「老後の住まい」の記事一覧

  • シニアが自宅売却と物件購入を同時に実現する難しさ

    シニアが自宅売却と物件購入を同時に実現する難しさ

    定年退職や子どもの自立などによって、現役世代とはライフスタイルが大きく変化する高齢者世帯は多いのではないでしょうか。ライフスタイルが変化すると、より快適な家を求めて住み替えを検討するかもしれません。 そこでこの記事では、現在持ち家所有者である60歳以上の男女104名を対象に、住み替えに関するアンケートを実施した調査結果をご紹介します。 住み替えたい理由はリフォームでは対応できないから Q1. 住み替えたい理由を教えてください(複数回答可) 「建物の老朽化」と「間取りへの不満(広すぎる、狭すぎる)」がともに38%と、簡易なリフォームでは解決しにくい建物への不満であることがわかりました。これらの不満を解決するには建て替えや間取り変更を伴うリフォームが必要であるため、そういった手間や費用をかけるのであれば、自宅を住み替える選択をするのかもしれません。 住み替えで最も重視する点は利便性、最大の不安は資金面 Q2. 住み替えにあたって不安に感じることはありますか?(複数回答可) やはり「資金面」に不安を抱える方が最も多く、38%が不安を感じていました。次点は「荷物の整理・処分」で35%、「生活環境の変化」が30%と続いています。 Q3.住み替えで最も重要視するのはどこですか? 最も重視するのは「買い物、交通、病院などの利便性」の41%で他の選択肢を大きく引き離した結果となりました。シニア世代が普段の生活のしやすさを重視していることが分かります。一方で、住み替え先を選ぶ基準として、「家族との同居・近居」や「物件の資産価値」、「バリアフリー整備の充実」などの優先順位は低いようです。 約半数が住み替えの予定が立っていない、最大の理由は資金面 Q4. 実際に住み替える予定はいつですか? 「住み替え意向がある」にもかかわらず、「実際に住み替える予定は立っていない」人が45%となりました。「10年以内」というやや住み替えへの意識が低い方も含めれば、半数以上の人が住み替えへの目途が立っていないようです。 Q5. 住み替える予定が立っていないのはなぜですか? 住み替える予定が立っていない理由を見てみると、「希望に合う住み替え先がないから」が約半数という結果となりました。続いて、「住み替え費用が用意できないから」が36%となりました。 多くは住み替え先が見つからないためですが、資金不足が原因で積極的に情報収集に取り掛かれていないのかもしれません。なお、Q3でシニアが重視するのは圧倒的に利便性の高い物件でしたが、希望の利便性と購入可能予算内で物件を探すのは、シニアにとって非常に難しいことかもしれません。 住み替え資金を自宅の売却で考えるとハードルが高い Q6. 住み替えの費用をどのように捻出する予定ですか? 「自宅の売却」で住み替え費用を捻出しようとしている割合は約半数にのぼりました。 その一方、「住宅ローン」を利用しようとしている人はたった5%にとどまっています。 【考察】 一連のアンケートから、住み替え意向がある60歳以上の方の多くが、実際には”住み変えられない”という結果が得られました。約半数は希望に合う物件がないという理由でしたが、次いで資金面の課題が多いことがわかりました。 住み替え資金が用意できないという理由には、住み替え予算に自宅の売却資金を見込んでいることが原因でしょう。新居に自宅の売却資金を使うためには、新居の購入前に自宅を売却するか、購入と同時に自宅を売却することが一般的です。 上記のような一般的な売却を行うと、仮住まいが必要になってしまうこと、新居の選定か自宅の売却価格に妥協せざるを得ない場合があること、購入と売却のスケジュール調整が難しいことなど、いくつかの課題が発生します。これらがシニアの住み替えを難しくしている要因ではないでしょうか。 まとめ 住み替え意向がある60歳以上の人の約半数が、「実際に住み替える予定がない」という結果となりました。さらに、利便性を求めることで希望に合う住み替え先が見つからないほか、自宅の売却と住み替えの両立が難しいという理由で、住み替える予定が立たないことがわかりました。 資金面や仮住まいの問題のため住み替えが出来ないシニア世代の方々は、高齢者向けの住宅ローンであるリ・バース60やリースバックなどのサービス利用を検討してみましょう。既存のサービスでは実現出来なかった、スムーズで賢い住み替えができるかもしれません。 SBIシニアの住まいとお金で『住まいとお金ガイドブック』無料進呈中 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 老後の住まいはどうすべき?ポイントを徹底解説 老後に豊かな生活を送るには、ライフスタイルに合わせて住まいを選ぶ必要があります。しかし、住まいを選ぶ際には多くの選択肢があるので、どのように選べばよいかわからないのではないでしょうか。 老後...記事を読む

