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  • マンション管理適正評価制度とは?仕組みや評価項目、メリット・デメリットを解説

    マンション管理適正評価制度とは?仕組みや評価項目、メリット・デメリットを解説

    2022年4月から「マンション管理適正評価制度」がスタートしました。本制度は適切に維持管理されているマンションが市場で評価されるための新たな仕組みです。同じ時期に国の「マンション管理計画認定制度」も開始されましたが、どんな違いがあるのでしょうか。 今回は、マンション管理適正評価制度の仕組みや国の制度との違い、メリット・デメリットについて解説します。 マンション管理適正評価制度とは マンション管理適正評価制度とは、マンションの管理状態や管理組合運営の状態をチェックし、評価結果をインターネット上で公開する仕組みです。2022年4月に開始されました。 国内では築年数の古いマンションが増加傾向にあり、維持管理に課題を抱えています。国土交通省の資料によると、令和2年末で築40年超のマンションは103.3万戸です。10年後には約2.2倍の231.9万戸、20年後には約3.9倍の404.6万戸に増加すると見込まれています。 マンションの老朽化抑制や維持管理の適正化を図るため、一般社団法人マンション管理業協会が不動産関連団体と協力して、全国共通の評価基準を創設しました。マンション管理適正評価制度ではマンションの状態が6段階で評価され、評価結果は毎年更新されます。 参考) ・国土交通省「築後30、40、50年超の分譲マンション戸数」 ・一般社団法人マンション管理業協会 マンション管理適正評価制度の評価項目 マンション管理適正評価制度では、マンションの管理状態を5つのカテゴリーに分類し、30項目について評価します。カテゴリーと各評価項目は下記のとおりです。 カテゴリー評価項目 管理体制(20ポイント)管理者の設置総会の開催、議事録の作成

    2022.06.29制度
  • 都市計画法とは?概要や定められている内容を解説

    都市計画法とは?概要や定められている内容を解説

    都市計画法は、街づくりのルールを定めた法律です。都市の開発や利用に関するルールを設けることで、快適な都市生活を送れることは理解できるかもしれません。しかし、法律でどのような事項が定められているかはよくわからないのではないでしょうか。 そこで今回は、都市計画法の概要や定められている内容についてわかりやすく解説します。 都市計画法とは 都市計画法とは、都市計画に必要な事項について定めている法律です。都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため、土地利用や都市施設の整備、市街地の開発などに関するルールが設けられています。 都市計画法第一条では、本法律の目的を以下のように定めています。 この法律は、都市計画の内容及びその決定手続、都市計画制限、都市計画事業その他都市計画に関し必要な事項を定めることにより、都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。 引用)都市計画法 第一条より 都市計画法で定められている主な内容 都市計画法で定められている内容は以下の通りです。 総則(第一章) 都市計画法の目的、基本理念、国・地方公共団体や住民の責務、用語の定義が主な内容です。都市機能を確保するために、適正な制限のもとに合理的な土地利用を進めることを基本理念としています。 国・地方公共団体には都市計画の適切な遂行に努めること、住民には目的達成に協力することを求めています。 都市計画(第二章) 都市計画の内容や決定・変更に関する内容です。都市計画に定められる区域区分の詳細や都市施設などが説明されています。都市計画は都道府県や市町村が定めるとしており、計画の決定や変更に必要な手続きについても決められています。 都市計画制限等(第三章) 開発行為や特定地域内における建築などの規制に関する内容です。無秩序に開発や建築が行われることがないように、土地利用の制限について詳細に定められています。また、開発行為や建築の許可を受けなくてはならない基準なども説明されています。 都市計画事業(第四章) 都市計画事業の認可や施行に関する内容です。誰が事業の認可を行うのか、認可や施行に必要な手続きなどについて定められています。 その他(第五章~第九章) 都道府県や市町村が施設設備予定者と締結する都市施設等設備協定、市町村長が指定できる都市計画団体の内容について定められています。また、都市計画に関する審議会や立入検査、罰則に関する説明もあります。 都市計画制度の構造と内容 都市計画法では、日本の国土を「都市計画区域」と「準都市計画区域」に分類しています。 都市計画区域は、都市として総合的に整備・開発が行われる地域のことです。原則として、都道府県が都市計画法に基づいて指定します。都道府県や市町村が策定した都市計画に基づき、都市施設の整備などが進められます。なお、2019年3月31日時点では、国土の約27%が都市計画区域に指定されており、全人口の約94%は都市計画区域内に居住しています。 ここでは、都市計画制度の構造とその内容について解説します。 マスタープラン マスタープランとは、「長期的視点にたった都市の将来像を明確にし、その実現にむけての大きな道筋を明らかにするもの」とされています。都市計画法に基づき、都道府県が都市計画区域マスタープランを策定します。主な記載事項は以下の通りです。 都市計画の目標 区域区分の決定の有無(区分を定めるときはその方針) 主要な都市計画の決定方針 なお、都市計画区域内の都市計画は、マスタープランに即したものである必要があります。 上記のほかに、市町村が策定するマスタープランもあります。市町村マスタープランは、市町村が属する都市計画区域マスタープランと市町村議会の議決を経た基本構想に即したものとなっています。 参考)国土交通省「都市計画制度の概要(都市計画法制P6)」 区域区分 無秩序な開発を防止し、計画的な市街化を図るため、都市計画法では都市計画区域を「市街化区域」と「市街化調整区域」に区分しています。どちらにも区分されていない地域を「非線引き区域」といいます。 市街化区域では、優先的・計画的に市街化が行われます。一方で、市街化調整区域は市街化を抑制すべき区域と位置付けられており、原則として開発行為は禁止されています。 地域地区(用途地域) 都市計画区域内の土地を利用目的によって区分し、建築物などのルールを決めて地域地区を指定しています。地域地区にはさまざまな種類がありますが、代表的なものが「用途地域」です。 市街化区域では、必ず用途地域を定めることになっています。大きく「住居地」「商業地」「工業地」の3つに区分したうえで、13種類の用途地域を定めています。各用途地域では建築物の用途や容積率、建ぺい率、高さなどが規制されており、これに反する建物は建築できません。 都市施設・市街地開発事業 都市施設とは、都市生活者の利便性向上や良好な都市環境の確保のために必要な施設です。具体的には、「道路」「公園」「ごみ焼却場」「下水道」などが該当します。都市計画で都市施設の整備が決定され、その区域内に建築規制が及びます。 市街地開発事業とは、市街地を面的・計画的に開発する事業のことです。土地収用や換地といった手法により、宅地や公共施設の整備などが行われます。代表的な事業の種類に「土地区画整理事業」「市街地再開発事業」などがあります。 都市施設の整備や市街地開発事業は都市計画によって決定され、その区域内に建築規制が及ぶことになります。 地区計画 地区計画とは、それぞれの地区の特性に応じて、良好な都市環境を形成するために定められる地区レベルの都市計画です。住民の意見を反映し、その地区独自の街づくりのルールを細かく定めます。地区計画で定められるルールは以下の通りです。 地区施設の配置(生活道路、公園など) 建築物の規制(用途、容積率、建ぺい率など) 緑地の保全 地区計画は市町村が条例に基づき、土地所有者などに意見を求めて作成します。 まとめ 都市計画法のおかげで無秩序な開発行為が行われることなく、都市の計画的な整備を進めることができます。不動産に関する基礎知識として、都市計画法の概要を理解しておきましょう。 執筆者紹介 大西 勝士(Katsushi Onishi) 金融ライター(AFP)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで年間200本以上の記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。 <運営ブログ> https://www.katsushi-onishi.com/ 市街化区域とは?市街化調整区域との違いを解説 住宅や土地の購入を検討している中で、「市街化区域」「市街化調整区域」という言葉を聞くことはないでしょうか。 どちらも都市計画法で定められた地域で、土地の使いみちや建築できる建物に制限がありま...記事を読む

