不動産担保ローンを提供している金融機関のホームページには、よく「仮審査」や「事前審査」という言葉が使われています(以後この記事では「仮審査」と呼称します)。住宅ローンを利用したことがある人なら、「本審査」前に必ず行う手続きの一つと思うかもしれません。 しかし、不動産担保ローンの仮審査は、住宅ローンで行われるものとは異なります。この記事では、不動産担保ローンの仮審査について解説します。 住宅ローンの仮審査とは 仮審査は住宅ローンにおいて不可欠な手続きの一つです。仮審査を通過しないと、融資をするかどうかを決定する本審査に進めません。仮審査が必要となる理由には、住宅ローンを申し込むタイミングが関係しています。 正式に住宅ローンを申し込めるのは、ローンを借り入れる人が不動産業者と物件の売買契約を交わした後になります。物件の所有権を持っていないと、申し込みはできないことになっているからです。しかし、もし売買契約が完了している状態で、住宅ローンを借り入れることができなければ、物件の引き渡しは行えません。そうなれば売買代金を回収できない不動産会社や、物件を購入する人にとっては大問題です。 このような問題を発生させないために仮審査があります。購入する物件を決めた段階で金融機関に仮審査を申し込み、住宅ローンを借り入れるための条件を満たしているかどうかを審査します。そして、仮審査を通過した人が不動産会社と売買契約を結び、金融機関に本審査を申し込みます。このような段階を踏むことで、売買契約が完了しているにもかかわらず本審査に通らない、という事態を予防できます。 住宅ローンの本審査に落ちる要因 住宅ローンの仮審査はあくまで簡易的な審査です。住宅ローンを借り入れる人の年収や年齢、信用情報といった必要最小限の情報を基に、金融機関が信用力を判断します。そして、仮審査を通過すると本審査に進みますが、仮審査を通過しても必ず本審査に通るわけではありません。 本審査では住宅ローンを提供する金融機関に加えて、債務保証をする信用保証会社にも審査されます。信用保証会社は、住宅ローンを借り入れる人のいわば〝保証人〟といった存在です。そのため、仮審査は短い金融機関だと1~2日で終了しますが、本審査は1週間程度かかるところが多いようです。 本審査を通過できない理由は、以下のような理由が考えられます。 仮審査で申告した情報が事実と異なっている 収入証明書などの書類に不備がある 未申告の高額の借り入れがある 団体信用生命保険に加入できない 不動産担保ローンの仮審査とは 前述のとおり、住宅ローンの仮審査は手順や内容が明確になっています。一方で、不動産担保ローンの仮審査は、各金融機関が独自に行っており、中身は明確になっていません。また、仮審査を受けなくても、直接本審査を申し込むことが可能です。 不動産担保ローンを借り入れる人は不動産を保有しているため、住宅ローンで考慮しなければならない不動産会社との売買契約のタイミングなどが、存在しないからです。それでは、不動産担保ローンの仮審査にはどんな意味があるのでしょうか。 実際に行われている金融機関の仮審査は、多くの場合〝事前相談〟といった役割を担っているようです。不動産担保ローンを検討している人の「正式に審査を申し込む前に、融資が可能かどうかをちょっと聞いてみたい」という要望に対応しているといえます。 不動産担保ローンの本審査には、さまざまな書類が必要です。不動産の登記簿謄本の登記時事項証明書、土地や建物の図面、前年度の固定資産税納付の証明書、固定資産税評価証明書などです。こうした書類を揃えるには、かなりの手間と費用がかかるので、本審査に通過しなかった場合、精神的にもダメージを受けることは想像に難くありません。 まとめ 不動産担保ローンの仮審査は各金融機関によって異なりますが、信用情報や担保物件の簡易的な評価が行なわれています。また、仮審査で融資ができる可能性が高いと判断されても、本審査が通らないことがあるのは住宅ローンと同じです。このような点を理解していれば、気軽に打診ができる事前相談としての仮審査のメリットは小さくないのではないでしょうか。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイント 不動産担保ローンを利用して資金調達するには、金融機関の審査に通過する必要があります。しかし、不動産担保ローンの利用経験がないと、審査がどのように行われ、どうしたら審査を通過できるかわからない...
国土交通省は、2019年6月に『地価LOOKレポート』を発表しました。このレポートは、それほど知名度は高くありませんが、主要都市の地価動向をタイムリーに明らかにしてくれる貴重な調査となっています。そもそもどんなレポートなのか、今回の結果はどんな内容になっているのかについて、順を追って解説をしていきましょう。 不動産業界が注目する速報性を重視した地価の統計 国内の地価に関する統計としては、公示地価をはじめとして、基準地価や路線価といったものが広く知られています。地価 LOOK レポート(正式名称は「主要都市の高度利用地等の地価動向報告」)は、そうした統計と比べると一般的ではありませんが、不動産業界では地価の〝先行指標〟として非常に注目されています。 地価 LOOK レポートは、国土交通省が四半期ごとに発表している統計。実際には、「一般財団法人 日本不動産研究所」に委託して、100名以上の不動産鑑定士によって調査されているものです。公示地価や路線価との違いは、調査対象となる地域を絞っている点です。対象地域は、主要都市とその周辺に限定しており、全国 の100地区となっています。公示地価の調査地点は2万6000地点(2018年)、基準地価は2万1644地点(2017年)、路線価は約33万1000地点 (2018年)ですから、大きな差があります。 また、前述した全国100地区の内訳は、東京圏43 地区、大阪圏25 地区、名古屋圏9地区、地方圏23 地区となっていますが、その地区内において、細かく場所が特定されてはいません。例えば、東京都新宿区では、「新宿三丁目」と「歌舞伎町」の2か所が調査対象地区で、新宿三丁目であれば、「東京メトロ丸ノ内線・副都心線の新宿三丁目駅周辺。新宿通り沿いを中心に百貨店、中高層の店舗ビル等が集積する高度商業地区。」という所までしか、場所は特定されていないのです。ほぼ住所まで特定されている、公示地価や基準地価とは対照的なデータとなっています。 このように、地価 LOOK レポートは、調査対象地点が少なく、場所も住所までは特定されていないという〝欠点〟があります。それにも関わらず、不動産業界で注目されているのは、地価の動向について先行性があるからです。公示地価や基準地価、路線価は年1回しか発表されません。それに対して、地価 LOOK レポートは年4回発表されます。3か月ごとに調査されているので、地価が上昇しているのか下落しているのか、あるいは、横ばいになっているのかといった、傾向がつかみやすいのです。 したがって、地価LOOKレポートを継続して追っていると、公示地価や基準地価、路線価といった代表的な地価が、どういう動きをするのかが、ある程度予想できるようになります。調査対象地点を絞り、細かい住所までは特定できませんが、その分調査回数を増やすことで、地価の動向をいち早く明らかにする――これが地価LOOKレポートの役割といえるでしょう。 都心の一部では地価の上昇傾向が強まる そこで、改めて6月に発表されたデータを見てみます。調査時期は2019 年1 月1日~4 月1日です。まず、国土交通省の総括としては、「主要都市の地価は全体として緩やかな上昇基調が継続」といったものですが、注目されるのは、地価が横ばいとなっている地区が減少する一方、上昇率が3%以上6%未満(前期比/四半期の変動率。