住まいとお金の知恵袋 一覧(公開日順)

  • 配偶者居住権とは?概要やメリット・デメリット、成立要件について解説

    配偶者居住権とは?成立要件や設定するメリット・デメリットを解説

    約40年ぶりに民法(相続法)が改正され、2020年4月から「配偶者居住権」が施行されました。現在夫婦で持ち家に暮らしているのであれば、相続が発生する時のために配偶者居住権について理解しておくことが大切です。 この記事では、配偶者居住権の概要やメリット・デメリット、成立要件について詳しく解説します。 配偶者居住権とは 配偶者居住権とは、残された配偶者が被相続人の所有する建物に居住していた場合に、被相続人が亡くなった後も、賃料の負担なく、その建物に住み続けられる権利です。 遺言で配偶者に配偶者居住権を遺贈することで、配偶者居住権を設定することができます。このとき、被相続人と配偶者が婚姻してから20年以上の夫婦である場合、配偶者居住権を設定しても、原則として遺産分割協議配偶者の取り分が減らされません。 また、被相続人が遺言をしないまま亡くなったとしても、他の相続人との遺産分割協議によって、配偶者居住権を取得できます。仮に、遺産分割協議が調わないとしても、家庭裁判所に審判の申立てることで、取得できる可能性もあります。 配偶者居住権施行の背景 近年の高齢化の進行により平均寿命が延びたことから、夫婦の一方が亡くなった後も、残された配偶者が長期間にわたり生活を継続することも多くなりました。その際には、配偶者が住み慣れた住居で生活を続けるとともに、老後資金も確保したいと希望することも多いと考えられます。そこで、遺言や遺産分割の選択肢を広げるために制度が導入されました。 配偶者居住権のメリット 配偶者居住権は、以下のようなメリットがあります。 被相続人が亡くなった後も自宅に住み続けられる 配偶者居住権の制度を利用すれば、被相続人が亡くなった後も引き続き自宅に無償で居住できます。本制度が施行されるまでは、相続財産の分割などの要因により、残された配偶者が夫婦で暮らしていた自宅を相続できず、自宅に住み続けられないことがありました。 しかし、配偶者居住権を利用することで、建物の所有権を取得するよりも低い価額で居住権を確保でき、自宅に住み続けられる可能性が高まりました。 不動産以外の財産が受け取りやすくなる 配偶者居住権は、不動産以外の財産が受け取りやすくなります。たとえば、被相続人が夫、相続人が妻と子一人の場合、法定相続分は妻と子の相続割合は1対1です。仮に相続財産が自宅と預貯金のみで、それぞれの価値が同じとき、均等に分けようとすると妻は自宅を相続すると、預貯金は取得できなくなってしまいます。 しかし、婚姻20年以上の夫婦であり、遺言による遺贈を行っていれば、原則として遺産分割で配偶者の取り分が減らされることはありません。 配偶者居住権のデメリット 配偶者居住権には、以下のようなデメリットもあります。 自宅の売却ができない 配偶者が所有権を保有している場合、本人の意思に基づいて自由に自宅を売却できます。一方で、配偶者居住権は、あくまで自宅に居住する権利です。そのため、配偶者居住権を保有しているだけでは、第三者に自宅を売却できません。 また、自宅の所有権を保有する配偶者以外の相続人が、売却しようと思っても売却できません。なぜなら、その自宅には配偶者居住権が設定されており、第三者が購入しても住めないためです。 上述のような問題の対処法として、配偶者居住権を合意解除や放棄する事はできます。しかし、配偶者が認知症になるなど、意思表示ができなくなると、大きな問題になる恐れがあります。 所有者の税負担が大きい 配偶者にとっては、所有権ではなく居住権だけを取得できるのでメリットです。一方で、所有権者にとっては、居住権がないのにも関わらず、固定資産税を支払わなければなりません。改正相続法では、配偶者居住権を取得した配偶者は、建物の必要費を負担する義務がありますが、これはあくまで建物部分に限られます。土地の固定資産税の負担は、所有権者が行わなければならないので、不公平感も生まれやすいでしょう。 これらのデメリットは、従来の所有権では生まれなかったので、配偶者居住権を設定する際には、あらかじめよく話し合っておくことが大切です。 配偶者居住権の成立要件 配偶者居住権が成立するには、以下3つの要件を満たす必要があります。 相続開始時に被相続人の所有する建物に居住していたこと 相続開始時に被相続人が配偶者以外の者と建物を共有していないこと 以下のいずれかに該当(ア)遺産の分割により配偶者居住権を取得するものとされたこと(イ)配偶者居住権が遺贈の目的とされたこと 配偶者居住権は、遺産分割協議で取得できますが、遺産分割協議を行うことになった場合、配偶者短期居住権で保護されます。配偶者短期居住権とは、相続が発生した時点で、被相続人と同居していた配偶者が、遺産分割の確定まで、最短でも相続開始から6か月間、引き続き住み続けられる権利です。 まとめ 前述のとおり、配偶者居住権は配偶者にとって、大きなメリットがありますが、配偶者以外の相続人にとってはデメリットもあります。そのため、配偶者居住権の設定の際には、配偶者と子の折り合い必要です。また、配偶者居住権がどの程度の評価を持つかなど、素人には算定が難しいです。 配偶者居住権は、開始間もない制度です。配偶者居住権の成立要件や評価方法は複雑で、まだ不透明な部分が多いのが現状です。配偶者居住権を検討する場合は、相続に強い税理士などの専門家に相談しておくと安心でしょう。 出典) ・法務局「配偶者居住権とは何ですか?」 ・一般社団法人 全国銀行協会「「配偶者居住権」は配偶者にどんなメリットがあるのですか?」 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 SBI証券の相続そうだんターミナル ライフプランや相続に関する情報を発信しています。※SBI証券のWEBサイトに遷移します。 SBI証券の相続そうだんターミナル ライフプランや相続に関する情報を発信しています。 ※SBI証券のWEBサイトに遷移します。 次に読むべき記事 相続した不動産に不動産取得税がかかるケースとは? 自宅の購入など、不動産を取得したときには不動産取得税がかかります。では、相続で不動産を取得した場合には、不動産取得税はかかるのでしょうか。 相続により不動産を取得した場合、原則不動産取得税は...

