住まいとお金の知恵袋 一覧(公開日順)

  • 競売を回避する「任意売却」とは?

    住宅ローンが払えない!競売を回避する「任意売却」とは?

    住宅ローンを滞納してしまうと、債権者である金融機関から一括返済を求められてしまいます。一括返済に応じられないと、最悪の場合は抵当権を実行され、競売によって相場より安い売却価格で自宅を手放すことになります。 一方で、任意売却であれば、競売よりも高値で売却できる可能性があります。この記事では、住宅ローンの債務を清算するための競売以外の売却方法である、「任意売却」について解説します。 任意売却と競売の概要 任意売却とは 任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になったときに、債権者と債務者の間で同意し、担保不動産を売却することです。不動産が競売にかけられる前に、債務者が自分の意志で不動産を売却することから任意売却と呼ばれています。また、「任売」という略称を用いられることがあります。 競売とは 競売とは、住宅ローンや不動産担保ローンの返済が困難になった場合に、債権者の申し立てにより、裁判所を通じて担保として提供した不動産が強制的に売却される手続きです。 関連記事はこちら競売とは?競売を回避すべき理由とその回避方法 任意売却のメリット 競売と比較して、任意売却には以下のようなメリットがあります。 経済的な事情を知られずに売却できる 競売の場合、裁判所によって競売が行われることや差押えが行われたことが公示され、物件の所在地や外観などもホームページで公表されてしまいます。加えて、裁判の執行官による現地調査や落札を検討している不動産会社の物件確認などが行われるため、競売にかけられたことが周囲に知られてしまうこともあるでしょう。 一方で任意売却であれば、通常の不動産売却と同様に物件の売却を行うため、経済的な事情によって自宅を売却することを周囲に知られることはありません。 市場価格に近い値段で売却できる 競売の場合、落札価格の基準となる売却基準価額が市場価格の7~8割、さらに最低落札価格である買受可能価額は売却基準価額の8割程度で設定されるため、基本的に競売の落札価格は市場価格を下回ってしまいます。 一方で任意売却であれば、通常の不動産売却と同様に物件の売却を行うため、売り出し価格を自由に設定でき、市場価格以上の金額で売却できる可能性があります。 任意売却の注意点 任意売却を検討する場合、以下の2点に注意しましょう。 金融機関の同意がないと進められない 任意売却を行うには、債権者である金融機関の同意が前提となるため、任意売却を行う不動産会社に金融機関との交渉を依頼することになります。そこで同意が得られれば、任意売却の手続きに入ることができます なお、任意売却は競売の入札が始まっている状態でも可能ですが、そもそも不動産の売却には時間がかかります。任意売却を選択するのであれば、早い段階から不動産業者に依頼することが大切です。 必ずしも一括返済できるとは限らない 担保不動産を売却する場合、通常は売却時に債務を一括返済して抵当権を抹消する必要があります。しかし、任意売却はあくまでも「市場価格に近い価格で売却できる可能性がある」というだけで、必ずしも任意売却後にローンが完済できるわけではありません。 担保不動産を売却しても住宅ローンを完済できない時には、金融機関に抵当権抹消の承諾を得た上で売却することになります。任意売却後に残債の返済については、金融機関と話し合って返済方法や返済額の取り決めを行います。残債の返済は、債務者が分割払いなどで行います。その点は、競売による売却と変わりません。 任意売却の大まかな流れ 任意売却の大まかな流れは以下のとおりです。 不動産業者を探す 媒介契約を締結する 売却価格やスケジュールを決める 金融機関から同意を得る 販売活動開始 売買契約を締結 決済・物件の引き渡し 任意売却を行うことを決めたら、まずは任意売却の実績やかかる費用を提示してくれるかなどを確認し、信頼できる不動産業者を探しましょう。依頼する不動産業者が決まったら、媒介契約を締結します。 その後は不動産業者によって物件の査定が行われ、売却価格やスケジュールが決められます。不動産業者が債権者である金融機関との交渉し、同意を得ることができれば販売活動が開始されます。こまめに不動産業者と連絡を取り、内見の対応など、販売活動には積極的に協力しましょう。売却希望者が見つかったら、売買契約を締結します。 決済日当日に売却代金を受け取ったら、抵当権を抹消し、物件の引き渡しを行います。住宅ローンを完済できれば手続きは完了ですが、残債がある場合は引き続き返済を続けていくことになります。 まとめ 任意売却を行うことで、競売よりも有利な条件で自宅を売却できるかもしれません。任意売却を行うのであれば、可能な限り早く行動に移すことが大切です。住宅ローンの支払いを継続するのが難しいと感じたら、滞納して支払督促を受ける前に、任意売却を検討してみましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローン返済中でも、不動産担保ローンで借り入れできる人とは? 不動産担保ローンは、住宅ローンの残高があったとしても該当する不動産を担保にして借り入れできる可能性があります。しかし、必ずしも借り入れできる訳ではありません。この記事では、住宅ローンの残高が...記事を読む

