ダブルローンとは?住宅ローン二重払いの審査基準や代替手段を解説

公開日:2026.06.17

住宅の住み替えを検討する際に、「ダブルローン」という言葉を目にすることがあります。ダブルローンとは、旧居の住宅ローンを残したまま新居を購入し、一時的に2本のローンの契約・返済が重複する状態を指します。

仮住まいが不要になるメリットがある反面、一時的な返済負担率の上昇により家計の圧迫要因となるため、資金計画における慎重な判断が求められます。

■本記事の結論(要約)
・ダブルローンの壁: 返済負担率の上限(目安:30〜35%)と旧居の売却リスクにより、審査は通常の住宅ローンよりも厳格化する傾向にある。
・審査通過が難しい場合の代替手段: 自身の状況に合わせて「売り先行」「売却つなぎ融資」「買取保証」「住み替えローン」の4つから最適な手段へ方針転換する。

この記事では、ダブルローンの基本構造から金融機関の審査基準、そして審査の壁を越えられない場合の具体的な代替手段まで、詳しく解説します。

ダブルローンとは?発生するタイミングとペアローンとの違い

ダブルローンとは

ダブルローンとは、住み替えなどで一時的に2つの住宅ローンを同時に契約・返済する状態です。

「住宅ローンが2本」という共通点から、夫婦がそれぞれ住宅ローンを契約するペアローンとよく混同されますが、両者は仕組みや目的が異なります。

ダブルローンは、新居を決めてから自宅を売却する「買い先行」の住み替えで発生することが多いです。旧居の売却が完了し、その売却代金で旧住宅ローンを完済すれば、ダブルローン状態は解消されます。

よくある誤解:「ペアローン」との違い

ダブルローンとペアローンの主な違いは以下の通りです。

ダブルローンペアローン
内容住み替えで一時的に2つの住宅ローンを同時に契約・返済する状態夫婦や親子などがそれぞれ住宅ローンを契約・返済する状態
対象となる住宅2つの住宅(旧居と新居)1つの住宅
契約者(債務者)1人2人
ローンの本数2本(旧居と新居)2本(夫婦などがそれぞれ契約)
目的「買い先行」による住み替えの円滑化借入可能額の増加

ダブルローンは、「買い先行」による住み替えをスムーズに進めるために、1人の契約者が2本の住宅ローンを契約します。

一方、ペアローンは、1つの物件に対して、夫婦や親子などがそれぞれ住宅ローンを契約します。主に借入可能額を増やすことを目的に利用されます。

ダブルローンのメリット・デメリット

ダブルローンを活用すれば、仮住まい不要で新居への引っ越しが可能です。

一方で、旧居の売却が完了するまでは住宅ローンの二重払いが発生するため、一時的に家計を圧迫する恐れがあります。

【メリット】仮住まい不要で新居へ引っ越し可能

ダブルローンのメリットは、旧居の売却完了を待たずに新居を購入、転居できる点です。これにより、仮住まいへの転居費用や賃料負担、引っ越し作業の労力を削減できます。

また、希望条件に合う物件が見つかったときに、旧居の売却を待つことなく、すぐに購入手続きに移行できるのもメリットです。

【デメリット】売却までの「二重払い」が家計を圧迫

ダブルローンのデメリットは、旧居が売れるまで住宅ローンの返済が二重になることです。一時的に返済額が膨らみ家計を圧迫します。

また、旧居の売却活動が想定より長期化した場合、手元資金が枯渇する恐れがあります。

収入や手元資金と返済額のバランス、旧居の売却時期などを検討し、計画的な売却活動と余裕をもった返済計画を立てることが重要です。

ダブルローンの審査は厳しい?審査に影響する2つのポイント

金融機関は貸し倒れリスクを回避するため、一般的にダブルローン状態での審査は通常の住宅ローン審査よりも厳しい傾向にあります。

金融機関の審査では、「返済負担率」と「旧居の売却予定の確実性」の2つがポイントです。

審査のカギ:「返済負担率」の上限(目安:30〜35%)

返済負担率とは、年収に対するすべての借り入れの年間返済額の割合です。住宅ローンの審査では、この返済負担率が重視されます。

金融機関によって基準は異なりますが、一般的には30%〜35%程度が上限の目安です。

住宅金融支援機構が提供するフラット35の基準を例に挙げると、年収400万円未満は30%、400万円以上は35%が上限と規定されています。

また、金融機関は将来の金利上昇リスクなどを加味し、実際の適用金利よりも高い「審査金利」を用いて返済負担率を算出することがある点にも注意が必要です。

【具体例での計算シミュレーション】
例えば、年収600万円の人が、旧居のローン(月8万円)と新居のローン(月10万円)を抱えた場合、年間の合計返済額は216万円(月18万円×12ヶ月)となります。この場合、返済負担率は36%(216万円÷600万円)となり、一般的な上限である35%を超過します。

