老後の住まいとしてマンションを検討することがあるかもしれません。マンションは利便性が高いイメージがありますが、実際に住んだことがない人は、自分に合っているか不安に感じることもあるでしょう。 この記事では、戸建てと比較しながら老後の住まいにマンションを選ぶメリットやデメリット、注意点について解説します。 老後の住み替えの主な理由 SBIエステートファイナンス株式会社が2022年6月に実施したアンケート調査によると、60歳以上の持ち家所有者で「自宅を住み替えたい」と考えている人の主な理由は、「建物の老朽化」と「間取りへの不満(広すぎる、狭すぎる)」がともに38%を占めていました。 これらの理由から簡易的なリフォームでは解決しにくい建物への不満があると考察できます。また、建物自体に問題がなくとも、定年退職や子どもの独立といったライフイベントがタイミングとして考えられるでしょう。 関連記事はこちらシニアが自宅売却と物件購入を同時に実現する難しさ 高齢になるほどマンションは困りごとが少ない 住宅金融支援機構の調査によると、住宅について困っていることについて「特に困っていることはない」と回答した50代~70代の割合は以下のとおりです。 「特に困っていることはない」の割合 年代/住まい マンション 戸建て 50代51.4%42.3% 60代62.3%39.0% 70代80.0%43.4% マンションと戸建てを比較すると、全年代でマンションのほうが「特に困っていることがない」という回答が多い結果となりました。さらに、マンションは高齢になるほど「特に困っていることはない」の割合が増加しており、70代では8割にのぼります。 出典)住宅金融支援機構「高齢者の住宅ニーズ等の分析」P.16 項目別では、マンションは「住宅が狭い」、戸建ては「庭の手入れや冬の雪かきが面倒」「内壁や外壁がところどころ傷んでいる」の割合が高くなっています。 出典)住宅金融支援機構「高齢者の住宅ニーズ等の分析」P.16 老後の住まいにマンションを選ぶメリット 老後のマンション住まいは、戸建てに比べて次のようなメリットがあります。 管理が楽 マンションでは、毎月管理費と修繕積立金を支払うことで管理会社が共用部の清掃や修繕を行います。エントランスや廊下、庭などの清掃は管理人に任せることができます。さらに、エレベーターなどの設備の故障、建物の劣化なども管理会社が修繕工事を手配してくれます。 戸建てでは、基本的に清掃や修繕はすべて自分で行うことになるので、マンションのほうが管理は楽といえます。 利便性が高い 高齢になるにつれて、体力面で長距離の移動は難しくなるかもしれません。郊外に位置する戸建ての場合、エリアによっては買い物や通院に時間がかかります。 マンションは都市部の駅近など、利便性の高いエリアに供給されていることが多いです。公共交通機関が利用しやすく、商業施設や病院などが近くにあるマンションなら老後も快適に暮らせるでしょう。 セキュリティが高い マンションは、セキュリティが高いのもメリットです。近年では、オートロックや防犯カメラ、宅配ボックスなどが標準でついているところもあります。外部から侵入しにくい環境が整っているため、防犯面以外でも無理な勧誘などのトラブルを回避できるでしょう。 戸建てもセキュリティ対策は可能ですが、共用のエントランスや常駐の管理人がいないため、マンションに比べると外部から侵入しやすく、防犯強化のための費用もかかります。 資産価値が維持されやすい 戸建ては、築年数が古くなると建物の評価が下がることが一般的です。それに対して、マンションは資産価値が維持されやすく、立地が良ければ築年数が古くなっても値上がりする可能性もあります。 万が一、老後の生活費が不足した場合、資産価値が維持されていれば、不動産売却や自宅を担保にした借り入れにより、まとまった資金を作ることも可能です。 老後の住まいを選ぶ際のポイント 老後の住まいを選ぶ際の主なポイントは次の3つです。 持ち家か賃貸か マンションか戸建てか 都市部か郊外か 住まいを選ぶうえではさまざまな要因が関係しますが、基本的には上記3つを組み合わせて考えるといいでしょう。それぞれの特徴を理解できれば、自分に合った理想の住まいが見えてきます。老後の住まいを選ぶ3つのポイントについては、以下の記事で詳しく説明しています。 関連記事はこちら老後の住まいはどうすべき?ポイントを徹底解説 老後の住まいにマンションを選ぶ注意点 老後の住まいにマンションを選ぶ場合は、次のような点に注意が必要です。 騒音やプライバシーのトラブルがある マンションは、同じ建物内に多くの人が住む集合住宅です。部屋は別でも近隣との居住空間は近いため、騒音やプライバシーに関するトラブルが発生しやすい環境といえます。 生活音だけでなく、ゴミの出し方や駐車場の使い方などでトラブルになり、人間関係がうまくいかなくなる場合もあります。 戸建ても近隣トラブルが発生する恐れはありますが、近隣とは建物が分かれており、一定の距離が保たれているため、マンションに比べるとトラブルは発生しにくいでしょう。 リフォームやリノベーションの制限がある マンションでは管理規約が定められており、その規約を守って生活する必要があります。規約において、リフォームやリノベーションに制限が設けられているケースも少なくありません。 希望に合わせてリフォームやリノベーションができる戸建てに比べると、マンションは自由度は低いといえるでしょう。 マンションならではの制限がある マンションは「ペット禁止」などの制限が設けられていることもあり、戸建てに比べると自由度が低い傾向にあります。また、思わぬエレベーターの故障など、マンションならではの問題が発生することもあります。 まとめ マンションのメリットは、物件管理に手間がかからず、利便性やセキュリティが高いことです。また、戸建てに比べて資産価値が維持されやすい傾向にあります。一方で、騒音などのトラブルが発生しやすく、リフォームなどの制限が設けられていることがあります。 それぞれのメリットとデメリットを比較検討したうえで、老後の住まいにマンションを選ぶかを検討しましょう。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 シニアが住み替える際の4つのポイント シニア世代は、子どもの独立や退職などをきっかけに生活環境が大きく変化します。今住んでいる家がライフスタイルに合わなくなると、将来を見据えて住み替えを検討することもあるでしょう。 この記事では...
