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まじめに仕事に専念してきて、結婚のタイミングを逃してしまった男性も多いのではないでしょうか?いざ落ち着いて、結婚を考えようと思ったら、女性とはなかなかご縁がなく、子供などは絶望的と悩む声も実際よく聞きます。 この記事では、そんな悩みを払しょくすべく、稼業を継いで、国際結婚に前向きに行動する48歳の男性の例をご紹介します。 [ ご相談者 Kさん ] 48歳 男性。独身で、実家の印刷会社を継いだ。 一人息子で、自分の跡継ぎなど結婚への圧力が強く、婚活で苦戦していたが、年齢の差を嫌がることなく会ってくれる国際結婚に方針を変更。 結婚後は、実家の離れを少しリフォームして住む予定。 まずは、仲人さんとともに海外を往復して手続きをする費用やリフォーム費について相談したい。 子供が欲しい婚活で気になる年齢差、国際結婚は年齢関係なく可能性あり Kさん: 実家の稼業のことでいろいろあって、この歳になるまで忙しく、結婚を本気で考えてこなかったのですが、一人息子だし、やっぱり子供が欲しいと思って婚活をしています。 FP吹田:なるほど。実家の印刷業を継がれて、今は落ち着かれたのですね。お子さんを希望される結婚の場合、やはりお相手は、年下の方をお探しなのでしょうか? Kさん: はい。でも、この年齢まで仕事に専念してきたこともあり、なかなか良いご縁に恵まれませんでした。事業も小さな印刷会社ですし。そこで、仲人さんのご紹介で、国際結婚に切り替えました。タイやフィリピンなどですが、そちらの女性は年齢を気にせず、日本での生活を楽しみにしてくれるようなのです。 FP吹田:なるほど。日本は治安もよく、清潔だし、真面目で働き者だから日本人男性は人気があるというのは私も聞いたことがあります。今後、ご実家の事業も、仮に海外展開の可能性があれば、国際結婚がビジネスにも相乗効果をもたらすかもしれませんよね。 Kさん: はい、印刷業だって今までの延長ではダメで、日本以外のルートや新技術にも目を向けているので、ちょうどいいかとは思っています。先日も、現地のお見合いで何より新鮮で、新しいエネルギーに感動し、国際結婚で幸せになりたいと本気で思ったほどです(照れながら)。あとはお金の問題ですね。 FP吹田:なるほど、気持ちの面では不安はなく、前向きそのものですね。お金についてはどのようなことが気になるのですか? 不動産担保ローンと住宅ローンの違いって? Kさん: 国際結婚は、現地でのお見合いや渡航費用の他、国ごとの手続きなどから、式などの結婚費用まで入れて全体として500万~600万円程度はかかると言われています。そのうち一部は納付済みですが、日本で暮らす際の環境整備として、住まいの一部をリフォームすることも考えないといけないと思っています。 FP吹田:住まいのほうは、どなたの名義になりますか? Kさん: 実家の離れで、まだ父親の名義です。いずれ自分が相続する予定ではありますが。リフォームの予算もまだわからず、国際結婚の諸費用と合わせて余裕を持たせて捻出できればと思っているのですが、これだと住宅ローンやリフォームローンは無理でしょうか? FP吹田:そうですね。住宅ローンやリフォームローンは資金使途がどうしても限定されるので厳しくなりそうです。住宅ローン・リフォームローンのほか、資金使途の制限が少ない不動産担保ローンの3つを比較してみましたので、ご覧ください。 不動産担保ローンと住宅ローン・リフォームローンの違い 不動産担保ローン 住宅ローン リフォームローン 担保 不動産 選択できる場合が多い 資金使途 制限が少ない 自宅の購入・増改築に限る 住宅の増改築・改装と付随費用に限る 対象者 所有者本人のほか、家族でも可能 購入・所有者本人で安定収入など信用がある人 所有者本人や家族で、安定収入など信用がある人 住宅ローン控除 なし※ あり なし ※購入を伴う場合は住宅ローン控除の対象となります。 Kさん: 不動産担保ローンですか。資金使途の制限が少なく、担保とする不動産が父の名義の不動産でもよいということですね。 FP吹田:はい、ご家族の所有の不動産も有効活用できるローンです。住宅ローンはいわゆる不動産担保ローンの一部で、担保がご自身名義の自宅に限定されていると思っていただくとよいかと思います。 Kさん: わかりました。さすがに借入が何千万もいくほどではないと思うので、借入期間も住宅ローンのように長期ではなく、短めに考えられると思います。 FP吹田:あと住宅ローンとの大きな違いとしては、不動産担保ローンは、所得税や住民税が軽減される住宅ローン控除が適用できない点が挙げられます。 Kさん: それは問題ありませんよ。おそらく借入は1千万円弱で期間も10年くらいで返せる程度と思うので、影響もないかと。 FP吹田:ご自身で優先順位をしっかりとお考えなのはさすがです。考えてみると、結婚も人生で最大の投資ですものね。 Kさん: はい、まさにそう思います。自分の人生がパートナーとともにいろいろチャレンジできるものになるなら、そこにはしっかり初期投資をしてよいと思っています。 FP吹田:それを聞けて良かったです。住まいのリフォームなど具体的なプランについては、お父様ともご相談されて決められると思うので、今の想いや将来のビジョンをぜひご家族と共有されるとよいと思います。 Kさん: わかりました。資金準備の選択肢があるとわかって、ホッとしました。不動産を担保にする場合は、当然、父にも協力を仰ぐことになるので、しっかり話すことにします。 FP吹田:はい、不動産担保ローンは、ご自身が所有していない物件を親族等から担保に提供してもらう場合は物上保証人になって頂く必要がありますし、場合によっては連帯保証人を求められることがあるので、最終的には取り扱い担当者にも確認してくださいね。 Kさん: はい、父親に迷惑をかけるようなことはしたくないので、しっかりと家族に相談して、担当者にも問い合わせてみます。 まとめ 国際結婚に伴う費用や住まいのリフォームをまとめて資金調達したい場合 住宅ローンやリフォームローンの可能性は? ・資金使途が住宅購入や改築に関するものに限定されてしまうため一般的に厳しい。 不動産担保ローンの可能性は? ・資金使途の制限が少なく、可能性大。 ・担保にできる不動産は家族所有まで幅広い。 ・ただし、住宅ローン控除は適用されない(購入を伴う場合は住宅ローン控除の対象となります)。 ・仮に返済できなくなった場合、担保とした不動産を失うことになるので、担保提供者などの保証人を必要とする場合があることに注意。 執筆者紹介 吹田 朝子( Tomoko Suita ) 人とお金の理想的な関係を追求するお金のメンタリスト®・1級ファイナンシャルプランニング技能士・宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・キャリアコンサルタント (社)円流塾代表理事、ぜにわらい協会会長、STコンサルティング(有)代表取締役社長 一橋大学卒業後、金融機関の主計部を経て1994年より独立。中小企業経営者から個人まで相談実績は3,300件以上。自己実現のためのお金の使い方や増やし方のサポートに力を入れている。 <主な著書> 「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」スタンダーズ社・「小学生でもわかる!お金にまつわるそもそも事典」C&R研究所・「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」C&R研究所 など 次に読むべき記事 不動産担保ローンと住宅ローンの違いとは 自宅を購入するとき、住宅ローンを利用する人が多いでしょう。しかし、外国人や自営業の人など、民間の金融機関の住宅ローンを申し込んだものの、審査に落ちた人もいるかもしれません。そのような時に、不... 次に読むべき記事 社会人の留学費用調達に教育ローンと不動産担保ローンを比較 大学を卒業して社会人になった後で、もう一度学ぶために留学を考える人もいるかもしれません。教育資金を捻出するために、学生であれば、日本政策金融公庫の国の教育ローンや奨学金を候補にすることもでき...
大学を卒業して社会人になった後で、もう一度学ぶために留学を考える人もいるかもしれません。教育資金を捻出するために、学生であれば、日本政策金融公庫の国の教育ローンや奨学金を候補にすることもできますが、一度社会人になったあとでは資金調達に悩む声をよく聞きます。 この記事では、転職を繰り返してやっと自分の道を見つけ、フランス料理のシェフを目指してフランスで学びたいと願っている29歳のSさんの事例をご紹介します。 [ご相談者Sさん] 29歳男性 転職を繰り返し、今は国内のレストランでアルバイト中。独身。 様々な職に就いたものの、料理の道に進むことに決めた。 現在は見習いだが、フランスへ留学して本格的にフランス料理を学びたい。 (1)社会人でアルバイトに対する教育ローンは狭き門 Sさん:この歳になって、やっと自分の進む道が決まり、フランス料理を習得するためにフランスに留学したいと思っています。ただ、調べてみたら授業料などで370万円かかることが分かりました。貯蓄では到底足りないので、どうしようかと思っています。また、まずは事前に語学学校にも行きたいとも思っています。 FP吹田:なるほど。今はアルバイト中とのことですが、雇用保険に加入されていますか?まず、語学学校の費用については、厚生労働省の指定教育機関なら、雇用保険の教育訓練給付制度を利用すれば、条件によって20%または50%程度の援助を受けられるかもしれません。 Sさん:教育訓練給付制度はアルバイトでも可能なんですか?今のレストランは1年くらい働いているので、まずは聞いてみようと思います。 FP吹田:仮にパートやアルバイトでも、31日以上の雇用見込みがあり、週20時間以上働いている人は対象になりますし、さかのぼって一定期間以上、雇用保険料を払っていれば、給付の要件を満たすことになるので、まずは確認してみてください。 Sさん:わかりました。フランスの留学費用は、この教育訓練給付は該当しないのでしょうか?あとは、教育ローンについても教えてほしいです。 FP吹田:ざっと調べたところ、教育訓練給付制度は日本国内の制度ですし、厚生労働省が指定した国内の教育施設や資格制度が対象のようです。また、教育ローンの多くは、親が子供の高校や大学、専門学校などの学費のために用意した融資で、社会人にとっては使いにくいようです。 Sさん:やはり狭き門ですね。自分でもちょっと調べて、挫折しました。他に何か良さそうな手だてはないでしょうか? (2)不動産担保ローンと教育ローンを比較すると? FP吹田:そうですね。ご両親やお祖父様、お祖母様はSさんを応援してくださっているのでしょうか? Sさん:はい、実は一人っ子で、両親は共働きだったので、同じ敷地にいるおばあちゃんに育てられました。おばあちゃんにとって孫は自分だけなんですよね。よく料理の話もしているので応援してくれると思います。 FP吹田:近くにいらっしゃって、大切なお孫さんとして応援してくださる関係性は素敵ですね。ところでお祖父様は不動産を所有してらっしゃいませんか? Sさん:おじいちゃんは所有していませんが、おばあちゃんが不動産を所有していると聞いています。 FP吹田:なるほど。もし、お祖母様がSさんを応援してくださる気持ちで、お祖母様所有の不動産を担保にローンを組むことに協力してくださるなら、フランス留学の資金も捻出できるかもしれません。不動産担保ローンは、親族の不動産も担保にできる金融機関もあるので、お祖母様の不動産を担保に、Sさんが契約してSさんが返済するというプランも可能かもしれません。 Sさん:なるほど。それなら、自分もおばあちゃんのためにも頑張れそうです。 FP吹田:しっかり夢を実現するモチベーションにもなりますよね。ここで、不動産担保ローンと教育ローンを比較してみたので、以下をご参考ください。 不動産担保ローンと教育ローンの主な特徴 不動産担保ローン 教育ローン 資金使途の制限少ないあり 債務者所有者本人のほか、家族でも可能留学する本人または保護者で安定収入がある人。本人が社会人の場合、無職だと厳しい。 借入限度物件の担保価値による500万円や1000万円など規程あり 借入(返済)期間短期(1年超)から長期(35年)まで様々3ヵ月から、最長15年・16年が多い 保証人原則不要(担保提供者など保証人を必要とする場合もある)原則不要(収入が少ない場合は、保証人が必要となる) Sさん:なるほど…。教育ローンに比べて、不動産担保ローンは、資金使途も広いのですね。あとは、教育ローンが、社会人で安定収入がないと厳しいというのは、自分の場合やっぱり厳しいなぁと思います。ところで不動産担保ローンを借りる場合、保証人は必要なのでしょうか? FP吹田:保証人が必要かどうかは金融機関によって異なります。しかし、Sさんのケースのように、ご家族の不動産を担保にする場合は、担保を提供される方に保証人を求めることが一般的なので、詳しくは金融機関に確認する必要があります。 Sさん:わかりました。あと、不動産担保ローンの場合、借入上限はだいたいどのくらいなのでしょうか? FP吹田:こちらも金融機関によって異なりますが、一般的に担保評価額の6~8割程度と言われています。その範囲内で、まずはSさんがフランスで必要になる金額を無理なく返済できる期間で設計してもらうのがよいのではないでしょうか? Sさん:はい、明るい光が見えてきました。まずは、今回の件をおばあちゃんや家族に相談してみようと思います。 FP吹田:そうですね。Sさんが大切な一人孫さんで、お祖母様とも仲良くしていらっしゃるのは、大切な財産ですね。 Sさん:やっぱり家族って有難いなぁと思います。両親・おばあちゃんにも感謝しながら、夢をあきらめずにチャレンジしようと思います。 まとめ 留学などでお金がかかる場合の資金調達として、教育ローンの主な特徴・注意点は? 基本的に親が子のためにローンを組む仕組み。但し、本人自身がローンを組むことも可能。 資金使途や借入限度、期間も金融機関の規定しだい。 債務者の収入が少ない場合、保証人が必要となるケースもある。 不動産担保ローンの主な特徴・注意点は? 担保にできる不動産は家族所有まで幅広く、本人が借りて返済するプランが可能。 借入限度額は、担保物件の評価額の8~7割程度まで可能で、資金使途も制約が少ない。 返済期間も長期の設計が可能。 もし、返済できなくなった場合、担保とした不動産を失うことになるので、担保提供者などの保証人を必要とする場合がある。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 吹田 朝子( Tomoko Suita ) 人とお金の理想的な関係を追求するお金のメンタリスト®・1級ファイナンシャルプランニング技能士・宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・キャリアコンサルタント (社)円流塾代表理事、ぜにわらい協会会長、STコンサルティング(有)代表取締役社長 一橋大学卒業後、金融機関の主計部を経て1994年より独立。中小企業経営者から個人まで相談実績は3,300件以上。自己実現のためのお金の使い方や増やし方のサポートに力を入れている。 <主な著書> 「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」スタンダーズ社・「小学生でもわかる!お金にまつわるそもそも事典」C&R研究所・「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」C&R研究所 など 次に読むべき記事 不動産担保ローンとカードローンの違いとは 不動産担保ローンとカードローンは、資金が必要な際に利用できるローンという点では同じですが、特徴やメリット、デメリットは異なります。それぞれの違いを理解し、不動産担保ローンとカードローンを適切...
