記事では、自筆証書遺言書保管制度の概要やメリット、注意点、利用の流れを解説します。 自筆証書遺言書保管制度とは 自筆証書遺言書保管制度とは、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度です。2020年7月10日から開始され、全国312ヵ所の法務局で利用できます。 遺言書の原本はもちろん、画像データとしても長期間適正に管理されます。原本は遺言者死亡後50年間、画像データは同150年間保管されます。紛失の恐れがなく、遺言者が亡くなった際に相続人に通知してもらえるため、自宅で保管するよりも安全です。 自筆証書遺言書保管制度のメリット 自筆証書遺言書保管制度には、以下のようなメリットがあります。 適切な保管によって紛失や盗難、偽造、改ざんを防げる 自筆証書遺言は紙と筆記用具、印鑑があれば1人で気軽に作成できます。しかし、自宅に保管していると紛失や盗難リスクがあり、偽造や改ざんの危険性もあります。自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、法務局で遺言書の原本と画像データが適切に保管されるため、紛失や盗難の心配がなく、偽造や改ざんを防止できます。 無効な遺言書になりにくい 自筆証書遺言書保管制度は、法務局職員が民法に定める自筆証書遺言の形式に適合するかを確認してくれるため、無効な遺言書になりにくいです。ただし、遺言書の有効性を保証するものではなく、遺言の内容について相談することはできません。 相続人に発見してもらいやすくなる 自宅に遺言書を保管すると、相続人が遺言書を見つけられず、遺言者の意思に沿った遺産相続が行われない恐れがあります。自筆証書遺言書保管制度を利用することで、遺言者が亡くなった際に、あらかじめ指定した相続人に対して法務局に遺言書が保管されていることを通知してもらえます。これを死亡時通知と言います。 検認手続が不要になる 遺言者が亡くなった後に自筆証書遺言を発見した場合、偽造や改ざんを防止するため、開封する前に家庭裁判所に提出して、検認を受ける必要があります。検認を受けないと、遺言書の内容に沿った遺産分割はできません。 自筆証書遺言書保管制度を利用することで、この検認手続が不要になり、速やかに遺言の内容を実現することができます。 自筆証書遺言書保管制度の注意点 自筆証書遺言を法務局に提出する際、法務局の職員が民法で定められた形式に適合するかを確認します。しかし、遺言の記載方法まで確認してもらうことはできず、有効性は保証されません。 また、「用紙はA4サイズ、裏面には何も記載しない」など、自筆証書遺言書保管制度を利用するための様式が別に定められており、そういった記載ルールを守る必要があります。 自筆証書遺言書保管制度の利用の流れ 自筆証書遺言書保管制度を利用する場合は、遺言者本人が法務局に出向いて手続きを行います。利用の流れは以下のとおりです。 管轄の法務局を選ぶ 申請書を記入する 事前予約をする 必要書類を持参して法務局で申請する 遺言者の住所地、本籍地、所有する不動産所在地のいずれかを管轄する法務局で申請手続をします。申請書は法務局のホームページからダウンロードするか、最寄りの法務局窓口で入手できます。 手続は事前予約制のため、ホームページ内の予約専用ページ、電話または窓口であらかじめ予約します。必要書類を持参のうえ、予約した日時に法務局で申請を行いましょう。申請時の必要書類は以下のとおりです。 自筆証書遺言書 申請書 本人確認書類 住民票の写し(本籍と戸籍筆頭者の記載があるもの) 3,900円分の収入印紙(遺言書保管手数料) 申請内容に問題がなければ、原本と画像データが保管され、保管証が渡されます。 自筆証書遺言と公正証書遺言との違い 遺言書は、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。主な違いは以下の3つです。 自書(手書き)の有無 自筆証書遺言は、遺言者が財産目録以外の全文を手書きしなくてはなりません。公正証書遺言は、遺言者から告げられた内容を公証人が遺言書に記載するため、自書は署名のみです。 証明力 自筆証書遺言の内容は、遺言者の自己責任です。公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が法的な有効性をチェックするため、高い証明力を有します。 出張の有無 自筆証書遺言書保管制度を利用する際は、遺言者本人が法務局に出向かなくてはなりません。公正証書遺言は、遺言者が高齢などで公証役場に出向くのが困難な場合、公証人が遺言者の自宅などに出張して遺言書を作成できます。 どちらを利用するべき? 自筆証書遺言の一番のメリットは、公正証書遺言と比較して費用と手間が小さいことです。民法の要件を満たした遺言書を自ら作成できるなら、自筆証書遺言書保管制度を利用するのがいいでしょう。 ただし、遺言書が無効にならないか不安であれば、費用や手間をかけてでも、公正証書遺言を利用する方が確実です。 関連記事はこちら公正証書遺言とは?手続きの費用と必要書類を解説 自筆証書遺言書保管制度の利用状況 法務局によると、2022年の遺言書の保管申請は1万6,802件です。一方、日本公証人連合会によれば、公正証書遺言の作成件数は11万1,977件となっています。公正証書遺言が年10万件程度利用されていることを踏まえると、自筆証書遺言書保管制度の利用は少ないといえます。 ただし、自筆証書遺言を作成して自宅等に保管している人がどの程度いるのかは不明です。これから認知度が高くなることで、自筆証書遺言書保管制度の利用件数が増えていく可能性は十分に考えられます。 出典) ・法務局「遺言書保管制度の利用状況」 ・日本公証人連合会「令和4年の遺言公正証書の作成件数について」 まとめ 自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、自筆証書遺言の紛失や盗難、偽造、改ざんのリスクを避けられます。また、法務局職員が民法で定める形式に適合するかを確認してくれるのもメリットです。ただし、遺言書の有効性が保証されるわけではないため、不安な場合は公正証書遺言を検討しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 相続争いを生まないためのリースバックという選択肢 自宅を所有していると、老後も住み続けられる安心感がある一方で、相続に不安を感じることもあるのではないでしょうか。不動産は実物資産であるため、相続人が複数いると簡単に分けられません。また、相続...記事を読む

