住まいとお金の知恵袋 一覧(公開日順)

  • 不動産担保ローンの金利の実態をさぐる

    不動産担保ローンの金利の実態をさぐる

    不動産担保ローンに限らず、金融機関が表示しているローンの金利は、「年○○%~△△%」といった感じで上限と下限を表示していることがほとんどです。そのため、ローンの金利を比較しようとしても、この表示だけで比べることは困難です。実際に借り入れるローンの金利は、融資の審査を通過した後に提示されることになるからです。 時間に余裕があれば、複数の金融機関に融資の申し込みをし、審査後に提示された金利を比較して、いちばん有利なローンを選ぶことができるでしょう。しかし、現実にはなかなかそうはいきません。申し込みごとに必要書類を揃えたりするのは、結構面倒なものです。金利を比較するために、5社も6社も申し込むという人は、かなり少ないと思われます。ほとんどの人は、もっとも早く審査を通過して、ローンが借りられることが決まった金融機関を選んでいるのではないでしょうか。 実際に契約されたローン金利がわかる「平均約定金利」 >不動産担保ローンの概要についてはこちら ただ、やはり金利が高いのか低いのかは、気になるところ。もし平均的な金利の水準がわかれば、それと比較することで、少なくとも金利が高いのか低いのかの目安くらいはつくことになります。実は、その平均的な水準は公表されています。日本貸金業協会は、各種の資料を公表しており、そこには平均的な金利水準も含まれているのです。 日本貸金業協会とは、「貸金業法」という法律に基づいて貸金業を営んでいる金融機関が加盟している業界団体です。2007年12月に、「貸金業法第26条第2項」の規定に基づき、内閣総理大臣の認可を受けて設立されました。参加しているのは、融資を行う、銀行以外の金融機関です。 平均約定金利 前述のように、この日本貸金業協会が発表する統計データの中に、「約定金利」という項目があります。約定金利とは、簡単にいうと、実際に契約されたローンの金利のことで、日本貸金業協会のホームページには、「月末平均約定金利」として、協会に加盟する金融機関が行った、月ごとのローンの金利の平均値を掲載しているのです。早速、そのデータをみてみましょう。以下は、2019年3月上旬に閲覧することができる最新のもので、2018年12月時点のデータです。 ○月末平均約定金利 消費者向け有担保貸付  6.08% 事業者向け有担保貸付  3.66% 消費者向けというのは借りる人が個人で、事業者向けというのは借り手が法人です。また、有担保貸付とは担保があるローンのことで、住宅ローンを除いたものですので、実質的に、不動産担保ローンのデータと考えて問題はありません。このデータは、2018年12月に行われたローンの平均値が個人向け6.08%、法人向け3.66%だった、ということを表しています。個人と法人で、「意外と差があるな」と思った人も少なくないかもしれません。 現在、不動産担保ローンを申し込んでいて、金融機関からローンの金利を提示された人がいれば(あるいはすでに返済を始めている人は)、ローン金利が平均よりも高いか低いのかは、この数値で判断ができることになります。 「平均約定金利」はひとつの目安 ただし、この平均約定金利はあくまで全体の平均値です。すでに、何度か借り入れをしていて、ローンの実績がある、つまり信用力が高い個人や法人が含まれているわけです。新規で不動産担保ローンを借りるときは、この平均約定金利よりも一般的には〝高め〟になるといえるでしょう。 また、貸金業者全体の平均約定金利なので、さまざまな業者が含まれている点にも注意が必要です。平均値を上回っているからといって、必ずしも〝高めの金利〟とはいえません。一見、高めの金利にみえても、同じような業態の金融機関の中では、低い方の金利になっている、といったケースもあり得ます。 業態別の平均約定金利 ちなみに、この日本貸金業協会の統計データには、融資をする金融機関の業態ごとのデータも掲載されています。その業態の名称は、「消費者金融」「事業者金融」「クレジット等」の3種類となっていますが、それぞれの名称が一般的に表す業態とはちょっとズレています。というのも、日本貸金業協会の分類は、金融庁が定めている分類に沿ったものになっているからです。金融庁の分類はかなり複雑になっているため、一般的に用いられている名称とは、そのカバーする業態が違っています。 以下、その業態別の平均約定金利を記しますので、上記の点を考慮に入れ、あくまで参考としてご覧ください。 ○消費者向け有担保貸付(業態別) 消費者金融  5.86%   事業者金融  6.76%  クレジット等 5.66%  ○事業者向け有担保貸付(業態別) 消費者金融  3.98%   事業者金融  4.10%  クレジット等 1.59%  消費者向け、事業者向けともに、消費者金融の金利が事業者金融を下回っていることに、違和感を覚える人もいると思われます。事業者金融の金利の方が高い理由としては、ローンを利用する人や法人が、初回の借り入れであっても借入金額が多額になる場合が比較的多いこと、さらに、起業したばかりの法人が含まれていること、などが考えられます。いずれも、銀行など他業態の金融機関では貸し出しが難しいケースといえるでしょう。その分、金利が高めに設定されることになります。 なお、今回紹介したデータは、日本貸金業協会のホームページにある「月次統計資料」のコーナーで閲覧できます。興味のある方は、一度訪れてみてはどうでしょうか。 不動産担保ローンならSBIエステートファイナンス 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ 不動産担保ローンの金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限の金利が表示されます。このような表示は、申込金額等の条件によって適用金利が変わることを表しています。当然、ローンを借りる... 次に読むべき記事 不動産担保ローンの「仮審査」とは? 不動産担保ローンを提供している金融機関のホームページには、よく「仮審査」や「事前審査」という言葉が使われています(以後この記事では「仮審査」と呼称します)。住宅ローンを利用したことがある人な...