    2022.06.22制度
  • 土地区画整理事業とは?概要や仕組み、事業の流れをわかりやすく解説

    土地区画整理事業とは?概要や仕組み、事業の流れをわかりやすく解説

    土地区画整理事業は、住みやすい街づくりのために宅地や公共施設を整備する手法の一つです。言葉は聞いたことがあっても、実際にどんなことが行われるかはよくわからないのではないでしょうか。 今回は土地区画整理事業の概要や仕組み、事業の流れについて解説します。 土地区画整理事業とは? 土地区画整理事業とは、都市計画区域内で行われる市街地整備の代表的な手法の一つです。道路や公園などの公共施設と宅地の総合的な整備が可能となります。土地区画整理法では、土地区画整理事業を以下のように定義しています。 「土地区画整理事業」とは、都市計画区域内の土地について、公共施設の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため、この法律で定めるところに従って行われる土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に関する事業をいう。 引用)土地区画整理法 第二条 古い市街地は道路が狭く、複雑に入り組んで境界線があいまいになっているところもあります。このような土地をきれいに整備することで、快適で住みやすい街に生まれ変わります。 引用)小樽市「土地区画整理事業」 土地区画整理事業はさまざまな場面で活用されており、施行面積は2017年3月末現在で約37万haとなっています。 参考)公益社団法人 街づくり区画整理協会「土地区画整理事業とは」 土地区画整理事業の仕組み 土地区画整理事業では、道路や公園などが整備されていない区域の地権者から少しずつ土地を提供(減歩)してもらい、公共用地に充てます。提供してもらった土地(保留地)を売却し、移転や整備といった事業資金の一部に充当します。 地権者の宅地は、新たな区画に合わせて再配置(換地)されます。減歩で面積は減少しますが、地形や形状の改善によって従前の土地に見合う評価を得られます。なお、不均衡が生じる場合は金銭(清算金)で調整されます。 引用)成田市「区画整理のしくみ」 主な区画整理の用語 区画整理の仕組みを理解するために、主な用語の意味を確認しておきましょう。 ・保留地(ほりゅうち) 土地区画整理事業で整備された宅地のうち、施行者が換地と定めない宅地のことです。施行者は保留地を売却して事業資金の一部に充当します。 ・減歩(げんぶ) 土地区画整理事業のために地権者が土地の一部を提供することです。減歩には「公共減歩」と「保留地減歩」の2つがあります。公共減歩は公共施設の整備、保留地減歩は事業資金に充てるための減歩です。 ・換地(かんち) 土地区画整理事業で公共施設などが整備された後に、従前の土地に対して新しく置き換えられた土地のことです。 ・仮換地(かりかんち) 仮換地指定によって、区画整理前の土地から使用収益権が移行した土地のことです。建物の建築が可能で、通常はそのまま換地となります。 事業の施行者 土地区画整理事業の施行者になれるのは以下6者です。 施行者定めるもの同意認可 個人施行規約全員同意知事の認可 組合施行定款2/3以上の同意知事の認可 会社施行基準議決権の過半数2/3以上の同意知事の認可 地方公共団体施行施工規程土地区画整理審議評議会評価員知事または国土交通大臣の認可 国土交通大臣施行 都市再生機構等施行 参考)公益社団法人 街づくり区画整理協会「土地区画整理事業とは」 国や地方公共団体だけでなく、宅地所有者または借地権者である個人、その個人が共同で設立した組合が施行者となることも可能です。ただし、規約や定款を定めたうえで、施行地区内の土地所有者の同意や知事の認可を得る必要があります。 事業の費用負担 土地区画整理事業に必要な費用は、保留地の売却によって賄われます。また、国からの補助金や地方公共団体の助成金、公共施設管理者負担金も活用されます。 公共施設管理者負担金とは、公共減歩された土地の用地費相当額について地方公共団体などの施設管理者に負担を求めるものです。 土地区画整理事業で期待できる効果 土地区画整理事業では以下のような効果が期待できます。 地域のコミュニティがそのまま生かされる 安全で快適な道路に生まれ変わる 公園が確保される(子どもの遊び場、憩いの場) 宅地が利用しやすくなる(形が整う、境界が明確になる) 上下水道、ガスなどのインフラ施設を一体的に整備できる 整備前の権利を保全しながら事業を行うので、地域のコミュニティを維持しながら、宅地や道路をより使いやすい形に整備できます。公園などの公共施設が確保され、インフラ施設も一体的に整備されるため、治安の向上や災害の防止・被害軽減などにつながります。 土地区画整理事業の流れ 土地区画整理事業の流れは以下の通り です。 企画・調査 都市計画決定 事業計画 換地設計 仮換地指定 移転補償・工事 換地処分・登記 清算 施行者は住民参加の機会なども作りながら企画・調査を進め、土地区画整理事業を都市計画として定めます。設計内容や施行期間、資金計画などをまとめて、都道府県知事などに事業認可を申請します。 認可を得たら換地設計を行い、工程にあわせて仮換地の指定をして地権者に通知します。地権者と補償契約を締結し、地権者は期日までに建物の移転を行います。 換地処分によって従前地の権利が換地へ移行し、清算金の額などが確定すると、施行者が一括して全宅地の登記を行います。換地について不均衡が生じる場合は、清算金の徴収・交付によって調整します。 まとめ 土地区画整理事業で道路や公共施設、宅地が整備されることで、より快適で安全な街に生まれ変わります。お住まいの地域で土地区画整理事業の実績や実施状況、予定を知りたい場合は地方公共団体のホームページなどで確認してみましょう。 執筆者紹介 大西 勝士(Katsushi Onishi) 金融ライター(AFP)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで年間200本以上の記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。 <運営ブログ> https://www.katsushi-onishi.com/