  • リバースモーゲージとは?メリット・デメリットや老後資金づくりの方法を紹介

    リバースモーゲージとは?メリット・デメリットや仕組みを解説

    リバースモーゲージとは、自宅を担保に融資を受けられる高齢者向けのローン商品です。高齢化によって老後の期間が長くなっていることから、老後資金を作る方法のひとつとして注目されています。 リバースモーゲージは同じ家に住み続けながら老後資金を準備できますが、デメリットもあるため、仕組みを理解したうえで利用することが大切です。この記事ではリバースモーゲージの特徴やメリット・デメリット等について解説します。 リバースモーゲージとは リバースモーゲージは、自宅を担保にした不動産担保ローンの一種で、毎月の支払いは利子のみ、債務者の死亡後に自宅を売却して元本を返済する仕組みです。自宅に住み続けながら資金調達できるので、老後資金対策として検討する人が増えています。 リバースモーゲージを利用するためには、年齢や年収、家族の同居、資金使途などに一定の制限があります。債務者に配偶者が居り、債務者が先に亡くなってしまった場合でも、自宅をすぐに売却しなければならないわけではなく、配偶者は契約を引き継ぐことで、債務者が死亡した後も引き続き自宅に住むことができます。 リバースモーゲージの仕組み リバースモーゲージの仕組みは以下のとおりです。 リバースモーゲージはこんな方におすすめ リバースモーゲージは、老後資金に不安のある方で、特に下記のような方におすすめです。 住宅ローンの返済が辛い方 生活資金や余暇を楽しむための資金が必要な方 リフォーム資金が必要な方 老人ホームの入居費用が必要な方 相続人がいない、もしくは相続人に不動産を残す予定の無い方 なお、自身の状況や使途によっては、リ・バース60やリースバックの方が適している場合もあります。 リバースモーゲージ型住宅ローン「リ・バース60」とは リ・バース60は、住宅金融支援機構が提供するリバースモーゲージ型住宅ローンです。リバースモーゲージが生活費や医療費など幅広い使途に対応するのに対し、リ・バース60は、リバースモーゲージの仕組みを活用しつつ、住宅購入やリフォームなど特定の用途に資金使途を限定している点が特徴です。 さらに、リ・バース60では契約者が亡くなった後に相続人が元金を一括返済することで、自宅を相続することが可能です。この仕組みにより、自宅を担保に資金を調達しつつ、将来的に家族に住まいを残す選択肢も確保できます。 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 そのため、状況に応じてリバースモーゲージだけではなく、リ・バース60やリースバックも検討すると良いでしょう。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みからメリット・デメリットまで徹底解説 リバースモーゲージのメリット リバースモーゲージのメリットは以下2つです。 自宅に住み続けながら資金を調達できる 自宅を活用して資金調達する場合、まずは売却を検討するのではないでしょうか。自宅を売却すればまとまった資金が手に入るかもしれませんが、売却後は別の住居を確保しなくてはなりません。しかし、高齢で賃貸住宅の契約が難しいことや、慣れ親しんだ自宅に住み続けたいなどの理由から、引っ越しを避けたい方は多いでしょう。リバースモーゲージは自宅を担保に融資を受けられるので、自宅に住み続けながら老後資金を準備できます。 毎月の支払いが利子のみで返済負担が少ない リバースモーゲージは、債務者の死亡後に自宅を売却して元金を返済する仕組みになっています。元金の返済は死亡時まで猶予され、毎月の支払いは利子だけで済むので、返済負担が少ないのがメリットです。リバースモーゲージを利用すれば、月々の収入がそれほど多くない方でも家計のやりくりが楽になります。 リバースモーゲージのデメリット リバースモーゲージには先ほど紹介したメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。 融資条件が厳しい リバースモーゲージは、融資条件が厳しいのがデメリットのひとつです。資金使途が限定されていることがほとんどですし、対象不動産については対象地域が狭く、首都圏を中心とする大都市の物件に限定されることが多くなっています。また、債務者の死亡後に自宅を売却して元金を返済するという仕組みのため、推定相続人の同意が必要です。リバースモーゲージを検討する場合は、融資条件を満たすかどうかを確認すると同時に、推定相続人の同意が取れるか確認しましょう。 元金が減らない メリットのところで記載しましたが、リバースモーゲージでは返済が利子だけで済むので、毎月の返済を抑えることが出来ます。しかし、これは裏を返せば借入の増加や、返済期間が長期化するほど返済負担が多くなっていきます。また、返済が難しくなっても限度額の範囲であれば追加融資を受けられますが、借入のたびに元金は膨らむこととなるので注意が必要です。 不動産評価の下落リスク リバースモーゲージの融資金額は、担保評価額の半分程度までが一般的です。担保評価額は毎年見直されるため、急な地価下落などで担保評価額が下がる可能性もあります。この担保評価額の見直しによっては、既に借入をしている元金が融資限度額を超えてしまい、返済を求められることもあるので注意が必要です。 金利変動リスク リバースモーゲージは変動金利のため、金利変動リスクがあります。借入中に適用金利が上昇すると、毎月の利子支払額が増えてしまうかもしれません。そのため、リバースモーゲージを利用する場合は、金利上昇に備えて余裕を持った資金計画を立てておくことが大切です。 リバースモーゲージ以外に老後資金を作る方法 リバースモーゲージは上記のようなメリットやデメリットがあるので、条件によっては、自宅に住み続けながら老後資金を作るほかの方法として「不動産担保ローン」と「リースバック」の方が適している可能性があります。 不動産担保ローン 不動産担保ローンとは、土地や建物、マンションなどの不動産を担保に融資を受けるローンです。不動産を担保とする点では、リバースモーゲージと仕組みは同じです。不動産担保ローンはリバースモーゲージとは異なり、返済方式が元利均等返済となっており、不動産売却による完済ではなく、返済による完済を前提にしています。そのため、相続で子供に不動産を残したい場合など、将来的に不動産売却をするつもりがないケースでは、リバースモーゲージよりも不動産担保ローンの方が適しているといえるでしょう。 一方で、不動産担保ローンでは、ローン完済時の年齢制限がありますので、利用を検討する場合には、金融機関ごとの融資条件を確認しましょう。 関連記事はこちら【FP解説】不動産担保ローンとリバースモーゲージの違いとは? リースバック リースバックとは、自宅をリースバック運営会社に売却後、その会社と賃貸借契約を締結することで自宅に住み続けられるサービスです。リバースモーゲージとリースバックはよく比較されますが、その仕組みは大きく異なります。リバースモーゲージが自宅を担保に融資を受けるのに対し、リースバックは自宅の売却によって資金調達したうえで賃貸として住み続けます。 リースバックの売却価額は市場価額より低くなりますが、「年齢制限や年収基準なし」「資金使途は原則自由」など、融資条件の面でリバースモーゲージのデメリットを解消できます。ただし、売却後も自宅にずっと住み続けられるかどうかは、賃貸借契約がポイントとなります。賃貸契約期間が定められている「定期借家契約」の場合、再契約できずに引っ越しが必要になる可能性があるので契約内容には注意が必要です。 関連記事はこちらリースバック・リバースモーゲージ・リ・バース60の違いを徹底比較 リバースモーゲージのよくあるご質問 リバースモーゲージのよくあるご質問は以下のとおりです。 リバースモーゲージではどのくらいの金額を借り入れすることができますか? リバースモーゲージで借り入れすることができる金額は、提供する金融機関などによって異なります。一般的には、担保評価額の50%程度を上限としている場合が多いようです。 リバースモーゲージには年齢制限はありますか? リバースモーゲージの利用が可能な年齢は、50歳~80歳です。年齢制限は、各金融機関などによって異なりますので、利用を検討している場合は事前に確認することをおすすめします。 リバースモーゲージの金利はいくらですか? リバースモーゲージの金利は、約3.0%~5.0%です。一般的に、カードローンや不動産担保ローンより低金利で借り入れができる一方、住宅ローンと比較すると高めの金利が設定されています。 住宅ローンが残っている不動産を担保にすることはできますか? 担保とする不動産に住宅ローンが残っている場合であっても、融資を受けられる可能性があります。ただし、借入資金によって既存の住宅ローンを返済することが条件となります。残債が一定金額減っている状態であれば、リバースモーゲージで住宅ローンの借り換えを行うことができ、借り換えによって毎月の支払いが利息のみとなるので、返済負担を軽減できます。 マンションを担保に融資を受けることはできますか? マンションを担保にする場合、対象となる物件に条件があり、立地が悪いマンションや築年数の古いマンションは対象外になることが多いようです。また、金融機関によってはマンションを対象外としている場合もあります。マンションを担保にリバースモーゲージの利用を検討している場合は、事前に問い合わせをしてみましょう。 生活保護を受けているが、融資を受けることはできますか? 生活保護を受けている場合、一般的に融資を断られる可能性が高いです。しかし、収入等の一定の条件を満たすことで融資を受けられる可能性もあります。条件は金融機関によって異なるため、問い合わせをしてみましょう。 ※下記金融機関の融資条件を参考に回答作成 ・三菱UFJ銀行 リバース・モーゲージ型 住宅関連ローン ・三井住友信託銀行 不動産活用ローン(リバースモーゲージ) ・東京スター銀行 リバースモーゲージ「充実人生」 ・神奈川銀行 かなぎんリバースモーゲージローン ・愛媛銀行 シニア層向けローン(住宅担保)~リバースモーゲージ~ まとめ ここまで紹介したように、自宅を活用して老後資金を作るには、リバースモーゲージの他に不動産担保ローン、リースバックといった方法があります。ご自身の状況によって最善の選択肢は変わってくるので、それぞれの仕組みやメリット・デメリットを理解したうえで計画的に資金調達をしましょう。 { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [{ "@type": "Question", "name": "リバースモーゲージではどのくらいの金額を借り入れすることができますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "リバースモーゲージで借り入れすることができる金額は、提供する金融機関などによって異なります。一般的には、担保評価額の50%程度を上限としている場合が多いようです。" } }, { "@type": "Question", "name": "リバースモーゲージには年齢制限はありますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"リバースモーゲージの利用が可能な年齢は、50歳~80歳です。年齢制限は、各金融機関などによって異なりますので、利用を検討している場合は事前に確認することをおすすめします。" } }, { "@type": "Question", "name": "リバースモーゲージの金利はいくらですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"リバースモーゲージの金利は、約3.0%~5.0%です。一般的に、カードローンや不動産担保ローンより低金利で借り入れができる一方、住宅ローンと比較すると高めの金利が設定されています。" } }, { "@type": "Question", "name": "住宅ローンが残っている不動産を担保にすることはできますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"担保とする不動産に住宅ローンが残っている場合であっても、融資を受けられる可能性があります。ただし、借入資金によって既存の住宅ローンを返済することが条件となります。残債が一定金額減っている状態であれば、リバースモーゲージで住宅ローンの借り換えを行うことができ、借り換えによって毎月の支払いが利息のみとなるので、返済負担を軽減できます。" } }, { "@type": "Question", "name": "マンションを担保に融資を受けることはできますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"マンションを担保にする場合、対象となる物件に条件があり、立地が悪いマンションや築年数の古いマンションは対象外になることが多いようです。また、金融機関によってはマンションを対象外としている場合もあります。マンションを担保にリバースモーゲージの利用を検討している場合は、事前に問い合わせをしてみましょう。" } }, { "@type": "Question", "name": "生活保護を受けているが、融資を受けることはできますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text":"生活保護を受けている場合、一般的に融資を断られる可能性が高いです。しかし、収入等の一定の条件を満たすことで融資を受けられる可能性もあります。条件は金融機関によって異なるため、問い合わせをしてみましょう。" }} ] } 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローンとは?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説 不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保にして資金を借りるローンのことです。無担保ローンに比べて、まとまった金額を低金利で借りられる一方、返済が滞ると不動産が競売にかけられるリスク... 次に読むべき記事 リースバックとは?仕組みからメリット・デメリットまで徹底解説 リースバックとは、資産を売却した後もそのまま使い続けられる資産活用の取引手法です。 「セール・リースバック」や「セール・アンド・リースバック」とも呼ばれ、所有している資産を第三者に売却し、同...

    2020.08.26各種ローン
  • 不動産担保ローンを比較する5つのポイント

    不動産担保ローンのおすすめは?初心者でも安心して選べる比較ガイド

    不動産担保ローンは、担保を活用することで高額な融資を低金利で受けられるメリットがあり、資金調達の手段として有効です。とはいえ、金融機関ごとに条件や対応が異なるため、どこを選べばよいか迷う人も多いのではないでしょうか。特に初心者の人にとっては、金利や審査、融資スピードなど、比較すべきポイントが多く、判断が難しく感じられることもあります。 この記事では、不動産担保ローンを安心して選ぶために、初心者向けのおすすめの選び方と比較ポイントをわかりやすく解説します。 不動産担保ローンの基本と種類 不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保にして資金を借りるローンのことです。担保がある分、無担保ローンと比べて高額な融資が受けられる可能性があり、事業資金や生活資金、借り換えなど幅広い目的で利用されています。 一方で、担保の評価や審査の基準が金融機関によって異なるため、初心者にとっては仕組みが少し複雑に感じられるかもしれません。 金融機関の種類について 不動産担保ローンを提供する金融機関は、「銀行系」と「ノンバンク系」に大きく分けられます。それぞれの特徴や違いについては、選び方に大きく関わる重要なポイントですが、詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。 関連記事はこちら不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い 初心者の方は、まずこの2つの違いを理解したうえで、自分の目的や状況に合った金融機関のタイプを選ぶことが大切です。 不動産担保ローンのおすすめの選び方(比較ポイント) 不動産担保ローンを選ぶ際には、複数の金融機関を比較することが重要です。特に初心者の人は、金利や審査の通りやすさだけでなく、融資までのスピードや担当者の対応など、さまざまな観点から総合的に判断する必要があります。ここでは、安心してローンを選ぶために押さえておきたい6つの比較ポイントを詳しく解説します。 1. 融資金額と担保評価の仕組み 不動産担保ローンの融資金額は、担保となる不動産の評価額に基づいて決定されます。一般的には評価額の60〜80%程度が融資上限の目安とされ、そこに借り手の与信(年収、勤務先、勤続年数など)を加味して最終的な融資額が決まります。金融機関ごとに評価方法や掛目(かけめ)が異なるため、同じ物件でも融資可能額に差が出ることがあります。 担保評価の考え方や掛目の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。 関連記事はこちら不動産担保ローンの担保評価額を解説!いくら借りられるかの目安を知る方法とは? 融資を希望する際は、複数の金融機関に相談し、自分の不動産がどのように評価されるかを事前に確認しておくことが大切です。 2.金利と手数料などの費用 ローンを選ぶ際には、金利だけでなく、事務手数料や登記費用、印紙代などの諸費用も含めて総返済額を比較することが重要です。金利が低くても、手数料が高ければ結果的に負担が増えることもあるため、表面金利だけで判断するのは危険です。 特に事務手数料は「融資金額の○%」といった形で設定されることが多く、金額が大きくなるほど差が出やすいポイントです。また、借り換えを検討している場合は、既存ローンの繰上返済手数料も考慮する必要があります。費用面は見落とされがちですが、長期的な返済計画を立てるうえで非常に重要な要素です。 3. 審査の柔軟性と通過率 不動産担保ローンの審査基準は金融機関によって大きく異なります。銀行系は信用情報や収入状況を厳しくチェックする傾向があり、安定した職業や高い年収が求められることもあります。一方、ノンバンク系は比較的柔軟な審査を行っており、開業間もない個人事業主や赤字決算の法人でも融資を受けられる可能性があります。 審査の考え方や審査基準の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。 関連記事はこちら不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイント また、審査に必要な書類や提出方法も金融機関によって異なるため、事前に確認しておくことで手続きをスムーズに進めることができます。収入に不安がある人や過去に審査で落ちた経験がある人は、柔軟な対応をしてくれる金融機関を選ぶと安心です。 4. 融資までのスピード 急に資金が必要となった際は、融資までのスピードも重要な比較ポイントです。金融機関によっては「最短即日融資」や「1週間程度で融資可能」といった対応をしているところもありますが、これはあくまで必要書類がすべて揃っている場合や、既存の借り入れがある場合など、審査が迅速に完了する場合に限られます。 実際には、物件の現地調査や書類の不備などで時間がかかるケースもあるため、余裕を持ったスケジュールで検討することが大切です。急ぎの場合は、事前に「いつまでに資金が必要か」を明確に伝えることで、優先的に対応してもらえる可能性もあります。 5. 担当者の対応とサポート体制 不動産担保ローンは手続きが複雑で、専門用語も多く登場するため、金融機関の担当者の対応は比較ポイントとして非常に重要です。丁寧な説明や迅速な対応があるかどうかは、契約のスムーズさや安心感に直結します。 金融機関によっては、専任の担当者がつくケースや、電話・メール・対面など多様なサポート体制を整えているところもあります。金利や融資条件だけでなく、「人の対応」も含めて比較することで、より満足度の高い選択につながります。 6. 金融機関の信頼性と実績 不動産担保ローンは長期にわたる契約になるため、金融機関の信頼性も非常に重要です。営業年数が長く、融資実績が豊富な金融機関であれば、安心して取引を進めることができます。また、万が一のトラブル時にも、しっかりとした対応が期待できるでしょう。 金融機関の信頼性を見極めるには、公式サイトでの情報だけでなく、口コミや第三者の評価も参考になります。ブランド力や提案内容の質なども含めて、総合的に判断することが、後悔しないローン選びにつながります。 初心者におすすめの選び方(タイプ別アドバイス) 不動産担保ローンは、資金使途や時期、審査への不安など、個人の状況によって最適な選び方が異なります。ここでは、初心者の人が自分に合ったローンを選ぶためのヒントとして、代表的な4つのタイプ別におすすめの選び方をご紹介します。 タイプ①:早く資金が必要な人 事業の立ち上げや急な資金繰りなど、短期間でまとまった資金が必要な場合は、融資までのスピードを重視して金融機関を選ぶのがおすすめです。ノンバンク系の金融機関は、審査が柔軟で申し込みから数日での融資が可能なケースもあり、スピード感を求める人には適しています。 ただし、スピード重視のローンは、金利が高めに設定されていることもあるため、総返済額とのバランスを見て判断することが大切です。必要書類を事前に揃えておくことで、審査や担保評価がスムーズに進み、希望するタイミングで資金を受け取れる可能性が高まります。 タイプ②:金利を抑えたい人 返済負担をできるだけ軽くしたい人は、金利の低さを重視して金融機関を選びましょう。一般的に銀行系の不動産担保ローンは、ノンバンク系に比べて金利が低く設定されている傾向があります。長期で借り入れをする場合は、金利の差が総返済額に大きく影響するため、慎重な比較が必要です。 ただし、銀行系は審査が厳しく、融資までに時間がかかることもあるため、資金が必要時期や審査通過の可能性も考慮する必要があります。金利だけでなく、事務手数料や登記費用などの諸費用も含めて、トータルコストで判断するのが賢い選び方です。 タイプ③:審査に不安がある人 収入が不安定だったり、過去にローン審査で落ちた経験がある人は、審査の柔軟性を重視して金融機関を選ぶと安心です。ノンバンク系の金融機関は、開業間もない個人事業主や赤字決算の法人など、一般的に審査が通りにくい属性でも相談に乗ってくれるケースが多くあります。 また、担保不動産の評価が高ければ、与信に不安があっても希望額に近い融資が受けられる可能性もあります。事前に相談して、どのような条件で審査が進められるかを確認することで、無理のない借り入れが実現しやすくなります。 タイプ④:サポートを重視したい人 初めてローンを利用する人や、手続きに不安がある人は、担当者の対応やサポート体制を重視して金融機関を選ぶのがおすすめです。特に、専門用語や書類の準備に不安がある場合は、親身になって説明してくれる担当者がいるかどうかが安心材料になります。 「人の対応」を重視する人は、相談時の印象や説明のわかりやすさを確認しながら、信頼できる金融機関を選ぶと良いでしょう。サポート体制が整っているかどうかは、初心者にとって大きな安心につながります。 初心者におすすめの金融機関の特徴 不動産担保ローンを初めて利用する人にとっては、金融機関選びそのものが不安の種になりがちです。そんな初心者におすすめなのは、以下のような特徴を持つ金融機関です。 専任の担当者がつき、手続きや専門用語を丁寧に説明してくれる 審査が柔軟で、開業間もない個人事業主や赤字法人にも対応している 金利や手数料などの融資条件が明確に提示されている 融資までのスピードが早く、事前相談にも応じてくれる 営業年数や融資実績が豊富で、会社としての信頼性が高い これらの条件を満たす金融機関は、初心者でも安心して相談・契約ができる可能性が高く、「おすすめ」と言える存在です。まずは仮審査を通じて、自分の条件に合うかどうかを確認してみることをおすすめします。 まとめ|自分に合った不動産担保ローンを選ぶために 不動産担保ローンは、資金調達の選択肢として非常に有効ですが、金融機関によって条件や対応が大きく異なります。初心者の人は、金利・審査・サポート体制などを総合的に比較し、自分に合ったローンを選ぶことが大切です。 まずは「おすすめの条件」に合う金融機関を見極め、仮審査を通じて融資可能額を確認してみましょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローンとは?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説 不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保にして資金を借りるローンのことです。無担保ローンに比べて、まとまった金額を低金利で借りられる一方、返済が滞ると不動産が競売にかけられるリスク...