  • 金利と利子の関係と計算方法

    住宅ローンの返済額を計算する方法とは?金利と利子の違いを解説

    住宅ローンを借りるとき、「金利が低いかどうか」が気になる人は多いと思います。一方で、その金利を用いてどのように住宅ローンの返済額が決まるのかまで正しく理解できている人は、意外に少ないかもしれません。この記事では、住宅ローンを組む前に知っておきたい金利と利子の関係と、住宅ローンの返済額を計算する方法について解説します。 住宅ローンの返済額を計算する方法 住宅ローンの返済額を計算する際、返済の方式によって計算方法が変わります。 住宅ローンの返済方法は「分割返済」と「一括返済」の2種類に分かれます。分割返済は、元金と利子を複数回に分けて返済する方法です。対して一括返済は、残元金を前倒しで一度に返済する方法です。 住宅ローンの返済方式で主流になっているのは、「元利均等返済」と「元金均等返済」です。どちらも分割返済の一種ですが、両者の返済額の計算方法も異なります。 「金利」と「利子」の違い 住宅ローンの返済額を計算するうえで重要な用語が、「金利」と「利子」です。住宅ローンの返済額の計算方法を解説する前に、金利と利子の違いを正確に把握しておきましょう。 金利と利子は同じものとして扱われがちですが、別物です。「金利」とは利子を算出するときの基本となるもので、通常は元金に対する「1年間の利子の割合」を示し、「%」で表します。一方で、「利子」は金利から算出された「実際に支払う額」を表します。 元利均等返済における住宅ローンの返済額 まずは元利均等返済における住宅ローンの返済額の計算について解説します。 元利均等返済の特徴と毎月の返済額 元利均等返済は、毎月の返済額が一定であるという特徴があり、毎月の返済額を算出する計算は以下のとおりです。 難解な計算式に見えるかもしれませんが、覚える必要はありません。実際に毎月の返済額を調べたい時は、金融機関のホームページで用意されている返済シミュレーションを利用すれば、すぐに算出できます。 >SBIエステートファイナンス「返済シミュレーション」 元利均等返済における利子の計算事例 ここでは、120万円を金利6%、1年間で借りた場合の、利子の変化を見ていきましょう。まず、毎月の返済額を計算すると、103,280円と算出できます。元利均等返済では、返済期間中の毎月の返済額は変わりませんが、元金と利子の内訳は変化します。その変化を表したものが下図となります。 最初の1か月目の内訳をみると、元金分の支払いは97,280円、利子分の支払いは6,000円です。これは、金利6%の1か月分の金利を120万円に適用したときの利子です。 次に2か月目の内訳をみると、元金分の支払いは97,766円、利子分の支払いは5,514円です。1か月目の内訳と比較して、元金の支払いが増え、利子の支払いが減っていることに気づくでしょう。 これは2か月目の金利の対象となる借入残高が減ったことが理由です。元利均等返済は、返済が進むにつれて借入残高と毎月支払う利子が減り、返済額を一定にするために毎月支払う元金が増える仕組みです。 元金均等返済における住宅ローンの返済額 続いて、元金均等返済における住宅ローンの返済額の計算について解説します。 元金均等返済の特徴と毎月の返済額 元金均等返済は、毎月の返済額のうち、元金分のみが一定であるという特徴があります。毎月支払う元金は「借入金額/返済回数」で簡単に計算できます。対して毎月支払う利子は、「借入残高×月利」で計算できます。元金均等返済は、毎月一定の元金を支払うため、毎月の借入残高の減少に伴って、毎月の支払い利子も少しずつ減少していくことになります。 元金均等返済における利子の計算事例 ここでは、元利均等返済の時と同じ、120万円を金利6%、1年間で借りた場合の、利子の変化を見ていきましょう。まずは毎月の返済額を調べます。計算すると、毎月の返済額は100,000円と算出できます。元金均等返済では、返済期間中に支払う元金は変わりませんが、支払う利子は減少していきます。その変化を表したものが下図となります。 最初の1か月目の内訳をみると、元金分の支払いは100,000円、利子分の支払いは6,000円です。これは、金利6%の1か月分の金利を120万円に適用したときの利子です。 次に2か月目の内訳をみると、元金分の支払いは100,000円、利子分の支払いは5,500円です。1か月目の内訳と比較して、利子の支払いだけが減っていることに気づくでしょう。 これは、元利均等返済と同様に、2か月目の金利の対象となる借入残高が減ったことが理由です。一方で、元利均等返済と異なるのは、返済が進んでも毎月支払う元金は変わらない点です。元金均等返済は、借入残高と毎月支払う利子が減ることで、毎月の返済額が減少していく仕組みです。 一括返済における住宅ローンの返済額 最後に、一括返済における住宅ローンの返済額についても紹介します。決められた返済期日より前に住宅ローンを繰上げ返済する場合、前回の利払い日から繰上げ返済日までの経過日数に対する利子を支払うことになります。 一括返済における利子の計算事例 これまでと同様に、120万円を金利6%で借りた事例を見ていきましょう。なお、今回の事例では、経過日数を10日として計算します。支払い利子を計算するにあたり、まず金利の単位を揃えなければなりません。金利は「1年間の利子の割合」、すなわち「365日間の利子の割合」ということなので、今回の事例では、6%の10日/365日に120万円を掛け合わせて計算できます。ちなみに計算すると約1,973円となります。 利子のみ毎月支払う場合の計算事例 住宅ローンの中には、リ・バース60などの毎月の返済が利子のみである商品が存在します。この場合も、繰上げ返済と同様の方法で計算することができます。120万円を金利6%で借りている場合、1か月を30日とすると、6%の30日/365日に120万円を掛け合わせて計算できます。ちなみに計算すると約5,918円となります。 まとめ 「120万円を金利6%で借りる」、そのような時、多くの人は利子が72,000円と考えるかもしれません。しかし、返済方法や返済期間によって、実際に発生する利子が異なることをこの記事で理解できたと思います。住宅ローンの返済額を正しく計算するには、この金利と利子の関係を理解しておくことが大切です。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 ローンの適用金利はどうやって決まる? 金融機関のホームページをみると、カードローンの金利について「年○○%~△△%」といった表示をよく見かけます。カードローンに限らず、ローン金利はこのように〝幅〟を持った表示が一般的です。 この...

    2019.03.19ローン全般
  • 変動型の金利はどう決まる?

    変動型の金利はどう決まる?

    ローン商品の金利タイプには、大きく分けて3種類あることはご存じでしょうか。その3種類とは「固定型」「変動型」「固定期間選択型」です。住宅ローンを利用する時など、昨今の低金利環境下では、「変動型」を選択する人も多いでしょう。一方で、「変動型」の金利がどのように決定されるのか、正確に理解している人は少ないかもしれません。 この記事では、「変動型」の金利がどう決まるのか解説します。 ローン商品の金利タイプ まずは、ローン商品の金利タイプを簡単に紹介します。前述のとおり、ローン商品の金利タイプは、「固定型」「変動型」「固定期間選択型」の3種類に大別されます。固定型は、ローンの返済が終了するまで、当初の金利が変わらない商品です。変動型は、一定期間ごとに、金利が見直される商品です。固定期間選択型は、一定期間の固定金利を経た後に、変動金利に移行する商品です。 金利タイプは金融機関によって異なる メガバンクが提供する住宅ローンの場合など、前述の金利タイプがすべて用意されていることが一般的と感じるかもしれません。しかし、提供している金融機関や、ローン商品によっては、必ずしもそうとは限りません。 たとえば、ローン商品が不動産担保ローンの場合、「固定型」あるいは「変動型」のどちらか、ということもあります。また、短期ローンの場合は固定型、長期ローンの場合は変動型、というように返済期間によって、金利タイプが変わることもあります。 変動型の金利は短期プライムレートが基準 ローン商品や金利タイプにかかわらず、金利は審査により決定されます。一方で、固定型と変動型には違いがあります。それが「短期プライムレート」です。この短期プライムレートは変動型の金利における基準となります。 短期プライムレートとは、「最も信用力が高い企業向けの短期貸出に適用する最優遇金利」のことで、銀行が企業に対して融資をするときの基準となる金利です。なお、「長期プライムレート」も存在します。長期プライムレートも短期プライムレートと同様に、最優遇金利を指しますが、「期間」の点で異なります。1年未満の期間の貸出が短期、1年以上の期間の貸出が長期プライムレートと呼ばれます。 通常、銀行は企業向けの融資を行う際、短期プライムレートを基準として、融資先企業の信用力に応じて金利を上乗せします。この方式は銀行だけでなく、その他の金融機関でも広く用いられており、個人の変動型の住宅ローンにも使われています。 短期プライムレートはどう決まる? 短期プライムレートは、2023年8月時点では年1.475%に設定されています。これは、メガバンクが公表しているもので、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行のいずれも同率です。実際の融資では、この短期プライムレートに、企業の信用力に応じた金利が上乗せされることとなります。 短期プライムレートの設定と背景 本来、短期プライムレートは金融市場の動向によって、毎月変動します。そして、短期プライムレートに連動する変動型のローンでは、あらかじめ決められたタイミングで金利の見直しが行われます。見直し時点での、短期プライムレートの水準によって、それ以降の金利が決まる仕組みです。一般的には、見直しのタイミングは「半年ごとの年2回」となっています。 しかし、実は短期プライムレートは2009年1月から変更されていません。その最大の理由は、日本銀行の政策金利が極めて低い水準に維持されていることにあります。日本銀行の政策金利は、2008年12月から、年0.1%以下に設定されたままになっています。そして、2023年8月現在は、2016年1月に設定された年▲0.1%のままです。そのため、金融市場では多少の金利変動はありますが、短期金利から長期金利まで低位安定が続いています。 短期プライムレートの今後の見通し 金融市場では、当面、日本銀行の金融政策に変更はなく、国内金利の水準は現状維持が続くという見方が優勢です。したがって、しばらくは短期プライムレートも現在の低金利が続くと見て良さそうです。一方で、将来的に金利が上昇することも十分あり得るので、金利上昇の可能性は必ず念頭におきましょう。 まとめ 変動型の金利は、短期プライムレートと金融機関の審査による上乗せ金利によって決定されます。また、短期プライムレートは、現在は低位安定しているものの、いずれは上昇する可能性もあります。変動型のローン商品を検討する際は、金利上昇の可能性も考慮したうえで、決定するようにしましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住宅ローンの返済額を計算する方法とは?金利と利子の違いを解説 住宅ローンを借りるとき、「金利が低いかどうか」が気になる人は多いと思います。一方で、その金利を用いてどのように住宅ローンの返済額が決まるのかまで正しく理解できている人は、意外に少ないかもしれ...

    2019.03.12ローン全般
  • 適用金利はどうやって決まるのか?

    ローンの適用金利はどうやって決まる?

