公開日:2026.08.25
こんにちは、公認会計士の千日太郎です。前回の記事(【フラット35】2026年8月金利は3.29%に決定|公認会計士の予測と機構債分析)では、【フラット35】の2026年8月金利を3.21%~3.32%と予想し、結果は3.29%となりました。
まずは、最新の機構債と市場動向から分析した2026年9月の【フラット35】金利予想の結論をお伝えします。
2026年9月【フラット35】金利予想
日本銀行(以下、日銀)は7月31日の金融政策決定会合で、政策金利を1.0%に据え置きました。しかし、8月に入ると、中東情勢の緊迫化や原油高、物価上昇への警戒に加え、日銀の追加利上げ観測などが意識される中、国債売りが広がり、新発10年国債利回りは上昇しました。
8月18日には一時2.945%と、1996年以来の高水準を付けました。機構債の発行条件から逆算した新発10年国債利回りは、前月より0.12ポイント上昇し、機構債のローンチスプレッドも前月の0.61%から0.62%へ拡大しました。
その結果、機構債の表面利率は前月の3.32%から3.45%へ、0.13ポイント上昇しています。加えて、住宅金融支援機構(以下、機構)はここ数か月、【フラット35】金利を機構債表面利率より低く抑える「逆ザヤ」を縮小させています。
逆ザヤの縮小は、【フラット35】金利の上昇要因となります。新発10年国債利回りの上昇、ローンチスプレッドの拡大および逆ザヤの縮小傾向を踏まえ、9月の【フラット35】金利は上昇すると予想します。
この記事では、金利上昇の根拠となる国債・機構債の動きと、借り手にとって重要な「逆ザヤ(機構による金利抑制)」の現状について解説します。
※10年国債利回りは便宜上、機構債表面利率からローンチスプレッドを差し引いた率としています。

2026年8月の【フラット35】金利は前月から0.15ポイント上昇の3.29%に決定し、7月下旬での予想レンジ(3.21%~3.32%)の中で、上限に近い結果となりました。この予想は、機構債表面利率3.32%に対して、機構がどの程度の逆ザヤを設けるかを予想の軸としていました。
実際の【フラット35】金利は3.29%であり、機構債表面利率3.32%との逆ザヤは0.03ポイントで、前月の0.07ポイントからさらに縮小しました。逆ザヤを縮小して機構債表面利率に近づけながらも、逆ザヤの解消まではせず金利上昇を抑制する結果になりました。
なお、【フラット35】の金利は、以下の簡易式で説明できます。
予測ロジック(簡易式)
このうち「新発10年国債利回り + ローンチスプレッド」は、機構債の表面利率として発表されます。つまり、金利予想において最も重要なのは、機構の裁量による調整幅(逆ザヤ)の動向です。
新発10年国債利回りの上昇に連動して、機構債の表面利率も上昇が続いています。その間【フラット35】の金利上昇は、機構債表面利率の上昇幅に比べ抑えられる場面がありました。結果として、過去14か月連続で【フラット35】の金利が機構債の表面利率を下回る「逆ザヤ」状態が維持されました。
2025年6月に0.05ポイントから始まった逆ザヤは拡大を続け、2026年2月には0.52ポイントに達しました。しかし、3月以降は縮小に転じ、8月時点では0.03ポイントまで縮小しています。逆ザヤはまだ残っているものの、解消に近づいている状況です。
ここまでの推移を踏まえ、次のようなシナリオが想定されます。
機構債表面利率 vs 【フラット35】金利の推移(2025年4月以降)

※出典)
・住宅金融支援機構「既発債情報」
・住宅金融支援機構【フラット35】「借入金利の推移(借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、新機構団信付きの場合)」
※上記出典を基に「住まいとお金の知恵袋編集部」作成
逆ザヤの推移(2025年4月以降)