手元に資金が少ない、もしくは老後の備えとして資金を残しておきたい、といった理由から、自己資金なしで住み替えたい人もいるでしょう。その場合、現在住んでいる家(以下現居)の資産価値を活用することで、自己資金なしでも住み替えできる可能性があります。 この記事では、持ち家の人が自己資金なしで住み替えをする方法について解説します。 持ち家の人でなければ自己資金なしの住み替えは難しい 持ち家の人でなければ、自己資金なしで新居を購入するのは難しいと言えます。 家を購入するとき、お金を支払うタイミングは大きく分けて2回に分かれます。1回目は売買契約の際の手付金や頭金の支払い時、2回目は物件の引き渡し時です。住宅ローンはあくまで物件の引き渡し時に受け取るものなので、手付金や頭金は他の方法で賄わなければなりません。 しかし、これらの費用をキャッシングやカードローンで用意する、といった方法は、住宅ローンの審査で他の借り入れの使用状況も確認される以上、現実的な方法ではありません。 住み替えの場合は現居を活用できる 一方で、持ち家から持ち家の住み替えの場合は、現居を活用することができます。現居を活用し、必要なお金を用意することができれば、頭金や手付金などの費用まで賄える可能性があります。 自己資金なしで住み替えできる人とは? 前述のとおり、自己資金なしで住み替えるには、1回目の支払いタイミングに現居を活用して資金を調達し、2回目の支払いタイミングに現居の活用資金や新居の住宅ローン等を活用できる人です。 なお、現居を担保とした住宅ローンが残っている場合には複雑になります。この場合、既存の住宅ローンを完済する必要があるので、完済後に残った資金しか新居の購入資金に利用できません。現居の活用によって得た資金だけでは足りない場合は、新居の住宅ローンを検討しましょう。 現居を活用して資金を得る方法①:現居を売却する 1つ目の方法は、現居を売却することで資金調達をする方法です。この方法は先に現居を売却してから新居を購入する、「売り先行」と呼ばれる方法です。 現居を売却して既存住宅ローンを完済し、残った資金を住み替え資金として利用します。ただし、現居の売却から新居の購入までの期間は仮住まいが必要になるのがデメリットです。 現居をどのように売却する? 自己資金がない場合、現居の買い手を見つけて売買契約を締結するまでは、新居購入のための手付金を支払うことができません。気に入った物件を見つけても、現居の買い手が見つかっていなければ諦めることになります。 そのため、現居を業者に直接買い取ってもらうことで速やかに資金調達を行い、新居購入のための手付金を用意するのが現実的です。ただし、売却価格は相場の8割程度となるので注意が必要です。 リースバックという選択肢も もし、現居を業者に直接買い取ってもらうのであれば、リースバックを利用するという選択肢もあります。リースバックを利用することで、仮住まいを用意する必要がなくなり、期間に余裕をもって新居を探せるメリットがあります。 一方で、リースバックの売却価格は一般的に相場の7割程度となるため、基本的には業者に直接買い取ってもらうより若干安くなります。ただし、リースバック運営会社に希望する賃借期間が短期であることを伝えることで、業者に直接買い取ってもらう場合と同等の金額で売却できる可能性もあります。詳細は、リースバック運営会社に相談しましょう。 関連記事はこちら住み替えにリースバックを利用するメリットを解説 現居の売却で既存住宅ローンを完済できない場合 もし、現居の売却で既存住宅ローンを完済できない場合は、住み替えローンを検討しましょう。住み替えローンとは、既存住宅ローンを完済するのに不足した金額と、新居の購入に必要な金額をまとめて借りられる商品です。 ただし、頭金や手付金などの費用を考慮すると、現実的に自己資金なしで住み替えローンを用いて住み替えるのは難しいでしょう。 関連記事はこちら住み替えローンとは?利用の流れやメリット・デメリットを解説 現居を活用して資金を得る方法②:売却つなぎローンを利用する 2つ目の方法は、売却つなぎローンを利用する方法です。売却つなぎローンとは、売却予定の現居を担保とした不動産担保ローンの一種です。毎月の支払いが利払いで、元金は現居を売却した代金で返済する商品と、月々の返済はなく、元金も利息も現居を売却した代金でまとめて返済する商品があります。 現居を売却せずに資金を調達することができるため、既存の住宅ローンを完済しつつ先に新居を購入でき、仮住まいを用意する必要がなくなります。一方で、借り入れに伴う融資手数料や利息がかかってしまうのがデメリットです。 また、新居の住宅ローンも借りる場合は、売却つなぎローンを借りていても借りられる住宅ローンを取扱う金融機関を探さなければいけないため、選択肢が絞られる点にも注意が必要です。 現居の活用だけでは新居を購入できない場合 現居の活用によって得た資金で既存住宅ローンを完済したものの、新居の購入に必要な金額には満たなかった場合、新規住宅ローンを検討する必要があります。最近は新居の購入資金に諸費用も含めたオーバーローンを組める場合もあるので、必要があれば金融機関に相談してみましょう。 ただし、現居による資金調達で少なくとも手付金として必要な金額を用意する必要があります。手付金の用意ができなかった場合、自己資金無しでの住み替えは難しいでしょう。 新規住宅ローンの選択肢 新規住宅ローンの選択肢として、一般的な住宅ローン以外にも検討すべき3つのローンを紹介します。 選択肢①:フラット35 フラット35を取り扱う金融機関は、売却つなぎローンも併せて扱っている場合も多いので、売却つなぎローンと新規住宅ローンの利用を検討している場合は選択肢のひとつです。 フラット35の場合、現居の売却活動等を行っている事を条件に、審査の返済比率計算に含めない特徴があり、売却つなぎローンを利用しての住み替えに非常に相性が良い住宅ローンです。 関連記事はこちらフラット35とは?メリット・デメリットを解説 選択肢②:親子リレーローン 親子リレーローンであれば、長期返済が可能になるため、月々の返済負担を軽減したい場合は選択肢のひとつです。 関連記事はこちら親子リレーローンとは?メリット・デメリットと注意点を解説 選択肢③:リ・バース60 リ・バース60であれば、高齢でも利用できる可能性が高いので、高齢を理由に一般的な住宅ローンの審査に落ちてしまった場合は選択肢のひとつです。 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 まとめ 自己資金なしでも、現居を適切に活用することで住み替えできる可能性があります。適切な現居の活用方法と新規住宅ローンを選択し、自己資金なしでの住み替えを成功させましょう。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住み替えの方法と成功させるポイント 持ち家に住んでいても、転勤や家族構成の変化などのライフスタイルの変化などを理由に住み替えを検討することがあるでしょう。 住み替えは新居の購入や自宅の売却、住宅ローンの手続きなど、同時に進めな...
高齢になって体力が低下し、介護の必要性が高まってくると、間取りや設備などに住みづらさを感じるかもしれません。老後を快適に過ごすためには、住まいへの備えが不可欠です。 高齢期の住まいにはさまざまな選択肢があるため、現状や課題を把握したうえで、対策を行うことが大切です。この記事では、高齢者の住まいの現状や老後の快適な暮らしのための対策を紹介します。 高齢者の居住状況 65歳以上の高齢者単身、夫婦世帯の居住状況は以下のとおりです。 持ち家:989万世帯 賃貸:292万世帯 施設:224万人 持ち家の内訳は、単身世帯が422万世帯(約43%)、夫婦世帯が566万世帯(約57%)です。 賃貸は全体の約37%(109万戸)を公営住宅などの公的賃貸住宅が占めています。高齢になると民間賃貸住宅への入居を断られる場合があることから、公的賃貸住宅の割合が高くなっていると考えられます。 施設は、特別養護老人ホーム(特養)をはじめ、介護老人保健施設(老健)や、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など、さまざまな選択肢があります。 高齢者の住まい 介護保険の第1号被保険者(65歳以上の方)3,588万人のうち、3,486万人(約97%)が在宅です。また、要支援、要介護認定者690万人のうち、588万人(約85%)が在宅で介護を受けています。高齢者の9割以上、要介護の高齢者でも約8割が在宅で暮らしているのが現状です。 なお、上述の在宅人数は、居住系サービスを利用している人数も含まれます。居住系サービスとは、施設系サービス(特養、老健など)以外のケア付き住宅のことで、具体的には有料老人ホームやサ高住などが該当します。 高齢者の介護場所の希望 1人暮らしの高齢者が希望する介護場所をみると、要介護度が高くなるにつれて介護施設やケア付き住宅を希望する人が増加しています。 ※国土交通省「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」をもとに編集部作成 そもそも頼る親族がいないことも考えられますが、「親族に迷惑をかけたくない」「要介護度が高いと施設のほうが安心」といった理由も考えられます。 高齢期の快適な暮らしのための対策 要介護認定を受けた高齢者の約8割は、在宅で介護を受けているのが現状です。また、多くの高齢者は、要介護度が低いうちは自宅での介護を希望しています。老後を快適に暮らすには、住まいへの備えが不可欠といえるでしょう。 まずは「持ち家か賃貸か」「介護を受ける場所は自宅か施設か」など、元気なうちに自身のこれからの住まいについて考えておくことが大切です。できる限り自宅に住み続けたい場合は、手すりの設置や段差の解消、トイレの改修といったバリアフリー化を行い、高齢期も安心して暮らせる住環境を整える必要があります。 また、高齢期の住まい選びやリフォームではまとまったお金がかかるため、老後の生活資金が不足しないよう資金計画を立てることも重要です。老後の住まい選びについては、以下の記事で詳しく解説しています。 関連記事はこちら老後の住まいはどうすべき?ポイントを徹底解説 出典)国土交通省「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」 まとめ 日本は今後も人口減少が続き、65歳以上の高齢者の割合が増えていく見込みです。国は老後も安心して暮らせる住環境の整備に取り組んでおり、高齢期の住まいの選択肢は増えています。 老後もできる限り現在の自宅に住み続けるなら、バリアフリー化などのリフォームが必要になるでしょう。介護施設への入居を視野に入れている場合は、賃貸への住み替えも選択肢です。 元気なうちに、老後の住まいについてしっかりと考えておくことが大切です。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 高齢者の自宅売却のトラブルが増加!回避するための対策とは? 「強引に勧誘された」「高額の違約金を請求された」など、高齢者の自宅売却に関するトラブルが増加しています。 相手に言われるがまま売買契約をしてしまうと、高齢者の場合は「住む場所が見つからない」...