    金融機関のホームページをみると、カードローンの金利について「年○○%~△△%」といった表示をよく見かけます。カードローンに限らず、ローン金利はこのように〝幅〟を持った表示が一般的です。 この記事では、実際にはどのように金利が適用されているのか、カードローンを例に解説していきます。 ローンの上限金利は法律で決まっている ローンの金利は、ローンの種類や提供する金融機関によってさまざまですが、金融機関が自由に決めているわけではありません。すべてのローンの金利は、「利息制限法」という法律によって決められています。正確にいうと、ローンの金利の上限となる「上限金利」が利息制限法によって設定されているのです。 上限金利 上限金利は、融資金額に応じて設定されており、元本が10万円未満の場合は20%、10万円~100万円未満は18%、100万円以上では15%となっています。したがって、100万円以上の借り入れをする際、最高でも金利は15%になります。 そして、利息制限法では、上限金利を超える金利のローン契約が結ばれた場合、その超えた分の金利は無効となり、貸付人は行政処分の対象になる、と定められています。例えば、100万円以上の借り入れで金利が20%に設定されたとすると、15%を超えた5%分の金利は無効、つまり支払わなくてよいことになります。 なお、出資法の上限金利である20%を超える金利のローン契約が結ばれた場合、貸付人は刑事罰の対象となる、と定められています。 図:利息制限法で定められた上限金利 ※著者が作成 借入金額によって適用金利は変わる 現在、提供されているカードローンの金利を具体的にみてみましょう。あるメガバンクのホームページには、「金利 年1.8%~14.6% 利用限度額10万円~500万円」と記載されています。適用される金利は借入金額によって変わり、借入金額は以下のように5つの価格帯に分けられています(数字はいずれも2023年12月時点のもの。以下同じ)。 利用限度額10万円以上 100万円以下 … 年13.6%~年14.6% 利用限度額100万円超 200万円以下 … 年10.6%~年13.6% 利用限度額200万円超 300万円以下 … 年7.6%~年10.6% 利用限度額300万円超 400万円以下 … 年6.1%~年7.6% 利用限度額400万円超 500万円以下 … 年1.8%~年6.1% 利用限度額ごとに適用される金利に幅があり、例えば借入金額100万円以下では「年13.6%~年14.6%」となっています。そして、実際の適用金利は、年収や勤続年数といった「信用力」や、借入実績などによって変わります。(金融機関によっては、「年○○%~△△%」という表示ではなく、一つの金利だけを表示しています)。 さらに別の例として、上記のメガバンクのグループ会社である消費者金融のカードローンの金利を見てみましょう。カードローンは「年3.0%~18.0% 融資額最高800万円」と表記されています。借入金額は4つに分けられ、それぞれの適用金利は以下のとおり表示されています(ホームページには「利用限度額」ではなく「契約極度額」と表示されていますが意味は同じです)。 利用限度額1万円~99万円  … 年7.7%~年18.0% 利用限度額100万円~300万円 … 年7.7%~年15.0% 利用限度額301万円~500万円 … 年4.7%~年7.7% 利用限度額501万円~800万円 … 年3.0%~年4.7% すべての金利が上限金利以下に設定されており、例えば、利用限度額1万円~99万円で18%が適用されたときは、「10万円~100万円未満の上限金利18%」に合致しています。銀行も消費者金融も共通していることは、例えば「年3.0%~18.0%」と表示されている場合、最低金利は最大の利用限度額に適用され、最高金利(=18.0%)は最小の利用限度額に適用されます。 無担保ローンと有担保ローンの違い 実際の適用金利は、金融機関が信用力を審査して決定することは前述しましたが、そもそも利用限度額は信用力に応じて決まります。ローンを申し込めば、誰でも最大の限度額を借りられるわけではありません。特に、初めてローンを利用するときは、最小の限度額が設定されて、高めのローン金利が適用される傾向にあります。 無担保ローンにおける信用力 ローンを遅れずに返済しているという利用実績が増えていくにしたがって、利用限度額は増額され、それとともに、同じ限度額でも低い金利が適用されるようになります。これは、カードローンのような無担保ローンでは一般的なことといえるでしょう。 有担保ローンにおける信用力 一方で、不動産担保ローンのような有担保ローンの場合、借りる人の信用力に加えて、担保不動産の価値が審査対象となります。不動産の価値が高ければ、初めてローンを申し込んだ場合でも、利用限度額は高く設定され、低金利での融資が受けられる可能性があります。 不動産担保ローンを含めた有担保ローンは、提供する金融機関がカードローンのように利用限度額ごとに金利を表示しているケースは少ないですが、それは担保評価によって利用限度額と金利が変わるという事情によるものです。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 変動型の金利はどう決まる? ローン商品の金利タイプには、大きく分けて3種類あることはご存じでしょうか。その3種類とは「固定型」「変動型」「固定期間選択型」です。住宅ローンを利用する時など、昨今の低金利環境下では、「変動...

