住まいとお金の知恵袋

年金

  • 老齢年金の繰り上げと繰り下げ、どっちがお得?

    老齢年金の繰り上げと繰り下げ、どっちがお得?

    老齢年金の受給開始年齢が近づいてくると、受給開始年齢の繰り上げや繰り下げを検討する人も多いのではないでしょうか。しかし、受給開始年齢を変更することで、受け取れる年金の見込み額は大きく変わってきます。そこで今回は、受給開始年齢の変更でもらえる年金額がどのように変わるのか解説します。 老齢年金制度について 老齢年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類があります。老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、65歳から受け取れます。また、20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた人は、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取れます。 老齢厚生年金は、厚生年金の被保険者期間があって、老齢基礎年金を受け取るのに必要な受給資格期間を満たした人が65歳になったときに、老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金を受け取れます。 参考)日本年金機構 老齢年金 老齢年金の受給開始年齢の変更と増減率 老齢基礎年金を65歳から受け取れる人は、月単位で65歳より前への繰り上げや66歳以後への繰り下げによる受給もできます。ただし、繰り上げた場合には受給額が減額、繰り下げた場合には受給額が増額される点を考慮する必要があります。 繰り上げの減額率:(繰上げ請求月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数)×0.005 繰り下げの増額率:(65歳到達月から繰下げ申出月の前月までの月数)×0.007 ※日本年金機構 昭和16年4月2日以後に生まれた人 参考) ・日本年金機構 65歳前に老齢年金の受給を繰上げたいとき ・日本年金機構 66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき 想定される老齢基礎年金額 前述の通り、老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上である場合、65歳になったときに受け取れます。また、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年に満たない場合でも、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が10年以上である場合には、老齢基礎年金を受け取れます。 なお、令和3年4月分からの年金額は満額の場合780,900円です。つまり、老齢基礎年金が満額もらえる場合に、想定される受け取れる年金の見込み額は下記の計算式によって求めることができます。 受け取れる老齢基礎年金の見込み額 = 780,900円 × 受給期間 次項で具体的に計算していきましょう。 65歳から老齢基礎年金を受け取った場合 まずは、受給開始年齢を変更しなかった場合、もらえる年金額は780,900円です。しかし、受給期間が何年になるかはケースバイケースのため、ここでは男性と女性の平均寿命から計算していきます。 厚生労働省の発表する『令和2年簡易生命表』によると、平均寿命は男性が81.64歳、女性が87.74歳です。つまり、65歳から年金を受け取る場合、受給期間は男性が16.64年、女性が22.74年です。そして、前述の計算式によって、もらえる見込み額は下記のように求めることができます。 男性の場合:12,994,176円(780,900円 × 16.64年) 女性の場合:17,757,666円(780,900円 × 22.74年) 60歳から老齢基礎年金を受け取った場合 次に、受給開始年齢を60歳まで繰り上げた場合を考えます。60歳まで繰り上げた場合、繰り上げ年数は5年(60か月)のため、減額率は30%(0.005 × 60)です。つまり、老齢基礎年金額は546,630円(780,900円 × 70%)です。一方で、受給期間は5年長くなり、男性が21.64年、女性が27.74年となるので、もらえる見込み額は下記のように求めることができます。 男性の場合:11,829,073円(546,630円 × 21.64年) 女性の場合:15,163,516円(546,630円 × 27.74年) 70歳から老齢基礎年金を受け取った場合 最後に、受給開始年齢を70歳まで繰り下げた場合を考えます。70歳まで繰り下げた場合、繰り下げ年数は5年(60か月)のため、増額率は42%(0.007 × 60)です。つまり、老齢基礎年金額は1,108,878円(780,900円 × 142%)です。一方で、受給期間は5年短くなり、男性が11.64年、女性が17.74年となるので、もらえる見込み額は下記のように求めることができます。 男性の場合:12,907,339円(1,108,878円 × 11.64年) 女性の場合:19,671,495円(1,108,878円 × 17.74年) 参考) ・日本年金機構 老齢基礎年金(昭和16年4月2日以後に生まれた方) ・厚生労働省 令和2年簡易生命表の概況 最もお得な選択は? これまで説明してきたように、受け取れる年金の見込み額はもらえる年金額と何歳までもらえるかという受給期間の二つの要素の掛け合わせによって決定します。仮に平均寿命まで生きると仮定した場合、上述の3つのシミュレーションを加味すると下記のような結果が得られます。 受給開始年齢別の受け取れる年金の見込み額(単位:円) 60歳からの受給65歳からの受給70歳からの受給 男性の場合(81.64歳)11,829,07312,994,17612,907,339 女性の場合(87.74歳)15,163,51617,757,66619,671,495 このように上記3つの受給開始年齢の選択の中では、男性の場合は受給開始年齢を変更しない時、女性は受給開始年齢を繰り下げた時に受け取れる年金の見込み額が最大であることがわかります。ただし、受給開始年齢は月ごとに変更できるため、何歳まで年金を受け取れるかによって、最大化される受給開始年齢が異なる点には注意が必要です。 受給開始年齢の選択と受け取れる年金の見込み額 下図は年金をいつから受け取るかによって、どのように受け取れる年金の見込み額が変化するかを表した図です。 ※筆者作成 図のように何歳まで年金を受け取れるかによって、受け取れる年金の見込み額は大きく異なります。シミュレーションすることで、下記のようなことがわかります。 71歳8か月まで年金を受け取れた場合は、60歳から受給すると受け取れる年金の見込み額が最大である 86歳10か月以降も年金を受け取る場合は、70歳から受給すると受け取れる年金の見込み額が最大である 71歳9か月から86歳9か月の場合は、寿命が長くなるほど、受給を遅らせると最大になる まとめ いかがでしたでしょうか。年金を受け取るにあたって、受給期間が何年か仮定する事で、受け取れる年金の総額を最大化することは可能です。一方で、年金を請求する時点では、自身が何年間受け取れるかは誰にもわかりません。自身の貯蓄の状況や何歳まで働くかなどを加味して慎重に判断するようにしましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 自営業の年金は少ない?年金対策も解説 自営業の方は、会社員に比べて年金が少ないといわれますが、実際にはいくらもらえるのでしょうか。自営業の方と会社員では、適用される年金制度が異なります。そのため、自営業の方が老後の生活費を確保す...記事を読む

    2022.01.26シニア年金
  • 自営業者が加入可能な国民年金基金とは?

    自営業者が加入可能な国民年金基金とは?