「買取再販ローン」という言葉を聞いたことはないでしょうか。買取再販ローンは不動産担保ローンのひとつで、利用者が特定の不動産事業者に限定されているのが特徴です。特定の要件を満たす不動産事業者であれば、通常の不動産担保ローンより買取再販ローンを利用するほうが、より有利な条件で融資を受けられる可能性があります。この記事では、買取再販ローンの仕組みやメリット・デメリットについて解説します。 買取再販ローンとは 買取再販ローンとは、住宅買取再販(中古住宅を買い取ってリフォーム後に再販)を行う不動産事業者(買取再販事業者)向けの不動産担保ローンです。不動産事業者が中古住宅を買い取る際に、その住宅を担保にすることで、住宅の買取資金とリフォーム資金の一括融資が受けられます。買取再販ローンを利用することで、中古住宅の仕入資金やリフォーム工事費用などをまとめて資金調達できます。 買取再販ローンの仕組み 住宅買取再販の一般的な流れは以下のとおりです。 1. 買取再販事業者は中古住宅を買い取る 2. 金融機関は買取再販事業者に住宅取得資金とリフォーム資金を融資 3. 金融機関は住宅金融支援機構と住宅融資保険契約を締結 4. 買取再販事業者は買い取った中古住宅をリフォームして売却(ローン返済) ※1~3は同時進行 住宅ローンの「フラット35」を提供している住宅金融支援機構では、中古住宅の流通およびリフォーム市場の活性化に取り組んでいます。その取り組みの一環として、平成28年度から買取再販事業者向けのローンを、住宅融資保険の付保対象に追加しました。 住宅融資保険とは、民間金融機関のローンについて、ローン利用者から返済が予定どおり行われず、債務不履行となった場合に、住宅金融支援機構が民間金融機関の損害を補填する保険のことです。買取再販ローンが住宅融資保険の対象になったことで、民間金融機関は買取再販を行う不動産事業者に対して融資しやすくなりました。買取再販ローンを利用すれば、不動産事業者は、買取再販に必要な資金をまとめて調達することが可能です。また、買取再販事業者が中古住宅をリフォームして売却する際に、住宅購入者がフラット35を利用する場合は、住宅の性能が一定の要件に該当する場合は金利引き下げが適用されます。 買取再販ローンのメリット 買取再販ローンのメリットは以下2つです。 ● 魅力的な金利で融資を受けられる ● 買取再販に必要な資金が一括融資される 買取再販ローンは、魅力的な金利で融資を受けられます。金融機関によって適用金利は異なりますが、年率2%前後の金利が適用されることが多いです。一般的な不動産担保ローンに比べて低金利で資金調達できるので、返済時の金利負担を軽減できます。 また、買取再販ローンでは、買取再販に必要な資金が一括融資されるのもメリットのひとつです。買取再販ローンを利用すれば、中古住宅の仕入資金やリフォーム工事費用などをまとめて調達できます。事務取扱手数料などは準備しなくてはなりませんが、必要資金のほとんどを融資でまかなうことができます。 買取再販ローンのデメリット 買取再販ローンは金利が比較的低く、必要資金が一括融資される一方で、以下のようなデメリットもあります。 ● 融資実行までに時間がかかる ● 利用者が特定の不動産事業者に限定される 買取再販ローンは、融資実行までに時間がかかります。買取再販ローンでは金融機関の審査に加えて、住宅金融支援機構の審査も追加されます。必要書類をすべて準備してから最短でも10営業日程度はかかるので、スケジュールに余裕をもって手続きをすることが大切です。 買取再販ローンは、利用者が特定の不動産事業者に限定されるのもデメリットです。買取再販ローンの対象になるには、「住宅関連事業の業歴が法人で1年以上」「宅地建物取引業免許の所有」といった条件を満たさなくてはなりません。また、融資金額や担保物件の要件についても、通常の不動産担保ローンに比べて細かく設定されています。たとえば、融資金額については、1事業者あたりの上限額が設定されており、他の金融機関で住宅融資保険付の借入残高がある場合は、その残高も合わせて融資金額が設定されます。また、担保物件については「リフォームが必要な中古住宅」「リフォーム工事後において新耐震基準を満たす」「住宅融資保険の付保承認が必要」といった要件があります。これらの条件・要件を満たさないと、買取再販ローンは利用できません。 まとめ 買取再販ローンは、融資実行まで時間がかかるデメリットがあります。また、利用者が特定の不動産事業者に限定されるので、特定の要件を満たさなければローンを利用することはできません。しかし、これらのデメリットを考慮しても、低金利で中古住宅の仕入資金やリフォーム工事費用をまとめて調達できるのは大きな魅力です。不動産事業を営んでいて、買取再販ローンの要件をクリアできる可能性があるなら、まずは金融機関に相談してみてはいかがでしょうか。 仮審査( 不動産事業者専用 ) ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 仮審査(不動産事業者用) ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 物件の仕入れは資金確保とネットワークが重要?! ーー不動産事業者インタビューvol.1(1) ひとくちに不動産業といっても、さまざまな事業分野があります。その中でも、不動産の物件の仕入れというのは、もっとも基本的かつ重要な業務といえるでしょう。どうすれば優良な物件を入手することができ...
自分だけでなく、家族がやりたいことを実現するために、急にまとまった資金が必要になることはよくあることでしょう。そんな時、先に住宅ローンの完済などへ充当してしまって手持ち資金が少なく、悩む方も多くみかけます。 この記事では、退職金で住宅ローンを完済した後に、家族を応援するために資金を捻出したいという66歳のFさんの相談事例をご紹介します。 [ご相談者 Fさん] 66歳男性 退職後アルバイト。配偶者を亡くし、一人娘(独身)が近所に住む。 自宅はマンション。昨年、退職金で住宅ローンを完済したので、手元の預貯金が少ない。 娘が知人のカフェを引き継ぎ、室内を一部リニューアルしたいと資金の相談を持ちかけてきた。5~6年後には返してくれるようだが、今、資金の余裕がなくどうしたらいいか? (1)自宅に住むのは変わらずお金を生み出す更なる方法 >不動産担保ローンの概要についてはこちら >リースバックの概要についてはこちら Fさん: 昨年、退職金で住宅ローンを完済したので、手元の預貯金はかなり減ってしまいました。それでも、アルバイトをしながら、自分の老後のことは何とかできるようにと思ってがんばっています。 FP吹田:住宅ローンを完済されたのですね。アルバイトなどお仕事をされて収入を得続けられることは、経済面だけでなく、人との関わりや生きがいなどにもつながっていく大切なことだと思います。 Fさん: はい、家にじっとしているよりは、よほど充実しています。実は、一人娘がいるのですが、知人から譲り受けたカフェのリニューアル資金を貸してもらえないかと相談を持ちかけられました。5年前に亡くなった妻とともに可愛いがってきた娘なので、なんとか援助したいのですが、手元の資金は少なく、悩んでいます。 FP吹田:なるほど。お嬢様からはどのくらいの資金で、返済についても何かおっしゃっていましたか? Fさん: はい、500万円~600万円くらいの予算らしく、毎年100万円くらいずつ返すと言われています。実は、娘は証券会社に勤めていた経験もあるので、お金の管理はちゃんとできる方だと思います。 FP吹田:しっかりしているお嬢様ですね。金融機関にお勤めでしたら、銀行からの借入は、審査が厳しく、無担保だと金利が高いのもご存じなのでしょうね。Fさんは、援助して応援したいと思っていらっしゃるのですよね。 Fさん: はい、そうです。今、担保とおっしゃいましたが、せっかく住宅ローンを完済したのだし、自宅を担保にしても住み続けながらお金を捻出する方法ってあるのでしょうか? FP吹田:はい、いくつかあります。実は、先日、不動産を担保に年金形式で分割借入をしていくリバースモーゲージに関するご相談もあったのですが(詳細はこちらの記事参照「不動産担保ローンとリバースモーゲージ、違いを知って賢く使い分けよう!」)Fさんはまとまった資金なので、他の方法がいいでしょう。ご自宅に住み続けながら、ご自宅を活用して資金を生みだす方法として、不動産担保ローンとリースバックという方法があります。 (2)不動産担保ローンとリースバックの違いは? Fさん: 不動産担保ローンはイメージがわきますが、リースバックって何ですか? FP吹田:リースバックというのは、不動産の売却と賃貸の組み合わせで、不動産業者に自宅などの不動産を売却するのですが、そのまま賃貸するというものです。一方、イメージしやすいとおっしゃった不動産担保ローンは、不動産を担保にまとまったお金を借りることです。両方とも特に引越しなども不要で住み続けられるという点は似ていますね。 Fさん: では、違うのはどんなことでしょうか? FP吹田:決定的に違うのは、所有権です。不動産担保ローンは、抵当権を設定はしますが、所有権は自分や家族など現状と変わりません、一方、リースバックは、売却をするので、所有権は一旦買い取った不動産業者に移ります。その不動産業者と、そのまま賃貸契約をするわけです。 Fさん: 引越しなどはしなくても、権利が変わっているんですね。所有権にこだわるかどうかが一つ目の鍵ですね。 FP吹田:所有権を手放すということは、精神的に寂しく感じる方もいらっしゃいますが、維持費の負担、例えば固定資産税の納税義務や地震や災害での修復などの重荷から解放されるとも言えます。 Fさん: 確かにそうですね。他に、返済などの今後については、どのような違いが出ますでしょうか? FP吹田:リースバックは、家賃を支払い、将来、資金ができたら買い戻すこともできます。一方、不動産担保ローンは、借入期間中は借入元本と利息の返済をしていきます。 Fさん: なるほど。今の自分だとリースバックで家賃を払ったり、将来買い戻したりするのは資金的に難しそうです。でも、ローンだと、昨年終わったはずが、また始まるわけですね。 