現在、銀行などの金融機関から借りているローンについて、「毎月の返済額を減らしたい」「資金繰りが厳しい」といった悩みをかかえていないでしょうか。このような悩みがある場合、不動産担保ローンへの借り換えを検討するのがおすすめです。 この記事では、不動産担保ローンへの借り換えのメリットとデメリット、借り換えを考える場面について解説します。 不動産担保ローンへの借り換えのメリット 不動産担保ローンへの借り換えのメリットは、以下の2点です。 総返済額を減らせる 新たな不動産担保ローンへの借り換えは、ローンの総返済額を減らせるのがメリットです。借り換えによって金利が下がれば、ローン残高は変わらなくても総返済額を減らすことが可能です。借り換える際の諸費用を考慮しても、金利や返済期間などの条件によっては総返済額を減らせます。担保とする不動産や債務者の属性に対する評価は金融機関によって異なるので、ローンを借り換えることで融資条件の改善が期待できます。 毎月の返済額を減らせる(資金繰りが楽になる) 不動産担保ローンの借り換えは、毎月の返済額を減らせるのもメリットのひとつです。借り換えによって融資条件が改善されれば、毎月の返済額と総返済額の両方を減らせます。また、総返済額はそれほど変わらなくても返済期間が長くなれば、毎月の返済額が減ってキャッシュフローが改善し、資金繰りが楽になります。 不動産担保ローンへの借り換えのデメリット 不動産担保ローンへの借り換えのデメリットは、借り換え時に余分な諸費用がかかることです。具体的には、現在のローンの繰上げ返済手数料と、新たに加入する不動産担保ローンの事務手数料です。不動産担保ローンへの借り換えを検討する際には、これらの諸費用を考慮しても返済負担を軽減できるのかを確認しておきましょう。 なお、繰上げ返済手数料は新しい不動産担保ローンで準備でき、事務手数料も融資金額から差し引かれるので、諸費用を別途用意する必要はありません。 不動産担保ローンへの借り換え手続きの流れ 不動産担保ローンの借り換えの手続きの流れは以下のとおりです。 借換元・借換先との相談と日程調整 1.金融機関にローン借り換えの相談をする(仮審査) 2.本申し込みを行い、審査結果を待つ 3.審査通過後、借換元の金融機関に連絡して、返済可能日と返済総額を確認する 4.借換先と契約日を調整する まずは金融機関に不動産担保ローンの借り換えについて相談し、仮審査に申し込みましょう。仮審査の回答が出たら本申し込みを行い、審査通過後に借換元の金融機関に連絡して返済可能日と返済総額を確認します。借換先の融資金額や金利、手数料、返済総額などの条件が決定したら、現在の契約内容と比較し、確認したうえで借換先と契約手続きに進みましょう。 契約・借り換えの実行と実行後の手続き 5.借換先と契約手続きを行う 6.契約日当日に借換先から借換元に返済総額が振り込まれる 7.借換元から抵当権抹消に必要な書類を受領する 8.借換元の抵当権を抹消する 9.借換先の抵当権を設定する 10.新しい不動産担保ローンの返済が開始される 上記5~9は同日中に行われ、7~9は通常、借換先から紹介された司法書士に委託して手続きを進めます。一連の手続きが終了したら、新たな不動産担保ローンの返済が開始されます。 不動産担保ローンの借り換えイメージを紹介 ここでは、不動産担保ローンの借り換えを行い、総返済額と毎月の返済額が減った場合のイメージをひとつ紹介します。 A法人(仕入れ販売業)は、資金繰りに行き詰まった際に銀行から不動産担保ローンを借りましたが、金利が高かったため、キャッシュフローの改善を目的に不動産担保ローンの借り換えを行いました。担保とする不動産は、法人代表者所有の自宅(区分マンション)です。不動産担保ローンの借り換え前と借り換え後の状況は以下のとおりです。 〇不動産担保ローンの借り換え前と借り換え後の状況 借り換え前 借り換え後 ローン残高2,230万円2,300万円(手数料等含む) 返済期間20年20年 金利8.00%6.00% 月々の返済額18.6万円16.4万円 総返済額4,476万円3,954万円 ローン残高は2,230万円から2,300万円に増えていますが、金利が8.00%から6.00%に下がったことで、月々の返済額と総返済額の両方の引き下げに成功しました。このように、ローン残高は変わらなくても、ローンの借り換えによって金利などの融資条件が改善されれば、返済負担を軽減することができます。 不動産担保ローンによる借り換えを考える場面 不動産担保ローンによる借り換えは、以下のような場面で検討するといいでしょう。 毎月の返済が苦しいとき 毎月の返済が苦しいときは、ローンを借り換えることで毎月の返済額を減らすことができます。利用中のローンが不動産担保ローンであるときはもちろん、条件によっては無担保ローンや住宅ローンから不動産担保ローンへの借り換えであっても、返済負担の軽減が期待できます。 収入や売上が拡大し、返済能力が高まったとき 収入や売上が拡大して返済能力が高まったときは、金融機関からの評価も高くなります。不動産担保ローンによる借り換えを行うことで、好条件でまとまった資金を調達できる可能性があります。 返済中に金利以外の手数料を請求されたとき 現在のローンで繰上げ返済や条件変更などを行う場合、金融機関によっては金利以外に繰上げ返済手数料や条件変更手数料などを請求されます。このような場面では、不動産担保ローンによる借り換えを行うことで、今までより好条件で融資を受けられるかもしれません。 不動産を相続した、譲渡されたとき 相続や譲渡によって不動産を取得した場合、その不動産を担保に金融機関から不動産担保ローンを借りることができます。現在のローンを借り換えることで、毎月の返済額や総返済額の軽減が期待できます。 担保不動産の価格が上昇したとき 不動産価格が上昇すると担保不動産の価格も上昇し、不動産担保ローンで調達できる金額が増えます。金融機関によって担保評価額は異なるため、不動産担保ローンを借り換えることで調達できる資金が増える可能性があります。 まとめ 不動産担保ローンの借り換えは、毎月の返済額や総返済額を減らせる可能性があります。また、不動産担保ローンからだけでなく、無担保ローンや住宅ローンからの借り換えであっても、返済負担の軽減や資金繰りの改善が期待出来る場合があります。毎月のローン返済や資金繰りで困っているなら、不動産担保ローンへの借り換えを検討してみましょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローンを選ぶために比較すべき5つのポイントとは? 不動産担保ローンの利用を検討する場合、どこの金融機関を選ぶかが重要です。しかし、インターネット上では様々な金融機関がおすすめされており、実際に何を基準に金融機関を選べば良いか、分からない人も...