    自営業者やフリーランスは、会社員に比べて年金が少ないと言われています。しかし、国民年金に上乗せして国民年金基金に加入すれば、年金額を増やすことが可能です。 国民年金基金について名前は聞いたことがあっても、どんな制度なのかはよくわからないのではないでしょうか。国民年金基金にはデメリットもあるため、加入する前に特徴を理解しておくことが大切です。 そこで今回は、国民年金基金の仕組みやメリット・デメリットについて詳しく解説します。 国民年金基金とは 国民年金基金とは、自営業者やフリーランスなどの国民年金第1号被保険者が安心して老後を過ごせるように、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして加入できる公的な年金制度です。掛金を納めた期間に応じた年金が将来支給されます。 国民年金のほかに厚生年金や企業年金に加入している会社員に比べると、国民年金のみに加入している自営業者の年金額は少ない傾向にあります。厚生労働省の資料によれば、2019年度の平均年金額は厚生年金が月額146,162円に対し、国民年金は月額56,049円です。 自営業者が国民年金基金に加入すれば、会社員との年金格差の解消が期待できます。 参考)厚生労働省「令和元年(2019年)度 厚生年金保険・国民年金事業の概況P8、P20」 国民年金基金に加入できる人 国民年金基金の加入資格は以下の通りです。 20歳以上60歳未満の国民年金第1号被保険者 60歳以上65歳以下または海外居住者で、国民年金に任意加入している人 上記要件を満たしていれば、学生や主婦でも加入可能です。しかし、国民年金保険料を免除されている人は、国民年金基金には加入できません。 国民年金基金の成り立ち 1980年代後半に国会で「自営業者にも2階建ての年金を整備すべき」との議論が行われ、1989年に国民年金基金制度の導入が決定し、1991年に施行されました。当初は全国47都道府県で地域型国民年金基金、25の業種で職能型国民年金基金が設立されました。 その後の2019年には、加入員・受給者の利便性向上や運営基盤の安定性を図るために全国国民年金基金が成立し、全国47都道府県の地域型国民年金基金と22の職能型国民年金基金が合併しました。 国民年金基金の運営状況 2020年度末の国民年金第1号被保険者数(任意加入を含む)は1,449万人です。それに対して、国民年金基金の加入員数は2003年度末の約78万人をピークに減少が続いており、現存加入員数は約34万人にとどまります。 国民年金基金連合会の運用報告書によれば、2020年度の運用実績は国内外の株価上昇などもあって、年度ベースの収益率は24.44%で、1997年以降の累積実績では年率4.24%の収益率です。また、2021年3月末時点の積立金の運用残高は4兆6,679億円です。 足元の収益率の上昇の一方で、責任準備金は直近10年以上の不足が続いており、財政状況が好調とは言い難い状態が続いています。このまま加入員数の減少や財政運営の悪化が続くようであれば制度が破綻する可能性も低いとは言えなくなる恐れがあります。 参考) ・厚生労働省「令和2年(2020年)度の国民年金の加入・保険料納付状況P1」 ・国民年金基金「事業の概況・状況(現存加入員数の状況)」 ・国民年金基金連合会「2020年度 運用報告書」 国民年金基金のメリット 国民年金基金には以下3つのメリットがあります。 終身年金である 国民年金基金は、65歳から一生涯受け取れる終身年金が基本です。掛金によって将来受け取る年金額が確定するため、老後の資金計画を立てやすいでしょう。 終身年金のほかに、受取期間が決まっている確定年金も用意されています。終身年金に確定年金を組み合わせるなど、ライフプランに合わせて年金額や受取期間を自由に設計できます。 掛金の上限額は月額68,000円で、加入後も口数単位で年金額や掛金額の増減が可能です。iDeCo(個人型確定拠出年金)と併用できますが、その場合は国民年金基金とiDeCoを合わせて月額68,000円が掛金の上限額となります。 万が一のときには家族に一時金が出る 国民年金基金の掛金は掛け捨てではなく、万が一早期に亡くなったときには家族に遺族一時金が支給されます。年金受給前や保証期間中に亡くなった場合は、保証期間に応じた一時金を遺族に残すことができます。 税制優遇がある 国民年金基金には以下3つの税制優遇があります。 掛金は全額社会保険料控除の対象 受け取る年金も公的年金等控除の対象 遺族一時金は全額非課税 掛金は全額が所得控除の対象となるため、確定申告によって所得税・住民税が軽減されます。将来受け取る年金には「公的年金等控除」が適用され、一定額までは非課税で受け取れます。万が一のときに支給される遺族一時金も全額非課税です。 国民年金基金のデメリット・注意点 国民年金基金には以下のようなデメリット・注意点もあります。 任意脱退、中途解約ができない 国民年金基金への加入は任意ですが、自己都合での脱退や中途解約はできません。途中で掛金を払えなくなった場合は、払い込みの一時中断が可能です。年金額は未納期間に応じて減額されます。未納分は後から納付することも可能です(納付可能期間は2年以内)。 なお、自己都合の解約は認められませんが、国民年金第1号被保険者でなくなるなど、加入資格を失う場合は脱退となります。脱退した場合は加入期間の長さを問わず、納めた掛金は将来年金として給付されます。 加入期間中の死亡時には、遺族一時金が掛金を下回ることがある 国民年金基金は年金受給前や保証期間満了前に死亡すると、遺族に一時金が支給されます。しかし、遺族一時金の額は掛金を下回ることがあります。そのため、あらかじめ加入前に遺族一時金の額を確認しておきましょう。 破綻リスクがある 国民年金基金は国民年金法に基づいて運営されている公的な制度ですが、解散する可能性もあります。 上述のように好調な相場環境もあって、直近では収益率や積立金の額は上昇しています。しかし、加入者数は減少が続いており、ピーク時の半分程度に落ち込んでいます。財政運営も一時的に回復していますが、令和2年度の責任準備金の不足分は約8,000億円となっており、今後の状況によっては破綻リスクもゼロとはいえません。 もし解散する場合は、解散時点の残余財産を加入員および受給者で分配することになっており、分配額はそれまで支払った掛金額を下回ることがあります。 まとめ 国民年金基金は一生涯受け取れる終身年金であり、税制優遇を受けられるのが魅力です。国民年金に上乗せして加入できるので、自営業者やフリーランスの年金対策として活用できます。 ただし、任意脱退や中途解約はできないので、メリット・デメリットをよく比較した上で加入を検討しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 自営業の年金は少ない?年金対策も解説 自営業の方は、会社員に比べて年金が少ないといわれますが、実際にはいくらもらえるのでしょうか。自営業の方と会社員では、適用される年金制度が異なります。そのため、自営業の方が老後の生活費を確保す...記事を読む