    2023.11.15制度相続
  • マンション長寿命化促進税制とは

    マンション長寿命化促進税制とは?概要やメリットを解説

    令和5年度税制改正の大綱にて、マンション長寿命化促進税制の創設が決定しました。マンションを適切に管理し、修繕積立金の確保や長寿命化工事を実施することで、区分所有者の固定資産税が軽減されます。ただし、制度の適用を受けるにはいくつかの条件を満たす必要があるため、制度について理解を深めておくことが大切です。 この記事では、マンション長寿命化促進税制の概要やメリット、手続きの流れを解説します。 マンション長寿命化促進税制とは? マンション長寿命化促進税制とは、一定の条件を満たしたマンションが長寿命化工事を実施した場合に、その翌年度の固定資産税が減額される制度です。区分所有者が支払う工事完了翌年度の固定資産税(建物部分のみ)が、1/2~1/6の範囲内で減額されます。減額割合は、各自治体の条例によって決定されます。 「長寿命化工事を実施した場合」とは、以下3つの工事を全て実施した状態をいいます。 外壁塗装等工事 床防水工事 屋根防水工事 なお、マンション長寿命化促進税制の適用を受ける条件については、この後詳しく解説します。 制度創設の目的と背景 多くの高経年マンションでは、管理計画期間の不足や推定修繕工事項目の漏れなどから、修繕積立金が不足しています。国土交通省の「平成30年度マンション総合調査」によれば、現在の積立金残高が計画に対して不足しているマンションは34.8%です。 修繕積立金が不足していることがわかっていても、修繕積立金の引き上げや長寿命化工事の実施は、合意形成が難しいです。一方で、長寿命化工事が適切に行われなかった場合、外壁がはがれて廃墟化が進むなど、周囲に悪影響を与える恐れがあります。 そこで、必要な修繕積立金の確保や適切な長寿命化工事の実施について、所有者の合意につなげるために、マンション長寿命化促進税制が創設されました。 出典)国土交通省「平成30年度マンション総合調査」 マンション長寿命化促進税制の適用条件 マンション長寿命化促進税制の適用を受けるには、マンションと管理計画の面で、条件を満たす必要があります。 マンションの条件 まず、マンションが以下の条件を満たす必要があります。 築後20年以上が経過している 総戸数が10戸以上 過去に長寿命化工事を1回以上実施している これらの条件を満たすマンションでないと、そもそもマンション長寿命化促進税制の適用対象となりません。 管理計画の条件 上述の条件を満たすマンションであることに加え、管理計画を作成し、適切な管理がされている必要があります。具体的には、以下のいずれかの手段で、管理計画の認定を受けている必要があります。 ①マンション管理計画認定制度を利用する マンション管理計画認定制度を利用することで、管理計画が一定の基準を満たしていると自治会から認定を受けることができます。マンション管理適正化法に基づき、2022年4月からマンション管理計画認定制度が開始されました。 関連記事はこちらマンション管理計画認定制度とは?メリット・デメリットを解説 マンション管理計画認定制度の認定を受けたうえで、令和3年9月1日以降に修繕積立金の額を管理計画の認定基準まで引き上げることが、長寿命化促進税制の適用条件です。具体的な金額は以下のとおりです。 出典)国土交通省「マンション長寿命化促進税制の要件」 ②自治体から助言または指導を受ける マンション管理計画認定制度を利用せず、自治体からの助言または指導を受けたうえで、以下の基準を満たすように長期修繕計画を見直す必要があります。 なお、修繕積立金の基準額は以下のとおり定められています。 出典)国土交通省「マンション長寿命化促進税制の要件」 2度目の長寿命化工事の条件 上述のマンションおよび管理計画の条件を満たしたうえで、2度目の長寿命化工事を行い、2023年(令和5年)4月1日~2025年(令和7年)3月31日の期間内に完了させる必要があります。 工事期間については、今後この期間が延長される可能性ないとは言い切れません。どうしても2度目の長寿命化工事を期間内に実施できない場合でも、引き続き動向に注目しておくといいでしょう。 マンション長寿命化促進税制のメリット マンション長寿命化推進税制には、以下のようなメリットがあります。 固定資産税が減額される 上述した条件を満たせば、各区分所有者が翌年度に支払う固定資産税(建物部分のみ)が減額されるため、税負担の軽減が期待できます。なお、減額割合は1/2~1/6の範囲内で、自治体によって異なります。 マンション価値の維持・向上につながる 必要な修繕積立金を確保し、長寿命化工事を行うことで、良好な住環境が保たれます。結果として、マンションの資産価値の向上につながり、売却がしやすくなる可能性があります。 マンション管理組合の負担軽減が期待できる 修繕積立金の引き上げや長寿命化工事の実施は、区分所有者の金銭的な負担が増えるため、話し合いがうまく進まないことがあります。「固定資産税の減額」という共通のメリットによって合意形成が容易になれば、マンション管理組合の負担軽減が期待できます。 マンション長寿命化促進税制の注意点 マンション長寿命化促進税制には、以下のような注意点もあります。 管理計画の認定が必要になる 長寿命化工事の実施には費用がかかる 管理計画認定マンションとして手続きをする場合は、一定の基準を満たす管理計画を策定し、自治体から認定を受けなくてはなりません。また、修繕積立金の額の引き上げも必要です。助言や指導を受ける場合は、長期修繕計画が一定の基準に適合することが要件となっています。 長寿命化工事については、「外壁塗装等工事」「床防水工事」「屋根防水工事」の3つを全て行わなくてはなりません。固定資産税の減額だけでなく、かかる工事費用も考慮したうえで、適用を受けるか判断することが大切です。 マンション長寿命化促進税制を受けるための手続き マンション長寿命化促進税制を受ける場合は、以下の流れで手続きを進めます。 修繕積立金の額を引き上げる マンションの管理計画の認定を取得する 長寿命化工事を実施する 工事完了日から3ヵ月以内に市町村へ減税措置を申告する 各区分所有者が市町村へ申告する際は、以下の書類が必要です。 固定資産税減額申告書 総戸数を確認できる書類 修繕積立金引上証明書(写し可) 管理計画の認定通知書(写し可) 過去工事証明書(写し可) 大規模修繕等証明書(写し可) 必要書類については、管理組合の管理者が取得し、各区分所有者に配布することが想定されています。 まとめ マンション長寿命化促進税制は固定資産税の減額だけでなく、マンション価値の維持や向上、管理組合の負担軽減も期待できます。ただし、管理計画の認定取得などの要件を満たす必要があるため、費用対効果を考慮して適用を受けるか判断しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 マンション管理適正評価制度とは?メリット・デメリットを解説 2022年4月から「マンション管理適正評価制度」が開始されました。本制度は適切に維持管理されているマンションが、市場で評価されるための新たな仕組みです。同じ時期に国の「マンション管理計画認定...記事を読む