  • 介護リフォームが必要な理由とは?費用の目安や利用できる補助金を紹介

    介護リフォームが必要な理由とは?費用の目安や補助金制度も紹介

    突然のケガなどによって介護が必要になる場面だけでなく、家族の中に高齢者がいると自宅のリフォームを検討するかもしれません。スムーズにリフォームを進めるには、事前に工事にかかる費用をある程度把握しておくことが大切です。また、利用できる補助金についても押さえておけば、いざというときに頼りになるでしょう。 この記事では、介護を行うために必要なリフォーム費用の目安や工事のポイントなどを解説します。 介護リフォームが必要な理由 介護を行うためにリフォームが必要な理由としては、被介護者を守るためだけでなく、介護者の負担を減らすためという点が挙げられます。介護を受ける側も行う側も気持ちよく過ごせる環境を整えるためには、必要なリフォームを実施することが大切です。 それぞれのポイントについて、さらに詳しく見ていきましょう。 被介護者を守るため 高齢者の視点から考えると家の中には階段や段差、お風呂場、トイレなど、ケガの原因となる場所が無数に点在しています。身体の状態にもよりますが、それまであまり気にならなかった小さな段差でも、つまずいて転倒につながるリスクは十分にあります。 介護が必要な状態といっても、その介護レベルは様々で、室内であれば問題なく自分で移動できるというケースも多いものです。そうした方にとっては、できるだけ自分の力で安心して行動できるような室内環境を整えることが、健康や自信を維持するためにも重要なポイントとなります。 上記のように、まずは「高齢者を守る」という観点から、バリアフリーを目的とした介護リフォームは重要です。 介護者の負担を減らすため 介護リフォームのもうひとつの目的は介護者側の負担をできるだけ減らすことにあります。介護を行うためには被介護者自身が快適と感じられるだけでなく、介護者にとってもサポートをしやすいと感じられる環境が求められます。 たとえば、被介護者の横について排泄のサポートをする場面を考えると、トイレには二人分のゆったりとしたスペースが必要です。十分な広さがなければ、介護者の身体に負担がかかるだけでなく、心理面においてもストレスを感じてしまう原因になります。 また、簡単に玄関や窓のカギが開かないような工夫をするなど、被介護者の安全を守る仕組みが、介護者自身の精神的な負担を軽減させてくれることもあります。そのため、介護リフォームを行ううえでは、介護者の目線からも快適と感じられる設計や工夫が重要です。 出典)「一般社団法人 住宅金融普及協会」 リフォームの需要は高齢者世帯に多い 介護リフォームについて考えるのは、ある程度の年齢を重ねてからとイメージされるでしょう。実際のところ、住宅におけるリフォームの需要は、若い世代よりも65歳以上の高齢者に多い傾向があります。 『住宅土地統計調査』(総務省・2018年)のデータによれば、2014年以降に増改築・改修工事などが行われた持ち家の件数901.4万戸のうち、施主が65歳以上のケースは532.9万戸であり、全体の60%近くを占めることがわかります。 一方で、65歳以上の高齢者が住む住宅2253万4千世帯のうち、一定水準のバリアフリー化が済んでいる世帯は955万6千世帯で、全体の42.4%とされています。 これらの結果から、リフォームの需要は加齢や築年数が古くなることに伴うが、介護に備えた「バリアフリー化」は思ったよりも進んでいないことがわかります。また、築年数が古いほどバリアフリー化率が低く、今後も介護リフォームの需要は高まっていきそうです。 出典)総務省「住宅土地統計調査」 介護リフォームにかかる費用相場 介護リフォームの費用は、どの部位を施工するかによっても大きく異なります。また、水回りの入れ替えを行う場合、新たに導入する設備のグレードによっても費用に大きな差が生まれます。 一般的な介護リフォームを行う場合、主な部位の目安金額は以下のとおりです。 リフォームを行う箇所費用の目安 洗面所の改装20~100万円 トイレ全体の改装20~100万円 システムバスへの交換60~150万円 手すりの設置1~20万円 廊下の改修20~100万円 和室→洋室(バリアフリー仕様)へ改装70~300万円 段差の解消(床のかさ上げ)8~20万円 合計額199~790万円 上記のように、介護リフォームに必要な費用の目安には一定の幅があります。ただ、国土交通省の「建築物リフォーム・リニューアル調査報告」(2012~2014年度)によれば、リフォーム工事の価格帯は、500万円未満が全体の80%程度を占めるとされています。 太陽光発電システムの導入や基礎から行う耐震補強のように、あまり大がかりな施工を依頼しなければ、通常のリフォームより費用が安く収まるケースも少なくありません。ただし、リフォーム業者によって費用は変わるため、必ず「相見積もり」をとって複数の会社を比較しましょう。 出典) ・国土交通省 部位別リフォーム費用一覧 資料5-2 ・国土交通省 軽微な工事(リフォーム工事等)に関する対応の検討 失敗しないための介護リフォームのポイントを紹介 介護リフォームで失敗しないためには、それぞれの工事箇所で見落としがちな点を細かくチェックすることが必要です。介護のためのリフォームは初めてという方もめずらしくないため、一つ一つ確認をしていきましょう。 玄関のリフォーム 玄関のリフォームで意識したいのは以下のポイントです。 出入りがしやすい(車椅子でも入れる) 靴を履いたり脱いだりするときに座る場所がある 手すりがある 雨の日でも滑らない 段差がない まずは間口の広さに着目し、車椅子でも問題なく出入りができるかをチェックしましょう。玄関口と廊下には段差が生まれてしまうのが通常のため、上り下りを補助するための台や手すりを設置することも大切です。 また、意外と見落としてしまいがちなポイントとして、床の材質が挙げられます。雨の日の転倒事故を防ぐために、濡れても滑りにくい材質を導入しましょう。 トイレのリフォーム トイレのリフォームで意識したいのは以下のポイントです。 出入りがしやすい トイレ内が広い 用を足しやすい スリッパを履かずに済む トイレは場合によって、被介護者と介護者が一緒に入る可能性もあります。そのため、二人同時に入るケースを想定して、出入りのしやすさやトイレ内の広さを確保することが大切です。 また、便座の高さや向き、ドアからの動線を考慮して、用を足しやすいつくりを心がけることも重要です。被介護者の状態によっては、身体の向きを変えるだけでも苦労してしまうことがあるため、体勢を変えずに利用できる設計を検討しましょう。 つまずき防止を考えて、スリッパを履く必要がない床材を導入するのもコツです。 お風呂のリフォーム お風呂のリフォームで意識したいのは以下のポイントです。 出入りがしやすい 濡れても滑らない 浴槽に入りやすい 段差がない お風呂もその他のスペースと同様に、まずは出入りのしやすさを考えることが大切です。浴室は特に転倒しやすいスペースなため、少しの段差でもケガにつながることがあります。 車椅子を使うことも想定して、脱衣所との段差はなるべく解消しておきましょう。さらに、転倒防止の基本として床材を滑りにくいものに変更するのも重要なポイントです。 また、お風呂においては、浴槽の高さに目を向ける必要もあります。またいだときの転倒リスクを軽減させるためにも、浴槽部分を少し掘り下げて、床との高低差を小さく抑えることが大切です。段差が小さければ、介護者も入浴サポートがしやすくなります。 階段のリフォーム 階段のリフォームで意識したいのは以下のポイントです。階段は転倒・転落などの事故が起こらないように、安全面に目を向けることが大切です。 手すりがある 滑り止めがある 段差がゆるやかである 階段昇降機が設置してある まずは、上り下りでしっかりと身体を支えられるように、手すりを設置する必要があります。滑りにくくつかみやすい太さ・形状を心がけ、とっさのタイミングでもすぐにつかまれるようにしておくと安心です。 また、床には滑りにくい材質を用いるとともに、へりに滑り止めの加工を行うことも大切です。上記2つの施工内容であれば、それほど費用をかけずに実現できるため、優先的に取り入れたいポイントといえるでしょう。 そのうえで、階段スペースの広さを十分に確保できるのであれば、段差をゆるやかに設計し直すのもひとつの方法です。傾斜を抑える分だけ、階段のスペースは広がってしまいますが、上り下りの負担を軽減する有効な手段となります。 さらに、費用にゆとりがあるなら被介護者を乗せられる階段昇降機を設置すると便利です。費用は高額になりますが、レンタルを行っている会社もあるため、選択肢のひとつとして考えてみてもいいかもしれません。 介護リフォームは介護保険の補助金を活用しよう 介護リフォームに取り組む際は介護保険から受けられる補助を活用することが大切です。費用の一部に充てられるため、必要な介護リフォームをスムーズに進めやすくなるでしょう。 以下では介護保険を利用してリフォームを行う流れを解説します。 介護保険の支給限度基準額 介護保険制度では要介護者などが一定の介護リフォームを行うときに、必要な手続きを行うことで一定金額の補助を受けることができます。具体的には、最大で20万円の限度額を基準に支給される仕組みです。 ただし、実際には改修費用の1~3割は自己負担となるため注意しましょう。なお、介護リフォームのうち、介護保険制度の対象となるのは以下の工事です。 手すりの取り付け 段差の解消 床や通路における滑り防止のための材料の変更 引き戸などへの扉の取り替え 洋式便器などへの便器の取り替え 上記5つの施工のために必要な工事 また、国の制度である介護保険とともに、自治体独自の取り組みもあります。制度の仕組みは自治体によって違い、介護保険と併用できるかどうかも異なります。 たとえば、東京都の場合は「住宅改善事業」という制度が設けられており、細かな仕組みや運用のルールは市区町村ごとに決められています。 出典)東京都 住宅改善事業 介護保険を利用してリフォームを行う流れ 介護保険の支給制度を利用するためには、決められた流れに沿って手続きを行う必要があります。リフォームの前に行う「事前申請」と施工後に行う「事後申請」のどちらも必要となるため、全体の流れをきちんと把握しておきましょう。 なお、助成金の支給が行われるのはリフォームの工事完了後になる点にも注意が必要です。 ケアマネジャーへの相談 介護リフォームを検討したら、まずは福祉センターのケアマネジャーにどのような介護リフォームが必要であるかを相談し、ケアプランを作成してもらいます。ケアマネジャーが作成する「住宅改修が必要な理由書」がなければ、支給の申請自体が行えないため注意しましょう。 市区町村への書類の申請 介護保険制度を利用する際は、市区町村にて工事前に申請する必要があります。申請には以下の書類が必要となります。 支給申請書 工事費見積書 住宅改修が必要な理由書 住宅改修後の完成予定の状態がわかるもの(日付入り写真や住宅間取り図など) 工事費見積書については金額の妥当性を確かめるためにも、複数の施工会社での相見積もりが推奨されています。ケアマネジャーによっては介護リフォームを得意とする施工会社を紹介してもらえることもあるため、不安な方は相談しておくといいでしょう。 施工の開始・完成 事前申請が終われば、施工会社による工事が実施されます。工事の期間は作業内容や範囲によっても異なるものの、介護保険における補助金の対象工事にはそれほど大規模なものはないため、比較的短いスケジュールで完成します。 工事費の支払い 施工が完了してからは実際の状態を確認し、プランとの差異がないかを確認します。そのうえで、問題がなければ工事費の支払いへと移ります。 このとき、リフォームの工事費用は一度自己負担しなければならない点に注意が必要です。支払い時に受け取る領収書は事後申請時に必要なため、きちんと保管しておきましょう。 介護保険の申請と改修費の支給 工事費の支払いが終わり、改めて市区町村に必要書類を提出すると、介護保険の正式な支給申請として取り扱われることとなります。このときに必要な書類は以下のとおりです。 住宅改修にかかった費用の領収書 工事費内訳書 完成後の状態を確認できる書類(改修前と改修後のそれぞれの写真など) 事前申請で提出された書類との確認や、適切な工事が行われたかの確認が終わると正式に申請が受理され、改修費が支給されます。 出典)厚生労働省 介護保険における住宅改修 まとめ 病気やケガなどで家族の介護が必要になったとき、介護リフォームを検討することもあるでしょう。大まかな費用相場を把握していれば、必要なリフォームを進めやすくなります。 介護保険をうまく活用してリフォームを進めることで、経済的な負担を軽減できるはずです。基本的な流れをきちんと押さえたうえで、介護リフォームを進めてみましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リフォーム費用の相場と安く抑えるコツ 住み始めた頃は問題ないと感じていても、月日の経過に伴って住まいに不便さを感じる場面も出てきます。今後の生活を快適にするためには、リフォームを検討してみるのも選択肢の1つです。しかし、実際にリ...記事を読む