    2022.06.15制度
  • 生産緑地とは?制度概要やメリット・デメリット、2022年問題について解説

    生産緑地とは?制度概要やメリット・デメリット、2022年問題について解説

    生産緑地は、良好な生活環境を確保するために自治体が指定する農地です。生産緑地には「2022年問題」があり、今後の不動産価格に影響を与える可能性があります。住宅や賃貸不動産などの売買を検討している場合は、生産緑地について理解しておくことが大切です。 今回は、生産緑地の制度概要やメリット・デメリット、2022年問題について詳しく解説します。 生産緑地とは 生産緑地とは、1992年の改正生産緑地法によって制定された農地のことです。無秩序な開発によって緑地が減少すると、住環境の悪化や土地機能の低下、災害発生などの恐れがあります。 そのため、良好な生活環境の確保に効用がある農地を「生産緑地地区」として都市計画に定め、都市部にある農地の計画的な保全を図っています。生産緑地には固定資産税などの税制優遇がある一方で、土地利用にさまざまな規制が設けられています。 国土交通省の調査によれば、2020年3月31日現在、全国の生産緑地は12,332.3haです。その半分以上を関東が占めており、首都圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)や愛知、大阪といった都市部に集中しています。 参考)国土交通省「令和2年都市計画現況調査(生産緑地地区)」 生産緑地の指定要件 市街化区域内にある農地で、以下3つの要件に当てはまるものを生産緑地に指定できます。 良好な生活環境の確保に相当の効果があり、公共施設等の敷地に供する用地として適しているもの 500㎡以上の面積 農林業の継続が可能な条件を備えているもの 自治体が都市計画を決定し、生産緑地地区を定めます。 参考)国土交通省 都市局 公園緑地・景観課 生産緑地のメリット 生産緑地のメリットは以下の通りです。 固定資産税が軽減される 生産緑地に指定されると、固定資産税が軽減されます。固定資産税における農地区分は以下4つで、評価方法や課税方法が異なります。 農地区分評価方法課税方法 一般農地農地評価農地課税 市街化区域農地生産緑地地区農地農地評価農地課税 一般市街化区域農地宅地並評価農地に準じた課税 特定市街化区域農地宅地並評価宅地並課税 生産緑地は、固定資産税の評価や課税の取り扱いは一般農地と同様です。農林水産省の資料によれば、10aあたりの税額は一般市街化区域農地が数万円、特定市街化区域農地が数十万円であるのに対し、生産緑地は数千円に抑えられています。 参考)農林水産省「農地の保有に対する税金(固定資産税)」 相続税の納税が猶予される 農業を営んでいた者から生産緑地を相続し、その生産緑地で農業を続ける場合は相続税の納税が猶予されます。亡くなるまで一生農業を続けた場合は、猶予されていた相続税は免除となります。 ただし、あくまでも猶予である点に注意が必要です。「途中で農業をやめる」など納税猶予の要件を満たさなくなると、猶予されていた相続税に加えて、猶予期間に応じた利子税を納めなくてはなりません。 生産緑地のデメリット 生産緑地には以下のようなデメリットもあります。 30年間の営農義務が生じる 生産緑地に指定されると、30年間の営農義務が生じます。長期にわたって継続的に、農地として維持管理を行わなくてはなりません。また、生産緑地であることがわかるように掲示する必要もあります。 指定から30年経過後または主たる従事者の死亡・身体故障が生じた場合は、自治体に対して買取り申出が可能です。 行為の制限がある 生産緑地には行為の制限があり、建物の増改築や宅地の造成、土石の採取などを自由に行うことはできません。「公共施設の設置・管理に係る行為」「非常災害のために必要な行為」といった例外はありますが、基本的には自治体の許可が必要になります。 無断で開発行為をすると生産緑地の指定が取り消され、税制優遇を受けられなくなる恐れがあります。 参考)国土交通省 都市局 公園緑地・景観課 生産緑地の2022年問題とは 生産緑地の2022年問題とは、大量の生産緑地が2022年に指定解除されることで地価暴落の可能性があることです。 現在の生産緑地は1992年に一斉に指定されており、2022年に約8割の生産緑地が指定から30年を経過します。指定解除された生産緑地が宅地化されて大量に供給されることにより、地価暴落の発生が懸念されています。 ただし、この2022年問題に対応するため、2017年に生産緑地法は改正されています。主な改正内容は以下の通りです。 面積要件を条例で300㎡まで引き下げ可能 行為の制限を緩和 特定生産緑地制度の導入 面積要件引き下げにより、これまで要件を満たさなかった小規模農地も生産緑地に指定可能となりました。また、一定の要件を満たす販売施設や農家レストランの設置も認められます。この法改正により、農地所有者の営農意欲や収益性の向上が期待できます。 所有者の意向をもとに、自治体が「特定生産緑地」として指定できる制度も導入されました。特定生産緑地に指定されると、買取り申出ができる期間が10年延期されます。10年経過後は、あらためて所有者の同意を得たうえで繰り返し10年の延長が可能です。 上記の対応により、2022年問題の影響緩和が期待できます。2022年4月時点で地価暴落は発生していませんが、今後の不動産価格の動向を注視する必要はあるでしょう。 参考)国土交通省 生産緑地制度 まとめ 生産緑地は税制優遇措置を受けられる一方で、30年間の営農義務や行為の制限が課されています。法改正により2022年問題の影響緩和が期待できますが、不動産価格への影響は不透明な部分もあります。不動産を売買する予定がある場合は、不動産価格の動向を確認しておきましょう。 執筆者紹介 大西 勝士(Katsushi Onishi) 金融ライター(AFP)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで年間200本以上の記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。 <運営ブログ> https://www.katsushi-onishi.com/

    2022.06.01制度
  • 住宅の瑕疵保険とは?必要性や種類、メリット・デメリットを解説

    住宅の瑕疵保険とは?必要性や種類、メリット・デメリットを解説