    2023.11.01制度
  • 敷地面積の制限とは

    敷地面積の制限とは?概要や目的、最低敷地面積の調べ方を解説

    近年の土地価格の上昇に伴い、大きな土地のままでは不動産を購入できない人が増加しています。そのような背景から、大きな土地を分割(分筆)することで価格を抑えた、小規模住宅が増えています。しかし、敷地面積の制限を設ける自治体が増えつつあることをご存知でしょうか。 この制限が設けられると、小規模住宅の敷地面積によっては、将来の建て替えや売却が難しくなるかもしれません。小規模住宅の購入を検討している場合は、敷地面積の制限について理解を深めておくことが大切です。この記事では、敷地面積の制限の概要や最低敷地面積を調べる方法を紹介します。 敷地面積の制限とは 敷地面積の制限とは、建築物の敷地面積を一定以上としなければならない規制のことです。この時、基準となる敷地面積は、「敷地面積の最低限度」「最低敷地面積」と呼ばれます。 建築基準法や都市計画法では、敷地面積の制限について以下のように定めています。 建築物の敷地面積は、用途地域に関する都市計画において建築物の敷地面積の最低限度が定められたときは、当該最低限度以上でなければならない。 出典)建築基準法 第53条の2第1項(e-Gov法令検索) 地方公共団体は、良好な住居等の環境の形成又は保持のため必要と認める場合においては、政令で定める基準に従い、条例で、区域、目的又は予定される建築物の用途を限り、開発区域内において予定される建築物の敷地面積の最低限度に関する制限を定めることができる。 出典)都市計画法 第33条第4項(e-Gov法令検索) この規制は、1つの広い敷地を複数に分割する「ミニ開発」を防止し、良好な住環境を維持・保存することを目的としています。小規模な敷地に住宅が密集すると、日照や通風などの環境が悪化し、火災リスクが高まるからです。 最低敷地面積は都市計画に基づき設定されるため、自治体ごとに異なります。例えば、福岡市の条例では、「市街化区域165㎡」「市街化調整区域200㎡」を敷地面積の最低限度と定めています。 なお、建築基準法(第五十三条の二第2項)では、都市計画で定める敷地面積の最低限度を「200㎡以下」としています。 出典)福岡市「福岡市よくある質問Q&A」 関連記事はこちら都市計画法とは?概要や定められている内容を解説 小規模住宅が増加している 近年、都心では土地価格の上昇を背景に、敷地面積が50㎡程度の小規模住宅が増加しています。土地を分割し、1棟あたりの敷地面積を50㎡程度とすることで、住宅の販売価格を抑えられるからです。 都心の小規模住宅は車庫や庭などの敷地を確保することは困難です。しかし、通勤に便利であることから、都心に住みたいファミリー層を中心に一定の需要があると考えられます。 土地の分割を制限する動きも広がっている 一方で、都心では土地の分割を制限する動きも広がっています。小規模住宅が増えすぎると、住環境の悪化や火災リスクが懸念されるからです。 例えば、荒川区では2021年11月に新たな規制が導入されました。新たに土地を分割して建築物を建てる場合、1棟あたりの敷地面積を60㎡(約18坪)以上とする必要があります。ただし、現状既に60㎡に満たない土地に、建物の新築や建て替え、土地の売買を行うことは可能です。 ・敷地分割の例 出典)荒川区「建築敷地細分化に対する規制について」 なお、東京23区では荒川区以外でも、同様の規制を既に設けている区がいくつかあります。 敷地面積の制限が適用されないケース 建築基準法第53条の2第1項によると、以下の敷地については、敷地面積の制限は適用されません。 建ぺい率の限度が80%とされている防火地域内にある耐火建築物等 公衆便所、巡査派出所その他これらに類する建築物で公益上必要なもの その敷地の周囲に広い公園、広場、道路その他の空地を有する建築物で、特定行政庁が市街地の環境を害するおそれがないと認めて許可したもの 特定行政庁が用途上または構造上やむを得ないと認めて許可したもの 敷地面積の制限について調べる方法 購入予定物件の最低敷地面積を調べる場合は、インターネットで「〇〇(地域名) 敷地面積の制限(もしくは敷地面積の最低限度)」と検索するといいでしょう。もしくは、自治体の窓口に問い合わせて確認することも可能です。 また、物件の登記簿謄本を見ると、敷地の分筆が行われているかを把握できます。もし土地の分割に関する規制導入後、最低敷地面積を下回る広さに分筆していることが分かったら、再建築や売却が可能かを自治体や不動産会社に確認しておくことが大切です。 最低敷地面積未満の土地を売却する方法 所有している土地を最低敷地面積未満に分筆してしまうと、売却が難しくなります。最低敷地面積に満たない土地を売却する場合は、以下3つの方法を検討しましょう。 隣地の所有者に売却する 隣地を買い取って合筆する(最低敷地面積を満たす) 訳あり物件の専門業者に売却する 相場より価格が下がる恐れはありますが、売却できる可能性は高まります。一方で、現実的には難しい方法であるため、専門家に相談するようにしましょう。 まとめ 人口が増加している都心部では大きな土地を分割し、小規模住宅として売り出されるケースが増加しています。しかし、今後は土地の分割について規制が拡大されることも考えられます。都心で小規模住宅の購入を検討している場合は、敷地面積の制限に関する自治体の動向を確認しておきましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 マイホーム選びのポイントは?購入経験者のアンケート結果もご紹介 マイホームは「人生最大の買い物」ともいわれます。一度購入すると簡単には手放せないため、「絶対に後悔したくない」と考える人も多いのではないでしょうか。希望条件が決まらない場合は、理想の暮らしを...記事を読む