  • シニアがリフォームする際のポイントや間取り事例を紹介

    シニアがリフォームする際のポイントや間取り事例を紹介

    年齢を重ねてくると、購入当時の住まいでは生活のしづらさを感じる場面が増えてくるものです。ライフスタイルに合った住環境を作るために、選択肢の1つとしてリフォームを考えることもあるでしょう。しかし、実際にリフォームを行うとなると、どこから手をつければいいか悩んでしまいがちです。 この記事では、シニア世代がリフォームを行うときのポイントや間取りの事例、活用できる制度などを詳しく解説します。 シニアがリフォームを行う際のポイント 50歳以降にリフォームを考えるときには、老後の暮らしを見据えた住みやすい間取りにすることを念頭に置く必要があります。特に子どもが独立してからは、間取りはシンプルなほうが暮らしやすいでしょう。 加齢に伴う身体機能の低下やバリアフリー、生活動線やライフスタイルなどの点から総合的に考えていく必要があります。以下ではリフォームを行う際にポイントとなる部分をそれぞれ解説します。 1.玄関 まず、玄関のリフォームで重要な点は、安全に出入りができるかということです。間口が狭い場合は、車椅子がスムーズに出入りできるように広げることも検討してみましょう。 玄関付近で気をつけておきたいのは、敷居や玄関のアプローチなどの段差でつまずく転倒事故です。できるだけ段差をなくすようにして、スロープを設けると安心です。また、安全に通行するために手すりを設置することも安心につながります。 2.水回り設備 浴室や脱衣所、キッチンやトイレといった水回り設備は転倒につながりやすい箇所でもあるため、特に注意が必要です。浴室や脱衣所はイスやシャワーチェアを置くスペースを確保できるかを確認しましょう。 まず、浴室の床は滑りやすいタイルなどは避け、なるべく滑りにくい素材に変更しましょう。また、浴室と脱衣所の間にある段差の解消や、ヒートショック対策として暖房器具を設置するなどの対策を行いましょう。 次に、トイレは手すりを設置して、立ち座りの負担を軽減することが大事です。また、出入りをスムーズに行えるように、ドアは引き戸にするほうがよいでしょう。 最後に、キッチンは戸棚の位置を低くして、座りながら調理できるスペースを設けてみると負担が減ります。ガスコンロからIHに切り替えて、火の不始末が起こらないような工夫もしてみましょう。 3.生活動線・段差 室内の移動はちょっとした段差でもつまずきやすいため、できるだけ段差を解消しましょう。夜間は足元が暗くなるため、フットライトを取り付けておくと安心です。 廊下には行き来をするときにつかまりやすいよう、壁に手すりを設けておきましょう。車椅子を使用するときは、廊下の幅が85~90センチメートルほどは必要になるため、通行の妨げになるものがないかをチェックしておきましょう。 4.リビングのレイアウト リビングはくつろぐための空間であるため、日当たりや風通しに配慮したリフォームを心がけておきましょう。リビングからトイレや寝室までの距離は短くするなど、生活動線を考えた間取りの配置を考慮しましょう。 また、テーブルや食器棚などの家具の配置にも気を配る必要があります。一人掛けのソファなど、後から移動させやすい家具を選んでおくとよいでしょう。すぐに目につくように、家具の色はメリハリのある色づかいのものを選ぶのも良いかもしれません。 5.空調・採光・周辺環境 高齢になると室内で過ごすことが多くなるため、部屋の換気や採光に配慮しておくことが大切です。部屋ごとの室温に大きな差がないか、窓の開け閉めをしやすいかなどをチェックしておきましょう。 また、外に出るときのことを考えて、道路や車庫に出るまでのルートが安全であるかもチェックしておく必要があります。段差の解消や手すりの設置、フットライトの取り付けなど基本的な部分を点検してみましょう。 間取りごとのリフォーム事例を紹介 一口にリフォームといっても、物件の種類によって適した間取りは異なります。戸建てやマンション、二世帯住宅などそれぞれのパターンで、具体的な間取りの事例を見ていきましょう。 事例1:2階建て以上の戸建て 2階建て以上の戸建ての場合は、1階に寝室を配置するとよいでしょう。寝室とトイレの位置をできるだけ近くして、生活動線を考えた間取りの配置を行うことが大切です。 玄関にはイスを置けるスペースを確保し、階段下を収納として活用すると便利です。リビングにいる家族の気配が感じられるように、間口を広くしたり対面型のキッチンにしたりすると安心です。また、2階に上がる階段は転倒防止のために、手すりや滑り止めを設けておきましょう。 事例2:平屋・マンション 平屋やマンションの場合は、壁を取り払って広めのLDKにするのも1つの方法です。トイレと脱衣所、浴室などの水回りを1箇所にまとめてシンプルな設計にしてみると、移動がラクになります。 玄関は各部屋までの移動距離が短くなるように、間取りの中央部分にあるほうが望ましいといえます。ベランダやバルコニーは、外との出入りがしやすいように縁側やウッドデッキなどを設けると、採光や換気の調整も行いやすくなります。 事例3:二世帯住宅 二世帯住宅の場合は、それぞれのライフスタイルやプライバシーの確保に配慮した間取りにすることが重要です。トイレは年配の方が利用しやすい位置に配置し、玄関までの移動距離を短くするのがポイントです。 和室を作る場合は、ベッドが置けるように一部をフローリングにしてみるとよいでしょう。広々とした階段ホールに改良するなどして、各世帯の独立性を維持しながらも、ふれあえる空間を設けておくと良いでしょう。 リフォーム工事に活用できる制度 リフォームを行うにはまとまった費用がかかるため、各種ローンだけでなく国や地方自治体が設けている補助金制度を有効活用することが大切です。どのような補助金があるのか事前に把握しておけば、リフォームの計画を進めやすくなるでしょう。 ここでは、3つの補助金制度についてポイントを紹介します。 介護保険法にもとづく住宅改修(高齢者住宅改修費助成制度) 介護保険は40歳からの加入が義務付けられている保険制度であり、要支援・要介護認定を受けたときに、介護費用の一部を支援してもらえる仕組みです。住宅改修費用についても介護保険の適用が受けられるため、負担の軽減につながります。 自己負担割合は1~3割と決められていますが、最大20万円までの補助が受けられます。補助金の支給は実際に工事を行って、業者に代金を支払った後で償還される仕組みであり、利用する際はあらかじめ住んでいる自治体に確認をしておきましょう。 対象となる工事は開口部・外壁・屋根・床などの断熱改修やエコ住宅設備(太陽熱利用システム・節水型トイレ・高断熱浴槽など)の設置、子育て対応改修やバリアフリー改修などです。 出典)介護保険における住宅改修 長期優良住宅化リフォーム推進事業 「長期優良住宅化リフォーム推進事業」とは、子育てに取り組みやすい生活環境の整備や住宅の長寿命化・省エネ化を推進するために行うリフォームに対して支援を行うものです。三世代同居対応改修工事や子育て世帯向け改修工事などの費用を支援してもらえます。 バリアフリー改修工事や高齢期に備えた住まいの改修工事なども対象となっており、幅広い用途で利用できる仕組みです。補助金の上限額は長期優良住宅の認定を受けない場合は最大100万円、認定を受ける場合は最大250万円となっており、工事費用の3分の1までが補助の対象となります。 出典)長期優良住宅化リフォーム推進事業 総合トップページ こどもみらい住宅支援事業 「こどもみらい住宅支援事業」は子育て世帯や若者夫婦世帯が高い省エネ性能を持つ住宅を取得したり、リフォームを行ったりするときの費用を補助する仕組みです。住宅の新規購入時は、省エネ性能に応じて60~100万円の補助を受けられます。 リフォームの場合は、すべての世帯を対象として最大30万円の補助金が交付されます。さらに、子育て世帯や若者夫婦世帯の場合、最大60万円まで上限が引き上げられるので活用してみましょう。 出典)こどもみらい住宅支援事業 まとめ 年齢を重ねてからも住みやすい環境を維持するには、必要に応じてリフォームを行うことが大切です。物件の種類によって間取りや生活動線などが異なるため、この記事で紹介したリフォームのポイントや事例などを参考にして、自分に合った住まいに作り変えてみましょう。 大がかりなリフォームになると、費用もそれなりにかさんでくるため、国が設けている補助金制度を上手に活用することが重要です。これから年を重ねていったときの暮らしをイメージしながら、早めに取り組んでみましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リフォームとリノベーションの違いとは?費用の目安も解説 建物の改装を検討するときには、リフォームとリノベーションのどちらが適しているのかを見極めることが大切です。この記事では、リフォームとリノベーションの基本的な違いについて解説します。 また、施...記事を読む

  • リフォーム予定のシニアは約4割、一方で2割が資金に悩む

    リフォーム予定のシニアは約4割、一方で2割が資金に悩む

    60歳を越えると、定年退職や子供の自立など、ライフスタイルが大きく変わる人も少なくないでしょう。自身が所有する住まいについても同様に、設備の故障や経年劣化によって、リフォームを検討する人も多いのではないでしょうか。 そこでこの記事では、持ち家がある60歳以上の男女500名を対象に、リフォームに関するアンケートを実施した調査結果をご紹介します。 詳細はこちら シニアのリフォーム予定は約4割、その半数が費用を200万円未満と想定、資金不足に悩むシニアは約2割!~SBIエステートファイナンスが「シニアのリフォーム」に関するアンケート調査を実施~ 約4割がリフォームを予定している Q. 今、住んでいる物件のリフォームを検討していますか? 「リフォームを予定している」と回答した方は約4割でした。この回答から、60代にもなるとリフォームの必要性を感じる方が多いことがわかります。 Q. 何年後にリフォームを予定していますか?(リフォームを予定していると回答した方) リフォームの予定時期は「半年以内」が10%、「1年以内」が11%と、1年以内にリフォームを計画している人が約2割いることがわかりました。また、未定が4割であることから、いずれリフォームが必要と考えているが、それほど緊急度の高いリフォームではないことも推察されます。 リフォーム費用は約5割が200万円以下という結果に Q. リフォーム費用はどの程度で考えていますか?(リフォームを予定していると回答した方) リフォームの費用は、最も多い回答が「100万円以上200万円未満」で30%、「100万円未満」が17%となり、200万円以下のリフォームに留める方が約半数であることがわかりました。このことから、大規模な修繕工事ではなく、最低限の修繕にとどめたリフォームを検討していることが多いことがわかります。 Q. リフォーム費用はどのように準備する予定ですか?(リフォームを予定していると回答した方) リフォーム費用は、約8割の人が貯金から準備する予定であり、「資産(株、投資信託等)の売却」を足すと9割以上となります。このことから大半の人が保有する資産の中からリフォーム費用を準備することがわかりました。 一方で、リフォームを予定しているが、「ローン」を利用するという人が4%、「当てがない」という人も4%おり、リフォームは必要になると考えているものの、どのようにリフォーム資金を準備するか悩んでいる人も一定数いるようです。 全体の2割近くが資金面を理由にリフォームを予定していない Q. リフォームを予定していない理由はなぜですか?(リフォームを予定していないと回答した方) リフォームを予定していない理由は、「現在の住宅に全く不満がない」という理由が34%でした。また、既にリフォームを実施済の人も25%いることから、リフォームを予定していないシニアの方の約6割はライフスタイルに合った自宅に住んでいることが推察されます。 一方で、リフォームを予定していない理由の中には、「費用がかかりそう」が15%、「費用が用意できない」が15%といったように、資金面で悩みがあることもわかりました。この結果とリフォームを予定しているが資金面で悩んでいる人を足し合わせると、資金面でリフォームに悩んでいる人は回答者全体の約2割となることがわかりました。 まとめ 今回の調査によると、シニア世代のほとんどが貯金などからリフォーム費用を準備する一方で、資金面で悩んでいる人が全体の2割を占めることがわかりました。また、リフォーム費用を低く見積もる方も多く、どれくらいの費用をかければどの程度のリフォームができるかを正しく把握できていない可能性もありそうです。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 シニアがリフォームする際のポイントや間取り事例を紹介 年齢を重ねてくると、購入当時の住まいでは生活のしづらさを感じる場面が増えてくるものです。ライフスタイルに合った住環境を作るために、選択肢の1つとしてリフォームを考えることもあるでしょう。しか...記事を読む