    2019.03.05ローン全般
  • 「不動産担保ローン」の審査基準と審査通過のためのポイント

    不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイント

    不動産担保ローンを利用して資金調達するには、金融機関の審査に通過する必要があります。不動産担保ローンの利用経験がないと、審査がどのように行われ、どうしたら審査に通過できるかわからないかもしれません。また、不動産担保ローンの審査に通過しなかった人も審査基準を理解することで、何故審査に落ちたのかを理解できる可能性もあります。 この記事では、不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイントを解説します。 不動産担保ローンの審査基準とは? 不動産担保ローンを申し込むと、金融機関は必ず審査を行ないます。金融機関は審査結果に基づいて、「お金を貸してもよいか?」「融資できる金額はどのくらいか?」といった判断をします。 不動産担保ローンの場合、審査の対象は融資をする相手の「信用力」と、担保となる「不動産の価値」の大きく二つに分かれます。この審査基準を理解することで、審査に通過しやすくなるでしょう。 「信用力」の審査 審査対象の1つ目は信用力です。これは、ローン商品において必ず審査をされる対象で、不動産担保ローンであってもその重要性は変わりません。信用力を計る代表的な指標としては、まず収入が挙げられます。収入とは個人であれば年収、企業であれば利益のことです。 収入 当然、収入は多ければ多いほど信用力は高くなります。一方で、収入が多いかだけで評価されるわけではなく、「返済負担率」も重要なポイントです。返済負担率とは、借入金の返済額が収入に占める割合を示す指標で、「年間返済額」÷「年収」×100で求められます。例えば年収が500万円で、ローンの返済額が150万円のとき、返済負担率は30%(150万÷500万×100)になります。返済負担率が高くなるほど評価は悪くなり、審査に通過する可能性も低くなります。 返済履歴 過去にローンを借りたことがあれば、その返済状況も審査されます。ローンを借りたこと自体が評価を落とすわけではなく、ローンの支払状況が悪いことで信用力は低くなります。ローンを延滞したことが信用情報に登録されると、金融機関側は融資金の回収リスクが高いと判断するため、審査に通過したとしても融資条件が悪くなる可能性があります。 勤続年数 信用力の審査では、個人の場合は勤続年数、法人の場合は事業年数も審査されます。勤続年数が長くなるほど、安定した収入が継続的に得られているとみなされるからです。反対に、転職したばかりの個人や設立間もない法人は、収入に安定性がないと判断はされやすくなります。 年齢 不動産担保ローンの返済期間は、長期にわたることも多いため、年齢も審査項目になります。一般的な商品では、ローンを借りるときの「申込時年齢」や何歳までに完済する必要があるかという「完済時年齢」が定められています。 金融機関によって条件は異なりますが、申込時年齢が60歳から70歳、完済時年齢が70歳から80歳までに設定されていることが一般的です。高齢になることで返済負担率の面から厳しいだけでなく、そもそも申し込むことができない可能性もあります。 他の金融機関からの借入状況 また、他の金融機関からの借り入れの有無と、その借入金額、何社からの借り入れがあるのかも判断基準になります。不動産担保ローンの借入希望額だけではなく、すでに借りている金額も合算して返済負担率を判断するため、合計の借入金額がいくらなのかも留意しておく必要があります。 「不動産の価値」の審査 審査対象の2つ目は不動産の価値です。借り入れの担保とする不動産の価値が高いほど審査に通りやすく、まとまった金額のローンが組めます。不動産の価値を求める際にはいくつかの基準があり、実際に取引される価格である「実勢価格」のほか、国土交通省が発表している「公示地価」、都道府県による「基準地価」、国税庁の「路線価」、市町村の「固定資産税評価額」、の5つの指標で評価されることから、「一物五価」とも言われます。 関連記事はこちら公示価格とは?実勢価格との違いと活用法をわかりやすく解説 土地の評価方法 土地の評価は金融機関によって重視する基準も異なりますが、比較的よく用いられるのは国税庁の路線価です。路線価の正式名称は「相続税路線価」といい、相続税を算定するときに使う地価のことです。 一般的な不動産の売買価格は公示地価や基準地価に基づいて算定されており、路線価は公示地価、基準地価よりも低く、その8割程度とされています。つまり、路線価は、公示地価、基準地価より2割程度は割安に評価されているわけです。 不動産担保ローンの審査の際に実態よりも低い路線価が採用されている理由は、金融機関のリスクヘッジのためです。不動産担保ローンでは、融資金の回収が不可能となった場合に、担保不動産を売却することで融資金を回収します。 しかし、地価の値下がりなどによって不動産の価値が下落すると、担保不動産を売却しても融資金を回収できない恐れがあります。そこで、より保守的な価格である路線価を採用し、将来的に不動産の価値が値下がりをしても、融資金を回収できる可能性が高まります。 建物の評価方法 土地に比べて建物の評価の方法は少し複雑です。まず、建物の「再調達価格」を算定するところから始まります。再調達価格とは、その建物を新たに建築、購入した場合に必要となる金額のことです。そして、建物の「延べ床面積」や「法定耐用年数」などを用いて、建物の評価額を決定します。 ただし、建物の築年月が法定耐用年数を超えていると、建物の価格は0円とみなされることが多い点には注意が必要です。例えば、住宅用の木造戸建ての場合、国税庁が定める法定耐用年数は22年です。すると、築22年を超えた戸建ての建物価格は0円とみなされます。したがって、注文住宅などの比較的建物にお金をかけている建物だとしても、築年数が古いことで建物の評価は大きく下がります。 不動産担保ローンの審査に通過するためのポイント 不動産担保ローンの審査に通過するためには、事前準備が大切です。必要書類を早く集め、担当者からの質問には正確に回答して、なるべく多くの情報を提供することを心掛けましょう。担保不動産の評価や信用力も大切ですが、担当者への対応も審査結果に影響を与えます。 不動産担保ローン審査までの流れ 一般的に、不動産担保ローンの審査に進むためには金融機関のホームページから仮審査を申し込む必要があります。仮審査に申し込むとフォームで入力した内容をもとに、金融機関の担当者が仮審査を行います。 関連記事はこちら不動産担保ローンの「仮審査」とは? 仮審査の段階では一般的に、担保の対象となる不動産をそもそも取り扱えるのか、また、担保としたときに希望金額を融資することができるのかを主軸に審査します。仮審査に通過すると、金融機関の担当者との面談や借り入れの本申し込みに進みます。 不動産担保ローンの審査における必要書類 本申し込みに進むと前述した信用力や不動産の価値の審査に入り、必要に応じて以下のような必要書類を準備することとなります。 納税証明書 収入証明書(源泉徴収票や確定申告書) 借入残高証明書(住宅ローンを借りている場合) 商業登記謄本、決算書類、事業計画書など(法人の場合) 不動産登記簿謄本 固定資産税納付書 納税証明書や収入証明書は、自治体の窓口で即日発行が可能です。住宅ローンが残っている不動産を担保にする場合は、住宅ローンを組んでいる金融機関に借入残高証明書の発行を依頼します。法人の場合は商業登記謄本や決算書類、事業計画書なども提出しなくてはなりません。 関連記事はこちら納税証明書とは?種類ごとの記載事項や取得方法などを解説 不動産登記簿謄本は法務局の窓口のほか、郵送やオンラインによる交付請求も可能です。固定資産税納付書は手元に保管しているかを確認し、見つからない場合は自治体の窓口で相談しましょう。 すべての必要書類を準備するには時間がかかるので、余裕を持って対応することが大切です。金融機関や条件によって、上記以外の必要書類もあるので、担当者に必ず確認しましょう。 不動産担保ローンの審査を受ける際の注意点 金融機関は日々多くの相談を受けており、担保不動産や信用力の調査を徹底的に行うため、虚偽の情報は逆効果です。仮に審査に通過したとしても、融資実行後に嘘が発覚した場合は一括返済を求められる恐れもあります。不利になることも正直に伝えるなど真摯に対応することで、金融機関から信頼を得ることができ、結果として審査に通過しやすくなるでしょう。 また、個人事業主や法人の場合は、事業計画書の内容も重要です。金融機関の信頼を得られるように、客観的な事業計画を具体的に作成することも審査通過のポイントです。内容がわかりやすく、根拠をもとに作られた事業計画であれば、金融機関は審査しやすくなります。 事業計画書を提出する前には、専門家などに内容を確認してもらうといいでしょう。自分ひとりで事業計画書を作成すると、金融機関の印象を少しでも良くしたいという思いから、売上などの見通しが甘くなることも考えられます。専門家の視点を取り入れることで、実現可能性が高い、説得力のある事業計画を作成できます。 不動産担保ローンの審査期間 不動産担保ローンを申し込む人の中には、急ぎで資金を借りたい人もいるかもしれません。しかし、不動産担保ローンは即日や数日での融資には向いていない商品です。キャッシングやカードローンなどの無担保ローンでは、融資金額が比較的少額であり、収入証明書などの限られた書類を基に最短30分での借り入れが可能な商品性を持っています。 一方で、不動産担保ローンでは、前述の信用力や不動産の価値を審査するための書類だけでなく、実際に担保となる不動産を調査するために現地に赴くなど、無担保ローンにくらべて一定の審査期間が必要です。 そのため、スピード融資を謳っている金融機関でも、一般的には2週間程度の期間がかかると思っていた方が良いでしょう。 関連記事はこちら即日融資可能な不動産担保ローンの注意点を解説!最短で資金調達するには? まとめ 不動産担保ローンの審査の対象は、融資をする相手の「信用力」と、担保となる「不動産の価値」であることを説明しました。しかし、審査通過のためには正確な情報を真摯に担当者に伝え、金融機関からの信頼を得ることが大切です。これらのポイントを踏まえたうえで不動産担保ローンの審査に進むといいでしょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ 不動産担保ローンの金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限の金利が表示されます。このような表示は、申込金額等の条件によって適用金利が変わることを表しています。当然、ローンを借りる...