    2019.05.21自宅売却
  • 担保不動産競売までの流れをわかりやすく解説

    担保不動産競売までの流れをわかりやすく解説

    ローンの支払いを滞納すると、金融機関から「法的手続きを開始する」旨の催告書が届きます。催告書が届く段階になると、競売手続きが始まっている可能性が高いです。 この記事では、金融機関から催告書が届いてから、裁判所による競売にかけられるまでの流れを解説します。 「期限の利益喪失」後は、裁判所の競売手続きに移行 ローンの延滞によって、債務者の「期限の利益」が喪失された後は、何もしなければ、担保不動産は競売にかけられます。したがって、不動産を売却されたくなければ、競売申立ての通知が来る前に、何らかの対応をとる必要があります。 また、金融機関によっては、「代位弁済」の通知が来ることがあります。代位弁済とは、滞納をしている債務者に代わって、保証会社がローンの残高を金融機関に対して一括返済することです。代位弁済が行われた後は、債権者は金融機関から保証会社に代わります。 そのため、代位弁済の通知は保証会社から送られます。すでに期限の利益は喪失しているため、保証会社が債務者になっても、一括返済が必要であることは同じです。 なお、金融機関がすべて保証会社を利用しているとは限りません。銀行は保証会社を利用していることが多いですが、ノンバンクなどは、保証会社を利用していないことも少なくないです。当然、保証会社を利用していなければ、代位弁済の通知が送られてくることはなく、債権者は変わりません。 関連記事はこちら期限の利益とは?意味や喪失事由、注意点について解説 裁判所からの最初の通知は「差押え」 期限の利益が喪失されると、裁判所から「差押え」の通知が届きます。金融機関や保証会社などの債権者が、裁判所に担保不動産の競売の申立てをすると、裁判所が不動産を差押えしたことを債務者に知らせます。 差押えは、債権者がローンの返済を受ける権利を守るために、不動産の所有者が売却できないようにする措置といえます。裁判所が差押えをすると、不動産の登記簿謄本に登記されます。差押えの記録がある不動産は売買できず、債権者の同意なしに競売を回避できなくなります。ただし、ローンの一括返済をすれば差押えを解除することは可能です。 裁判所の差押えの後は、同じく裁判所から「担保不動産競売開始決定通知」が送られます。この通知は、債権者が申立てていた不動産の競売を、裁判所が正式に受理したことを知らせる書類です。この通知が届いた後は、競売に向けての具体的な手続きが開始されます。 裁判所の執行官による不動産の現況調査 担保不動産競売開始決定通知の後、1~2か月程度で裁判所の執行官による現況調査が行われます。現況調査とは、実際の不動産の状態を確認することで、登記簿に記載されている情報が正しいかや、周辺環境、誰が住んでいるかなどを確認する作業です。外観や室内の写真撮影や住人への聞き取りなども行われます。 この現況調査は、法的な執行力があるため、拒否することはできません。もし、室内の調査を拒めば、執行官が鍵を壊して建物の中に入ることが認められています。裁判所は、こうした現況調査の結果や、不動産鑑定士による価格の査定を参考にして、競売にかける不動産の基準価格を決めます。 競売のスケジュールの決定と不動産からの退去 現況調査から3~6か月程度経過すると、いよいよ裁判所から「競売の期間入札」が決定したという通知がきます。この通知には、担保不動産の競売に関する日程が記載されています。 競売の流れは、まず対象となる不動産の物件情報が開示される「閲覧開始日」が設定されます。そこから数週間以内に入札が開始されます。入札の終了までは最長1か月以内となっており、入札終了後、1~2週間程度で入札の結果が公表されます。そして、裁判所は、対象不動産に最も高い価格を付けた人(最高価買受人)に不動産を売却します。 入札の結果が出た後は、2か月程度で最高価買受人による代金の納付が行われます。代金の納付が行われた段階で、不動産は落札者の所有となるので、登記簿上の所有権は移転され、その不動産に居住している人がいれば退去しなければなりません。以上が、担保不動産が売却されるまでの流れとなります。 まとめ 競売にかけられて、所有権が移転するまでの間、差押えや現況調査があっても、その不動産に住み続けることは可能です。しかし、期限の利益を喪失した後は、ローンの残高を一括返済する以外に、不動産の売却を回避する方法はありません。したがって、不動産を所有し続けたいのであれば、現実的には、「期限の利益」を喪失する前までの間に、何らかの対応をとる必要があります。一方で、それは非常に短い期間となります。売却されるまで猶予がある、と考えることは禁物なのです。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローンが払えない!競売を回避する「任意売却」とは? 住宅ローンを滞納してしまうと、債権者である金融機関から一括返済を求められてしまいます。一括返済に応じられないと、最悪の場合は抵当権を実行され、競売によって相場より安い売却価格で自宅を手放すこ...記事を読む

    2019.05.14自宅売却
  • 「金銭消費貸借契約証書」の重要性とは?

    「金銭消費貸借契約証書」の重要性とは?

    金融機関から借入れた不動産担保ローンの返済が困難になってしまうと、担保として提供している不動産は金融機関によって売却されることになります。これは、不動産担保ローンを借入れるときの〝常識〟ですが、売却されることになった場合、実際にどんな手続きが発生するのかは、それほど知られてはいません。万が一、返済が困難になったときはもちろん、きちんと返済が終了したときにも関わる手続きが含まれていますので、4回にわたってお話しをしていきます。 不動産を担保にする権利「抵当権」 まず、不動産が担保にされたときの権利関係について、確認をしたいと思います。不動産担保ローンを融資するとき、金融機関は貸出先の不動産を担保にしますが、具体的には、「抵当権」を設定することになります。このとき、融資をする金融機関は「債権者」となり「抵当権者」になります。一方、融資を受ける方は、「債務者」となり「抵当権設定者」と呼ばれます。 抵当権は、債務者である金融機関が、担保とする不動産の登記簿謄本に登記することで完了します。登記されると、債務者がローンの返済が不可能になり(=「債務不履行」と呼ばれます)、裁判所が実施する「競売」(けいばい)などで不動産が売却された場合、優先して債務の返済を受けることができます。不動産を競売にかけることは「抵当権の実行」と呼ばれます。 なお、ローンを完済すれば抵当権を外すことができます。したがって、ローン返済期間の途中であっても、残りの借入金額と利息をすべて繰り上げ返済してしまえば、抵当権を外せることになります。何らかの理由で、返済の途中で不動産を売却することになった場合は、まず完済をしてから売却します。抵当権が設定されている不動産には、基本的には買い手はつかないからです。抵当権が残ったままだと、不動産の前の所有者が債務不履行に陥ったときには、抵当権が実行されてしまいます。 また、ローンの返済が終わったとき、抵当権は自動的に抹消される、ということはありません。登記簿に記載されている抵当権は、抹消の手続きを行わない限り残ります。ローンを完済すれば、たとえ抵当権が記載されていても、金融機関の担保からは外れるのですが、抵当権が残っていると、その不動産を売却するときにスムーズにいかないケースが出てきます。したがって、完済したときには自分で手続きを行なう必要があります(費用を支払って、司法書士に代行してもらうことも少なくありません)。 「催告書」は法的手続きの通知書 では、ローンの返済が滞納した後の流れを追っていきましょう(以下は一般的に想定されるパターンで、すべての金融機関が該当するわけではありません)。 返済日に銀行口座からの引き落としができなかった場合、金融機関は、返済日の翌日に問い合わせの電話をしてくるはずです。問い合わせの内容は、支払いができなかった理由と、いつ頃に支払いができるのかという2つに集約されます。そして、金融機関としては、この段階で、融資先が債務不履行になっている可能性を視野に入れるようになります。 電話での問い合わせ以外に、支払いを催促する「督促状」(とくそくじょう)が郵送されてきます。この督促状は、返済を求める請求書にもなっており、「このまま滞納が続くとローンの残高と支払いの遅延損害金を一括返済してもらうことになる」といったことも記載されています。 請求書が届いた後も滞納が続き、返済の予定などを示さなかった場合は、「催告書」(さいこくしょ)が郵送されてきます。督促状との違いは、催告書は請求書ではなく、通知書であることです。何を通知するのかというと、「このまま滞納が続くと法的措置をとることになる」といった内容です。この法的措置とは抵当権の実行、つまり担保不動産の売却になります。 催告書は「内容証明郵便」で郵送されることがほとんどです。内容証明郵便とは、郵便局が「確実に郵送しました」という配達の記録を証明してくれるものです。催告書は、裁判所で不動産を競売にかけるときに必要な書類であることから、内容証明郵便を使うわけです。したがって、催告書が郵送されてきたら、すでに金融機関は法的な手続きを開始した可能性が高いと予想されます。 さらに、催告書が届いた場合、ローンの支払いの遅延などの情報を管理する「個人信用情報機関」は、目安として3か月以上の返済の遅延がある人を〝ブラックリスト〟に入れると考えられるため、その前に通知をすることになります。ただし、督促状や催告書が郵送された段階で、個人の信用情報には記録が残されていると考えたほうがいいでしょう。 「金銭消費貸借契約証書」の内容を確認しておくことが大事 たまに、ローンの契約を〝軽く〟考えてしまう人がいます。何の根拠もなく、「1回くらいの延滞であれば許されるだろう」といった思い込みなどです。しかし、多くの金融機関で、ローンの契約時に交わす「金銭消費貸借契約証書」に、「返済期日を1日過ぎただけでも『期限の利益喪失』事項に該当する」と記載しています。 「期限の利益」とは聞き慣れない言葉ですが、「ローンを分割払いで返済できる」ということで契約書に記載されます。この「期限の利益」を喪失してしまうと、ローンを借りた債務者は分割払いで返済できるという権利を失うため、残高と利息分を一括して支払わなければなりません。つまり、この通知が来た段階で、債務者は滞納分の支払いだけでは済まず、一括返済しか選択肢がないことになります。そもそも、毎月の返済が困難となり滞納をするわけですから、一括返済はほぼ不可能といえるでしょう。 もし、「返済期日を1日過ぎただけでも『期限の利益喪失』事項に該当する」と記載されていれば、契約書上の返済期日を過ぎてしまうと、金融機関から、いつ法的措置を取られたとしてもおかしくはないのです。「契約書なんてどれも同じだろう」とは考えず、金銭消費貸借契約証書の内容はきちんと理解しておくことが大切なのです。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 担保不動産競売までの流れをわかりやすく解説 ローンの支払いを滞納すると、金融機関から「法的手続きを開始する」旨の催告書が届きます。催告書が届く段階になると、競売手続きが始まっている可能性が高いです。 この記事では、金融機関から催告書が...記事を読む

