公開日:2025.10.29
住宅ローンを検討していると、「事務手数料はいつ支払うのか?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。実際、事務手数料は数十万~数百万円にのぼることもあり、支払時期や金額を把握しておくことは、資金計画を立てるうえで非常に重要です。
この記事では、住宅ローンの事務手数料の支払時期や負担を軽減する具体的な方法について、わかりやすく解説します。

住宅ローンの事務手数料とは、ローン契約時に金融機関に支払う手数料のことです。「融資手数料」や「事務取扱手数料」と呼ばれることもあり、金融機関によって名称が異なります。
この手数料は、住宅ローンの審査や契約手続きなどにかかる事務コストをカバーするためのもので、借入金額や契約内容によって金額が異なります。
事務手数料には、主に以下の2種類があります。
| 定額型 | 借入金額にかかわらず、一定額の手数料を支払う方式 |
|---|---|
| 定率型 | 借入金額に対して、一定の割合で手数料が決まる方式 |
事務手数料とは別に、「保証料」が必要になる場合もあります。保証料は、借主が万が一返済できなくなった場合に、保証会社が代わりに返済を行うための費用です。
保証料の支払方法には、以下の2種類があります。
| 一括前払い方式(外枠方式) | 住宅ローンの借入時に、保証料をまとめて支払う方式 |
|---|---|
| 金利上乗せ方式(内枠方式) | 金利に一定割合の保証料を上乗せし、毎月の返済に含めて支払う方式 |
金融機関によっては、保証料が不要な場合もあれば、事務手数料と保証料の両方が必要な場合もあります。そのため、事務手数料と保証料の合計額を確認し、総額の費用として比較検討することが大切です。
住宅ローンの事務手数料は、融資実行時に一括で支払うのが一般的です。この手数料は、融資を受けるための事務手続きにかかる費用であり、毎月のローン返済に含まれるものではありません。そのため、契約時点でまとまった金額を準備しておく必要があります。
事務手数料の支払方法は金融機関によって異なり、主に次の2つのパターンがあります。
例えば、借入金額が3,000万円で事務手数料が66万円の場合、前者の方式では、実際に振り込まれる金額は2,934万円となります。対して、後者の方式では、一時的に3,000万円が振り込まれますが、すぐに手数料分の金額が引き落とされます。
どちらの方式になるかは金融機関によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
出典)フラット35「融資金は、融資手数料等の諸経費が差し引かれて交付されるのですか?」
住宅ローンの事務手数料が高額になり、一括で支払うのが難しい場合は、以下のような方法を検討しましょう。
金融機関によっては、事務手数料をはじめとする諸費用(保証料、登記関連費用など)も含めて借り入れが可能です。この方法を選べば、契約時にまとまった金額を用意する必要がなくなります。ただし、借入金額の増加によって、総返済額が増加する点に注意しましょう。
諸費用ローンとは、住宅ローンとは別に、登記費用や事務手数料など、住宅購入時に発生する諸費用をカバーするためのローンです。一般的に、住宅ローンよりも金利が高めに設定されています。そのため、検討する際は金利や返済期間を比較し、本当に必要かどうかも踏まえて検討することが大切です。
住宅ローンの事務手数料は、借入金額や契約内容によって高額になることがあります。少しでも負担を軽減するためには、以下の3つのポイントを押さえておくと安心です。
手数料タイプが定率型の場合、借入金額に応じて事務手数料が決まります。そのため、借入金額を抑えることで、事務手数料の負担軽減につながります。以下は、事務手数料率2.2%とした場合のシミュレーションです。
【手数料率(2.2%)の場合】
| 借入金額 | 事務手数料 |
|---|---|
| 2,000万円 | 440,000円 |
| 2,500万円 | 550,000円 |
| 3,000万円 | 660,000円 |
※筆者作成
上表のように、借入金額を500万円減らすと、11万円の手数料軽減につながります。また、借入金額を抑えることで利息の支払いも減るため、総返済額の軽減にも効果があります。
金融機関によっては、定額型と定率型のどちらかを選べる場合があります。借入金額が多い場合は、定額型の方が割安になることもあるため、事前に比較しておきましょう。
例えば、借入金額が3,000万円で定率型の手数料率が2.2%の場合、事務手数料は66万円です。一方、定額型では手数料が一定(例:33万円など)であるため、借入金額が多いほど有利になる可能性があります。
ただし、定額型を選ぶと別途保証料が必要になるケースがあるほか、借入金利が定率型よりも高めに設定される傾向があります。そのため、事務手数料だけでなく、保証料を含めた総費用で比較することが重要です。
住宅ローンの事務手数料や保証料の設定は、金融機関によって大きく異なります。同じ借入金額でも、手数料の差で数万円〜十万円以上の違いが出ることもあります。
事務手数料だけでなく、保証料・金利・その他の諸費用も含めて、トータルコストで比較検討することが、負担を軽減するためのポイントです。比較サイトや金融機関の公式ページを活用し、複数社の条件を確認してから申し込むようにしましょう。
住宅ローンの事務手数料は、融資実行時に一括で支払うのが一般的です。金額は数十万~数百万円にのぼることもあり、支払方法やタイミングを事前に把握しておくことで、資金計画に余裕が生まれます。
一括での支払いが難しい場合は、事務手数料を住宅ローンに組み込む、または諸費用ローンを利用するなどの対処法もあります。また、借入金額を抑える、支払方式を選ぶ、複数の金融機関を比較するなどの工夫によって、負担を軽減することも可能です。
事務手数料は金融機関によって条件が異なります。保証料などの諸費用も含めて総費用で比較検討し、自分にとって最適な住宅ローンを選びましょう。
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