<例:返済負担率の上限が35%の場合>

年収新旧住宅ローン
年間合計返済額の上限額
400万円約140万円(月額約11.6万円)
600万円約210万円(月額約17.5万円)
800万円約280万円(月額約23.3万円)
1,000万円約350万円(月額約29.1万円)

※住宅ローン以外の目的別ローン(自動車ローンや教育ローンなど)の返済額も「年間合計返済額」に含まれる場合があります。

一般的な金融機関では、ダブルローン状態となることで返済負担率が基準を超過し、新居の住宅ローンを組めないケースが少なくありません。


審査の補完要素:旧居の完済予定(売却の確実性)

ダブルローンの審査では、旧居が確実に売却できるかどうかも重要な判断材料になります。

売却代金で旧住宅ローンを完済すれば、ダブルローン状態が解消されて返済負担率が下がり、新住宅ローンの返済の確実性が高まるからです。

売却見込みが不透明と判断されると審査落ちのリスクもあります。売却の確実性を証明するために、金融機関から以下の書類などの提出が求められることがあります。

  • 不動産会社との媒介契約書(すでに売却活動を開始している証明)
  • 買主との売買契約書(引き渡し日が確定している証明)

また、売出価格が市場相場から乖離しており、売却見込みが不透明と判断された場合においても審査落ちのリスクが高まります。

ダブルローンが組めない・難しい場合の「4つの代替手段」

ダブルローンを組むのが難しい場合は、以下4つの代替手段が考えられます。ご自身の状況に合わせ最適な手段への方針転換を検討しましょう。

  • 売り先行での住み替え
  • 売却つなぎ融資の活用
  • 買取保証の活用
  • 住み替えローンの活用

対策①「売り先行」での住み替えによる確実な資金計画

売り先行とは、旧居を売却してから新居を購入する住み替え方法です。

旧居の住宅ローンを完済してから物件を探すため、資金計画や返済計画に確実性が増し、新居の住宅ローン審査に通りやすくなります。

ただし、新居が見つかるまでの仮住まいの確保や引っ越し作業など、時間や手間がかかるのがデメリットです。

対策②「売却つなぎ融資」の活用による資金不足の解消

売却つなぎ融資とは、売却予定の不動産を担保にして、融資を受けられるローンです。

買い先行で住み替えをする場合、旧居の売却代金は新居の購入後に受け取ることになるため、新居の手付金や頭金などに使うことができません。

売却つなぎ融資を活用すれば、一時的な資金不足を解消できるため、住み替えを進めやすくなります。

ただし、売却つなぎ融資の金利水準は、短期間のつなぎ資金という性質上、一般的に住宅ローンより高く設定されており、取り扱う金融機関も限定される点に注意が必要です。

対策③「買取保証」の活用による期限を決めた売却

買取保証は、一定期間は不動産仲介会社等を通じて市場で売却活動を行い、一定期間内に買主が見つからない場合、あらかじめ約束した保証金額で不動産仲介会社等が物件を直接買い取る仕組みです。

「いつまでに・いくらで売れるか」が確定するため、新居の資金計画が立てやすくなります。

ただし、買取保証は取り扱っている不動産仲介会社が限られ、不動産仲介会社の買取保証金額は相場より安い価格になる傾向があり注意が必要です。


対策④「住み替えローン」の活用によるローンの一本化

住み替えローンとは、旧居の売却額が現在の住宅ローン残高を下回る「オーバーローン」状態の際に、旧居の残債と新居の購入資金を合算して新たに借り入れる住宅ローンです。

ダブルローンが「2本のローンを並行して返済する」のに対し、住み替えローンは「新たな1本のローンにまとめて返済する」という明確な違いがあります。

住み替えローンは、残債の返済に自己資金を充てる必要のない点がメリットです。

ただし、金融機関としては通常の住宅ローンと比べ貸し倒れリスクが高くなるため、住み替えローンにおいても金融機関の審査は厳しくなる点に注意が必要です。

また、旧居の売却と新居の購入を同時に進めることが求められるため、金融機関や不動産業者など複数の関係者と協力し計画的に進める必要があります。

まとめ

ダブルローンは住み替えをスムーズに進められますが、一定期間は二重返済になるため大きな負担を伴います。また、一般的な金融機関では返済負担率の基準を超過する場合があり、審査落ちのリスクが高まります。

万が一ダブルローンでの審査通過が難しい、あるいは返済計画に不安が残る場合は、「売り先行」への切り替えや、「売却つなぎ融資」「買取保証」「住み替えローン」といった代替手段を検討し、無理のない資金計画へ方針を転換しましょう。

なお、金融機関によってローンの審査基準(審査金利の設定や既存ローンの扱いなど)は大きく異なります。まずは複数の金融機関へ事前審査を申し込み、ご自身の正確な借入可能額と選択肢を客観的に把握することから始めてみてください。

執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

関連キーワード