  • 年金生活者支援給付金とは?給付対象や手続き方法を解説

    年金生活者支援給付金とは?給付対象や手続き方法を解説

    年金生活者支援給付金についてご存じでしょうか。この制度を利用することで、一定の条件を満たした方は、受け取れる年金の額が多くなる可能性があります。年金生活者支援給付金について知らない方は、ぜひ本記事の内容を参考にしてください。 年金生活者支援給付金とは? 年金生活者支援給付金は、生活の支援を図ることを目的に、年金に一定額を上乗せして支給する制度です。本給付金を受けるためには、以下のような要件を満たさなければなりません。 年金を受給していること 所得が一定額以下であること 年金生活者支援給付金の給付対象 年金生活者支援給付金の給付対象は下記3種類の年金受給者です。 老齢基礎年金 障害基礎年金 遺族基礎年金 年金生活者支援給付金の給付額と受給要件について、年金の種類ごとに見ていきましょう。 老齢基礎年金 老齢基礎年金受給者における給付金は月額5,030円を基準に、保険料納付済期間等に応じて算出します。また、老齢基礎年金の受給者が年金生活者支援給付金を受けるための要件は以下の通りです。 65歳以上の老齢基礎年金の受給者であること 同一世帯の全員が市町村民税非課税であること 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得の合計額が881,200円以下であること 障害基礎年金 障害基礎年金受給者における給付金は障害等級2級が月額5,030円、障害等級1級が月額6,288円です。また、障害基礎年金の受給者が年金生活者支援給付金を受けるための要件は以下の通りです。 障害基礎年金の受給者であること 前年の所得が4,721,000円以下であること* ※ただし、扶養親族等の数に応じて増額 遺族基礎年金 遺族基礎年金受給者における給付金は月額5,030円ですが、2人以上の子が受給している場合には、5,030円を子の数で割った金額です。また、遺族基礎年金の受給者が年金生活者支援給付金を受けるための要件は以下の通りです。 遺族基礎年金の受給者であること 前年の所得が4,721,000円以下であること* ※ただし、扶養親族等の数に応じて増額 年金生活者支援給付金の留意事項 ここでは、年金生活者支援給付金を受けるにあたり、確認しておきたい留意事項をお伝えしていきます。 給付額の改定について 年金ごとの給付額については上述の通りですが、こちらは令和3年10月時点の金額です。毎年物価の変動による改定が行われるため、確認するようにしましょう。なお、給付手続きをした後に、給付額の改定が行われると「年金生活者支援給付金支給金額改定通知書」が送られてきます。 給付金が受給できないケース 以下のようなケースでは、給付金は受給できません。 日本国内に住所がない 年金が全額支給停止されている 刑事施設等に拘禁されている 手続きできない人はどうする? 目が見えない方や認知症の方など、自筆で書くことが困難な場合には、代理人による代筆が認められています。また、耳や発生が不自由な方はファックスなどで問い合わせすることも可能です。 年金生活者支援給付金の手続き方法 年金生活者支援給付金は請求手続きしなければ受給できませんが、請求手続き自体は非常に簡単に済ませることが可能です。日本年金機構から送られる封筒の中に、はがき型の請求書が入っているので、太枠内の必要事項(提出日や氏名、電話番号のみ)を記入し、切手を貼って送付すれば手続き完了です。 請求書を紛失した場合の手続き 請求書を紛失した場合、日本年金機構のホームページからダウンロードできる請求書に必要事項を記入し、近隣の年金事務所に持参する形で手続きができますが、以下のような内容を記入しなければなりません。 マイナンバーまたは基礎年金番号 氏名 生年月日 住所 届出年月日 はがき型と比べると記入内容が増えますが、いずれにせよ簡単に手続きできます。なお、本人が窓口で手続きする場合はマイナンバーカードやマイナンバーの分かる書類、身元証明書などの書類が必要です。 請求に関するよくあるご質問 最後に、請求に関してよくある質問について見ていきましょう。 所得はどう証明するの? 給付金を受けるには、所得の条件を満たす必要があります。この所得の判定は、市町村から所得情報等の提供を受けて行われるため、基本的には書類の提出は不要です。ただし、所得情報等を確認できない場合には、別途提出しなければならないこともあります。 給付金請求書はいつ届くの? 給付金請求書は、令和3年分については8月31日より順次発送が開始されています。万が一手元に届いていない場合は給付金専用ダイヤルか近隣の年金事務所に問い合わせするとよいでしょう。 毎年手続きが必要なの? 一度給付金の手続きをした場合、給付金の要件を満たしていれば、2年目以降の手続きは原則不要です。ただし、一度給付金の手続きをしたものの、所得が増えた等の理由で給付金の支給が停止された方が、再度要件を満たした場合には、改めて支給手続きをしなければなりません。 まとめ 今回は、年金生活者支援給付金についてお伝えしました。この制度は、簡単な手続きで利用を開始できるので、要件を満たしているのにまだ給付金を受けていないという方は、本記事の内容を参考に、手続きを進めると良いでしょう。 自営業の年金は少ない?年金対策も解説 自営業の方は、会社員に比べて年金が少ないといわれますが、実際にはいくらもらえるのでしょうか。自営業の方と会社員では、適用される年金制度が異なります。そのため、自営業の方が老後の生活費を確保す...記事を読む 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