    マイホームを購入するときは、住宅に欠陥や不具合がないか気になるのではないでしょうか。安心して住宅を売買するために、「瑕疵(かし)保険」という仕組みがあります。 瑕疵とは、本来あるべき性能や品質を持っていないことです。住宅の場合、建築基準法に定められた基準を満たしておらず、重大な欠陥がある状態をいいます。瑕疵保険に加入している住宅なら、購入後に欠陥が見つかっても無償で直してもらえます。 今回は、瑕疵保険の必要性や種類、メリット・デメリットについてわかりやすく解説します。 瑕疵保険とは 瑕疵保険とは、住宅の検査と保証がセットになった保険制度です。国土交通大臣が指定した住宅専門の保険会社(住宅瑕疵担保責任保険法人)が保険を引き受けます。 ■住宅瑕疵担保責任保険法人一覧 株式会社住宅あんしん保証 住宅保証機構株式会社 株式会社日本住宅保証検査機構 株式会社ハウスジーメン ハウスプラス住宅保証株式会社 (一財)住宅保証支援機構 ※2022年5月現在 出典)国土交通省 住宅瑕疵担保責任保険法人 住宅の購入者ではなく、事業者が加入する仕組みで、購入した住宅に欠陥が見つかった場合は、補修等を行った事業者に保険金が支払われます。 新築住宅と中古住宅のどちらも瑕疵保険の加入対象です。新築住宅は、建設工事完了日から1年以内に引き渡しまたは売買契約の締結が行われた住宅です。中古住宅は、新耐震基準を満たすことが要件です。新築と中古ともに、建築士による検査に合格する必要があります。 瑕疵保険の必要性 住宅の瑕疵保険はなぜ必要なのでしょうか。ここでは、新築住宅と中古住宅それぞれについて瑕疵保険の必要性を解説します。 新築の場合 新築住宅の売主は、住宅の主要構造部分の瑕疵について10年間の瑕疵担保責任を負う義務があります。しかし、売主の倒産などによって瑕疵担保責任を十分に果たせない場合、住宅購入者に大きな費用負担が生じます。 そのため、住宅購入者の利益保護を目的に、2007年に住宅瑕疵担保履行法が成立・公布されました。瑕疵担保責任の履行が確保されるように、新築住宅等の売主等に対して「保証金の供託」または「保険加入」が義務付けられました。事業者が倒産して補修を行えない場合、住宅購入者は保険法人に保険金を直接請求できます。 中古の場合 中古住宅の瑕疵保険は、新築とは異なり「任意加入」です。中古は築年数や使用状況によって品質に差が生じます。そのため、物件購入後に欠陥や不具合が見つかるかもしれません。 中古住宅の売買契約は、売主が「宅建業者」と「一般の方(個人間売買)」の2種類です。 売主が宅建業者の場合は、宅建業法上の瑕疵担保責任の義務に対応するため、2年間の保証が付くのが一般的です。一方、個人間売買の場合、保証なしで売買されることも多いです。そのため、中古住宅市場では、特に個人間売買において瑕疵保険の必要性が高まっているといえるでしょう。 瑕疵保険の種類 瑕疵保険は「新築住宅」と「既存住宅」の大きく2種類に分かれます。ここでは、それぞれの概要を確認してきましょう。 新築住宅 新築住宅の瑕疵保険を「住宅瑕疵担保責任保険」といい、「住宅瑕疵担保責任保険(1号保険)」と「住宅瑕疵担保責任任意保険(2号保険)」の2種類に分かれます。1号保険は、住宅瑕疵担保履行法に定める建設業者・宅建業者の資力確保義務に対応する保険、2号保険は、売主に資力確保義務がない場合に加入する保険です。 いずれも保険加入にあたり、事業者は住宅の工事中に建築士の検査を受けて合格する必要があります。新築住宅に瑕疵があった場合、補修等を行った事業者に対して保険金が支払われるため、購入者は無償で直してもらえます。請負契約や売買契約の際に業者から説明が行われるので、内容を確認しておきましょう。 既存住宅 既存住宅の瑕疵保険は下記の4種類に分かれます。 既存住宅売買瑕疵保険 リフォーム瑕疵保険 大規模修繕工事瑕疵保険 延長保証保険 既存住宅売買瑕疵保険は中古住宅の売買における瑕疵保険で、売主が「宅建業者の場合」と「宅建業者以外の場合」に分かれ、宅建業者以外の場合では、さらに「検査事業者保証」と「仲介事業者保証」に分かれます。 つまり、宅建業者が売主の場合は、宅建業者が保険に加入し、一般の方が売主の場合は、仲介業者や検査事業者が保険に加入する仕組みです。新築と同じく、保険に加入するには専門の建築士による検査を受けて合格しなくてはなりません。 リフォーム瑕疵保険は、リフォーム時の検査と保証がセットになった保険です。リフォーム工事中や工事完了後に、第三者である建築士の現場検査が行われます。工事後に欠陥が見つかった場合、補修等を行った事業者に対して保険金が支払われる仕組みです。 大規模修繕工事瑕疵保険はマンションの大規模修繕における瑕疵保険であるため、一般の方が利用する機会はないでしょう。延長保証保険は、新築住宅の引き渡し後10年間の瑕疵担保責任期間が経過後に検査・補修した場合の保険です。延長保険契約時の現況検査やメンテナンス工事の実施が加入要件となります。 参考)国土交通省「住宅瑕疵担保制度ポータルサイト」 瑕疵保険のメリット・デメリット 住宅購入後に欠陥が見つかった場合に無償で直してもらえるのがメリットです。また、瑕疵保険の加入にあたり専門の建築士による検査を受けるため、売主は購入希望者に物件の安全性をアピールでき、買主は瑕疵保険に加入している物件なら安心して購入できるでしょう。 一方で、保険料負担が生じることがデメリットです。さらに、売主は検査を受けて欠陥が見つかった場合、瑕疵保険の加入基準を満たすために追加工事が必要になる可能性もあります。また、中古住宅の保険期間は1~5年であるため、保険内容によっては短期間しか保証されない可能性があります。 瑕疵保険の利用方法 売主が宅建業者の場合は、事業者が加入するため購入者は手続き不要です。売買契約時などに瑕疵保険の説明や書類への記載があります。また、引き渡しの際に保険の証明書を受け取る必要があるので、忘れないようにしましょう。 住宅に瑕疵が見つかった場合は、売主(事業者)に補修依頼をします。売主が倒産している場合は、保険法人に補修費用(保険金)の直接請求が可能です。保険の証明書を確認して連絡をとりましょう。 売主が一般の方(個人間売買)の場合は、検査事業者に補修依頼をします。売主が事業者の場合と同じく、検査事業者が倒産している場合は保険法人に補修費用を直接請求できます。 売主との間でトラブルが発生した場合は、「住宅紛争処理支援センター」に相談できます。「住宅紛争審査会」に申請して、「あっせん」「調停」「仲裁」を受けることも可能です(申請手数料1万円)。 まとめ マイホームを購入する場合、瑕疵保険に加入している住宅なら欠陥が見つかっても無償で直してもらえます。特に個人間売買で中古住宅を取得する場合は、瑕疵保険の有無を確認してから購入しましょう。 執筆者紹介 大西 勝士(Katsushi Onishi) 金融ライター(AFP)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで年間200本以上の記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。 <運営ブログ> https://www.katsushi-onishi.com/