  • 不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説

    不動産担保ローンとは?仕組みやメリット・デメリットを解説

    不動産担保ローンは、土地や建物などの不動産に抵当権を設定し、資金を借り入れるローン商品です。無担保ローンに比べて、高額な資金を相対的に低い金利で調達できる傾向がある反面、返済が滞った場合には担保不動産を失うリスクが存在し、融資実行までのスピードや諸費用の発生など注意点もあります。 本記事では、不動産担保ローンの仕組みやメリット・デメリット、審査の進行や融資実行手順について解説します。 項目 内容 担保の有無 あり(不動産) 金利の水準 相対的に低い 借入限度額 相対的に高い(不動産評価額の60〜80%程度が目安) 融資実行スピード 数日〜数週間程度 主な資金使途 事業資金、借換資金、相続対策など 主なデメリット・リスク 諸費用(登記・手数料など)の発生、返済不能時の競売リスク ※借入条件の詳細は、各金融機関の規定や商品性によって異なります。 不動産担保ローンとは 不動産担保ローンは、不動産(土地、戸建て、マンションなど)を担保として提供し、金融機関から融資を受ける資金調達方法です。金融機関は、万が一返済が滞った際の債権保全(資金回収の担保)として、対象不動産に「抵当権」を設定します。 この保全機能により、金融機関は貸し倒れリスクが軽減されるため、相対的に低い金利や高額な融資枠が設定される場合があります。また、金融機関の規定によっては、借入人個人だけではなく、親族や法人が所有する不動産であっても、所有者の同意を得ることで担保として差し入れることができます。 不動産担保ローンのメリット 不動産担保ローンのメリットとして、主に金利負担の軽減や借入枠の拡大が挙げられます。それぞれの具体的な特徴を解説します。 金利負担の軽減 不動産担保ローンは、カードローンや消費者ローンなどの無担保ローンと比較して、適用金利が低く設定される傾向があります。 日本貸金業協会が公表した「月次統計資料(令和8年7月)」によると、消費者向けの無担保貸付(住宅向を除く)の平均約定金利が15.06%であるのに対し、有担保貸付(住宅向を除く)の平均約定金利は4.38%となっています。 例えば、300万円を無担保の消費者ローン(年利15.00%)で借り入れる場合と、有担保の不動産担保ローン(年利4.40%)で借り入れる場合では、一定条件によるシミュレーション上、金利負担に総額約53.4万円の差が生じる計算となります。 ※いずれも借入期間3年、元利均等返済とした場合のシミュレーション。実際の利息額は返済方式や借入期間によって異なります。 出典)日本貸金業協会「月次統計資料(冊子版)」 借入限度額の拡大 不動産担保ローンは、担保となる不動産の評価額に基づいて限度額が算出されます。一般的に金融機関は、不動産の市場価値に対して60〜80%程度の「掛目(かけめ)」を設定し、融資可能額を決定します。 カードローンの借入限度額が数百万円〜1,000万円程度にとどまることが多いのに対し、評価額の高い不動産を担保とすることで、1億円を超える融資を受けられるケースも存在します。 長期借り入れによる月次負担の平準化 返済期間を長期に設定できる点も特徴です。金融機関によっては、住宅ローンと同等の最長35年の返済期間を選択できる場合があります。 長期間にわたり固定金利タイプの元利均等返済を活用することで、毎月のキャッシュアウトをコントロールすることが可能です。ただし、返済期間が長くなるほど支払利息の総額は増加します。 利用にあたっては、金融機関のWebサイトなどで提供されている返済シミュレーターを活用し、総返済額をあらかじめ確認することを推奨します。 不動産担保ローンのデメリットとリスク 低金利や高額融資といったメリットがある一方で、不動産を担保とする性質上、特有の注意点が存在します。 融資実行までの所要時間 不動産担保ローンは、無担保ローンに比べて融資実行までの期間が長くなる傾向があります。個人信用情報に基づく与信審査に加え、不動産の現地調査や権利関係の確認、担保評価の算出といったプロセスを要するためです。一般的に、融資申込から融資実行まで数日〜数週間程度を要します。 諸費用の発生 低金利が適用される反面、契約時に以下のような諸費用が発生します。 事務手数料(定率の場合:融資金額の最大3%程度が目安) 不動産調査費用(簡易鑑定費用) 印紙税 抵当権設定のための登録免許税 司法書士への報酬 借入金額や期間によっては、無担保ローンを利用した場合よりも総支払額(利息+諸費用)が高くなる恐れがあります。事前に金融機関から見積書を取得し、事務手数料を含めた実質年率ベースでの比較検討が必須です。 返済不能時の競売リスク 不動産担保ローンの最大のリスクは、返済が滞った場合に担保不動産を失う恐れがある点です。融資契約の不履行が継続し、金融機関が債権回収困難と判断した場合、法的手続きに基づき不動産が競売にかけられる可能性があります。競売では市場価格よりも安価で売却される傾向があり、売却後も債務が残る恐れもあります。 競売リスクへの対応策 返済に行き詰まる予兆がある場合は、延滞が発生する前に速やかに借入先の金融機関へ相談(リスケジュールの打診)を行うことが重要です。また、競売を回避する手段として、金融機関の同意を得たうえで市場価格に近い金額で不動産を売却する「任意売却」という選択肢も存在します。 関連記事はこちら競売とは?競売を回避すべき理由とその回避方法 不動産担保ローンの申し込みから融資までの手続き 融資を受けるまでの流れは、事前の仮審査申込から不動産調査、契約手続きまで複数の段階を経ます。融資実行にあわせて担保設定の登記申請が行われます。一般的な手続きフローは以下の6ステップです。 仮審査(事前審査):金融機関のWebサイトや窓口から申し込み、簡易的な不動産情報と属性情報をもとに融資の可否や概算限度額の仮審査判定を受けます。 面談・本申込:仮審査通過後、金融機関の担当者と面談を行い、必要書類を提出して正式な申し込みを行います。 不動産調査:金融機関または指定の不動産鑑定機関が、対象物件の現地調査や法務局での権利確認を実施します。 本審査:不動産調査と並行して、申込者の信用情報機関への照会などを通じた与信審査が行われます。 契約手続き:本審査通過後、融資条件の合意のもと、金銭消費貸借契約および抵当権設定契約を締結します。 融資実行:司法書士を通じて管轄の法務局へ抵当権設定登記を申請し、指定口座へ資金が振り込まれます。 不動産担保ローンの必要書類チェックリスト 不動産担保ローンの手続きを円滑に進めるため、事前に以下の書類を手配しておくことが望ましいです。ただし、必要書類は金融機関によって異なり、金融機関や法人・個人の別によって追加書類が求められる場合などがあります。 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど) 実印 印鑑証明書 納税証明書、固定資産税納付書 収入証明書(源泉徴収票・確定申告書など) 不動産登記簿謄本 不動産権利証(登記識別情報) 借入残高証明書(他社借り入れがある場合) 商業登記簿謄本、決算書類、事業計画書など(法人の場合) 書類の提出タイミングと注意点 本申込時には、運転免許証やパスポートなどの本人確認書類の提出が必要です。契約時には、印鑑証明書や実印を用意する必要があります。 審査の過程では、申込者の信用力を判断するために、納税証明書や固定資産税納付書、収入証明書などが求められます。また、担保となる不動産の状況を確認するために、不動産登記簿謄本や借入残高証明書の提出を求められることもあります。 金融機関によって異なる書類要件 必要書類は、金融機関の審査基準や担保とする不動産の種類によって異なる場合があります。特に法人名義の不動産を担保とする場合や、共有名義の不動産を提供する場合は、追加書類が必要になることもあります。 事前に金融機関の担当者に確認し、漏れなく準備することで、審査や契約がスムーズに進みます。 不動産担保ローンの審査基準 不動産担保ローンの審査は、主に「申込者の返済能力(信用力)」と「不動産の担保価値」の2軸で評価されます。 返済能力(信用力)の評価 個人の場合は、勤務先、年収、指定信用情報機関に登録されている過去の債務履歴や現在の借入総額などが確認されます。法人の場合は、事業の収益性、財務健全性、今後の事業計画などの蓋然性が焦点となります。 関連記事はこちら不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイント 不動産の担保価値の評価 対象不動産の立地、築年数、面積、法的規制(建築基準法への適合状況など)を基に担保評価額が算出されます。一般的に、流動性の高い都市部の不動産や、法定耐用年数の残存期間が長い建物を有する不動産は高く評価される傾向があります。 関連記事はこちら不動産担保ローンの担保評価額を解説!いくら借りられるかの目安を知る方法とは? 金融機関による審査アプローチ 銀行とノンバンク(貸金業者)では審査のアプローチが異なります。銀行は金利が低い分、申込者の信用力や返済能力を厳格に審査する傾向があります。一方、ノンバンクは不動産の担保価値をより重視する傾向があり、独自の審査基準に基づいて融資可否を判断します。そのため、銀行で融資を受けることが難しかった場合でも、ノンバンクであれば融資可能と判断される場合があります。 関連記事はこちら不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い 不動産担保ローンの具体的な活用シナリオ 複数債務の借り換えによる資金繰り改善 高金利の無担保ローンを複数抱えている場合、不動産担保ローンを活用して一本化(おまとめ)することで、加重平均での適用金利の引き下げ効果と毎月の返済額の軽減を図れる見込みがあります。例えば、複数社から計500万円を実質年率15%(加重平均)で借り入れている状態から、実質年率5%の不動産担保ローンへ一本化(おまとめ)することで、年50万円程度の返済額を軽減できる可能性があります。 ※いずれも借入期間5年、元利均等返済とした場合のシミュレーション。実際の利息額は返済方式や借入期間によって異なります。 法人の事業資金調達 赤字決算などの理由で、日本政策金融公庫や民間金融機関のプロパー融資が受けにくい法人であっても、一定の価値がある不動産を担保に提供することで融資を受けられる可能性があります。ただし、審査基準は金融機関によって異なり、事業計画の合理性や担保物件の流動性に基づき審査が行われます。 相続資金の確保 相続税の納税資金や、遺産分割における代償金の支払いのために現金が必要な場合、相続した不動産を担保にして資金を調達する活用法です。手元に現金が不足していても、不動産を急いで売却することなく、必要な納税・分割資金を確保できる可能性があります。 不動産担保ローンに関するよくある質問(FAQ) 不動産担保ローンの利用を検討するにあたり、よく寄せられる質問とその回答を整理しました。 住宅ローン返済中の不動産でも担保にできるか 住宅ローン残債がある物件でも、不動産の評価額から住宅ローンの残債を差し引いた「担保余力」が存在する場合、後順位(第二順位以下)の抵当権を設定することで借り入れが可能な場合があります。ただし、債権回収にあたって第一順位の債権者が優先して回収を行うため、金融機関側のリスクが高く、審査は厳格化される傾向にあります。 関連記事はこちら住宅ローン返済中でも不動産担保ローンは使える?借り入れ可能な人の条件 家族や法人が所有する不動産を担保にできるか 親族や自社(法人)が所有する不動産であっても、所有者本人が「物上保証人(自己の財産を他人の債務の担保に供する人)」として同意し、契約手続きに署名・捺印することで担保提供が可能な場合があります。 共有名義の不動産でも融資可能か 共有名義の不動産全体を担保に設定する場合、共有者全員の同意(物上保証人としての署名・捺印など)が必要です。自身の持分のみを担保にすることは実務上困難なケースが大半を占めます。 個人信用情報に不安があっても融資可能?審査のポイント 自身の個人信用情報に不安がある場合でも、不動産担保ローンなら融資を受けられる可能性はゼロではありません。各金融機関によって審査基準が異なるため、仮に1社で断られても、他社では融資が可能と判断されることもあります。 融資限度額の決定要因 融資限度額は、一般的に申込者の信用力や返済能力、担保不動産の評価額などを基に決定されます。金融機関によって審査基準や不動産担保評価額に対する掛目が異なるため、上限額は変動します。正確な金額を把握するには個別の相談と審査が必要です。 関連記事はこちら不動産担保ローンの相談でよくある悩みと解決策|第二抵当や信用情報に不安がある場合は? まとめ 不動産担保ローンは、不動産を担保に抵当権を設定することで、カードローンや消費者ローンなどの無担保ローンと比較して低金利・高額・長期の借り入れを可能にする資金調達方法です。個人の複数ローン・複数債務からの借り換え(おまとめ)や法人・事業者の事業資金調達などにおいて有効な選択肢となります。 一方で、事務手数料や調査費用などの諸費用の発生や、融資実行までのリードタイム、最悪のシナリオとして不動産競売リスクを内包しています。利用にあたっては、複数金融機関の表面的な金利だけでなく事務手数料等を含めた実質年率ベースで諸条件を比較し、余裕を持った返済計画を立案した上で申し込むことが求められます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ 不動産担保ローンの金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限の金利が表示されます。このような表示は、申込金額等の条件によって適用金利が変わることを表しています。当然、ローンを借りる...