  • シニアが住み替える際の4つのポイント

    シニアが住み替える際の4つのポイント

    シニア世代は、子どもの独立や退職などをきっかけに生活環境が大きく変化します。今住んでいる家がライフスタイルに合わなくなると、将来を見据えて住み替えを検討することもあるでしょう。 この記事では、シニアが住み替える際に確認しておきたいポイントを4つ紹介します。 住み替えの目的を明確にする まずは住み替えの目的を明確にすることが大切です。シニアはどんなきっかけで住み替えを考えるのでしょうか。「エリア」「設備」「趣味・嗜好」の3つの観点から、シニアが住み替える目的を確認していきましょう。 エリア 居住エリアの変更を希望する場合は、「子どもと同居、近居したい」「利便性を向上させたい」といった場合が考えられます。 子ども世帯の近隣に住み替えることで、子どもや孫と支えあいながら楽しく暮らせます。また、スーパーや医療機関、公共交通機関などが充実しているエリアに住み替えれば、老後も不自由なく暮らせるでしょう。 設備 「建物や設備の経年劣化により長く住み続けるのが難しい」「バリアフリー化したい」といった理由で住み替えを検討するケースです。 住み替えることで建物や設備が新しくなり、バリアフリー化もできます。ただし、今住んでいる家の建て替えや「リフォームで対応することができないのか」改めて考えてみるといいでしょう。 趣味・嗜好 「趣味の読書や映画、音楽を楽しみたい」「一年中ゴルフをして過ごしたい」「スローライフを満喫したい」など、趣味・嗜好で住み替えを検討する場合も考えられます。戸建てやマンションだけでなく、高齢者向け住宅などの様々な住まいの候補があります。それぞれメリット・デメリットがあるので、後悔がないように物件を選定するといいでしょう。 より快適な老後を過ごすには、住環境を整える必要があります。自分の好みに合った家に住み替えることで、毎日を楽しく快適に過ごすことができるでしょう。 余裕を持った資金計画を立てる シニアが住み替えを成功させるには、余裕を持った資金計画を立てることが重要です。具体的には以下の点を確認しましょう。 総資産額を把握して住み替え予算を決定する まずは手元にある資産や負債を把握して、住み替えの予算を決定します。 資産は預貯金のほかに自宅の売却価格、株や保険などの金融商品も確認しましょう。自宅の売却価格は住み替えの進め方や売却方法によって変わってくるため、保守的に見積もることが大切です。 負債は住宅ローンやその他の借入があるかを確認します。資産から負債を差し引いた金額が、現時点で手元にある本当の資産(純資産)となります。 借入可能額を見積もる 資金調達を利用する場合は、いくらまで借りられるかを見積もりましょう。 シニアの場合、年齢や収入によって利用できるローン商品が変わってきます。通常の住宅ローンは審査が通りにくく、借りられたとしても長期のローンを組むのは難しいでしょう。高齢者向け住宅ローンの「リ・バース60」も選択肢として検討を進めるといいでしょう。 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 預貯金として残す金額を決める 資産や負債、借入可能額がわかったら、預貯金として残す金額を決めます。年金だけで生活するのが難しい場合、預貯金は生活費を補う重要な財産となります。急にまとまった出費が生じる可能性もあるので、預貯金は多めに確保しておきましょう。 無理のないキャッシュフローにする 住み替え前と住み替え後でキャッシュフローは異なるケースが多いでしょう。借入を利用する場合は、毎月の返済が増え、マンションに住み替える場合は、毎月管理費・修繕積立金がかかります。住み替え後のキャッシュフローができるだけプラスになるか、手元の預貯金で賄えるかなどの視点から、無理のない収支計画を立てましょう。 賢く手段を選んで自宅を売却する シニアが住み替えを成功させるには、自宅をどのように売却するかも重要です。自宅の売却方法は、「買い先行」と「売り先行」の2つがあります。それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を選択しましょう。 買い先行で住み替える 買い先行は、新居を購入してから自宅を売却する方法です。空室にしてから売却するので、内覧希望者に対応しやすく、高値で売却できる可能性があります。 ただし、今の住宅ローンを残したまま新居のローンを組むのは難しいため、資金に余裕がある人に向いています。 買い先行は「市街化区域外」「旧耐震」「再建築不可」「既存不適格」「借地権」「郊外」「マンションの1階」など、売りづらい物件に住んでいる場合は要注意です。自宅の売却に時間がかかると手元資金が不足する恐れがあります。 売り先行で住み替える 売り先行は、自宅を売却してから新居を購入する方法です。住み替え資金を確保しやすく、新居のローンを組みやすいので、資金に余裕がない場合は売り先行が向いています。 ただし、売り先行は新居に引っ越しするまでの仮住まいを確保しなくてはなりません。また、新居の購入スケジュールによっては早期に売却しなくてはならないため、買い先行に比べると自宅の売却価格が安くなりがちです。 少しでも高く売るために「仲介」で売却するのか、確実に売却するために「業者買取」を利用するのかを判断する必要があります。 目的に合った物件を選定する 資金計画や自宅の売却方法が決まったら新居を探します。目的に対応する物件を選ぶ際は、以下の点を意識するといいでしょう。 持ち家か賃貸か シニアの住み替えでは、持ち家だけでなく賃貸物件も選択肢となります。 持ち家は間取りなどの選択肢が広く、いざというときに有効活用できるのがメリットです。「売却する」「物件を担保に融資を受ける」などの方法で、まとまった資金を確保できます。 賃貸は毎月家賃がかかりますが、自宅の処分やローンを考慮せずに引っ越しができ、相続トラブルを回避しやすいのがメリットです。ただし、オーナーによっては高齢であることを理由に入居を断られる場合もあるので、老人ホームや高齢者向け賃貸住宅から選ぶといいでしょう。 戸建てかマンションか 住み替えの目的によって、戸建てとマンションのどちらが向いているかは変わってきます。 たとえば、子ども世帯と同居するなら間取りの自由度が高い戸建て、将来の売却や相続を考慮するなら売却しやすいマンションがよいかもしれません。目的に応じて、どちらがよいかを見極めましょう。 都市部か郊外か 都市部と郊外では、住環境が大きく異なります。都市部は生活に便利な設備がそろっていますが、物件価格や家賃は高い傾向にあります。一方、郊外は静かな環境で穏やかに暮らせますが、インフラ整備などの状況など生活するには不便な場所もあります。 都市部と郊外のどちら選ぶにせよ、売却しやすい物件に住み替えることを意識しましょう。 予算を超えたら? 条件に合致する土地や物件が見つかっても、予算を超えてしまうかもしれません。その場合は以下のような選択肢があります。 建て替え・リフォームに切り替える エリアを変える ダウンサイジングする 老後資金不足を招く恐れがあるため、予算を超える場合は住み替えを見送るのが無難です。住み替えにこだわらず、建て替えやリフォームで住環境を改善する方法もあります。 どうしても住み替えたい場合は、エリア変更やダウンサイジング(より小さな家への住み替え)を検討しましょう。 まとめ シニアが住み替えをする場合は、目的をはっきりさせたうえで資金計画を立てることが大切です。また、自分にあった売却方法や物件を選ぶことも重要なポイントとなります。快適なシニアライフを過ごすために、必要に応じて住み替えを検討しましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住み替えの方法と成功させるポイント 持ち家に住んでいても、転勤や家族構成の変化などのライフスタイルの変化などを理由に住み替えを検討することがあるでしょう。 住み替えは新居の購入や自宅の売却、住宅ローンの手続きなど、同時に進めな...記事を読む