シニア向け分譲マンションは、高齢者向けのマンションです。シニア向け分譲マンションに限らず、高齢者向け住宅にはさまざまな種類があるため、他の住宅との違いを理解しておくことが大切です。この記事では、シニア向け分譲マンションの特徴や、メリットとデメリットについて解説します。 シニア向け分譲マンションとは? シニア向け分譲マンションとは、高齢者が住みやすいように配慮された分譲マンションです。高齢者向けの設備やサービス、共用施設が充実しており、法律上は一般的な分譲マンションと変わりません。 購入後は物件の所有権を取得するため、売却や賃貸への転用が可能です。また、所有者が死亡した場合は相続が発生します。入居条件はマンションによって異なりますが、基本的には自立した生活ができる高齢者が対象です。入居後に介護が必要になった場合は、外部の業者に介護サービスを依頼する必要があります。 入居時点で要支援、要介護の認定を受けていても、入居可能な物件もありますが、基準はマンションによって異なります。介護度によっては入居が難しい場合もあるため、事前に入居条件を確認しておくことが大切です。 シニア向け分譲マンションのメリット シニア向け分譲マンションには、以下のようなメリットがあります。 バリアフリー化されている シニア向け分譲マンションは、高齢者が安全に生活できるように室内や共用部分がバリアフリー化されています。つまずいて転倒しないように手すりが設置されていたり、間取りも広めにとられていたりするため、老後も生活しやすいでしょう。 高齢者向けサービスを利用できる シニア向け分譲マンションには、高齢者向けのサービスが付随しています。例えば、レストランでの食事提供や見守りサービス、生活相談などの高齢者向けサービスを利用できるマンションもあります。なお、具体的なサービス内容は施設によって異なるので注意が必要です。 また、医療、介護サービスを利用する場合、基本的には自分で外部の業者を探して契約しなくてはなりません。ただし、入居者が円滑に医療、介護サービスを受けられるように、マンションが外部の医療機関や介護事業者と提携している場合もあります。 共用施設が充実している シニア向け分譲マンションは、温泉やレストラン、フィットネスジムなどの共用施設が充実しています。図書館やプール、ゲストルーム、カラオケ、シアタールームなどが利用できるマンションもあるため、趣味を充実させたい人に向いているでしょう。コンシェルジュが常駐しており、困ったことがあればすぐに対応してもらえる物件もあります。 シニア向け分譲マンションのデメリット 一方で、シニア向け分譲マンションには以下のようなデメリットもあります。 費用が高い シニア向け分譲マンションは設備やサービスが充実している分、その維持費のために一般的な分譲マンションよりも費用は高くなります。費用相場は以下のとおりです。 物件価格:数千万円~数億円 月額利用料:10~30万円 分譲形式のため、家賃を払うのではなく、物件を購入することになります。住宅ローンを組むことも可能ですが、金融機関に相談したうえで、無理のない返済計画を立てる必要があるでしょう。 月額利用料の中には、管理費や修繕積立金、食費、水道光熱費、その他サービス利用料などが含まれます。マンションによって料金が異なるため、金額や内訳を確認しておくことが大切です。入居中に介護が必要になった場合は、介護サービス費の負担も追加で発生します。 選択肢が少ない シニア向け分譲マンションは、一般的な分譲マンションに比べて選択肢が少なくなります。また、市場が未成熟で供給戸数はそれほど多くないため、売却したいと思っても簡単に買い手が見つからない恐れがあります。介護施設などへの移動が必要になった場合、なかなか売却できずに困るかもしれません。 シニア向け分譲マンション以外の選択肢 老後の住まいとして高齢者向け住宅を検討する場合、シニア向け分譲マンションの他に以下のような選択肢があります。 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、高齢者が住みやすいように配慮された賃貸住宅です。一般的な賃貸住宅と同じように、毎月賃料を払って利用します。バリアフリーに対応しており、安否確認と生活相談の提供が義務付けられているのが特徴です。 所有権は得られませんが、その分シニア向け分譲マンションに比べると費用負担を抑えられます。死ぬまで住み続けられるか不安に思うかもしれませんが、「終身建物賃貸借契約」を選択できる施設であれば、死ぬまで住み続けることが可能です。 関連記事はこちら終身建物賃貸借契約とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説 シニア向け分譲マンションと同様、自立した生活ができる高齢者が対象であるため、医療、介護サービスを受けるには外部業者との契約が必要です。ただし、施設内で必要な介護サービスを受けられる「特定施設」の指定を受けているサ高住もあります。 関連記事はこちらサービス付き高齢者向け住宅とは?入居条件や費用を解説 有料老人ホーム 有料老人ホームとは、介護サービスや生活支援などのサービスを受けられる居住施設です。「介護付」「住宅型」「健康型」の3種類があります。介護付と住宅型は介護サービスを受けられます。健康型は自立した生活ができる高齢者が対象で、要介護となった場合は退去しなくてはなりません。 入居一時金と月額利用料が必要で、金額は施設によって異なります。契約方法は、利用権方式や建物賃貸借方式、終身建物賃貸借方式があります。利用権方式の場合は、入居時に一時金を払うことによって、専用居室や共用施設などを利用できる権利が保障されます。 関連記事はこちら有料老人ホームとは?費用やサービスをわかりやすく解説 まとめ シニア向け分譲マンションは高齢者に配慮した設備やサービスに加えて、温泉やフィットネスジムなどの共用施設も充実しています。一般的な分譲マンションに比べると費用は高めですが、趣味を充実させたい人に向いているでしょう。 サ高住や有料老人ホームとの違いを理解したうえで、老後の住まいとしてシニア向け分譲マンションを検討してみてはいかがでしょうか。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 老後の住まいはどうすべき?ポイントを徹底解説 老後に豊かな生活を送るには、ライフスタイルに合わせて住まいを選ぶ必要があります。しかし、住まいを選ぶ際には多くの選択肢があるので、どのように選べばよいかわからないのではないでしょうか。 老後...