  • コロナで住宅ローン負担増、借り換えできない場合の選択肢とは!

    コロナで住宅ローン負担増、借り換えできない場合の選択肢とは!

    新型コロナウイルスの影響で家計の収入がダウンし、住宅ローンが重荷になってきた家庭は少なくありません。とはいえ、住宅ローンそのものの借り換えが思うように進まない方もいるでしょう。この記事では、住宅ローンの返済に不安をもつ方が、少しでも気持ちを楽にして今後を過ごせる手段として、どのような方法があるのかをご紹介します。 <ご相談者 Hさん> 61歳男性・会社員(年収400万円) 妻は病弱で専業主婦。子供はいない。 新型コロナウイルスの影響で、夫の会社の業績が落ち、ボーナスは大幅減。 45歳で購入したマンションの住宅ローンはボーナス返済が大きく辛い。 借り換えをしようとしたが、審査で落ちてしまった。 ボーナスダウンで住宅ローンが重荷に、借り換えしたかったが… Hさん:会社員の我が家でも新型コロナウイルスによる収入ダウンの影響を受けています。60歳までは色々な手当があったのですが、定年後に再雇用となったことに加え、新型コロナウイルスの影響によりボーナスも大幅減です。 FP吹田:この新型コロナウイルスの影響は大変ですよね。何年前に住宅ローンを借りられたのですか?当初の借入金額や金利、返済期間を教えてください。また、繰上返済などをされたかどうかも念のため教えてください。 Hさん:はい、住宅ローンは45歳のとき、今から16年前に3,300万円を公庫で借りて、当初の金利は2.5%、借入期間は35年でした。当時は忙しくて金利などに無頓着だったこともあり、繰上返済もせずほったらかしでした。 FP吹田:仕事が忙しいと、なかなか住宅ローンを見直しする時間もとれなかったでしょうね。 Hさん:ただ、返済開始から11年目以降に金利が上がる段階金利型だったので、金利が2.5%から3.5%になり、今の返済は毎月9.5万円、ボーナス月で22.5万円も返済があります。今私は61歳ですから、まだ19年も今の返済が続くのは辛いと思って借り換えを試みたのですが、ダメでした。 FP吹田:そうだったのですか。住宅ローンの審査は金融機関ごとに異なりますが、ご年齢が61歳であることや再雇用により給料が減少したことで断られてしまった可能性がありますね。 Hさん:借り換えができないとなると、どうしたらいいでしょうか?なんだか、今後も返済し続けるということに大きなストレスを感じてきました。とはいっても、いきなり賃貸物件へ引越すのも、妻の身体が弱いので体力的に心配です。 住宅ローンを完済しつつ、今の自宅に住み続ける手段への転換も FP吹田:なるほど。新型コロナウイルスの時代に、今後も住宅ローンを返済し続けることそのものに、ストレスを感じていらっしゃるのですね。とはいっても、奥様のことを心配して、いきなり引っ越しは避けたいのが本音ですね。今、このタイミングで両方を満たせる手段がありそうと言ったらご興味ありますか? Hさん:そんな方法があるのですか? FP吹田:はい、不動産という資産があって、ある程度住宅ローンを返済されてきたからこそできる手段で、リースバックというものです。 Hさん:どんな内容なのですか? FP吹田:簡単に言うと、ご自宅をリースバック運営会社に売却し、そのままその会社から現在の自宅を賃借して住み続けるというものです。以下に仕組みやメリット・デメリットを整理してみました。参考までに住宅ローンの借り換えとも比較しています。 リースバックと住宅ローンの借り換えのメリット・デメリット リースバック 住宅ローンの借り換え 仕組み不動産を売却後、そのまま賃借して住み続ける住宅の所有権はそのまま、住宅ローンの借入先を変更 メリット ・手元資金を確保する事ができる・融資審査ではなく不動産売却後の入居審査のため、融資に比べ審査が通りやすい ・借り換えできれば、金利条件などでローン返済が軽くなる・所有権は変わらない デメリット 所有権を手離すことになる(売却価格は周辺相場よりも安くなりがち) 不動産を所有することで生じるリスクが残る。(災害リスク・金利上昇リスクなど) Hさん:なるほど。自宅を所有し続けるのではなく、売却するけれども、引越しをしたりすることなく、そのまま住み続けるということですね。 FP吹田:はい、売却代金が入るので、住宅ローン残高が残っていたとしても、残債を売却金額が上回っていれば住宅ローンを精算することが可能です。 Hさん:あとは、家賃を払うのですね。 FP吹田:はい、毎月の家賃(リース料)という形なので、管理費や修繕費用、固定資産税などの維持費がかからないですし、会社によっては賃借の費用である敷金・礼金・更新料も不要な場合もあります。 Hさん:維持費がかからないのは、本当に気楽になりますね。固定資産税も重荷でしたから。気になるのはいくらで売れるかですね。 FP吹田:はい、売却価格が周辺相場より下がる傾向はありますが、買い手が見つかるまで待つこともなく迅速に現金化できることや、今後、新型コロナウイルスの影響で不動産の価値も変わる可能性を考えると、今の時点で整理してみる価値はあるかと思います。 Hさん:確かに。今の自分の状態から優先順位を考えると、住宅ローンから解放されることと、維持費負担も楽になること、引っ越さなくてもいいという利点は、無視できませんね。検討してみます。たぶん、妻も賛成してくれると思います。 FP吹田:はい、共同生活者でもある奥様と相談されて、今後の生活で一番不安が少ないこと、安心できることを優先に意思決定されるのがよいと思います。今回、住宅ローンの借り換えができなかったのがきっかけですが、今までの延長でご自宅を所有することよりも、大切なことに気づかれたのではないでしょうか? Hさん:はい。これだけ環境が変化すると、自宅の所有に伴う負担がずいぶん重荷になっていたのに気づきました。住宅ローンを返し続ける重荷がなくなれば、今後は、働き方や生活拠点ももう少し自由に妻と話し合っていけそうです。前向きに検討します。 まとめ 住宅ローンの借り換えができない現実に!住宅ローンを完済し、かつ引っ越しをせずに生活を維持できる方法は? リースバックのメリットとデメリット 不動産売却により住宅ローン残高の精算ができる 引っ越しせずに今の自宅に住み続けられる 固定資産税などの維持費や、修繕費用などの突発的な出費がなくなる 自宅の所有権はなくなる 売却価格は、周辺相場より安くなりがち 毎月のリース料(家賃)が発生する リースバックならSBIスマイル リースバックの商品詳細はこちら さっそく仮査定を申し込む SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定は無料で受け付けています。※SBIスマイルのHPに遷移します。 さっそく仮査定を申し込む SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定は無料で受け付けています。 ※SBIスマイルのHPに遷移します。 執筆者紹介 吹田 朝子( Tomoko Suita ) 人とお金の理想的な関係を追求するお金のメンタリスト®・1級ファイナンシャルプランニング技能士・宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・キャリアコンサルタント (社)円流塾代表理事、ぜにわらい協会会長、STコンサルティング(有)代表取締役社長 一橋大学卒業後、金融機関の主計部を経て1994年より独立。中小企業経営者から個人まで相談実績は3,300件以上。自己実現のためのお金の使い方や増やし方のサポートに力を入れている。 <主な著書> 「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」スタンダーズ社・「小学生でもわかる!お金にまつわるそもそも事典」C&R研究所・「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」C&R研究所 など 次に読むべき記事 リースバックとは?仕組みからメリット・デメリットまで徹底解説 リースバックとは、資産を売却した後もそのまま使い続けられる資産活用の取引手法です。 「セール・リースバック」や「セール・アンド・リースバック」とも呼ばれ、所有している資産を第三者に売却し、同...