FP吹田:とはいえ、不動産担保ローンの実際の負担は、予算では500万円~600万円という借入金額ですし、何年間借りるかという返済期間によって全然変わってきますよ。それに、不動産担保ローンはFさんのお嬢様が借りる形にする方法もありますよ。 (3)利用者の生活スタイルや性格・志向によって使い分けできる Fさん:え?私がローンを組まなくても、娘の名前で不動産担保ローンを契約できるのですか!それなら、娘が借入希望額や返済期間を決められるので、スッキリするような気がします。たぶん私への負い目を感じることも少なくてすむでしょうし。 FP吹田:そうですね。以下に比較一覧を作成しましたが、基本的にローンが嫌いな方、所有権が変わっても平気な方、物件も共有名義などでなく自分で決められるという方は、リースバックを好まれる傾向が強いようです。 Fさん: なるほど。所有権の変更で、ふと思い出したのですが、うちは小規模なマンションなので、管理組合の理事がよく回ってきます。来年くらいに順番だからお願いねと打診があったのを思い出しました。これは所有権の有無によって、理事を受けれるかどうか影響も出てきますよね。みんなからあれ?って思われてしまいそうで、ちょっと心配です。 FP吹田:マンション内でコミュニティができていて、皆さんよくお話しされる関係なのですね。理事の人事を巡って詮索されたくない場合は、所有権が変わらない状態で、担保評価の範囲内で借入をして返済をしていく不動産担保ローンのほうが、使いやすいかもしれませんね。お嬢様なら、返済計画もしっかり考えていそうでしょうし、お話しされてはいかがでしょうか? Fさん: わかりました。話してみます。それぞれの仕組みや特徴の違いがわかったので、私も娘も納得できると思います。 不動産担保ローンとリースバックの主な特徴 不動産担保ローンリースバック 仕組み不動産を担保にした借入れ不動産の売却と賃貸の組み合わせ 所有権の変更なしあり 月々の負担額借入元本返済と利息家賃 取引後返済できれば、不動産はそのまま。返済できない場合は、担保不動産を売却。そのまま賃貸として住み続けられる。後で買い戻すことも可能。 資金使途の制限少ないなし 契約当事者所有者本人のほか、家族でも可能。所有&居住者(共有していれば名義人全員) まとめ 住み続けながら資金を捻出する方法として、 不動産担保ローンが向いているタイプは? ・返済計画がしっかりできている方 ・所有権が変わるのが気になる方(近所付き合いやマンション管理組合の理事など) ・本人や家族が不動産を持ち、ローンへの抵抗が少ない方 リースバックが向いているタイプは? ・借金が嫌いな方 ・所有権を手放しても平気な方(固定資産税や維持費など負担が軽くていいなど) ・不動産が共有名義でなく、自分で意思決定しやすい方 不動産担保ローンならSBIエステートファイナンス リースバックならSBIスマイル リースバックの商品詳細はこちら さっそく仮査定を申し込む SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定は無料で受け付けています。※SBIスマイルのHPに遷移します。 さっそく仮査定を申し込む SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定は無料で受け付けています。 ※SBIスマイルのHPに遷移します。 執筆者紹介 吹田 朝子( Tomoko Suita ) 人とお金の理想的な関係を追求するお金のメンタリスト®・1級ファイナンシャルプランニング技能士・宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・キャリアコンサルタント (社)円流塾代表理事、ぜにわらい協会会長、STコンサルティング(有)代表取締役社長 一橋大学卒業後、金融機関の主計部を経て1994年より独立。中小企業経営者から個人まで相談実績は3,300件以上。自己実現のためのお金の使い方や増やし方のサポートに力を入れている。 <主な著書> 「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」スタンダーズ社・「小学生でもわかる!お金にまつわるそもそも事典」C&R研究所・「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」C&R研究所 など 次に読むべき記事 リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 リースバックとは「セール・リースバック」や「セール・アンド・リースバック」とも称される取引手法で、所有している資産を第三者に売却し、リース契約を締結することで、それまでと同じ資産を利用し続け... 次に読むべき記事 リースバックと不動産担保ローンの違いとは リースバックと不動産担保ローンは、不動産を活用して資金調達するところは同じですが、特徴や仕組みには違いがあります。両者の違いを理解しておくことで、ご自身のライフスタイルや考え方に合わせて最適...
自宅を購入するとき、住宅ローンを利用する人が多いでしょう。しかし、外国人や自営業の人など、民間の金融機関の住宅ローンを申し込んだものの、審査に落ちた人もいるかもしれません。そのような時に、不動産担保ローンなら利用できる可能性があります。 この記事では、不動産担保ローンと住宅ローンの違いを解説します。 不動産担保ローンとは 不動産担保ローンとは、不動産を担保にして、お金を借り入れることができる商品です。所有している不動産を担保にすることで、さまざまな資金使途に利用できます。また、自身が所有していない不動産を担保にした、不動産購入資金のための担保とすることも可能です。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説 不動産担保ローンよりも住宅ローンの方がよく知られていますが、住宅ローンも不動産を担保に融資を受けるローン商品であり、不動産担保ローンの一種です。つまり、購入予定の不動産を担保にした、不動産購入に係る資金使途のみに利用される不動産担保ローンを住宅ローンと言います。 不動産担保ローンと住宅ローンの違い ここでは、「不動産担保ローン」として提供されている商品と、「住宅ローン」として提供されている商品の違いを解説します。これらの商品は、主に以下のような項目で異なります。 資金使途 担保不動産 金利 その他 資金使途 前述のとおり、住宅ローンはあくまで不動産購入に係る土地や建物の購入や建築、改築などに資金使途が限定されています。一方で、不動産担保ローンは、生活資金や納税資金、事業資金にも利用できるフリーローンです。これらの特徴から、不動産担保ローンは個人に限らず、法人でも利用できます。 担保不動産 住宅ローンは購入する不動産を担保に借り入れを行うのが一般的です。一方で、不動産担保ローンは購入する不動産の他、自身が所有する不動産や親族所有の不動産でも担保にすることができます。担保不動産は金融機関によって異なるため、詳細は問い合わせ時に確認するようにしましょう。 金利 2023年12月現在、一般的な住宅ローンで最も低い水準の金利は、0.30%程度から提供されています。一方で、不動産担保ローンは住宅ローンに比べると金利が高く、下限で2.00%前後から上限7.00%程度まで幅広く提供されています。この理由は、資金使途が自由である点からも、住宅ローンというより無担保ローンに性質が近く、金融機関にとってのリスクが高いのも一因です。 その他 上記で挙げた項目以外にも、借入限度額や返済期間、団体信用生命保険の有無なども異なります。あくまで一般的な商品による違いであるため、取扱金融機関によってはその限りではありません。詳細は、金融機関に問い合わせてみましょう。 住宅ローンではなく不動産担保ローンを利用する場面 前述のとおり、自宅購入のためにローンを利用する場合は、住宅ローンを利用したほうがいいでしょう。一方で、以下のような場合には不動産担保ローンを検討してみるといいかもしれません。 自宅購入以外の目的で融資を受ける場合 自宅以外の不動産を担保に融資を受ける場合 住宅ローンの審査で落ちてしまった場合 自宅購入以外の目的で融資を受ける場合 不動産担保ローンを利用する主な目的に、生活資金や教育資金、事業資金の借り入れが挙げられます。そのほかにも、既存の借り入れの借り換えなども目的となるでしょう。前述のとおり、住宅ローンはあくまで住宅購入に関する使途に限定されるため、これらの目的に利用することはできません。一方で、不動産担保ローンでは、所有不動産を担保にして、融資を受けることができます。 自宅以外の不動産を担保に融資を受ける場合 住宅ローンでは、資金使途の他、担保とする不動産の制限もあります。例えば、親などの親族が所有する不動産や、投資用のアパートなどの不動産は、担保とすることが難しいでしょう。一方で、不動産担保ローンでは、金融機関によって詳細は異なるものの、担保として認められる可能性があります。 住宅ローンの審査で落ちてしまった場合 どうしても欲しい物件があっても、与信面や健康面の問題で住宅ローンの審査に落ちてしまうこともあるでしょう。不動産担保ローンでも、与信面の審査はありますが、物件の評価に応じて総合的に判断してくれることもあります。また、団体信用生命保険への加入不要な不動産担保ローンもあるので、利用できる可能性があります。 まとめ 不動産担保ローンを自己居住の不動産購入目的で利用しようとすると、民間の金融機関で提供されている住宅ローンよりも金利は高いでしょう。一方で、資金使途や担保不動産、審査による問題から、不動産担保ローンが有効な解決手段になるかもしれません。このような問題がある場合など、不動産担保ローンを検討するといいかもしれません。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住宅ローン返済中でも不動産担保ローンは使える?借り入れ可能な人の条件 「まだ住宅ローンが残っているけど、家を担保にしてお金は借りられるのかな…」そんな疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。実は、住宅ローン返済中でも条件を満たせば不動産担保ローンを...