有料老人ホームは、さまざまな種類や提供サービスの違いから、詳しくはわからないという人も多いでしょう。また、高齢者向けの住宅は、有料老人ホーム以外にも複数の形態があるので、検討の際には詳しく理解しておく必要があります。 この記事では、有料老人ホームの入居条件や費用、利用状況などを詳しく解説します。 有料老人ホームとは 「有料老人ホーム」とは、老人福祉法第29条第1項の規定に基づき、高齢者の心身の健康保持及び生活の安定のために設置される施設です。老人を入居させたうえで以下のいずれかのサービス(複数可)を提供している施設を、有料老人ホームと呼びます。 食事の提供 介護(入浴・排泄・食事)の提供 洗濯・掃除等の家事の供与 健康管理 なお、根拠法である老人福祉法では、「老人」という言葉に、年齢等の具体的な条件は定義されていません。 有料老人ホームの類型 有料老人ホームは、「介護付有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「健康型有料老人ホーム」の3つの類型に分けられます。 介護付有料老人ホーム 介護付有料老人ホームは、介護等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。介護等が必要となっても、施設が提供する介護サービスである「特定施設入居者生活介護」を利用しながら、施設での生活を継続することが可能です。 住宅型有料老人ホーム 住宅型有料老人ホームは、生活支援等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。介護が必要となった場合、入居者自身の選択により、地域の訪問介護等の介護サービスを利用しながら、施設の生活を継続することが可能です。 健康型有料老人ホーム 健康型有料老人ホームは、食事等のサービスが付いた高齢者向けの居住施設です。介護が必要となった場合には、契約を解除し退去しなければなりません。 有料老人ホームの費用 有料老人ホームの費用について、根拠法である老人福祉法の第29条で以下のとおり定められています。 有料老人ホームの設置者は、家賃、敷金及び介護等その他の日常生活上必要な便宜の供与の対価として受領する費用を除くほか、権利金その他の金品を受領してはならない。 出典)老人福祉法(e-Gov法令検索) この定義からわかるように、有料老人ホームでは、施設の利用上必要となる範囲の費用しか、基本的にはかかりません。厚生労働省の「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」によると、利用料が以下のとおり定められています。 家賃 家賃は、施設の整備に要した費用、修繕費、管理事務費、地代に相当する額等を基礎として合理的に算定され、近傍同種の住宅の家賃から算定される額を大幅に上回らないこと (厚生労働省の令和3年度調査*によると、介護付は月84,790円、住宅型は月40,926円) 敷金 敷金を受領する場合には、その額は6か月分を超えないこととし、退去時に居室の原状回復費用を除き全額返還すること (厚生労働省の令和3年度調査*によると、介護付は月94,710円、住宅型は月45,367円) サービス費用 サービス費用は、入居者に対するサービスに必要な費用の額(食費、介護費用その他の運営費等)を基礎とする適切な額とすること (厚生労働省の令和3年度調査*によると、介護付は月122,457円、住宅型は月72,480円) ※令和3年度「高齢者向け住まいにおける運営形態の多様化に関する実態調査研究事業」報告書を参考としています。健康型のデータがないのは、健康型は施設数が他2類型と比較してかなり少ないため、十分な調査ができなかったものと推測されます。 有料老人ホーム入居時の前払い金 上述の主な費用に加えて、入居時に終身にわたって受領すべき家賃又はサービス費用の全部又は一部を前払金として一括して受領する、前払い方式を採用している施設もあります。前払金がない施設もあれば、1,000万円を超える施設もあります。前払金は老人福祉法の第29条で以下のとおり定められています。 有料老人ホームの設置者のうち、終身にわたって受領すべき家賃その他厚生労働省令で定めるものの全部又は一部を前払金として一括して受領するものは、当該前払金の算定の基礎を書面で明示し、かつ、当該前払金について返還債務を負うこととなる場合に備えて厚生労働省令で定めるところにより必要な保全措置を講じなければならない。 出典)老人福祉法(e-Gov法令検索) また、厚生労働省の「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」によると、基本的な前払金の算定方法を以下のとおり記載されています。 ①期間の定めがある契約の場合 (1ヶ月分の家賃又はサービス費用)×(契約期間(月数)) ②終身にわたる契約の場合 (1ヶ月分の家賃又はサービス費用)×(想定居住期間※(月数))+(想定居住期間を超えて契約が継続する場合に備えて受領する額) ※想定居住期間は、入居者の終身にわたる居住が平均的な余命等を勘案して想定される期間と、同指導指針内で定義されています。 有料老人ホームの費用を抑える方法 有料老人ホームに入居する場合、以下の制度を利用することで、入居中の費用を抑えられる可能性があります。 高額介護サービス費制度 月々の利用者負担額(福祉用具購入費や食費・居住費等一部を除く。)の合計額が所得に応じて区分された上限額を超えた場合、その超えた分が介護保険から支給される制度です。詳細な上限額(月額)は以下のとおりです。 ・高額介護サービス費制度の負担の上限額(月額) ※厚生労働省ホームページを基に編集者作成 支給対象者には、各自治体から高額介護サービス費支給申請書が送られてきます。受け取ったらしっかりと申請手続きを行いましょう。 高額医療、高額介護合算制度 同じ医療保険の世帯内で、医療保険と介護保険両方に自己負担が生じた場合は、合算後の負担額が軽減されます。決められた上限額(年額)を500円以上超えた場合、医療保険者に申請をすると超えた分が支給されます。詳細な上限額(年額)は以下のとおりです。 ・高額医療、高額介護合算制度の負担の上限額(年額) ※厚生労働省ホームページを基に編集者作成 合算期間は8月1日から翌年の7月31日までの1年間で、各自治体の窓口に申請することで利用することができます。 その他の老健施設との違い 一般的に老人ホームと呼ばれるものの中には、有料老人ホーム以外の施設も存在します。どのような施設があるのかを紹介します。 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) サービス付き高齢者向け住宅は、「状況把握サービス、生活相談サービス等の福祉サービスを提供する住宅」です。有料老人ホームとは異なり、1日のスケジュールが決められているわけではないため、食事や入浴の時間などは自分のペースで決められます。 見守りサービスや生活相談といったサービスが付いているので、一人暮らしに不安を感じられている方にとって、適度なサポートを受けながら自由な暮らしができます。 関連記事はこちらサービス付き高齢者向け住宅とは?入居条件や費用を解説 特別養護老人ホーム(特養) 特別養護老人ホームは、介護老人福祉施設とも呼ばれており、要介護状態の高齢者が入居できる公的施設であるのが特徴です。公的施設という性質上、民間の有料老人ホームと比べると安い費用で入所できます。 ただし、人気があるので申請から入所まで、時間がかかってしまう点に注意しておきましょう。 関連記事はこちら特別養護老人ホームとは?費用や入居条件、サービス内容を解説 まとめ 有料老人ホームには3つの類型があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。生活状況や介護の有無、将来的な費用負担なども考慮し、利用する施設を検討することが大切です。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 老人ホーム・介護施設とは?公的施設と民間施設の違いも解説 誰でも年をとると、身の回りのことができなくなったり、思ったようにできなくなったりしていきます。体が弱ってきたとき、あるいは要介護状態になったとき、自宅以外の住まいの選択肢として、どのような候...
サービス付き高齢者向け住宅とは、サ高住とも呼ばれる高齢者のための集合住宅です。サービス付き高齢者向け住宅への入居を検討しているなら、あらかじめ必要な情報を集めておくことが大切です。 この記事では、サービス付き高齢者向け住宅の入居条件や費用、利用状況などを詳しく解説します。 サービス付き高齢者向け住宅とは サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、「状況把握サービス、生活相談サービス等の福祉サービスを提供する住宅」です。「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」に基づき、都道府県から登録を受けた住宅をサービス付き高齢者向け住宅と呼びます。 サービス付き高齢者向け住宅の登録基準は以下のとおりです。 住宅に関する基準 サービス付き高齢者向け住宅では、高齢者が生活するのに相応しい規模と設備を確保する目的で、住宅に関する基準が設けられています。詳細は以下のとおりです。 各専用部分の床面積は、原則25㎡以上(※1) 各専用部分に、台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室を備えたものであること(※2) バリアフリー構造であること ※1:ただし、居間、食堂、台所そのほかの住宅の部分が、高齢者が共同して利用するため十分な面積を有する場合は18㎡以上 ※2:ただし、共用部分に共同して利用するため適切な台所、収納設備または浴室を備えることにより、各戸に備える場合と同等以上の居住環境が確保される場合は、各戸に台所、収納設備または浴室を備えずとも可 サービスに関する基準 サービス付き高齢者向け住宅では、専門家が日中建物に常駐してサービスを提供することが、認定の基準となっています。