    2023.09.20制度
  • 筆界特定制度とは?活用できる場面や申請の流れ、費用を解説

    筆界特定制度とは?活用できる場面や申請の流れ、費用を解説

    筆界特定制度は、法務省が管轄する制度の一つです。本制度が定められるまで、土地の境界に関する紛争が起きた際、従来は裁判で解決するしかありませんでした。しかし、「筆界特定制度」を利用することで、裁判をしなくても問題を解決できる可能性があります。 この記事では、筆界特定制度の概要や活用できる場面、申請の流れなどを解説します。 筆界特定制度とは 筆界特定制度とは 、土地所有者の申請に基づいて、現地における土地の筆界の位置を特定する制度です。外部専門家である筆界調査委員の意見を踏まえて、筆界特定登記官が筆界についての判断を迅速に示せます。 筆界特定制度は裁判手続きによることなく、筆界をめぐる紛争の予防、早期の解決のために制定されました。また、当事者にとっても、臨時に対する訴えをすることなく、行政に職権で必要な調査を行ってもらえます。 筆界・所有権界・境界の違い 筆界特定制度への理解を深めるために、用語の意味を整理しておきましょう。 筆界:土地が登記されたときにその土地の範囲を区画するものとして定められた線 所有権界:土地所有者の権利が及ぶ範囲を画する線 境界:筆界または所有権界と同じ意味で用いられる言葉 ・筆界と所有権界 出典)政府広報オンライン「土地の境界トラブルを裁判なしで解決を図る「筆界特定制度」」 筆界は、土地の所有者同士の合意によって変更することができません。一方で、所有権界は自由に移動させることができます。通常、筆界と所有権界は一致しますが、「土地の一部を売買・贈与した」「時効によって所有権を取得した」などの理由で一致しないことがあります。 筆界特定が必要になる場面 筆界特定は、以下のような場面で必要になります。 土地の境界で隣人と揉めたとき 筆界がはっきりわからないとき 例えば、隣人との間で土地の境界の認識が異なり「ブロック塀が越境している」と言われて揉めてしまう場合などが考えられます。また、土地を売却する際、売主はその土地の筆界を明示しなくてはなりません。そのため、売却を検討している土地の筆界がわからない場合にも、筆界特定が必要です。 筆界特定制度のメリット 裁判は判断が示されるまでに約2年かかるのに対し、筆界特定制度を利用すれば、半年~1年と短い期間で判断が示されます。ただし、問題の内容が複雑な場合は、判断までに長期間を要する場合もあります。 公的機関が専門家の意見を踏まえて判断するため、証拠価値が高いのもメリットです。また、相手が話し合いに応じてくれなくても、一方の土地所有者だけで申請でき、裁判なしで土地の筆界を明らかにすることができます。 筆界特定制度の利用の流れ 筆界特定制度を利用する場合、全体の流れは以下のとおりです。 法務局へ筆界特定を申請 法務局の筆界特定登記官による審査 筆界調査委員による調査 筆界調査委員による意見の提出 筆界特定登記官による筆界特定 筆界調査委員は、土地家屋調査士や弁護士などの専門家から任命されます。周辺の実地調査や測量などを行い、筆界に関する意見を筆界特定登記官へ提出します。 申請人や関係人は、筆界特定の前に筆界特定登記官に対して意見や資料提出が可能です。また、筆界調査委員の実地調査に立ち会う機会も付与されます。 筆界特定制度の申請却下事由 筆界特定を法務局に申請するにあたり、「申請が却下されたらどうしよう」と不安になる人もいるかもしれません。却下事由は不動産登記法第132条にて明記されており、大まかに要約すると以下の内容です。 筆界特定を行う土地が申請した法務局の管轄外であった 申請者が筆界特定を申請する権限を持たないものであった 申請情報(申請者に関する情報、筆界特定の目的など)の記載に不備があった 申請した土地の境界が既に筆界特定もしくは民事訴訟によって確定されていた 手数料等の納付が行われなかった 出典)e-Gov法令検索「不動産登記法」 もし申請に不備があった場合でも、不備が補正可能なものであれば一定の期間内に補正を行うことで、再申請が可能です。 申請が却下された件数 参考までに、実際に申請が却下された件数についての統計データを見てみましょう。法務局が公表している統計によると、各年の処理がなされた申請のうち、却下された申請の割合は以下のとおりです。 ・却下された申請の割合 出典)e-Stat(法務局及び地方法務局管内別 筆界特定事件の受理,既済及び未済件数 ) この結果から、却下された割合は減少傾向にあり、割合としては100人に1人未満と、かなり少ないことが分かります。全体の件数でいうと、処理がなされた申請の年平均件数が約2,483件に対し、却下された件数が約63件です。 却下されている件数も少なく、万が一却下されても基本的には再申請が可能なので、安心して手続きを進めましょう。 筆界特定制度の利用にかかる費用 筆界特定制度を利用する際は、土地の価格に応じて「申請手数料」がかかります。 ・筆界特定申請手数料の一覧 出典)政府広報オンライン「土地の境界トラブルを裁判なしで解決を図る「筆界特定制度」」 土地の合計価格は、固定資産課税台帳に登録された土地の価格に基づいて算出します。例えば、対象土地(2筆)の合計価格が5,000万円の場合、申請手数料は9,600円です。 また、現地調査で測量が必要な場合は、申請手数料とは別に測量費用を負担する必要があります。測量費用は一律ではなく、個別の事案によって変わってきますが、数十万円程度が目安です。 筆界特定制度を利用しても解決できない場合 筆界特定制度の利用によって筆界が明らかになっても、所有権界をめぐる境界トラブルを解決できない場合があります。例えば、所有者でない人が土地の一部を長年利用し、時効によって所有権を取得している場合は、筆界と所有権界が一致しません。 筆界と所有権界が異なる土地について、所有権の範囲を明らかにするには「土地家屋調査士会ADR(境界問題相談センター)」を利用すると良いでしょう。 ・筆界特定制度と土地家屋調査士会ADRの比較 出典)政府広報オンライン「土地の境界トラブルを裁判なしで解決を図る「筆界特定制度」」 土地家屋調査士会ADRは、各地の土地家屋調査士会が運営している制度です。土地家屋調査士と弁護士が調停人として、当事者間の話し合いをサポートしてくれます。裁判のような強制力はありませんが、和解契約書の履行という法的効力が付与されます。状況に応じて、最寄りの土地家屋調査士会ADRに相談してみましょう。 >詳細はこちら まとめ 土地の境界をめぐって隣人と揉めてしまった場合、筆界特定制度を利用すれば裁判なしで問題を解決できる可能性があります。境界トラブルで困ったら、最寄りの法務局・地方法務局に相談してみましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産登記とは?概要や手続きの流れ、必要書類、費用を徹底解説 不動産の売買や相続、住所変更などがあった場合は、不動産登記の手続きが必要です。しかし、「不動産登記」という言葉を聞いたことはあっても、詳細までは理解していないかもしれません。不動産登記の手続...記事を読む

