住居表示とは?地番との違いや調べ方、届出方法を解説

公開日:2025.09.17

住居表示の制度は、私たちが普段使用している「住所」をわかりやすく整理するために導入された仕組みです。この記事では、住居表示の制度概要や地番との違い、調べ方、届出の流れや必要書類について解説します。

住居表示とは?

住居表示とは、日本の「住居表示に関する法律」に基づき、住所をわかりやすく表示するために導入された制度、またそれによる住所の表示のことです。

住居表示制度の目的と必要性

従来の住所は、土地ごとに付けられた地番を使っていましたが、地番は分筆や合筆で番号が飛び飛びになり、実際の街並みと一致しないなど、場所の特定が難しいという問題がありました。

この問題を解消するため、1962年に住居表示制度が施行され、市街地などで住所が複雑になりやすい地域では、建物に合理的な番号を付ける仕組みが導入されました。これにより、郵便配達や緊急車両の到着がスムーズになり、日常生活の利便性が向上しました。

出典)e-Gov法令検索「住居表示に関する法律

住居表示と地番の違い

住居表示と地番はどちらも住所を示すものとして用いられていますが、管理主体や使用目的は異なります。地番とは、土地一筆ごとに付与されている番号のことです。不動産登記規則第98条に基づき、法務局によって付けられます。

出典)e-Gov法令検索「不動産登記規則 第98条

住居表示と地番の違い

項目住居表示地番
管理主体市区町村(自治体)法務局
目的住所をわかりやすくし、郵便や行政サービスを円滑にする土地の権利関係を明確にし、不動産登記や税務に利用する
表示対象建物土地
主な利用場面日常生活(郵便、宅配、行政手続)不動産取引・登記
方式主に「街区方式」(道路などで囲まれたブロック単位で番号を付け、さらに建物ごとに番号を割り当てる)土地一筆ごとに番号を付ける
住所の構成町名+街区符号(番)+住居番号(号)町名+地番
住所の構成〇〇町1丁目2番3号〇〇町100番地

住居表示は、郵便物の配達や住民生活の利便性向上を目的に利用されるなど、主に日常生活で使われるのに対し、地番は不動産取引や登記などに使われます。

住居表示の決め方

住居表示は、一般的に以下の手順で決定します。

  1. 町名(〇〇1丁目等)
  2. 街区符号(○番)
  3. 基礎番号(住居番号の基礎となる番号)
  4. 住居番号(〇号)
  5. 住居番号の枝番(〇-〇〇〇号等)

【住居表示が実施された場合の住所の表記例】

実施前岐阜市××123番地1
実施後岐阜市○○2丁目4番6号

町の区域設定や町名の考え方、街区符号・住居番号の定め方は自治体によって異なります。住居表示の実施後は、新たな住所がわかるように街区表示板や住居番号表示板(住所のプレート)などを設置するのが一般的です。

出典)岐阜市「住居表示の概要

住居表示や地番の調べ方 | ブルーマップや地番参考図の使い方

住居表示と地番の両方を調べる場合は、主に以下の方法があります。

  • ブルーマップ
  • 地番参考図

ブルーマップとは、住居表示と地番が重ねて表示されている地図です。株式会社ゼンリンが製作しており、住居表示は赤、地番は青で記載されています。法務局や国立図書館などで閲覧できます。

地番参考図は、固定資産の評価のために土地の町名や地番などを表示した地図です。自治体が提供していれば、インターネットを使って住居表示や地番を調べることが可能です。「地番参考図 〇〇市」と検索してみましょう。

出典)株式会社ZENRIN「ブルーマップ

住居表示の調べ方

住居表示の付番は自治体が行っています。そのため、自治体に問い合わせれば住居表示を確認できます。自治体によって担当窓口の名称は異なるため、自治体のホームページなどで確認のうえ問い合わせるとスムーズです。

地番の調べ方

地番だけを調べる場合は、主に以下の方法があります。

  • 法務局へ問い合わせ
  • 固定資産税の納税通知書
  • 登記情報提供サービス
  • MAPPLE法務局地図ビューア

特に、「MAPPLE法務局地図ビューア」は、2023年2月にリリースされたサービスで、住所や目標物などから地番を検索できます。

出典)株式会社マップル「MAPPLE法務局地図ビューア

住居表示の届出方法

自治体が住居表示を実施している地区内で建物を新築・改築する場合は、その建物に住居番号を付け、住所を決めるための届出が必要です。

届出の流れと必要書類

一般的には、建物の新築・改築が完了するまでに自治体の担当窓口へ申請を行います。届出の流れと主な必要書類の例は以下のとおりです。

【届出の流れ】

  1. 建物の完成前に自治体の窓口へ申請
  2. 自治体による確認
  3. 住居番号の決定とプレートの配布
【必要書類の例】

  • 申請書
  • 現地案内図(写し)
  • 建築確認申請書の敷地配置図
  • 公図(写し)など

手続きの流れや必要書類の詳細は、自治体の窓口でご確認ください。また、住所変更の証明が必要な場合は、「住居表示実施証明書」の発行を申請できます。

まとめ

住居表示は、住所をわかりやすく表示するための制度です。自治体が実施することで、「救急車両の到着が遅れる」「郵便物が届かない」といった問題の解消につながります。建物の新築・改装を行う場合は、住居表示の届出が必要かを自治体に確認しましょう。

執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。

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