  • ローンの種類を知って賢くお金を借りる

    ローンの種類を知って賢くお金を借りる

    人生には、多額の出費を迫られるケースがたびたび起こります。必要な金額が、手持ちの現金や貯金を上回るようであれば、お金を借りる=「ローンを組む」ことになります。その際、重要なことは、使いみちに合ったローンを借りること。そのために、どんなローンがあるのかを知っておくことがポイントになります。 1.一般的な「目的別ローン」とは? ローンの種類には、いろいろなものがありますが、一般的なものは使う目的別に分けたものでしょう。全国銀行協会のホームページを見ると、目的別ローンとして以下のようなものが挙げられています。 目的別ローン マンションや一戸建てを購入する資金を金融機関から借りる「住宅ローン」、自動車を購入する資金を借りる「マイカーローン」、子供の進学に伴う教育資金を補うための「教育ローン」、事業を行っている人が事業に必要な資金を借りる「事業ローン」などです。 目的が限定されていないローン また、目的が限定されていないローンもあり、「カードローン」や「フリーローン」といったものは、お金を借りた人が自由に使えるローンです。カードローンは金融機関のATMやCD(キャッシュディスペンサー)などでの即時の借り入れが可能で、生活費などに充てられることが多いようです。それに対して、フリーローンは旅行や結婚、入院や手術といった比較的大きな出費に対応するローンと言えるでしょう。いずれも、お金の使いみちは限定されません。 2.「担保」の有無でも分けられる こうした目的別の種類のほかに、〝ローンを組む際に担保が必要かどうか〟で分ける方法もあります。文字どおり、担保が必要なものが「有担保ローン」で、必要がないのが「無担保ローン」になります。 有担保ローンとは 少し難しくなりますが、担保とは、万が一ローンを借りた人が借入金の返済ができなくなった場合に備えて、借りた金額と同じ程度の価値を有する物を借入先に提供し、返済を行なうというものです。 例えば、「住宅ローン」は購入するマンションや一戸建てを担保とし、不動産購入のためにお金を借りることです。一方、「不動産担保フリーローン」は既に所有している不動産を担保とするもので、資金使途は自由です。どちらも、何らかの理由で借入金の返済ができなくなった場合、お金を貸した金融機関は担保物件であるマンションや一戸建てを売却して、その代金で貸出金を回収することになります。また、「マイカーローン」も有担保で組むのが一般的です。返済ができなくなったときは、担保として提供している自動車を金融機関が売却することになります。 無担保ローンとは 無担保ローンはこうした担保が必要ではありません。目的別ローンで挙げた、教育ローンやカードローン、フリーローンなどが無担保ローンに該当します。 また、有担保ローンであり、かつ、資金の使途が自由というものもあります。それが「不動産担保フリーローン」です。既に所有している不動産を担保として提供し、借入金の返済ができなくなった場合、住宅ローン同様、金融機関は担保である土地や建物を売却します。 3.「有担保ローン」と「無担保ローン」のメリット、デメリット 無担保ローンは、担保が要らないので、借りる人の身分証明書などを用意すればすぐに借りることが可能です。特にカードローン(キャッシング含む)などでは、最近、新規であっても金融機関の店頭に行くことはなく、ATMやCDで身分証明書を登録すれば、その場で借り入れることができるほど手軽になっています。ただし、その分、借りる際の金利は高めに設定されており、借り入れの限度額は低く、長期間の借り入れはできないようになっています。 一方、有担保ローンは担保が必要になるので、すぐに借りるということはできません。その理由は、借りる金額にその担保の価値が見合っているかどうかを、金融機関が判断しなければならないからです。つまり、お金を貸すかどうかを金融機関が判断する「審査」の期間が必要になるわけです。 しかし、担保があることで、無担保ローンに比べると借り入れの金利はグッと低くなります。さらに、借り入れの限度額も大きくなり、また、長期間にわたって借りることができるようになります。住宅ローンでは、数千万円の資金を1%台の金利で30年間借りる、といったことも普通に行われています。金融機関は担保を確保することで、安心してお金を貸すことができるのです。 担保の有無による借入金利の差 担保の有無による借入金利の差は、フリーローンの方が分かりやすいでしょう。例えば、借り入れる金額にもよりますが、一般的な無担保のフリーローンの金利は4.0~15.0%であるのに対して、不動産担保フリーローンは2.9~9.5%となっています。 4.まとめ このように、ひと口にローンと言ってもさまざまな種類があることがわかります。ローンの3大条件といえる、借入金額・金利・借入期間は、お金の使いみちや担保の有無によって大きく変わってきます。借りる目的に合ったローンを組むようにして、お金は賢く借りるべきです。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ 不動産担保ローンの金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限の金利が表示されます。このような表示は、申込金額等の条件によって適用金利が変わることを表しています。当然、ローンを借りる...