    2021.12.15制度年金
  • iDeCo(イデコ)の仕組みとは?メリット・デメリットを解説

    iDeCo(イデコ)は、公的年金だけでは不足する老後資金を準備するための制度です。iDeCoについて聞いたことはあっても、その特徴はよくわからない方もいるのではないでしょうか。iDeCoは2022年に制度改正が予定されているため、その内容を理解しておくことも大切です。 今回は、iDeCoの仕組みやメリット・デメリット、加入手続きの流れ、制度改正の内容について詳しく解説します。 iDeCo(イデコ)とは iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、自分で掛金を拠出し、商品を選んで運用する私的年金です。運用した掛金は、原則60歳以降に一時金または年金として受け取ることができます。 iDeCoには税制上の優遇措置が講じられており、一般的な貯蓄や運用では得られない節税効果が期待できるのが特徴です。公的年金(国民年金・厚生年金)に上乗せして加入できるため、老後資金を準備する手段として活用できます。 加入資格 iDeCoの加入資格は以下の通り です。 加入区分加入対象者加入できない人 国民年金の第1号被保険者日本在住の20歳以上60歳未満の自営業者国民年金保険料を免除されている人農業者年金の被保険者 国民年金の第2号被保険者60歳未満の厚生年金の被保険者(会社員、公務員など)国民年金保険料を免除されている人農業者年金の被保険者 国民年金の第3号被保険者20歳以上60歳未満の厚生年金被保険者の被扶養配偶者(専業主婦(夫))- ※規約で個人型同時加入を認めている場合を除く 自営業者や会社員、公務員など多くの人が加入対象となっています。ただし、会社員は勤務先の年金制度によっては加入できない場合があります。詳しくは、勤務先の担当者に確認するといいでしょう。 参考)iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)の仕組み 掛金の上限額 iDeCoの掛金額は、加入資格に応じて以下のように上限額が決まっています。 加入資格掛金の上限額 自営業者月額6.8万円(年額81.6万円)※国民年金基金または付加保険料との合算 企業年金がない会社員月額2.3万円(年額27.6万円) 企業型DCに加入している会社員月額2.0万円(年額24.0万円) DB(確定給付年金)と企業型DCに加入している会社員DBのみに加入している会社員公務員等月額1.2万円(年額14.4万円) 専業主婦(夫)月額2.3万円(年額27.6万円) 国民年金のみの自営業者は、会社員や公務員に比べて掛金の上限額が大きくなっています。ただし、国民年金基金または国民年金付加保険料との合算となる点に注意が必要です。たとえば、付加年金に加入している場合、iDeCoの掛金上限額は月額6.7万円となります。 iDeCoは月々5,000円から始められ、1,000円単位で自由に設定できます。掛金額は1年(12月分~翌年11月分)に1回のみ変更可能です。 運用商品 iDeCoは、金融機関が提示する運用商品の中から、自分で商品を選んで運用する必要があります。運用商品は投資信託が中心ですが、定期預金や保険などの元本保証商品も用意されています。 運用商品を選定する際は、自分の運用方針に沿って配分比率(どの商品に掛金の何%を振り向けるか)を決めます。 掛金の給付 iDeCoの掛金は、原則として60歳以降に老齢給付金として受け取れます。受け取り方法は以下3つから選択可能 です。 一時金として一括で受け取る 年金として受け取る 一時金と年金を組み合わせて受け取る 一時金は、70歳までの間に受け取ります。年金は、5年以上20年以下の期間で金融機関(運営管理機関)が定める方法で受け取ることになります。金融機関によっては、一時金と年金を組み合わせて受け取ることも可能です。 iDeCoの通算加入期間が10年以上の場合は、60歳から受給を開始できます。通算加入期間が10年に満たない場合は、加入期間に応じて受給開始年齢が61~65歳に繰り下げられます。 参考)iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)の給付(受取方法)について 年金制度間の移換(ポータビリティ) iDeCoは、転職や離職の際に年金制度間での移換(ポータビリティ)が可能です。たとえば、会社員から自営業者になる場合、加入していた企業型DCやDBの資産をiDeCoに持ち運ぶことができます。移換手続きについては、金融機関の窓口で相談しましょう。 iDeCoの3つの節税メリット iDeCoは税制上の優遇措置が講じされており、節税効果が高いのが魅力です。具体的には、以下3つの節税メリットがあります。 掛金は全額所得控除 iDeCoの掛金は全額が所得控除の対象となるため、所得税と住民税が軽減されます。たとえば、掛金額が月額1万円で、所得税率と住民税率がそれぞれ10%だとすると、年間2.4万円の節税となります。 ただし、もともと税金を払っていない専業主婦(夫)は、所得控除のメリットを受けられないので注意が必要です。 自営業者は、国民年金基金連合会が発行する「小規模企業共済等掛金払込証明書」を使って確定申告を行いましょう。会社員は勤務先で年末調整を受けることが可能です。 運用益は非課税 投資信託などの金融商品の利益には、通常約20%の税金がかかります。しかし、iDeCoの運用益は非課税であるため、税金はかかりません。通常なら差し引かれる税金分を投資に回せるので、効率的に資産を増やせます。 受取時は所得控除の適用対象 iDeCoは、60歳以降に給付を受け取るときにも所得控除が適用されます。一時金で受け取るときは「退職所得控除」、年金の場合は「公的年金等控除」が適用されるため、一定額は非課税になります。 受け取り方法によって控除額が変わるため、状況に応じて有利な方法を選択することが大切です。