フラット35はやめたほうがいい?3つのデメリットから見える注意点

更新日: / 公開日:2024.02.21

自宅を購入する際、「フラット35」を検討する人もいるでしょう。フラット35は一般的な住宅ローンにはないメリットがある一方で、デメリットもあるため、商品を調べていく中で「やめたほうがいい」や「やばい」といった記事を見ることもあるかもしれません。

この記事では、「フラット35はやめたほうがいい」と言われる主な理由を紹介します。

やめたほうがいいと言われる理由①:金利

そもそもフラット35とは、全期間固定金利の住宅ローンで、住宅金融支援機構と提携している民間の金融機関が提供しています。名称に“35”とあるとおり、最長35年間の固定金利で住宅ローンを借りることができます。

固定金利型であるため、借り入れ時に返済終了までの借入金利と返済額が確定し、長期の返済計画を立てやすいのが特徴です。ただし、変動金利型の住宅ローンに比べると金利は高い傾向にあります。

2025年7月現在、フラット35(新機構団信付き:借入期間21年以上)の金利状況は下表のとおりです。

融資率*金利の範囲最も多い金利
9割以下年1.840%~年3.970%年1.840%
9割超年1.950%~年4.080%年1.950%

※融資率とは、住宅の建設費または購入価額に対するフラット35の借入額の割合を指す。

出典)住宅金融支援機構「フラット35(金利情報)」

金融機関や融資条件によって異なりますが、フラット35の金利は年2%程度となっています。

それに対して2025年7月現在、一般的な銀行が提供している変動金利型の住宅ローンは、優遇金利の適用を加味すると0.6%前後です。変動金利型の住宅ローンと比較すると、フラット35の金利は相対的に高く感じられるため、「やめたほうがいい」と言われます。

やめたほうがいいと言われる理由②:頭金

フラット35は、総返済負担率などの利用条件を満たしていれば、頭金なしでも住宅の建設費または購入価額まで借りられます。しかし、上述のとおり、融資率が9割を超えると金利が高くなるため、少しでも低い金利で借りるには、頭金を1割以上準備しなくてはなりません。

仮に住宅の購入価額が5,000万円とすると、頭金として500万円以上を用意する必要があります。頭金を用意するのが難しい世帯は、融資率9割以下より高い金利が適用されてしまうため、不利になります。

それに対して、銀行の住宅ローンの場合、融資率が100%でも最優遇金利が使えることもあり、金利を下げるためには頭金が必要という点で「やめたほうがいい」と言われます。

やめたほうがいいと言われる理由③:物件の審査基準

フラット35を借りるには、借入対象となる物件の審査基準を満たす必要があります。具体的には、住宅金融支援機構が定める技術基準を満たしているかを確認するために、物件検査を受けて「適合証明書」を取得しなくてはなりません。主な基準項目とその概要は下表のとおりです。

【例:新築住宅の場合の技術基準】

主な基準項目概要
接道原則として一般の道に2m以上接すること
住宅の規模一戸建て70㎡以上、マンション30㎡以上
住宅の規格原則として2以上の居住室、炊事室、便所及び浴室の設置
断熱構造断熱等性能等級4以上、かつ、一次エネルギー消費量等級4以上など
住宅の構造耐火構造もしくは準耐火構造であることなど

収入などの利用条件を満たしていても、物件がフラット35の基準を満たしていないと借りられない点に注意が必要です。なお、金融機関によって異なりますが、物件検査を受ける際に数万円程度の手数料がかかることもあります。

それに対して、銀行の住宅ローンの場合、適合証明書が必須の要件ではなく、取得にかかる手続きや費用の面で「やめたほうがいい」と言われます。

フラット35は本当にやめたほうがいいのか?

フラット35は「やめたほうがいい」と言われることがある一方で、次のようなメリットもあります。

  • 全期間固定金利で返済額が一定のため返済計画を立てやすい
  • 団体信用生命保険(団信)への加入が必須ではない
  • 保証料や繰上返済手数料が無料

フラット35は全期間固定金利であるため、借り入れ後の市場金利の影響を受けません。そのため、借入期間中に「金利が上がったらどうするか」を考える必要がなく、借入時の返済計画を立てやすいのがメリットです。

なお、一般的な住宅ローンの場合でも、全期間固定金利の商品はありますが、適用金利は担保物件や与信によって決定されます。そのため、申込人の与信次第では、銀行の住宅ローンが必ずしもフラット35よりも有利とは限らず、そもそも取扱可否すら変わることもあります。

また、一般的な住宅ローンの場合は、団信の加入が融資条件となることがほとんどです。フラット35は団信加入が必須ではないため、健康面で団信加入が難しい人でも利用できる点はメリットといえるでしょう。

さらに、一般的な住宅ローンは金融機関によって、保証料や繰上返済手数料がかかることもありますが、フラット35なら無料です。繰上返済による早期完済を計画している人にとって、繰上返済手数料がかからないのは大きなメリットといえます。

結局のところ、フラット35をやめたほうがいいかは、申込人の与信やそもそも住宅ローンで何を重視するかによって異なります。メリットとデメリットを比較して、自分に適した住宅ローン商品を選ぶと良いでしょう。

Appendix:フラット35の様々な選択肢

フラット35をやめたほうがいいかを判断するにあたり、一言でフラット35と言っても「買取型」と「保証型」の2種類があることと、フラット35にはさまざまな金利引き下げメニューがあることの2点を知っておくことが大切です。

フラット35の「買取型」と「保証型」

世間一般で「フラット35」と言われる商品は、「買取型」を指していることが多いです。これは、「買取型」を扱う金融機関が300社を超えるのに対し、「保証型」を扱う金融機関はわずか8機関(2025年7月時点)しかないからです。

「保証型」のフラット35は、取扱金融機関ごとに商品性が異なることが特長で、頭金をより多く用意することで、「買取型」よりも金利が低く抑えられる場合や、団信が「買取型」よりも充実している場合があります。詳細は以下の記事で解説しているので、ぜひご確認ください。

フラット35の金利引き下げメニュー

フラット35は、子育て支援や環境保全、地方創生といった観点で、条件を満たす利用者に対して一定の期間金利引き下げを行うというメニューがあります。

例えば、子供が2人いる家庭で、環境にやさしい「ZEH」の住宅を購入する場合、最初の5年間は1%、6年目~10年目も0.25%もの金利引き下げを受けることができます。こちらも詳細は以下の記事で解説しているので、自分がどの程度金利引き下げを受けられるかも考慮したうえで、返済シミュレーションを行うことをお勧めします。

まとめ

フラット35は、「借入時の金利が比較的高い」「頭金を1割以上入れないと金利が高くなる」などの理由でやめたほうがいいと言われることがあります。一方で、「毎月の返済額がずっと変わらない」「保証料や繰上返済手数料が無料」といったメリットもあります。

フラット35を検討する場合は、メリットとデメリットをしっかりと比較して自分に向いているかを見極めましょう。

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※SBIアルヒのWEBサイトに遷移します。


執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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