以下同)という、国土交通省が「比較的高い上昇」と規定している上昇率を記録した地区が増えていることです(グラフ参照)。 上昇のおもな要因として、国土交通省は次のような点を挙げています。 ・空室率の低下、賃料の上昇等堅調なオフィス市況 ・再開発事業の進展による魅力的な空間・賑わいの創出 ・訪日外国人の増加による旺盛な店舗、ホテル需要 ・利便性の高い地域等での堅調なマンション需要 上記の要因が、「景気回復、雇用・所得環境の改善、低金利環境」という国内景気の現状と相まって、オフィス、店舗、ホテル、マンションといった不動産投資全般が堅調にある、とまとめています。 東京都内の地区を個別に見てみると、43地区中、地価の上昇率が3%以上6%未満と「比較的高い上昇」となったのは、新宿区の歌舞伎町(JR山手線の新宿駅の北方に位置し、西武新宿駅東側、靖国通りの北側一帯)と渋谷区の渋谷(JR山手線の渋谷駅周辺一帯)の2地区でした。この3%以上6%未満という上昇率は、3か月ごとの四半期の変動率ですので、年率に換算するとかなり高い上昇率ということになります。 都心部は、すでに2020年の東京オリンピックに関連するさまざまな不動産投資がピークを越えたと言われ、不動産市況もいったん落ち着くのではないか、といった見方もありました。しかし、現状は、地価の底上げが続いており、一部では過熱に近い状況にあるということができるでしょう。このように、地価LOOKレポートは、タイムリーな地価の動向を教えてくれるデータとなっているのです。 出典)国土交通省「主要都市の地価は97%の地区で上昇基調 ~令和元年第1四半期の地価LOOKレポートの結果~」(2019)よりグラフを抜粋 仮審査( 不動産事業者専用 ) ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 仮審査(不動産事業者用) ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 ノンバンクで不動産担保ローンを利用する理由とはーー不動産事業者インタビューvol.1(2) 前回は、不動産物件の仕入れにあたって、実際にどんな工夫をしているのかについて、株式会社ノアプランニングの菅野敬介さんにお話をお聞きしました。今回は、引き続き、資金調達についてお伺いしていきま...
不動産担保ローンの金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限の金利が表示されます。このような表示は、申込金額等の条件によって適用金利が変わることを表しています。当然、ローンを借りる人にしてみれば、金利は低ければ低いほど良い条件であることは間違いありません。では、どうすれば借入金利を低くすることができるのでしょうか。 この記事では、不動産担保ローンを低金利で借りるために抑えておきたいポイントを解説します。 不動産担保ローン金利の相場 不動産担保ローンの金利は金融機関によって異なります。ここでは取り扱い件数や金額が多い銀行とノンバンクの不動産担保ローンの金利相場を比較してみましょう。 銀行の不動産担保ローンの金利相場 銀行が提供する不動産担保ローンの金利は、比較的低く設定されていることが多いです。具体的には、資金使途が限定されていない不動産担保ローンの場合、比較的低金利な金融機関で下限金利が1.0%台に設定されています(2025年4月時点)。 一方で、上限金利は8%や9%台に設定されており、不動産担保ローンの申込人によって適用金利が大きく変動することがわかります。 ノンバンクの不動産担保ローンの金利相場 ノンバンクの不動産担保ローンの金利は、銀行と比較して高く設定されていることが多いです。具体的には、比較的低金利な金融機関で下限金利が2.0%台に設定されています(2025年4月時点)。一方で、上限金利は5~7%台に設定されており、銀行の不動産担保ローンと大きく変わらないことがわかります。 関連記事はこちら不動産担保ローンにおける銀行とノンバンクの違い 不動産担保ローンを低金利で借りるための5つのポイント 不動産担保ローンの金利は、融資を実行する前に金融機関が行う審査の結果に大きく左右されます。つまり、審査の中身を理解すれば、低金利で借りるコツがわかります。まず、金融機関はどんな点をチェックするのでしょうか。 不動産担保ローンの審査では、主に以下のような項目が対象となります。 融資先の属性 担保不動産の価値 担保掛目 資金使途 借入期間 各項目について、どのような点がポイントであるか、詳しく説明していきます。 融資先の属性は信用力をみる 不動産担保ローンを個人で借りる場合も法人で借りる場合も、審査内容はそれほど変わりません。どちらも重要なのは融資先の「信用力」であり、信用力を計る条件として「収入」が大きな要素になります。収入とは、融資先が個人であれば年収、企業であれば利益を指します。 また、融資先の「信用情報」も信用力に影響します。過去にローンを借り入れていれば、その返済状況が確認され、ローンの返済が滞ったことがあると信用力は低くなります。反対に、延滞などをせずに返済がされていれば信用力は高くなります。また、個人であれば年齢や勤続年数、他の金融機関からの借入残高があるかどうか、といったことも融資先の属性に該当します。 返済比率と返済負担率もポイント 属性では特に収入が重視され、基本的に収入が多いほど信用力は高いと判断されます。しかし、その金額だけが審査対象となるわけではなく、「返済比率」も重要です。返済比率とは、収入に占めるローンの年間返済額の割合のことで、「返済負担率」とも呼ばれます。例えば、年収が500万円の人であれば、返済比率30%という水準は年間返済額が150万円になります。 年間の収入に占めるローンの支払額が大きくなると、それに伴い返済比率は高くなります。返済比率が高くなるほど借り入れの負担は重くなるので、返済が滞るリスクが生じます。そのため、金融機関は審査において返済比率の基準を設定しており、その基準に近いローンには高めの金利が適用されたり、融資そのものが否決されたりすることがあります。 したがって、借入金利を低くするには、まず「返済比率を低くする」ということが挙げられます。ただ現実的には、収入を増やすということはなかなか難しいので、年間返済額を減らすことがポイントになるでしょう。 担保不動産の価値の高め方 一般的に、担保不動産の価値が高くなるほど、借りる金額を増やす、金利を低くするといったことが可能です。不動産は土地と建物の2つで構成されており、土地の評価には、国税庁が発表している「路線価」(正式名称は「相続税路線価」)を用いることが一般的です。一般的な不動産取引では、「公示地価」や「基準地価」に基づいて売買価格が決定される場合が多いですが、路線価は公示地価や基準地価の8割程度とされています。 建物の評価はやや複雑で、建物の「再調達価格」を算定するところから始まります。再調達価格とは、その建物を新たに建築あるいは購入時に必要となる金額のことで、さらに、建物の「延べ床面積」や「法定耐用年数」などを加味して評価します。 ただし、建物の築年月が法定耐用年数を超えていると評価額はゼロ。例えば、戸建て住宅の法定耐用年数は22年なので、築22年を超えた一戸建ての価格は0円となり、不動産価格は土地だけを評価することになります。 関連記事はこちら不動産評価の方法と不動産価値の考え方 担保不動産の価値は上昇することもある 前述したように、担保不動産の評価額が高いほど、借入金額を増やしたり、金利を低くしたりする余地が広がります。とはいうものの、「すでに保有している不動産の評価額は変わらないのでは」と思っている人がほとんどでしょう。しかし、不動産の評価は所有者の工夫によって変わる要素もあります。 