不動産担保ローンとカードローンは、資金が必要な際に利用できるローンという点では同じですが、特徴やメリット、デメリットは異なります。それぞれの違いを理解し、不動産担保ローンとカードローンを適切に使い分けることが大切です。 この記事では、不動産担保ローンとカードローンの違いについて解説します。なお、カードローンには不動産担保ローンのカード型もありますが、この記事でのカードローンは一般的な無担保カードローンと定義します。 不動産担保ローンとカードローンの概要 不動産担保ローンの概要 不動産担保ローンとは、不動産を担保に資金を借りる有担保ローンです。資金使途は原則自由であり、様々な用途で利用することができます。詳しくは、以下の記事で解説しています。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説 カードローンの概要 カードローンとは、利用限度額の範囲なら、銀行やコンビニのATMやインターネットを利用して、何度でも自由に借入や返済ができる無担保ローンのことです。銀行や消費者金融が提供しており、入会金や年会費は必要ありません。資金の利用目的は原則自由で、旅行やレジャー、冠婚葬祭、美容代など、さまざまな用途に利用できます。 ただし、サービスによっては、事業性資金には利用できないこともあります。契約できる年齢には制限があり、20歳以上の方が対象です。また、高齢者の年齢制限は、60代後半までが上限となることがほとんどです。カードローンの中には、初めて利用する方を対象に無利息期間を設定しているサービスもあります。 カードローンのメリット カードローンを利用するメリットとして、以下のものが挙げられます。 審査が早い カードローンは審査が早く、短時間で資金調達が可能です。カードローンは無担保なので、担保について審査する時間を省略できるからです。中には「最短30分で審査結果を回答できる」とうたっているカードローンもあります。申し込みはインターネットで完結するので、店舗に訪問して手続きする必要もありません。 保証人不要 ローンを利用する場合は、保証人が必要なケースもあります。家族や友人に保証人をお願いすることを心苦しいと感じる方は多いのではないでしょうか。また、保証人が思うように見つからないと、保証人を探すのに大変な労力がかかります。カードローンは保証人不要で利用でき、限度額の範囲内であれば何度でも自由に借入や返済が可能です。 ATMやインターネットで借入・返済できる ATMやインターネットで借入や返済できるのも、カードローンのメリットのひとつです。急にお金が必要になった場合でも、近くの銀行やコンビニATMですぐに借りることができます。時間帯によっては、ATM手数料0円で利用可能です。また、スマホやパソコンから手続きすれば、登録口座に振込してもらえます。 カードローンのデメリット カードローンは先ほど紹介したメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。 金利が高い カードローンの金利は一般的に4%~15%で、さらに高い金利が適用されることもあります。カードローンは担保という保証がないため、利用者が返済できなくなった場合のリスクに備えて金利は高めに設定されています。借入金利が高いと利息の負担額が大きくなり、返済総額が増えてしまいます。 返済期間が長期化しやすい カードローンは、返済期間が長期化しやすいのもデメリットです。ほとんどのカードローンは、「定額(定率)リボルビング方式」と呼ばれる返済方式を採用しており、借入残高に応じて決めた固定金額または借入残高の一定割合を毎月返済していきます。リボルビング方式は、毎月の返済額は少額で済みますが、返済額に占める利息の割合が大きいのが特徴です。元本の返済がなかなか進まないため、返済期間が長期化しやすくなります。 不動産担保ローンとカードローンの違い カードローンと比較した不動産担保ローンのメリット 不動産担保ローンは、カードローンよりも低金利で借入できます。カードローン金利は一般的に4%~15%ですが、不動産担保ローンは一般的に2%~10%程度です。 また、カードローンの限度額は最大1,000万円程度ですが、不動産担保ローンなら、担保とする不動産の価値によっては1億円以上の資金を借りることも可能です。さらに不動産担保ローンは返済期間を10年~30年と長期に設定することができ、カードローンに比べて長期間の借入がしやすいメリットもあります。 カードローンと比較した不動産担保ローンのデメリット 不動産担保ローンは、担保となる不動産の価値を評価する必要があるため、融資に時間がかかります。カードローンのように短時間で審査終了、即日融資というわけにはいきません。 また、カードローンは通常、手数料は発生しませんが、不動産担保ローンでは事務手数料、不動産鑑定費用、抵当権の登記費用などがかかります。借りたお金を返済できなくなると、担保にした不動産を処分されてしまうのもデメリットです。 不動産担保ローンとカードローンをどう使い分ける? 不動産担保ローンを検討した方がいい場合 担保にできる不動産を保有していることが前提ですが、まとまった資金を低金利で調達したい場合は不動産担保ローンを検討するといいでしょう。カードローンと比較して金利が低く、返済期間を長く設定できるため、月々の返済額も安く済みます。事業の運転資金や開業資金など、まとまったお金を借りて長期に渡って返済していきたい場合は、不動産担保ローンが向いているといえます。 カードローンを検討した方がいい場合 カードローンは急に資金が必要な場合や必要な金額が少額な場合は、即日融資が可能で借入時の手数料がかからないカードローンを検討するといいでしょう。ただし、不動産担保ローンと比較して高金利なので、返済が長期化しないように注意が必要です。医療費や冠婚葬祭費用など、急に必要となった費用を一時的に借りて短期間で返済する場合は、カードローンが向いているといえます。 まとめ カードローンは気軽に利用できますが、金利が高いので、長期間にわたって利用すると利息の負担額が大きくなってしまいます。カードローンはどうしても資金が必要なときに短期間だけ利用し、なるべく早く返済することを心掛けましょう。 一方で、担保にできる不動産を保有している人がまとまった資金を低金利で調達したい場合は、不動産担保ローンがおすすめです。不動産担保ローンとカードローンそれぞれのメリットとデメリットを比較し、ご自身の状況に合わせてどちらを利用するか判断しましょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 即日融資可能な不動産担保ローンの注意点を解説!最短で資金調達するには? 不動産担保ローンを提供している金融機関の中には、即日融資に対応しているところもあります。持ち家の人で至急まとまった資金が必要になれば、不動産担保ローンで即日融資を受けることを考えるかもしれま...
「まだ住宅ローンが残っているけど、家を担保にしてお金は借りられるのかな…」そんな疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。実は、住宅ローン返済中でも条件を満たせば不動産担保ローンを利用できる可能性があります。 この記事では、住宅ローンの残債がある状態で不動産担保ローンを借りられる人の特徴や借入可能額の仕組み、審査のポイントをわかりやすく解説します。 不動産担保ローンの借入可能額は「不動産評価額」と「住宅ローン残高」で決まる 不動産担保ローンを検討する際、まず知っておきたいのが「いくらまで借りられるのか」という点です。借入可能額は、担保にする不動産の評価額と、すでに残っている住宅ローンの残高によって大きく左右されます。 不動産の購入価格と評価額にはギャップがある 不動産は購入した瞬間から、評価額が購入価格よりも低く見積もられることが一般的です。たとえば5,000万円で購入した物件でも、金融機関が評価する担保価値は4,500万円程度とされるケースがあります。 つまり、購入直後の住宅ローン残高は、不動産評価額を上回っている可能性が高いのです。そのため、住宅ローンを組んだばかりのタイミングでは、不動産担保ローンを借りるのが難しいこともあります。 借入可能額は評価額の60〜80%が目安 不動産担保ローンの借入可能額は、一般的に不動産評価額の60%〜80%の範囲で設定されます。これは、万が一返済が滞った場合に備えて、金融機関がリスクヘッジを行っているためです。 たとえば不動産評価額4,500万円の物件なら、借入可能額は2,700万円〜3,600万円程度が目安となります。住宅ローンの残高がこの範囲を下回っていれば、追加で借りられる可能性が出てきます。 なお、この割合は金融機関や物件の種類(戸建て・マンション・土地など)によっても異なるため、事前に確認しておくと安心です。 住宅ローンが残っている場合は「第二抵当権」がカギ 住宅ローンが残っている不動産には、すでに第一抵当権が設定されています。この状態で不動産担保ローンを借りるには、住宅ローンの残高を差し引いた「担保余力」が必要です。この担保余力とは、「評価額の中で、すでに設定されている住宅ローン残高を差し引いた残りの価値」のことを指します。 たとえば、評価額3,600万円の物件に対して住宅ローン残高が2,000万円であれば、差額の1,600万円が担保余力となります。この担保余力をもとに、第二抵当権を設定して不動産担保ローンを組むことが可能です。 なお、金融機関によっては、担保余力があったとしても第二抵当権であるという理由で取り扱いができないこともあります。詳細は各金融機関に問い合わせてみるといいでしょう。 借入可能額があっても、審査次第で借りられないこともある 注意したいのは、評価額や担保余力が十分にあっても、必ずしもその金額を借りられるわけではないという点です。不動産担保ローンでは、以下の2つの審査が行われます。 不動産の担保価値(評価額・抵当権の状況) 申込者の信用力(年収・返済比率・信用情報など) 借入可能額はあくまで不動産評価から見た融資額の上限であり、実際の融資額は与信も含めた審査結果によって総合的に決まることを理解しておきましょう。審査に通るかどうかは個別の状況によって異なるため、まずは事前相談や仮審査を受けてみるのがおすすめです。 関連記事はこちら不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイント 住宅ローンが残っていても不動産担保ローンを借りられる人の特徴 住宅ローンが残っていても、不動産担保ローンを利用できる可能性はあります。以下のような条件に当てはまる人は、借り入れがしやすい傾向があります。 頭金を多く支払って不動産を購入した人 頭金を多く支払って不動産を購入した場合、住宅ローンの残高が少なくなるため、担保余力が生まれやすくなります。 たとえば、5,000万円の物件を購入する際に、2,500万円の頭金を支払ったとします。この場合、住宅ローンの残高は2,500万円です。物件の評価額が購入価格の90%(4,500万円)とされ、さらにその80%までが借入可能額とすると、借りられる上限は3,600万円になります。 この借入可能額(3,600万円)から住宅ローン残高(2,500万円)を差し引いた1,100万円が「担保余力」となり、その範囲内で不動産担保ローンを利用できる可能性がある、というわけです。 繰り上げ返済をしている人 繰り上げ返済により住宅ローンの残高が早く減れば、担保余力が生まれやすくなります。購入当初は担保余力がなくても、繰り上げ返済によって残高が借入可能額を下回れば、不動産担保ローンを利用できる可能性が高まります。 不動産価格が安い時期に購入した人 不動産価格が下落していた時期に購入した物件は、後に価格が上昇すれば評価額が購入価格を上回ることがあります。評価額が上がれば担保余力が生まれ、不動産担保ローンを利用できる可能性が高まります。 返済期間が短く、残高の減りが早い人 返済期間が短い住宅ローンは、元本の減りが早く、残高が早期に減少します。たとえば、20年ローンであれば35年ローンより2倍近いスピードで残高が減るため、不動産評価額が住宅ローン残高を上回るタイミングが早くなり、不動産担保ローンを利用できる可能性が高まります。 まとめ 住宅ローンが残っていても、不動産担保ローンを利用できる可能性は十分にあります。 ポイントは、不動産の評価額と住宅ローン残高のバランス、そして担保余力があるかどうかです。 特に以下のようなケースでは、借り入れがしやすくなります。 頭金を多く入れて購入した場合 繰り上げ返済で残高を減らしている場合 不動産価格が上昇している場合 返済期間が短く、残高の減りが早い場合 不動産担保ローンは、資金調達の選択肢として有効ですが、審査には不動産の価値だけでなく、申込者の信用力も見られます。自分は借りられるのか?と感じた方は、まずは金融機関に相談し、仮審査をしてみるといいでしょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローンの「仮審査」とは? 不動産担保ローンを提供している金融機関のホームページには、よく「仮審査」や「事前審査」という言葉が使われています(以後この記事では「仮審査」と呼称します)。住宅ローンを利用したことがある人な...