  • リースバックのデメリットやリスクは?トラブル事例とその回避方法について解説

    リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説

    リースバックは一般的な不動産売買にはないメリットがある一方で、契約にあたって思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもあるため、商品を調べていく中で「やばい」「やめたほうがいい」などの記事を見ることもあるかもしれません。契約してから後悔しないためには、事前にトラブル事例を把握したうえで、それらに対処する方法を理解しておくことが大切です。 この記事では、リースバックのトラブル事例と、トラブルを避ける方法について解説します。 ①売却価格が適正価格より安かった 前提として、リースバックの売却価格は、基本的に市場価格よりも安くなります。これはリースバック運営会社が借主の家賃滞納リスクや、買い戻しに応じるために自由に売買できない制約などを抱えているためです。一般的に、売却価格は市場価格の70%前後になる場合が多いです。 しかし、運営会社によっては、想定以上に安い売却価格を提示する場合があります。提示された売却価格が安すぎることに気づくためには、複数の運営会社に相談して売却価格を比較することが有効です。ひとつの運営会社だけで判断しないように気を付けましょう。 ②家賃が支払えなくなった リースバックは、自宅を売却した後に家賃を支払うことになります。売却価格を重視して契約した場合、その家賃は相場に比べて割高に設定されることが多いです。家賃の設定が自身の家計に対して適切でないと、支払いが徐々に厳しくなり、最終的には手元資金が枯渇して家賃が支払えなくなる恐れがあります。 後から家賃が支払えなくなるトラブルを回避するためには、契約前に売却価格と賃料設定のバランスが適切かどうか、複数の運営会社で確認することが大切です。運営会社によって不動産の評価方法や賃料設定は異なるので、ひとつの運営会社だけで判断せず、必ず複数の会社を比較して判断しましょう。 また、家賃を問題なく支払い続けられるように、長期間の収支シミュレーションを作成するのも有効です。自身の今後の収入見込み額や貯金額などの状況を整理して、本当に支払い続けられる適切な家賃設定かを判断しましょう。 関連記事はこちらリースバックの家賃設定を解説!家賃相場よりも高い? ③家賃の引き上げを要求された 固定資産税の上昇、土地または建物の価格の上昇、その他の経済事情の変動などにより運営会社から家賃の引き上げを要求されることがあります。家賃は毎月支払わなければならないため、少しの値上げであっても、将来的には大きな負担となり、最終的に家賃が支払えなくなってしまうかもしれません。 賃貸借契約が普通借家契約の場合、契約書の特記事項に家賃を増額しない旨が記載されていれば、家賃の引き上げを要求されることがありません。契約を締結する前にしっかりと確認することが大切です。 また、賃貸借契約が定期借家契約の場合は、契約期間中に家賃の引き上げを要求されることはありません。一方で、再契約のタイミングで要求される恐れがあります。もし確実に家賃を引き上げを要求されないようしたい場合は、普通借家契約かつ特記事項に家賃を増額しない旨を記載してもらえないかを、運営会社に相談してみましょう。 ④再契約時に退去を求められた リースバックの賃貸借契約では、賃貸借契約期間が定められている定期借家契約も用いられます。。定期借家契約の締結時に「再契約によって住み続けることが可能」と説明されていたとしても、契約期間満了後に運営会社の事情で再契約を断られた場合は、退去しなくてはなりません。 こうしたトラブルを回避するためには、事前に賃貸借契約が「普通借家契約」であるかを確認しておきましょう。「普通借家契約」であれば、正当な事由がない限り、貸主都合による一方的な賃貸借契約の解除はできません。もし「定期借家契約」で賃貸借契約を締結するのであれば、賃借期間が満了した時点で退去すると考えておきましょう。 なお、定期借家契約であっても、期間満了前の正当な事由がない退去命令はできません。そのため、契約期間の途中であれば、貸主から退去を求められたとしても基本的に応じる必要はありません。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みからメリット・デメリットまで徹底解説 ⑤買い戻し資金が足りなかった リースバックでは、基本的に売却した自宅の買い戻しが可能です。そのため、将来的に自宅を買い戻すことを前提として、リースバックの利用を検討している人もいるでしょう。しかし、一般的にリースバックの買い戻し価格は、売却価格よりも高くなります。そのため、提示された買い戻し価格が想定より高く、資金不足で買い戻しができない場合も考えられます。 買い戻しのために住宅ローンが組める可能性もありますが、年齢や収入によっては、買い戻しのために新たな住宅ローンを組むのは難しいかもしれません。買い戻しを想定してリースバックを利用する場合は、住宅ローンが使えない前提で資金計画を立てておくことが大切です。。 ⑥買い戻しに応じてもらえなかった 資金の問題で自宅の買い戻しができない場合もありますが、そもそも運営会社が買い戻しに応じない場合もあります。買い戻しに関する契約を締結している場合などは、運営会社は買い戻しに応じなければなりませんが、このような契約を書面ではなく口約束のみで済ませてしまった場合、買い戻しを拒否されてしまう恐れもあります。 このようなトラブルを避けるため、将来的に自宅の買い戻しを検討している場合は、買い戻し条件を必ず書面化しておきましょう。具体的には、「売買契約書上に特約として明記する」、「売買予約契約を締結する」といった方法があります。加えて、買い戻し価格が高くなりすぎないよう、複数の会社を比較したうえで契約することが大切です。 関連記事はこちらリースバックは買い戻しできる?仕組みや買い戻し価格の目安を解説 ⑦相続人ともめてしまった リースバックで自宅を売却する場合は、サービスを利用することをあらかじめ相続人に話しておかないと、相続でもめる原因になる恐れがあります。リースバックは売却後も同じ家に住み続けられるので、自宅を売却したことを第三者に知られることは少ないでしょう。たとえ子どもであっても、何も話しておかなければ、気づかない場合がほとんどです。 そのため、子どもは将来自宅を相続するつもりだったにもかかわらず、知らぬ間に自宅がリースバックで売却されていたとなれば、親族といえどもトラブルになる恐れがあります。リースバックはリバースモーゲージと異なり、サービスの利用要件に推定相続人からの同意を必要としませんが 、相続トラブルを回避するために、リースバックを利用する場合は、事前に推定相続人にも伝えておきましょう。 関連記事はこちら相続争いを生まないためのリースバックという選択肢 ⑧運営会社が倒産した 業績不振で倒産リスクが高いなど、与信に問題がある運営会社を利用した場合に、賃貸借契約期間中に運営会社が倒産する恐れがあります。運営会社によっては、売買代金の一部を預け入れることで、家賃を下げるサービスを提供している会社もありますが、売買代金の一部を預け入れている状態で運営会社が倒産すると、その代金が戻ってこない恐れがあります。 リースバックは多額の資金を必要とする事業なので、トラブルを回避するために、運営会社の買取実績や業績などを確認し、信頼のできる運営会社を選ぶことが大切です。 トラブルを避けるために抑えるべきポイント リースバックにおけるリスクは表面化するとトラブルに発展する恐れがあります。トラブルを回避するために、以下のようなポイントに気を付けましょう。 契約内容を確認する リースバックの契約時には、売買契約と賃貸借契約の2つの契約を締結します。トラブルを避けるためには、それぞれの契約に自身の認識と異なる点が無いか確認することが大切です。 契約内容の確認に際して、賃貸借契約が「普通借家契約」か「定期借家契約」かの確認は特に大切です。「普通借家契約」であれば、正当な事由がない限り、貸主は契約の更新を拒めません。一方で、「定期借家契約」の場合は、契約期間の満了によって契約が終了するので、退去を求められる恐れがあります。また、将来的に自宅を買い戻すことを検討している場合は、契約内容に買い戻しに関する取り決めが定められているか確認することも大切です。なお、契約内容は口頭ではなく、書面上で確認するようにしましょう。 関連記事はこちら定期借家契約と普通借家契約の違いとは? 複数の運営会社を比較する リースバックでのトラブルを避けるために、複数の運営会社を比較しましょう。リースバックは、運営会社によって売却価格や家賃などの諸条件・サービス内容が異なります。比較を行わなかった場合、与信に問題がある運営会社を選んでしまったり、売却価格や家賃が適切でないサービスを利用してしまうなどの恐れがあります。ひとつの運営会社だけで判断せず、必ず比較検討を行ったうえで、自身のライフプランに合った運営会社を選びましょう。 関連記事はこちらリースバックを比較する5つのポイント 第三者に相談する リースバックでのトラブルを避けるためには、第三者に相談することも有効です。特に、不動産等に詳しくない場合は、自身で売却価格や家賃、契約内容が適切かどうか判断するのは難しいでしょう。そういった場合に、自分自身で判断するのでは無く、専門家等から客観的な意見を聞き、第三者的な視点から判断するのも有効です。 相続人に伝える 相続トラブルを回避するために、相続人にリースバックの利用を伝えておくことも大切です。リースバックは、その性質上自宅を売却したことが気づかれない場合が多いです。そのため、リースバックが原因で相続人とトラブルになる恐れがあります。リースバックを利用する場合は、前もって相続人に伝えておきましょう。 まとめ リースバックは、自宅を売却した後も同じ家に住み続けられるのがメリットですが、当然デメリットやリスクも存在し、うまく利用しないと、本コラムで紹介したようなトラブルが発生してしまう恐れがあります。リースバックを利用する場合は、紹介した事例を参考にトラブル回避の対策をしっかり立てて、契約してから後悔することのないようにしましょう。 さっそく仮査定を申し込む SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定は無料で受け付けています。※SBIスマイルのHPに遷移します。 さっそく仮査定を申し込む SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定は無料で受け付けています。 ※SBIスマイルのHPに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 リースバックの5つの活用事例 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金...

  • コロナ禍により家計が急変。教育費を確保するには?

    コロナ禍により家計が急変。教育費を確保するには?