    2022.05.18制度
  • 住宅購入時の優遇制度を解説、2022年以降の変更点も紹介

    住宅購入時の優遇制度を解説、2022年以降の変更点も紹介

    住宅を購入するときは、「住宅ローン減税」をはじめとしたさまざまな優遇制度が用意されています。一方で、どのような優遇制度があるのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、住宅購入で得られるさまざまな優遇制度について詳しく解説します。 住宅ローン減税 住宅ローンを借りて住宅を購入する場合は、住宅ローン減税が利用できる可能性があります。まずは住宅ローン減税の概要や要件、申請方法について確認していきましょう。 住宅ローン減税の概要 住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)とは、住宅取得者の住宅ローン金利負担の軽減を図るための制度です。住宅ローン年末残高の0.7%が10年間所得税から控除され、控除額と納税額に応じて所得税が還付されます。所得税から控除しきれない場合は、住民税から控除することも可能です。 また、一定の要件を満たす場合は控除期間が13年に拡充されています。物件は新築だけでなく、中古住宅や増築、省エネ・バリアフリー改修工事なども対象に含まれます。住宅ローン減税は節税効果が高いため、住宅ローンを利用するなら積極的に活用したい制度です。 参考)すまい給付金サイト「住宅ローン減税の概要」 住宅ローン減税の適用要件 住宅ローン減税の適用要件は以下4つです。 自ら居住すること 床面積が50㎡以上であること 中古住宅は耐震性能を満たしていること 借入期間・年収の要件を満たしていること 住宅ローン減税は、自ら居住するための住宅が対象です。別荘などのセカンドハウス、賃貸用物件は対象外です。対象となる住宅は、床面積が原則50㎡以上*であることが要件です。 ※特例特別特例取得の場合は床面積が40㎡以上の場合 新築住宅は現在の建築基準法に基づいて設計されますが、中古住宅は現行の耐震基準を満たしていない可能性があります。そのため、中古住宅の場合は「築年数が一定年数以下」「現行の耐震基準に適合している」といった要件を満たさなくてはなりません。そのほか、「住宅ローンの償還期間(返済期間)が10年以上」「合計所得金額が2,000万円以下」といった要件もあります。 住宅ローン減税の申請方法 住宅ローン減税の申請手続きの流れは以下の通りです。 住宅を購入する 入居する(6ヵ月以内) 必要書類を入手する 入居翌年に確定申告を行う 住宅ローン減税を利用するには、普段は年末調整のみを行っている会社員だとしても、入居した翌年に以下の必要書類を添付して確定申告を行う必要があります。 住民票の写し 住宅ローン残高証明書 登記事項証明書 売買契約書 給与等の源泉徴収票 中古住宅の場合は、現行の耐震基準を満たしていることを証明する書類(耐震基準適合証明書など)も必要です。会社員(給与所得者)は、2年目以降は勤務先に住宅ローン残高証明書を提出すれば年末調整で控除を受けられます。 2022年度以降の変更点 2021年12月に2022年度の与党税制改正大綱が決定し、住宅ローン減税の内容が一部変更される見通しとなりました。主な変更点は以下の通りです。 適用期限(2021年12月31日)を2025年末まで4年間延長 控除率を現行の1%から0.7%に縮小 所得要件を3,000万円以下から2,000万円以下に縮小 新築住宅の控除期間は原則10年から原則13年に拡大(中古は10年のまま) 低金利で控除率が住宅ローン金利を上回る「逆ざや」を解消するため、控除率が0.7%に引き下げられました。控除率や所得要件は引き下げられましたが、新築住宅の控除期間は原則13年に拡大されています。 また、控除対象となる住宅ローン借入残高の上限は以下のように変更されます。 表 住宅ローン借入残高の上限額(単位:万円) 住宅の種類 2022~23年入居 2024~25年入居 借入限度額(万円) 控除期間 借入限度額(万円) 控除期間 新築 長期優良住宅低炭素住宅 5,000 13年 4,500 13年 ZEH住宅 4,500 3,500 省エネ基準適合住宅 4,000 3,000 一般住宅 3,000 0* 10年 中古 長期優良住宅低炭素住宅ZEH住宅省エネ基準適合住宅 3,000 10年 3,000 一般住宅 2,000 2,000 ※2023年までに建築確認を取得した場合には、2,000万円 参考)令和4年度税制改正の大綱 住宅ローン減税以外の減税制度 住宅購入では、住宅ローン減税の他にも税負担が軽減される制度が用意されています。ここでは、住宅ローン減税以外の減税制度を紹介します。 印紙税の軽減措置 住宅を購入する際は、売買契約書に収入印紙を貼付して印紙税を納めなくてはなりません。不動産売買契約書の印紙税は、軽減措置によって税率が引き下げられています。2024年3月31日までに作成される契約書については、以下の軽減税率が適用されます。 表 印紙税の軽減措置(単位:円) 契約金額 本則税率 軽減税率 100万円超 500万円以下 2,000 1,000 500万円超 1,000万円以下 10,000 5,000 1,000万円超 5,000万円以下 20,000 10,000 5,000万円超 1億円以下 60,000 30,000 1億円超 5億円以下 100,000 60,000 5億円超 10億円以下 200,000 160,000 印紙税は、物件価格(契約金額)が高くなるほど税負担も増える仕組みです。軽減措置の適用期間中に売買契約を締結すれば、印紙税の節税になります。 参考)国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置」 登録免許税の軽減措置 登録免許税とは、購入した住宅(土地、建物)の登記を行うときに納める税金です。課税標準額(固定資産税評価額)に税率を掛けて税額を計算します。 購入した住宅の所有権を設定するため、新築住宅は所有権保存登記、中古住宅の場合は所有権移転登記を行わなくてはなりません。住宅ローンを利用する場合は、抵当権設定登記も必要です。 住宅購入に関する登録免許税の軽減措置は以下の通りです。 表 登録免許税の軽減措置(単位:%) 登記の書類 本則税率 軽減税率 土地の所有権移転登記 2.0 1.5 住宅用家屋の所有権保存登記 0.4 0.15 住宅用家屋の所有権移転登記 2.0 0.3 抵当権設定登記 0.4 0.1 土地は2023年3月31日、住宅用家屋と抵当権は2022年3月31日まで軽減税率が適用されます。住宅用家屋については、床面積50㎡以上などの要件があります。 参考)財務省「登録免許税に関する資料」 不動産取得税の軽減制度 不動産取得税とは、住宅などの不動産を取得したときに課される税金です。税額は、課税標準額(固定資産税評価額)に税率を掛けて計算し、税率は土地・家屋ともに3.0%です。 住宅購入では、土地・家屋にかかる不動産取得税の軽減制度があります。2024年までに取得した土地については、課税標準額が1/2となり、「土地を取得後3年以内に住宅が新築されている」などの要件を満たすと、さらに税額が軽減されます。家屋については、以下の床面積要件を満たす新築住宅を購入した場合、課税標準額から1,200万円が控除されます。 表 新築住宅の床面積要件 住宅の種類 床面積要件 一戸建て 50㎡以上 240㎡以下 一戸建て以外(マンションなど) 40㎡以上 240㎡以下 中古住宅についても同様の軽減措置がありますが、現行の耐震基準に適合していることが要件です。住宅が新築された日に応じて、100万円から1,200万円の間で課税標準額から控除されます。 固定資産税の軽減制度 住宅を所有すると、毎年固定資産税が課税されます。固定資産税の税額は、土地・家屋ともに課税標準額(固定資産税評価額)の1.4%です。ただし、住宅用地には課税標準の特例措置があり、小規模住宅用地(住宅1戸につき200㎡までの部分)は課税標準額の1/6、一般住宅は課税標準額の1/3で税額を計算します。 家屋については、新築住宅で「50㎡以上 280㎡以下」という床面積要件を満たす場合、固定資産税額の2分の1が減額されます。減額期間は一戸建てが3年間、マンションが5年間で、2022年3月31日までに新築された住宅が対象となります。 住宅取得等のための資金にかかる贈与税非課税措置 父母や祖父母などの直系尊属から自ら居住する住宅の新築・購入、増改築のために金銭の贈与を受けた場合、以下の金額まで贈与税が非課税になります。 一般住宅:1,000万円 質の高い住宅:1,500万円 本措置を申請する受贈者(贈与を受ける人)は、下記の要件を満たす必要があります。 贈与年の1月1日で20歳以上 贈与年の合計所得金額が2,000万円以下 贈与年の翌年3月15日までにその家屋に居住する また、対象となる家屋は、床面積50㎡以上240㎡以下で中古住宅は耐震基準に適合するものである必要があります。なお、「質の高い住宅」とは下記のような要件を満たす住宅です。 断熱等性能等級4又は一次エネルギー消費量等級4以上の住宅 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上又は免震建築物の住宅 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上の住宅 本措置を受けるには、確定申告時に税務署に申請する必要があります。申請の際は「受贈者の戸籍謄本」「贈与年の所得金額を証明する書類」「売買契約書」「登記事項証明書」などが必要です。手続きの詳細は税務署に確認しましょう。 参考)国土交通省「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」 すまい給付金 一定の要件を満たす住宅を購入する場合は、すまい給付金の給付を受けられます。住宅ローン減税と併用できるので、住宅購入費用の負担軽減が期待できます。ここでは、すまい給付金の概要や適用要件、申請方法について確認していきましょう。 すまい給付金の概要 すまい給付金とは、消費税率引き上げによる住宅購入者の負担を緩和するための制度です。住宅ローン減税は、住宅ローン残高の一定割合を所得税や住民税から控除する仕組みなので、収入が高い人の節税効果が高い一方で、収入が低い人への節税効果は限定されます。 一方ですまい給付金は、収入が一定以下の人を対象に給付金が支給されます。収入額によって給付額が変わるため、収入が低い人でも住宅購入費用の負担軽減が期待できます。 ただし、新築注文住宅は2021年9月30日、新築分譲住宅・中古住宅は2021年11月30日までに契約した物件で、2022年12月31日までに引き渡し・入居が完了した住宅が対象となりますので、これから住宅を契約する人は対象外です。 参考)すまい給付金「すまい給付金とは」 すまい給付金の適用要件 すまい給付金は、以下の要件を満たす人が対象者です。 住宅の所有者(不動産登記上の持分保有者) 購入した住宅に自ら居住する 収入が一定以下(年収775万円以下が目安) 住宅ローンを利用しない場合は年齢が50歳以上 すまい給付金を受けるには、購入した住宅に自ら居住する必要があります。収入要件もあり、収入額の目安と給付基礎額は以下の通りです。 表 収入額の目安と給付基礎額(単位:円) 収入額の目安 給付基礎額 450万円以下 500,000 450万円超 525万円以下 400,000 525万円超 600万円以下 300,000 600万円超 675万円以下 200,000 675万円超 775万円以下 100,000 また、すまい給付金の対象となる住宅の主な要件は以下の通りです。 引き上げ後の消費税率が適用される 床面積が50㎡以上 第三者機関の検査を受けた住宅 新築住宅は施工中、中古住宅は売買時に第三者の検査を受け、一定の品質が確認された住宅が対象となります。 すまい給付金の申請方法 すまい給付金は対象となる住宅を購入し、入居した後に申請が可能となります。申請期限は、住宅の引き渡しから1年3ヵ月以内です。すまい給付金事務局に申請書類を郵送するか、全国のすまい給付金申請窓口に持参します。 申請者は原則として住宅取得者ですが、住宅事業者等が手続きを代行することも可能です。事務局が申請内容に間違いがないかを確認し、審査に通過すると、申請時に指定した口座に給付金が振り込まれます。 まとめ 個人の住宅取得を後押しするため、国はさまざまな優遇制度を用意しています。この記事で紹介した優遇制度を利用すれば、住宅購入費用の負担軽減が期待できます。なお、それぞれの制度には終了期限が設けられているので、常に最新の情報をチェックするようにしてください。住宅購入を検討しているなら、優遇制度を最大限に活用しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