サービス内容は、安否確認と生活相談の2つが必須のサービスとして定められています。 なお、施設によって違いがありますが、食事の提供などの生活支援サービスを提供している施設もあります。実際に入居を検討する際には、どういったサービスが受けられるのかを施設に確認しておくことが大切です。 契約内容に関する基準 サービス付き高齢者向け住宅では、高齢者が安心して長く住み続けられるように、契約内容に関する基準も設けられています。いくつか抜粋して紹介します。 専用部分が明示された契約であること 長期入院などを理由に事業者から一方的に解約できないことになっている等、居住の安定が図られていること 敷金などの、家賃、サービスの対価以外の金銭を受領しないこと サービス付き高齢者向け住宅の入居条件 サービス付き高齢者向け住宅の入居対象者は、「60歳以上の方」もしくは「要介護、要支援認定を受けている60歳未満の方」です。ただし、施設によっては、認知症や感染症に関する独自の入居条件を追加している施設もあります。申し込みの前に確認しておきましょう。 同居者の入居条件 サービス付き高齢者向け住宅では、一定の条件を満たせば同居することも可能です。同居者の入居条件は以下のとおりです 入居者の配偶者 60歳以上の入居者の親族 要介護、要支援認定を受けている入居者の親族 特別な理由で知事から認められている者 なお、施設によっては2人部屋がなく、部屋が別々になることもあります。あらかじめ施設に確認しておくといいでしょう。 サービス付き高齢者向け住宅の入居費用 サービス付き高齢者向け住宅は、賃貸借契約を事業者と締結して入居する形となるため、初期費用や毎月の家賃などが発生します。国土交通省が公表している資料によると、令和2年8月時点でのサービス付き高齢者向け住宅の入居費用は概ね10万円前後です。 ・サービス付き高齢者向け住宅の入居費用 出典)厚生労働省「第5回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会資料」 なお、サービス付き高齢者向け住宅では、上図の費用に含まれない「家賃、サービスの対価以外の金銭」を受領しないことが、高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)で定められています。 サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームとの違い 有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違いは、下図のようになります。 ・図:有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違い ※厚生労働省が公表している図を元に編集者が作成 サービス付き高齢者向け住宅のうち約96%が有料老人ホームにも該当することが分かっています。 高齢者向け施設のうち、①食事の提供、②介護(入浴、排泄、食事)の提供、③洗濯や掃除等の家事の供与、④健康管理のいずれかをひとつでも提供していれば、有料老人ホームと呼ばれます。 この4つのサービスは、どれもサービス付き高齢者向け住宅と認定されるために必要なサービスに含まれません。しかし、サービス付き高齢者向け住宅の約96%が①食事の提供、を行っており、結果的に有料老人ホームにも該当するのが実態です。 介護が受けられるサービス付き高齢者向け住宅とは 上図の「有料老人ホームとサービス付き高齢者向け住宅の違い」のとおり、サービス付き高齢者向け住宅の中には、特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設も一定数存在します。 平成26年の国土交通省の調査によると、「特定施設入居者生活介護の指定を受ける予定はない」と回答したサービス付き高齢者向け住宅が95.1%と多数を占めていることが分かっています。 約10年前の調査結果ではありますが、特定施設入居者生活介護の指定を受けたサービス付き高齢者向け住宅が少数である状況は、現在も大きくは変わっていないと推測されます。 サービス付き高齢者向け住宅の利用者 国土交通省が公表している「サービス付き高齢者向け住宅の現状等」を基に、入居者の要介護度や年齢の分布を紹介します。自分の状況が、サービス付き高齢者向け住宅の利用者の状況に該当するかを、参考にすることもおすすめです。 要介護度 サービス付き高齢者向け住宅の入居者を要介護度別で見ると、どの区分も一定数入居していることが分かります。 ・サービス付き高齢者向け住宅入居者の要介護度別比率 出典)厚生労働省「第5回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会資料」 ※編集者が一部加工 年齢 入居者の年齢は、85歳以上が全体の57.3%と最も高く、75~84歳も30.8%となっており、全体の約9割が75歳以上であることが分かります。 ・サービス付き高齢者向け住宅入居者の年齢別比率 出典)厚生労働省「第5回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会資料」 サービス付き高齢者向け住宅の利用が向いている人 サービス付き高齢者向け住宅に向いている人は、「自立した生活を送りたい人」です。サービス付き高齢者向け住宅はあくまでも「状況把握サービス、生活相談サービス等の福祉サービスを提供する住宅」であり、基本的に24時間の医療体制や充実した介護サービスが付いている施設ではありません。 そのため、申し込み時点で介護なしで生活するのが困難な人や、健康面の不安を抱えており、常に見守りを必要としている人は、サービス付き高齢者向け住宅ではなく、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームを検討する方が安心して生活できる可能性があります。 ただし、サービス付き高齢者向け住宅は要介護度の高い人が住めない施設ではありません。自身の希望や健康状態を考慮したうえで、施設選びを行いましょう。 >特別養護老人ホームとは? まとめ サービス付き高齢者向け住宅は、バリアフリーに配慮した設計になっており、見守りサービスや生活相談などに対応してくれるのが特徴です。自立した生活を送りながらも、適度なケアを受けたいという方は、サービス付き高齢者向け住宅の利用を検討してみましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 介護老人保健施設とは?費用や入所条件をわかりやすく解説 介護老人保健施設は、介護保険施設のひとつです。老健とも称され、介護保険法に基づいてサービスが提供されます。介護老人保健施設への入所を検討しているなら、あらかじめ必要な情報を集めておくことが大...
国は、地方での起業や東京圏からUIJターンにより起業・就業をする方へ支援金を支給する地方公共団体の取組を支援しています。この記事では、国による移住支援制度の一つである「移住支援金」について解説します。 移住支援制度とは? 移住支援制度とは、正式には「地方創生移住支援事業」という名称で、東京圏の一極集中是正と地方の担い手不足の解消を目的に創設されました。支援事業の詳細は、各地方自治体にゆだねられており、一律で決まっているものではありません。 対象者の詳細 各地方自治体によって詳細は異なるものの、一律の条件として定められているものは以下のとおりです。 移住直前の10年間で通算5年以上かつ直近1年以上、東京23区内に在住または東京圏(条件不利地域を除く)*に在住し、東京23区へ通勤していた者。 東京圏外または東京圏のうち条件不利地域の市町村に移住 地域の中小企業等への就業やテレワークにより移住前の業務を継続、地域で社会的企業などを実施 ※東京圏及び条件不利地域の定義 出典)内閣官房・内閣府総合サイト 地方創生「移住支援金」 以上の条件には、「雇用者としての通勤の場合には、雇用保険の被保険者としての通勤に限る」や、「東京圏に在住しつつ、東京23区内の大学等へ通学し、東京23区内の企業等へ就職した者については、通学期間も本事業の移住元としての対象期間に加算可能」といった条件があります。詳細は国や地方自治体のホームページをご確認ください。 対象の要件 いつ移住しても対象になるわけではなく、以下のような条件があります。 移住支援金の申請が転入後3か月以上1年以内であること。 申請後5年以上、継続して移住先市町村に居住する意思があること 移住先の要件 詳細の条件は各地方自治体によって異なりますが、共通の条件として、以下の1~4のどれかに該当する必要があります。 1.地域で中小企業等へ就業 移住支援金の対象として都道府県のマッチングサイトに掲載されている求人に就業すること。 または、プロフェッショナル人材事業または先導的人材マッチング事業を利用して就業すること。 2.テレワークによる業務継続 自己の意思によって移住し、移住先で移住前の業務を引き続き行うこと。 3.市町村ごとの独自要件 市町村が地域や地域の人々と関わりがある者(関係人口)として認める要件を満たすこと。(要件は市町村によって異なるため、詳細は移住希望先都道府県・市町村へ直接お問い合わせください) 4.地方創生起業支援事業を活用 1年以内に起業支援金の交付決定を受けていること。 出典)内閣官房・内閣府総合サイト 地方創生「移住支援金」 移住地希望ランキング1位は静岡県 これまで紹介してきた移住支援制度を受けて、移住地として人気のエリアを紹介します。地方移住(IJUターン)を支援する認定NPO法人ふるさと回帰支援センターが実施したアンケートでは、移住希望地として静岡県が3年連続1位にランクインしています。 