    2019.05.07自宅売却
  • 権利関係からみた不動産の分類について

    権利関係からみた不動産の分類について

    不動産担保の基礎知識(3)では、土地の種類には「用途的地域」という分類があることを解説しました。土地の価値を評価するには、その土地が何に使われているかという「現況」(現在の状況)に加え、周辺地域の土地の利用状況から「何の用途に使うのが合理的なのか」を考慮することが重要になります。用途的地域とは、そうした地域の用途を分類しています。 用途的地域は、法律や条例に基づいた基準ではありません。国土交通省が公表している「不動産鑑定評価基準」が定めている「種別」です。ただし、国土交通省は、国家資格として「不動産鑑定士」を所管していますので、不動産評価の基準としては法令に準ずるもの、といっていいでしょう。 そして、その不動産鑑定評価基準には、「不動産の類型」という項目があります。土地と建物からなる不動産の「権利関係」に着目して分類をしたもので、こちらは法令に基づいた基準となっています。この記事では、この不動産の類型についてお話しします。 土地の権利の「類型」は5種類ある 不動産の類型は、土地と建物に関する「権利」によって分類し、不動産の評価に役立てようというものです。類型には、土地の権利のみに着目する場合と、土地と建物の両方の権利関係をみる場合との2つのパターンがあります。まず、土地のみに着目したものについて説明しましょう。 土地だけをみるものは、不動産鑑定評価基準では「宅地」の類型といいます。ここでいう宅地とは、冒頭で述べた用途的地域に基づいたものです。したがって、一般の住居が多い「住宅地」、小売店や飲食店、雑居ビル、スーパーなどが多い「商業地」、町工場や工場が多い「工業地」などが対象となります。こうした宅地の類型には以下の5種類があります。 ①更地(さらち) 土地の上に建物がなく、土地の所有者が自由に使える状態のことです。一般的に更地というと、建物がなくて地面がむき出しの状態が思い浮かびますが、宅地の類型では、〝建物がない〟というだけではなく、③の「借地権」が付いていない土地、という意味を含んでいます。 ②建付地(たてつけち) 土地の上には建物があり、土地と建物の所有者が同じで、土地だけを評価する際の分類です。実際に評価の対象となることは、それほど多くありません。 ③借地権(しゃくちけん) 土地の所有者に賃料を支払って、土地を借りている人の権利。借りている人は「借地権者」、貸している土地の所有者は「借地権設定者」と呼ばれます。 ④底地(そこち) 賃料を受け取って土地を貸している所有者の権利。借地権を持っている人がいるため、底地の権利があっても、土地を自由には使えません。 ⑤区分地上権(くぶんちじょうけん) 他人の所有する土地の地下、あるいは、土地の上にある空間に、何らかのモノを設置する場合、設置をする側が有する権利。具体的には、地下の場合はトンネルや地下道、土地の上の空間の場合は送電線などが考えられます。借地権と同じく、区分地上権を持つ人は、土地の所有者に賃料を支払います。これを評価することも、最近はかなり減っています。 以上が宅地の類型になります。あまり聞き慣れないものがあったと思いますが、宅地には商業地や工業地が含まれているため、さまざまな様態があります。 土地と建物の権利関係には4種類ある 次は、「建物及びその敷地の類型」で、土地と建物の権利関係から分類したものです。以下、4種類があります。 ①自用(じよう)の建物及びその敷地 土地と建物の所有者が一致しているケースです(「自用」とは自家用という意味です)。具体的には、一戸建て住宅、自社ビルなどが該当します。不動産評価においては最も一般的といえるものです。 ②貸家及びその敷地 土地の所有者が賃貸アパートやマンション、貸しビルなどを建てており、その建物を他人が借りているケースです。これもお馴染みのものといえるでしょう。 ③借地権付建物 宅地の類型で触れた借地権を有する人が所有する建物が建っている状態です。具体的には、親が所有する土地に子供が家を建てているような場合です。建物が自家用か、さらに別の人へ貸しているかで、違いがあります。 ④区分所有建物及びその敷地 複数の人が建物と土地の一部分を所有している状態です。いちばんわかりやすいのは分譲マンションのオーナーです。また、ビルを共同で開発して一部を所有しているケースも該当します。 不動産評価の指針となる「種別」と「類型」 「不動産担保の基礎知識」の(3)と(4)で、不動産を評価する際の分類方法である種別と類型について解説をしてきました。この2つを用いると、例えば、評価対象となる不動産が、商店街に近接する地域にあれば種別は「商業地」、一戸建ての自宅であれば類型は「自用の建物及びその敷地」というように分類されます。 現実の不動産は、こうした種別や類型に、スムーズに当てはまらないものも少なくありません。しかし、そもそも基準がなければ、他の物件との比較や評価自体が困難になります。自分の不動産の価値を知るためにも、不動産の分類について知っておいて損はありません。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産評価の方法と不動産価値の考え方 不動産はさまざまなポイントで評価されるのが特徴です。 また、戸建てとマンションでも資産価値の考え方は異なる場合があります。 この記事では、不動産評価のプラス面およびマイナス面で重要なポイント...記事を読む