  • 建物状況調査とは?診断項目やメリット・デメリット、利用方法を解説

    建物状況調査とは?診断項目やメリット・デメリット、利用方法を解説

    中古住宅は新築より割安な価格で購入できるのが魅力ですが、元の所有者の維持管理や築年数などによって品質に差があります。中古住宅の購入を検討する場合、性能や品質に問題がないか不安を感じるのではないでしょうか。 建物状況調査を利用すれば、購入前に建物の状況や不具合を確認することができます。今回は、建物状況調査の概要や診断項目、メリット・デメリットについて詳しく解説します。 建物状況調査とは 建物状況調査とは、宅建業法で定められた基準をもとに実施する検査のことです。一定以上の知識や技術力を有する「既存住宅状況調査技術者(国の定める講習を修了した建築士)」が実施します。 建物状況調査が生まれた背景 建物状況調査は2018年の宅建業法改正に伴い、従来の「ホームインスペクション」とは一線を画す形で生まれました。宅建業法改正により、中古住宅の売買に関する手続きについて宅建業者に義務付けられた内容は以下3つです。 媒介契約締結時に建物状況調査のあっせんに関する書面を依頼者に交付する 買主に対して建物状況調査の結果を重要事項として説明する 売買契約成立時に売主と買主の双方が確認した事項を書面で交付する 宅建業者に義務付けられているのは、あくまでも説明やあっせんです。実施が義務付けられたわけではない点を理解しておきましょう。 建物状況調査の診断項目 建物状況調査の診断項目は、「構造耐力上主要な部分」と「雨水の侵入を防止する部分」の2つに分かれます。木造戸建て住宅(2階建て)の場合は以下の通りです。 <構造耐力上主要な部分> 基礎 壁 柱 小屋組 土台 斜材 床版 屋根版 横架材 <雨水の侵入を防止する部分> 屋根 外壁 開口部 国土交通省の定める基準に従い、検査機器を使用して目視や非破壊検査を行います。物件の状態や規模によりますが、所要時間は3時間程度が一般的です。 建物状況調査とホームインスペクションの違い 「建物状況調査」と「ホームインスペクション」は、同義として扱われる場合もありますが、厳密には異なります。ホームインスペクションは、住宅に関する検査全般を意味する言葉です。さまざまな呼び名があり、業者によって検査員の資格の有無や検査内容が異なります。中古住宅を売買する前に建物の状況を確認したい場合は、建物状況調査とホームインスペクションの違いを理解しておくことが大切です。 建物状況調査のメリット 中古住宅の売買に建物状況調査を活用することには、売主と買主の双方にメリットがあります。 買主のメリット 買主のメリットは以下の通りです。 安心して購入できる 購入後のメンテナンスの予定が立てやすい 専門家からアドバイスを受けられる 専門家の調査によって建物の状況や不具合の有無を確認できるので、安心して物件を購入できます。あらかじめ修繕の必要性を把握することで、購入後のリフォームや修繕といったメンテナンスや費用の見積もりが立てやすくなるでしょう。調査結果に応じて、専門家からアドバイスを受けることも可能です。 売主のメリット 売主のメリットは以下の通りです。 引渡し後のトラブル回避が期待できる 競合物件との差別化につながる 建物状況調査の結果を買主に伝えてから売却できるので、引渡し後のトラブルを回避しやすくなります。建物状況調査を実施したことをアピールすれば、(調査を受けていない)競合物件との差別化にもつながるでしょう。 建物状況調査のデメリット 一方で、建物状況調査には以下のようなデメリットもあります。 買主のデメリット 調査費用を買主が負担する場合は、コストがかかるのがデメリットです。また、建物状況調査は瑕疵の有無を判定するものではありません。調査結果に問題がなくても、瑕疵がないことが保証されるわけではない点に注意が必要です。 売主のデメリット 調査費用を売主が負担する場合は、物件売却で得られる収益が減少します。また、建物状況調査を実施すると、物件に不具合が見つかるかもしれません。調査結果によっては、補修費用の負担や値下げの必要性が生じる可能性があります。 建物状況調査の利用方法 建物状況調査を利用する場合は、「既存住宅状況調査技術者検索サイト」で調査実施者を探します。不動産業者が提携している調査実施者がいる場合は、あっせんを希望する旨を伝えて対応してもらう方法もあります。 調査実施者を選定したら、見積もりをとって診断内容や料金を確認しましょう。見積もりの内容に問題がなければ、診断日時を決定します。検査当日までに準備が必要な書類の具体例は以下の通りです。 間取り図 販売図面 確認済証 検査済証 住宅性能評価証 新耐震基準適合証明書 マンションの場合は、上記に加えて管理規約や長期修繕計画の写しなども必要です。調査を依頼する業者に確認して準備を進めましょう。 当日は基本的に依頼者も調査に立ち合い、その場で説明を受けます。後日報告書が送られてくるので、不明点があれば問い合わせて確認しましょう。 参考)住宅リフォーム推進協議会「既存住宅状況調査技術者検索サイト」 まとめ 建物状況調査を活用すれば、取引前に建物の状況を把握できるので、中古住宅を安心して売買できます。広義のホームインスペクションとの違いを理解したうえで、依頼する調査実施者を探しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 マンション管理計画認定制度とは?認定基準やメリット・デメリットを解説 2022年4月から「マンション管理計画認定制度」がスタートします。マンション管理適正化の推進を目的に創設された制度で、マンションの管理や資産価値などに影響を与える可能性があります。 本制度の...記事を読む

    2022.05.04制度
  • 雇用保険マルチジョブホルダー制度とは?適用要件や失業給付、手続きの流れをわかりやすく解説

    雇用保険マルチジョブホルダー制度とは?適用要件や失業給付、手続きの流れをわかりやすく解説

    2022年1月1日から65歳以上の労働者を対象に「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が新設されました。雇用保険に加入できる条件が緩和されたため、非正規社員として短時間の勤務をする場合でも、失業に備えることが出来るようになりました。 今回は、雇用保険マルチジョブホルダー制度の概要や適用要件、失業給付についてわかりやすく解説します。 雇用保険マルチジョブホルダー制度とは 雇用保険マルチジョブホルダー制度とは、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、2つの事業所において一定の要件を満たす場合に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)になれる制度です。 従来の制度では、65歳以上の労働者が雇用保険に加入するには「労働時間週20時間以上、かつ31日以上の雇用期間」などの条件を満たす必要がありました。 現在は少子高齢化が進み、「老後資金の確保」「労働力不足の解消」が課題となっています。雇用保険の加入条件緩和によって高齢者の労働機会が増加すれば、勤労収入を老後の生活費を充てられます。また、若年層だけでは足りない労働力を補う効果も期待できます。 参考)厚生労働省「マルチジョブホルダー制度とは」 雇用保険マルチジョブホルダー制度の適用要件 雇用保険マルチジョブホルダー制度を利用するには、以下の要件をすべて満たす必要があります。 複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること 2つの事業所の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満) 2つの事業所それぞれの雇用見込みが31日以上であること 3つ以上の事業所で勤務している場合は、労働時間や賃金などを考慮して、マルチ高年齢被保険者として申出をする本人が2つの事業所を選択します。 加入後の取扱いは通常の雇用保険と同じで、原則として任意脱退はできません。上記の適用要件を満たさなくなった場合を除き、加入する事業所を任意に切り替えることもできないので注意しましょう。 雇用保険マルチジョブホルダー制度の資格取得手続きの流れ 通常の雇用保険は、事業主が資格取得・喪失の手続きを行います。一方、雇用保険マルチジョブホルダー制度では、適用を希望する本人が手続きをする必要があります。手続きの流れは以下の通りです。 ハローワークまたは厚生労働省HPから「雇用保険マルチジョブホルダー雇入・資格取得届(マルチ雇入届)」などを入手する 2つの事業所にマルチ雇入届の記入、確認資料(雇用契約書など)の交付を依頼する 本人の住居所を管轄するハローワークへ必要書類を提出する ハローワークから本人および2つの事業所に通知される ハローワークで申請内容を確認のうえ、問題がなければ申出日に被保険者の資格を取得します。必要書類の入手方法や手続きのやり方がわからない場合は、ハローワークに問い合わせて確認しましょう。 ハローワークに提出する書類一覧 手続きの際は、ハローワークへ以下の書類を提出します。 事業主から交付されたマルチ雇入届と確認資料(2社分) 個人番号登録・変更届 被保険者資格取得時アンケート 本人確認資料・個人番号の確認できる資料 また、事業所に依頼する主な確認資料は以下の通りです。 賃金台帳 出勤簿(記載年月日の直近1ヵ月分) 労働者名簿 雇用契約書 労働条件通知書 雇入通知書 雇用主との関係(親族の会社に勤めているなど)によっては、別途確認資料が必要になる場合があります。 雇用保険マルチジョブホルダー制度のメリット 雇用保険マルチジョブホルダー制度は事業主と労働者の双方にメリットがあります。 事業主のメリット 事業主は、雇用保険資格の取得・喪失手続きが簡便化されるのがメリットです。雇用保険マルチジョブホルダー制度では労働者自身が手続きを行うため、事業主は必要事項の記載や証明などを行うだけで済みます。 労働者のメリット マルチ高年齢被保険者であった労働者が失業した場合、一定の要件を満たすと高年齢求職者給付金を一時金で受給できます。給付額(基本手当日額×支給日数)は以下の通りです。 <基本手当日額> 離職以前6ヵ月の賃金合計÷180×(50~80%) <支給日数> 被保険者期間1年未満:基本手当日額の30日分 被保険者期間1年以上:基本手当日額の50日分 「離職日以前1年間に被保険者期間が通算6ヵ月以上あること」が受給要件です。2つの事業所のうち、1つのみを離職した場合でも受給できます。 ただし、3つ以上の事業所で勤務している場合、3つ目の事業所と併せてマルチ高年齢被保険者の要件を満たす場合は、被保険者期間が継続されるので受給できません。 また、2つの事業所のうち1つのみを離職した場合、基本手当日額の計算に離職していない事業所の賃金は含まれないので注意しましょう。 雇用保険マルチジョブホルダー制度の注意点 雇用保険マルチジョブホルダー制度では、資格取得の日から雇用保険料の納付義務が発生します。申出日より前にさかのぼって被保険者となることはできません。 事業主には、手続きの際に必要な証明を行う義務があります。申出を理由に労働者に対して不利益な取り扱い(解雇、雇止め、労働条件の不利益変更など)を行うことは認められません。もし事業主の協力を得られない場合はハローワークに相談しましょう。 まとめ 65歳以上で2つ以上の事業所で働いている場合、一定の条件を満たせば雇用保険に加入できます。また、短時間勤務で働いている場合であっても、雇用保険マルチジョブホルダー制度を利用できるように別の企業で働くことで、雇用保険に加入できます。より安心して働き続けるために、本制度の積極的活用をおすすめします。 執筆者紹介 大西 勝士(Katsushi Onishi) 金融ライター(AFP)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで年間200本以上の記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。 <運営ブログ> https://www.katsushi-onishi.com/ 老齢年金の繰り上げと繰り下げ、どっちがお得? 老齢年金の受給開始年齢が近づいてくると、受給開始年齢の繰り上げや繰り下げを検討する人も多いのではないでしょうか。しかし、受給開始年齢を変更することで、受け取れる年金の見込み額は大きく変わって...記事を読む