図:移住希望地ランキング(※セミナー参加者を除いた順位) 2020年 2021年 2022年 1位 静岡県 静岡県 静岡県 2位 山梨県 福岡県 長野県 3位 長野県 山梨県 栃木県 出典)ふるさと回帰支援センターの移住希望地ランキング ここからは移住先の例として、静岡県の代表的な都市である熱海市の特色や移住支援制度について紹介します。 熱海市ってどんな街? まずは、熱海市の情報をご紹介します。 熱海市の基本情報 面積:61.78km² 人口:34,229人(令和5年5月末日現在) 2022年熱海市の年齢階級別の転入者推計数のデータを確認すると、「20~29 歳」の割合が高く、若手世代の移住先として支持されていることがわかります。 図:2022年熱海市の年齢階級別の転入者推計数 出典)2022年住民基本台帳人口移動報告(調査結果から著者が作成) アクセス 熱海駅は、東京駅から東海道新幹線「ひかり」で最短38分、「こだま」でも45分~50分でアクセス可能です。近年、働き方改革によりリモートワークも普及し、通勤することが当たり前ではなくなりました。都心まで毎日出社しなくてもよい、都心では暮らしたくないが、都心の近くに住みたい、というニーズを持つ人は特に、熱海市は最適な都市と言えるのではないでしょうか。 熱海市の特徴 歴史ある温泉地 熱海市は、源泉総数が500を超える温泉場です。熱海温泉は、古来より療養地として人気で、かの徳川家康も訪れたと記録されています。熱海市史によれば、江戸時代、熱海には多くの文化人が訪れ、明和から慶応までの江戸時代約100年の間に代表的な紀行文だけでも36編存在すると言われております。 出典)熱海市「熱海の温泉」 花火大会 熱海市の海上花火大会は、1952年から開催されており、2023年夏で72年目を迎えます。熱海市の海上花火大会は、年間を通して10回以上開催します。熱海市観光協会の「アクセス・人気ランキング」においても、熱海市の海上花火大会は常に上位にランクインされており、熱海市の代表的なイベントとして位置づけられています。 出典)熱海市観光協会「熱海会場花火大会」 熱海市の温泉付き物件を取材 移住先として人気の静岡県、その代表的な都市である熱海市に、実際にどのような物件が販売されているのか、熱海駅に拠点を置く不動産会社(※)に取材協力をいただきました。この記事では、相模湾に面したオーシャンビューを楽しめるだけでなく、温泉を家で楽しめる特徴を備えた物件を紹介します。 物件概要 建物面積 92.59m² (1階:52.85㎡ 2階:39.74㎡) 土地面積 207.96㎡ 場所 伊豆山周辺、熱海駅から車で約13分 編集からひと言 「伊豆山」は熱海市の中でも、頭一つ抜けたハイランクな土地と言われているそうです。 浴室には温泉が備え付きの場合もある 上の写真では、左が温泉専用の蛇口、右が通常の蛇口となっています。このように、熱海では温泉付きの物件も珍しくはありません。今回取材した物件の温泉に関する主な条件は、以下のとおりです。 泉質 ナトリウム、カルシウムが含まれた弱アルカリ性 温泉利用料 月額7,040円 (10立米まで) 温泉更新料 880,000円(税込)1口(10年毎に更新) 家で温泉を楽しむ上でのQ&A 取材協力させていただいた不動産会社の担当者に伺いました。 Q 温泉を維持するために配管清掃を行うなど、掃除は大変ではないのでしょうか? A 温泉というと、湯の花(温泉の不溶性成分が析出・沈殿物)が出やすいと言われています。ただ、ユニットバスに温泉の湯の花の成分が染み出すことはないので、通常のお風呂掃除と同じで、温泉だから大変ということはありません。 Q 湯量制限とは何でしょうか? A 本物件は、毎月10立米まで使用可能です。単純に「10」という数字を聞くと少なく感じるかもしれませんが、10,000リットルもの湯量を使用することができます。そのため、1日1回は温泉を楽しむことは可能で、特段湯量制限が生活の豊かさを損なうことはありません。 株式会社エンゼル不動産 熱海店 〒413-0011 静岡県熱海市田原本町9番1号 熱海第一ビル2階 TEL:0557-85-5151 熱海市の支援制度を紹介 令和5年度の移住・就業支援金について紹介します。なお、令和5年7月時点の情報のため、変更が行われる場合もあるので、詳細は公式ホームページをご覧ください。 移住元の要件 要件1 以下の1,2のどれかに該当する必要があります。 熱海市へ移住する直前の10年間のうち通算5年以上かつ移住する直前に連続して1年以上、東京23区に在住していたこと。 熱海市へ移住する直前の10年間のうち通算5年以上かつ移住する直前に連続して1年以上、東京23区以外の東京圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)のうちの条件不利地域以外の地域に在住し、東京23区内の法人への通勤をしていたこと。 ※「移住する直前の10年間のうち通算5年以上」は合算などでも算出することができます。 要件2 以下の1~3の全てに該当する必要があります。 暴力団などの反社会勢力又は反社会勢力と関係を有する者でないこと。 日本人、又は外国人で永住者、日本人の配偶者など、永住者の配偶者など、定住者、特別永住者のいずれかの在留資格を有すること。 移住する直前に在住していた市区町村において、最近1カ年市区町村税を滞納していないこと。 移住先の要件 就業に関する要件(一般の場合) 以下の1~7の全てに該当する必要があります。 勤務地が東京圏以外の地域又は東京圏内の条件不利地域に所在すること。 都道府県のマッチングサイトに掲載されている支援金対象求人に就業すること。 申請者にとって3親等以内の親族が代表者、取締役などの経営を担う職務を務めている中小企業などへの就業でないこと。 週20時間以上の無期雇用契約に基づいて中小企業などに就業し、かつ、申請時において当該中小企業などに連続して3月以上在職していること。 マッチングサイトに求人が支援金の対象として掲載された日以降に同求人への応募をしたこと。 就業した当該中小企業などに、支援金の申請日から5年以上、継続して勤務する意思を有していること。 転勤、出向、出張、研修などによる勤務地の変更ではなく、新規の雇用であること。 起業に関する要件 静岡県が実施する地域創生起業支援事業に係る起業支援金の交付決定を1年以内に受けていることが必要です。 就業に関する要件(専門人材の場合) プロフェッショナル人材事業又は先導的人材マッチング事業を利用して、令和3年3月1日以降に就業し、以下の1~5の全てに該当する必要があります。 勤務地が東京圏以外の地域又は東京圏内の条件不利地域に所在すること。 週20時間以上の無期雇用契約に基づいて就業し、申請時において連続して3カ月以上在職していること。 当該就業先において、移住支援金の申請日から5年以上、継続して勤務する意思を有していること。 転勤、出向、出張、研修などによる勤務地の変更ではなく、新規の雇用であること。 目的達成後の解散を前提とした個別プロジェクトへの参加など、離職することが前提でないこと。 就業に関する要件(テレワークの場合) 以下の1,2の全てに該当する必要があります。 所属先企業などからの命令でなく、自己の意思により住民票を熱海市に異動した場合であって、熱海市を生活の本拠とし、移住元での業務を引き続き行うこと。 内閣府地方創生推進室が実施する地方創生テレワーク交付金を活用した取組の中で、所属先企業などから資金提供されていないこと。 就業に関する要件(関係人口の場合) 以下の1~3の全てに該当する必要があります。 移住時の年齢が39歳以下であること。 熱海市に主たる事業所を有しかつ中小企業基本法第2条第1項に規定する中小企業者及び社会福祉法人、医療法人、NPO法人などに就職し、かつ、申請時において当該中小企業者などに連続して3月以上在職していること。 当該中小企業などに、支援金の申請日から5年以上、継続して勤務する意思を有していること。 交付金額 支援金の交付金額は以下のとおりです。 区分 支援金の額 単身での移住の場合 60万円 2人以上の世帯での移住の場合 100万円 18歳未満の世帯員を帯同して移住する場合(令和4年4月1日以降移住者が対象) 18歳未満お一人につき30万円加算 18歳未満お一人につき100万円加算 申請について 就業の場合 熱海市へ転入後3カ月以上1年以内で、対象企業に就業して3カ月後から申請可能 起業の場合 熱海市へ転入後3カ月以上1年以内で、静岡県の起業支援事業の交付決定から1年以内に申請可能 出典)熱海市「移住・就業支援金」 まとめ 移住支援制度は、地方自治体が主体となって実施します。実施期間、支給額等の制度の詳細は地方自治体により異なります。気になる移住先があれば、各地方自治体の移住支援制度のページをご確認ください。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。