「預貯金が十分にはなく、まとまったお金が用意できない」といった悩みを持つことがあるかもしれません。そんな時、持ち家であれば、不動産を活かしてお金を捻出できないか?と思う人もいるのではないでしょうか?例えば、親の介護施設などの費用を捻出する際に、実家の資産価値を活かせないか相談にくる人もいます。 この記事では、1人暮らしの親の介護に関わる費用に悩む62歳男性の事例をご紹介します。 [ ご相談者 Hさん ] 62歳男性 会社員(配偶者あり) 子は独立 1人暮らしの母親(88歳)の足腰が弱くなり、車椅子が必要になったことで(要介護3)、介護施設の入居を考えている。 Hさんには弟がいるが、海外にいるので介護面でほとんど協力は得られない。 (1)リバースモーゲージの特徴と注意点 Hさん: 先日、母が米寿を迎えたのですが、最近足腰が弱まっていたからか転倒し、車椅子が必要になってしまいました。実家は昔ながらの二階建ての一軒家でバリアフリーではなく、介護施設の方が安心かと探しています。ただ、両親も自分も、自由に使える現預金があまり手元にないので、その費用をどう捻出しようかと考えています。調べていたら「リバースモーゲージ」を知ったのですが、どうなんでしょうか? FP吹田:リバースモーゲージは、自宅を担保にして融資を受けられる商品です。資金使途は生活費などにも利用でき、介護施設の入居費用にも使えますね。Hさんのケースであれば、お母様所有のご実家を担保に年金形式でお金を借りられます。ちなみに、リバースモーゲージを考えられた理由はなぜでしょうか? Hさん: 家を売るような話は、到底母に言えないですし、まずは今の住まいを維持した状態で、資金を捻出できる方法はないかと調べていたからです。 FP吹田:なるほど。リバースモーゲージは、ご実家を担保にはしますが、所有権を手放すわけではないので、今回のケースでは選択肢の一つになりそうですね。なお、年金形式で融資を受けられる目安は、担保評価額の約半分程度までが一般的と言われています。 Hさん: え?担保評価額の半分程度なのですか?もっと多いかと思ってました。 FP吹田:リバースモーゲージは、そもそも高齢者向けの商品である上に、死ぬまで利息のみの返済で長期間の融資になるので、評価目一杯の融資は難しく、担保評価に対して保守的にならざるを得ません。しかも、担保評価額は毎年見直されるので、評価額の減少で利用可能額が下がることもあり得ます。その場合、利用可能額を超えてしまった分は一括返済となるので注意が必要です。 Hさん: なるほど。うちは一戸建てとはいえ、そんなに評価額は高くないかもしれないですね。弟は海外にいるので、あまり相談できないですし。 FP吹田:推定相続人はHさんと弟さんのお2人ですか?というのも、リバースモーゲージは、ご実家の所有者であるお母様がお亡くなりになられた後に、売却して一括返済するというのが一般的なので、相続人全員の同意も必要になるのです。 Hさん: そうでしたか。母に万一の際の相続人は僕たち兄弟2人です。リバースモーゲージは、毎月の負担が利息だけと知っていいなと思ったのですが、実際は、借入可能額や相続人同意の件など、ちょっと厳しいかもしれません。他に売却せずにできる方法は何があるでしょうか? (2)不動産担保ローンの特徴とデメリットの解消法 FP吹田:不動産を担保に融資を受けるという点で、共通している不動産担保ローンという選択肢もあります。リバースモーゲージと不動産担保ローンの特徴を一覧にしたので、こちらを見てみましょう。 不動産担保ローンとリバースモーゲージの主な特徴 不動産担保ローンリバースモーゲージ 仕組み一括借入れと返済融資上限枠内の分割借入れ(年金形式) 担保不動産不動産 借入可能目安物件の評価額の6割~8割程度物件の評価額(毎年見直し)の5割程度 所有権の変更なしなし 最終形返済できれば、不動産はそのまま。返済できない場合は、担保不動産を売却。死亡時に不動産を売却して元本一括返済(一部例外あり) 月々の負担元本と利息毎月利息分のみ負担 金利変動金利、固定金利変動金利が多い 相続人の同意不要必要 年齢・所得・資金使途の制限少ないある(高齢者向け) Hさん: 不動産担保ローンだと、担保物件の評価額の6割~8割程度までみてもらえるのですね。 FP吹田:はい、個別事情による部分もありますが、一般的には6割~8割程度と言われており、担保物件についても一戸建てのみでなく、マンションや借地権付建物含め、利用できる対象も幅広いと言えます。 Hさん: なるほど。毎月の返済は、元本と利息ですよね。そこがちょっと不安だったりします。 FP吹田:確かに、毎月の返済が重荷になることを心配される方も多いでしょう。その場合の対策として、返済期間が最長で25年程度まで可能なところを利用し、例えば、お母様の寿命を全うできるような期間にすれば、最後に売却して清算ということもしやすいのではないでしょうか? Hさん: なるほど。期間を長めに設計してもらうのですね。入居金が1,000万円くらいとして、仮に1,300万円くらい借りるとどの程度の負担になるのでしょうか? FP吹田:そうですね、金利4%、返済期間25年の元利均等返済方式で計算すると、毎月約6.8万円(初回の内訳は利息分が約4.33万円、元本返済分が約2.52万円)になります。元利均等返済方式なので、徐々に利息の割合が減っていき、元金と同等になるのが7~8年経過(93回目)のようです。 Hさん: そうか、はじめのうちは金利負担の割合が大きいから、仮にリバースモーゲージで利息のみ返済の場合と比べても、2倍に膨らむわけではないのですね。あとは、返済負担を考慮して余裕をもって借入金額を設計してもらえたら有難いですね。母もどこまで長生きするかわかりませんが、この方法なら、海外の弟には手続きなど煩わせることなくできるので、検討してみます。もちろん、弟に一報は入れておきますが。 FP吹田:そうですね。不動産担保ローンは、資金使途も介護などにとどまらず、事業資金、生活資金など幅広く利用できるので、柔軟性は高いといえます。最後にリバースモーゲージと不動産担保ローンそれぞれのメリットとデメリットを整理しておきますので、ご参考ください。 まとめ リバースモーゲージの主なメリット・デメリットは? <メリット> ・高齢でも借りられる ・毎月の返済負担が小さい <デメリット> ・担保評価額の5割程度が借入可能額の上限 ・生きている限り返済が終わらない ・手続きに相続人全員の同意が必要 不動産担保ローンの主なメリット・デメリットは? <メリット> ・年齢や所得制限があまりない ・担保評価額の6割~8割程度が借入可能額の上限 ・相続人の同意は必要ない <デメリット> ・完済時年齢が設定されている ・毎月の返済負担が大きい 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 吹田 朝子( Tomoko Suita ) 人とお金の理想的な関係を追求するお金のメンタリスト®・1級ファイナンシャルプランニング技能士・宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・キャリアコンサルタント (社)円流塾代表理事、ぜにわらい協会会長、STコンサルティング(有)代表取締役社長 一橋大学卒業後、金融機関の主計部を経て1994年より独立。中小企業経営者から個人まで相談実績は3,300件以上。自己実現のためのお金の使い方や増やし方のサポートに力を入れている。 <主な著書> 「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」スタンダーズ社・「小学生でもわかる!お金にまつわるそもそも事典」C&R研究所・「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」C&R研究所 など 次に読むべき記事 住宅ローン返済中でも不動産担保ローンは使える?借り入れ可能な人の条件 「まだ住宅ローンが残っているけど、家を担保にしてお金は借りられるのかな…」そんな疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。実は、住宅ローン返済中でも条件を満たせば不動産担保ローンを...
リースバックと不動産担保ローンは、不動産を活用して資金調達するところは同じですが、特徴や仕組みには違いがあります。両者の違いを理解しておくことで、ご自身のライフスタイルや考え方に合わせて最適な方法を選択できます。 この記事では、不動産担保ローンとリースバックの違いについて詳しく解説します。 リースバックと不動産担保ローンの概要 リースバックの概要 リースバックとは、不動産売買と賃貸借契約が一体となったサービスです。自宅を売却する場合、通常であれば新たな住まいを探す必要がありますが、リースバックであれば自宅を売却した後もそのまま住み続けられます。また、リースバックは資金使途に制限がなく、老後資金や教育費、事業資金の確保など幅広く活用できます。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 不動産担保ローンの概要 不動産担保ローンとは、不動産を担保に資金を借りることができるローン商品です。自宅を担保に資金を調達する場合でも、自宅に住み続けながら資金を調達することができます。また、不動産担保ローンも資金使途は原則自由であり、幅広く活用できます。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?仕組みやメリット・デメリットを徹底解説 リースバックと不動産担保ローンの共通点と違い まず、リースバックと不動産担保ローンは「不動産を活用した資金調達方法」という点では共通しています。しかし、リースバックは不動産売買+賃貸借契約、不動産担保ローンは融資であり、そもそもの仕組みが異なります。 具体的には以下のような違いがあります。 所有権移転の有無 資金の受け取り方(売却と融資) 月々の支払い(家賃と利息) リースバックは、自宅を売却して賃貸に切り替えた時点で所有権は運営会社に移転します。それに対して、不動産担保ローンはあくまで自宅を担保にするだけなので、自宅の所有権は移転しません。 また、リースバックは売却資金を受け取り、その後は毎月家賃を払うのに対し、不動産担保ローンは融資を受け、毎月返済を行う点で異なります。 不動産担保ローンと比較したリースバックのメリット 不動産担保ローンと比較したリースバックのメリットは以下の2つです。 ①審査がない リースバックは不動産売却なので、基本的に年齢や年収などの条件で断られることはありません。持ち家さえあれば利用しやすい商品といえるでしょう。 一方で不動産担保ローンは融資なので、年齢や年収などを審査されます。不動産担保ローンは不動産評価を重視するローンではあるものの、リースバックと比較すると条件次第では利用できない恐れもあるでしょう。 ②持ち家リスクがない リースバックは自宅を売却するため、普段の維持管理や災害などによる被害の修繕にかかる費用は全て運営会社が負担してくれます。 一方で不動産担保ローンは利用した後も自宅を持ち家として保有し続けることになるため、上述の費用は自己負担となります。 不動産担保ローンと比較したリースバックのデメリット 不動産担保ローンと比較したリースバックのデメリットは以下の2つです。 ①必ずしも住み続けられるとは限らない リースバックは賃貸借契約の種類によっては、例え家賃を滞納していなかったとしても退去しなければならなくなる恐れがあります。 一方で不動産担保ローンはあくまで自宅を担保にしているだけなので、返済を滞納しない限りは自宅に住み続けられます。 関連記事はこちらリースバックの退去について解説!強制退去させられることはある? ②リフォームができなくなる リースバックを利用すると自宅の所有権はリースバックの運営会社に移転してしまいます。そのため、リースバックを利用した時点で自由にリフォームをすることができなくなります。 一方で不動産担保ローンは自宅の所有権を手放すわけではないので、利用した後も引き続き自由にリフォームをすることができます。 リースバックと不動産担保ローン、どちらを利用すべき? リースバックは不動産を売却するため、売却金額に対して必要資金が過小な場合はあまり適していません。例えば、不動産評価額が5,000万円のとき、リースバックの売却金額は3,500万円前後が目安です。仮に必要資金が1,000万円である場合には、必要以上の手元資金を確保したことになります。また、売却価格だけに着目すると、取引時点で損失を確定したという見方もできます。 一方で不動産担保ローンの場合は、自宅の不動産評価額をもとに金融機関が定めた借入限度額までであれば、自由に借入額を設定できます。そのため、必要な金額がリースバックによって得られる資金と比較して明らかに小さい場合は、不動産担保ローンの利用を検討すべきと言えます。 ある程度まとまった資金が必要なら リースバックの売却金額は一般的に7割前後と言われていますが、運営会社によっては8割近くになることもあります。さらに、不動産担保ローンの担保掛目は、一般的に6割~8割程度と言われています。 つまり、リースバックの売却金額と不動産担保ローンの融資限度額は同程度、もしくは運営会社や金融機関によって異なるものの、リースバックの方がまとまった金額を調達できることもあります。 また、不動産担保ローンは一般的に、融資希望額が大きくなるにつれて、審査が通りにくくなります。このような状況では、同一商品、サービス内での検討だけでなく、それぞれのサービス間でも比較検討する価値があると言えるでしょう。 まとめ リースバックは売却と賃貸を組み合わせた取引であり、融資である不動産担保ローンとはそもそもの仕組みが異なります。両者の違いを正しく理解したうえで、ライフスタイルや考え方に合わせてどちらを利用するかを検討しましょう。 さっそく仮査定を申し込む SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定は無料で受け付けています。※SBIスマイルのHPに遷移します。 さっそく仮査定を申し込む SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定は無料で受け付けています。 ※SBIスマイルのHPに遷移します。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 リースバックとリバースモーゲージの違いとは?向いている人の特徴や判断基準を解説 近年、まとまった老後資金を確保する手段として「リースバック」や「リバースモーゲージ」が注目されています。もし、まとまった老後資金の確保を目的として利用を検討する場合には、リースバックとリバー...