建物の価値は築年数の経過とともに減少しますが、リフォームによって価値を高めることはできます。リフォームまではいかなくても、周辺の掃除や外壁のクリーニングを定期的に行い、建物を整えておくことは重要です。また、土地についても、駅に近い立地であれば、商業施設の新規出店など周辺環境が良くなる場合が出てきます。 不動産としての価値を高めるということは、それが住宅であれば、住環境を改善することにもなります。普段から心がけておくことは、それほど難しいことではないでしょう。 関連記事はこちら不動産価値の高め方とは?立地条件と不動産価値の関係 担保掛目で融資可否や適用金利が分かれる 担保掛目とは、担保不動産の評価額に対して、金融機関が設定する比率のことです(「掛目」と呼ばれることもあります)。例えば、担保不動産の評価額が土地と建物を合わせて4,000万円の場合、金融機関の担保掛目が80%という比率であれば、担保評価額は4,000万円×80%=3,200万円となります。 不動産担保ローンにおいて、この担保掛目を用いて算定される実質的な担保価値が融資限度額になるため、重要なポイントです。担保掛目は、金融機関が独自に設定しますが、住宅ローンも含めて、70~80%程度に設定しているところが多いです。 もし、融資の返済が滞り、金融機関が不動産を売却することになった場合、不動産はすぐに現金化することは困難です。保有している間に、価値が減少する恐れもあります。そうしたリスクに備えるために、あらかじめ時価評価の80%程度に設定しているわけです。 担保掛目を考慮して融資金額を決める 一般的には、担保不動産に金融機関が設定する担保掛目を適用した金額が融資限度額になります。評価が4,000万円の物件に対して、担保掛目が80%であれば、融資の限度額は3,200万円です。 この物件を担保として3,200万円を借りる場合、融資限度額いっぱいの融資となり、リスクが高いと判断され、金利は高めに設定されることが多くなります。 一方で、2,800万円を借りる場合、400万円の担保余力が生まれます。金融機関としては、担保評価額に対して担保余力があれば、金利を引き下げる余地が出てきます。融資限度額まで借りる必要がなければ、借入金額を減らすことで金利を低くできる可能性があります。 資金使途が明確で金額は妥当か 不動産担保ローンの審査において、金融機関は必ず資金使途を確認します。担保が必要のない無担保型ローンでは、基本的にお金の使いみちは自由ですが、不動産担保ローンでは、金融機関によって資金使途に制限がかかることもあります。 例えば、会社の運転資金にすることを目的とした事業用資金は、不動産担保ローンとしては融資しない銀行が少なくありません。すでに事業で赤字が出ている状態であれば、返済が滞るリスクがあるからです。一方で、多くのノンバンクでは、事業用資金の融資をしています。 「資金の使途」におけるポイント 資金使途は、正しく申告しなければならないのは当然ですが、資金繰りの状況をきちんと伝えることで、金利を低くしてもらえる可能性があります。会社の運転資金として借りる場合でも、事業が上手くいっていないということにはならないからです。 例えば、会社の売上げが伸びて、売掛金が大きくなってくると、会社は事業用の立替金を増やしておく必要があります。また、取引先の要請で、売掛金の回収期間が延びてしまうこともあるかもしれません。こうしたことは事業が軌道に乗っているからこそ起こる事態です。 審査の際に、資金使途を運転資金としたうえで、なぜ運転資金が必要になったのかを明確にすることで、融資が受けやすくなり、金利も下げられる可能性が出てきます。その際は、理由の〝証拠〟となる会社の帳簿などを、併せて提出すると、さらに効果が高まるでしょう。 また、仮に事業があまり順調に行っていない場合でも、実現可能性の高い事業計画書を提出することで、融資が受けやすくなることもあります。資金使途自体は変えることはできませんが、工夫する余地はあります。 借入期間の長さで適用金利が変わる ローンの借入期間と金利には密接な関係があります。ほとんどの人は、借入期間が長いほど高金利になるというイメージを持っているかもしれません。基本的には、そうした認識は間違ってはいません。借入期間が長期になるほど、予期しない問題が発生するといった返済が滞るリスクが高くなるからです。 ただし、借入期間が長いほど金利が高いというのは、ローンが「固定型」の場合です。固定型は、借入時に設定された金利が返済終了まで変わらない、というものです。これに対して、「変動型」のローンは、一定のタイミングで金利が見直されるというもので、借入後の金融市場の動向によって、金利は上昇することもあれば、低下することもあります。したがって、通常、変動型の金利は借入期間によって大きな違いはありません。 金融機関が融資しやすいローンとは? 上記の傾向から外れる、微妙なケースも存在しています。例えば、住宅ローンには「固定期間選択型」というタイプがあります。これは、「10年固定」といったように、借入後、あらかじめ決めた期間の金利が固定される、というローンです。固定される期間は、3年、5年、7年、10年など、金融機関によってさまざまです(なお、固定期間が終了した後は「変動型」に移行します)。 この固定期間選択型も、一般的には固定期間が長くなるほど、金利は高くなる傾向にありますが、固定期間が短い方の金利が、長い方の金利よりも低いというケースが存在します。これらの要因としては、日銀の政策金利や金融市場の動向が挙げられますが、ローンを提供している金融機関の貸出金の残高の内容も関係しています。貸出金の残高の内容とは、残高に占める固定型と変動型の割合や、ローンが返済される時期などです。 金融機関としては、固定型に偏っているとか、返済がある時期に集中しているといった事態は避けなければなりません。経営の安定性を高めるために、さまざまなローンをバランスよく提供することが重要になります。 すると、金融機関には、ローンのタイプや借入期間などの条件において、融資をしやすいローンが出てきます。したがって、借入期間を柔軟に設定できるようであれば、金融機関に金利が低くなる期間があるかどうかを聞いてみる、という手があります。ただし、必要以上に借入期間を長くすると、今度は利息の負担が増えてしまうので、その点には注意しなければなりません。 まとめ 低金利で借りるポイントを5つ振り返ります。 項目 ポイント 融資先の属性信用力が高いほど低金利での借り入れができる。返済比率を下げれば、信用力を高めることが可能。 担保不動産の価値建物のリフォームやクリーニング、周辺環境で好転した部分で価値を高められる可能性がある。 担保掛目担保評価額に対する借入金額の比率を下げることで、金利を引き下げる余地が生まれる。 資金使途財務状態を正確に申告するとともに、事業計画書などを作成する。 借入期間借入期間に融通が利くようであれば、低い金利が適用される期間があるか確認する。 上記のポイント以外にも、初めて不動産担保ローンを借りる場合は、複数の金融機関にローンを申し込んで金利を比較し、最も低金利を提示してきた金融機関から借りる、といったことも挙げられます。また、借り入れをした経験があり、すでに返済が終了していれば、同じ金融機関に申し込む方が、低い金利を適用される可能性があります。すでに完済をしたという履歴が、信用力のアップにつながるからです。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローンの金利の実態をさぐる 不動産担保ローンに限らず、金融機関が表示しているローンの金利は、「年○○%~△△%」といった感じで上限と下限を表示していることがほとんどです。そのため、ローンの金利を比較しようとしても、この...