    2019.04.23用語
  • 用途から見た土地の種類

    「用途」からみた土地の種類

    不動産は、「土地」と土地の上に建っている「建物」から構成されています。そして、土地にはさまざまな分類方法によって定義される「種類」があります。不動産を売却したり、ローンの担保とする場合、土地の価値(=価格)を算定することになりますが、その際に重要となるのは「用途的地域」という分類による種類です。この記事では、この用途的地域について説明をしていきます。 登記簿に記載されている「地目」とは? 土地の種類と聞いて、どんなものが頭に浮かびますか?「住宅地」や「農業地」、あるいは建物などが何もない地面だけの「更地」(さらち)といったものでしょうか。このように、一般的には、土地は利用されている状況によっていろいろな種類に分かれます。 ただし、土地には様々な法律や規制が存在し、それぞれの法律や規制によって利用状況の定義が異なるため、法律や規制の数と同じだけの種類があるといえます。その結果、名称は同じでも内容は微妙に違う、といったことがあり、分かりづらくなっているのです。 最も基本的な種類は、登記簿に記載されている「地目」(ちもく)でしょう。利用状況によって分類したもので、宅地・田・畑・牧場・原野・塩田・鉱泉地・池沼・山林・墓地・境内地・運河用地・水道用地・用悪水路・ため池・堤・井溝(せいこう)・保安林・公衆用道路・公園・鉄道用地・学校用地・雑種地、と合計23種類もあります。 地目は登記事項ですので、不動産登記法によって定義されている土地の種類といえます。なお、登記簿の地目は「畑」であったとしても、現在は住宅になっているなど、地目と現在の利用状況が異なっている場合は少なくありません。その場合、固定資産税などの不動産にかかる税金は、地目ではなく現在の利用状況を基にして課税されます。 土地の現況を表しているのが「用途的地域」 そこで、「現在の利用状況はどうなっているのか」といった観点から分類しているのが用途的地域になります。用途的地域は、大きく分けて「宅地地域」「農地地域」「林地地域」の3種類があります。保有している土地の周辺地域が、建物が建てられている「宅地」がほとんどであれば宅地地域となります。同じく、田んぼや畑が多ければ農地地域となります。 次に、宅地地域は、「住宅地域」「商業地域」「工業地域」「その他」の4つに分類されます。この分類は、建っている建物の種類によります。住宅が多ければ住宅地域、個人商店やスーパー、雑居ビルなどが多ければ商業地域、町工場や工場が多ければ工業地域、といった具合です。ここからさらに、住宅地域にあるのが「住宅地」、商業地域にあるのが「商業地」、工業地域にあるのが「工業地」となり、これが土地の種類となります。 ここで注意点があります。用途的地域は、都市計画法で定められている「用途地域」とは違うことです。都市計画法上の用途地域は、「第1種低層住居専用地域」や「近隣商業地域」、「準工業地域」といった区分をしており、それぞれ、土地の広さや建物の高さ、容積率などに明確な基準があります。用途的地域と用途地域は名称が酷似しているため、混同されることが多く、注意が必要です。 用途地域と比較すると、用途的地域には明確な数値による基準はありませんが、おもに以下の4つの条件が判断材料となります。 自然的条件…地理的な位置、地質や地盤などの自然環境 社会的条件…人口の状態、都市インフラや公共施設の整備状況など 経済的条件…物価や賃金の状態、雇用や消費・投資といった経済および金融活動の状況 行政的条件…土地利用や建築物に関する規制、不動産取引に関する規制など この4つの条件を総合的に考慮して、住宅地なのか商業地なのか、あるいは工業地なのかを判断することになります。 「用途的地域」の有用性について では、明確な基準がない用途的地域の分類には、どんな意味があるのでしょうか。例えば、住宅地の中に、ポツンと小さな畑がある状況をイメージしてみましょう。確かに、現在の土地の利用状況は農地かもしれません。しかし、売却するとなったときには、土地の価値は農地として算定するよりも、住宅地として算定するほうが実態に近いといえます(住宅地として算定する方が土地の価値は高くなります)。また、商業地の中に一軒家が建っているケースもよくありますが、この一軒家の土地は、住宅地としてではなく、商業地として価値を算定するのが相応しいといえます。 このように、土地の価値を算定するときは、単に登記簿上の地目や、町名などの行政区分上の地域をみるのではなく、現在の土地の利用状況を含めた周辺地域の状況全体を考慮することが不可欠といえます。売却や不動産担保ローンの融資にあたっては、まず用途的地域を把握し、その地域内にある土地の公示価格や取引の実際のケースを基にして、土地の評価をすることが大事です。そうした総合的な判断をする際に、用途的地域による分類は有効になるのです。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 権利関係からみた不動産の分類について 不動産担保の基礎知識(3)では、土地の種類には「用途的地域」という分類があることを解説しました。土地の価値を評価するには、その土地が何に使われているかという「現況」(現在の状況)に加え、周辺...記事を読む