「不動産を担保にして資金を借りたいけど、住宅ローンが残っている」「共有名義の不動産でも担保にできる?」そんな疑問をお持ちではありませんか? 不動産担保ローンは、自宅などの不動産を担保にすることで、カードローンやキャッシングなどの無担保ローンに比べて低金利かつ高額な借り入れが可能なローン商品です。事業の運転資金や教育資金、不動産購入資金、納税資金など、資金使途の自由度が高いのも魅力です。 しかし、住宅ローンほど一般的なローン商品ではないため、「仕組みがよくわからない」「審査に通るか不安」と感じる方も多いでしょう。特に、住宅ローンが残っている不動産や、共有名義の物件、信用情報に不安がある場合などは、相談前に知っておきたいポイントがあります。 この記事では、「不動産担保ローンの相談」でよくある5つの質問に、銀行やノンバンクなどの金融機関の審査基準を踏まえてわかりやすく解説します。 Q1. 住宅ローン返済中でも不動産担保ローンは利用できる? A. 条件付きで可能です。 住宅ローンが残っている不動産でも、第二抵当権を設定することで不動産担保ローンを利用できる場合があります。第二抵当とは、すでに住宅ローンなどで第一抵当権が設定されている不動産に対して、後順位で担保権を設定することを指します。 ただし、返済が滞った場合のリスクは高くなるため、金融機関の審査は慎重になり、以下のような条件が重視されます。 担保となる不動産の評価額が高い 住宅ローンの残債が少ない 借入希望額が少ない 返済能力が十分にあると判断される たとえば、あくまで概算になりますが、住宅ローン残高が4,000万円、不動産の評価額が4,500万円だった場合、不動産担保ローンを融資する金融機関は500万円しか回収できる見込みがありません。一方で、同じ評価額の不動産でも住宅ローン残高が2,000万円まで減っていれば、回収できる見込みが2,500万円まで増え、金融機関のリスクは抑えられます。 そのため、住宅ローンの返済がある程度進んでいる場合や、担保評価が高い物件であれば、第二抵当でも前向きに検討されることがあります。 Q2. 本人以外が所有する不動産でも担保にできる? A.条件付きで可能です。 親や配偶者など、第三者が所有する不動産でも、所有者の同意があれば担保にできる場合があります。たとえば、親が所有する土地を担保にして子どもが融資を受けるケースや、法人代表者が自宅を担保にして事業資金を借りるケースなどが該当します。 特に、審査が柔軟なノンバンク系の金融機関では、こうした第三者担保にも対応していることがあります。ただし、以下の点に注意が必要です。 不動産所有者の同意が必要 高齢者の場合、意思能力の確認が行われる 所有者が連帯保証人になるケースもある 不動産を担保にするということは、万が一返済が滞った場合にその不動産が競売にかけられる可能性があるということです。したがって、不動産所有者が契約を理解した上での同意が不可欠です。自己所有の不動産を担保にする際には、事前にしっかりと話し合い、了承を得てから相談するようにしましょう。 Q3. 共有名義の不動産を担保にできる? A. 共有者全員の同意があれば融資を受けられる可能性があります。 夫婦や親子で共有している不動産も、共有者全員が連帯保証人になることで担保にできる可能性があります。たとえば、ペアローンで購入した住宅や、親子リレーローンで取得した不動産などが該当します。 所有権の持分割合にかかわらず、名義人全員の同意が必要です。たとえ1%しか持分がなくても、その人の同意がなければ担保に出すことはできません。 金融機関は、基本的に所有者全員の意思確認と保証を求めるため、事前に所有者間での合意形成が重要です。特に、相続などで複数人が共有している不動産の場合は、話し合いに時間がかかることもあるため、早めの準備がポイントとなります。 Q4. 信用情報に不安があっても借りられる? A.金融機関によっては可能性があります。 過去に延滞や債務整理の経験がある場合、信用情報に「事故情報(いわゆるブラックリスト)」が記録されている可能性があります。これにより、一般的な銀行では融資が難しくなることが多いです。 しかし、不動産担保ローンは与信に加えて不動産の価値が加味されるため、以下のようなケースでは融資の可能性があります。 事故情報の登録期間が終了している 担保評価が高く、リスクが低いと判断される ノンバンクなど、審査基準が異なる金融機関に申し込む 一つの金融機関で断られても、他の選択肢があることを覚えておきましょう。信用情報に不安がある方は、まずは無料相談を活用して、自分の状況に合った金融機関を探すことが大切です。 Q5. 不動産担保ローンの融資上限はいくら? A. 金融機関によって異なりますが、1億円〜10億円程度が目安です。 ただし、実際に借りられる金額は主に以下の要素で決まります。 不動産の評価額(担保価値) 申込者の信用力(収入・年齢・返済実績など) 他の借入状況 金融機関は、担保不動産の売却で融資金を回収できるかを重視するため、評価額を超える融資は基本的に行いません。たとえば、評価額が5,000万円の不動産に対して、融資額はその6〜8割程度に抑えられることが一般的です。 また、法人向けの不動産担保ローンでは、10億円を超える大型融資が可能なケースもあります。個人と法人では審査基準や融資枠が異なるため、目的に応じた相談が必要です。 まとめ:不動産担保ローンの相談は専門家へ 不動産担保ローンは、資金使途が幅広く、無担保ローンよりも有利な条件で借りられる可能性があります。しかし、住宅ローンとの兼ね合いや共有名義、信用情報など、注意すべき点も多くあります。 「自分のケースでも借りられるのか?」と不安な方は、まずは金融機関や専門家に相談してみましょう。無料相談を活用すれば、複数の選択肢を比較しながら、自分に合った最適な方法を見つけることができます。 無料相談してみる SBIエステートファイナンスが不動産担保ローンの疑問にお答えします。 無料相談をしてみる SBIエステートファイナンスが不動産担保ローンの疑問にお答えします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローンを選ぶために比較すべき5つのポイントとは? 不動産担保ローンの利用を検討する場合、どこの金融機関を選ぶかが重要です。しかし、インターネット上では様々な金融機関がおすすめされており、実際に何を基準に金融機関を選べば良いか、分からない人も...
投資用の賃貸アパートおよびマンション向けのアパートローンは、事業用資金の融資という側面が強い、ということを前回述べました。したがって、金融機関は、担保となるアパートやマンションの評価をする際、不動産の担保価値に加えて、不動産賃貸業としての収益性や継続性を判断することになります。 この記事では、アパートローンなど不動産担保ローンによる不動産投資を検討している人に向けて、収益性や事業性についてどんなポイントが審査されるのか、具体的にお話しします。現状、金融機関は、個人に対する新規の投資用不動産向け融資を抑制していますが、前回述べた相続税対策としてのアパートローンの活用は、今後も根強いニーズがあると考えられます。 収益性を左右するのは立地条件 アパート経営、あるいは、マンション賃貸業の収益力は、どんな要因に影響されるのでしょうか。さまざまな要因が挙げられますが、まずは入居者の確保が大前提となります。しかも、一般的にアパートローンは融資期間が長期にわたることから、長期間継続的に入居者が確保されることが重要になります。したがって、アパート経営などを検討する際には、必ず建設予定地周辺の賃貸用不動産に対する需要動向をチェックしなければなりません。 この賃貸需要は立地条件に大きく左右されます。例えば、都心近郊の鉄道路線の駅に近い立地であれば、継続的な賃貸需要が見込めます。具体的には、最寄り駅からの距離は、「徒歩10分」が目安になるとされています。ただし、乗降客の多いターミナル駅であれば、「徒歩15分」程度でも許容範囲と言われています。 以前は、あまり駅に近すぎていると、繁華街や幹線道路の騒音や電車の音がうるさいといったネガティブな要素もありましたが、最近は、防音性に優れた二重サッシの窓が普及しており、騒音を抑えられるようになっています。傾向として、駅に近いほど賃貸需要が見込めるようになりつつあります。 また、駅からのアクセスが良好でなければ、周辺に学校や大きな病院などの施設があるかどうか、といったことがポイントになってきます。前回紹介した、60歳以上の高齢者や要介護認定を受けた60歳未満の方を対象とした「サービス付き高齢者向け住宅」などは、総合病院が近くにあれば、居住者の利便性が大きくアップすると考えられるからです。 さらに、地域の人口動態も考慮すべきです。人口や世帯数が減少している市区町村や地域については、継続的な賃貸需要は見込めません。地域の人口動態をチェックするためには、総務省が発表している「住民基本台帳」が便利です。毎年、都道府県はもとより、全国の市区町村の人口や世帯数を記載しており、増減がわかるようになっています。 2018年1月時点のデータをみると、東京都では、八王子市、青梅市、町田市、福生市といった市で、前年から人口が減少しています。東京都全体では人口流入が続いていますが、このように市区町村レベルでは減少している地域もあります。ここ数年では、23区内でも足立区は減少する年が目立ってきました。都心部でも人口動態には差が生じています。「住民基本台帳」は総務省のホームページで閲覧できるので、ぜひチェックしてください。 長期的な視野に立って収益性を判断する 地域の賃貸需要がある程度把握できた後は、実際に部屋を借りてくれる賃借人を想定することが必要です。賃借人となるのは、単身者が多いのか、それともファミリー層なのか、あるいは高齢者なのか、といったことを想定します。具体的に借り手を想定することで、建築するアパートの間取りや専有面積を決めていくわけです。賃貸アパートやマンションは、いったん建築をしてしまうと、間取りや専有面積を変えることは困難です。最も多くの借り手として見込める層に見合った間取りや専有面積で建築しなければなりません。 例えば、学生や若手サラリーマンがおもな借り手として想定できるのであれば、間取りはワンルームあるいは1K、専有面積は18~20㎡が平均的な広さとなってきます。また、サービス付高齢者向け住宅の場合、単身者はワンルームか1K、専有面積は20~25㎡が妥当といえるでしょう。 こうしたステップを経れば、おのずと賃料も決まってきます。周辺にある同じような条件の物件と比較することで、賃料の〝相場〟がつかめるからです。ただし、ここで注意しなければならないのは、築年数が経過することによる賃料の値下げです。新築の物件であれば、当初は、同じような物件よりも賃料を高く設定しても賃貸需要は見込めるでしょう。しかし、築年数が経過すると、値下げをせざるを得ません。長期にわたるアパートローンの場合、そうした将来的な賃料の値下げも想定して、収益性を判断することが重要です。 実際、築年数が経過して、賃料を大幅に値下げせざるを得なくなった、さらには空室が頻繁に発生している、といったことが起きています。こうなると、当初見込んでいた賃料収入がローンの支払額を下回る、つまり、赤字の状態になりかねません。築年数の経過による値下げを織り込んだ収支計画を作ることができれば、ローンの審査にも通りやすくなると考えられます。 今回は、アパートローンなどで新築の賃貸物件を建築する人を念頭において解説をしてきましたが、投資用の中古アパートやマンションの購入を考えている人にも、内容はすべてあてはまります。購入を検討している物件が賃貸需要に合っているか、地域の人口は増えているかといったことは、中古物件でも何ら重要性は変わりません。建築当初は満室が続いていた単身者向けのワンルームの物件が、近接していた大学や企業が移転したことで空室ばかりになった、というケースも少なくないのです。やはり、長期的に収益性を考えることが大事なのです。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産投資ローンの審査はココをみる(2) 投資用の賃貸アパートおよびマンション向けのアパートローンは、事業用資金の融資という側面が強い、ということを前回述べました。したがって、金融機関は、担保となるアパートやマンションの評価をする際... ▼シリーズ「不動産投資ローンの審査はココをみる」の記事一覧 ・第1回:不動産投資ローンの審査はココをみる(1) ・第2回:不動産投資ローンの審査はココをみる(2)