自分で判断できない場合は、税理士などの専門家に相談しましょう。 参考)iDeCo公式サイト iDeCo(イデコ)の3つの税制メリット iDeCoのデメリット・注意点 iDeCoは老後資金づくりに適した制度ですが、以下のようなデメリット・注意点もあります。 原則60歳まで引き出せない iDeCoの掛金は原則60歳まで引き出せません。掛金を無理に増やすと、手元資金が不足する恐れがあります。将来への備えは大事ですが、無理のない範囲で掛金を設定することが大切です。 運用成績によっては給付額が減少する iDeCoは、運用成績によって将来もらえる給付額が変動します。投資信託には価格変動リスクがあるので、運用がうまくいけば給付額は増えますが、資産価格の下落によって元本割れする可能性もあります。 運用のリスクを軽減するには、国内外の資産に分散投資ができる低コストの投資信託を選び、短期の値動きに一喜一憂せずに積み立てを長く続けることが大切です。 金融庁の資料によれば、資産や地域を分散した積立投資を長期間続けることで、結果的に元本割れの可能性が低くなる傾向にあります。どうしても元本割れを避けたい場合は、定期預金などの元本保証商品を検討しましょう。 参考)金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」 手数料がかかる iDeCoは加入時や運用期間中に手数料がかかります。手数料は国民年金基金連合会に支払うものと、金融機関(運営管理機関)に支払うものの2種類があります。国民年金基金連合会の手数料は以下の通りです。 加入・移換手数料(初回1回のみ):2,829円 加入者手数料(掛金納付の都度):105円 金融機関の手数料は、各機関によって異なります。比較検討した上で、なるべく手数料が安い金融機関を選ぶといいでしょう。 参考)iDeCo公式サイト 国民年金基金連合会の手数料について 金融機関によって運用商品が異なる iDeCoは投資信託や定期預金、保険商品などで運用できますが、金融機関によって運用商品の種類や数が異なります。特に投資信託は、商品によって投資対象資産や手数料(信託報酬など)に違いがあります。 複数の金融機関を比較して、自分の運用方針に合った商品を扱っている金融機関を選びましょう。iDeCoの金融機関は途中で変更も可能です。 iDeCoの加入手続きの流れ iDeCoの加入手続きの流れは以下の通りです。 事前準備を行う 取扱金融機関へ申込書類を提出する ID・パスワードを受け取る 運用開始 まずは加入資格を確認し、掛金額や運用方針を決めます。複数の金融機関に資料請求を行い、手数料や商品ラインナップを比較しましょう。加入する金融機関が決まったら、申込書類を提出して加入手続きを行います。 国民年金基金連合会で確認・手続きが完了すると、加入者サイトにログインするためのID・パスワードが発行され、運用が開始されます。手続きについてわからないことがあれば、金融機関のコールセンターなどに確認しましょう。 iDeCoの制度改正予定 iDeCoは法改正により、以下3つの制度変更が予定されています。 受取開始可能年齢が75歳まで拡大(2022年4月~) 現在、iDeCoの受取開始時期は60~70歳ですが、2022年4月からは受取開始可能年齢が75歳まで拡大されます。ちなみに、公的年金(国民年金、厚生年金)も75歳まで繰り下げが可能となります。 平均寿命が延びたことで老後も働く人が増えており、多様な働き方・暮らし方に合わせるための制度変更といえるでしょう。 加入可能年齢が65歳未満に拡大(2022年5月~) 現在、iDeCoに加入できるのは60歳未満の公的年金の被保険者です。2022年5月からは、加入可能年齢が65歳未満に拡大されます。 60歳以降も会社員(第2号被保険者)として働く人、国民年金に任意加入する自営業者や海外居住者も新たにiDeCoへ加入できるようになります。 企業型DC加入者がiDeCoに加入しやすくなる(2022年10月~) 現在、企業型DCに加入している会社員がiDeCoに加入するには、企業の労使合意が必要です。2022年10月からは、本人の意思だけで加入できるようになります。 ただし、企業型DCの事業主掛金とiDeCoの掛金、これらの合計額について以下の要件を満たす必要があります。 企業型DCに加入している人がiDeCoに加入する場合企業型DCとDBに加入している人がiDeCoに加入する場合 企業型DCの事業主掛金(①)55,000円以内27,500円以内 iDeCoの掛金(②)20,000円以内12,000円以内 合計(①+②)55,000円以内27,500円以内 実際にiDeCoへの加入を検討する場合は、まず勤務先の担当者に確認するといいでしょう。 参考)第9回「法改正でますます拡充 2022年からiDeCoはどう変わる?」 まとめ iDeCoは「掛金が全額所得控除」などの税制優遇があり、節税効果が高いのが魅力です。原則60歳まで掛金を引き出せませんが、公的年金だけでは不足する老後資金を確保できます。老後の生活費に不安がある場合は、iDeCoの活用を検討しましょう。 自営業の年金は少ない?年金対策も解説 自営業の方は、会社員に比べて年金が少ないといわれますが、実際にはいくらもらえるのでしょうか。自営業の方と会社員では、適用される年金制度が異なります。そのため、自営業の方が老後の生活費を確保す...記事を読む 執筆者紹介 大西 勝士(Katsushi Onishi) 金融ライター(AFP)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで年間200本以上の記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。 <運営ブログ> https://www.katsushi-onishi.com/