    2019.04.16用語
  • 不動産の「抵当権」とは

    抵当権とは?根抵当権との違いや設定・抹消登記について解説

    住宅ローンなどの不動産を担保にするローンを組むためには、担保不動産に抵当権を設定しなければなりません。不動産を担保にローンを組む前に、抵当権がどういった権利かを正しく理解しておきましょう。 この記事では、抵当権と、混同しやすい根抵当権も含めて解説します。 不動産の抵当権とは 抵当権とは、金融機関(=債権者)が融資をする際、ローンを借り入れる人(=債務者)が所有する不動産に設定をする権利のことです。抵当権を設定することで、債務者がローンの返済ができなくなったときに、債権者が不動産を競売にかけて、売却代金から優先的に返済を受けられます。。なお、法律上では、お金を借り入れる債務者が「抵当権設定者」と呼ばれ、お金を貸す債権者が「抵当権者」と呼ばれます。 抵当権が設定されても、所有者はその不動産を使用することができます。住居として使っていれば住み続けることができ、賃貸物件として使っていれば、家賃収入などを得ることができます。 抵当権が実行されるとどうなる? 住宅ローンなど、不動産を担保としているローンの返済を滞納してしまうと、抵当権が実行され、競売によって担保不動産を強制的に売却されてしまいます。売却資金で住宅ローンの残債を弁済することになりますが、競売による売却価格(落札価格)は、基本的に市場価格を下回るため、最悪の場合は債務が残る恐れもあります。 競売を避ける方法として、金融機関と相談のうえで担保不動産を売却する「任意売却」があります。任意売却であれば基本的に通常の不動産取引と同じような売買が可能なので、市場価格に近い価格で売却できる可能性があります。 関連記事はこちら住宅ローンが払えない!競売を回避する「任意売却」とは? 抵当権の設定・抹消登記 抵当権の設定と抹消は、どちらも法務局で行います。それぞれ順に解説します。 抵当権の設定登記 抵当権の設定手続きは法務局が行っており、不動産の登記簿に抵当権を登記することで設定が完了します。登記すべき内容には、主に以下のようなものがあります。 債権額 債権の内容 債権者・債務者 利息 損害金 また、登記をするには「登録免許税」がかかり、その税額は融資額に0.4%の税率を掛けた額になります。融資額が1,000万円であれば登録免許税は4万円になる計算です。なお、このほかの費用としては、「抵当権設定契約書」に貼る収入印紙代や、手続きを代行する司法書士に支払う報酬などがあります。 抵当権の抹消登記 ローンの返済が終了すれば、金融機関が有する抵当権の権利は無くなります。しかし、抵当権を抹消する手続きをとらないと、登記簿には抵当権が記載されたままになります。抵当権が残ったままだと、その不動産を売却するときなど、支障が生じる恐れがあるので、速やかに抹消の手続きを取った方がよいでしょう。 抵当権の抹消は、法律上の抵当権設定者である債務者が行います。抹消の手続きについても、法務局で登記簿に「抹消したこと」を登記することが必要です。この手続きにも登録免許税がかかり、税額は不動産1件につき1,000円です。 したがって、土地と建物の抵当権を抹消するには合計で2,000円になります。なお、手続きは、司法書士に代行を依頼することが一般的ですが、抹消手続きは抵当権の設定手続きに比べると簡単なので、自分で行うこともできるでしょう。 関連記事はこちら住宅ローン完済後の手続きについて解説 根抵当権との違い 根抵当権(「ねていとうけん」と読みます)は抵当権の一種です。債務者がローンの返済ができなくなったときに、担保不動産を競売にかけて、その売却代金から優先的に返済を受けられるところは、抵当権と同じです。一方で、抵当権は〝特定〟の債権にのみ有効であるのに対して、根抵当権は〝不特定〟の債権にも有効になる点が異なります。 抵当権は1つのローン契約にのみ有効なので、そのローンが完済されれば権利は消滅します。一方、根抵当権に基づいた契約は、あらかじめ融資をする金額の上限を決めておいて、その範囲内で〝何回でも〟融資ができるようになります。したがって、根抵当権が設定されれば、1つのローンが終了しても根抵当権は消滅せず、権利は残ったままになります。 不動産担保ローンのように、複数回借りる可能性のあるローンについては、根抵当権を設定しておくことで、融資の度に登記の手続きをして抵当権を設定する、ということが避けられます。これは手間と費用(登録免許税や収入印紙代、司法書士への報酬など)の省略につながります。 「根抵当権」では「極度額」が設定される 実際の手続きなどは、抵当権とほぼ同じと考えてよいのですが、登記簿に登記する内容に違いがあります。根抵当権の場合、主に登記するのは以下の三点で、この中でも極度額が重要です。 極度額 債権の範囲 債務者・債権者等 根抵当権の極度額とは、根抵当権を設定するときに定められる担保の限度額です。あらかじめ融資額の限度を決めておいて、その範囲内なら、何回でも融資ができます。例えば、極度額が3,000万円であれば、最初に1,000万円を借り、その返済が終了する前に、追加で1,000万円を借りる、といったことが可能です。その追加で融資を受ける際、わざわざ手間と費用をかけて法務局で手続きをする必要はありません。 なお、根抵当権は、債務者と債権者の合意があれば抹消をすることができます。事業の運転資金を借り入れる場合、追加融資を受けることは珍しくありません。そうしたケースでは、融資を受ける側にとって、根抵当権は使い勝手がよいといえるでしょう。 抵当権に関するよくある質問 抵当権付きの不動産は相続できる? そもそも、団体信用生命保険(以下、団信)に加入していれば、債務者が死亡したときに支払われる保険金で残債が完済となるため、相続時点で抵当権が抹消されます。一方で、団信に加入していなかった場合は、抵当権付きの不動産を相続することになります。 抵当権付きの不動産を相続する場合、ローンの返済義務を相続人が引き継ぎます。また、相続の際には、通常の不動産と同じように相続税が課税されます。このとき、抵当権が設定されているからといって、不動産自体の相続税評価額が下がる、といったことはありませんが、相続税額を計算する際に、相続をする財産の全体から残債分を差し引くことになります。 抵当権付きの不動産は売却できる? 抵当権付きの不動産であっても、売却することは可能です。その場合、売主である債務者が、売却によって得た代金でローンを完済し、抵当権の抹消手続きを行うことになります。 抵当権はどうやって確認する? 抵当権は、登記簿謄本で確認できます。不動産登記の情報が記載されている不動産登記簿謄本のうち、権利部(乙区)というところに抵当権の内容が記載されています。詳細は以下の記事で解説しています。 関連記事はこちら登記簿謄本(登記事項証明書)とは?取得方法や記載内容を解説 まとめ 抵当権を実行されると、担保としている不動産を手放さなければならなくなります。不動産を担保にローンを組む場合は、無理のない返済が可能かを確認したうえで契約を進めるようにしましょう。また、抵当権の設定登記や抹消登記は、必要書類の準備など手間がかかります。債権者である金融機関や専門家に相談しながら、正確に手続きを進めるようにしましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 「用途」からみた土地の種類 不動産は、「土地」と土地の上に建っている「建物」から構成されています。そして、土地にはさまざまな分類方法によって定義される「種類」があります。不動産を売却したり、ローンの担保とする場合、土地...記事を読む

    2019.04.09用語
  • 融資における担保の種類とは?