賃貸アパートやマンション等の収益物件を担保とした貸出しは、金融機関の不動産関連融資の中では主力商品のひとつです。2013年から始まったアベノミクスによって、国内の金融市場は超低金利状態に突入し、一般の個人が投資目的でマンションを購入したり、賃貸アパート経営に乗り出したりするケースが増加しました。それに伴って、金融機関の投資用不動産向け融資も伸びていったのです。 2015年には、相続税が課税強化されたことで、賃貸アパート建設が全国各地で拡大しました。保有する土地に賃貸用の不動産物件を建設すると、相続税評価額が小さくなるという優遇措置を活用するためです。しかし、2018年に、地方銀行の賃貸アパート投資向けの不正融資が明らかとなって以降は、個人に対する新規の投資用不動産向け融資は急減しています。 こうした状況下、すでに保有している投資用不動産を担保としたローンの申し込みは増加傾向にあるようです。また、依然として、個人による不動産投資のニーズも衰えてはいません。そこで、賃貸アパートやマンションに対する評価について、足元の動向を踏まえながら改めて解説をしていきましょう。なお、投資用の賃貸アパートやマンション購入向けの融資は、金融機関では「アパートローン」と呼ぶことが多いので、以下、アパートローンと表記します。 「アパートローン」は事業用資金の融資に近い 借り入れる本人や家族が住むために住宅を購入する際の住宅ローンと、投資用アパートおよびマンション向け融資であるアパートローンの最も違う点はどこか? それは、アパートローンには事業用資金の融資という側面が強いことです。 賃貸用アパートおよびマンションへの投資は、単に不動産を取得するだけでは終わりません。用地の取得から始まり、建物の建設、賃借人の募集、家賃の徴収、建物の維持や管理といったさまざまな業務が伴います。 このように、中身は事業性資金の貸出しに近いといえますので金融機関としては採算性を重視することになります。通常、不動産業者が手掛ける商業ビルやオフィスビルへの投資と比較すると、金額的には小さくなりますが、個人としての借入金額はかなり大きいはずです。投資をする個人にとっては、大きなリスクを抱えることになります。 また、ここ数年、「サービス付き高齢者向け住宅」の建設するための資金として、アパートローンを活用するケースも増えています。サービス付き高齢者向け住宅とは、おもに民間事業者が運営するバリアフリー対応の賃貸住宅のことです。2011年に創設された制度により生まれた施設で、60歳以上の高齢者や要介護認定を受けた60歳未満の方を対象とした賃貸住宅です。 超高齢化社会を迎えつつある日本では、社会的なニーズも高く、現在も高水準の建設が続いています。建設にあたっては国からの補助金制度もあり、個人でも保有する土地に建設をするケースが少なくありません。冒頭で言及した、所有する土地に建設をすると相続税評価額を引き下げる効果もあるからです。ただし、そうした社会的なニーズに合致し、優遇制度が利用できる物件であっても、収益性が求められることには変わりありません。 「サブリース」方式の問題点 近年の賃貸用アパートおよびマンション投資ブームの背景には、「サブリース」契約の流行も影響しています。サブリースとは、サブリースを手掛ける会社がアパートを一括で借り上げ、各戸についてはそのサブリース会社が個人などに〝転貸〟をする、という仕組みです。一般的には、住宅メーカーや住宅メーカーの関連会社がサブリースを手がけているパターンが多いようです。 サブリース会社が建物全体を借り上げるため、賃借人の募集や家賃の徴収といった業務はサブリース会社が行ってくれます。アパートのオーナーはそうした煩わしい業務を自分でする必要はありません。オーナーにはサブリース会社から一定の賃料が支払われます。そのため、不動産投資の経験が浅い個人のアパートオーナーなどを中心に、積極的に活用されてきました。 しかし、サブリース方式によるアパート、マンション経営が上手くいかないケースが出てくるようになり、オーナー側に負債が発生している物件が増えてきました。サブリースの契約は、個人が適切な判断をするのが難しく、当事者間で問題が解決できずに裁判に持ち込まれるケースも少なくありません。次回以降では、サブリース契約の注意ポイントについても解説をしたいと思います。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産投資ローンの審査はココをみる(2) 投資用の賃貸アパートおよびマンション向けのアパートローンは、事業用資金の融資という側面が強い、ということを前回述べました。したがって、金融機関は、担保となるアパートやマンションの評価をする際... ▼シリーズ「不動産投資ローンの審査はココをみる」の記事一覧 ・第1回:不動産投資ローンの審査はココをみる(1) ・第2回:不動産投資ローンの審査はココをみる(2)
不動産担保ローンを提供している金融機関のホームページには、よく「仮審査」や「事前審査」という言葉が使われています(以後この記事では「仮審査」と呼称します)。住宅ローンを利用したことがある人なら、「本審査」前に必ず行う手続きの一つと思うかもしれません。 しかし、不動産担保ローンの仮審査は、住宅ローンで行われるものとは異なります。この記事では、不動産担保ローンの仮審査について解説します。 住宅ローンの仮審査とは 仮審査は住宅ローンにおいて不可欠な手続きの一つです。仮審査を通過しないと、融資をするかどうかを決定する本審査に進めません。仮審査が必要となる理由には、住宅ローンを申し込むタイミングが関係しています。 正式に住宅ローンを申し込めるのは、ローンを借り入れる人が不動産業者と物件の売買契約を交わした後になります。物件の所有権を持っていないと、申し込みはできないことになっているからです。しかし、もし売買契約が完了している状態で、住宅ローンを借り入れることができなければ、物件の引き渡しは行えません。そうなれば売買代金を回収できない不動産会社や、物件を購入する人にとっては大問題です。 このような問題を発生させないために仮審査があります。購入する物件を決めた段階で金融機関に仮審査を申し込み、住宅ローンを借り入れるための条件を満たしているかどうかを審査します。そして、仮審査を通過した人が不動産会社と売買契約を結び、金融機関に本審査を申し込みます。このような段階を踏むことで、売買契約が完了しているにもかかわらず本審査に通らない、という事態を予防できます。 住宅ローンの本審査に落ちる要因 住宅ローンの仮審査はあくまで簡易的な審査です。住宅ローンを借り入れる人の年収や年齢、信用情報といった必要最小限の情報を基に、金融機関が信用力を判断します。そして、仮審査を通過すると本審査に進みますが、仮審査を通過しても必ず本審査に通るわけではありません。 本審査では住宅ローンを提供する金融機関に加えて、債務保証をする信用保証会社にも審査されます。信用保証会社は、住宅ローンを借り入れる人のいわば〝保証人〟といった存在です。そのため、仮審査は短い金融機関だと1~2日で終了しますが、本審査は1週間程度かかるところが多いようです。 本審査を通過できない理由は、以下のような理由が考えられます。 仮審査で申告した情報が事実と異なっている 収入証明書などの書類に不備がある 未申告の高額の借り入れがある 団体信用生命保険に加入できない 不動産担保ローンの仮審査とは 前述のとおり、住宅ローンの仮審査は手順や内容が明確になっています。一方で、不動産担保ローンの仮審査は、各金融機関が独自に行っており、中身は明確になっていません。また、仮審査を受けなくても、直接本審査を申し込むことが可能です。 不動産担保ローンを借り入れる人は不動産を保有しているため、住宅ローンで考慮しなければならない不動産会社との売買契約のタイミングなどが、存在しないからです。それでは、不動産担保ローンの仮審査にはどんな意味があるのでしょうか。 実際に行われている金融機関の仮審査は、多くの場合〝事前相談〟といった役割を担っているようです。不動産担保ローンを検討している人の「正式に審査を申し込む前に、融資が可能かどうかをちょっと聞いてみたい」という要望に対応しているといえます。 不動産担保ローンの本審査には、さまざまな書類が必要です。不動産の登記簿謄本の登記時事項証明書、土地や建物の図面、前年度の固定資産税納付の証明書、固定資産税評価証明書などです。こうした書類を揃えるには、かなりの手間と費用がかかるので、本審査に通過しなかった場合、精神的にもダメージを受けることは想像に難くありません。 まとめ 不動産担保ローンの仮審査は各金融機関によって異なりますが、信用情報や担保物件の簡易的な評価が行なわれています。また、仮審査で融資ができる可能性が高いと判断されても、本審査が通らないことがあるのは住宅ローンと同じです。このような点を理解していれば、気軽に打診ができる事前相談としての仮審査のメリットは小さくないのではないでしょうか。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイント 不動産担保ローンを利用して資金調達するには、金融機関の審査に通過する必要があります。不動産担保ローンの利用経験がないと、審査がどのように行われ、どうしたら審査に通過できるかわからないかもしれ...
不動産担保ローンの金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限の金利が表示されます。このような表示は、申込金額等の条件によって適用金利が変わることを表しています。当然、ローンを借りる人にしてみれば、金利は低ければ低いほど良い条件であることは間違いありません。では、どうすれば借入金利を低くすることができるのでしょうか。 この記事では、不動産担保ローンを低金利で借りるために抑えておきたいポイントを解説します。 不動産担保ローン金利の相場 不動産担保ローンの金利は金融機関によって異なります。ここでは取り扱い件数や金額が多い銀行とノンバンクの不動産担保ローンの金利相場を比較してみましょう。 銀行の不動産担保ローンの金利相場 銀行が提供する不動産担保ローンの金利は、比較的低く設定されていることが多いです。具体的には、資金使途が限定されていない不動産担保ローンの場合、比較的低金利な金融機関で下限金利が1.0%台に設定されています(2025年4月時点)。 一方で、上限金利は8%や9%台に設定されており、不動産担保ローンの申込人によって適用金利が大きく変動することがわかります。 ノンバンクの不動産担保ローンの金利相場 ノンバンクの不動産担保ローンの金利は、銀行と比較して高く設定されていることが多いです。具体的には、比較的低金利な金融機関で下限金利が2.0%台に設定されています(2025年4月時点)。一方で、上限金利は5~7%台に設定されており、銀行の不動産担保ローンと大きく変わらないことがわかります。 関連記事はこちら不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い 不動産担保ローンを低金利で借りるための5つのポイント 不動産担保ローンの金利は、融資を実行する前に金融機関が行う審査の結果に大きく左右されます。つまり、審査の中身を理解すれば、低金利で借りるコツがわかります。まず、金融機関はどんな点をチェックするのでしょうか。 不動産担保ローンの審査では、主に以下のような項目が対象となります。 融資先の属性 担保不動産の価値 担保掛目 資金使途 借入期間 各項目について、どのような点がポイントであるか、詳しく説明していきます。 融資先の属性は信用力をみる 不動産担保ローンを個人で借りる場合も法人で借りる場合も、審査内容はそれほど変わりません。どちらも重要なのは融資先の「信用力」であり、信用力を計る条件として「収入」が大きな要素になります。収入とは、融資先が個人であれば年収、企業であれば利益を指します。 また、融資先の「信用情報」も信用力に影響します。過去にローンを借り入れていれば、その返済状況が確認され、ローンの返済が滞ったことがあると信用力は低くなります。反対に、延滞などをせずに返済がされていれば信用力は高くなります。また、個人であれば年齢や勤続年数、他の金融機関からの借入残高があるかどうか、といったことも融資先の属性に該当します。 返済比率と返済負担率もポイント 属性では特に収入が重視され、基本的に収入が多いほど信用力は高いと判断されます。しかし、その金額だけが審査対象となるわけではなく、「返済比率」も重要です。返済比率とは、収入に占めるローンの年間返済額の割合のことで、「返済負担率」とも呼ばれます。例えば、年収が500万円の人であれば、返済比率30%という水準は年間返済額が150万円になります。 年間の収入に占めるローンの支払額が大きくなると、それに伴い返済比率は高くなります。返済比率が高くなるほど借り入れの負担は重くなるので、返済が滞るリスクが生じます。そのため、金融機関は審査において返済比率の基準を設定しており、その基準に近いローンには高めの金利が適用されたり、融資そのものが否決されたりすることがあります。 したがって、借入金利を低くするには、まず「返済比率を低くする」ということが挙げられます。ただ現実的には、収入を増やすということはなかなか難しいので、年間返済額を減らすことがポイントになるでしょう。 担保不動産の価値の高め方 一般的に、担保不動産の価値が高くなるほど、借りる金額を増やす、金利を低くするといったことが可能です。不動産は土地と建物の2つで構成されており、土地の評価には、国税庁が発表している「路線価」(正式名称は「相続税路線価」)を用いることが一般的です。一般的な不動産取引では、「公示地価」や「基準地価」に基づいて売買価格が決定される場合が多いですが、路線価は公示地価や基準地価の8割程度とされています。 建物の評価はやや複雑で、建物の「再調達価格」を算定するところから始まります。再調達価格とは、その建物を新たに建築あるいは購入時に必要となる金額のことで、さらに、建物の「延べ床面積」や「法定耐用年数」などを加味して評価します。 ただし、建物の築年月が法定耐用年数を超えていると評価額はゼロ。例えば、戸建て住宅の法定耐用年数は22年なので、築22年を超えた一戸建ての価格は0円となり、不動産価格は土地だけを評価することになります。 