    2021.12.08制度年金
  • 小規模企業共済とは?制度や加入までの流れ、メリット・デメリットを解説

    小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者向けの退職金制度です。自営業の方が、国民年金以外の老後資金を準備する手段として活用できます。小規模企業共済は、状況によっては損をする可能性もあるため、加入前に特徴を理解しておくことが大切です。 今回は、小規模企業共済の概要やメリット・デメリット、加入手続きなどについて詳しく解説します。 小規模企業共済とは 小規模企業共済とは、個人事業主や小規模企業の経営者・役員を対象とした積み立てによる退職金制度です。中小企業基盤整備機構が運営しており、廃業や退職時の生活資金の準備、年金対策などに活用できます。 2021年3月現在、小規模企業共済の加入人数は約153万人、資産運用残高は約10兆5,018億円です。 参考)中小企業基盤整備機構「小規模企業共済(現況)」 加入資格 小規模企業共済は、以下のいずれかに該当する場合に加入できます。 建設業、製造業、運輸業、宿泊業、娯楽業、不動産業、農業を営み、常時使用する従業員数が20人以下の個人事業主または会社役員 卸売業、小売業、サービス業(宿泊業・娯楽業を除く)を営み、常時使用する従業員数が5人以下の個人事業主または会社役員 事業に従事する組合員数が20人以下の企業組合の役員、常時使用する従業員数が20人以下の協業組合の役員 常時使用する従業員数が20人以下で、農業経営を主とする農事組合法人の役員 常時使用する従業員数が5人以下の弁護士法人、税理士法人などの士業法人の社員 上記1と2に該当する場合は、個人事業主1人につき共同経営者2人まで加入できます。「常時使用する従業員」には、家族従業員と共同経営者(2人まで)は含まれません。2つ以上の業種を行っている事業主・共同経営者は、主たる事業の業種で加入します。 掛金について 小規模企業共済の掛金は、月額1,000円~70,000円(500円単位)で自由に設定できます。掛金の増額や減額も可能です。掛金の前納にも対応しており、前納すると一定割合の前納減額金を受け取れます。 納付方法は個人の預金口座からの振替で、「月払い」「半年払い」「年払い」の3つから選択できます。業績悪化や災害などで掛金を払うのが難しい場合は、一時的に支払いを停止する「掛け止め」も可能です。 小規模企業共済の共済金の種類 小規模企業共済に一定期間以上加入し、個人事業の廃業や会社の解散などの事態が生じた場合は、掛金額と納付月数に応じた共済金が支払われます。 共済金の額の算定方法 共済金は、「基本共済金」と「付加共済金」の2階建て方式になっています。 基本共済金:掛金の月額・納付月数に応じて共済事由ごとに規定される金額 付加共済金:毎年度の運用収入などに応じて算定される金額 共済金を請求すると、基本共済金と付加共済金の合計金額をまとめて受け取れます。 共済事由と基本共済金の額 小規模企業共済では、共済事由や掛金の納付月数によって基本共済金の額が変わります。共済事由は以下の4種類です。 共済金の種類 共済事由内容 A共済事由 (共済金A) 個人事業の廃止、個人事業主・共同経営者の死亡、個人事業の廃業に伴う共同経営者の退任、会社の解散 B共済事由 (共済金B)老齢給付(65歳以上で180ヵ月以上の掛金納付)、会社役員の疾病・負傷・65歳以上による退任、会社役員の死亡 準共済事由 (準共済金) 法人成り(その会社の役員に就任しなかった場合)、会社役員の退任(疾病・負傷・65歳以上・死亡・解散を除く) 解約事由 (解約手当金) 任意解約、12ヵ月以上の掛金滞納 共済金の掛金 納付年数掛金合計額共済金A共済金B準共済金 5年600,000円621,400円614,600円600,000円 10年1,200,000円1,290,600円1,260,800円1,200,000円 15年1,800,000円2,011,000円1,940,400円1,800,000円 20年2,400,000円2,786,400円2,658,800円2,419,500円 30年3,600,000円4,348,000円4,211,800円3,832,740円 引用)中小企業基盤整備機構「小規模企業共済 制度のしおりP11~12」 任意解約の場合は、掛金納付月数に応じて掛金合計金額の80~120%相当額の「解約手当金」を受け取れます。納付月数が20年(240ヵ月)未満の場合、解約手当金の額は掛金合計額(元本)を下回ります。 共済契約者が死亡した場合 共済契約者が死亡した場合は、遺族が共済金を受給できます。請求順位は配偶者(事実婚も含む)が第一順位者で、次いで子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他の親族の順となります。また、法定相続と異なり、第一順位の人がすべての共済金を受給することとなります。 ただし、子以下は共済契約者の収入によって生計を維持されていた者が優先されます。小規模企業共済法に規定された受給権者が存在しない場合、共済金は支給されません。 小規模企業共済のメリット 小規模企業共済には、以下3つのメリットがあります。 掛金が全額所得控除になる 小規模企業共済の掛金は全額を課税所得から控除できるので、所得税と住民税の節税になります。課税所得金額が400万円の場合、掛金月額が10,000円であれば年36,500円、30,000円なら年109,500円が節税額の目安です。自身の節税額が気になる方は、下記のシミュレーションをご参考ください。 参考)小規模企業共済制度 加入シミュレーション 共済金の受取時も所得控除が適用される 共済金の受取方法は、「一括」「分割」「一括と分割の併用」の3種類があります。 「一括」は、共済事由にかかわらず利用可能です。「分割」および「一括と分割の併用」は、共済金A・Bで一定の要件を満たす場合に利用できます。一括で受け取る場合は「退職所得控除」、分割の場合は「公的年金等控除」が適用されるため、所得税・住民税の負担軽減が期待できます。 貸付制度を利用できる 小規模企業共済の貸付制度とは、掛金納付期間に応じた貸付限度額の範囲内で事業資金などの借り入れができる制度です。「一般貸付制度」のほかに、「緊急時経営安定貸付け」「傷病災害時貸付け」なども用意されています。 一般貸付の場合、貸付限度額は掛金の7~9割が目安です。2021年11月現在、利率は年1.5%となっています。経済環境の変化により資金繰りが悪化したり、病気やケガで入院したり、災害で被害を受けたりした場合は、一般貸付よりも低金利で借り入れが可能です。 小規模企業共済のデメリット・注意点 小規模企業共済には、以下のようなデメリット・注意点もあります。 12ヵ月未満の任意解約は掛け捨てとなる 小規模企業共済は、加入期間12ヵ月未満で任意解約すると掛け捨てとなります。また、掛金納付月数が6ヵ月未満の場合は、A・B共済事由(個人事業の廃業など)に該当しても共済金A・Bを受け取れません。そのため、小規模企業共済は、長期にわたって掛金を納付する前提で加入することが大切です。 20年未満の任意解約は元本割れする 小規模企業共済は、掛金納付月数が20年未満で任意解約をした場合は元本割れします。業績悪化などにより掛金の支払いが厳しい場合は、掛金の減額や掛け止めをして、できる限り任意解約を避けるほうがいいでしょう。 ちなみに、加入期間20年未満で元本割れするのは任意解約のみです。個人事業の廃止などに該当する場合は、加入期間20年未満でも元本割れしません。 事業規模が大きいと加入できない 小規模企業共済の加入資格には、常時使用する従業員数などの要件があります。事業規模が大きく、多くの従業員がいる場合は要件を満たさないため加入できません。 掛金は事業上の損金・必要経費に算入できない 小規模企業共済の掛金は、共済契約者が自身の収入から納付する必要があります。事業上の損金や必要経費には算入できないので注意しましょう。 小規模企業共済の加入手続きの流れ 小規模企業共済の加入手続きの流れは以下の通りです。 必要書類を入手して必要事項を記入する 書類を窓口へ提出する 中小企業基盤整備機構から書類を受け取る 必要書類のうち、「契約申込書」と「預金口座振替依頼書」の2つは中小企業基盤整備機構に資料請求すると入手できます。その他に、加入希望者の立場に応じて必要になる書類があります。 たとえば、個人事業主の場合は確定申告書の控えが必要です。開業したばかりで確定申告書がない場合は開業届の控えを提出します。会社役員は履歴事項全部証明書、共同経営者は確定申告書の控えや共同経営契約書の写しなどが必要になります。 必要書類が準備できたら、金融機関の窓口などで申込手続きを行いましょう。初回の掛金を現金で支払う場合は、払込区分に応じた現金が必要です。 申込日から40日程度で、中小企業基盤整備機構から「共済手帳」や「加入者のしおり」などの書類が届きます。 まとめ 小規模企業共済を利用すれば、退職金がない自営業者でも老後資金を準備できます。掛金は全額所得控除となり、もしものときは貸付制度も利用できるので、加入資格を満たすなら活用したい制度です。ただし、短期間での任意解約は元本割れするため、長期にわたって積み立てを続けることを前提に加入しましょう。 自営業の年金は少ない?年金対策も解説 自営業の方は、会社員に比べて年金が少ないといわれますが、実際にはいくらもらえるのでしょうか。自営業の方と会社員では、適用される年金制度が異なります。そのため、自営業の方が老後の生活費を確保す...記事を読む 執筆者紹介 大西 勝士(Katsushi Onishi) 金融ライター(AFP)。早稲田大学卒業後、会計事務所、一般企業の経理職、学習塾経営などを経て2017年10月より現職。大手金融機関を含む複数の金融・不動産メディアで年間200本以上の記事執筆を行っている。得意領域は不動産、投資信託、税務。 <運営ブログ> https://www.katsushi-onishi.com/