    2023.09.06制度
  • 債務整理とは

    債務整理とは?メリット・デメリットを解説

    債務整理は、借金の悩みを解決する方法のひとつです。住宅ローンやキャッシング等の返済が難しい場合は、債務整理を行うことによって生活を立て直せる可能性があります。この記事では、債務整理の概要や4種類の方法、それぞれのメリット・デメリットを解説します。 債務整理とは 債務整理とは、借金の元本の減額や免除、利息のカットなどにより借金問題を解決する手続きです。具体的には、以下4種類の方法があります。 ①自己破産 ②任意整理 ③個人再生手続(個人版民事再生) ④特定調停 それぞれの方法の仕組みと特長については、後ほど詳しく説明します。 共通のメリット 債務整理のメリットは、毎月の返済が減ったり、なくなったりする可能性があることです。借金の返済負担が軽減されるため、金銭的な余裕が生まれます。精神的にも楽になるでしょう。 また、専門家を通じて債権者に「受任通知」を送付することにより、一時的に督促や取り立てがなくなります。ただし、訴訟や強制執行といった裁判上の請求は止められません。 共通のデメリット 債務整理を行うと、借金の減額や免除を受けた事実が信用情報機関に登録されてしまいます。一定期間は、「住宅や車のローンを組む」「クレジットカードを新規作成する」などが難しくなります。 債務整理の種類ごとの特長 債務整理は、種類によって特長や向いている人が異なります。それぞれの仕組みを理解して、自分に合った方法を選択することが大切です。 ①自己破産 自己破産とは、裁判所を通じて借金の支払いを免責してもらう方法です。裁判所へ申し立て、免責が認められれば、借金が帳消し(ゼロ)になります。 ただし、持ち家や車などの財産は手放さなくてはなりません。また、借金の原因がギャンブルや投資行為の場合は、免責が認められないこともあります。そのため自己破産は、「借金を返済できる見込みがない人」に向いています。 ②任意整理 任意整理とは、債務者から依頼された弁護士や司法書士が、金融機関と長期の分割返済や利息のカットなどの交渉を行う方法です。交渉がうまく進めば、毎月の返済負担が軽減されます。また、裁判所を通さないため、手続きが比較的簡単です。 一方で、金融機関との任意の話し合いで返済計画を決めるため、交渉が成立するとは限りません。金融機関側が話し合いに応じなかった場合の強制力がないため、交渉が成立しなかった場合には他の手段を検討する必要が生じます。そのため任意整理は、「給与などの継続収入がある人」「借入金額が比較的少額の人」に向いています。 ③個人再生手続 個人再生手続とは、裁判所が認可した再生計画に基づいて借金を返済する方法です。債務者は、弁護士や司法書士を通じて裁判所へ申し立てを行い、再生計画案を提出します。住宅ローン特別条項により、自宅を失うことなく借金を整理できます。 住宅ローン特別条項とは、個人再生手続きを行う際に住宅ローンを今までどおり払い続けることで、自宅の処分を避けられる制度です。ただし、他の方法に比べると適用条件が厳しく、手続きに時間と費用がかかります。 そのため個人再生手続は、「住宅ローンのある自宅を失いたくない人」「継続収入がある人」「借金をしている金融機関の数や借入金額が多い人」に向いています。 ④特定調停 特定調停とは、裁判所が債務者と金融機関(債権者)の間に入り、利害関係を調整・仲介する方法です。裁判所に選任された調停委員が仲介を行います。弁護士や司法書士には依頼しないため、費用が安く済むのがメリットです。 一方で、返済計画には強制力があり、返済が遅れると直ちに給与などが差し押さえられます。そのため特定調停は、「借金をしている金融機関の数が少ない人」に向いています。 債務整理の種類別比較表 自己破産 任意整理 個人再生手続 特定調停 借金の減額効果 ゼロになる 減る 大幅に減る 減る 裁判所の関与 あり なし あり あり 期間 2ヵ月~半年程度 2~4ヵ月 1年程度 1~2ヵ月 費用の目安 30~60万円程度 1社2万5千円程度 30~60万円程度 数千円程度 自宅を残せるか 残せない 残せる場合もある 残せる 残せる場合もある 任意整理と特定調停は、住宅ローンを組んでいる金融機関を対象から外すことで自宅を残すことが可能です。ただし、借金のほとんどが住宅ローンの場合、返済負担の軽減効果は期待できないでしょう。 出典) ・政府広報オンライン「キャッシングやローン返済でお困りの方へ 借金問題は解決できます。まずは相談を!」 ・金融庁「債務整理4類型」 債務整理はどこに相談すればいい? 借金問題を解決するために、債務整理を検討する場合の相談先は以下のとおりです。 日本司法支援センター(法テラス) 日本弁護士連合会 日本司法書士会連合会 日本貸金業協会 日本クレジットカウンセリング協会 全国銀行協会 誰に相談したらよいかわからない場合は、上記の相談窓口に連絡してみましょう。 貸付自粛制度の検討も 貸付自粛制度とは、「借金をやめたいのにやめられない」という悩みを抱えている人を支援する制度です。「日本貸金業協会」または「全国銀行個人信用情報センター」のどちらかへ申告をすると、金融機関からの借り入れを5年間制限できます。 浪費癖やギャンブル依存などによる「お金の借り過ぎ」や「多重債務」の防止に有効です。貸付自粛制度については、以下の記事で詳しく解説しています。 関連記事はこちら貸付自粛制度とは?メリット・デメリット、手続き方法を解説 まとめ 借金を返済できずに悩んでいる場合、債務整理の手続きをすれば、生活を立て直せるかもしれません。債務整理は4つの方法があり、それぞれ特長が異なります。自身の状況に応じて最適な方法を選択しましょう。 60歳からの住宅ローン相談受付中 住宅ローンの悩みや疑問をお持ちの方へお金の専門家が丁寧にサポートします。※SBIシニアの住まいとお金のWEBサイトに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 倒産や破産、特別清算の違いとは?根拠法や用語の意味を解説 会社の経営が立ち行かなくなると、廃業を検討することもあるでしょう。「倒産」「破産」「特別清算」はいずれも廃業に関する用語ですが、廃業時に適切な方法を選択するためにも、用語の意味や違いを理解し...記事を読む

    2023.08.23制度
  • 地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を知ってリスクに備えよう