関連記事はこちら不動産評価の方法と不動産価値の考え方 担保不動産の価値は上昇することもある 前述したように、担保不動産の評価額が高いほど、借入金額を増やしたり、金利を低くしたりする余地が広がります。とはいうものの、「すでに保有している不動産の評価額は変わらないのでは」と思っている人がほとんどでしょう。しかし、不動産の評価は所有者の工夫によって変わる要素もあります。 建物の価値は築年数の経過とともに減少しますが、リフォームによって価値を高めることはできます。リフォームまではいかなくても、周辺の掃除や外壁のクリーニングを定期的に行い、建物を整えておくことは重要です。また、土地についても、駅に近い立地であれば、商業施設の新規出店など周辺環境が良くなる場合が出てきます。 不動産としての価値を高めるということは、それが住宅であれば、住環境を改善することにもなります。普段から心がけておくことは、それほど難しいことではないでしょう。 関連記事はこちら不動産価値の高め方とは?立地条件と不動産価値の関係 担保掛目で融資可否や適用金利が分かれる 担保掛目とは、担保不動産の評価額に対して、金融機関が設定する比率のことです(「掛目」と呼ばれることもあります)。例えば、担保不動産の評価額が土地と建物を合わせて4,000万円の場合、金融機関の担保掛目が80%という比率であれば、担保評価額は4,000万円×80%=3,200万円となります。 不動産担保ローンにおいて、この担保掛目を用いて算定される実質的な担保価値が融資限度額になるため、重要なポイントです。担保掛目は、金融機関が独自に設定しますが、住宅ローンも含めて、70~80%程度に設定しているところが多いです。 もし、融資の返済が滞り、金融機関が不動産を売却することになった場合、不動産はすぐに現金化することは困難です。保有している間に、価値が減少する恐れもあります。そうしたリスクに備えるために、あらかじめ時価評価の80%程度に設定しているわけです。 担保掛目を考慮して融資金額を決める 一般的には、担保不動産に金融機関が設定する担保掛目を適用した金額が融資限度額になります。評価が4,000万円の物件に対して、担保掛目が80%であれば、融資の限度額は3,200万円です。 この物件を担保として3,200万円を借りる場合、融資限度額いっぱいの融資となり、リスクが高いと判断され、金利は高めに設定されることが多くなります。 一方で、2,800万円を借りる場合、400万円の担保余力が生まれます。金融機関としては、担保評価額に対して担保余力があれば、金利を引き下げる余地が出てきます。融資限度額まで借りる必要がなければ、借入金額を減らすことで金利を低くできる可能性があります。 資金使途が明確で金額は妥当か 不動産担保ローンの審査において、金融機関は必ず資金使途を確認します。担保が必要のない無担保型ローンでは、基本的にお金の使いみちは自由ですが、不動産担保ローンでは、金融機関によって資金使途に制限がかかることもあります。 例えば、会社の運転資金にすることを目的とした事業用資金は、不動産担保ローンとしては融資しない銀行が少なくありません。すでに事業で赤字が出ている状態であれば、返済が滞るリスクがあるからです。一方で、多くのノンバンクでは、事業用資金の融資をしています。 「資金の使途」におけるポイント 資金使途は、正しく申告しなければならないのは当然ですが、資金繰りの状況をきちんと伝えることで、金利を低くしてもらえる可能性があります。会社の運転資金として借りる場合でも、事業が上手くいっていないということにはならないからです。 例えば、会社の売上げが伸びて、売掛金が大きくなってくると、会社は事業用の立替金を増やしておく必要があります。また、取引先の要請で、売掛金の回収期間が延びてしまうこともあるかもしれません。こうしたことは事業が軌道に乗っているからこそ起こる事態です。 審査の際に、資金使途を運転資金としたうえで、なぜ運転資金が必要になったのかを明確にすることで、融資が受けやすくなり、金利も下げられる可能性が出てきます。その際は、理由の〝証拠〟となる会社の帳簿などを、併せて提出すると、さらに効果が高まるでしょう。 また、仮に事業があまり順調に行っていない場合でも、実現可能性の高い事業計画書を提出することで、融資が受けやすくなることもあります。資金使途自体は変えることはできませんが、工夫する余地はあります。 借入期間の長さで適用金利が変わる ローンの借入期間と金利には密接な関係があります。ほとんどの人は、借入期間が長いほど高金利になるというイメージを持っているかもしれません。基本的には、そうした認識は間違ってはいません。借入期間が長期になるほど、予期しない問題が発生するといった返済が滞るリスクが高くなるからです。 ただし、借入期間が長いほど金利が高いというのは、ローンが「固定型」の場合です。固定型は、借入時に設定された金利が返済終了まで変わらない、というものです。これに対して、「変動型」のローンは、一定のタイミングで金利が見直されるというもので、借入後の金融市場の動向によって、金利は上昇することもあれば、低下することもあります。したがって、通常、変動型の金利は借入期間によって大きな違いはありません。 金融機関が融資しやすいローンとは? 上記の傾向から外れる、微妙なケースも存在しています。例えば、住宅ローンには「固定期間選択型」というタイプがあります。これは、「10年固定」といったように、借入後、あらかじめ決めた期間の金利が固定される、というローンです。固定される期間は、3年、5年、7年、10年など、金融機関によってさまざまです(なお、固定期間が終了した後は「変動型」に移行します)。 この固定期間選択型も、一般的には固定期間が長くなるほど、金利は高くなる傾向にありますが、固定期間が短い方の金利が、長い方の金利よりも低いというケースが存在します。これらの要因としては、日銀の政策金利や金融市場の動向が挙げられますが、ローンを提供している金融機関の貸出金の残高の内容も関係しています。貸出金の残高の内容とは、残高に占める固定型と変動型の割合や、ローンが返済される時期などです。 金融機関としては、固定型に偏っているとか、返済がある時期に集中しているといった事態は避けなければなりません。経営の安定性を高めるために、さまざまなローンをバランスよく提供することが重要になります。 すると、金融機関には、ローンのタイプや借入期間などの条件において、融資をしやすいローンが出てきます。したがって、借入期間を柔軟に設定できるようであれば、金融機関に金利が低くなる期間があるかどうかを聞いてみる、という手があります。ただし、必要以上に借入期間を長くすると、今度は利息の負担が増えてしまうので、その点には注意しなければなりません。 まとめ 低金利で借りるポイントを5つ振り返ります。 項目 ポイント 融資先の属性信用力が高いほど低金利での借り入れができる。返済比率を下げれば、信用力を高めることが可能。 担保不動産の価値建物のリフォームやクリーニング、周辺環境で好転した部分で価値を高められる可能性がある。 担保掛目担保評価額に対する借入金額の比率を下げることで、金利を引き下げる余地が生まれる。 資金使途財務状態を正確に申告するとともに、事業計画書などを作成する。 借入期間借入期間に融通が利くようであれば、低い金利が適用される期間があるか確認する。 上記のポイント以外にも、初めて不動産担保ローンを借りる場合は、複数の金融機関にローンを申し込んで金利を比較し、最も低金利を提示してきた金融機関から借りる、といったことも挙げられます。また、借り入れをした経験があり、すでに返済が終了していれば、同じ金融機関に申し込む方が、低い金利を適用される可能性があります。すでに完済をしたという履歴が、信用力のアップにつながるからです。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローンの金利の実態をさぐる 不動産担保ローンに限らず、金融機関が表示しているローンの金利は、「年○○%~△△%」といった感じで上限と下限を表示していることがほとんどです。そのため、ローンの金利を比較しようとしても、この...
この記事では、金融庁の『投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果』について、その中身を掘り下げたいと思います。実は、この調査には、金融機関の融資について金融庁の考え方が、これまでになく非常に具体的に示されています。おそらく、今後、中長期的な指針となっていくと考えられます。 「不動産投資ローン」に改善を促す金融庁 金融庁は、「アパート投資向けの不正融資問題」において、特に、紹介業者が顧客を金融機関に紹介するケースについて警鐘を鳴らしています。簡単にいうと、融資に必要な審査関係資料や契約内容について、紹介業者に依存する傾向がみられ、融資先の顧客の管理体制が〝緩く〟なっているのではないか、というものです。 実際に、金融機関の回答をみると、不動産投資ローンを住宅ローンの延長と捉えてしまい、顧客の給与収入も返済原資の一部とみなしているため、物件のキャッシュ・フローのみで返済の見込みがなくとも、融資が実行されるケースが散見されたようです。 また、中古の物件に対する融資期間が、建物の築年数を控除した法定耐用年数を大幅に超えるケースもあったとされています。そのため、金融機関の9割以上は融資先事業の収支計画のシミュレーションをしている、とされていますが、その「精緻さにばらつきあり」と懸念が表明されています。 銀行や信用金庫では、不動産を担保として融資をする場合、担保不動産の市場価格に加えて、顧客の収入や、融資先が企業であれば事業の収益動向も加味して融資額を決めることが多いとされています。それに対して金融庁が懸念を表明したことにより、少なくとも不動産投資ローンについては、担保不動産の評価、事業の収支計画の妥当性に基づいた与信が行われることになるでしょう。 投資先物件のキャッシュ・フローの重要性 金融庁は、事業の収支計画の審査についても、以下のような提言をしています。 ①不動産投資ローンは、住宅ローンと違って、融資額も大きくなり、事業性融資の性格が強くなる点に留意する。 ②債務の返済は、賃貸事業が長期的に生むキャッシュ・フローの水準が大きく左右するため、金融機関は物件がキャッシュ・フローを生む期間(=建物の耐用年数)をできる限り客観的に検証し、その耐用年数から想定される合理的な融資期間を設定する。 ③債務の完済までの収支シミュレーションに基づき、賃貸事業としての返済可能性を見極めることが重要。 ④ 顧客は、目先の利回りにとらわれることなく、大規模修繕の必要性や物件収支が下振れた際の返済余力や、当初想定した価格で売却できない可能性も考慮しつつ、長期的な事業の収支計画を判断する必要がある。 いずれも、金融機関の審査に対する非常に具体的な提言となっており、金融庁が公表するレポートとしては、〝異例〟の内容といえます。以上のような指針から、今後、不動産投資ローンを受けるためのハードルは、かなり高くなることが予想されます。 投資先の物件が生み出すキャッシュ・フローをおもな返済原資とするということは、不動産の選別は厳しくならざるを得ません。すでに、価格が上昇している物件は、十分なキャッシュ・フローが見込みにくいため、融資が実行されにくくなります。また、建物の耐用年数を客観的に検証して融資期間を決めることになれば、築年数の古い中古物件は融資対象から外れるケースが増えてくるでしょう。 金融機関の審査が問われる時代に これまで、金融機関は、決してキャッシュ・フローについて無視をしてきたわけではありません。ただ、金融庁のレポートも指摘しているように、一部の金融機関では、家賃収入から返済額や経費を差し引いた金額が「黒字」になればよい、と安易に考えていた形跡がうかがえます。これからは、単純なキャッシュ・フローだけでなく、「債務返済倍率」といった不動産投資の健全性を計る指標も併せて、融資の審査を行なうことが求められてくるでしょう。 さらに、金融庁は、融資が実行された後も、当該物件の空室率や賃料などの確認作業を行なうことを金融機関に要請しています。融資期間中に、事業の実績を踏まえた収支計画のシミュレーションの更新を、まったく行っていない金融機関があったためです。 以上は、基本的には不動産投資ローンに関する事柄ですが、金融庁は、今後他の融資全般についても、事業の収支計画をベースとした審査の適正化を進めていく、と見られています。ますます、金融機関の審査のノウハウが重要になっていくでしょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産投資ローンの審査はココをみる(1) 賃貸アパートやマンション等の収益物件を担保とした貸出しは、金融機関の不動産関連融資の中では主力商品のひとつです。2013年から始まったアベノミクスによって、国内の金融市場は超低金利状態に突入... ▼シリーズ「不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向」の記事一覧 ・第1回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(1) ・第2回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2)