  • 介護施設・老人ホームにかかる費用と選び方を解説

    老人ホームや介護施設にかかる費用、選び方を解説

    老後の住まいを考えたとき、老人ホームや介護施設などの、高齢者向け住宅を検討するかもしれません。一方で、これらの施設にかかる費用がいくらなのか、そもそもどのような人が、どのような施設を選ぶべきなのか、など、わからないことも多いでしょう。 この記事では、老人ホームや介護施設にかかる費用と、その選び方について解説します。なお、高齢者向け住宅については、以下の記事で詳しく解説しています。 >老人ホーム・介護施設とは?公的施設と民間施設の違いも解説 老人ホームと介護施設の違いとは 「老人ホーム」と「介護施設」という言葉は、世間一般で使用されますが、実は正式に定義がされていません。たとえば、厚生労働省のホームページでは、これらの施設を総称して、「高齢者向け住まい・施設」という表記が用いられています。そのため、前述した記事と同様に、この記事でも「老人ホーム」と「介護施設」を以下のように定義します。 老人ホーム:広義の高齢者向け住まい・施設 介護施設:介護サービスを受けられる高齢者向け住まい・施設 なお、厚生労働省の資料では、「高齢者向け住まい・施設」の利用者数は下図のようになっています。 出典)厚生労働省「介護分野をめぐる状況について」 直近、最も利用が多かったのは、介護老人福祉施設です。次いで、有料老人ホーム、介護老人保健施設と続きます。また、有料老人ホームの種別としては、住宅型有料老人ホームが介護付き有料老人ホームの約1.5倍であることがわかります。 老人ホームの種類と費用の目安 では、老人ホームの種類と費用の目安を整理しておきましょう。それぞれの施設の特徴などは前述した記事を参照してください。 なお、以下で紹介する費用はあくまで目安額のため、要介護度などにより変わることもあります。また、施設によっては入所・入居時に一時金が発生する場合もあります。特に有料老人ホームは、グレードが高いものほど一時金が高くなる傾向があり、中には数千万円の一時金がかかるものもあります。 一方で、同じ部屋に対し、一時金があるプランと、一時金がない、もしくは少額である代わりに月額が高めのプランを用意しているところもあります。 介護施設を除く老人ホーム 施設公的/民間一時金(目安)月額(目安) 軽費老人ホーム(自立型)公的0~数百万円8~20万円 住宅型有料老人ホーム民間0~数千万円15~30万円 養護老人ホーム公的不要0~12万円 サービス付き高齢者向け住宅民間0~数十万円10~25万円 シルバーハウジング民間敷金1~13万円 介護施設 施設公的/民間一時金(目安)月額(目安) 介護老人福祉施設公的不要5~20万円 介護老人保健施設公的不要5~20万円 介護医療院公的不要7~17万円 介護療養型医療施設*公的不要7~17万円 軽費老人ホーム(介護型)公的0~数百万円10~25万円 認知症対応型共同生活介護民間0~数十万円10~25万円 介護付有料老人ホーム民間数十万円~数千万円15~30万円 ※介護療養型医療施設は2023年度末で廃止 ※執筆者作成 老人ホームの探し方 老人ホームを選ぶ際には、入所する人の経済状態や要介護度をはじめ、いくつかの条件で絞り込む必要があります。主なポイントは「健康状態」「予算」「立地」の3点です。 健康状態 まずは、入所者の健康状態を確認します。大きな軸としては、「自立している」か「要支援・要介護の状態である」かに分かれます。要支援や要介護の場合は、どの段階なのかということや、認知症であるか否か、ということも重要です。 たとえば、要介護状態で医療的措置が必要な人は、介護医療院や介護療養型医療施設、介護老人福祉施設が候補となります。 予算 次に、自身の経済状況を踏まえた予算設定が必要です。一般的に、民間施設よりも公的施設の方は費用が安いです。しかし、公的施設は需要過多の状態が続いており、入所待ちが常に発生している状況です。 一方で、有料老人ホームなどの民間施設は、公的施設よりも費用が高いものの、供給数が多いため、経済状況に合わせた選択肢もあるかもしれません。予算設定の際には、入所の際に発生する一時金や、毎月負担できる月額を考えましょう。貯金がない場合には、毎月の収入である年金や金融資産、いずれ住まなくなる自宅の活用などを加味して検討します。 立地 親族との近居をした方がいいのか、必要ないかなど、立地条件から絞り込むこともできます。家族が訪れやすいよう利便性を重視する場合は、地域を限定して探すことになります。地域が限定されるのであれば、自身が居住する地域の地域包括支援センターなどで相談をすると、空室状況なども教えてもらえます。 施設見学や体験入所で候補を絞る 老人ホームを前述のような条件で絞り込んだ後は、次のような5つのポイントを確認して施設を決めましょう。 設備:浴室や食堂、リハビリ施設、トイレなど 介護・医療サービス:施設スタッフによる介護か、外部サービスの施設か、看護スタッフがいるかなど 食事:食事がおいしいか、病気に合わせて減塩、低糖などの配慮をしてくれるかなど 入院時や看取り:病院に入院すると退所となるか、看取り(施設で亡くなること)ができるのかなど 経営状態:施設の運営母体の財務状況に問題がないか、倒産時にどのような保証があるかなど 2025年は団塊世代が後期高齢者になり始めることから、大介護時代が始まるとされています。たとえば、介護老人福祉施設は要介護3以上が条件の施設ですが、首都圏を中心に空きがなく要介護度4でも入居待ちとなっているところもあります。 また、公的な介護施設は、重度の人が優先となり、軽度の人の選択余地はなくなることも考えられます。公的施設が難しく、有料老人ホームに入る場合は、具体的に施設を見学し、いくつか候補を絞っておくのがいいでしょう。施設見学や体験入所もできるので、元気なうちに候補を絞っておくと安心です。 まとめ 老後の住まいを決めるのは、元気に動けるときが一番です。人生100年時代とも言われる現在、目先の費用だけでなく、100歳まで長生きをしても払い続けられるかなど、持続性も確認しましょう。費用を捻出するために、自宅という資産を活用する選択肢があるのかどうかを確認しておくことも安心です。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 豊田 眞弓( Mayumi Toyoda ) マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。 個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。 <主な著書> 「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。 老人ホーム・介護施設とは?公的施設と民間施設の違いも解説 誰でも年をとると、身の回りのことができなくなったり、思ったようにできなくなったりしていきます。体が弱ってきたとき、あるいは要介護状態になったとき、自宅以外の住まいの選択肢として、どのような候...記事を読む

  • 老人ホーム・介護施設とは?公的施設と民間施設の違いも解説

    誰でも年をとると、身の回りのことができなくなったり、思ったようにできなくなったりしていきます。体が弱ってきたとき、あるいは要介護状態になったとき、自宅以外の住まいの選択肢として、どのような候補があるのでしょう。 この記事では、高齢者向けの住まいである、老人ホームや介護施設がどのような施設なのかを紹介します。 そもそも老人ホームと介護施設の違いは? 高齢者向け住宅について調べていると、「介護施設」と「老人ホーム」という言葉が多く使われています。高齢者向け住宅について、詳しくない人にとっては、高齢者向け住宅は「老人ホーム」と「介護施設」の2つに大別されるものと思ってしまうかもしれません。まずは、これらの言葉が何を指しているのかについて考えてみましょう。 厚生労働省では、「高齢者向け住まい・施設」といった表記はあっても、「老人ホーム」と「介護施設」と分類した表記はありません(有料老人ホームや介護保険施設という言葉は出てきます)。つまり、この2つの言葉には明確な定義があるわけではなく、一般の人でもわかりやすいように説明しているものと考えられます。 そのため、この記事内では、「老人ホーム」と「介護施設」という2つの言葉を以下のように整理します。 老人ホーム:広く高齢者が利用できる住宅・施設 介護施設:介護サービスを受けられる高齢者向けの住宅・施設 以上のように定義すると、代表的な高齢者向け住宅は以下のように整理されます。 介護施設を除く老人ホーム 施設主な設置主体入所基準認知症での入居 軽費老人ホーム(自立型)地方自治体、社会福祉法人、知事許可を受けた法人要支援1~〇 住宅型有料老人ホーム民間要支援1~〇 養護老人ホーム地方自治体、社会福祉法人-× サービス付き高齢者向け住宅民間-〇 シルバーハウジング民間-× 介護施設 施設主な設置主体入所基準認知症での入居 介護老人福祉施設地方自治体、社会福祉法人要介護3~〇 介護老人保健施設地方自治体、医療法人要介護1~〇 介護医療院地方自治体、医療法人要介護1~〇 介護療養型医療施設*地方自治体、医療法人要介護1~〇 軽費老人ホーム(介護型)地方自治体、社会福祉法人、 知事許可を受けた法人要介護1~〇 認知症対応型共同生活介護/th>民間要支援2~〇 介護付有料老人ホーム民間要支援1~〇 ※介護療養型医療施設は2023年度末で廃止 公的施設と民間施設では何が違う? 公的施設は、主な設置主体が、地方自治体や社会福祉法人、医療法人です。代表的なのは介護保険施設で、介護老人福祉施設や介護老人保健施設などがあります。その他にも、軽費老人ホーム、養護老人ホームなども公的施設です。 公的施設は、民間施設に比べて、費用が抑えられることから人気が高く、エリアによっては入居待ちも起きています。施設によっては、低所得者に対する優遇があるなどの特徴があります。 一方で、民間の老人ホームとしては、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などがあります。民間企業が運営しているため、公的施設よりサービスが充実しているものの、費用面では高めになります。 介護施設を除く老人ホーム(公的施設・民間施設) 介護サービスが必要ない「自立」の状態で利用できる老人ホームについて見ておきましょう。こちらも、概要や入所できる要介護度なども整理するとともに、公的施設と民間施設に分けてみます。 <公的施設>軽費老人ホーム(自立型ケアハウス) 軽費老人ホームは身寄りがないなど、自宅での生活が困難な人向けの福祉施設です。自立型ケアハウスは低額で利用できるバリアフリー仕様の高齢者向け施設で、要支援1以上の高齢者に生活相談や食事が提供されています。 <民間施設>住宅型有料老人ホーム 60歳以上の元気な人が入居でき、家事負担などを減らして暮らせます。介護サービスを受ける場合は、外部の事業者を利用します。「自立」で入所できる有料老人ホームにはほかに「健康型」もありますが、このタイプは要介護状態になると退去しなくてはなりません。 <公的施設>養護老人ホーム 養護老人ホームは、身寄りがない人や、経済的・環境的な理由で自宅での生活が困難な65歳以上を対象にした施設です。職員も配置されていて、社会復帰の促進や自立した生活を送れるよう必要な指導や訓練等を行っています。介護施設ではないため、要介護になると退去しなくてはなりません。 サービス付き高齢者向け住宅 60歳以上の高齢者向けの賃貸住宅で、部屋はバリアフリー化され、見守りサービスと生活相談サービスが付いています。部屋の大きさは原則25㎡以上と広めで、食事サービスや生活支援サービス(清掃、洗濯など)を提供している施設もあります。 シルバーハウジング 公営住宅やUR都市再生機構賃貸住宅などの公共賃貸住宅の一部の部屋をバリアフリー化したもので、「生活援助員」がいて、生活相談や緊急時対応などのサービスを提供してくれる施設です。食事の提供などはありません。60歳以上の単身者または夫婦での利用も可能です。 介護施設(公的施設・民間施設) 要介護認定を受けた人の選択肢となる介護施設についても、概要と、入所できる要介護度などを整理します。公的施設と民間施設に分けて考えてみましょう。 <公的施設>介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム) 常時の介護を必要とし、居宅で介護を受けることが困難な高齢者に対し、入所サービスを提供する施設です。要介護3以上の人が対象ですが、首都圏を中心に入居待ちも多くなっています。 <公的施設>介護老人保健施設 病院を退院後、症状が安定している人で、在宅復帰を目指して看護や介護、リハビリを中心とした医療ケアと生活サービスを受けるための施設です。要介護1以上の人が対象で、入所期間は原則3か月程度などの条件があります。 <公的施設>介護医療院 2018年4月に新設された、医療と介護のニーズに対応するための介護保険施設。医療の必要な要介護者を対象として、医学管理や看取りなどの医療機能と、介護施設としての機能とを提供する施設です。療養機能にウエイトを置いたⅠ型と、機能訓練や必要な医療にウエイトを置いたⅡ型があり、要介護1以上の人が対象です。 <公的施設>介護療養型医療施設 治療が終わった後も、長期の療養が必要な人が医療や介護、機能訓練などを受けるための病院で、要介護1以上の人が対象です。なお、2024年3月31日の廃止が確定しています。 出典)介護療養病床・介護医療院の これまでの経緯 - 厚生労働省 <公的施設>軽費老人ホーム(介護型ケアハウス) 軽費老人ホームは低額で利用できる福祉施設。家庭環境、住宅事情等で在宅での生活が難しい高齢者に対し、生活相談や食事が提供されます。バリアフリー仕様のケアハウスのうち、「特定施設入居者生活介護」の指定を受け、外部サービスを活用した介護サービスを受けられるのが介護型ケアハウスです。 <民間施設>認知症対応型共同生活介護(グループホーム) 要支援2以上の認知症高齢者が利用できます。少人数(1ユニット5~9人、1施設3ユニットまで)で家族のように共同生活を送ります。介助を受けながら、できる範囲で家事を分担し認知症の進行を遅らせます。施設によって入居の要件や費用も異なります。 <民間施設>介護付有料老人ホーム 介護・看護スタッフ等が常駐していて、介護保険を利用した介護サービスを24時間受けることができます。重度の要介護状態でも利用でき、施設によっては「看取り」まで可能なところもあります。一方で、サービスが手厚くなるほど費用も高額になります。そのほか、医療法人が経営する医療対応型の介護付き有料老人ホームもあります。要支援1から利用することができます。 まとめ この記事では老人ホームと介護施設の違いや概要を見てきました。高齢者向け住宅を検討している場合は、それぞれの違いを確認したうえで、検討するようにしましょう。 出典)高齢者向け住まいについて 執筆者紹介 豊田 眞弓( Mayumi Toyoda ) マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。 個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。 <主な著書> 「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。 終活とは?終活では何を準備すればいい? 昔に比べて平均寿命が延びて老後の期間が長くなったことから、「終活」を行う人が増えています。終活と聞くと、葬儀やお墓、相続など自分が亡くなった後のことをイメージするかもしれません。しかし、実際...記事を読む