    地震保険とは?火災保険との違いや補償内容を解説

    日本は「地震大国」と言われており、過去には巨大地震が発生して住宅が倒壊するなどの被害が生じています。地震による建物や家財の被害に備えるには、地震保険を付帯するのが有効です。万が一被害にあった場合は、保険金が生活再建の助けとなります。 この記事では、地震保険の仕組みや火災保険との違い、補償内容について解説します。 地震保険とは 地震保険とは、地震や噴火、それらによる津波を原因とする住宅や家財の損害を補償するための保険です。「地震保険に関する法律」に基づき、政府と民間の保険会社が共同で運営しています。 大地震が起こった場合は多額の保険金が発生し、民間の保険会社だけで引き受けるのは困難となります。そのため、政府が再保険を引き受けることにより、大地震の際は政府も保険金支払いを分担する仕組みになっています。なお、再保険とは、保険会社が再保険料を支払い、保険金の支払い責任の一部を他に転嫁する仕組みです。 地震保険の加入方法 地震保険は単独では契約できないため、火災保険と一緒に加入します。また、地震保険は火災保険に原則自動付帯となっています。 しかし、火災保険加入時に地震保険を付帯しているか覚えていない場合は、念のため契約内容を確認しておくといいでしょう。火災保険のみに加入している場合は、途中から地震保険を加えることも可能です。 地震保険と火災保険との違い 地震保険と火災保険には、以下のような違いがあります。 ①補償内容 火災保険は、火災や自然災害などで損害を受けた建物や家財を補償する保険です。一方で、地震保険は、地震や噴火、これらによる津波を原因とする火災や損壊、埋没、流失などの損害を補償しています。この補償内容の違いが、火災保険と地震保険の大きな違いです。 ②保険料 火災保険の保険料は、保険会社が自由に設定できるため、保険会社によって異なります。それに対して地震保険は、前述のとおり政府と民間の保険会社が共同で運営しているため、保険料の設定方法が統一されています。(地震保険の保険料についてはこの後詳しく解説します。)つまり、地震保険は火災保険と異なり、保険会社ごとに比較検討する必要がありません。 ③所得控除の対象かどうか 火災保険は所得控除の対象外ですが、地震保険は対象内です。(地震保険の所得控除についてはこの後詳しく解説します。)火災保険も過去に所得控除の対象でしたが、平成18年の税制改正によって平成19年分から廃止されました。 地震保険の対象とは 地震保険は、以下のような場合に支払い対象となります。 地震による火災で家が焼失した 地震により家が倒壊した 津波により家が流失した 地震による地盤沈下で家が傾いた 以下のような場合は、保険金支払いの対象外となります。 地震発生日から10日以上経過した後に生じた損害 地震等の際に生じた紛失・盗難の損害 故意や重大な過失、法令違反による損害 戦争、内乱などによる損害 地震保険で支払われる保険金 地震保険で支払われる保険金は、建物や家財の損害状況によって変わります。損害の程度を「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4つに区分し、その区分に応じて保険金が決まる仕組みです。損害の程度は保険会社が判断します。 出典)政府広報オンライン「被災後の生活再建を助けるために。もしものときの備え「地震保険」を。」 地震保険の契約金額(保険会社が支払う保険金の限度額をいいます。)は、火災保険の30~50%の範囲内で自由に決められます。ただし、建物は5,000万円、家財は1,000万円が上限です。 地震保険の保険料 地震保険の保険料は、保険対象の建物の構造や所在地によって決められています。地震の発生確率は地域によって差があり、人口分布や建物の強度により被害の程度も異なるためです。 表:契約金額1,000万円あたりの年間保険料(割引適用なし)の例 出典)政府広報オンライン「被災後の生活再建を助けるために。もしものときの備え「地震保険」を。」 北海道と東京都を比較すると、建物が同じイ構造(主として鉄筋、コンクリート造り)であっても、年間保険料は東京都のほうが約3.7倍高くなります。また、同じ東京都でも、ロ構造(主として木造)はイ構造より約1.5倍高くなっています。 保険期間ごとの保険料 地震保険の保険期間は短期契約(1年未満)、1年契約および長期契約(2~5年)があります。長期契約の保険料は、前述の年間保険料に対して以下の長期係数を乗じて算出する仕組みです。 期間 係数 2年 1.90 3年 2.85 4年 3.75 5年 4.70 出典)財務省「地震保険制度の概要」 仮に1年間の保険料が1万円の場合、保険期間5年の一括払いであれば、計算式は「1万円×4.70」となり、4万7,000円が契約金額となります。係数は期間に応じて割り引かれていくので、長期契約にしたほうがお得になる設計になっています。 保険料の割引制度 地震保険には、建物の免震、耐震性能に応じた保険料の割引制度があります。詳細は以下のとおりです。 出典)政府広報オンライン「被災後の生活再建を助けるために。もしものときの備え「地震保険」を。」 保険対象となる住宅が上記割引制度の要件を満たしていれば、保険料の負担軽減が期待できます。ただし、割引制度の適用を受けるには、所定の確認資料を提出する必要があります。また、各割引制度の重複適用は認められません。 地震保険料は所得控除の対象となる 支払った地震保険料のうち、一定額は「地震保険料控除」として所得から控除できるため、所得税や住民税の負担が軽減されます。控除額は以下のとおりです。 年間支払保険料の合計 控除額 所得税 5万円以下 支払金額の全額 5万円超 一律5万円 住民税 5万円以下 支払金額×1/2 5万円超 一律2万5,000円 所得税は最高5万円、住民税は最高2万5,000円が所得から控除されます。勤務先の年末調整または確定申告で控除を受けることが可能です。 地震保険はいらない? 地震保険の加入を検討する際に、「地震保険は必要ない」という意見を見かけた人もいるのではないでしょうか。その理由は、「保険料に対して被災後に受け取る保険金が小さい」と言われるためです。 確かに、地震保険の契約金額は火災保険の30~50%の範囲内であるため、損害の程度が全損壊であったとしても、同じ家を建て替えるだけの保険金が支払われることはほとんどありません。 加えて、損害の程度が低ければ支払われる保険金も小さくなるので、「保険料を払った割にあまり保険金を受け取れなかった」となる恐れもあります。以上の理由から「地震保険は必要ない」という意見が間違っているとは言い切れません。 結局のところ、地震保険が必要かどうかは、自分が地震によって大きな被害を受けるリスクをどう捉えるか次第です。どちらを選択するとしても、判断は慎重に行いましょう。 Appendix:少額短期保険に加入する選択肢 地震保険に関連して、「地震による損害を支払い対象とした少額短期保険」を紹介します。この少額短期保険は、本記事で解説した「地震保険」とは別の商品として扱われ、火災保険と一緒に加入する等の制約がありません。 少額短期保険は、地震保険とより保険金の限度額が少なくなるものの、支払う保険料も少なく済みます。「保険料を抑えたいが、何も保険がないのも不安だ」という人は、地震保険には加入せず、少額短期保険に加入するのも選択肢のひとつです。 また、少額短期保険は地震保険と併用も可能です。そうすることで、地震保険の保険金をある程度補うことが期待できます。「備えが地震保険だけでは不十分だ」という人は、併用を検討してもいいでしょう。 ただし、支払った少額短期保険の保険料は所得税の控除対象外です。地震保険と違って税制面でのメリットは享受できないので、注意しましょう。 まとめ 火災保険のみでは、地震による火災や地盤沈下で建物や家財に被害が出た場合に補償の対象外となってしまいます。日本は地震が多く、過去には巨大地震も発生しています。マイホームなどの不動産を購入する際は、火災保険に地震保険を付帯しておき、あらかじめリスクに備えておきましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 自宅購入はより安全で優れた不動産投資!? 不動産投資といえば、マンションやアパートを貸し出して家賃収入を得ることをイメージするのではないでしょうか。しかし、考え方によっては賃貸暮らしの家賃支出をなくし、ローンの返済とともに資産を増や...記事を読む