    完全失業率が2019年12月の段階で2.2%だったものが、2020年5月には2.9%へと跳ね上がり、新型コロナウイルスによる影響は今後も止まらないと見られています。倒産・失業などで家計が急変したとき、大学生のいる家庭で、わが子の学びを守るためにはどうしたらいいでしょうか。 大学時代の教育費の目安 一般的に、教育費のピークとなるのが大学時代の学費・生活費です。まずは、どれくらいかかるのか見ておきましょう。表1はデータを整理したものです。 高校3年生の受験期から4年間の学費・生活費として、国公立は自宅通学で約500万円、自宅外で約950万円かかります。私立文系は、自宅通学で約720万円、自宅外で約1170万円、理系の場合は自宅通学で約820万円、自宅外で約1,270万円かかります。なかなかの負担です。 表1 大学でかかる学費・生活費の目安(万円) 区分 初年度(*1+*2) 2年目以降*2 4年間合計 国公立 自宅 178.4 107.0 499.4 自宅外 319.8 209.3 947.7 私立 文系 自宅 244.2 157.6 717.0 自宅外 385.6 259.9 1,165.3 理系 自宅 268.8 184.3 821.7 自宅外 410.2 286.6 1,270.0 ※1 受験費用、学校納付金、入学しなかった学校への納付金 ※2 授業料、通学費、教科書費、施設設備費、学習塾、参考書、習い事等 出典)日本政策金融公庫「令和元年度 教育費負担の実態調査結果」より筆者試算 学生の修学を支援する制度 大学での学費・生活費は、親がこれまで貯めてきた教育資金や奨学金(給付型、貸与型)、あるいは家計から捻出し、学生自身がアルバイトをするなどしてまかなってきたわけです。 しかし、コロナ禍で、親が失業や減収に見舞われたり、学生自身のアルバイト収入がなくなったりして、学費や生活費が払えず修学が厳しくなった学生もいます。修学環境についても、オンライン授業に切り替わり、パソコンやプリンターの購入やWifi環境を整えるための費用などもかかり、非常に混乱をきたしました。 このような背景もあり、国の学生支援として下記のような修学を支援する給付金などが設けられました。 学生支援緊急給付金 アルバイト等の収入が大幅に減少し、修学の継続が困難になっている学生の救済策として設けられました。該当する大学・短大・高専・専門学校生等に対して1人当たり20万円(住民税非課税世帯)または10万円(その他の世帯)が独立行政法人日本学生支援機構から給付されます。 詳細はこちら(現在、該当ページは削除されています【リンク削除】) 特別定額給付金 2020年4月27日の基準日に住民基本台帳に記録されている人を対象として、1人10万円が給付されます。世帯主が世帯人数分まとめて請求します。なお、海外留学から帰国して基準日に日本に居住していた日本人学生も、住民票を復活させれば、住民登録の復活が基準日より後でも給付対象者になります。申込締切は自治体で異なるものの、郵送申請の受付開始日から3か月以内(多くは8月末)となっています。 なお、「特別定額給付金」は学生向けというわけではありませんが、保護者を通じて受け取る形で、学費・生活費に充てることもできます。また、国の制度ではありませんが、多くの大学等で、授業料の納付猶予や延納等を行っています。中には、大学等が独自に授業料等減免や奨学金の制度を持っている場合もあります。支援の有無や内容は大学等で異なるので、サイトなどで確認しましょう。 追記:全ての市区町村で特別定額給付金の申請の受付は終了しています。(2023年7月時点) >詳細はこちら 家計急変世帯への奨学金の緊急対応 給付型・貸与型奨学金も、コロナ禍による家計急変に対して、随時申し込めるようになりました。また、第2種貸与型の利子補給をするタイプも創設されました。 「高等教育の修学支援新制度」の家計急変採用 2020年4月から本格的に始まった給付型奨学金の「高等教育の修学支援新制度」。非課税世帯とそれに準ずる世帯が対象で、通常、前年度の課税標準額により審査を行いますが、新型コロナウイルス感染症の影響で家計が急変した場合は,家計急変後の収入見込みにより審査されます。申込や詳細は各大学等の窓口へご相談ください。 >詳細はこちら 「日本学生支援機構の貸与型奨学金」の家計急変採用 日本学生支援機構の貸与型奨学金は、第一種奨学金(無利子)と第二種奨学金(有利子)があり、通常、前年度の収入金額等により審査を行いますが、コロナ禍の影響で家計が急変した場合は、家計急変後の収入見込みにより審査されます。第一種奨学金は月2万~6.4 万円、第二種奨学金は月2~12 万円(自宅・自宅外、学校種で異なる)。申込や詳細は各大学等の窓口へご相談ください。 >詳細はこちら 緊急特別無利子貸与型奨学金 緊急的に2021年3月までの限定で実施。学費・生活費に占める学生本人のアルバイト収入の割合が高く、本人の収入がコロナ禍で大幅に減少(前月比50%以上減少)し、また、第二種奨学金の基準を満たす場合(申込時点で第二種奨学金を利用していない)は、無利子で第二種奨学金を利用できます。利子分(利率見直し方式で0.002%、利率固定方式で0.070%、2020年3月貸与終了者の例)を国が補填し、実質無利子で借りられます。申込や詳細は各大学等の窓口へご相談ください。 >詳細はこちら 上記のほか、自治体独自の奨学金や民間の奨学金でも、コロナ関連で緊急採用を行っているケースもあります。サイトなどで確認してみましょう。 奨学金以外の無利子貸付など 奨学金以外にも、条件が合えば無利子で利用できる貸付があります。同様の貸付の場合、重ねて利用できない場合や、優先順位が決まっている場合もあるので、利用の際には確認が必要です。 生活福祉資金貸付金(緊急小口貸付貸付等の特例貸付) コロナ禍の影響で収入が減少し、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯に、無利子で20万円までの貸付を行う制度です。申込や詳細は社会福祉協議会または労働金庫へご相談ください。 >詳細はこちら 生活福祉資金貸付金(教育支援資金) 低所得世帯を対象として、大学等に修学するために必要な経費について、無利子で月6.5万円以内(大学の場合)の貸付を受けられます。入学に際して、必要な経費について50 万円以内でまとまった額の貸付も行っています。申込や詳細は社会福祉協議会へご相談ください。 >詳細はこちら 母子父子寡婦福祉貸付金(就学支度資金・修学資金) 母子・父子・寡婦家庭で、受験料や被服費等に必要な資金に充てる資金として利用できます。無利子で一時金59 万円以内(私立大学の場合)。また、授業料や書籍代、交通費、生活費等に必要な資金に充てる資金として、無利子で月14.6万円以内(大学で自宅外通学の場合)の貸付を受けられます。申込や詳細は福祉事務所等のひとり親担当窓口へご相談ください。 >詳細はこちら それでも学費が不足するときは? 上記のように、コロナ関連では大学側の学費の猶予なども含め、国の給付金や奨学金、その他の無利子貸付などさまざまなものが利用できます。こうした制度を利用しても、支払いのタイミングが合わない、条件面で該当せずに利用できないなど、何かの事情で、学費・生活費に対して十分でない場合があるかもしれません。 そんなときには、有利子ではあるものの、次のようなものを利用することも可能でしょう。 日本政策金融公庫の「国の教育ローン」 保護者に対して、学生等1人あたり350万円までの貸付を行います。利息は年1.71%(固定金利)。申込や詳細は日本政策金融公庫へご相談ください。 >詳細はこちら 生命保険の契約者貸付 加入している生命保険(貯蓄型)の解約返戻金の一定割合まで貸付を受けられます。手続きをすればすぐ利用できるため、一時的な学費支払いなどでも活用できます。適用される利率は保険会社や加入時期などで異なります。 特別金利のフリーローン コロナ禍のため、金融機関によっては、フリーローンを特別金利で貸し出している場合があります。ある銀行の例では、店頭金利(年5.975%、変動金利)から3.00%の引下げを行った金利を特別金利として、一定期間貸出しを行っています。 不動産担保ローン 不動産を担保にして借りるローンです。借入限度額も大きく、借入期間も長めに設定できる場合があります。無担保のローンに比べて金利は低めである点も特徴です。金融機関によっては、住宅ローンが残っている不動産でも利用できる場合があります。 上記のうち、特別金利のフリーローンや生命保険の契約者貸付は一時的な利用に向きますが、「国の教育ローン」や不動産担保ローンは、長期での利用などにも向きます。 終わりに コロナ禍の影響はこれから本格化する可能性もあります。想定外に家計が急変してしまったときは、大学生のわが子の「学び」を守るため、給付金や奨学金、無利子の貸付制度などを上手に活用しましょう。 それでも十分でなくローンなどを利用せざるをいときは、できるだけ家計に負担のない方法を検討したいものです。 出典)文部科学省「新型コロナウイルスに関連した感染症対策に関する対応について」 不動産担保ローンならSBIエステートファイナンス 執筆者紹介 豊田 眞弓( Mayumi Toyoda ) マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。 個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。 <主な著書> 「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。 次に読むべき記事 家賃が払えない?!そんなときの住居確保給付金が受給資格を緩和! 離職や廃業によって、家賃の支払いに困ったとき、自治体に申請すると住居確保給付金を受給できる可能性があります。住居確保給付金は失業者向けの制度でしたが、2020年4月20日から受給資格が緩和さ... 次に読むべき記事 不動産担保ローンとは?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説 不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保にして資金を借りるローンのことです。無担保ローンに比べて、まとまった金額を低金利で借りられる一方、返済が滞ると不動産が競売にかけられるリスク...