  • 老後は家の建て替えが必要?資金はどうやって準備する?

    老後は家の建て替えが必要?資金はどうやって準備する?

    子どもが独立したり、定年が近づいてきたりすると、老後の住まいについて考える機会が増えるのではないでしょうか。戸建てに住んでいる場合は、住み替えやリフォームだけでなく、建て替えも検討するかもしれません。 建て替えによって自宅が新しくなれば、安心して老後を過ごせるかもしれません。一方で、建て替え資金をどうやって準備するかという問題もあります。この記事では、老後に自宅を建て替えるメリット・デメリット、資金を準備する方法について解説します。 高齢者の住宅事情について まずは高齢者世帯の持ち家率や建て替えの現状など、高齢者の住宅事情について確認していきましょう。 高齢者世帯の持ち家率 総務省の調査によると、65歳以上の高齢者がいる世帯の持ち家率(2018年)は82.1%となっています。持ち家率は減少傾向にあるものの、高齢者の8割超が持ち家に住んでいるのが現状です。 図:高齢者世帯の持ち家比率 ※調査結果から著者が作成 出典)総務省「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要P8」 建て替えの現状 総務省の調査によると、2018年の持ち家の取得方法のうち「建て替え」は565万6,000戸で、全体の17.2%となっています。 建て替えを行った住宅の建築時期で最も多いのは、1991~2000年の141万6,000戸(21.2%)です。次いで、1981年~1990年の104万8,000戸(18.3%)です。築30~40年で建て替えを実施するケースが多く、建て替え全体の約4割を占めています。 図:建て替えの現状 ※調査結果から著者が作成 ただし、建て替えが必要かどうかは、物件の構造や状態によって異なります。適切にメンテナンスを行っていれば、築年数が古くなったとしても、必ずしも建て替えが必要になるとは限りません。 出典)総務省「平成30年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計 結果の概要P6」 老後に建て替えを検討するきっかけ 多くの人は、どのようなきっかけで自宅の建て替えを検討するのでしょうか。老後に建て替えを行う理由として以下のようなことが考えられます。 若いときに建てた自宅が老朽化している 二世帯住宅/賃貸併用住宅に対応するため 賃貸暮らしだったが実家を相続した 20代で自宅を建てた場合、定年を迎える頃には築30~40年となります。建物や設備の老朽化が気になる場合、リフォームだけでなく、建て替えは選択肢の1つとなるでしょう。 また、子ども世帯と一緒に住むための二世帯住宅、家賃収入を得るための賃貸併用住宅に対応することを目的に建て替えを検討するケースも考えられます。 さらに、相続した実家への住み替えも、建て替えのきっかけになるでしょう。建物が老朽化している場合は、建て替えを選択肢に入れるかもしれません。 老後に自宅を建て替えるメリット 老後に自宅を建て替えるメリットは以下のとおりです。 ライフスタイルにあった家を建てられる 老後を安心して過ごせる 若いときに建てた自宅が、老後のライフスタイルに合うとは限りません。例えば、子どもが独立して夫婦だけの生活になれば、間取りが広すぎると感じることもあるでしょう。老後に建て替えを行えば、ライフスタイルの変化に対応した住みやすい家を建てられます。 また、建物が老朽化することで地震や台風などの災害リスクも高まります。建て替えによって建物を新しくすれば、耐震性や耐久性が高まり、老後を安心して過ごせます。 関連記事はこちらシニアが住み替える際の4つのポイント 老後に自宅を建て替えるデメリット 一方で、老後の建て替えには以下のようなデメリットもあります。 まとまったお金がかかる 建て替えが完了するまでの仮住まいが必要 自宅を建て替えるにはまとまった資金が必要です。しっかりとした資金計画を立てておかないと、老後の生活費が不足する可能性があります。また、建て替えが完了するまでは自宅に住めないため、仮住まいを用意しなくてはなりません。賃貸物件を借りる場合は、家賃の支払いが必要です。 建て替え資金はいくら必要? 自宅の建て替えにかかる費用は、大きく「工事費用」と「諸費用」の2つに分けられます。 工事費用 建て替えの際は、現在住んでいる家の解体工事と新築する建物の本体工事が行われます。また、給排水や電気・ガスなどの付帯工事も必要です。 工事費用は、「坪(㎡)数 × 各工事の単価」によって概算金額を算出できます。物件によって異なりますが、解体工事は坪4~8万円、本体工事は坪50~70万円が相場です。また、付帯工事は本体工事の20%程度が相場となります。 あくまでも目安なので、実際に建て替えを行う場合は事前に見積もりをとって、正確な金額を把握する必要があります。 諸費用 建て替えの際は以下のような諸費用もかかります。 印紙代(契約時) 登記費用 火災保険料 住宅ローン手数料(利用する場合のみ) 各種申請費用(長期優良住宅認定、建築確認申請等) 上記のほかに、引っ越し費用や仮住まいにかかる費用、新調する家電・家具などの購入費用も必要です。支払い時に困らないように、事前に費用を確認した上で多めに資金を用意しておきましょう。 関連記事はこちら住み替えの流れや費用、利用できる税制上の特例を解説 老後の建て替え資金にはリ・バース60 建て替え資金を自己資金で準備できない場合は、住宅ローンを組むのが基本です。しかし、高齢になると住宅ローンを組むのが難しいかもしれません。その場合は「リ・バース60」を検討しましょう。 リ・バース60は高齢者向けの住宅ローンで、満60歳以上の方でも借り入れが可能です。毎月の支払いは利息のみで、元金の支払いは債務者が亡くなったときに担保不動産を売却して返済するか、現金で一括返済するかを選べます。 リ・バース60については、以下の記事で詳しく説明しています。 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 まとめ 自宅の建て替えを行えば、理想の住まいで老後を豊かに過ごせるかもしれません。ただし、建て替えにはまとまった資金がかかるため、老後の生活費に影響が出る恐れもあります。 建て替えを行う場合はしっかりとした資金計画を立て、必要に応じてローンの利用を検討しましょう。 商品選びに困った方はこちら リ・バース60の商品詳細はこちら リ・バース60の無料資料請求はこちら お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 老後生活への準備として住み替えやリフォームをする場合、まとまった資金が必要になります。しかし、高齢になると、一般的な住宅ローンやリフォームローンの審査に通りにくくなります。 このような時に活...記事を読む