※上記出典を基に「住まいとお金の知恵袋編集部」作成
2026年7月から8月にかけて、新発10年国債利回りは2.71%から2.83%(※)へ、0.12ポイントの上昇となりました。さらに、ローンチスプレッドも0.61%から0.62%へ0.01ポイント拡大しています。これに伴い、機構債表面利率は3.32%から3.45%へと0.13ポイント上昇しました。
さらに逆ザヤの動向を加味した、9月の【フラット35】金利は以下のとおり3つのシナリオが予想されます。
※10年国債利回りは便宜上、機構債表面利率からローンチスプレッドを差し引いた率としています。
【フラット35】金利推移(直近3か月)と2026年9月予想
| 2026年6月 | 2026年7月 | 2026年8月 | 2026年9月 (千日太郎の予想) | |
|---|---|---|---|---|
| 【フラット35】の金利(※) | 3.21% | 3.14% | 3.29% | 3.40% ~ 3.50% |
※出典)住宅金融支援機構【フラット35】「借入金利の推移(借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、新機構団信付きの場合)」
予想下限金利の3.40%は、機構債表面利率3.45%に対して、0.05ポイントの逆ザヤを設けるシナリオです。
機構には、国民の住宅金融の円滑化を支えるという公的な役割があります。10年国債利回りが上昇し、機構債の表面利率が上昇する中で、その上昇分をダイレクトに【フラット35】金利へ反映すれば、住宅購入者の負担はさらに重くなります。
そのため、逆ザヤを再拡大させ、9月の【フラット35】金利を3.40%に抑える可能性があるとみています。収支正常化の点から逆ザヤを大きく拡大させないものの、【フラット35】金利の上昇幅を抑えるシナリオです。
メインシナリオの3.45%は、逆ザヤを解消し、機構債表面利率をそのまま【フラット35】金利へ反映するシナリオです。
逆ザヤは6月の0.11ポイントから、7月には0.07ポイント、8月には0.03ポイントまで段階的に縮小してきました。この流れを踏まえると、9月に逆ザヤが解消されることは自然な展開と考えられ、機構債表面利率と同じ3.45%が中心的なシナリオになるとみています。
上限の3.50%は、逆ザヤを解消したうえで、機構債表面利率に0.05ポイントの利ザヤを上乗せするシナリオです。
ここ数か月、機構は逆ザヤを継続的に縮小してきました。また、ローンチスプレッドも上昇を続けており、固定金利で資金を調達する環境は厳しさを増しています。こうした傾向が続き、機構が逆ザヤの解消から一定の利ザヤを確保する段階へ移行する場合、【フラット35】金利は3.50%まで上昇する可能性があります。
なお、上下0.05ポイントは、機構の裁量を精密に数値化したものではありません。利ザヤゼロのメインシナリオを中心として、金利上昇を抑える方向と、一定の利ザヤを確保する方向の双方を見込んだシナリオの幅です。
主要データ(2026年8月20日時点)
| 機構債発表日 | 2026年5月21日 | 2026年6月19日 | 2026年7月17日 | 2026年8月20日 |
|---|---|---|---|---|
| 機構債の表面利率(※1) | 3.32% | 3.21% | 3.32% | 3.45% |
| 新発10年国債利回り(※2) | 2.74% | 2.62% | 2.71% | 2.83% |
| ローンチスプレッド(※1) | 0.58% | 0.59% | 0.61% | 0.62% |
※1:出典)住宅金融支援機構「既発債情報」
※2:10年国債利回りは便宜上、機構債表面利率からローンチスプレッドを差し引いた率としています。
日銀の追加利上げ観測などを背景に、新発10年国債利回りは上昇しました。機構債の発行条件から逆算した新発10年国債利回りは、前月の2.71%から2.83%へ0.12ポイントの上昇に加え、ローンチスプレッドも0.61%から0.62%へ拡大し、最新の機構債表面利率は0.13ポイント上昇の3.45%となりました。
一方、【フラット35】金利と機構債表面利率との差である逆ザヤは縮小傾向にあり、8月時点で0.03ポイントとなっています。上記を踏まえ、9月の【フラット35】金利予想については、逆ザヤをゼロとした場合の3.45%をメインシナリオとし、上下0.05ポイントの幅を見込み、3.40%~3.50%の範囲と予想します。
いずれのシナリオでも8月の3.29%を上回るため、方向感としては「上昇」とみています。住宅ローンの決定は金利を当てるマネーゲームではなく、生活を守るための長期のプロジェクトです。目先の金利だけでなく、複数の金利タイプで事前にシミュレーションを行い、自身のライフプランに合ったリスクの取り方で住宅ローンを選ぶ視点が求められます。
※この記事は2026年8月20日時点の公開情報に基づき、筆者の個人的な見解として執筆したものです。将来の金利動向を保証するものではありません。最終的な借り入れや投資の判断は、ご自身の責任において行ってください。
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