    2019.02.05ローン全般
  • 不動産価値の高め方と立地条件と不動産価値の関係

    不動産価値の高め方とは?立地条件と不動産価値の関係

    不動産の価格は価値と連動するため、高く売るためには価値を高めることが大切です。 それでは、所有する不動産をできるだけ高く売るために、オーナーは何を行えば良いのでしょうか。 不動産価値を高めるための方法や高く売れるための条件などを、弊社内で実施したアンケート結果を基にご紹介していきます。 1.不動産価値を高める方法 一般的に、不動産の価値は年数が経過していくにつれ、少しずつ低下してしまいます。 ただ、リフォームなどをして手を加えることで、能動的に資産価値を高めることも可能ですし、駅から近い、環境が良いなどの利便性が高いエリアの場合、基本的に不動産価値は高くなります。 次の章から、不動産価値の高め方について具体的に説明していきます。 2.不動産価値を短期的に高める方法 まずは、短期的(1年以内)に不動産価値を高める方法をご紹介していきます。 「仮にあなたが持っている不動産を短期間(1年以内)で売却しようと考えた場合、より不動産価値を高めるためにどんなことをしますか。具体的に教えてください。」という内容でアンケートを実施しました。 自由回答で実施したのですが、「リフォーム」「掃除・クリーニング」「立地条件・周辺環境をアピール」という3つが意見として多く寄せられました。 実際の回答も含めながら、なぜそれらが重要なのかを詳しくお話していきます。 リフォーム 築年数が経った不動産に長期間住んでいるとどうしても古い印象を受けてしまうため、リフォームにより築年数やエリアが同条件の不動産と差別化を図ることで、不動産価値を高めることが可能です。 短期的に価値を高める場合は、リフォームで部屋や外壁をきれいにするという回答が目立ちました。 特に、キッチンやトイレ、お風呂といった水回りは要チェックポイントですので、掃除できれいにするのが難しい場合は、リフォームをすることをおすすめします。 以下、アンケートの回答になります。 ・外観をリフォームする。 第一印象をよくする。 ・フルリフォームにより他の不動産と差別化を図る。 ・ここに住みたいと思わせるような第一印象が大事である為、リフォーム等で見栄えを良くする。 ・内装、外装の手入れと水周り等の注目ポイントの精査。 掃除・クリーニング リフォームまではいかなくても、掃除・クリーニングを定期的に行い、部屋をきれいにしておくことは重要です。 リフォーム分の費用を不動産に反映させるのが難しい場合は、買い手の気持ちを考えると、やはりきれいな部屋の方が購買意欲がわき、印象も良くなります。 不動産に合わせ、部屋の掃除や定期的な除草、防草シートの設置、外構や庭木の手入れなどを行いましょう。 以下、アンケートの回答になります。 ・土地であれば、定期的な除草、防草シートの設置などにより見栄えを良くする。建物付(マンション含)であれば建物内外のクリーニング。 ・ハウスクリーニングなどを行い、建物の見栄えを良くする。 ・不動産は見た目が大切だと思います。外構や庭木の手入れをする事で、購入者の印象が良くなると思います。 ・建物内のクリーニングを行い見栄え等良くする。 立地条件・周辺環境をアピール 立地や周辺環境も不動産価値に大きく影響します。 立地や周辺環境を変更することはできませんが、同じ条件であってもアピールの方法で不動産価値に大きく影響します。 駅から徒歩数分や不動産周辺に大型商業施設、学校、病院、スーパー、コンビニ、ドラッグストアがあるなど、立地条件の良さ、利便性のプラス面を積極的にアピールしましょう。 以下、アンケートの回答になります。 ・周辺環境や同エリアの売買事例を把握し、価格設定を不動産事業者に頼りきらない。 ・不動産のモノにもよるが、売却したい不動産のアプローチブックを作成し、駅アクセスや周辺環境、不動産の将来性、住宅ローンシュミレーション等用意しアピールに努める。 ・立地条件及び住宅設備のアピール。 仮に戸建てで長期優良住宅に認定されている場合であれば、税金の減税等をアピールする。 ・利便性や周辺環境、今後の市場相場のアピール。 3.不動産価値を長期的に高める方法 次に、長期的(1年超)に不動産価値を高める方法をご紹介していきます。 「仮にあなたが持っている不動産を長期間(1年超)で売却しようと考えた場合、より不動産価値を高めるためにどんなことをしますか。具体的に教えてください。」という内容でアンケートを実施しました。 自由回答で実施したのですが、「リフォーム・リノベーション」「収益不動産としての価値を高める」という2つに意見が集中しました。 先ほどと同様に、実際の回答も含めながら、なぜそれらが重要なのかを確認していきましょう。 リフォーム・リノベーション 長期的に不動産の価値を高めようとしたとき、リフォームやリノベーションが有効な手段となります。 リフォームは老朽化した不動産を新築のようにするものですが、リノベーションでは、建物の価値をより高めるため、設備をより現代的なものにしたり、耐久性を高めたりします。 短期的に不動産価値を高める場合は、内部や外壁などの一部をリフォームすると答えた方が多かったですが、長期的に高めていく場合は、全体的にリフォームやリノベーションを実施して、価値を高めていくと答えた方が多かったです。 以下、アンケートの回答になります。 ・外観及び室内設備のフルリフォーム実施。 ・特定の層に対し響くリフォーム(音楽可など)の実施とそれに伴う家賃の向上。 ・外観及び室内設備のフルリフォーム実施。 ・リノベーションによる資産価値の向上。 収益不動産としての価値を高める 収益不動産として価値を高めていくことも選択肢の一つと言えます。 需要の大きいエリア(立地)であれば、入居者の入れ替え時や更新時に家賃の値上げを行い、不動産価値を上げることも有効です。 以下、アンケートの回答になります。 ・エリア特性も、考慮しリノベ後のリロケーション計画(企業単身赴任者用収益)優良企業を借り主とした収益不動産として、その時の為替レートにより有利な海外投資家へ販売。 ・賃貸需要が旺盛な地域であれば、収益不動産の建設やリフォーム。 ・特定の層に対し響くリフォーム(音楽可など)の実施とそれに伴う家賃の向上。 ・収益不動産であれば、属性の悪いテナントの入れ替えや不動産の大規模修繕を行って不動産価値の維持を図ります。 実需であれば、室内のクリーニングや水周りの更新、外壁の補修等を実施して不動産の価値の維持を図ります。 4.立地条件と不動産価値の関係 立地条件は良いほど不動産価値は上がるのが一般的です。 ただ、状況によっては立地条件が良くても相場以下の評価になることもありますし、立地条件はそれほど良くなくても、相場以上の評価になることもあるのです。 このような場合、一体どんなケースが考えられるのでしょうか。 そこで、「立地条件がそれほど良くない不動産でも相場以上の価値を評価した経験があれば、その理由や背景などを詳しく教えてください。」「立地条件が良い不動産でも相場以下の価値を評価した経験があれば、その理由や背景などを詳しく教えてください。」とそれぞれの状況について、実例を調査してみました。 立地条件が影響しないケースは少ない どちらも「特にない」という回答が4割前後を占めており、立地条件は非常に大きな要因の1つであるということが、再認識できる結果となりました。 ただその中でも、道路付けや嫌悪施設(墓地など)の状況によっては、相場より高い(もしくは低い)評価をしたことがあるという経験をした人も少なくありませんでした。 また、戦略的にあえて相場より高く(もしくは低く)評価したという経験をしている人も一部いました。 最後に、それぞれの主な回答をご紹介していきます。 立地条件がそれほど良くない不動産でも相場以上の価値を評価した理由 ・室内・エクステリア設備と建物のグレード、大型分譲地などの生活環境、道路付け・地形・高低差といった要因が良好だったため。 ・建物の仕様や大手建築メーカーの建築など、残存価値を最大化して評価したため。 ・再開発事業などで今後の発展が見込まれたため。 ・個別要因に優れていたため(注文建築の築浅不動産・前面接道が南で向かいに公園等の公共施設空地が有る・エリア人気により潜在需要が高く不動産化後の販売期間が短期な不動産(一般公開しなくても売買が可能なエリア))etc。 ・容積率の緩和が適用されたため。 立地条件が良い不動産でも相場以下の価値を評価した理由 ・立地条件は最寄り駅からの距離だけではなく、道路付け、地形、高低差は当然評価に影響する。その他嫌悪施設、騒音なども評価にマイナスに影響を与える。 ・近隣に嫌悪施設がある場合は、立地が良くても総売価の評価をつけざるを得ないため。。 ・個別要因比較において、条件(地形、道路条件等)が劣ると判断される場合、価格面で競争力を付けるため。 ・路地状敷地、三角地など地形が不正形なため。。 ・道路付けや地形、高低差等に加えて、境界確定が出来ないことが明らかなため。 5.まとめ 不動産価値は、立地条件や道路付けなどで大きく価値は変動しますが、購入後もリフォームやリノベーション、清掃などで高めることが可能です。 できるだけ価値を高めるためにも、定期的な掃除などできる部分から始めていきましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産評価の方法と不動産価値の考え方 不動産は用いられる指標や利用状況などによって、算出される価値が異なるという特徴を持ちます。また、戸建てとマンションでも資産価値の考え方は異なる場合があります。 この記事では、不動産評価におけ...