  • 老後の住まいはどうすべき?ポイントを徹底解説

    老後の住まいはどうすべき?ポイントを徹底解説

    老後に豊かな生活を送るには、ライフスタイルに合わせて住まいを選ぶ必要があります。しかし、住まいを選ぶ際には多くの選択肢があるので、どのように選べばよいかわからないのではないでしょうか。 老後の住まいを選ぶためには、ポイントを理解した上で、自分に合った住居を選択することが大切です。この記事では、老後の住まいの選び方や資金づくりの方法について詳しく解説します。 老後の住まいを選ぶポイントは3つ 老後の住まいを選ぶ上で、考えておきたい3つのポイントを紹介します。 持ち家か賃貸か マンションか戸建てか 都市部か郊外か 住居にはさまざまな種類が存在しますが、基本的には上記3つの組み合わせで考えると良いでしょう。それぞれの特徴やメリット・デメリットを理解すれば、自身に合った老後の住まいが見えてきます。 老後の住まいは持ち家か?賃貸か? 老後の住まいを選ぶときに、まず検討しておきたいのが「持ち家と賃貸のどちらを選ぶか」です。持ち家と賃貸の選択は、老後資金やライフスタイルに大きな影響を与えます。 ここでは、老後における持ち家と賃貸それぞれのメリット・デメリットについて確認していきましょう。 老後の住まいに持ち家を選ぶメリット・デメリット 老後に持ち家を選ぶメリットは以下のとおりです。 住居費の負担が小さい 内装や間取り変更が自由にできる 持ち家の場合、住宅ローンを完済していれば老後の住居費負担は小さくなります。不定期で修繕をしなければならないものの、定期的に発生する費用は基本的に固定資産税のみです。マンションなら別途管理費・修繕積立金が毎月かかりますが、家賃は発生しません。 また、若いうちに持ち家を購入した場合には、年齢とともに内装や間取りがライフスタイルに合わなくなる場合があります。そのため、必要に応じてバリアフリー対応のリフォームなども必要になりますが、持ち家であれば、内装や間取りを自由に変更できます。 一方で、持ち家には以下のようなデメリットもあります。 災害リスクがある メンテナンス費用がかかる 持ち家は地震や火事、水害といった災害によって、建物に被害が生じる可能性があります。老後の住まいに被害が出れば経済的打撃が大きく、老後資金が不足するかもしれません。保険で備えることもできますが、住めない状態になった場合は仮住まいを探す必要があり、復旧までに時間がかかることもあります。 また、建物のメンテナンス費用は自己負担となります。建物は時の経過とともに老朽化するため、安心して長く住み続けるには定期的な修繕が不可欠です。年金収入のみの生活で建物のメンテナンス費用が生じると、予想以上に大きな負担となるかもしれません。 老後の住まいに賃貸を選ぶメリット・デメリット 老後に賃貸を選ぶメリットは以下のとおりです。 メンテナンス費用がかからない 災害リスクが小さい ライススタイルの変化に対応しやすい 賃貸では、建物のメンテナンス費用は原則として所有者が負担してくれます。そのため、設備が故障したり、大規模な修繕を行ったりするときも、費用負担は必要ありません。 また、災害によって建物に被害が出ても、復旧のための修繕費用はオーナー負担となります。住めない状態になれば引っ越しが必要になるかもしれませんが、持ち家のような災害リスクは回避できます。 さらに、賃貸なら簡単に引っ越しできるため、ライフスタイルの変化に対応しやすいでしょう。 一方で、賃貸には以下のようなデメリットもあります。 家賃の支払いが一生続く 入居審査が通りにくい 老後に賃貸住まいの場合、家賃を一生払い続けることになります。家賃を払っても毎月の生活費に余裕があるなら、賃貸でも特に問題はないでしょう。しかし、年金だけでは生活費が足りず、預貯金を取り崩す必要がある場合は、生活が立ち行かなくなる場合があります。 また、高齢になって安定収入がなくなると、賃貸借契約を締結する際に保証人を求められることも多くなり、頼める人がいないと契約を断られるケースもあります。 このように、老後の住まいにおいて、持ち家と賃貸はメリット・デメリットが異なります。現在の住居や財産状況、理想のライフスタイルなどに照らして、どちらが自身に合っているかを見極めることが大切です。 関連記事はこちら老後に賃貸と持ち家ではどう違う?メリット・デメリットを解説 老後の住まいを持ち家にする場合、マンション?戸建て? 老後の住まいを持ち家にする場合、「マンションと戸建てのどちらにするか」という問題もあります。同じ持ち家でも、マンションと戸建てでは特徴が異なるからです。購入してから後悔しないように、それぞれのメリット・デメリットを確認しておきましょう。 老後の住まいにマンションを選ぶメリット・デメリット 老後にマンションを選ぶメリットは以下のとおりです。 セキュリティが高い 資産性が高い 建物のメンテナンスを気にしなくていい 高齢の一人暮らし・夫婦二人暮らしの場合、空き巣などの被害にあわないか不安を感じるのではないでしょうか。オートロックで管理人が常駐しているマンションであれば、セキュリティが高く、防犯上も安心といえます。 また、マンションは戸建に比べて資産性が高く、値崩れしにくい特徴があります。そのため、都心や生活利便性の高いエリアに至っては、購入時よりも売却時の方が、値段が上がっているなどのケースもしばしばあります。 さらに、マンションは、共用部分の清掃は管理会社が行ってくれます。設備や外壁、屋根などのメンテナンスも大規模修繕計画などに基づいて行われるため、あまり気にする必要がありません。 一方で、マンションには以下のようなデメリットもあります。 管理費・修繕積立金がかかる 生活音などに気を付ける必要がある マンションは、持ち家であっても管理費・修繕積立金の支払いが必要です。将来の修繕に備えて毎月費用負担が生じるので、生活費を圧迫する要因となるかもしれません。また、建物の老朽化が進み、修繕費用に対して積立金が不足していると、途中で修繕積立金の額が値上げされることが一般的です。 また、戸建と比べると、マンションは生活音に気を付ける必要があります。特に深夜や早朝の掃除機や洗濯などの生活音で、隣室の住人間でトラブルになる場合もあります。 老後の住まいに戸建てを選ぶメリット・デメリット 老後に戸建てを選ぶメリットは以下のとおりです。 自由にリフォームできる 騒音トラブルが起こりにくい 建物が古くなっても土地が資産となる 同じ持ち家でも、マンションより戸建てのほうが自由にリフォームできます。間取りを大きく変更することができ、敷地に余裕があれば増改築も可能です。建物が独立しているので、マンションに比べて騒音トラブルが起こりにくいのもメリットです。 また、戸建ては建物が古くなっても、土地が資産となります。エリアに左右される部分はありますが、場所によっては土地のみで高い資産価値を有することもあります。建て替えを行って、再び同じ場所に住むという選択肢もあるでしょう。 一方で、戸建てには以下のデメリットもあります。 管理・メンテナンスの手間がかかる 防犯対策が必要 バリアフリー工事が必要になることも 戸建ては、マンションよりも管理やメンテナンスの手間がかかります。定期的に設備の交換、屋根・外壁のメンテナンスなどが必要になり、工事の手配や費用の準備は自身で対応しなくてはなりません。 また、敷地が広くて部屋の数が多い場合、空き巣などの被害にあうリスクが高まります。「防犯カメラを付ける」「ホームセキュリティを導入する」といった防犯対策が必要です。 段差が多くある場合は、バリアフリー工事が必要になることもあります。事前に対策を講じておかないと、介護が必要になったときに、生活に不都合が生じるかもしれません。工事の規模によって費用は変わってきますが、数百万円程度の負担が生じる可能性もあります。 老後の住まいは都市部と郊外で何が違う? 老後の住まいは、立地にも大きな影響を受けます。都市部と郊外の物件では、住環境に大きな違いがあります。ここでは、都市部と郊外の違いについて確認していきましょう。 都市部に住むメリット 都市部に住むメリットは、生活利便性が高いことです。 一般的には高齢になるほど注意力が衰え、運転操作も遅くなるため、車の運転に不安を感じるようになるかもしれません。都市部なら公共交通機関が充実しており、電車やバス、タクシーなどを利用することで、マイカーがなくてもスムーズに移動できます。 また、都市部であれば近くにスーパーや病院、公共施設、商業施設などがあるので、行動範囲が狭くなっても安心して生活できます。 郊外に住むメリット 郊外に住むメリットは、人混みや騒音などから離れて静かな暮らしができることです。老後に落ち着いた場所でのんびり暮らしたい場合は、郊外が適しています。また、郊外の物件は、都市部に比べて家賃や物件価格が安いのも魅力です。 ただし、郊外は交通の便が悪く、住む場所によってはスーパーや病院などに出かけるのが不便な場合があります。 老後で持ち家の場合に考えておくべきこと 老後の住まいとして持ち家を選ぶときは、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。ここでは、老後で持ち家の場合に考えておくべきことをお伝えします。 住宅ローン破産に気を付ける 老後の住まいとして持ち家を選ぶ場合は、住宅ローン破産に注意が必要です。住宅ローンは、住宅を担保にお金を借りる仕組みであるため、ローンを返済できなくなると自宅は競売にかけられてしまいます。 住宅ローン破産を避けるには、毎月の収入で無理なく返済できる金額でローンを組むことが大切です。たとえば、住宅金融支援機構のフラット35では、返済比率(年収に占める年間返済額の割合)の基準を以下のように定めています。 年収400万円未満:30% 年収400万円以上:35% ボーナスは勤務先の業績などによって支給額が変動するので、ボーナス払いはなるべく利用しないほうがいいでしょう。また、転職などで一時的に収入が減っても慌てずに済むように、まとまったお金を手元に用意しておくことも有効な対策となります。 出典)住宅金融支援機構「10月よりフラット35のご利用条件を簡素化します」 住まいの終活を考える 住まいの終活とは、老後のより豊かな暮らしや、生前のうちに自身が亡くなった後の住まいについて考えることです。 相続時に不動産は所有権だけでなく、誰が住むかという問題も生じます。現金や有価証券のように均等に分割しづらい資産のため、相続人が複数いる場合は相続トラブルになることもあります。 老後を持ち家で過ごすのであれば、自身が亡くなった後のことも考えて、早めに準備にとりかかることが大切です。住まいの終活については、以下の記事で詳しく解説しています。 関連記事はこちら住まいの終活とは?3つの選択肢と準備しておくべきこと 老後で持ち家だからこそ考えられる資金づくりの選択肢 賃貸とは異なり、持ち家の場合は資金づくりの選択肢が豊富にあります。ここでは、持ち家を活用して、老後の資金不足を解消するサービスを3つ紹介します。 リ・バース60 リ・バース60とは、満60歳以上の方向けの住宅ローンです。一般的な住宅ローンには収入や年齢の融資条件による制約があるため、高齢になるほどローンを組むのは難しくなります。 リ・バース60であれば、60歳以上の方が老後生活への準備として建て替えや住み替え、リフォームを行う際に融資を受けられる可能性があります。 リ・バース60の主な特徴は以下のとおりです。 毎月の返済が利息のみ ノンリコース型を選択できる リ・バース60は、利息のみを返済する仕組みです。毎月の返済額が小さいので、家計への負担を抑えられます。据え置いている元金の返済は、債務者が亡くなった後に「担保不動産の売却」または「現金一括返済」のどちらかを選択できます。 ただし、元金を繰上返済しない限り返済はずっと続くため、しっかりとした返済計画をたてることが大切です。 また、リ・バース60には、「ノンリコース型」と「リコース型」があります。ノンリコース型を選択すると、相続人は残った債務を返済する必要がないため、自身が亡くなった後に家族に負担をかけずに済みます。一方で、ノンリコース型は、リコース型に比べて適用金利が高くなることがあります。 リ・バース60については、以下の記事で詳しく解説しています。 関連記事はこちらリ・バース60とは?メリット・デメリットを解説 リースバック リースバックとは、自宅をリースバック運営会社に売却し、その会社と賃貸借契約を締結することで、売却後も同じ家に住み続けることができるサービスです。「持ち家に住み続けたいが老後資金に不安がある」「持ち家のリスクを減らしたい」という方に適しています。 リースバックの主な特徴は以下のとおりです。 自宅を売却した後も同じ家に住み続けられる 毎月の支出が定額化される 持ち家のリスクを無くせる 持ち家を売却すると、通常は別の家に引っ越しをしなくてはなりません。しかし、リースバックなら家賃を払うことで、まとまった資金を手に入れながら、引き続き同じ家に住み続けられます。毎月の支出が定額化され、資金計画が立てやすくなるのもメリットです。 また、自宅の所有権は運営会社に移転するので、災害リスクや相続といった持ち家ならではのリスクもなくなります。 一方で、リースバックには「売却価格が市場価格よりも安くなる」「定期借家契約の場合は住み続けられる保証がない」といったデメリットもあります。 リースバックについては、以下の記事で詳しく解説しています。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 リバースモーゲージ リバースモーゲージとは、自宅を担保に融資を受けられる高齢者向けのローン商品です。持ち家で老後資金に不安がある場合に、自宅を活用した資金調達手段として活用できます。 リバースモーゲージの主な特徴は以下のとおりです。 自宅に住み続けながら資金調達できる 毎月の支払いは利息のみ まとまった資金を得るために自宅を売却すると、住む場所を探さなくてはなりません。リバースモーゲージで融資を受ければ、自宅に住み続けながら老後資金を準備できます。 リバースモーゲージは、債務者の死亡後に自宅(担保不動産)を売却して元金を返済する仕組みです。毎月の支払いは利息だけで済むので、返済負担が軽減されます。 ただし、リバースモーゲージは融資条件が厳しく、元金が減らないので支払いが一生続きます。また、急な地価下落などで担保評価額が下がり、借入済の元金が融資限度額を超えると返済を求められるリスクもあります。 リバースモーゲージについては、以下の記事で詳しく解説しています。 関連記事はこちらリバースモーゲージとは?メリット・デメリットや仕組みを解説 まとめ 老後の住まいを選ぶときは、「持ち家か賃貸か」「マンションか戸建てか」「都市部か郊外か」の3つのポイントを意識することが大切です。それぞれの特徴を理解できれば、自身に合った理想の住まいが見えてきます。 持ち家でまとまった資金が必要な場合は、「リ・バース60」や「リースバック」といった高齢者向けのサービスを検討しましょう。 商品選びに困った方はこちら お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住まいの終活で考えておくべきポイントをFPが解説 「終活」という言葉が一般に広がるなか、近年、「住まいの終活」についても注目されるようになってきました。どのような内容なのか、どうしたらいいのかなどについて考えてみましょう。 「住まいの終活」...記事を読む