    2022.04.20シニア制度
  • マンション管理計画認定制度とは?認定基準やメリット・デメリットを解説

    マンション管理計画認定制度とは?認定基準やメリット・デメリットを解説

    2022年4月から「マンション管理計画認定制度」がスタートします。マンション管理適正化の推進を目的に創設された制度で、マンションの管理や資産価値などに影響を与える可能性があります。 本制度の開始によって、具体的にどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。今回はマンション管理計画認定制度の概要や認定基準、手続きの流れについて詳しく解説します。 マンション管理計画認定制度とは? マンション管理計画認定制度とは、マンション管理計画が一定の基準を満たす場合に地方公共団体の認定を受けられる制度です。「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の改正により、2022年4月から開始されます。 マンションは重要な居住形態ですが、神奈川県の県土整備局によると、2020年末時点で、築40年超のマンションは103万戸あります。10年後には232万戸(約2.2倍)、20年後には405万戸(約3.9倍)に増加する見込みです。築年数が古いマンションが増加傾向にあり、維持管理には多くの課題があります。 マンション管理計画認定制度の創設は、マンション管理の適正化を推進することが目的です。マンションの管理水準を底上げするため、必要に応じて地方公共団体が管理組合に指導や助言、勧告を実施します。 なお、認定を受けることができるのは、地方公共団体が「マンション管理適正化推進計画」を作成している地域にあるマンションです。 マンション管理計画の認定基準 マンション管理計画認定制度の創設を踏まえ、2021年9月には「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な指針(管理適正化指針)」が策定されました。本指針では、管理計画認定制度の認定基準などが定められています。主な認定基準は以下の通りです。 修繕その他管理の方法 修繕その他の管理にかかる資金計画 管理組合の運営状況 管理適正化指針・市区独自の管理適正化指針に照らして適正なものであること 「長期修繕計画の計画期間が一定期間あるか」「計画に基づいて修繕積立金が設定されているか」「定期的に総会を開催しているか」といった点が審査されます。また、管理適正化指針や市区独自の指針に照らして、管理計画が適正なものであるかも判断されます。 助言・指導・勧告の判断基準の目安 地方公共団体は、管理適正化指針や市区独自の指針に基づき、必要に応じて管理組合の管理者などに助言や指導、勧告を行います。助言・指導・勧告の判断基準の目安は以下の通りです。 助言・指導・勧告の判断基準の目安 判断項目助言・指導・勧告の判断基準の目安 管理組合の運営管理者が定められていない総会が開催されていない 管理規約管理規約が存在しない 管理組合の経理管理費と修繕積立金額が区分されていない 長期修繕計画の作成および見直し修繕積立金が積み立てられていない その他組合員名簿、居住者名簿がない 上記のような状況の場合、マンション管理が不適切と判断される恐れがあります。 マンション管理計画認定制度のメリット マンション管理計画認定制度のメリットは以下の通りです。 マンション管理水準の維持向上につながる 市場評価・地域価値の向上が期待できる 購入希望者がマンション管理状況を把握しやすくなる 金利優遇を受けられる(新築の場合) 管理者や区分所有者のマンション管理に対する意識が高まり、管理水準の維持向上につながります。地方公共団体の認定を受けたマンションであることをアピールすれば、市場評価や立地している地域価値の向上も期待できるでしょう。 現在は、購入希望者がマンションの管理状況を把握するのは簡単ではありません。しかし、今後は認定の有無を確認すれば、一定の管理水準を満たしているかを把握できるようになります。 また、中古だけでなく、新築マンションにも管理計画を認定する制度が開始される予定です(予備認定)。予備認定を受けた新築マンションを取得する場合は、住宅金融支援機構の「フラット35」の金利が一定期間引き下げられます。 参考)住宅金融支援機構 「【フラット35】令和4年4月の制度変更事項のお知らせ」より マンション管理計画認定制度のデメリット マンション管理計画認定制度のデメリットは、マンション管理組合の事務負担が増えることです。 認定を受けるには認定申請書や長期修繕計画を作成し、必要書類を準備して地方公共団体に申請しなくてはなりません。一度認定を受けたら終わりではなく、5年ごとの更新もあります。管理水準の底上げは期待できますが、管理組合の負担は大きなものになるでしょう。 ただし、マンション管理センターによる「管理計画認定手続き支援サービス(オンライン申請)」を利用すれば、事務負担の軽減が期待できます(詳細は後述)。 マンション管理計画認定の流れ マンション管理計画の認定申請方法は、「オンライン申請」と「窓口への直接申請」の2つがあります。オンライン申請の流れは以下の通りです。 マンション管理センターへ認定申請依頼 マンション管理士の事前確認 事前確認適合通知(適合証)の発行 地方公共団体へ認定申請 認定(マンション管理センターの閲覧サイトで公表) オンライン申請でマンション管理士の事前確認を受けて適合証が発行されると、地方公共団体が審査の事務手続きを省略できる仕組みになっています。オンライン申請のほうが、申請手続きをスムーズに進められるでしょう。 窓口への直接申請は地方公共団体によって手続きの流れが異なるため、申請する地方公共団体に直接確認してください。事前確認や認定申請では手数料がかかる可能性もあるので、申請前に確認しておくことが大切です。 認定申請の必要書類 認定申請に必要な書類は以下の通りです(神奈川県の場合)。 認定申請書 総会議事録の写し 管理規約の写し 貸借対照表 収支決算書 各戸の修繕積立金滞納額がわかる書類 長期修繕計画の写し 組合員・居住者の名簿の保証書 必要書類を準備する際は、記載内容や事業年度などの諸条件を地方公共団体に確認しておきましょう。神奈川県の場合、長期修繕計画については「計画期間30年以上」「残存期間内に大規模修繕工事2回以上含まれている」といった要件があります。 まとめ マンション管理計画認定制度を利用して地方公共団体から認定を受けると、マンションの価値向上につながるかもしれません。ただし、認定基準はマンションを適切に維持管理するうえで最低限の基準を定めているものなので、認定を受けることが必ずしも価値の向上に寄与するとは限りません。 マンション管理組合の事務負担が増えるデメリットがあり、認定制度の効果には不透明な部分もあります。認定制度創設の影響は冷静に見極める必要があるでしょう。 参考) ・神奈川県県土整備局「マンション管理計画認定制度管理組合向け説明会」 ・国土交通省 「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針」の策定について DINKsマンションとは?メリットや注意点を解説 ここ数年、”DINKsマンション”や”コンパクトマンション”の供給戸数が再び増加しており、今後さらに人気が高まる可能性があります。DINKsマンションを購入するメリットがある一方で、購入する...記事を読む 執筆者紹介 大西 勝士(Katsushi Onishi) 金融ライター(AFP)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで年間200本以上の記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。 <運営ブログ> https://www.katsushi-onishi.com/