    保証人・連帯保証人・連帯債務者の違いとは?融資における担保の種類を解説

    ローンは、分類の方法によってさまざまな種類に分かれます。その分類方法のひとつに、融資をする際に担保を必要とするかどうか、というものがあります。文字どおり、担保が不要なものは「無担保ローン」で、担保が必要なものが「有担保ローン」になります。有担保ローンの代表的なものは不動産担保ローンですが、担保となるものは不動産だけではありません。この記事では、担保にはどのようなものがあるのかについて、解説をしていきます。 「人的担保」と「物的担保」 融資における担保を大きく分けると「人的担保」と「物的担保」があります。人的担保とは、融資を受けた人(=債務者)が何らかの理由で返済ができなくなったときに、債務者以外の人が債務者に代わって返済をするという契約を結ぶことです。シンプルにいうと、保証人などを付けておくこと、となります。具体的な人的担保は、「保証人」「連帯保証人」「連帯債務」の3つに分かれ、法律上には明確な違いが存在します。 保証人 保証人は、債務者が返済できなくなった場合に代わって返済をする義務を負いますが、融資をした金融機関(=債権者)が返済を請求してきたときに、「まずは債務者に請求をするように」という主張をする権利があります。この権利は法律上、「催告の抗弁」といいます。また、債務者が返済できる資力があるにもかかわらず返済を拒否したときは、「債務者の財産を強制執行せよ」と債権者に主張できます。この権利は「検索の抗弁」と呼ばれます。さらに、保証人が複数いる場合、保証人はその人数で割った金額のみを返済する義務を負うことになります。 連帯保証人 次に連帯保証人は、保証人の権利である「催告の抗弁」や「検索の抗弁」という権利はありません。そして、連帯保証人すべてが全額を返済する義務があります(ただし連帯保証人の返済額の合計が債務額を超えることはありません)。つまり、債務者と同じ義務を負う保証であり、保証人よりも重い責任が課せられることになります。 連帯債務 3番目の連帯債務は、複数の債務者で同一の債務を引き受けることです。簡単にいうと、債務者自体が複数いる、ということです。そのため、人的担保としては最も重いといえるでしょう。具体的には、夫婦で借りられる住宅ローンを夫婦で借りた場合、その夫婦は連帯債務者になります。債権者は、連帯債務者に対しては、別々に債務の返済を請求することができます。 「物的担保」としての不動産は「抵当権」となる 物的担保は、〝人〟ではなく〝物〟を担保とすることで、法律上は、他の債権者の存在を考えることなく、担保として提供された物あるいは財産権から優先的に債権を回収できる権利のことです。ただし、これは法律上の広い意味ですので、以下、金融機関の融資における物的担保に絞って述べていきます。 抵当権 まず、不動産は物的担保の代表例ですが、融資をする際には「抵当権」が設定されて物的担保となります。抵当権とは、債務者から担保として提供された不動産を、債務者に利用させながら、債務が履行されない場合にその不動産を売却して、代金から債権を回収する権利のことです(不動産担保については「不動産担保の基礎知識」の(2)以降で詳しく解説する予定です)。 不動産以外の「物的担保」 有価証券 不動産以外の担保としてよく使われるものに、有価証券があります。有価証券とは、財産権を表す証券のことで、具体的には、国債や社債などの債券、株式、手形、小切手などです。有価証券担保で留意すべき点は、有価証券の種類によって担保としての評価が変わってくることです。例えば、国債は、国が発行している債券なので信用力や流動性が高いといえます。そのため、社債や株式、手形よりも担保としての価値が高く、評価額も高くなります。また、同じ株式であっても、日常的に取引されていて流動性が高い上場株式の方が、取引されることが少ない未上場株式よりも、担保の価値が高くなります。なお、融資において有価証券を担保とする場合、有価証券は債権者が預かるのが一般的です。 売掛債権 会社であれば、「売掛債権」を担保にするケースもあります。売掛債権とは、商品やサービスを販売した会社が顧客から代金の支払いを受ける権利のことです。企業同士の取引は、商品やサービスの販売をした後に、納品をし、請求書を発行して、代金を受け取るという流れが一般的です。つまり、代金を受け取るまでには1~2か月かかることが多く、代金を受け取るまでの期間、商品やサービスを販売した側は売掛債権を保有することになります。この売掛債権を担保として融資を受けるわけです。実際に売掛債権を担保とするときには、代金の支払いを受けることになっている「売掛先」に、担保にすることを通知する場合と通知しない場合に分かれますが、通知をしないケースが多いようです。 その他の担保 このほか、普通預金や定期預金を担保とする「預金担保」や、ゴルフ会員権を担保にする「ゴルフ会員権担保」、会社の商品を担保とする「商品担保」などがあります(商品担保は「動産担保」とも呼ばれます)。ただ、いずれも物的担保としては、一般的な存在ではなく、担保として取り扱っている金融機関は限られているのが現状です。しかし、有価証券や売掛債権を含めて、借り入れをする人の条件やニーズに合致すれば、有意義なローンを組める可能性があります。該当する場合、検討する価値は十分にあるといえるでしょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 抵当権とは?根抵当権との違いや設定・抹消登記について解説 住宅ローンなどの不動産を担保にするローンを組むためには、担保不動産に抵当権を設定しなければなりません。不動産を担保にローンを組む前に、抵当権がどういった権利かを正しく理解しておきましょう。 ...記事を読む