    2021.12.01制度年金
  • 自営業の年金はいくら?年金対策も解説

    自営業の年金は少ない?年金対策も解説

    自営業の方は、会社員に比べて年金が少ないといわれますが、実際にはいくらもらえるのでしょうか。自営業の方と会社員では、適用される年金制度が異なります。そのため、自営業の方が老後の生活費を確保するには、年金制度を理解した上で必要な対策を講じることが大切です。 今回は、自営業の方がもらえる年金額や年金対策について詳しく解説します。 自営業の年金制度 自営業の方の年金は、基本的に国民年金のみです。日本に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業の方は、国民年金の第1号被保険者に該当します。国民年金保険料は、収入や所得に関係なく1ヵ月あたり16,610円(令和3年度)で、国民年金に加入することで受けられる給付の種類は下記の通りです。 老齢基礎年金 障害基礎年金 遺族基礎年金 第1号被保険者の独自給付(付加年金・寡婦年金・死亡一時金) 短期在留外国人の脱退一時金 参考)国民年金に加入することで受けられる給付の種類 一方、会社員は勤務先で厚生年金に加入します。厚生年金保険料は給与(標準報酬月額)や賞与(標準賞与額)の18.3%で、被保険者(従業員)と事業主との折半負担となっています。厚生年金には国民年金も含まれるため、会社員のほうが年金額は多い傾向にあります。 参考)日本年金機構「国民年金保険料」 年金制度の基礎知識 日本の年金制度は以下のような3階建てになっています。 3階:企業年金、企業型確定拠出年金、厚生年金基金、iDeCo(個人型確定拠出年金) 2階:厚生年金、国民年金基金 1階:国民年金(基礎年金) 1階部分の国民年金は、日本在住の20歳以上60歳未満の方はすべて加入するため「基礎年金」と呼ばれます。2・3階部分は、働き方や勤務先の状況によって変わります。 自営業の方は、国民年金基金・iDeCoへの任意加入が可能です。会社員は勤務先の厚生年金に加入し、3階部分は勤務先の年金制度に応じて加入します。 自営業の年金はいくらもらえる? 自営業の方が受け取る国民年金(老齢基礎年金)の年金額(満額)は、令和3年度で月額65,075円です。保険料の納付状況によっては、上記より少なくなります。 厚生労働省の資料によると、令和元年度の国民年金の平均年金額は月額56,049円となっています。それに対して、厚生年金の平均年金額は月額146,162円です。このように、国民年金と厚生年金では年金額に2.5倍以上の差があります。 参考)日本年金機構「令和3年4月分からの年金額等について」 参考)厚生労働省「令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況P8、P20」 老齢基礎年金の算出方法 老齢基礎年金は、保険料の納付済期間と免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に65歳から支給されます。 40年間(20~60歳)すべての保険料を納めると、老齢基礎年金を満額受け取れます。保険料を全額免除された期間は年金額が2分の1、半額免除は4分の3で算出します。 将来もらえる年金見込額を知りたい場合は、日本年金機構の「ねんきんネット」を利用するか、最寄りの年金事務所に確認しましょう。 参考)日本年金機構「老齢基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法」 自営業の老齢基礎年金以外の種類 公的年金等の収入金額やその他の所得が一定基準額以下の場合、生活支援を目的に以下の給付金が年金に上乗せして支給されます。 老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金 老齢年金生活者支援給付金は、以下の支給要件を満たす方に支給されます。 65歳以上の老齢基礎年金の受給者 同一世帯の全員が市町村民税非課税 前年の公的年金等の収入金額とその他の所得の合計額が881,200円以下 給付額は月額5,030円を基準に、保険料納付済期間などに応じて算出されます。 障害年金生活者支援給付金 障害年金生活者支援給付金は、以下の支給要件を満たす方に支給されます。 障害基礎年金の受給者 前年の所得が4,721,000円以下 障害年金などの非課税収入は、前年の所得には含まれません。所得基準額は扶養親族の人数に応じて変動します。給付額は、障害等級1級が月額6,288円、2級が月額5,030円です。 遺族年金生活者支援給付金 遺族年金生活者支援給付金は、以下の支給要件を満たす方に支給されます。 遺族基礎年金の受給者 前年の所得が4,721,000円以下 所得基準額などの考え方は障害年金生活者支援給付金と同様で、給付額は月額5,030円です。ただし、2人以上の子が遺族基礎年金を受給している場合は、5,030円を子の人数で割った金額がそれぞれ支給されます。たとえば、3人の子が遺族基礎年金を受給している場合、1人当たりの金額は月額1,677円(5,030÷3人)です。 参考)厚生労働省「年金生活者支援給付金制度について」 自営業の年金対策、何をすればいい? 会社員より年金が少ない自営業の方は、将来に向けて何をすればよいのでしょうか。ここでは、自営業の方ができる年金対策を4つ紹介します。 国民年金基金 国民年金基金とは、自営業の方と会社員の年金額の差を解消するために創設された制度です。自営業の方(国民年金第1号被保険者)は任意で加入でき、掛金を納めた期間に応じて年金が上乗せされます。国民年金基金のメリットは以下の通りです。 掛金は全額社会保険料控除の対象 受け取る年金も公的年金等控除の対象 遺族一時金は全額非課税 国民年金基金の掛金は全額所得控除の対象となるため、所得税や住民税が軽減されます。また、年金を受け取るときにも所得控除が適用されます。年金受取前や保障期間中に亡くなった場合は、遺族に一時金が支払われます。 一方で、以下のようなデメリットもあります。 一度加入すると脱退できない(減額は可能) 死亡時に遺族一時金が掛金額を下回ることがある 国民年金基金は一度加入すると脱退できないため、加入は慎重に判断する必要があります。また、国民年金基金は国民年金法に基づいて設立されていますが、解散する可能性もあるので注意しましょう。解散する場合は、基金の解散時点での残余財産額を加入員および受給者等で分配します。その際、分配額は支払った掛金額の合計を下回ることがあります。 参考)国民年金基金「重要なお知らせ」 付加年金 付加年金とは、国民年金保険料に付加保険料(月額400円)をプラスして納付すると付加年金が上乗せされる制度です。住所地の市区町村役場で申し込みできます。 付加年金のメリットは、保険料に対して受け取れる額の割合が高いことです。付加年金は「200円×付加保険料納付月数」で算出します。計算上は2年間で元が取れるため、お得な制度といえるでしょう。 付加年金のデメリットは、年金支給前に死亡すると付加保険料が戻ってこないことです。また、国民年金基金との併用ができない点にも注意が必要です。 参考)日本年金機構「付加年金」 iDeCo(個人型確定拠出年金) iDeCoとは、自分で掛金を拠出して運用を行う私的年金です。掛金は将来給付として受け取れるため、年金の不足分を補うことができます。