2023.05.03

生活福祉資金貸付制度とは?概要と手続きの流れを紹介

公開日:2023.05.03

生活福祉資金貸付制度をご存じでしょうか。本制度では、失業や減収などにより生活が困窮している人に対して、生活費や一時的な資金の貸し付けを行う「総合支援資金」が設けられています。状況に応じた様々な支援が用意されているため、いざという時の助けになるかもしれません。この記事では、生活福祉資金貸付制度を紹介します。

生活福祉資金貸付制度とは

生活福祉資金貸付制度とは、低所得者や高齢者、障害者の生活を経済的に支えるとともに、その在宅福祉および社会参加の促進を図ることを目的とした貸付制度です。都道府県社会福祉協議会を主体として、県内の市区町村社会福祉協議会が窓口となっており、それぞれの世帯の状況と必要に応じた資金の貸付等を行います。

出典)都道府県社会福祉協議会 お問い合わせ先一覧

また、資金の貸し付けによる経済的な援助にあわせて、地域の民生委員が資金を借り入れた世帯の相談支援を行っています。平成27年4月から施行された生活困窮者自立支援制度では、生活上のさまざまな課題がある人に、包括的な相談支援を行うことで自立の促進を図ることを目的にしています。

なお、あくまで本制度は「貸付事業」であることから、貸付することにより現在困っていることを解決できる一方で、「借金を負う」という世帯にとっての負担が伴います。順調に返済することが難しくなれば、世帯への支援を目的に貸付したものが、世帯への大きな負担となってしまいます。そのため、相談した時点で負担の方が大きく、貸付が支援にならないと判断される場合には、借り入れができません。

生活福祉資金の貸付対象

生活福祉資金の貸付対象は下記のとおりです。

  • 低所得世帯:資金の貸付、支援を受けることで、独立自活できると認められる世帯、かつ必要な資金を他から借り入れることが困難な世帯
  • 障害者世帯:身体障害者手帳等の交付を受けた人※が属する世帯
  • 高齢者世帯:65歳以上の高齢者の属する世帯

※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けた人

本制度は、個人ではなく「世帯の自立」を支援する制度です。世帯を支援するためには世帯全体の状況を把握することが必要です。そのため、世帯全員の就労・就学・疾病、収入や家計の支出、負債の状況等のヒアリングや、必要に応じた確認がされます。また、本制度の利用にあたって世帯全員の了解が必要です。貸付の相談から返済を完了するまでの間、社会福祉協議会の職員が世帯を支援します。(※ただし、資金貸付の「契約」は、借受人個人の方と締結することになります。なお、「仮受人」とは、本制度を利用して資金の貸付を受ける人のことを指します。)

生活福祉資金の種類

本制度では、用途別に大きく4つの種類が設けられています。

  • 総合支援資金
  • 福祉資金、教育支援資金
  • 緊急小口資金
  • 不動産担保型生活資金

総合支援資金

総合支援資金では、失業等で日常生活に困難を抱えた世帯の生活の立て直しのために、継続的な相談支援や生活費及び一時的な資金の借り入れができます。失業者等の個人を支援する制度ではなく、「世帯」の生活再建を支援する制度のため、世帯員の収入で生活できる場合は対象になりません。

総合支援資金には、生活再建までの間に必要な生活費用である「生活支援費」、敷金、礼金等住宅の賃貸契約を結ぶために必要な費用である「住宅入居費」、生活を再建するために一時的に必要かつ日常生活費で賄うことが困難な費用である「一時生活再建費」の3種類があり、それぞれ貸付条件が異なります。

生活支援費住居入居費一時生活再建費
貸付限度額月20万円以内(二人以上)
月15万円以内(単身)
40万円以内60万円以内
据置期間最終貸付日から6か月以内貸付日※から6か月以内
償還期限据置期間経過後10年以内
貸付利子保証人あり:無利子
保証人なし:年1.5%
保証人原則必要
ただし、保証人なしでも貸付可

※生活支援費とあわせて貸し付けている場合は、生活支援費の最終貸付日

出典)
社会福祉法人 東京都社会福祉協議会「総合支援資金のご案内」
厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧」

福祉資金、教育支援資金

具体的な利用目的がある場合に、該当する資金種類の借り入れができます。資金ごとに、貸し付けの条件・基準が定められており、総合支援資金と同様に世帯全員の収入を鑑みて対象か否かを判断します。

「福祉費」では、生業を営むために必要な経費や福祉用具等の購入に必要な経費など幅広い目的がありますが、それぞれ上限目安額が設定されています。

教育支援資金では、低所得世帯に属する人が、高校、大学または専門学校に修学するために必要な費用である「教育支援費」、入学に際し必要な費用である「就学支度費」があり、それぞれ貸付条件が異なります。