2019年6月25日に建築基準法が改正されました。この改正建築基準法の内容は、すでに国土交通省から2018年6月に公布され、一部の規定については同年9月から施行されていました。そして、2019年6月から新たに施行される法律には、戸建て住宅に関する重要な改正が含まれています。 戸建て住宅の転用について大幅な規制緩和 そもそも建築基準法とは、国民が安全かつ快適に生活を送ることができることを目的として定められた、建物や土地に関わる規定です。建物を設計し、建築したりする際には、都市計画法や消防法といった多くの法律が関わってきますが、建築基準法の対象となるのは、建築物や建築物の敷地、設備、構造、用途など。土地に対して、どんな用途や規模の建物が建てられるのか、建物の床面積や建築面積の上限は何平米かといった、さまざまな規定を定めています。建物を着工する前に行われる建築確認や、着工後の中間検査、着工が終了したことを確認する完了検査といった検査についても、建築基準法が規定しています。 建築基準法はこれまでに何度も改正をされています。今回の改正について、その背景を国土交通省は次のように述べています。「最近の大規模火災を踏まえ、老朽化した木造建築物の建替え等による市街地の安全性の向上や、建築物の適切な維持管理による建築物の安全性の確保を円滑に進めることなどが課題となっています。また、空き家が増加傾向にある中で、住宅をそれ以外の用途に変更して活用することが求められており、建築行政においても、安全性の確保と既存建築ストックの有効活用を両立しつつ、建築規制を合理化していく必要があります。」(以下、略) 今回の戸建て住宅に関する重要な改正は、後半部分の「既存建築ストックの有効活用」という部分です。こうした現状認識の下で、具体的に次のような改正が行われました。 (1)戸建住宅等(延べ面積200㎡未満かつ3階建て以下)を他の用途とする場合に、在館者が迅速に避難できる措置を講じることを前提に、耐火建築物等とすることを不要とする(2)用途変更に伴って建築確認が必要となる規模の見直し 次に、この改正によって、具体的に何がどう変更になったのかについて、わかりやすく説明していきましょう。 戸建て住宅の転用で耐火構造への改修が不要に 従来、建物の種類が「居宅」になっている戸建て住宅を他の用途へ転用する場合、転用後の延床面積が100㎡以下であれば、建築確認手続きは不要でした。それが、今回の改正で、建築確認手続きが不要となる延床面積が200㎡以下にまで拡大されることになりました。さらに、3階建て以下で延床面積200㎡未満の戸建て住宅などを他の用途の建築物に転用する際、柱や梁といった主要や構造部を耐火構造にする改修を不要とする特例が設けられたのです。 こうした改正によって、一般の戸建住宅を、簡易宿泊施設や老人福祉施設などに転用しやすくなると考えられています。例えば、改正前の建築基準法では、木造の戸建て住宅を簡易宿泊施設に転用する場合には、宿泊室が3階にある建物は耐火建築物でなくてはいけないという規定があったため、該当しない建物の3階は宿泊施設としては使えませんでした。それが、今回の改正によって、延床面積が200㎡未満の3階建てであれば、耐火建築物にしなくてもよいことになりました。 また、建物の用途変更を伴う建築確認手続きにはさまざまな書類が必要で、それを用意するためには費用と手間がかかります。改正によって、3階建てで延床面積200㎡未満の戸建て住宅であれば、そうした建築確認手続きは不要となります。 空き家対策の切り札となるか 国内でも、2018年6月に「住宅宿泊事業法」いわゆる「民泊新法」が施行されて以降、各地に法律に則った民泊施設が数多く登場しています。但し、これまで、都心部に多い3階建ての戸建住宅は民泊施設には不向きとされていました。その理由は、耐火建築物への改修や建築確認手続きが高いハードルとなっていたからです。しかし、今回の建築基準法の改正によって、小規模の3階建ての戸建住宅が民泊施設として活用されるケースが増加すると予想されています。それに伴って、戸建て住宅の不動産としての評価にも、変化が生じると考えられます。 国土交通省が、このような規制緩和を進めるのは、建築基準法改正の背景でも述べたように、「既存建築ストックの有効活用」特に〝空き家〟問題の対策としての側面が強いと言えます。総務省の「住宅・土地統計調査」(2013年実施)によると、全国の空き家(総数819万5600戸)の内、賃貸や売却用、別荘を除いた約4割が「その他の住宅」であり、その大部分を戸建住宅が占めているそうです。さらに2033年には、全国の空き家の数は約2150万戸になるという推計もされています。将来にわたって急増する空き家を、簡易宿泊施設や老人福祉施設にスムーズに転用させることを狙っているわけです。 短期的には、2020年に迫った東京オリンピック・パラリンピックに向けての、宿泊施設の確保も視野にあるでしょう。いずれにしても、今回の建築基準法の改正は、戸建て住宅の利用価値を見直し大きなきっかけになると考えられます。 仮審査( 不動産事業者専用 ) ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 仮審査(不動産事業者用) ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 ノンバンクで不動産担保ローンを利用する理由とはーー不動産事業者インタビューvol.1(2) 前回は、不動産物件の仕入れにあたって、実際にどんな工夫をしているのかについて、株式会社ノアプランニングの菅野敬介さんにお話をお聞きしました。今回は、引き続き、資金調達についてお伺いしていきま...