iDeCoのメリットは以下の通りです。 自分で運用先を決定できる 年金が上乗せされる 掛金が全額所得控除などの税制優遇がある iDeCoは、保険商品や投資信託などから自分で運用先を選べます。運用次第では、給付額を増やすことも可能です。掛金は全額所得控除で、運用益は非課税などの税制優遇も用意されています。 一方で、iDeCoは運用損が生じる場合があるのがデメリットです。運用がうまくいかなければ、給付が掛金を下回る可能性があります。また、原則60歳まで掛金を引き出せないため、資金繰りにも注意が必要です。 個人年金保険 個人年金保険は、保険会社が提供する保険商品です。積み立てた保険料を原資に、将来年金を受け取れます。個人年金保険のメリットは以下の通りです。 年金が上乗せされる 「生命保険契約者保護機構」によって一定の契約者保護がある 一定期間にわたって保険料を払うことで、年金の不足分を補うことが可能です。万が一保険会社が破綻した場合は、生命保険契約者保護機構によって一定の補償を受けられます。 個人年金保険のデメリットは、所得控除の対象額が少ないことです。生命保険料控除が適用されますが、個人年金保険料の控除額は年間で最高4万円にとどまります。また、商品によって年金の受取期間や保険料が変わる点にも注意しましょう。 参考)国税庁「No.1140 生命保険料控除」 それでも老後資金が不足する場合は? 上記のような対策を講じた上でも老後の生活費が不足する場合、持ち家であれば不動産が資金源となるかもしれません。自宅を担保に融資を受けたり、売却したりすることで、まとまった資金が手に入ります。具体的には、以下3つの方法があります。 不動産担保ローン 不動産担保ローンとは、不動産を担保にお金を借りることができるローンです。自宅を所有している場合、まとまった資金を準備する手段として活用できます。不動産担保ローンのメリットは以下の通りです。 無担保のカードローンより低金利で利用できる 借入限度額が大きい(不動産評価によって億単位の借り入れも可能) 最長35年など長期間にわたって借りられる 資金使途は原則自由 一方で、不動産担保ローンには以下のようなデメリットもあります。 借入時に手数料(事務手数料、抵当権の登記費用など)がかかる 返済不能になると不動産が処分される 不動産担保ローンについては、以下の記事で詳しく説明しています。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 リースバック リースバックとは、不動産売買と賃貸借契約が一体となったサービスです。自宅をリースバック運営会社に売却後、その会社に家賃を払うことで、同じ家に住み続けることができます。リースバックのメリットは以下の通りです。 自宅を売却した後も同じ家に住み続けられる 自宅の売却でまとまった資金が手に入る 月々の支出が定額化される 家の所有リスクを無くせる 一方で、リースバックには以下のようなデメリットもあります。 自宅の売却価格は市場価格より安くなる ずっと住み続けられるとは限らない リースバックについては、以下の記事で詳しく説明しています。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 リバースモーゲージ リバースモーゲージは、自宅を担保に老後資金の融資を受けますが、毎月の支払いは利子のみで、債務者の死亡後に自宅を売却して元本を返済する仕組みです。リバースモーゲージのメリットは以下の通りです。 自宅に住み続けながら資金を調達できる 毎月の支払いが利子のみで返済負担が少ない 一方で、リバースモーゲージには以下のようなデメリットもあります。 融資条件が厳しい 元金が減らない 不動産評価の下落リスクがある 金利変動リスクがある リバースモーゲージについては、以下の記事で詳しく説明しています。 関連記事はこちらリバースモーゲージとは?メリット・デメリットや老後資金づくりの方法を紹介 自営業の年金に関するよくある質問 自分の基礎年金番号の確認方法を教えてください。 基礎年金番号は下記の書類で確認が可能です。 基礎年金番号通知書 青色の年金手帳 国民年金保険料の口座振替額通知書 国民年金保険料の納付書、領収書 年金証書 各種通知書等(年金額改定通知書、年金振込通知書等) ねんきん定期便 国民年金の保険料はいくらですか。 令和4年度は月額16,590円です。なお、国民年金の保険料は毎年見直しが行われています。 参考)日本年金機構 国民年金保険料 年金手帳や基礎年金番号通知書をなくした場合、どうすればいいのですか。 年金制度改正法(令和2年法律第40号)等の一部施行により、令和4年3月31日をもって年金手帳が廃止されたため、令和4年4月1日より基礎年金番号通知書の発行が行われます。 年金手帳から基礎年金番号通知書への切替えにともない、令和4年3月31日までに「年金手帳再交付申請書」をご提出した場合であっても、処理状況によって交付年月日が令和4年4月1日以降となるものについては、基礎年金番号通知書が発行されます。 参考)日本年金機構 基礎年金番号通知書の再交付を受けようとするとき 65歳になると年金は自動的に受けられるのですか。 年金は自動的に支払われるわけではなく、手続きが必要です。この年金を受ける手続きを決定請求といいます。国民年金の決定請求の手続きは市・区役所または町村役場の国民年金の窓口(第3号被保険者期間がある場合は年金事務所または街角の年金相談センター)で行います。65歳の誕生日が過ぎてから決定請求を行ってください。 参考)日本年金機構 国民年金に若いときから加入しています。65歳になると年金は自動的に受けられるのですか。 住所が変わった場合に何か手続きは必要ですか。 住所表示の変更のため、番地が変わった場合でも、日本年金機構にマイナンバーが収録されている方は住所変更届出は原則不要です。 日本年金機構にマイナンバーが未収録の方や住民票の住所と違う場所に住んでいる場合や、成年後見を受けている方等は、「年金受給権者 住所変更届」に、新しい住居表示、マイナンバーカードに記載されているマイナンバーまたは、年金証書に記載されている基礎年金番号と年金コード、生年月日などを記入して年金事務所または街角の年金相談センターに提出が必要です。なお、市区町村名のみの変更の場合、日本年金機構が対象の方の住所を一括して変更しますのでこの届は必要ありません。 参考) ・日本年金機構 住居表示が変わったとき。 ・日本年金機構 年金Q&A まとめ 自営業の方は国民年金のみであるため、老後の生活費を年金だけでカバーするのは難しいでしょう。ただし、国民年金基金やiDeCoなど、年金対策として利用できる制度が用意されています。将来の年金見込額を確認し、なるべく早く老後資金の準備を始めましょう。 老後の一人暮らし、生活費はいくら必要? 未婚率の増加や子どもとの同居の減少により、高齢者の一人暮らしは増えています。現在は家族と暮らしていても、子どもの独立や配偶者との死別などにより、将来は一人暮らしになる可能性もあるでしょう。 ...記事を読む 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

ご相談、仮審査申込は無料です。お気軽にお問い合わせください。
0120-334-258受付時間:月~土 9:00 - 17:45