公開日:2026.10.23
こんにちは、公認会計士の千日太郎です。前回の記事(【フラット35】2026年10月金利は3.83%に決定|公認会計士の予測と機構債分析)では、【フラット35】の2026年10月金利を3.65%~3.70%と予想し、結果は3.83%となりました。
10月の機構債表面利率3.65%と【フラット35】の金利差は、0.18ポイントになりました。9月に0.01ポイントの利ザヤへ転じたばかりでしたが、10月にはその幅が大きく拡大しました。
まずは、最新の機構債と市場動向から分析した2026年11月の【フラット35】金利予想の結論をお伝えします。
2026年11月【フラット35】金利予想
【フラット35】金利は、下図のとおり、基準となる「新発10年国債利回り」に「ローンチスプレッド」と「利ザヤ」が上乗せされる構造となっています。
<新発10年国債利回り・機構債表面利率・【フラット35】金利の関係イメージ図>

※「住まいとお金の知恵袋編集部」作成
10月22日に発表された機構債の表面利率は、前月比▲0.06ポイントの3.59%となりました。
新発10年国債利回りが2.91%(前月比▲0.09ポイント)へ低下したものの、ローンチスプレッドが0.68%(前月比+0.03ポイント)へ拡大したため、表面利率の引き下げ効果が一部吸収される形となっています。
また、10月の【フラット35】では、機構債表面利率に対する利ザヤが0.18ポイントまで拡大しました。利ザヤが拡大するのであれば、機構債の表面利率が下がったからといって、11月の【フラット35】金利が下がるとは限りません。
一方、10月2日にはE55第5回機構債の発行条件が決定し、表面利率は3.02%となりました。
E55債は通常の月次債とは調達の仕組みが異なるため単純には比較できませんが、全体の調達コストを抑える効果があり、【フラット35】に乗せる利ザヤを小さく抑える要因になり得ます。
この記事では、金利を下げる要因と上げる要因を整理したうえで、11月の【フラット35】金利を3つのシナリオに分けて今後の見通しを解説します。
※10年国債利回りは便宜上、機構債表面利率からローンチスプレッドを差し引いた率としています。

2026年10月の【フラット35】金利は前月から0.37ポイント上昇の3.83%に決定し、9月下旬での予想レンジ(3.65%~3.70%)を上回る結果となりました。
この予想は、機構債表面利率3.65%に対して、機構がどの程度の利ザヤを設けるかを予想の軸としていました。
実際の【フラット35】金利は3.83%であり、機構債表面利率3.65%との利ザヤは、0.18ポイント(前月比+0.17ポイント)まで拡大しました。利ザヤの拡大幅が想定を超えたことで、予想レンジを上回る着地となりました。
なお、【フラット35】の金利は、以下の簡易式で説明できます。
このうち「新発10年国債利回り + ローンチスプレッド」は、機構債の表面利率として発表されます。
そのため、金利予想においては、機構裁量の調整幅である利ザヤ・逆ザヤがどのように設定されるかが重要なポイントとなります。
新発10年国債利回りの上昇に連動して、機構債の表面利率も上昇が続いてきました。
その間【フラット35】の金利上昇は、機構債表面利率の上昇幅に比べ抑えられ、逆ザヤが発生する場面がありました。2025年6月から始まった逆ザヤは、拡大傾向を続けた後、2026年3月に縮小に転じ、2026年9月に利ザヤとなりました。
そして10月には、利ザヤが0.18ポイントまで拡大しています。逆ザヤを段階的に解消する局面から、一定の利ザヤを確保する局面へ移った可能性があります。
<機構債表面利率 vs 【フラット35】金利の推移(2025年4月以降)>

※出典)
・住宅金融支援機構「既発債情報」
・住宅金融支援機構【フラット35】「借入金利の推移(借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、新機構団信付きの場合)」
※上記出典を基に「住まいとお金の知恵袋編集部」作成
<利ザヤ・逆ザヤの推移(2025年4月以降)>