この記事では、金融庁の『投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果』について、その中身を掘り下げたいと思います。実は、この調査には、金融機関の融資について金融庁の考え方が、これまでになく非常に具体的に示されています。おそらく、今後、中長期的な指針となっていくと考えられます。 「不動産投資ローン」に改善を促す金融庁 金融庁は、「アパート投資向けの不正融資問題」において、特に、紹介業者が顧客を金融機関に紹介するケースについて警鐘を鳴らしています。簡単にいうと、融資に必要な審査関係資料や契約内容について、紹介業者に依存する傾向がみられ、融資先の顧客の管理体制が〝緩く〟なっているのではないか、というものです。 実際に、金融機関の回答をみると、不動産投資ローンを住宅ローンの延長と捉えてしまい、顧客の給与収入も返済原資の一部とみなしているため、物件のキャッシュ・フローのみで返済の見込みがなくとも、融資が実行されるケースが散見されたようです。 また、中古の物件に対する融資期間が、建物の築年数を控除した法定耐用年数を大幅に超えるケースもあったとされています。そのため、金融機関の9割以上は融資先事業の収支計画のシミュレーションをしている、とされていますが、その「精緻さにばらつきあり」と懸念が表明されています。 銀行や信用金庫では、不動産を担保として融資をする場合、担保不動産の市場価格に加えて、顧客の収入や、融資先が企業であれば事業の収益動向も加味して融資額を決めることが多いとされています。それに対して金融庁が懸念を表明したことにより、少なくとも不動産投資ローンについては、担保不動産の評価、事業の収支計画の妥当性に基づいた与信が行われることになるでしょう。 投資先物件のキャッシュ・フローの重要性 金融庁は、事業の収支計画の審査についても、以下のような提言をしています。 ①不動産投資ローンは、住宅ローンと違って、融資額も大きくなり、事業性融資の性格が強くなる点に留意する。 ②債務の返済は、賃貸事業が長期的に生むキャッシュ・フローの水準が大きく左右するため、金融機関は物件がキャッシュ・フローを生む期間(=建物の耐用年数)をできる限り客観的に検証し、その耐用年数から想定される合理的な融資期間を設定する。 ③債務の完済までの収支シミュレーションに基づき、賃貸事業としての返済可能性を見極めることが重要。 ④ 顧客は、目先の利回りにとらわれることなく、大規模修繕の必要性や物件収支が下振れた際の返済余力や、当初想定した価格で売却できない可能性も考慮しつつ、長期的な事業の収支計画を判断する必要がある。 いずれも、金融機関の審査に対する非常に具体的な提言となっており、金融庁が公表するレポートとしては、〝異例〟の内容といえます。以上のような指針から、今後、不動産投資ローンを受けるためのハードルは、かなり高くなることが予想されます。 投資先の物件が生み出すキャッシュ・フローをおもな返済原資とするということは、不動産の選別は厳しくならざるを得ません。すでに、価格が上昇している物件は、十分なキャッシュ・フローが見込みにくいため、融資が実行されにくくなります。また、建物の耐用年数を客観的に検証して融資期間を決めることになれば、築年数の古い中古物件は融資対象から外れるケースが増えてくるでしょう。 金融機関の審査が問われる時代に これまで、金融機関は、決してキャッシュ・フローについて無視をしてきたわけではありません。ただ、金融庁のレポートも指摘しているように、一部の金融機関では、家賃収入から返済額や経費を差し引いた金額が「黒字」になればよい、と安易に考えていた形跡がうかがえます。これからは、単純なキャッシュ・フローだけでなく、「債務返済倍率」といった不動産投資の健全性を計る指標も併せて、融資の審査を行なうことが求められてくるでしょう。 さらに、金融庁は、融資が実行された後も、当該物件の空室率や賃料などの確認作業を行なうことを金融機関に要請しています。融資期間中に、事業の実績を踏まえた収支計画のシミュレーションの更新を、まったく行っていない金融機関があったためです。 以上は、基本的には不動産投資ローンに関する事柄ですが、金融庁は、今後他の融資全般についても、事業の収支計画をベースとした審査の適正化を進めていく、と見られています。ますます、金融機関の審査のノウハウが重要になっていくでしょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産投資ローンの審査はココをみる(1) 賃貸アパートやマンション等の収益物件を担保とした貸出しは、金融機関の不動産関連融資の中では主力商品のひとつです。2013年から始まったアベノミクスによって、国内の金融市場は超低金利状態に突入... ▼シリーズ「不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向」の記事一覧 ・第1回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(1) ・第2回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2)
2019年3月に、金融庁から『投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果』が発表されました。これは、金融庁が全国の金融機関を対象として、おもに投資用不動産向け融資の実態についてアンケート調査をしたものです。その内容を2回にわたって紹介します。ここでいう投資用不動産向け融資とは、個人が投資目的で、居住あるいは宿泊用の不動産を取得するために金融機関が行なう融資のことで、一般的に不動産投資ローンと呼ばれるものです。 「不動産投資ローン」が拡大したのは2016年から まず、この調査の背景について説明をしておきましょう。2018年に明るみになったスルガ銀行 の不正融資問題を受けて、金融庁は、銀行と信用金庫、信用組合を対象として、不動産投資ローンの貸出額や残高、さらに、融資審査の中身についてアンケート調査をしました(調査時期は2018年10~11月)。 実は、スルガ銀行の不正融資問題が発覚する前から、すでに金融庁は不動産投資ローンについて注視をしていました。ここ数年、銀行および信用金庫の不動産業向け融資の残高は増加を続ける中、2016年3月期と2017年3月期に、不動産投資ローン(表の表記では「個人による貸家業向け貸出残高」)が拡大をしたからです。 【国内銀行・信用金庫の不動産業向け貸出残高の推移】 上の表は、日銀が発表している銀行と信用金庫の「貸出先別貸出金」というデータを、金融庁が集計したものです。この表をみると、2016年3月期の1年間で、不動産業向けの貸出残高が前年比で6.3%増加していることがわかります。同様に、2017年3月期も6.4%増加しました。一方で不動産業向け融資の増加率に相応して、「個人による貸家業向け貸出残高」も、2016年3月期3.8%、2017年3月期4.0%と増加しました。この時期から、金融庁は、不動産投資ローンのリスクに懸念を持っていたようです。 不動産業向け融資は拡大傾向が続く その後、2018年にスルガ銀行を始めとした、地方銀行のアパート投資向けの不正融資が明らかとなります。その影響で、2019年3月期の「個人による貸家業向け貸出残高」は横ばいとなり、新規の貸出しは急減することとなりました。 ただし、ここで注意すべき点は、不動産業向け貸出については、不正融資が問題化した後もそれまでとあまり変わらないペースで拡大をしていることです。