    2019.04.02用語
  • 不動産担保ローンの金利の実態をさぐる

    不動産担保ローンの金利の実態をさぐる

    不動産担保ローンに限らず、金融機関が表示しているローンの金利は、「年○○%~△△%」といった感じで上限と下限を表示していることがほとんどです。そのため、ローンの金利を比較しようとしても、この表示だけで比べることは困難です。実際に借り入れるローンの金利は、融資の審査を通過した後に提示されることになるからです。 時間に余裕があれば、複数の金融機関に融資の申し込みをし、審査後に提示された金利を比較して、いちばん有利なローンを選ぶことができるでしょう。しかし、現実にはなかなかそうはいきません。申し込みごとに必要書類を揃えたりするのは、結構面倒なものです。金利を比較するために、5社も6社も申し込むという人は、かなり少ないと思われます。ほとんどの人は、もっとも早く審査を通過して、ローンが借りられることが決まった金融機関を選んでいるのではないでしょうか。 実際に契約されたローン金利がわかる「平均約定金利」 >不動産担保ローンの概要についてはこちら ただ、やはり金利が高いのか低いのかは、気になるところ。もし平均的な金利の水準がわかれば、それと比較することで、少なくとも金利が高いのか低いのかの目安くらいはつくことになります。実は、その平均的な水準は公表されています。日本貸金業協会は、各種の資料を公表しており、そこには平均的な金利水準も含まれているのです。 日本貸金業協会とは、「貸金業法」という法律に基づいて貸金業を営んでいる金融機関が加盟している業界団体です。2007年12月に、「貸金業法第26条第2項」の規定に基づき、内閣総理大臣の認可を受けて設立されました。参加しているのは、融資を行う、銀行以外の金融機関です。 平均約定金利 前述のように、この日本貸金業協会が発表する統計データの中に、「約定金利」という項目があります。約定金利とは、簡単にいうと、実際に契約されたローンの金利のことで、日本貸金業協会のホームページには、「月末平均約定金利」として、協会に加盟する金融機関が行った、月ごとのローンの金利の平均値を掲載しているのです。早速、そのデータをみてみましょう。以下は、2019年3月上旬に閲覧することができる最新のもので、2018年12月時点のデータです。 ○月末平均約定金利 消費者向け有担保貸付  6.08% 事業者向け有担保貸付  3.66% 消費者向けというのは借りる人が個人で、事業者向けというのは借り手が法人です。また、有担保貸付とは担保があるローンのことで、住宅ローンを除いたものですので、実質的に、不動産担保ローンのデータと考えて問題はありません。このデータは、2018年12月に行われたローンの平均値が個人向け6.08%、法人向け3.66%だった、ということを表しています。個人と法人で、「意外と差があるな」と思った人も少なくないかもしれません。 現在、不動産担保ローンを申し込んでいて、金融機関からローンの金利を提示された人がいれば(あるいはすでに返済を始めている人は)、ローン金利が平均よりも高いか低いのかは、この数値で判断ができることになります。 「平均約定金利」はひとつの目安 ただし、この平均約定金利はあくまで全体の平均値です。すでに、何度か借り入れをしていて、ローンの実績がある、つまり信用力が高い個人や法人が含まれているわけです。新規で不動産担保ローンを借りるときは、この平均約定金利よりも一般的には〝高め〟になるといえるでしょう。 また、貸金業者全体の平均約定金利なので、さまざまな業者が含まれている点にも注意が必要です。平均値を上回っているからといって、必ずしも〝高めの金利〟とはいえません。一見、高めの金利にみえても、同じような業態の金融機関の中では、低い方の金利になっている、といったケースもあり得ます。 業態別の平均約定金利 ちなみに、この日本貸金業協会の統計データには、融資をする金融機関の業態ごとのデータも掲載されています。その業態の名称は、「消費者金融」「事業者金融」「クレジット等」の3種類となっていますが、それぞれの名称が一般的に表す業態とはちょっとズレています。というのも、日本貸金業協会の分類は、金融庁が定めている分類に沿ったものになっているからです。金融庁の分類はかなり複雑になっているため、一般的に用いられている名称とは、そのカバーする業態が違っています。 以下、その業態別の平均約定金利を記しますので、上記の点を考慮に入れ、あくまで参考としてご覧ください。 ○消費者向け有担保貸付(業態別) 消費者金融  5.86%   事業者金融  6.76%  クレジット等 5.66%  ○事業者向け有担保貸付(業態別) 消費者金融  3.98%   事業者金融  4.10%  クレジット等 1.59%  消費者向け、事業者向けともに、消費者金融の金利が事業者金融を下回っていることに、違和感を覚える人もいると思われます。事業者金融の金利の方が高い理由としては、ローンを利用する人や法人が、初回の借り入れであっても借入金額が多額になる場合が比較的多いこと、さらに、起業したばかりの法人が含まれていること、などが考えられます。いずれも、銀行など他業態の金融機関では貸し出しが難しいケースといえるでしょう。その分、金利が高めに設定されることになります。 なお、今回紹介したデータは、日本貸金業協会のホームページにある「月次統計資料」のコーナーで閲覧できます。興味のある方は、一度訪れてみてはどうでしょうか。 不動産担保ローンならSBIエステートファイナンス 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ ローン金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限が表示されることがほとんどです。このような表示は、個別のローンごとに適用される金利が変わることを表しています。当然、ローンを借り入れ...記事を読む 不動産担保ローンの「仮審査」とは? 不動産担保ローンを提供している金融機関のホームページには、よく「仮審査」や「事前審査」という言葉が使われています(以後この記事では「仮審査」と呼称します)。住宅ローンを利用したことがある人な...記事を読む

  • 金利と利子の関係と計算方法

    住宅ローンの返済額を計算する方法とは?金利と利子の違いを解説

    住宅ローンを借りるとき、「金利が低いかどうか」が気になる人は多いと思います。一方で、その金利を用いてどのように住宅ローンの返済額が決まるのかまで正しく理解できている人は、意外に少ないかもしれません。この記事では、住宅ローンを組む前に知っておきたい金利と利子の関係と、住宅ローンの返済額を計算する方法について解説します。 住宅ローンの返済額を計算する方法 住宅ローンの返済額を計算する際、返済の方式によって計算方法が変わります。 住宅ローンの返済方法は「分割返済」と「一括返済」の2種類に分かれます。分割返済は、元金と利子を複数回に分けて返済する方法です。対して一括返済は、残元金を前倒しで一度に返済する方法です。 住宅ローンの返済方式で主流になっているのは、「元利均等返済」と「元金均等返済」です。どちらも分割返済の一種ですが、両者の返済額の計算方法も異なります。 「金利」と「利子」の違い 住宅ローンの返済額を計算するうえで重要な用語が、「金利」と「利子」です。住宅ローンの返済額の計算方法を解説する前に、金利と利子の違いを正確に把握しておきましょう。 金利と利子は同じものとして扱われがちですが、別物です。「金利」とは利子を算出するときの基本となるもので、通常は元金に対する「1年間の利子の割合」を示し、「%」で表します。一方で、「利子」は金利から算出された「実際に支払う額」を表します。 元利均等返済における住宅ローンの返済額 まずは元利均等返済における住宅ローンの返済額の計算について解説します。 元利均等返済の特徴と毎月の返済額 元利均等返済は、毎月の返済額が一定であるという特徴があり、毎月の返済額を算出する計算は以下のとおりです。 難解な計算式に見えるかもしれませんが、覚える必要はありません。実際に毎月の返済額を調べたい時は、金融機関のホームページで用意されている返済シミュレーションを利用すれば、すぐに算出できます。 >SBIエステートファイナンス「返済シミュレーション」 元利均等返済における利子の計算事例 ここでは、120万円を金利6%、1年間で借りた場合の、利子の変化を見ていきましょう。まず、毎月の返済額を計算すると、103,280円と算出できます。元利均等返済では、返済期間中の毎月の返済額は変わりませんが、元金と利子の内訳は変化します。その変化を表したものが下図となります。 最初の1か月目の内訳をみると、元金分の支払いは97,280円、利子分の支払いは6,000円です。これは、金利6%の1か月分の金利を120万円に適用したときの利子です。 次に2か月目の内訳をみると、元金分の支払いは97,766円、利子分の支払いは5,514円です。1か月目の内訳と比較して、元金の支払いが増え、利子の支払いが減っていることに気づくでしょう。 これは2か月目の金利の対象となる借入残高が減ったことが理由です。元利均等返済は、返済が進むにつれて借入残高と毎月支払う利子が減り、返済額を一定にするために毎月支払う元金が増える仕組みです。 元金均等返済における住宅ローンの返済額 続いて、元金均等返済における住宅ローンの返済額の計算について解説します。 元金均等返済の特徴と毎月の返済額 元金均等返済は、毎月の返済額のうち、元金分のみが一定であるという特徴があります。毎月支払う元金は「借入金額/返済回数」で簡単に計算できます。対して毎月支払う利子は、「借入残高×月利」で計算できます。元金均等返済は、毎月一定の元金を支払うため、毎月の借入残高の減少に伴って、毎月の支払い利子も少しずつ減少していくことになります。 元金均等返済における利子の計算事例 ここでは、元利均等返済の時と同じ、120万円を金利6%、1年間で借りた場合の、利子の変化を見ていきましょう。まずは毎月の返済額を調べます。計算すると、毎月の返済額は100,000円と算出できます。元金均等返済では、返済期間中に支払う元金は変わりませんが、支払う利子は減少していきます。その変化を表したものが下図となります。 最初の1か月目の内訳をみると、元金分の支払いは100,000円、利子分の支払いは6,000円です。これは、金利6%の1か月分の金利を120万円に適用したときの利子です。 次に2か月目の内訳をみると、元金分の支払いは100,000円、利子分の支払いは5,500円です。1か月目の内訳と比較して、利子の支払いだけが減っていることに気づくでしょう。 これは、元利均等返済と同様に、2か月目の金利の対象となる借入残高が減ったことが理由です。一方で、元利均等返済と異なるのは、返済が進んでも毎月支払う元金は変わらない点です。元金均等返済は、借入残高と毎月支払う利子が減ることで、毎月の返済額が減少していく仕組みです。 一括返済における住宅ローンの返済額 最後に、一括返済における住宅ローンの返済額についても紹介します。決められた返済期日より前に住宅ローンを繰上げ返済する場合、前回の利払い日から繰上げ返済日までの経過日数に対する利子を支払うことになります。 一括返済における利子の計算事例 これまでと同様に、120万円を金利6%で借りた事例を見ていきましょう。なお、今回の事例では、経過日数を10日として計算します。支払い利子を計算するにあたり、まず金利の単位を揃えなければなりません。金利は「1年間の利子の割合」、すなわち「365日間の利子の割合」ということなので、今回の事例では、6%の10日/365日に120万円を掛け合わせて計算できます。ちなみに計算すると約1,973円となります。 利子のみ毎月支払う場合の計算事例 住宅ローンの中には、リ・バース60などの毎月の返済が利子のみである商品が存在します。この場合も、繰上げ返済と同様の方法で計算することができます。120万円を金利6%で借りている場合、1か月を30日とすると、6%の30日/365日に120万円を掛け合わせて計算できます。ちなみに計算すると約5,918円となります。 まとめ 「120万円を金利6%で借りる」、そのような時、多くの人は利子が72,000円と考えるかもしれません。しかし、返済方法や返済期間によって、実際に発生する利子が異なることをこの記事で理解できたと思います。住宅ローンの返済額を正しく計算するには、この金利と利子の関係を理解しておくことが大切です。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 ローンの適用金利はどうやって決まる? 金融機関のホームページをみると、カードローンの金利について「年○○%~△△%」といった表示をよく見かけます。カードローンに限らず、ローン金利はこのように〝幅〟を持った表示が一般的です。 この...記事を読む