    2023.07.05制度
  • 低炭素住宅とは?認定基準、メリット・デメリットを解説

    低炭素住宅とは?認定基準、メリット・デメリットを解説

    環境問題への意識の高まりから、マイホームの建築・購入の際に「低炭素住宅」を選ぶ人が増えています。環境にやさしい住宅であり、税制優遇を受けることもできますが、認定を受ける際の注意点もあります。低炭素住宅の取得を検討する場合には、事前に特徴を理解しておくことが大切です。 この記事では、低炭素住宅の認定基準やメリット・デメリット、認定手続きの流れを解説します。 低炭素住宅とは 低炭素住宅とは、二酸化炭素(CO2)の排出量を抑制する仕組みのある住宅です。一般的な住宅に比べて、地球温暖化の原因となるCO2の排出を抑えられるため、環境にやさしい住宅といえます。 社会経済活動に伴い発生するCO2の多くは、都市部で発生しているのが現状です。この状況を改善するため、2012年12月に「都市の低炭素化の促進に関する法律(エコまち法)」が施行されました。 本法律に基づき「低炭素建築物認定制度」が創設され、都道府県などの所管行政庁が低炭素住宅の認定を行っています。 低炭素住宅の認定状況 低炭素住宅の認定状況は以下のとおりです。 2019年度 2020年度 2021年度 戸建て住宅 5,189件 5,932件 16,464件 共同住宅等 2,036件 2,168件 4,127件 複合建築物※ 46件 45件 72件 ※1階が事務所、2階以上がマンション(住宅)のように、1つの建物を複数の用途で使用している建築物のこと 2021年度の認定実績は、戸建て住宅が前年比約2.8倍の16,464件、共同住宅等は前年比約1.9倍の4,127件、複合建築物は前年比1.6倍の72件となっています。 2021年度に認定実績が急増したのは、2020年10月に政府がカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量実質ゼロ)を目指すことを宣言し、低炭素住宅の普及を推進していることや、2021年度辺りから燃料不足等による電力不足が話題になったことなどが理由だと考えられます。 低炭素住宅の認定基準 低炭素住宅の認定基準は以下のとおりです。 省エネ法の省エネ基準に比べ、一次エネルギー消費量が-(マイナス)20%以上になること 再生可能エネルギー利用設備が設けられていること 省エネ効果による削減量と再生可能エネルギー利用設備で得られるエネルギー量の合計値が、基準一次エネルギー消費量の50%以上であること(戸建住宅のみ) その他の低炭素化に資する措置(選択項目)が講じられていること 上記4の選択項目については、次のいずれかの措置を講じる必要があります。 貯水対策(節水型機器の採用など) エネルギーマネジメント(HEMSの導入など) ヒートアイランド対策(敷地や屋上の緑化など) 建築物(躯体)の低炭素化(住宅の劣化軽減措置など) V2H充放電設備の設置 HEMS(ヘムス)とは、「Home Energy Management System(ホーム エネルギー マネジメント システム)」の略です。エネルギー使用量を見える化し、無駄なく使うためのシステムを意味します。 V2H充放電設備とは、住宅から電気自動車等への充電、および電気自動車等から住宅への給電ができる装置のことです。 低炭素住宅のメリット 低炭素住宅には次のようなメリットがあります。 住宅ローン控除が利用できる 住宅ローン控除は、「住宅ローンの年末残高×0.7%」を所得税等から控除する制度です。住宅の省エネ性能によって、住宅ローン控除が適用される借入限度額が異なります。2023年6月時点での、低炭素住宅の借入限度額は5,000万円で、一般住宅(3,000万円)よりも2,000万円上乗せされます。 なお、2024年以降、一般住宅は住宅ローン控除の対象外となりますが、低炭素住宅は引き続き控除を受けることが可能です(借入限度額は4,500万円に変更)。 関連記事はこちら【令和5年版】住宅ローン控除とは?取得した住宅の状況に分けて解説 登録免許税の優遇措置がある 低炭素住宅は、所有権登記にかかる登録免許税も軽減されます。そもそも住宅にかかる登録免許税は、個人の住宅の用に供される床面積50㎡以上の家屋に対して、軽減税率が適用されています。低炭素住宅であれば、それよりもさらに低い税率が適用されます。なお、この制度は2024年3月31日までなので、注意が必要です。 登記の種類 本則税率 軽減税率(一般住宅) 軽減税率(低炭素住宅) 所有権保存登記 0.4% 0.15% 0.1% 所有権移転登記 2.0% 0.3% 0.1% 容積率が緩和される 容積率とは、敷地面積に対する建物の延べ床面積の割合です。低炭素住宅では、低炭素化に必要な設備にかかる床面積の容積率が緩和されます(延べ床面積の20分の1が限度)。敷地面積が同じ場合、一般住宅よりも広い家を建てることが可能です。 補助金の対象となる可能性がある 低炭素住宅は、国土交通省の「地域型住宅グリーン化事業」の補助金がもらえる可能性があります。 地域型住宅グリーン化事業とは、地域材を用いた省エネ性能等に優れた木造住宅への支援制度です。低炭素住宅であることに加えて、主要構造部が木造である、などの追加要件を満たすことが条件となります。令和5年度(2023年度)の補助限度額は140万円/戸となっています。 補助金の対象となるかは、事前にハウスメーカーや工務店に確認するといいでしょう。 出典)令和5年度地域型住宅グリーン化事業 グループ募集の開始について フラット35の金利が下がる 住宅金融支援機構のフラット35では、省エネ性能を備えた住宅を取得する際に金利優遇を受けられます。 低炭素住宅は「フラット35S」の金利Aプランに該当し、当初10年間は通常より0.25%低い金利が適用されるため、住宅ローンの返済負担の軽減が期待できます。 低炭素住宅のデメリットと注意点 低炭素住宅には次のようなデメリットがあります。 建築コストが高くなる 低炭素住宅は、認定基準を満たすための省エネ設備を導入する必要があるため、その分の費用が一般住宅よりもかかってしまいます。税制優遇や住宅ローン金利の引き下げ、補助金により、どの程度コストを吸収できるかを試算しておくことが大切です。 対応エリアが限られる 低炭素住宅は、原則として市街化区域内に建築される住宅が対象です。建築予定の土地が市街化区域内であるかを、自治体が公表している都市計画図などから確認しておきましょう。 関連記事はこちら市街化区域とは?市街化調整区域との違いを解説 低炭素住宅の認定手続きの流れ 低炭素住宅の認定手続きの流れは以下のとおりです。 審査機関に事前の技術的審査を依頼する 審査期間から適合証が発行される 所管行政庁に認定申請書を提出する(適合証を添付) 所管行政庁より認定証が交付される ただし、着工後の建築物は認定を受けられません。低炭素住宅を検討する場合は、ハウスメーカーや工務店に申請のサポートを受けられるかを確認しておきましょう。 まとめ 低炭素住宅は断熱性に優れており、1年中快適な環境で生活できるのが特徴です。税制優遇や住宅ローン金利の引き下げ、光熱費の削減など金銭面のメリットも期待できます。ただし、設備導入に費用がかかる点は注意が必要です。メリットとデメリットを比較したうえで、低炭素住宅の取得を検討してみましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 長期優良住宅とは?認定制度の概要やメリット・デメリットを解説 住宅を購入しようとするときに、「長期優良住宅」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。長期優良住宅であることで、税制優遇措置や住宅ローンの金利引き下げなどのメリットがあるため、これ...記事を読む