金融庁のアンケート調査には掲載されていませんが、「個人による貸家業向け貸出残高」を除いた不動産業向け貸出残高の推移は、下の表のようになっています。 【国内銀行・信用金庫の不動産業向け貸出残高(個人による貸家業向け貸出残高を除く)の推移】 この表から分かるのは、不動産業向け貸出残高は2019年3月末時点で、前年比5.7%と依然として高い伸びを記録していることです。つまり、銀行と信用金庫の不動産業に対する融資姿勢には、それほど大きな変化はなかったことになります。 不動産業者に、「アパート投資向けの不正融資が社会問題化して以降、金融機関の融資姿勢に変化はあるか?」という質問をすると、「それほど変わっていない」という答えが返ってくることが多いのですが、このデータはそれを裏付けていると言えます。 但し、表①でみたように、不動産投資ローンについては、消極的なスタンスとなる金融機関は増えています。金融庁のアンケート調査によると、「消極的」と回答した銀行は、2016年3月期は全体の4%でしたが、2018年9月期には17%に、同じく、信用金庫は全体の11%から25%へと増加しています。 以上のことから、当面、不動産投資ローンの新規実行は伸び悩む一方、不動産業向け融資にはそれほど影響がない、ということが予想されるでしょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2) この記事では、金融庁の『投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果』について、その中身を掘り下げたいと思います。実は、この調査には、金融機関の融資について金融庁の考え方が、これまでになく... ▼シリーズ「不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向」の記事一覧 ・第1回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(1) ・第2回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2)
以前に比べ、競売される不動産に対する注目度は上がっています。不動産業者だけではなく、一般の個人が競売に参加することも珍しくなくなりました。この背景には、市場価格よりも割安な価格で不動産物件を入手できる可能性がある、といった見方が広がっていることが挙げられます。 そのため、住宅ローンの返済が行き詰った場合、担保となる不動産を競売ではなく、市場価格に近い価格で売れる任意売却で売る方が良い、といった見方も浸透していったと思われます。果たして、そうした見方は本当に正しいのでしょうか。改めて、最近の競売の動向をチェックしてみましょう。 競売の落札価格は安くはない!? 競売にかけられる不動産の基準となる価格「売却基準価額」は、市場価格の7~8割程度に設定されます。物件の中身や地域によってもバラつきがありますが、最近は7割程度に設定されるケースが増えているようです。さらに、最低落札価格は、売却基準価額から2割割安に設定されます。こうした事実から、競売物件は安く買える、という見方が出てきました。 実際、バブル崩壊以降の地価の下落が続いた時期は、市場価格に比べてかなり割安な価格で落札されたケースも発生していました。しかし、国内景気が回復し、不動産市場が持ち直すにつれて、落札価格の水準も上昇していったのです。 興味深いデータがあります。全国競売評価ネットワークという機関が、競売情報を公表している「不動産競売物件情報サイト」のデータを分析したものです。この全国競売評価ネットワークの分析によると、平成28年度に全国の裁判所で行われた不動産競売における平均落札価格は、市場価格の95・4%だったそうです。東京地裁が管轄する東京エリアの不動産競売に至っては、市場価格を超える111・6%でした。 なお、発表されている最新データは平成28年度分で、この年だけが落札が好調だったわけではありません。過去のデータをさかのぼってみると、全国ベースでは平成23年度以降、平均落札価格は市場価格の90%を超えていました。東京エリアをみると、平成22年度以降は100%を超えているのです。こうしたデータを見る限り、「不動産を競売で売却すると市場価格よりかなり安くなる」というのは、少なくとも、ここ数年の現状には当てはまらない、といえるでしょう。 任意売却をする場合、通常の不動産取引とはそれほど変わらないため、売買をする不動産業者には仲介手数料を支払うことになります。加えて、任意売却を行なう専門業者への手数料も発生します。そうした点を考慮すると、競売と任意売却のどちらが有利であるということは、一概にはいえないと考えられます。 競売件数は減少傾向だが、今後は増加の可能性も 担保不動産の競売件数は減少傾向にあります。それは、『司法統計』をみると一目瞭然です。司法統計とは、裁判所が取り扱った事件に関する統計で、最高裁判所の事務総局が取りまとめて公表しています。その中に、「不動産等を目的とする担保権の実行としての競売等」という項目があり、これが担保不動産の競売件数に該当します。 裁判所のホームページでは、平成12年度からのデータが閲覧できますが、平成12年度には全国で8万2879件ありました。それが、ほぼ右肩下がりで減少傾向となり、最新の平成28年度では1万8568件になっています。競売件数は、この間、4分の1以下にまで減ったことになります。 減少傾向にある要因はいろいろと指摘されています。中でも、強い影響を与えているとされているのが、「中小企業金融円滑化法」(通称「モラトリアム法」)の施行です。リーマン・ショック後の2009年12月に、中小企業を救済し、連鎖倒産を防ぐためにつくられた法律です。内容は、中小企業に融資している金融機関に対して、金利の減免や返済の猶予、返済期間の延長などを促して、中小企業の資金繰りに関する負担を軽くする、というものです。 そして、このモラトリアム法によって、金融機関の中小企業への融資の態度が大きく変化したといわれています。不動産を担保として融資をしている場合、貸出先の中小企業の返済が滞ってきたといったケースでも、すぐに担保不動産を競売にかけることはせず、金利の減免や返済の猶予、返済期間の延長などに、柔軟に応じるようになったとされます。 モラトリアム法自体は、2013年3月末で終了しましたが、実は、その後も金融庁は、金融機関に対して〝任意〟で中小企業への融資スタンスについて報告を求めてきた、という経緯があります。そのため、モラトリアム法の実質的な効力は継続してきました。 しかし、金融庁は、その金融機関からの任意の報告についても、平成30年度(2019年3月末)を最後としたのです。その結果、これまで金融機関が正常な債権として扱ってきた融資の案件であっても、不良債権の扱いにされるケースが発生しているとされています。もしかすると、これまで減少傾向をたどってきた担保不動産の競売は、2019年以降、増加に転じるかもしれません。これが、今後の競売の落札価格にどんな影響を与えるのかは不透明ですが、注視していきたいと思います。 無料相談してみる 不動産担保ローンの疑問にお答えします。 無料相談をしてみる 不動産担保ローンの疑問にお答えします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住宅ローン返済中でも、不動産担保ローンで借り入れできる人とは? 不動産担保ローンは、住宅ローンの残高があったとしても該当する不動産を担保にして借り入れできる可能性があります。しかし、必ずしも借り入れできる訳ではありません。この記事では、住宅ローンの残高が...