※上記出典を基に「住まいとお金の知恵袋編集部」作成
2026年11月の予想では、機構債表面利率3.59%を出発点とし、10月に0.18ポイントまで拡大した利ザヤがどのように動くかを3つのシナリオに分けて考えます。
【フラット35】金利推移(直近3か月)と2026年11月予想
| 2026年8月 | 2026年9月 | 2026年10月 | 2026年11月 (千日太郎の予想) | |
|---|---|---|---|---|
| 【フラット35】の金利(※) | 3.29% | 3.46% | 3.83% | 3.77% ~ 3.94% |
※出典)住宅金融支援機構【フラット35】「借入金利の推移(借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、新機構団信付きの場合)」
予想下限の3.77%は、10月と同じ0.18ポイントの利ザヤを維持し、機構債表面利率の低下分だけ【フラット35】金利も下げるシナリオです。
機構債表面利率は3.65%から3.59%へ0.06ポイント低下しました。利ザヤを0.18ポイントで据え置けば、11月の【フラット35】金利は3.77%となり、10月の3.83%から0.06ポイント低下します。
機構には、国民の住宅金融の円滑化を支えるという公的な役割があります。また、10月には表面利率3.02%のE55債を発行しています。
調達手段の多様化によって金利上昇を抑える余地が生まれるのであれば、機構債表面利率の低下分を【フラット35】に反映させる可能性があるとみています。
10月と同じ3.83%の維持をメインシナリオと考えます。
機構債表面利率が3.59%(前月比▲0.06ポイント)へ低下した分を金利引き下げには回さず、利ザヤの確保に充てることで、利ザヤは0.24ポイント(前月比+0.06ポイント)となり、【フラット35】金利が据え置かれる計算です。
E55債による低利調達などを進めていることから、10月(+0.17ポイント)のような過度な利ザヤ拡大を行う必要性も低いと考えられます。一方で、利ザヤを縮小する可能性も低いとみています。
そのため、利ザヤの拡大幅を前月比+0.06ポイント程度に留めた金利横ばいをメインシナリオと位置づけました。
上限の3.94%は、利ザヤを0.35ポイントまで拡大するシナリオです。
9月の利ザヤは0.01ポイント、10月は0.18ポイントでした。1か月で0.17ポイント拡大しています。
この拡大幅が11月も続くと仮定すれば、利ザヤは0.35ポイントとなり、機構債表面利率3.59%に加えると【フラット35】金利は3.94%になります。
主要データ(2026年10月22日時点)
| 機構債発表日 | 2026年7月17日 | 2026年8月20日 | 2026年9月16日 | 2026年10月22日 |
|---|---|---|---|---|
| 機構債の表面利率(※1) | 3.32% | 3.45% | 3.65% | 3.59% |
| 新発10年国債利回り(※2) | 2.71% | 2.83% | 3.00% | 2.91% |
| ローンチスプレッド(※1) | 0.61% | 0.62% | 0.65% | 0.68% |
※1:出典)住宅金融支援機構「既発債情報」
※2:10年国債利回りは便宜上、機構債表面利率からローンチスプレッドを差し引いた率としています。
10月22日に発表された機構債の表面利率は、前月の3.65%から3.59%へ0.06ポイント低下しました。機構債の発行条件から逆算した新発10年国債利回りは、前月の3.00%から2.91%へ0.09ポイント低下しています。
一方で、ローンチスプレッドは0.65%から0.68%へ0.03ポイント拡大しました。新発10年国債利回りの低下が機構債表面利率を押し下げたものの、投資家が機構債に求める上乗せ幅は拡大傾向にあります。
さらに、10月の【フラット35】金利は3.83%となり、機構債表面利率3.65%に対する利ザヤは0.18ポイントまで拡大しました。利ザヤの拡大が続くとすると、最新の機構債表面利率が下がったことだけをもって、11月の【フラット35】金利も下がると判断することはできません。
メインシナリオは、機構債表面利率の低下分が利ザヤの拡大に吸収され、10月と同じ3.83%(横ばい)に据え置かれるケースと予想しました。
ただし、予想レンジの幅が示すように、11月は予想の難しい局面です。金利を予想すること以上に、想定より高い金利となった場合でも返済を続けられるか、シミュレーションして確認しておくことをおすすめします。
※この記事は2026年10月22日時点の公開情報に基づき、筆者の個人的な見解として執筆したものです。将来の金利動向を保証するものではありません。最終的な借り入れや投資の判断は、ご自身の責任において行ってください。
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