    2019.01.29不動産価値
  • 不動産評価の方法と不動産価値の考え方

    不動産評価の方法と不動産価値の考え方

    不動産は用いられる指標や利用状況などによって、算出される価値が異なるという特徴を持ちます。また、戸建てとマンションでも資産価値の考え方は異なる場合があります。 この記事では、不動産評価における重要なポイントや、戸建てとマンションで異なる資産価値の考え方などを紹介します。 不動産評価の方法 自宅などの不動産を購入する際、その不動産を評価する方法を把握することが重要です。不動産の価値の考え方は、1つの土地に対して5つの種類があるとされ、一物五価とも呼ばれます。 公示価格(公示地価) 実勢価格 基準地価 路線価 固定資産税評価額 このうちどれを適用するかによって計算結果は異なります。一方で、どの評価方法を用いたとしても重要なポイントは同じです。この重要なポイントを、SBIエステートファイナンス株式会社が実施したアンケート結果を基に紹介していきます。 出典)SBIエステートファイナンス株式会社「不動産のプロ104人に聞いた、30年後に価値の落ちない物件とは 不動産価値の下がらない物件の種類は一戸建て⁉~SBIエステートファイナンスが不動産価値に関してアンケート調査を実施~」 不動産評価のプラス面で重要なポイント まずは、不動産評価のプラス面から確認してみましょう。 「不動産物件の30年後を見据えた場合に、価値を左右する重要なポイントを重要度合いの高いものから3つまで選んでください。」という質問をしたところ、「最寄り駅からの距離や公共交通機関の利便性」が最も選ばれ、次点で「日常的な買い物施設、飲食店などへのアクセスの良さ」「築年数や建物のグレード」「地震・台風などの自然災害に対する安全性」という3つの項目が僅差で並びました。 最寄り駅からの距離や公共交通機関の利便性 不動産は基本的に駅に近い方が評価が高くなります。公共交通機関の利便性が高い都市部では、駅からの距離が重要な評価ポイントであり、公共交通機関が揃っているエリアでは土地そのものも高くなります。 逆に地方部では車での移動が中心であることから、都市部ほど最寄り駅からの距離が評価に影響しないこともあります。 日常的な買い物施設、飲食店などへのアクセスの良さ 自己居住用の不動産においては、日常的な買い物施設や飲食店などへのアクセスの良さが不動産評価に影響します。食料品や日用品を購入できるスーパーマーケットやドラッグストアのほか、単身者向けの物件ではコンビニエンスストアも評価ポイントです。 そのエリアの居住者の需要の高い飲食店があるかどうかもポイントです。例えば、単身者向けであればファストフードなどが挙げられます。 築年数や建物のグレード 物件の築年数は、建物の状態や地域の人気度と異なり、誰でも確認できる客観的なデータであり、評価において重要な情報です。一般的に古いものほど資産価値は下がりますが、エリアや不動産の種類、室内の状況によって変化します。 例えば、築年数が古い不動産であっても、人気エリアや利便性の高いエリアであれば資産価値は下がりにくい傾向にあります。また、建物の耐用年数は木造が22年、鉄筋コンクリート造が47年と法律で定められおり、耐用年数が長い鉄筋コンクリート造の方が、不動産評価は高くなる傾向にあります。 地震・台風などの自然災害に対する安全性 大規模な地震や津波、台風などの自然災害に見舞われたとき、その物件が耐えられるかどうか、という点も重要なポイントです。地震については物件の耐震性や免震構造などの点、津波や台風などの水害においては、ハザードマップを確認することが重要です。 関連記事はこちらハザードマップとは?使い方や活用ポイントを解説 不動産の階数、方位、位置 その他にも、客観的にわかりやすい情報として、不動産の階数や方位、位置などもポイントになります。 特にマンションでは、階層や部屋向きが重要です。低層階と高層階では、眺望の良い高層階が人気のため、価格が高くなる傾向にあります。反対に、1階はセキュリティなどの要因から価格は安くなる傾向にあります。 方位はそれぞれにメリット・デメリットがありますが、「南→東→西→北」の順に人気です。やはり日当たりの良い南向きを好む方が多く、日照が悪い北向きなどよりも価格は高くなる傾向です。ただし、この傾向もエリアや立地によって異なることを念頭に置いておきましょう。 不動産評価のマイナス面で重要なポイント 次に、不動産評価のマイナス面を確認してみましょう。 「不動産物件の30年後を見据えた場合に、不動産価値が下落する要因として最も影響度が高いと思うものを3つまで選んでください。」という質問をしたところ、「エリア周辺の過疎化」「自然災害の発生」「近隣に嫌悪施設(高速道路、火葬場、刑務所等)の建設が予定」という3つが、最も多くの支持を集めました。 エリア周辺の過疎化 過疎化や少子化が進んでいる地域は土地の需要がなく、時価が低くなる事例も見られます。評価額もある程度は地域の情勢を取り込んで決定されますが、まったく人気のない土地は、想像以上に価格が下がってしまうこともあります。 今後そのエリアが発展するのか衰退するのかは、不動産評価に大きな影響を及ぼす恐れがあるので、「日本の地域別将来推計人口」などを参考に、情報収集を行っておくといいでしょう。 出典)国立社会保障・人口問題研究所「将来推計人口・世帯数」 自然災害の発生 プラス面で「地震・台風などの自然災害に対する安全性」が挙げられたように、自然災害が発生することで不動産価値は大きく変化します。地震や台風などはあらかじめ予見できるものではありませんが、耐震性の高い物件を選定したり、沿岸部を避けて水害によるリスクを回避したりすることは可能です。 近隣に嫌悪施設(高速道路、火葬場、刑務所等)の建設が予定 嫌悪施設は周辺の土地の地価に影響を及ぼすマイナス要因となる場合があります。嫌悪施設とは火葬場や刑務所、高速道路など生活をしていく上で不快に感じることのある施設のことです。 たとえば、準住居地域で、路線価が同じ2つの土地があるとします。一方の土地は隣にカラオケスナックがあり、深夜まで大音量の音楽が聞こえてきます。もう一方の土地の隣にあるのは美容院で18時には閉店するため、夜はいたって静かです。この場合、評価価格は当然後者のほうが高くなります。 日銀の金融政策の「金融の引き締め」 その他にも、「日銀の金融政策の「金融の引き締め」」という回答もありました。日銀によって融資が引き締められると、不動産購入の需要が減少し、早期に利益確定をしたい売り手が徐々に価格を下げ、不動産価格が全体的に下落する恐れがあります。 戸建てとマンションで違う資産価値の考え方 ここからは、戸建てとマンションの資産価値の違いを見ていきましょう。「築年数や広さが同等の場合、下記の物件種別の中ではどの物件の価値が落ちにくいと考えますか?」という質問を行ったところ、一戸建てが最も価値が落ちにくいという回答が得られました。 一戸建て 一戸建ての価値が落ちにくい理由としては、以下のようなコメントがありました。 土地の価値が下がりにくいと考えるため。 近年の物件価格の推移をみる限り、マンション価格は長く上昇傾向にあるが、戸建て価格は一定の水準をキープしている。 相場のピークアウトが見られる現在、先に価格が下落するのは、相場の上がっているマンション系が先と考えている。 マンション 対して、タワーマンションや大規模マンションの価値が落ちにくい理由としては、以下のようなコメントがありました。 タワーマンション 人気エリアに立地していることが多いため。 新規で建てることが難しく絶対数に限りがあるため。 購入者が日本人だけに限らず外国人にも需要があるから。 大規模マンション 管理費修繕費の増額があまりないため。 戸数が多くて、管理がしっかりしていると思うため。 一戸建てについては、中古の評価基準が確立されていないので、マンションの方が資産の評価がしやすいと考えている まとめ 不動産の評価方法と不動産価値の考え方についてご紹介しました。今後、自宅を売買予定しているとき、収益用不動産の購入を検討しているときなど、今回紹介したポイントを参考に自分なりの不動産評価を考えてみるといいでしょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産価値の高め方とは?立地条件と不動産価値の関係 不動産の価格は価値と連動するため、高く売るためには価値を高めることが大切です。 それでは、所有する不動産をできるだけ高く売るために、オーナーは何を行えば良いのでしょうか。 不動産価値を高める...

    2019.01.22不動産価値