前回は、不動産物件の仕入れにあたって、実際にどんな工夫をしているのかについて、株式会社ノアプランニングの菅野敬介さんにお話をお聞きしました。今回は、引き続き、資金調達についてお伺いしていきます。 関連記事はこちら物件の仕入れは資金確保とネットワークが重要?! ーー不動産事業者インタビューvol.1(1) ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 資金調達に利用している金融機関 菅野さんは、経営するノアプランニングの特徴として、物件の買い手になる点を強調されていました。そして、物件の売り主のニーズに対応するために、さまざまな方法で資金調達をしているというお話でした。今回は、資金調達について、いろいろとお聞きしたいと思います。 ――現在、資金調達先としては、どんな金融機関を利用されているのですか。 地方銀行と信用金庫、ノンバンク、そして、クラウドファンディングといったところです。 ――それぞれの金融機関の融資スタンスには、どんな違いがあるのでしょうか。 地銀は、担保とする不動産の評価に加えて、会社の事業に対しても与信をするため、融資額が伸びるという特長があります。事業が黒字になっていれば、それを評価してくれます。例えば、担保不動産の評価が市場実勢の「8掛け」であれば、そこに事業に対する与信額が上乗せされるわけです。 ――事業に対する評価は、かなりきめ細かく行われるという感じですか。 それほど綿密にやっているという印象はなく、基本的には、継続して黒字であれば評価をしてくれるという感じです。この点は、信用金庫もほぼ同じといえます。地銀と信用金庫は、それぞれカバーしているエリアがはっきりしているので、物件の所在地によって使い分けています。 資金調達先としてノンバンク ――ノンバンクはどうですか? いまお話しをした点に関連する部分でいうと、ノンバンクは担保不動産の対する評価のみで融資額が決まるケースがほとんどです。市場実勢の「8掛け」と決まっていれば、それ以上、融資額が増えることはほとんどありません。その一方で、銀行では融資が付きにくいような物件でも、会社の与信を調査をして、評価をしてくれます。 ――ノンバンクにもいろいろありますが、たしかに融資先の事業に与信をするところは少ないかもしれません。 個人的には、もう少し融資額を増やして欲しいと思うときもありますが(笑)、いつも物件を〝第三者〟的にチェックしてくれるので、そこは非常に参考になっています。私自身、不動産評価のプロというわけではありませんし、借地権付きの建物などの評価は知識と経験が必要になってきます。そこの部分を、データに基づいてしっかりと調べてくれるので、実務としての経験が蓄積されているという実感があります。ノンバンクの評価と、そこから決められる融資額の範囲で事業を行なっていれば、大きなリスクは回避できるのではないでしょうか。 ――審査のスピードには違いはありますか。 そこは大きく違うところです。ノンバンクでは、最短で1週間程度で決済をもらうことができます。不動産の売り主が短期間での売却を希望している場合は、実質的な選択肢はノンバンクしかないといえますね。 ――クラウドファンディングでは、どんな借り入れをしたのですか。 かなり短期間の〝つなぎ資金〟の借り入れです。クラウドファンディングの金利は15%程度ですので、1年間借りてしまうと金利の負担が大きくなり、案件はほとんど赤字になってしまいます。そこで、半年間だけ借り入れをしたことがあります。クラウドファンディングを利用したのは、資金調達を多様化したいという意図もありました。 ――資金調達において、金融機関にこうして欲しいという要望はありますか? ノンバンクの評価は重要な指標 さきほど、ノンバンクの融資額はかなり厳格に決められているというお話しをしましたが、例えば、担保とする不動産の売却先が決まっていて、しかも、その売却先の信用リスクが低い場合、それを加味して担保不動産の「掛け目」を上げる、といったスキームがあればと思います。 ただ、現状のように、どんな不動産でも値上がりするといったことはなくなり、物件をしっかりと評価して事業を行なうことが大切になっている状況では、ノンバンクの評価は重要な指標となってくれています。それが前提であることは言うまでもありません。 仮審査( 不動産事業者専用 ) ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 仮審査(不動産事業者用) ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。
ひとくちに不動産業といっても、さまざまな事業分野があります。その中でも、不動産の物件の仕入れというのは、もっとも基本的かつ重要な業務といえるでしょう。どうすれば優良な物件を入手することができるのか? そのための情報収集の方法は? といったことは、不動産業に従事している人であれば非常に関心が高いと思われます。 そこで、実際に物件の仕入れにあたっている方々に、普段どんな工夫をしているのかについて聞いていきます。今回は株式会社ノアプランニングの菅野敬介さんです。 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 物件の仕入れ方 ――普段、物件の仕入れはどのように行っているのでしょうか? 取引先からの紹介が基本になります。メインは仲介業者になりますが、これまで取引した不動産のオーナーだった方々からの紹介もあります。 ――紹介をしてもらいやすくするためには、どんなことをしていますか? いちばんアピールしているのは、当社自身が物件の購入をすることができる点です。不動産を売却する側には、優先したいニーズがあります。なるべく短期間で確実に売却をしたい、または、なるべく高い価格で売りたいといったことです。そうしたニーズに対応するために、当社も資金調達をさまざまな方法で行っています。 高く売却するための工夫 ――なるべく高い価格で売却したいというのは、多くのオーナーさんに共通しているニーズだと思われます。そこではどんな工夫をしているのでしょう。 不動産の価値を評価するにあたってはいろいろな方法がありますが、最近は、その不動産が将来生み出すと想定される収益の合計を、現在の価格に計算しなおすという「収益還元法」が用いられるようになってきました。当社でも収益還元法などで試算をして、収益性を最も重視しています。そこでさらに差別化するために、オーナーさんと直接お会いする際には、具体的に建築するものを提示しながら、「この立地にはこういう建物を建てることで、収益を最大限にすることができます」といったお話をします。 ――具体的な建物を提示して、オーナーにイメージを共有してもらうわけですね。 そうです。私自身、一級建築士の資格を持っていますので、不動産の建築基準などを考慮しつつ、建築可能かつ収益性の高い建物を提案することがその場でできます。この土地なら、分譲がいいのか、アパートの収益物件が適しているのか、それとも商業ビルなのか。最大限に有効活用ができる建物を想定して、収益還元法から土地の価格を算出します。 ――単純な価格についてだけではなく、コンサルタントとしてのアドバイスもオーナー側にするということですね。 オーナーさんの中には、「どうしてこの土地の価格がこの値段になるのか?」といった質問をする方も多いのですが、その質問に正確に答えることも信用にもつながると思います。よく、「こんな建物が建ちますよ」と言っていたにもかかわらず、実際には建築基準に抵触をして、「建てることができなかった」といったケースが見受けられますが、そういうことはありません。 いかに付加価値を付けるか ――他にはどんなことをされていますか? また、紹介して頂いた仲介業者に対して、通常の仲介手数料以外に、〝コンサルタントフィー〟のような形で、成功報酬をお渡しすることもあります。不動産取引は、複雑な経路をたどるものも少なくなく、仲介に2社、3社が入ることも珍しくありません。そうなると、当社に紹介をしてくれた仲介業者の方にも負担が増えてきますので、そうした面でも配慮したいと考えています。 ――それは仲介業者のインセンティブにもなりますね。 あとは細かいことですが、取引が成立して土地の測量をすることになったとき、境界杭を打ったりしますが、そうしたことも積極的にお手伝いします(笑)。大手の不動産会社ではまずやらないと思いますが、境界杭を打つ作業は、慣れていないと大変なんですよね。結構な費用もかかりますし。当社は、そういう部分の協力は惜しみません。 ――そういう努力があって、業者同士あるいはオーナーとのネットワークが広がっていくわけですね。 都内の一等地、二等地で、土地を購入して開発をしていると、「どんな会社が手がけているのか」といったことを他の不動産会社もチェックしているものです。そうした事例を増やしていくことも、ネットワークを広げることに役立ちます。そして、「あそこに紹介した方がいいかもしれない」と思ってもらえるような付加価値をいかにつけるか、という部分を見つけ出すことが大事になるのではないでしょうか。 仮審査( 不動産事業者専用 ) ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 仮審査(不動産事業者用) ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 ノンバンクで不動産担保ローンを利用する理由とはーー不動産事業者インタビューvol.1(2) 前回は、不動産物件の仕入れにあたって、実際にどんな工夫をしているのかについて、株式会社ノアプランニングの菅野敬介さんにお話をお聞きしました。今回は、引き続き、資金調達についてお伺いしていきま...