終身建物賃貸借契約は、高齢者が安心して賃貸住宅に居住できる仕組みです。老後も賃貸暮らしを続けるなら、終身建物賃貸借契約に対応している賃貸住宅も選択肢のひとつです。この記事では、終身建物賃貸借契約の概要やメリット・デメリット、手続きの流れについて解説します。 終身建物賃貸借契約とは? 終身建物賃貸借契約とは、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」に基づき、高齢者単身・夫婦世帯等が終身にわたり安心して賃貸住宅に居住することができる仕組みとして、借家人が生きている限り存続し、死亡時に終了する相続のない一代限りの借家契約です。 賃借人は生涯同じ家で安心して生活でき、一代限りの契約であるため、死亡時に相続は発生しません。基本的に入居できるのは60歳以上に限られます。ただし、60歳以上の配偶者との同居であれば、60歳未満でも入居ができます。 なお、終身建物賃貸借契約をするには、対象となる不動産が都道府県知事の認可を受けている必要があります。また、賃貸住宅が一定の基準に適合していることも要件です。 出典)東京都住宅政策本部「終身建物賃貸借制度」 終身建物賃貸借契約のメリット 終身建物賃貸借契約のメリットは以下のとおりです。 死亡するまで住み続けられる 終身建物賃貸借契約は契約期間が終身であるため、賃借人が死亡するまで同じ家に住み続けられ、賃貸人からの解約は、原則以下のとおりです。 老朽や損傷などにより、住宅を維持できない場合 入居者が長期にわたり居住しておらず、住宅の管理が困難な場合 入居者に不正行為や公序良俗に反する行為、事実が判明した場合 中途解約は基本的に都道府県知事の承認が必要です。それに加え、6か月前に入居者に対して解約の申入れを行わなければならず、急に賃貸人から退去を求められることが少ない点も安心です。 なお、老人ホームへの入所や親族との同居などの理由で居住できなくなった場合は、1ヵ月前に申入れを行うことで、賃借人からの解約が可能です。 契約終了後の手続きが簡単 終身建物賃貸借契約は、賃借人の死亡によって契約が終了します。相続が発生せず、契約終了の手続きが不要のため、相続人に迷惑をかけずに済みます。同居配偶者は、賃借人の死亡を知った日から1ヵ月以内に申し出れば、引き続き居住が可能です。 バリアフリーの要件を満たしている 終身建物賃貸借契約の対象不動産は、一定のバリアフリー基準を満たしています。「段差のない床」「浴室等の手すり」などが備わっており、高齢者にとっては住みやすいでしょう。 高齢者でも家を借りられる 一般的な賃貸住宅では、健康面や金銭面の不安から高齢者の入居を敬遠するケースもあります。それに対し、終身建物賃貸借契約は、高齢者が生涯にわたって賃貸住宅に居住できる制度であるため、高齢を理由に入居を断られる心配がありません。 更新料がかからない 普通建物賃貸借契約では契約期間が定められており、契約更新の際に家賃1ヵ月分の更新料がかかるのが一般的です。一方、終身建物賃貸借契約は契約期間が終身のため、更新料はかかりません。同じ家に長く住む場合は、住居費の負担軽減が期待できます。 終身建物賃貸借契約のデメリット 終身建物賃貸借契約には、以下のようなデメリットもあります。 事前に認可されている不動産でないと利用できない 終身建物賃貸借契約を利用できるのは、都道府県知事から認可を受けた不動産に限られます。認可されている不動産はまだ少ないので、住みたいエリアに終身建物賃貸借契約に対応した物件がない可能性もあります。 同居配偶者や60歳以上の親族以外は入居できない 終身建物賃貸借契約は、賃借人や同居人に一定の制限があります。賃借人は、基本的に60歳以上の高齢者に限られます。また、同居配偶者や60歳以上の親族以外は入居できないので注意が必要です。 終身建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約、定期建物賃貸借契約の違い 終身建物賃貸借契約と普通建物賃貸借契約、定期建物賃貸借契約の違いは以下のとおりです。 区分 終身建物賃貸借契約 普通建物賃貸借契約 定期建物賃貸借契約 契約の方法公正証書等の書面による契約に限る書面でも口頭でも可公正証書等の書面による契約に限る 期間または期限賃借人の死亡に至るまで1年以上または期間の定めなし期間の定めなし 契約の更新無し正当事由がない限り更新更新なし、再契約が必要 賃料増減額請求権 増減を請求できる※1 増減を請求できる※2 増減を請求できる※3 相続の有無無し有り有り ※1 賃料を改定しない特約があるときは増減を請求できない ※2 賃料を増額しない特約があるときは増額を請求できない ※3 増減額請求権を排除する特約を定めることが可能 終身建物賃貸借契約は、契約方法が公正証書等に限られ、契約期間が終身で更新や相続がないのが特徴です。 終身建物賃貸借契約の手続き方法 終身建物賃貸借契約は、賃借人側に特別な準備は必要ありません。都道府県ごとに、終身建物賃貸借契約が利用できる住宅一覧が公表されているため、確認して問い合わせてみましょう。入居したい物件が見つかったら、賃貸人と終身建物賃貸借契約を締結します。 出典)東京都終身認可住宅一覧(令和5年4月1日現在) 賃貸人の手続き 賃貸人が終身建物賃貸借契約をするには、事前に都道府県知事の認可を受ける必要があります。手続きの流れは以下のとおりです。 賃貸住宅の概要や賃貸条件等を記載した「事業認可申請書」を作成する 間取図等の必要な書類を添付する 都道府県知事等の自治体の長に提出する 一定のバリアフリー基準等に適合していることが要件となるため、物件の状況によっては手すりの設置などの対応も必要です。 出典)国土交通省住宅局安心居住推進課「終身建物賃貸借契約の手引き」 まとめ 高齢者は、健康面や金銭面の問題で賃貸住宅の入居を断られるケースが少なくありません。しかし、終身建物賃貸借契約を利用できる不動産であれば、高齢者でも安心して同じ家に住み続けられます。老後も賃貸暮らしを続けたい場合は、終身建物賃貸借契約に対応した物件を探してみてはいかがでしょうか。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 老後にリースバックを利用すると得られる4つのメリット リースバックは、自宅を売却してまとまった資金を手に入れながら、家賃を払うことで同じ家に住み続けられるサービスです。リースバックを利用することで老後の不安を解消し、より快適な生活が送れるように...
定年退職や子どもの自立などによって、現役世代とはライフスタイルが大きく変化する高齢者世帯は多いのではないでしょうか。ライフスタイルが変化すると、より快適な家を求めて住み替えを検討するかもしれません。 そこでこの記事では、現在持ち家所有者である60歳以上の男女104名を対象に、住み替えに関するアンケートを実施した調査結果をご紹介します。 住み替えたい理由はリフォームでは対応できないから Q1. 住み替えたい理由を教えてください(複数回答可) 「建物の老朽化」と「間取りへの不満(広すぎる、狭すぎる)」がともに38%と、簡易なリフォームでは解決しにくい建物への不満であることがわかりました。これらの不満を解決するには建て替えや間取り変更を伴うリフォームが必要であるため、そういった手間や費用をかけるのであれば、自宅を住み替える選択をするのかもしれません。 住み替えで最も重視する点は利便性、最大の不安は資金面 Q2. 住み替えにあたって不安に感じることはありますか?(複数回答可) やはり「資金面」に不安を抱える方が最も多く、38%が不安を感じていました。次点は「荷物の整理・処分」で35%、「生活環境の変化」が30%と続いています。 Q3.住み替えで最も重要視するのはどこですか? 最も重視するのは「買い物、交通、病院などの利便性」の41%で他の選択肢を大きく引き離した結果となりました。シニア世代が普段の生活のしやすさを重視していることが分かります。一方で、住み替え先を選ぶ基準として、「家族との同居・近居」や「物件の資産価値」、「バリアフリー整備の充実」などの優先順位は低いようです。 約半数が住み替えの予定が立っていない、最大の理由は資金面 Q4. 実際に住み替える予定はいつですか? 「住み替え意向がある」にもかかわらず、「実際に住み替える予定は立っていない」人が45%となりました。「10年以内」というやや住み替えへの意識が低い方も含めれば、半数以上の人が住み替えへの目途が立っていないようです。 Q5. 住み替える予定が立っていないのはなぜですか? 住み替える予定が立っていない理由を見てみると、「希望に合う住み替え先がないから」が約半数という結果となりました。続いて、「住み替え費用が用意できないから」が36%となりました。 多くは住み替え先が見つからないためですが、資金不足が原因で積極的に情報収集に取り掛かれていないのかもしれません。なお、Q3でシニアが重視するのは圧倒的に利便性の高い物件でしたが、希望の利便性と購入可能予算内で物件を探すのは、シニアにとって非常に難しいことかもしれません。 住み替え資金を自宅の売却で考えるとハードルが高い Q6. 住み替えの費用をどのように捻出する予定ですか? 「自宅の売却」で住み替え費用を捻出しようとしている割合は約半数にのぼりました。 その一方、「住宅ローン」を利用しようとしている人はたった5%にとどまっています。 【考察】 一連のアンケートから、住み替え意向がある60歳以上の方の多くが、実際には”住み変えられない”という結果が得られました。約半数は希望に合う物件がないという理由でしたが、次いで資金面の課題が多いことがわかりました。 住み替え資金が用意できないという理由には、住み替え予算に自宅の売却資金を見込んでいることが原因でしょう。新居に自宅の売却資金を使うためには、新居の購入前に自宅を売却するか、購入と同時に自宅を売却することが一般的です。 上記のような一般的な売却を行うと、仮住まいが必要になってしまうこと、新居の選定か自宅の売却価格に妥協せざるを得ない場合があること、購入と売却のスケジュール調整が難しいことなど、いくつかの課題が発生します。これらがシニアの住み替えを難しくしている要因ではないでしょうか。 まとめ 住み替え意向がある60歳以上の人の約半数が、「実際に住み替える予定がない」という結果となりました。さらに、利便性を求めることで希望に合う住み替え先が見つからないほか、自宅の売却と住み替えの両立が難しいという理由で、住み替える予定が立たないことがわかりました。 資金面や仮住まいの問題のため住み替えが出来ないシニア世代の方々は、高齢者向けの住宅ローンであるリ・バース60やリースバックなどのサービス利用を検討してみましょう。既存のサービスでは実現出来なかった、スムーズで賢い住み替えができるかもしれません。 SBIシニアの住まいとお金で『住まいとお金ガイドブック』無料進呈中 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 老後の住まいはどうすべき?ポイントを徹底解説 老後に豊かな生活を送るには、ライフスタイルに合わせて住まいを選ぶ必要があります。しかし、住まいを選ぶ際には多くの選択肢があるので、どのように選べばよいかわからないのではないでしょうか。 老後...