    2023.06.28制度
  • 【令和5年版】住宅ローン控除とは?取得した住宅の状況に分けて解説

    【令和5年版】住宅ローン控除とは?取得した住宅の状況に分けて解説

    住宅ローン控除(住宅ローン減税ともいいます)とは、住宅ローンを利用して住宅の新築、取得又は増改築等をした場合に利用できる、所得税額等を控除する制度です。住宅ローン控除を利用する場合、自身の状況に合わせてどういった条件でどのような控除が受けられるかを把握しておくことが大切です。この記事では住宅ローン控除を、取得した住宅の状況に分けて解説します。 住宅ローン控除の4つの区分 住宅ローン控除は令和4年以降に居住の用に供した場合において、全部で11つの区分に分けられます。その中でも住宅の取得に関する以下4つの区分について解説します。 ①新築住宅を取得した場合 ②買取再販住宅を取得した場合 ③中古住宅を取得した場合 ④要耐震改修住宅を取得した場合 区分ごとに控除額や利用条件が異なる部分もあるため、ご自身の状況に合った区分の住宅ローン控除について、適切に理解しておくことが大切です。 出典)国税庁「令和4年分確定申告特集 住宅ローン控除を受ける方へ」 4つの区分に共通する利用条件 4つの区分に共通する住宅ローン控除の利用条件は、以下のとおりです。 1.住宅の取得日から6か月以内に入居していること 住宅ローン控除を利用するには、住宅を取得してから6か月以内に入居している必要があります。加えて、控除を受ける年の12月31日時点に、その住宅で居住している必要があります。住宅購入から引っ越しまでの期間が空いてしまう場合は、注意しましょう。 2.床面積が40平方メートル以上であり、その半分以上が居住用であること 住宅ローン控除を利用するためには、住宅の床面積が40平方メートル以上であり、かつその半分以上が居住用であることが必要です。そのため、住宅ローン控除を利用したい場合は、新居を探す段階で気を付けておく必要があります。なお、この床面積は登記簿に表示されている床面積により判断されます。購入前にあらかじめ不動産業者に確認しておくとよいでしょう。 3.控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること 住宅ローン控除を利用するには、自身の合計所得金額が2,000万円以下でなければなりません。ただし、床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は、合計所得金額の条件が1,000万円未満となるので、注意が必要です。住宅の床面積を確認したうえで、直近の源泉徴収票などで合計所得金額を確認しておきましょう。 出典)国税庁「専門用語集 合計所得金額」 4.住宅ローンの返済期間が10年以上であること 住宅ローン控除を利用するには、10年以上にわたり分割して返済する方法になっている、新築または取得のための一定の借入金または債務が必要です。ただし、勤務先からの無利子または0.2%(平成28年12月31日以前に取得した場合は1.0%)に満たない借入や、親族や知人からの借入は対象外です。 出典)国税庁「No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等」 5.居住用として利用する住宅であること 2つ以上の住宅を保有している場合、主に居住用として利用する住宅である必要があります。例えば別荘として住宅を購入した場合だと、住宅ローン控除を利用することはできません。 6.譲渡所得の課税特例の適用がないこと 居住年および前2年以内に譲渡所得の課税の特例を受けていないことが条件です。また、居住年の後3年以内に、居住している住宅(住宅の敷地含む)以外の一定の資産を譲渡した場合も、譲渡所得の課税の特例を受けていないことが条件になります。 出典)国税庁「No.3223 譲渡所得の特別控除の種類」 7.贈与等による住宅取得ではないこと 住宅の取得時および取得後も引き続き生計を一にする者からの住宅取得でないことも条件です。また、贈与による住宅取得も対象外となります。 ①新築住宅を取得した場合 まずは、令和4年以降に新築住宅を居住の用に供した場合について解説します。 控除の内容 令和4年以降に新築住宅を居住の用に供した場合、1年間の控除額は「年末の住宅ローン残高×0.7%」で算出されます。ただし、計算に用いる住宅ローン残高には上限が設けられており、取得した住宅の環境等によって以下のように異なります。 住宅の環境性能 入居した年 令和4年・令和5年 令和6年・令和7年 認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅) 5,000万円 4,500万円 ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円 省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円 その他の一般新築住宅 3,000万円 2,000万円 例えば令和5年に認定住宅を取得した場合だと、1年間の最大控除額は35万円となります。 基本的に控除期間は13年間ですが、その他の一般新築住宅で入居した年が令和6年もしくは令和7年の場合のみ、10年間となります。 利用条件 新築住宅を取得した場合の利用条件については、前述の共通する利用条件のとおりです。 出典)国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合」 ②買取再販住宅を取得した場合 次に、令和4年以降に買取再販住宅を居住の用に供した場合について解説します。 控除の内容 令和4年以降に買取再販住宅を居住の用に供した場合も、1年間の控除額は「年末の住宅ローン残高×0.7%」で算出されます。計算に用いる住宅ローン残高の上限や、控除期間についても、新築住宅を取得した場合と同様です。 利用条件 利用条件については、前述の共通する利用条件に加えて、住宅が買取再販住宅に該当していることが必要となります。買取再販住宅とは、以下の条件を満たす住宅のことをいいます。 宅地建物取引業者が適切な特定増改築等をした住宅であること 宅地建物取引業者の既存住宅取得日から2年以内に取引された住宅であること 取引時点において、その住宅が新築された日から10年が経過していること 買取再販住宅と認定されるためには、宅地建物取引業者が定められた適切な特定増改築等を行っている必要があります。買取再販住宅に当てはまるかどうかを自分で判断するのは難しいので、事業者側に確認してもらうことが大切です。 出典)国税庁「No.1211-2 買取再販住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合」 ③中古住宅を取得した場合 続いて、令和4年以降に中古住宅を居住の用に供した場合について解説します。 控除の内容 令和4年以降に中古住宅を居住の用に供した場合も、1年間の控除額は「年末の住宅ローン残高×0.7%」で算出されます。ただし、計算に用いる住宅ローン残高には上限が設けられており、前述の新築住宅および買取再販住宅を取得した場合と上限金額が異なります。 住宅の環境性能 入居した年 令和4年・令和5年 令和6年・令和7年 認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅) 3,000万円 ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅 その他の一般新築住宅 2,000万円 例えば令和5年に認定住宅を取得した場合だと、1年間の最大控除額は21万円となります。 中古住宅を取得した場合の控除期間は10年間です。新築住宅や買取再販住宅を取得した場合と比較して、上限金額も低く、控除期間も短くなります。 利用条件 利用条件については、前述の共通する利用条件に加えて、住宅が中古住宅に該当していることが必要となります。中古住宅とは、新築住宅や買取再販住宅に該当しない住宅のうち、新耐震基準に適合している住宅をいいます。 出典)国税庁「No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合」 ④要耐震改修住宅を取得した場合 最後に、令和4年以降に要耐震改修住宅を居住の用に供した場合について解説します。 控除の内容 令和4年以降に要耐震改修住宅を居住の用に供した場合も、1年間の控除額は「年末の住宅ローン残高×0.7%」で算出されます。ただし、計算に用いる住宅ローン残高には、入居した年にかかわらず、一律で2,000万円の上限が設けられています。また、控除期間については中古住宅と同様に10年間です。 利用条件 利用条件については、前述の共通する利用条件に加えて、住宅が要耐震改修住宅に該当していることが必要となります。ここでいう要耐震改修住宅とは、新築住宅や買取再販住宅、中古住宅のいずれにも該当しない住宅のうち、建築後に一度は使用されたことのある住宅をいいます。 なお、要耐震改修住宅の取得にあたり、取得日以降に新耐震基準に適合するための耐震改修を行うことを、取得日までに申請している必要があります。加えて、実際に入居する日までに耐震改修を行うことで新耐震基準に適合することとなったことが「耐震基準適合証明書」などによって証明されていることが必要となります。 耐震工事は取得日以降に行うことになるため、取得日から実際に耐震改修が終わって入居するまでにある程度の期間を要します。取得から入居までの期間が6か月を超えると住宅ローン控除が利用できなくなってしまうので、十分注意しましょう。 出典)国税庁「No.1211-5 要耐震改修住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合」 まとめ 取得する住宅の条件によって、住宅ローン控除の控除額が変わってきます。住宅ローン控除を利用する場合は、取得する住宅の条件を確認し、今回紹介した4つの区分のどれが適用されるのかを把握しておきましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅購入時の優遇制度を解説 住宅を購入するときは、「住宅ローン控除」をはじめとしたさまざまな優遇制度が用意されています。一方で、どのような優遇制度があるのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。 この記事では、住...記事を読む

    2023.05.24制度税金