福祉費教育支援費就学支度費
貸付限度額580万円以内*1高校:月3.5万円以内*2
高専:月6万円以内*2
短大:月6万円以内*2
大学:月6.5万円以内*2
50万円以内
据置期間貸付日*3から6か月以内卒業後6か月以内
償還期限据置期間経過後20年以内
貸付利子保証人あり:無利子
保証人なし:年1.5%
無利子
保証人原則必要
ただし、保証人なしでも貸付可
不要*4

※1 資金の用途に応じて上限目安額の詳細はこちら
※2 特に必要と認める場合は、上記各上限額の1.5倍まで貸付可能
※3 分割による交付の場合には最終貸付日
※4 世帯内で連帯借受人が必要

出典)
社会福祉法人 東京都社会福祉協議会「福祉資金のご案内」
社会福祉法人 東京都社会福祉協議会「教育支援資金のご案内」

緊急小口資金

緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に借り入れができます。貸付対象の理由としては、下記のようなものが該当します。(一部抜粋)

  • 医療費または介護費を支払ったことなどにより臨時の生活費が必要なとき
  • 火災等の被災によって生活費が必要なとき
  • 年金、保険、公的給付等の支給開始までに必要な生活費
  • 会社からの解雇、休業等による収入減

また、貸付条件は下記のとおりです。

緊急小口資金
貸付限度額10万円以内
据置期間貸付日から2か月以内
償還期限据置期間経過後12か月以内
貸付利子無利子
保証人不要

出典)社会福祉法人 東京都社会福祉協議会「緊急小口資金のご案内」

不動産担保型生活資金

現在住んでいる自己所有の不動産(土地・建物)に、将来にわたって住み続けることを希望する低所得の高齢者世帯に対し、その不動産を担保として生活資金の借り入れができます。これまでの資金と同様収入などの条件に加えて、対象不動産に抵当権が設定されていないことや土地の評価額の要件などの条件があります。貸付条件は下記のとおりです。

不動産担保型生活資金要保護世帯向け不動産担保型生活資金
貸付限度額・土地の評価額の70%程度
・月30万円以内
・土地及び建物の評価額の70%程度
(集合住宅の場合は50%)
・生活扶助額の1.5倍以内
貸付期間借受人の死亡時までの期間
又は貸付元利金が貸付限度額に達するまでの期間
据置期間契約終了後3か月以内
償還期限据置期間終了時
貸付利子年3%、又は長期プライムレートのいずれか低い利率
保証人
※推定相続人の中から選任
不要

出典)社会福祉法人 東京都社会福祉協議会「不動産担保型生活資金貸付のごあんない」

生活福祉資金貸付制度の申し込みから受給までの流れ

平成27年4月から生活困窮者自立支援制度の施行に伴って、資金種類によって借入申込の流れが一部変更になりました。福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金の場合は下記のとおりです。

福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金

福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金の場合の流れは下記のとおりです。

  1. 市区町村社会福祉協議会に利用の相談および申し込みを行う
  2. 市区町村社会福祉協議会に申請書類等を提出する
  3. 都道府県社会福祉協議会から貸付決定通知が送付される
  4. 借用書を提出する
  5. 貸付金を受給する

福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金の借り入れをする場合は、市区町村社会福祉協議会に相談し、申し込むことができます。

借入申込者が提出した申請書類等をもとに、市区町村社会福祉協議会および都道府県社会福祉協議会において申込内容の確認と貸し付けの審査を行い、貸付決定通知書または不承認通知書を送付します。

貸付決定となった場合は、都道府県社会福祉協議会に借用書を提出したあと、貸付金が交付されます。

総合支援資金、緊急小口資金

総合支援資金、緊急小口資金の場合の流れは下記のとおりです。

  1. 自立相談支援機関に利用の相談および申し込みを行う
  2. 市区町村社会福祉協議会に利用の相談および申し込みを行う
  3. 市区町村社会福祉協議会に申請書類等を提出する
  4. 都道府県社会福祉協議会から貸付決定通知が送付される
  5. 借用書を提出する
  6. 貸付金を受給する

総合支援資金、緊急小口資金の借り入れをする場合は、既に就職が内定している場合等を除き、生活困窮者自立支援制度における自立相談支援事業の利用が貸付の要件となります。

自立相談支援機関において、相談者の状況に応じた支援プランの検討とあわせて、生活福祉資金(総合支援資金、緊急小口資金)の利用の可能性が考えられる場合に、借入金額や償還計画等について相談したうえで、必要書類を添付し申請します。その後の流れは同様です。

まとめ

この記事では、生活福祉資金貸付制度の概要を紹介しました。失業や減収などによって家計が厳しくなった人や、年金収入だけでは生計の維持が厳しい人にはうまく活用できる資金があるかもしれません。詳細が気になる人は、自身がお住いの社会福祉協議会に問い合わせてみるといいでしょう。

出典)
厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」
社会福祉法人 全国社会福祉協議会「福祉の資金(貸付制度)」
東京都福祉保健局「生活福祉資金貸付制度について」

執筆者紹介

「住まいとお金の知恵袋」編集部
金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。