シニア世代は、子どもの独立や退職などをきっかけに生活環境が大きく変化します。今住んでいる家がライフスタイルに合わなくなると、将来を見据えて住み替えを検討することもあるでしょう。 この記事では、シニアが住み替える際に確認しておきたいポイントを4つ紹介します。 住み替えの目的を明確にする まずは住み替えの目的を明確にすることが大切です。シニアはどんなきっかけで住み替えを考えるのでしょうか。「エリア」「設備」「趣味・嗜好」の3つの観点から、シニアが住み替える目的を確認していきましょう。 エリア 居住エリアの変更を希望する場合は、「子どもと同居、近居したい」「利便性を向上させたい」といった場合が考えられます。 子ども世帯の近隣に住み替えることで、子どもや孫と支えあいながら楽しく暮らせます。また、スーパーや医療機関、公共交通機関などが充実しているエリアに住み替えれば、老後も不自由なく暮らせるでしょう。 設備 「建物や設備の経年劣化により長く住み続けるのが難しい」「バリアフリー化したい」といった理由で住み替えを検討するケースです。 住み替えることで建物や設備が新しくなり、バリアフリー化もできます。ただし、今住んでいる家の建て替えや「リフォームで対応することができないのか」改めて考えてみるといいでしょう。 趣味・嗜好 「趣味の読書や映画、音楽を楽しみたい」「一年中ゴルフをして過ごしたい」「スローライフを満喫したい」など、趣味・嗜好で住み替えを検討する場合も考えられます。戸建てやマンションだけでなく、高齢者向け住宅などの様々な住まいの候補があります。それぞれメリット・デメリットがあるので、後悔がないように物件を選定するといいでしょう。 より快適な老後を過ごすには、住環境を整える必要があります。自分の好みに合った家に住み替えることで、毎日を楽しく快適に過ごすことができるでしょう。 余裕を持った資金計画を立てる シニアが住み替えを成功させるには、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。具体的には以下の点を確認しましょう。 総資産額を把握して住み替え予算を決定する まずは手元にある資産や負債を把握して、住み替えの予算を決定します。 資産は預貯金のほかに自宅の売却価格、株や保険などの金融商品も確認しましょう。自宅の売却価格は住み替えの進め方や売却方法によって変わってくるため、保守的に見積もることが大切です。 負債は住宅ローンやその他の借入があるかを確認します。資産から負債を差し引いた金額が、現時点で手元にある本当の資産(純資産)となります。 借入可能額を見積もる 資金調達を利用する場合は、いくらまで借りられるかを見積もりましょう。 シニアの場合、年齢や収入によって利用できるローン商品が変わってきます。通常の住宅ローンは審査が通りにくく、借りられたとしても長期のローンを組むのは難しいでしょう。高齢者向け住宅ローンの「リ・バース60」も選択肢として検討を進めるといいでしょう。 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 預貯金として残す金額を決める 資産や負債、借入可能額がわかったら、預貯金として残す金額を決めます。年金だけで生活するのが難しい場合、預貯金は生活費を補う重要な財産となります。急にまとまった出費が生じる可能性もあるので、預貯金は多めに確保しておきましょう。 無理のないキャッシュフローにする 住み替え前と住み替え後でキャッシュフローは異なるケースが多いでしょう。借入を利用する場合は、毎月の返済が増え、マンションに住み替える場合は、毎月管理費・修繕積立金がかかります。住み替え後のキャッシュフローができるだけプラスになるか、手元の預貯金で賄えるかなどの視点から、無理のない収支計画を立てましょう。 賢く手段を選んで自宅を売却する シニアが住み替えを成功させるには、自宅をどのように売却するかも重要です。自宅の売却方法は、「買い先行」と「売り先行」の2つがあります。それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を選択しましょう。 買い先行で住み替える 買い先行は、新居を購入してから自宅を売却する方法です。空室にしてから売却するので、内覧希望者に対応しやすく、高値で売却できる可能性があります。 ただし、今の住宅ローンを残したまま新居のローンを組むのは難しいため、資金に余裕がある人に向いています。 買い先行は「市街化区域外」「旧耐震」「再建築不可」「既存不適格」「借地権」「郊外」「マンションの1階」など、売りづらい物件に住んでいる場合は要注意です。自宅の売却に時間がかかると手元資金が不足する恐れがあります。 売り先行で住み替える 売り先行は、自宅を売却してから新居を購入する方法です。住み替え資金を確保しやすく、新居のローンを組みやすいので、資金に余裕がない場合は売り先行が向いています。 ただし、売り先行は新居に引っ越しするまでの仮住まいを確保しなくてはなりません。また、新居の購入スケジュールによっては早期に売却しなくてはならないため、買い先行に比べると自宅の売却価格が安くなりがちです。 少しでも高く売るために「仲介」で売却するのか、確実に売却するために「業者買取」を利用するのかを判断する必要があります。 目的に合った物件を選定する 資金計画や自宅の売却方法が決まったら新居を探します。目的に対応する物件を選ぶ際は、以下の点を意識するといいでしょう。 持ち家か賃貸か シニアの住み替えでは、持ち家だけでなく賃貸物件も選択肢となります。 持ち家は間取りなどの選択肢が広く、いざというときに有効活用できるのがメリットです。「売却する」「物件を担保に融資を受ける」などの方法で、まとまった資金を確保できます。 賃貸は毎月家賃がかかりますが、自宅の処分やローンを考慮せずに引っ越しができ、相続トラブルを回避しやすいのがメリットです。ただし、オーナーによっては高齢であることを理由に入居を断られる場合もあるので、老人ホームや高齢者向け賃貸住宅から選ぶといいでしょう。 戸建てかマンションか 住み替えの目的によって、戸建てとマンションのどちらが向いているかは変わってきます。 たとえば、子ども世帯と同居するなら間取りの自由度が高い戸建て、将来の売却や相続を考慮するなら売却しやすいマンションがよいかもしれません。目的に応じて、どちらがよいかを見極めましょう。 都市部か郊外か 都市部と郊外では、住環境が大きく異なります。都市部は生活に便利な設備がそろっていますが、物件価格や家賃は高い傾向にあります。一方、郊外は静かな環境で穏やかに暮らせますが、インフラ整備などの状況など生活するには不便な場所もあります。 都市部と郊外のどちら選ぶにせよ、売却しやすい物件に住み替えることを意識しましょう。 予算を超えたら? 条件に合致する土地や物件が見つかっても、予算を超えてしまうかもしれません。その場合は以下のような選択肢があります。 建て替え・リフォームに切り替える エリアを変える ダウンサイジングする 老後資金不足を招く恐れがあるため、予算を超える場合は住み替えを見送るのが無難です。住み替えにこだわらず、建て替えやリフォームで住環境を改善する方法もあります。 どうしても住み替えたい場合は、エリア変更やダウンサイジング(より小さな家への住み替え)を検討しましょう。 まとめ シニアが住み替えをする場合は、目的をはっきりさせたうえで資金計画を立てることが大切です。また、自分にあった売却方法や物件を選ぶことも重要なポイントとなります。快適なシニアライフを過ごすために、必要に応じて住み替えを検討しましょう。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住み替えの方法と成功させるポイント 持ち家に住んでいても、転勤や家族構成の変化などのライフスタイルの変化などを理由に住み替えを検討することがあるでしょう。 住み替えは新居の購入や自宅の売却、住宅ローンの手続きなど、同時に進めな...