住宅ローンを滞納してしまうと、債権者である金融機関から一括返済を求められてしまいます。一括返済に応じられないと、最悪の場合は抵当権を実行され、競売によって相場より安い売却価格で自宅を手放すことになります。 一方で、任意売却であれば、競売よりも高値で売却できる可能性があります。この記事では、住宅ローンの債務を清算するための競売以外の売却方法である、「任意売却」について解説します。 任意売却と競売の概要 任意売却とは 任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になったときに、債権者と債務者の間で同意し、担保不動産を売却することです。不動産が競売にかけられる前に、債務者が自分の意志で不動産を売却することから任意売却と呼ばれています。また、「任売」という略称を用いられることがあります。 競売とは 競売とは、住宅ローンや不動産担保ローンの返済が困難になった場合に、債権者の申し立てにより、裁判所を通じて担保として提供した不動産が強制的に売却される手続きです。 関連記事はこちら競売とは?競売を回避すべき理由とその回避方法 任意売却のメリット 競売と比較して、任意売却には以下のようなメリットがあります。 経済的な事情を知られずに売却できる 競売の場合、裁判所によって競売が行われることや差押えが行われたことが公示され、物件の所在地や外観などもホームページで公表されてしまいます。加えて、裁判の執行官による現地調査や落札を検討している不動産会社の物件確認などが行われるため、競売にかけられたことが周囲に知られてしまうこともあるでしょう。 一方で任意売却であれば、通常の不動産売却と同様に物件の売却を行うため、経済的な事情によって自宅を売却することを周囲に知られることはありません。 市場価格に近い値段で売却できる 競売の場合、落札価格の基準となる売却基準価額が市場価格の7~8割、さらに最低落札価格である買受可能価額は売却基準価額の8割程度で設定されるため、基本的に競売の落札価格は市場価格を下回ってしまいます。 一方で任意売却であれば、通常の不動産売却と同様に物件の売却を行うため、売り出し価格を自由に設定でき、市場価格以上の金額で売却できる可能性があります。 任意売却の注意点 任意売却を検討する場合、以下の2点に注意しましょう。 金融機関の同意がないと進められない 任意売却を行うには、債権者である金融機関の同意が前提となるため、任意売却を行う不動産会社に金融機関との交渉を依頼することになります。そこで同意が得られれば、任意売却の手続きに入ることができます なお、任意売却は競売の入札が始まっている状態でも可能ですが、そもそも不動産の売却には時間がかかります。任意売却を選択するのであれば、早い段階から不動産業者に依頼することが大切です。 必ずしも一括返済できるとは限らない 担保不動産を売却する場合、通常は売却時に債務を一括返済して抵当権を抹消する必要があります。しかし、任意売却はあくまでも「市場価格に近い価格で売却できる可能性がある」というだけで、必ずしも任意売却後にローンが完済できるわけではありません。 担保不動産を売却しても住宅ローンを完済できない時には、金融機関に抵当権抹消の承諾を得た上で売却することになります。任意売却後に残債の返済については、金融機関と話し合って返済方法や返済額の取り決めを行います。残債の返済は、債務者が分割払いなどで行います。その点は、競売による売却と変わりません。 任意売却の大まかな流れ 任意売却の大まかな流れは以下のとおりです。 不動産業者を探す 媒介契約を締結する 売却価格やスケジュールを決める 金融機関から同意を得る 販売活動開始 売買契約を締結 決済・物件の引き渡し 任意売却を行うことを決めたら、まずは任意売却の実績やかかる費用を提示してくれるかなどを確認し、信頼できる不動産業者を探しましょう。依頼する不動産業者が決まったら、媒介契約を締結します。 その後は不動産業者によって物件の査定が行われ、売却価格やスケジュールが決められます。不動産業者が債権者である金融機関との交渉し、同意を得ることができれば販売活動が開始されます。こまめに不動産業者と連絡を取り、内見の対応など、販売活動には積極的に協力しましょう。売却希望者が見つかったら、売買契約を締結します。 決済日当日に売却代金を受け取ったら、抵当権を抹消し、物件の引き渡しを行います。住宅ローンを完済できれば手続きは完了ですが、残債がある場合は引き続き返済を続けていくことになります。 まとめ 任意売却を行うことで、競売よりも有利な条件で自宅を売却できるかもしれません。任意売却を行うのであれば、可能な限り早く行動に移すことが大切です。住宅ローンの支払いを継続するのが難しいと感じたら、滞納して支払督促を受ける前に、任意売却を検討してみましょう。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住宅ローン返済中でも、不動産担保ローンで借り入れできる人とは? 不動産担保ローンは、住宅ローンの残高があったとしても該当する不動産を担保にして借り入れできる可能性があります。しかし、必ずしも借り入れできる訳ではありません。この記事では、住宅ローンの残高が...