公開日:2026.08.26
住宅ローンの借り換えにおいては、現在の金利動向に加え、借入残高や残存期間、将来の収入見通しなどを総合的に分析することが重要です。
借り換えに適したタイミングを見極める第一歩は、借り換えの目的が「毎月返済額および総支払額の軽減」にあるのか、それとも「将来の金利上昇リスクの回避」にあるのかを明確に定めることです。
本記事では、金利動向や審査基準の留意点を踏まえ、借り換えのタイミングを判断するための基準を解説します。
【本記事の要約】
| 住宅ローンの借り換え: 目的別比較表 | 目的①:総支払額の軽減 | 目的②:金利上昇リスクの回避 |
|---|---|---|
| 主なアプローチ | より低金利な住宅ローンへの借り換え | 変動金利から固定金利への借り換え |
| 適したタイミング・ 判断の目安 |
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| 主な留意点・ 注意すべきリスク |
| 一般的に固定金利は変動金利より高く設定される ため、結果的に金利が上がらなかった場合、 総支払額が割高になる可能性 |
| 共通で注意すべき点 |
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総支払額の削減を目的とする場合、現在適用されている金利よりも低い水準の住宅ローンへと借り換えることで、毎月の返済額や完済までの総利息の軽減を図ります。しかし、表面上の適用金利が下がるからといって、無条件で総支払額が安くなるとは限りません。
総支払額の軽減を狙った借り換えの可否は、金利差・ローン残高・残りの返済期間の3要素を軸に、借換費用も含めた総支払額の「実質的な削減効果」が出るかを厳密に見極める必要があります。
住宅ローンの借り換えには、金融機関への融資事務手数料や抵当権設定登記にかかる登録免許税・司法書士報酬などの諸費用などが発生します。これらの借換費用を差し引いてもなお総支払額が削減できるかの判断の参考となるのが、次の「3つの目安」です。
ただし、これらの条件はあくまで目安であり、満たしていない場合でも、他の要素の水準次第では総支払額を削減できるケースが存在します。そのため、最終判断の前には必ず個別のシミュレーションを実施することが不可欠です。
金利低下で得られる利息軽減額と借換費用を踏まえた費用対効果の考え方については、以下の記事で詳しく解説しています。
将来的な金利上昇のリスクを回避したい場合、固定金利への借り換えが有力な選択肢となります。
変動金利から固定金利へ移行すれば、金利上昇局面での毎月の利息増加や総支払額増加を回避できる一方、一般的に現在の金利動向を踏まえると、固定金利は変動金利よりも高く設定される傾向にあります。
そのため、将来にわたり金利が上がらなかった場合や金利が下がった場合は変動金利を継続した方が結果的には総支払額が少なかった、というケースも起こり得ます。しかし、毎月の返済額や総支払額を確定させ、長期的に家計の資金計画を安定化させられる点が大きなメリットです。
今後の金利がさらに上昇すると見込むのであれば、固定金利への切り替えを検討すべきタイミングです。
2024年の日本銀行(以下、日銀)によるマイナス金利政策の解除以降、住宅ローン金利には上昇傾向がみられます。変動金利は日銀の政策金利の影響を受けるため、今後も段階的な利上げが続くようであれば、連動して変動金利の上昇も見込まれます。
金利動向と住宅ローンの選び方について、詳しくは以下の記事で解説しています。
子供の教育費など将来的な大型支出が控えており、家計の資金計画を安定させたいのであれば、固定金利への借り換えを検討するタイミングです。
仮に金利が急上昇し住宅ローンの返済負担が増大するタイミングと、その他の支出増加が重なった場合、家計は不安定になります。将来的な金利上昇シナリオに家計が耐えられるかシミュレーションを行い、対策を検討しましょう。
なお、「5年ルール」や「125%ルール」を採用している金融機関であれば、金利が上昇しても5年間は毎月の返済額が変わりません。また、5年ごとに毎月の返済額が増えるときも、それまでの返済額の1.25倍が上限となります。ただし、これらは「利息を支払わなくてよくなったルール」ではなく、あくまで目先の返済額の増加を抑えるための仕組みです。金利上昇時には元金の返済ペースが遅くなり、場合によっては未払利息が発生して将来に繰り延べられることもあるため注意が必要です。
仮に住宅ローンを「借り換えたい」と望んでも、希望通りに借り換えが実行できるとは限りません。借り換えの際は、新規借入時と同様に借換先の金融機関による住宅ローン審査を通過する必要があるためです。金融機関は債務者の継続的な返済能力を厳格に審査するため、収入の安定性や健康状態の変化は審査結果に直結します。
以下のようなタイミングは、審査においてプラスに評価される可能性があります。
一方で、以下の事象に該当する場合は、審査の通過が困難になる恐れがあります。
団信は、債務者が死亡または所定の高度障害状態に陥った際、生命保険会社から支払われる保険金によって以後の住宅ローン返済が不要となる仕組みです。
団信への加入を融資の必須条件としている金融機関で借り換えを実施する場合、指定された生命保険会社の引受基準に基づき、改めて団信へ加入し直す必要があります。その際、現在の健康状態に関する告知義務が生じます。過去の加入審査に通過した実績があっても、その後の持病の罹患や治療歴によっては引受保険会社の審査基準を満たさないこともあります。
そのため、健康状態によっては借り換えが難しくなることがあります。加齢に伴い健康リスクは上昇するため、希望する時期に必ずしも借り換えが実行できるとは限らない点に注意が必要です。
健康状態に懸念がある場合は、引受基準が緩和された「ワイド団信」を取り扱う金融機関を候補に含めるなど、事前に対策を講じることが有効です。
住宅ローンの借り換えにおいては、毎月の返済額や総支払額を軽減したいのか、金利上昇リスクを回避したいのか、目的を明確にすることが重要です。
その上で、金利水準や今後の動向、家計の状況などを踏まえ借り換えのタイミングを検討します。借り換えの実現性は、住宅ローン契約者の転職や独立起業、健康状態の変動に大きく左右されます。
住宅ローンの借り換えメリットは、時間が経つほど(残存期間が短くなるほど)小さくなってしまいます。まずは簡易シミュレーションから始めて、ご自身にとって最適な借り換えタイミングを把握しましょう。
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