    2019.03.19ローン全般
  • 変動型の金利はどう決まる?

    変動型の金利はどう決まる?

    ローン商品の金利タイプには、大きく分けて3種類あることはご存じでしょうか。その3種類とは「固定型」「変動型」「固定期間選択型」です。住宅ローンを利用する時など、昨今の低金利環境下では、「変動型」を選択する人も多いでしょう。一方で、「変動型」の金利がどのように決定されるのか、正確に理解している人は少ないかもしれません。 この記事では、「変動型」の金利がどう決まるのか解説します。 ローン商品の金利タイプ まずは、ローン商品の金利タイプを簡単に紹介します。前述のとおり、ローン商品の金利タイプは、「固定型」「変動型」「固定期間選択型」の3種類に大別されます。固定型は、ローンの返済が終了するまで、当初の金利が変わらない商品です。変動型は、一定期間ごとに、金利が見直される商品です。固定期間選択型は、一定期間の固定金利を経た後に、変動金利に移行する商品です。 金利タイプは金融機関によって異なる メガバンクが提供する住宅ローンの場合など、前述の金利タイプがすべて用意されていることが一般的と感じるかもしれません。しかし、提供している金融機関や、ローン商品によっては、必ずしもそうとは限りません。 たとえば、ローン商品が不動産担保ローンの場合、「固定型」あるいは「変動型」のどちらか、ということもあります。また、短期ローンの場合は固定型、長期ローンの場合は変動型、というように返済期間によって、金利タイプが変わることもあります。 変動型の金利は短期プライムレートが基準 ローン商品や金利タイプにかかわらず、金利は審査により決定されます。一方で、固定型と変動型には違いがあります。それが「短期プライムレート」です。この短期プライムレートは変動型の金利における基準となります。 短期プライムレートとは、「最も信用力が高い企業向けの短期貸出に適用する最優遇金利」のことで、銀行が企業に対して融資をするときの基準となる金利です。なお、「長期プライムレート」も存在します。長期プライムレートも短期プライムレートと同様に、最優遇金利を指しますが、「期間」の点で異なります。1年未満の期間の貸出が短期、1年以上の期間の貸出が長期プライムレートと呼ばれます。 通常、銀行は企業向けの融資を行う際、短期プライムレートを基準として、融資先企業の信用力に応じて金利を上乗せします。この方式は銀行だけでなく、その他の金融機関でも広く用いられており、個人の変動型の住宅ローンにも使われています。 短期プライムレートはどう決まる? 短期プライムレートは、2023年8月時点では年1.475%に設定されています。これは、メガバンクが公表しているもので、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行のいずれも同率です。実際の融資では、この短期プライムレートに、企業の信用力に応じた金利が上乗せされることとなります。 短期プライムレートの設定と背景 本来、短期プライムレートは金融市場の動向によって、毎月変動します。そして、短期プライムレートに連動する変動型のローンでは、あらかじめ決められたタイミングで金利の見直しが行われます。見直し時点での、短期プライムレートの水準によって、それ以降の金利が決まる仕組みです。一般的には、見直しのタイミングは「半年ごとの年2回」となっています。 しかし、実は短期プライムレートは2009年1月から変更されていません。その最大の理由は、日本銀行の政策金利が極めて低い水準に維持されていることにあります。日本銀行の政策金利は、2008年12月から、年0.1%以下に設定されたままになっています。そして、2023年8月現在は、2016年1月に設定された年▲0.1%のままです。そのため、金融市場では多少の金利変動はありますが、短期金利から長期金利まで低位安定が続いています。 短期プライムレートの今後の見通し 金融市場では、当面、日本銀行の金融政策に変更はなく、国内金利の水準は現状維持が続くという見方が優勢です。したがって、しばらくは短期プライムレートも現在の低金利が続くと見て良さそうです。一方で、将来的に金利が上昇することも十分あり得るので、金利上昇の可能性は必ず念頭におきましょう。 まとめ 変動型の金利は、短期プライムレートと金融機関の審査による上乗せ金利によって決定されます。また、短期プライムレートは、現在は低位安定しているものの、いずれは上昇する可能性もあります。変動型のローン商品を検討する際は、金利上昇の可能性も考慮したうえで、決定するようにしましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローンの返済額を計算する方法とは?金利と利子の違いを解説 住宅ローンを借りるとき、「金利が低いかどうか」が気になる人は多いと思います。一方で、その金利を用いてどのように住宅ローンの返済額が決まるのかまで正しく理解できている人は、意外に少ないかもしれ...記事を読む

    2019.03.12ローン全般