  • 競売とは?競売を回避すべき理由とその回避方法

    競売とは?競売を回避すべき理由とその回避方法

    住宅ローンの返済が滞ると、「競売」という言葉が頭をよぎる人もいるかもしれません。競売とは、返済ができなくなったときに、裁判所を通じて自宅が強制的に売却される法的手続きです。競売は、債権者が債務を回収するための手続きであり、「市場価格より安く売却される」、「余計な費用がかかる」、「周囲に知られてしまう」など、生活への影響が大きく、できる限り避けたいものです。 この記事では、競売の基本的な仕組みや種類、手続きの流れをわかりやすく解説するとともに、競売を回避するための具体的な方法についても紹介します。 競売とは?基本の仕組みと種類 競売とは、ローンなどの債務を返済できなくなった場合に、債務者が所有する不動産を裁判所の手続きにより強制的に売却し、その売却代金を債権者への返済に充てる法的手続きです。この手続きは、債権者(金融機関など)が裁判所に申し立てを行い、不動産が差し押さえられることで始まります。 競売は、債権者が債務の回収を図るための法的手段であり、債務者にとっては資産を失うだけでなく、生活への影響も大きいため、事前に仕組みを理解しておくことが重要です。 競売の種類と違い 競売と一口に言っても、実は3つの種類があり、それぞれ背景や目的が異なります。ここではその違いをわかりやすくご紹介します。 ① 強制競売 裁判所の判決や調停、公正証書などに基づき、債務者の財産を強制的に売却する手続きです。たとえば、未払いの賃料や損害賠償などが対象になります。 ② 担保不動産競売 住宅ローンなどで設定された抵当権などの担保権を実行するための競売です。ローンの返済が滞った場合、金融機関が担保不動産を差し押さえ、競売にかけることで債権を回収します。 ③ 形式競売 遺産分割や共有物の解消、破産手続きなどで不動産を現金化する必要がある場合に行われる競売です。債務の返済目的ではなく、財産の整理や分配を目的としています。 公売との違い 競売と似た制度に「公売」がありますが、目的や手続きの主体が異なります。 競売:民間の債権回収を目的とし、裁判所が手続きを進める(根拠法:民事執行法) 公売:税金の滞納に対する回収を目的とし、国税局や税務署が手続きを進める(根拠法:国税徴収法) どちらも不動産が強制的に売却される点では共通していますが、制度の背景や流れは大きく異なります。 競売の流れと手続きのステップ 督促から差押え、入札、落札までの流れ 住宅ローンなどの返済が滞った場合、競売に至るまでにはいくつかの段階があります。特に保証会社がついている融資では、競売の流れは、初めて見ると複雑に感じるかもしれません。ここでは、実際にどのようなステップで進むのかを順を追って説明します。 金融機関から督促状や催告状が届く 保証会社が金融機関へ代位弁済を行う 保証会社から代位弁済分の支払いを求める求償通知が届く 求償に応じられない場合、保証会社が裁判所へ競売の申立てを行う 裁判所から「競売開始決定通知」が届き、不動産が差し押さえられる 裁判所の執行官が、不動産の現況を調査するために訪問する 裁判所が不動産の評価書や物件明細書を作成し、競売の情報が公告される 指定された期日に、裁判所で不動産の入札が行われる 最高額で入札した落札者が決まり、裁判所から売却決定の通知が届く 不動産が落札者に売却され、退去を求められる このように、競売は法的な手続きに基づいて進行し、最終的には不動産が強制的に売却されることになります。 裁判所の関与と現況調査の内容 競売手続きでは、裁判所が中心となって進行します。特に「現況調査」は重要なステップで、以下のような内容が含まれます。 執行官による物件の訪問・写真撮影 占有者(居住者)の確認 建物の状態や周辺環境の調査 必要に応じて近隣住民への聞き取り この調査結果は、裁判所のホームページなどで公開されるため、競売にかけられていることが周囲に知られる場合もあります。 関連記事はこちら担保不動産競売までの流れをわかりやすく解説 競売のデメリットとリスク 競売には、金銭面だけでなく精神面でも大きな負担がかかることがあります。ここでは、競売の主なデメリットを整理してみましょう。 市場価格より安く売却される 競売物件は、買主にとってリスクが高いため、落札価格が市場価格を下回るのが一般的です。主な理由は以下のとおりです。 建物に欠陥があっても、買主が修繕費を負担する必要がある 前の所有者が退去しない場合、交渉や法的手続きが必要になる 「競売物件」への心理的抵抗感がある 通常の不動産取引よりも手続きが複雑 競売では、「売却基準価額」が市場価格の7〜8割程度に設定される傾向があり、「買受可能価額(最低落札価格)」はその8割前後となるのが一般的です。結果として、実際の売却価格は市場価格の半分〜6割程度になることもあります。 余計な費用がかかる 競売には、通常の不動産売却では発生しない費用がかかります。代表的なものが「予納金」と「遅延損害金」です。 予納金:裁判所に競売を申し立てる際に必要な費用。東京23区では、請求債権額に応じて80万〜200万円程度が必要です(最終的には売却代金から差し引かれ、債務者が負担する形になります)。 遅延損害金:ローン延滞が続くことで発生する追加利息。競売完了までに1年以上かかることもあり、負担額が膨らむことがあります。 ※令和2年3月31日以前に受理された申立てについては60万円 出典)裁判所|不動産競売事件(担保不動産競売,強制競売,形式的競売)の申立てについて これらの費用が重なることで、競売後も残債が残るケースが少なくありません。 周囲に知られるリスクと心理的負担 競売は裁判所の手続きで進められるため、物件情報が公示されます。以下のような情報がインターネット上に掲載されることがあります。 所在地・外観・室内写真 執行官による現地調査の結果 占有者の状況や周辺環境 名前が公開されることはありませんが、近隣住民や知人に知られてしまう可能性もあり、精神的な負担も大きくなります。 競売後に残る債務とその対応 「競売で家を売れば借金もなくなる」と思っていませんか?実は、売却後も借金が残るケースは少なくありません。 残債が残る理由 競売価格が市場価格よりも低いため、売却代金がローン残高に届かない 遅延損害金や手続き費用が加算され、債務額が膨らむ 残債の返済義務はどうなる? 競売後も、残ったローンの返済義務はなくなりません。引き続き、残債務を返済する必要があります。債権者は、状況に応じて以下のいずれかに変更されることがあります。 元の金融機関(ローンを借りた先) 保証会社(代位弁済を行った場合) サービサー(債権回収を専門とする業者) サービサーは、債権を譲り受けた後、債務者に対して返済の交渉を行います。多くの場合、分割払いでの返済が提案されますが、条件は債権者との交渉次第です。 競売を回避するための3つの方法 競売の申立てが行われた後でも、開札期日の前日までは取り下げが可能です。ただし、債権者との交渉は簡単ではなく、現実的な対策が必要です。ここでは、競売を回避するための代表的な3つの方法をご紹介します。 不動産担保ローンを活用する 他の金融機関から新たに融資を受けて残債を返済できれば、競売の手続きは取り下げられます。ただし、延滞歴や収入状況によっては審査が厳しくなることもあります。 一方で、不動産に評価余力がある場合は、柔軟な審査を行う金融機関から融資を受けられる可能性もあります。返済期間を延ばすことで、毎月の返済負担を軽減できるケースもあります。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説 任意売却で市場価格に近い金額で売却する 任意売却とは、債権者の同意を得たうえで、通常の不動産取引と同じ方法で物件を売却する方法です。競売と違い、市場価格に近い金額で売却できる可能性があり、残債の圧縮にもつながります。 まずは、任意売却に対応している不動産会社や弁護士に相談することが重要です。 関連記事はこちら競売を回避する「任意売却」とは?注意点や流れを解説 リースバックで住み続ける選択肢も 「家を手放したくない」「住み慣れた場所に住み続けたい」という人には、リースバックという方法もあります。リースバックは、自宅を売却して現金を得た後も、賃料を支払うことで同じ家に住み続けられるサービスです。 債権者の同意が得られれば、競売を回避しながら生活環境を維持することが可能です。関連記事はこちらリースバックとは?仕組みからメリット・デメリットまで徹底解説 競売に関するよくある質問(FAQ) 競売に関して不安や疑問を抱えている人は少なくありません。ここでは、よく寄せられる質問とその答えをわかりやすくご紹介します。 競売はいつから始まるのですか? 競売は、ローンの延滞が続き、債権者が裁判所に申立てを行った時点から正式に始まります。具体的には、督促状や催告状が届いた後、保証会社による代位弁済が行われ、裁判所から「競売開始決定通知」が届くことで、差押えが確定します。この通知が届いた段階で、競売の手続きが本格的に進行することになります。 任意売却は誰でも利用できますか? 任意売却は、債権者の同意が得られれば、ほとんどの人が利用可能です。ただし、売却価格が債権者の希望に近いことや、残債の返済方法について合意できることが前提となります。専門的な交渉が必要になるため、任意売却に詳しい不動産会社や弁護士への相談が重要です。 競売になったら、すぐに退去しなければなりませんか? 競売が成立し、落札者が決まった後でも、すぐに退去を求められるわけではありません。落札者との間で退去時期の調整が行われることもありますが、最終的には法的手続きにより退去が求められるため、早めの準備が必要です。 まとめ 競売は、ローン返済が難しくなったときに起こりうる法的手続きですが、売却価格が安くなったり、余計な費用がかかったり、周囲に知られてしまうなど、多くのリスクがあります。さらに、競売後も残債が残る可能性があるため、生活への影響は大きくなりがちです。 こうした事態を避けるためには、早めの対応が何よりも大切です。不動産担保ローンや任意売却、リースバックなど、状況に応じた回避策を検討し、専門家に相談することで、より良い選択ができる可能性があります。 競売は避けられる可能性があります。まずは、信頼できる相談先に話してみることが、解決への第一歩です。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 「金銭消費貸借契約証書」の重要性とは? 金融機関から借入れた不動産担保ローンの返済が困難になってしまうと、担保として提供している不動産は金融機関によって売却されることになります。これは、不動産担保ローンを借入れるときの〝常識〟です... { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [ { "@type": "Question", "name": "競売はいつから始まるのですか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "競売は、ローンの延滞が続き、債権者が裁判所に申立てを行った時点から正式に始まります。督促状や催告状が届いた後、保証会社による代位弁済が行われ、裁判所から競売開始決定通知が届くことで差押えが確定し、手続きが本格的に進行します。" } }, { "@type": "Question", "name": "任意売却は誰でも利用できますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "任意売却は、債権者の同意が得られれば、ほとんどの人が利用可能です。ただし、売却価格が債権者の希望に近いことや、残債の返済方法について合意できることが前提となります。専門的な交渉が必要なため、任意売却に詳しい不動産会社や弁護士への相談が重要です。" } }, { "@type": "Question", "name": "競売になったら、すぐに退去しなければなりませんか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "競売が成立し、落札者が決まった後でも、すぐに退去を求められるわけではありません。落札者との間で退去時期の調整が行われることもありますが、最終的には法的手続きにより退去が求められるため、早めの準備が必要です。" } } ] }

  • 不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い

    不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い

    不動産担保ローンを利用した資金調達を検討している人にとって、「銀行とノンバンク、どちらを選ぶべきか?」は非常に重要な判断ポイントです。銀行は低金利で安心感がある一方、ノンバンクは審査が柔軟でスピード感のある融資が魅力です。 この記事では、不動産担保ローンの金利や審査基準、融資スピードなどを銀行とノンバンクで比較しながら、両者の違いをわかりやすく解説します。 総量規制と法律上の銀行とノンバンクの違い 不動産担保ローンを検討する際、「銀行とノンバンクのどちらが安心で有利なのか?」という疑問を持つ方は多いでしょう。両者の最大の違いのひとつが、適用される法律と「総量規制」の有無です。 総量規制とは? 総量規制とは、貸金業法に基づき「個人が貸金業者から借りられる金額は年収の3分の1まで」と制限するルールです。これは、過剰な借り入れによる生活破綻を防ぐために設けられた制度です。 ただし、不動産担保ローンは原則として総量規制の「除外貸付」に該当するため、年収の制限を受けないケースが多くあります。しかし注意点として、担保とする不動産が「自宅(居住用不動産)」である場合は、総量規制の対象となる可能性があります。 銀行は総量規制の対象外 銀行は「銀行法」に基づいて運営されており、貸金業法の適用を受けないため、総量規制の対象外です。そのため、会社員や個人でも、銀行の不動産担保ローンであれば、年収の3分の1を超える融資を受けられる可能性があります。 ノンバンクは総量規制の対象 一方、消費者金融・信販会社などはノンバンクに該当し、「貸金業法」の適用を受けるため、原則として総量規制の対象となります。ただし、不動産担保ローンが「除外貸付」に該当する場合や、事業資金としての利用であれば、総量規制の制限を受けずに借り入れが可能です。 そのため、ノンバンク系の不動産担保ローンでは、個人向けとしながらも実質的には「事業者向け」であることも少なくありません。会社員など事業を営んでいない個人がノンバンクを利用する場合は、年収制限に注意が必要です。 まとめ 前述の内容をまとめると以下のとおりです。 比較項目 銀行 ノンバンク 適用法令 銀行法 貸金業法 総量規制 対象外 原則対象(除外・例外あり) 融資対象 個人・法人 主に事業者向け 安心感・信頼性 高い(預金保護制度あり) 会社により異なる(登録業者か要確認) 不動産担保ローンを銀行とノンバンクで比較する際は、金利や審査だけでなく、こうした法的な違いも理解しておくと安心です。まずは複数の金融機関に相談し、自分に合った選択肢を見つけましょう。 関連記事はこちら総量規制とは?利用者保護の仕組みと対象外のローンを詳しく解説 銀行とノンバンクで比較した不動産担保ローンの融資条件 不動産担保ローンを選ぶ際には、金利や手数料、融資可能額、資金の使い道、そして担保にできる不動産の種類など、複数の条件を比較することが重要です。銀行とノンバンクでは、これらの融資条件に大きな違いがあるため、それぞれの特徴を理解しておくことで、自分に合った金融機関を選びやすくなります。 ここでは、以下の5つの観点から、不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違いを詳しく解説していきます。 金利と手数料 融資金額 融資までの日数 資金使途の自由度 担保物件の柔軟性 金利と手数料 一般的に、銀行の不動産担保ローンはノンバンクよりも金利が低めに設定されています。たとえば、資金使途が自由なフリーローンでは、銀行では年1.5%前後から、ノンバンクでは年3.0%前後からの金利設定が一般的です。 また、金利以外にも以下のような手数料が発生します。 事務手数料 繰上返済手数料(解約料) 印紙代 登記費用 手数料は金融機関ごとに異なるため、金利とあわせて総返済額を比較することが重要です。特に繰上返済を予定している場合は、その条件や手数料も事前に確認しておきましょう。 融資金額 不動産担保ローンの融資金額は、銀行かノンバンクかよりも、各金融機関の審査基準によって異なります。例えば、借入可能額は担保不動産の評価額や担保掛目、申込者の信用情報などによって決まります。 担保掛目とは、評価額に対して金融機関が設定する融資可能な割合のことで、一般的には70〜80%程度が上限です。希望する金額が担保評価の範囲内に収まるかどうかを確認し、条件に合った金融機関を選ぶことが大切です。 融資までの日数 不動産担保ローンは、担保不動産の調査や審査が必要なため、無担保ローンよりも融資実行までに時間がかかります。一般的に、ノンバンクは最短数日〜2週間程度で融資が可能ですが、銀行は2週間〜1か月ほどかかるのが一般的です。 銀行は担保評価や与信審査が厳しく、保証会社の審査も加わるため、時間を要する傾向があります。そのため、急ぎで資金を調達したい場合は、ノンバンクの利用を検討するとよいでしょう。なお、多くの金融機関が「最短〇日」と案内していますが、実際には1週間以上かかると見込んで資金計画を立てるといいでしょう。 資金使途の自由度 不動産担保ローンは原則として資金使途が自由ですが、銀行では「開業資金」や「納税資金」などが対象外となる場合があります。一方、ノンバンク系ではこうした制限が少なく、事業資金や税金の支払い、借り入れの一本化など、幅広い用途に対応しています。 そのため、用途が明確でない場合や柔軟に使いたい場合は、ノンバンクの不動産担保ローンが選択肢となるでしょう。 担保物件の柔軟性 担保にできる不動産の種類にも、銀行とノンバンクで違いがあります。銀行では「借地権付き物件」や「建ぺい率・容積率オーバーの既存不適格物件」などは融資対象外となることが多いです。しかし、ノンバンクでは「借地権者の承諾書を取得する」「担保掛目(評価額に対する融資割合)を下げる」などの対応で融資が可能になる場合があります。 その他にも、二番抵当でも融資が可能なケースもあり、ノンバンクは担保物件に対して柔軟な審査を行う傾向があり、銀行で断られた物件でも融資が受けられる可能性があります。 まとめ 不動産担保ローンは、銀行とノンバンクでそれぞれに特徴があります。銀行は金利が低めで安心感がありますが、審査が厳しく融資までに時間がかかる傾向があります。一方、ノンバンクは金利がやや高めなものの、審査が柔軟でスピード融資に対応しやすいのが強みです。 「なんとなく安心だから銀行」と決めるのではなく、担保不動産の条件や資金使途、金利・手数料などを総合的に比較することが重要です。まずは複数の金融機関に相談し、自分に合ったローンを見つけましょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローンとは?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説 不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保にして資金を借りるローンのことです。無担保ローンに比べて、まとまった金額を低金利で借りられる一方、返済が滞ると不動産が競売にかけられるリスク...

  • リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説

    リースバックとは?仕組みからメリット・デメリットまで徹底解説

    リースバックとは、資産を売却した後もそのまま使い続けられる資産活用の取引手法です。 「セール・リースバック」や「セール・アンド・リースバック」とも呼ばれ、所有している資産を第三者に売却し、同時にリース契約を結ぶことで、売却後もその資産を継続して利用できる仕組みです。 近年では、不動産事業者によるリースバックサービスの提供が増加しており、「リースバック」という言葉が、特に住宅に関するサービスとして定着しつつあります。住宅におけるリースバック(以下、「リースバック」)は、自宅を売却して現金を得た後も、賃料を支払うことで同じ家に住み続けられるサービスです。老後資金の確保や住宅ローンの返済負担軽減など、さまざまな目的で注目されています。 この記事では、リースバックの仕組みやメリット・デメリットを徹底的に解説します。 リースバックの仕組みとは リースバックは、自宅を売却した後も、同じ家に住み続けられる仕組みです。 一般的には、リースバック運営会社と個人との間で、以下の2つの契約を同時に締結します。 不動産売買契約:自宅を運営会社に売却する契約 不動産賃貸借契約:売却後の自宅に住み続けるための賃貸借契約 リースバックは、住み替えや老後資金の確保、相続対策など、幅広い目的で活用されています。ただし、リースバックはまだ認知度が低く、契約内容も少し複雑です。事前にしっかり理解しておかないと、後悔することもあるので注意が必要です。 リースバックとリバースモーゲージの違いとは? リースバックは、自宅に住み続けながら資金を得られるという点で、リバースモーゲージと比較されることがあります。しかし、両者は契約形態や仕組みが大きく異なります。 以下の表は、主な違いをまとめたものです。 リースバックとリバースモーゲージとの違い 種類 リースバック リバースモーゲージ 契約の形態 不動産売却契約 不動産賃貸借契約 金銭消費貸借契約 年齢制限 なし あり(通常60歳以上) 借り入れの有無 なし あり 所有権の移転 あり なし 資金使途 自由 原則生活資金 支払い 家賃 利息 契約終了の条件 引っ越し 買い戻し 死亡 借入金完済 ※筆者作成 リースバックは「資産の売却」、リバースモーゲージは「資産を担保にした借り入れ」という違いがあるため、目的や状況に応じて選択することが重要です。 関連記事はこちらリースバック・リバースモーゲージ・リ・バース60の違いを徹底比較 リースバックのメリットとは リースバックには、以下のようなメリットがあります。 自宅を売却した後も同じ家に住み続けられる 通常の不動産売却では、まとまった資金を得られる一方で、引っ越しの手間や費用が発生します。特に高齢者の場合、新居の購入や賃貸借契約の締結が難しくなるケースも少なくありません。 リースバックなら、売却した自宅にそのまま住み続けられるため、資金を得ながらも、慣れ親しんだ環境で生活を続けることができます。これは、精神的・身体的な負担を軽減する大きなメリットです。 月々の支出が定額化される 自宅を所有していると、固定資産税や管理費、火災保険・地震保険など、さまざまな費用が発生します。リースバックでは、所有者が運営会社に変わることで、住居費用は毎月一定の家賃にまとまり、支出の見通しが立てやすくなります。また、将来の支出が予測しやすくなるため、家計管理にも役立ちます。 持ち家の所有リスクから解放される 不動産を所有していると、以下のようなリスクを抱えることがあります。 災害による建物の損壊 不動産価格の下落 住宅ローンの金利上昇による返済負担の増加 特に戸建て住宅は、マンションに比べて価格変動や災害の影響を受けやすい傾向があります。リースバックでは、所有権が運営会社に移るため、これらのリスクから解放されます。 リースバックのデメリットとは リースバックには多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。契約前に以下の点をしっかり理解しておくことが大切です。 売却価格が市場価格よりも安くなる リースバックでは、一般的に自宅の売却価格が市場価格よりも低くなる傾向があります。これは、不動産仲介を通じて個人に売却するのではなく、不動産業者が直接買い取るためです。 また、リースバック運営会社は、買い取った不動産を所有するリスクや維持コストを負担するため、その分を見込んで価格が抑えられるケースもあります。 リフォームや建て替えが自由にできなくなる 持ち家であれば、原則として自由にリフォームや建て替えが可能です。しかし、リースバックを利用すると、所有権は運営会社に移るため、改修や建て替えには許可が必要になります。 もし「自宅を自分好みにリフォームしたい」と考えているなら、リースバックでは自由にできないこともあるので注意が必要です。 ずっと住み続けられるとは限らない リースバックでは、売却後も自宅に住み続けることができますが、契約形態によっては将来的に退去が必要になる場合もあります。 普通借家契約:原則として契約更新が可能で、長期的に住み続けられる。 定期借家契約:契約期間満了後は退去が必要。再契約には貸主の同意が必要で、保証はありません。 長く住み続けたい場合は、契約形態が「普通借家契約」であるかを事前に確認することが重要です。 関連記事はこちら定期借家契約と普通借家契約の違いとは? リースバックの活用事例 リースバックは、さまざまなライフステージや状況に応じて活用できる柔軟なサービスです。ここでは、代表的な活用事例を6つご紹介します。 老後資金の確保 老後の生活資金が不足していても、住み慣れた自宅から離れたくないという人は少なくありません。リースバックを利用すれば、自宅を売却して資金を得ながら、引き続き同じ家に住み続けることが可能です。年齢を理由に断られる心配もなく、安心して利用できます。 住み替え資金の確保 新居への住み替えを検討しているものの、頭金や手付金が不足している場合にも、リースバックは有効です。自宅を売却することで資金を確保できるほか、新居が決まるまで現在の住まいに住み続けられるため、仮住まいを探す必要がありません。 月々の返済負担の軽減 住宅ローンの返済額が家計を圧迫している場合、リースバックによって支出を抑えることができます。家賃が住宅ローンの返済額よりも低くなるケースでは、月々の支払い負担が軽減され、資金繰りの改善につながります。 住宅ローンの完済 住宅ローンの返済が滞り、金融機関から残債の一括返済を求められるケースでは、リースバックの活用が有効です。自宅を売却して得た資金でローンを完済すれば、競売や任意売却を避けながら、同じ家に住み続けることができます。精神的・身体的な負担も軽減できるため、安心して生活を続けられます。 離婚時の財産分与 離婚に伴う財産分与では、自宅の扱いが難しくなることがあります。リースバックを利用すれば、住宅ローンの完済と現金化が可能となり、財産分与を円滑に進めることができます。離婚後も一方が住み続けたい場合にも対応可能です。 相続問題の解決 相続人が複数いる場合、自宅の分割をめぐってトラブルが発生することがあります。 リースバックによって生前に自宅を現金化しておけば、相続人間の争いを避け、公平かつスムーズな遺産分割が実現しやすくなります。 リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイント リースバックを契約する際には、事前に確認しておきたい重要なポイントがあります。以下の4つの観点を押さえておくことで、契約後のトラブルや後悔を防ぐことができます。 売却価格が相場よりも著しく安くないか 売却先(買取業者)と賃貸借契約先(大家)が同一か 契約期間中に家賃の値上げがないか 買い戻しの条件が契約書に明記されているか 売却価格が相場よりも著しく安くないか リースバックでは、売却価格が市場価格よりも低くなる傾向があります。ただし、相場よりも著しく安く買い取られてしまうケースもあるため、複数の事業者に見積もりを依頼し、相場感を把握することが重要です。1社だけで判断せず、比較検討することで適正価格を見極めやすくなります。 売却先と賃貸借契約先が同一か リースバック運営会社によっては、売却を担当する会社と賃貸借契約を管理する会社が異なる場合があります。このようなケースでは、契約更新や再契約の際にトラブルが発生する場合があります。事前に、売却先と賃貸人が同一かどうかを確認し、契約内容や再契約の条件についても明確にしておくことが大切です。 家賃の値上げが契約期間中に行われないか リースバックでは、毎月家賃の支払いが発生します。契約書には家賃の変更に関する条項が含まれていることが多いため、値上げがあるかどうかは、契約前に必ず確認しておきましょう。家賃が固定されている契約であれば、安心して長く住み続けられます。 買い戻しの条件が契約書に明記されているか 将来的に自宅を買い戻したいと考えている場合は、売買契約時に買い戻しの条件を契約書に明記しておくことが不可欠です。口頭での約束では法的な効力が弱く、買い戻しができないこともあります。買い戻しに関する条件は、売買契約書の特約や売買予約契約などで定められるため、書面での確認と合意を取っておくことで、後々のトラブルを防ぐことにつながります。 関連記事はこちらリースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説 リースバック利用の流れ リースバックを利用する際の一般的な流れは、以下の4ステップです。 それぞれの段階で確認すべきポイントを押さえておくことで、安心して手続きを進めることができます。 相談・仮査定 物件調査 契約締結 売買決済・賃貸開始 1.相談・仮査定 まずは、リースバック運営会社に相談し、仮査定を依頼します。この段階では、固定資産税額や管理費、共益費などの情報を求められることがあるため、事前に準備しておくとスムーズに進みます。仮査定の結果は、会社によっては当日中に提示されることもあり、概算の売却価格と家賃が確認できます。 2.物件調査 仮査定の内容に納得できた場合は、次に物件の本調査が行われます。運営会社の担当者や査定会社が現地を訪問し、図面との相違や物件の状態を確認します。調査結果をもとに、契約可能かどうかが判断され、正式な売却価格や家賃が決定されます。物件の状態によっては、仮査定と異なる条件になることもあるため、事前に調整の余地があるかを確認しておくと安心です。 3.契約締結 提示された条件に問題がなければ、売買契約・賃貸借契約・売買予約契約などを締結します。契約前には、以下の点を必ず確認しましょう。 賃貸借契約の種類(普通借家契約/定期借家契約) 契約期間と更新の可否 買い戻しの可否と条件 家賃やその他の経済条件 4.売買決済・賃貸開始 契約手続きが完了すると、売買決済が行われます。早ければ契約当日に決済が完了し、同日から賃貸借契約が開始されます。家賃の支払い開始日や清算金の有無など、金銭面の詳細についても事前に確認しておくことが重要です。 関連記事はこちらリースバックの契約までの流れと必要書類、注意点を解説 リースバックのよくある質問 リースバックに関して、よく寄せられる質問とその回答をまとめました。契約前に気になる点を確認しておくことで、安心して検討を進めることができます。 Q. 住宅ローンが残っていてもリースバックを利用できますか? はい、住宅ローンが残っていてもリースバックの利用は可能です。 ただし、売却時には対象不動産に設定されている抵当権を抹消する必要があります。抵当権の抹消には、売却代金をローンの返済に充てるなどの手続きが必要です。 Q. 家賃の支払いを安く抑えることはできますか? リースバックの家賃は、売却価格を基準に算出されます。 そのため、売却価格を抑えることで、家賃を低く設定できる可能性があります。 ただし、物件の評価や運営会社の方針によって異なるため、事前に相談しておくと安心です。 Q. 手元資金がほとんどないのですが、費用はかかりますか? リースバックでは、売買代金から諸費用を清算することができるため、基本的に手元資金は不要です。ただし、契約内容や会社によって異なる場合があるため、事前に費用の内訳を確認しておきましょう。 Q. 高齢で年金受給者なのですが、リースバックを利用できますか? はい、高齢者や年金受給者の人でもリースバックを利用できます。 リースバックは融資商品ではないため、年齢や収入に関する制限が設けられていないケースが多く、幅広い人に対応しています。 関連記事はこちらリースバックのよくあるご相談7選 まとめ リースバックは、自宅を売却した後も同じ家に住み続けられる仕組みで、「老後資金を確保したい」「住宅ローンの返済負担を軽減したい」といったニーズに応える選択肢として注目されています。 ただし、売却価格が市場価格よりも低くなる傾向があることや、契約形態によっては長く住み続けられない可能性があるなど、注意すべき点もあります。 後悔のない選択をするためには、メリットとデメリットを正しく理解し、契約内容を十分に確認したうえで検討することが大切です。不安な点がある場合は、複数の事業者に相談し、納得できる条件で進めるようにしましょう。 さっそく仮査定を申し込む SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定は無料で受け付けています。※SBIスマイルのHPに遷移します。 さっそく仮査定を申し込む SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定は無料で受け付けています。 ※SBIスマイルのHPに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 リースバックの5つの活用事例 リースバックは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けられるサービスです。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金... { "@context": "https://schema.org", "@type": "FAQPage", "mainEntity": [ { "@type": "Question", "name": "住宅ローンが残っていてもリースバックを利用できますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "はい、住宅ローンが残っていてもリースバックの利用は可能です。ただし、売却時には対象不動産に設定されている抵当権を抹消する必要があります。抵当権の抹消には、売却代金をローンの返済に充てるなどの手続きが必要です。" } }, { "@type": "Question", "name": "家賃の支払いを安く抑えることはできますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "リースバックの家賃は、売却価格を基準に算出されます。そのため、売却価格を抑えることで、家賃を低く設定できる可能性があります。ただし、物件の評価や運営会社の方針によって異なるため、事前に相談しておくと安心です。" } }, { "@type": "Question", "name": "手元資金がほとんどないのですが、費用はかかりますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "リースバックでは、売買代金から諸費用を清算することができるため、基本的に手元資金は不要です。ただし、契約内容や会社によって異なる場合があるため、事前に費用の内訳を確認しておきましょう。" } }, { "@type": "Question", "name": "高齢で年金受給者なのですが、リースバックを利用できますか?", "acceptedAnswer": { "@type": "Answer", "text": "はい、高齢者や年金受給者の人でもリースバックを利用できます。リースバックは融資商品ではないため、年齢や収入に関する制限が設けられていないケースが多く、幅広い人に対応しています。" } } ] }