  • 住まいの終活で考えておくべきポイントをFPが解説

    住まいの終活で考えておくべきポイントをFPが解説

    「終活」という言葉が一般に広がるなか、近年、「住まいの終活」についても注目されるようになってきました。どのような内容なのか、どうしたらいいのかなどについて考えてみましょう。 「住まいの終活」とは? そもそも「終活」とは、自分の人生の終わり方を考え、そのために必要な準備をすることを言います。明日かもしれないし、30年以上先かもしれない。いつ訪れるかわからない「もしもの時」に備えて、身辺整理をしておくことを言います。 ただし、最近は「人生100年時代」と言われ、亡くなるまでの期間も長くなっているため、終活といっても「人生の幕引き」だけではなく、セカンドライフの生活を考えることも、「終活」に含まれます。 こうした「終活」に関して、最近は特に、住まいに関しても考える必要性が問われるようになってきました。理由としてはいくつか挙げられます。 経年劣化等によって、住居に不具合が生じる 住居の生活利便性が低く、車を手放すと生活が厳しい 要介護となった結果、生活が出来ない 将来的に老人ホームの利用を検討しており、住居を持て余す このようなことから、老後を意識し始める頃から、「終活」とともに「住まいの終活」についても真剣に考え、準備をしておく必要があります。自身の老後を見据え、よく検討しましょう。 一方で、「住まいの終活」といっても、状況によってポイントや準備方法が異なります。どのように行えばいいのかを以下の状況別に考えてみましょう。 住み替えの希望や必要があるか 老後資金に問題がないか 死後に住居をどうする予定か 関連記事はこちら終活とは?終活では何を準備すればいい? 住み替えの必要があるか 定年後になると、通勤を考えずに住まいを決めることが出来るので、今後の住まいについて考える人も多いのではないでしょうか。そして、今後の住まいを考えるときには、住み替えを検討するかもしれません。住み替えをすることでより良い条件で生活を送れる可能性がありますが、多額の資金が必要となるため、慎重に検討する必要があります。 そこで、住み替えをするかどうかを判断する際には、自分が死ぬまで現在の住まいで生活をする場合に何か不都合が生じるか、という切り口で判断するといいでしょう。特に下記のポイントに該当する場合には、住み替えを検討してもいいかもしれません。 経年劣化等により、この先何十年も暮らしていくのが難しい 生活するためには車が必須で、生活利便性が低い立地である 子供と離れて暮らしているため、親族のサポートが期待できない 経年劣化等の理由であれば、リフォームという選択肢もあります。一方で、建物をリフォームするだけでは問題が解決できない場合には、住み替えを検討するといいでしょう。住み替えは、新しく住みやすい家に引っ越したいという希望だけでなく、住み替えにお金を使っても老後の生活費に問題がないかなど、資金面でも慎重に検討する必要があります。 老後資金に問題がないか 次に、住み替えに限らず、リフォームを検討している場合にも、老後資金が不足しないかどうかを慎重に検討する必要があります。高齢になると住宅ローンを組むことが難しく、住み替えの場合は手元資金を多く出さなければならないケースが多いでしょう。また、リフォームをするにしても、ローンが組めずに全額手元から融通する必要があるかもしれません。 老後資金が不足することを見据えて不動産売却を視野に入れている人もいるでしょう。しかし、不動産売却をすると新しい住み替え先も決めておかなければなりません。そのため、不動産売却以外の資金の捻出方法も考えておいた方が良いかもしれません。 住宅を活用して、老後資金を捻出する方法としては次のようなものが挙げられます。 リバースモーゲージ 自宅に住み続けながら、自宅を担保に一時金や月々の生活費を借りる仕組み。金融機関によって、エリアや不動産の種類、最低評価額が決められていることがあります。エリアは首都圏中心と限定されていることが多く、一定評価額以上の戸建てが中心であることが多くなっています。 リースバック 自宅をリースバック専門の不動産会社へ売却し、売却代金を受け取る一方で、買主にリース料(家賃)を支払って元の自宅に住み続ける仕組み。売却代金は一括一時金で受け取ることができ、使途に制限はありません。物件の立地は流動性の高いエリアであることが一般的です。 不動産担保ローン 不動産を担保にして借りるローン。実際には、担保となる不動産に抵当権を設定して借り入れをします。土地や一戸建て、マンション等が対象ですが、物件の立地は流動性の高い主要都市に限られる金融機関が多いようです。 その他にも、以下のコラムで詳細を解説していますので、ご参考ください。 関連記事はこちら住宅ローンを完済したがお金がない!そんな時の持ち家活用術とは? 死後の住居をどうする予定か 自分自身の問題をクリアした後は、死後の住居についても考えておく必要があります。相続人が一人の場合には、不動産を含めた財産分与の問題は生じないでしょう。しかし、相続人が複数いる場合には、不動産をどう相続するかあらかじめ決めておいた方が良いでしょう。 なぜなら、不動産は所有権のみならず、誰が居住するかという問題が起こるため、相続人が複数いる場合は平等に分けるのが難しく、相続でトラブルになることもあります。また、現金化しておくことで均等に分割できますが、生前に売却すると「老後の住まいをどうするか」という問題が生じます。 死後の住まいの選択肢については以下のコラムで解説していますので、ご参考ください。 関連記事はこちら住まいの終活とは?3つの選択肢と準備しておくべきこと まとめ 住まいの終活を考える際には、できるだけ子供たちも含めて話し合うことが大事です。子供たちに家を残せない可能性が高い場合はなおさらです。 そのほか、金融資産があまりなくて遺産が不動産中心の場合、相続人同士でもめないようにするために、遺言などを作成しておくことも大事です。公正証書遺言でなく、自筆証書遺言でも今は法務局で預かってもらうこともできます。 定年が見えてきた50代後半以降は、終活や住まいの終活、場合によっては相続などについてしっかり考え、家族にも「こうしたい」ということを伝えておきましょう。特に、今後の住まい方をリアルに想定し、必要な準備をするとともに、家族と話しておくことは重要ですね。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 豊田 眞弓( Mayumi Toyoda ) マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。 個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。 <主な著書> 「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。 終活とは?終活では何を準備すればいい? 昔に比べて平均寿命が延びて老後の期間が長くなったことから、「終活」を行う人が増えています。終活と聞くと、葬儀やお墓、相続など自分が亡くなった後のことをイメージするかもしれません。しかし、実際...記事を読む