  • 自営業者が加入可能な国民年金基金とは?

    自営業者が加入可能な国民年金基金とは?

    自営業者やフリーランスは、会社員に比べて年金が少ないと言われています。しかし、国民年金に上乗せして国民年金基金に加入すれば、年金額を増やすことが可能です。 国民年金基金について名前は聞いたことがあっても、どんな制度なのかはよくわからないのではないでしょうか。国民年金基金にはデメリットもあるため、加入する前に特徴を理解しておくことが大切です。 そこで今回は、国民年金基金の仕組みやメリット・デメリットについて詳しく解説します。 国民年金基金とは 国民年金基金とは、自営業者やフリーランスなどの国民年金第1号被保険者が安心して老後を過ごせるように、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして加入できる公的な年金制度です。掛金を納めた期間に応じた年金が将来支給されます。 国民年金のほかに厚生年金や企業年金に加入している会社員に比べると、国民年金のみに加入している自営業者の年金額は少ない傾向にあります。厚生労働省の資料によれば、2019年度の平均年金額は厚生年金が月額146,162円に対し、国民年金は月額56,049円です。 自営業者が国民年金基金に加入すれば、会社員との年金格差の解消が期待できます。 参考)厚生労働省「令和元年(2019年)度 厚生年金保険・国民年金事業の概況P8、P20」 国民年金基金に加入できる人 国民年金基金の加入資格は以下の通りです。 20歳以上60歳未満の国民年金第1号被保険者 60歳以上65歳以下または海外居住者で、国民年金に任意加入している人 上記要件を満たしていれば、学生や主婦でも加入可能です。しかし、国民年金保険料を免除されている人は、国民年金基金には加入できません。 国民年金基金の成り立ち 1980年代後半に国会で「自営業者にも2階建ての年金を整備すべき」との議論が行われ、1989年に国民年金基金制度の導入が決定し、1991年に施行されました。当初は全国47都道府県で地域型国民年金基金、25の業種で職能型国民年金基金が設立されました。 その後の2019年には、加入員・受給者の利便性向上や運営基盤の安定性を図るために全国国民年金基金が成立し、全国47都道府県の地域型国民年金基金と22の職能型国民年金基金が合併しました。 国民年金基金の運営状況 2020年度末の国民年金第1号被保険者数(任意加入を含む)は1,449万人です。それに対して、国民年金基金の加入員数は2003年度末の約78万人をピークに減少が続いており、現存加入員数は約34万人にとどまります。 国民年金基金連合会の運用報告書によれば、2020年度の運用実績は国内外の株価上昇などもあって、年度ベースの収益率は24.44%で、1997年以降の累積実績では年率4.24%の収益率です。また、2021年3月末時点の積立金の運用残高は4兆6,679億円です。 足元の収益率の上昇の一方で、責任準備金は直近10年以上の不足が続いており、財政状況が好調とは言い難い状態が続いています。このまま加入員数の減少や財政運営の悪化が続くようであれば制度が破綻する可能性も低いとは言えなくなる恐れがあります。 参考) ・厚生労働省「令和2年(2020年)度の国民年金の加入・保険料納付状況P1」 ・国民年金基金「事業の概況・状況(現存加入員数の状況)」 ・国民年金基金連合会「2020年度 運用報告書」 国民年金基金のメリット 国民年金基金には以下3つのメリットがあります。 終身年金である 国民年金基金は、65歳から一生涯受け取れる終身年金が基本です。掛金によって将来受け取る年金額が確定するため、老後の資金計画を立てやすいでしょう。 終身年金のほかに、受取期間が決まっている確定年金も用意されています。終身年金に確定年金を組み合わせるなど、ライフプランに合わせて年金額や受取期間を自由に設計できます。 掛金の上限額は月額68,000円で、加入後も口数単位で年金額や掛金額の増減が可能です。iDeCo(個人型確定拠出年金)と併用できますが、その場合は国民年金基金とiDeCoを合わせて月額68,000円が掛金の上限額となります。 万が一のときには家族に一時金が出る 国民年金基金の掛金は掛け捨てではなく、万が一早期に亡くなったときには家族に遺族一時金が支給されます。年金受給前や保証期間中に亡くなった場合は、保証期間に応じた一時金を遺族に残すことができます。 税制優遇がある 国民年金基金には以下3つの税制優遇があります。 掛金は全額社会保険料控除の対象 受け取る年金も公的年金等控除の対象 遺族一時金は全額非課税 掛金は全額が所得控除の対象となるため、確定申告によって所得税・住民税が軽減されます。将来受け取る年金には「公的年金等控除」が適用され、一定額までは非課税で受け取れます。万が一のときに支給される遺族一時金も全額非課税です。 国民年金基金のデメリット・注意点 国民年金基金には以下のようなデメリット・注意点もあります。 任意脱退、中途解約ができない 国民年金基金への加入は任意ですが、自己都合での脱退や中途解約はできません。途中で掛金を払えなくなった場合は、払い込みの一時中断が可能です。年金額は未納期間に応じて減額されます。未納分は後から納付することも可能です(納付可能期間は2年以内)。 なお、自己都合の解約は認められませんが、国民年金第1号被保険者でなくなるなど、加入資格を失う場合は脱退となります。脱退した場合は加入期間の長さを問わず、納めた掛金は将来年金として給付されます。 加入期間中の死亡時には、遺族一時金が掛金を下回ることがある 国民年金基金は年金受給前や保証期間満了前に死亡すると、遺族に一時金が支給されます。しかし、遺族一時金の額は掛金を下回ることがあります。そのため、あらかじめ加入前に遺族一時金の額を確認しておきましょう。 破綻リスクがある 国民年金基金は国民年金法に基づいて運営されている公的な制度ですが、解散する可能性もあります。 上述のように好調な相場環境もあって、直近では収益率や積立金の額は上昇しています。しかし、加入者数は減少が続いており、ピーク時の半分程度に落ち込んでいます。財政運営も一時的に回復していますが、令和2年度の責任準備金の不足分は約8,000億円となっており、今後の状況によっては破綻リスクもゼロとはいえません。 もし解散する場合は、解散時点の残余財産を加入員および受給者で分配することになっており、分配額はそれまで支払った掛金額を下回ることがあります。 まとめ 国民年金基金は一生涯受け取れる終身年金であり、税制優遇を受けられるのが魅力です。国民年金に上乗せして加入できるので、自営業者やフリーランスの年金対策として活用できます。 ただし、任意脱退や中途解約はできないので、メリット・デメリットをよく比較した上で加入を検討しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 自営業の年金は少ない?年金対策も解説 自営業の方は、会社員に比べて年金が少ないといわれますが、実際にはいくらもらえるのでしょうか。自営業の方と会社員では、適用される年金制度が異なります。そのため、自営業の方が老後の生活費を確保す...記事を読む

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