  • コロナウイルスの影響で生活資金不足に!公的支援で足りないときは

    コロナウイルスの影響で生活資金不足に!公的支援で足りないときは

    新型コロナウイルスの影響で、家計に大きなダメージを受けた人も少なくないでしょう。国からの給付金や貸付制度などもあるものの、それでも足りない時はどうすればいいでしょうか。家計が立ち直るまでの資金繰りについて考えてみましょう。 困窮する前に中長期で計画を 5月26日に新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が解除されホッとした人も多いかもしれません。その間、失業や収入の減少、中には自分自身が感染症にかかるなど、家計に大きなダメージを受けた人も少なくないでしょう。しかし、新型コロナウイルス感染症の第二波などの影響から、家計への影響はさらに本格化してくるかもしれません。 とはいえ、まずは目先の家計の問題を解決する必要があります。家賃や住宅ローンなどの住居費から税金や社会保険料、公共料金や子どもの教育費まで、収入の減少によって支払いが難しいこともあるでしょう。その場合、国からの給付金や無利子の貸付を活用するほか、税金や社会保険料、公共料金の延納などが利用できる可能性もありますので、各地方自治体などに確認をしてみましょう。 支払いの中でも特に気を付けなければならないのは住宅ローンで、金融機関によっては、1度でも延滞をすると優遇金利の適用がなくなり、いきなり返済額がアップする可能性があります。支払いが難しい場合は、初回の延滞をする前に借り入れをしている金融機関に相談しましょう。 何とか目先の家計収支の悪化を乗り切ったあとは、半年から1年など少し長いスパンで家計の収支バランスを整えていきましょう。一度悪化した家計を立て直すためには、収入の安定と、計画的な返済で負債を減らしていくことが必要です。今ある公的支援がいつまでもあるとは限りませんので、本当の正念場は家計の正常化までの期間であることを念頭に置いておきましょう。 新型コロナウイルス感染症関連でもらえるお金 一般家庭を前提に、国からの給付金を確認しておきましょう。条件が合えばもらえるものもあります。 特別定額給付金 2020年4月27日の基準日に住民基本台帳に記録されている人に、1人10万円が給付されます。手続きの方法は、5月1日以降に自治体から届く書類に銀行口座などを記入して返送するか、マイナンバーカードがあれば「マイナポータル」からオンラインで手続きすることもできます。申請期限は申請受付開始日から3か月以内となっています。 子育て世帯への臨時特別給付金 新型コロナウイルス感染症の影響を受けている子育て世帯の生活支援として、児童手当を受給する世帯に臨時特別給付金として、該当する子ども1人につき1万円の一時金が給付されます。こちらは特に手続きなしで給付されます。 住居確保給付金 新型コロナウイルス感染症による離職・廃業から2年以内または休業等により収入が減少し住居を失うおそれがある人は、原則3カ月間(求職活動等を誠実に行っている場合は最長9ヵ月まで延長可)、家賃相当額が支給されます。支給額は、東京都特別区の場合、単身世帯53,700円、2人世帯64,000円、3人世帯69,800円です。詳細は住んでいる自治体の自立相談支援機関へ相談してみましょう。※1 ベビーシッター利用者支援事業 新型コロナウイルス感染症で小学校等が臨時休業等になった場合に、保護者が仕事を休めず、放課後児童クラブ等も利用できない場合に、ベビーシッターを利用した際の利用料金が補助されます。割引額は対象児童×2,200円/1回あたり(多胎児2人:9,000円、多胎児3人以上:18,000円)で、「割引券は、1日(回)対象児童1人につき1枚」、「1か月に1家庭24枚まで」などの条件があります。※2 小学校休業等対応助成金 小学校等の臨時休業等に伴い、小学校等に通う子どもの世話が必要な保護者は、正規・非正規雇用を問わず、賃金全額支給の有給休暇が取れます(国が事業者を助成)。また、2月27日から6月30日までの期間で、委託を受けて個人で仕事をする保護者についても、就業できなかった日について、1日4,100円の支給が受けられます(学校が開校予定でなかった日等は除きます)。※ ※支援の対象期間を9月30日までに延長するとともに、4月1日以降の就業できなかった日について支給額を1日当たり7,500円に引き上げる予定となっています。※3 学生支援緊急給付金 大学・短大・高専・専門学校生等に対して1人当たり20万円(住民税非課税世帯)または10万円(その他の世帯)が給付されます。 要件として家庭から自立してアルバイト等により学費を賄っていることや、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で その収入が大幅に減少していることなどを満たすことを求めていますが、最終的には申請内容を踏まえて大学等において判断しています。※4 大学の給付型・貸与型奨学金の緊急採用 新型コロナウイルス感染症の影響で保護者の家計が急変し、「修学支援新制度」(授業料等減免・給付型奨学金)や貸与型の奨学金を利用することになった場合、随時申請することができます。すでに貸与型を利用している学生は増額の申請も可能です。※5 本当に苦しい場合は、最後のセーフティネットとして生活保護もあります。支援制度の一部を紹介しましたが、ほかにも自身が受けることのできる支援制度がないか確認をしてみましょう。 無利子で利用できる貸付や猶予など 給付金のほかにも新型コロナウイルスの影響により生活が厳しくなった場合、無利子で利用できる借入もあります。 緊急小口資金・総合支援資金(生活福祉資金) 社会福祉協議会では、新型コロナウイルス感染症の影響による休業・失業、収入減少で生活資金不足になった人に無利子の貸付を行っています(保証人不要)。 「緊急小口資金」は主に休業した人が対象で、学校等の休業、個人事業主等の特例の場合で20万円以内、その他の場合で10万円以内の借入を行うことができます。据置は1年以内、償還は2年以内となっています。 「総合支援資金」(生活福祉資金)は、主に失業した人が対象で、生活再建までに必要な生活費の借入を行うことが出来ますが、収入が減少していれば、失業状態になくても対象となります。2人以上世帯は月20万円以内、単身世帯は月15万円以内で、原則3カ月以内の借入を行うことが出来ます。据置は1年以内、償還は10年以内となっています。※6 生命保険の契約者貸付の特別金利 加入している生命保険(貯蓄型)の解約返戻金の一定割合まで貸付を受けることができるのが、契約者貸付制度です。手続きをすれば即座に借りられるため、生活費が不足するときは大きな助けになります。この契約者貸付の利率を一定期間0%にする金利支援を行う保険会社が相次ぎました。残念ながら、多くが5月末で特別金利の申し込みは終了しています。 社会保険料等の猶予 新型コロナウイルス感染症の影響で収入が減少した場合、税金については税務署に申請すれば、1年間は納税の猶予が認められます(猶予期間中の延滞税も免除)。社会保険料や公共料金等の支払についても、手続きをすることで猶予等が認められる場合があります。 さらに借入れを考えるならできるだけ低金利のものを! 前述のように、目先の危機を乗り切った後に、家計の正常化を図っていく時期が来ます。収入が以前のように戻ればいいですが、そうでなければ家計を縮小しつつ、制度を利用した借入や、延納した税金等を返済していかなければなりません。 返済の過程で、どうしても厳しいときは新たな借入が必要な場合もあるかもしれません。しかし、その頃に公的な貸付が利用できなければ、金融機関からの借入で何とか乗り切っていかなくてはなりません。その時に注意したいのは、安易に金利の高いカードローンやキャッシングなどを利用するのではなく、必要な金額と商品ごとの融資条件を比較しながら自分に合った借入を選択することです。 家計再建が目的ですので、新規で借りるならできるだけ低金利で借りる選択をしましょう。一般的に、無担保よりも有担保の方が低金利で借りることが出来ます。そして、有担保ローンの代表に不動産担保ローンがあります。 不動産担保ローンでは、不動産が担保であるため、借入限度額も大きく、借入期間も長期にすることも可能なことが多いです。また、無担保に比べて金利は低金利であることが多く、資金使途が幅広いのも特徴の一つです。金融機関によっては、担保とする不動産の名義が配偶者や親族であっても利用できる場合があり、住宅ローンが残っている不動産でも、金融機関によっては利用できる場合があります。 無担保ローンに比べて条件がいいことも多いですが、不動産を担保としているため、返済が一定以上滞った場合、競売などで処分されるリスクもあります。最後に不動産担保ローンを紹介しましたが、融資を受ける場合はムリのない家計再建プランをたて、その中でムリのない借入にとどめることも大事です! 出典) ※1 自立相談支援機関窓口情報【PDF】 ※2 企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における「ベビーシッター派遣事業」の令和4年度の取扱いについて ※3 新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応支援金(委託を受けて個人で仕事をする方向け) ※4 「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』申請の手引き(学生・生徒用)【PDF】(現在、該当ページは削除されています【リンク削除】) ※5 新型コロナウイルス感染症の影響で学費等支援が必要になった学生のみなさんへ【PDF】 ※6 厚生労働省HP 「生活福祉資金貸付制度」 執筆者紹介 豊田 眞弓( Mayumi Toyoda ) マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。 個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。 <主な著書> 「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。 次に読むべき記事 家賃が払えない?!そんなときの住居確保給付金が受給資格を緩和! 離職や廃業によって、家賃の支払いに困ったとき、自治体に申請すると住居確保給付金を受給できる可能性があります。住居確保給付金は失業者向けの制度でしたが、2020年4月20日から受給資格が緩和さ... 次に読むべき記事 不動産担保ローンとは?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説 不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保にして資金を借りるローンのことです。無担保ローンに比べて、まとまった金額を低金利で借りられる一方、返済が滞ると不動産が競売にかけられるリスク...