団塊の世代に対して調査を実施 団塊の世代に聞いた住宅事情と老後資金~団塊の世代に対してアンケート調査を実施~ 団塊の世代とは、1947年(昭和22年)~1949年(昭和24年)に生まれた世代で、この時代は第一次ベビーブームが起きた時期であり、日本経済においては、第二次世界大戦後の高度経済成長、バブル景気を経験している世代でもあります。 年齢で言うと、70~72歳(2019年12月現在)にあたる方々になりますが、彼らが活躍した時代と現代では、産業や技術の進歩だけではなく、価値観も大きな違いがあります。 そこで、この記事では、持ち家に住む団塊の世代の方々の住宅事情や老後に関してのアンケート調査を実施しました。 以下、アンケート結果は、「団塊の世代の住宅事情」と「団塊の世代の老後の資金」の2つのテーマに分けて紹介します。 【回答者】持ち家に住む団塊の世代(70~72歳、2019年12月24日時点) 111名 【回答期間】2019年12月24日~2019年12月25日 ※すべての回答ではなく回答が有効なものとなります。 【回答者の居住地】 2つのテーマのアンケート結果を紹介する前に、団塊の世代の方が、何歳まで生きていたいかを聞いてみました。 設問:人生100年時代と言われていますが、あなた自身は何歳まで生きたいと思いますか? 「85歳まで」が一番多く22.4%、次いで「80歳まで」が20.6%、「90歳まで」が17.8%、という結果になりました。 「あまり生きたいと思わない」「75歳まで」を合わせると13.1%、一方で「100歳まで」「それ以上」を合わせると17.8%となっています。このことから、比較的長生きしたいと思っている方は多いと言えるのではないでしょうか。 それでは、最初のテーマである「団塊の世代の住宅事情」について紹介します。 団塊の世代の住宅事情 設問:あなたの住んでいる物件の種類を教えてください。 「戸建て」が73.8%、次いで「大規模マンション(200戸以上)」が10.3%、「中規模マンション(50~200戸未満)」が8.4%、「小規模マンション(50戸未満)」が6.5%となりました。 タワーマンション(高さ150m以上のもの)に関しては、1970年代頃(団塊の世代が20代半ば~後半)から建設が始まったこともあり、今回のアンケート調査では、タワーマンションを購入された方はいませんでした。 設問:あなたが今住んでいる物件はいつ購入しましたか? 「30代」が25.2%、次いで「40代」が23.4%、「50代」が16.8%という結果になりました。 設問:あなたが今住んでいる物件のローンはいつ払い終えましたか? 「50代」が29.9%、次いで「60代」が24.3%、「現金で購入した」が21.5%となりました。 50代までに住宅ローンを払い終えた方が61.6%もいたことは、非常に興味深い結果と言えます。 人生100年時代と言われている一方で、2009年から住宅金融支援機構によって最長50年の住宅ローンが登場し、それを機に、多くの金融機関で40年以上の返済期間の住宅ローンが取り扱われるようになりました。このことを考えると団塊の世代で50代までにローンが完済している割合が6割超というのは、今よりも返済期間がかなり短かったと言えるでしょう。 また、比較材料はありませんが、現金で住宅を購入した方が、20%超もいることは、バブル景気を経験した世代の特徴かもしれません。 次からは、「団塊の世代の老後の資金」について紹介します。 団塊の世代の老後の資金 設問:今後、公的年金以外に、老後資金はどれくらい必要だと思いますか? 「1000~2000万円未満」が24.3%、次いで「わからない」が19.0%、「2000~3000万円未満」が15.0%という結果になりました。 この背景には、金融庁が2019年6月3日に公表した金融審議会の市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」の内容が世間的に大きく取り上げられ、「老後資金2000万円」問題として話題になったこともあると考えられます。 次に、そうした資金への蓄えがあるかどうかを聞いてみました。 設問:あなたは前問で答えた老後資金に対して十分な備えがありますか? 「ない」と答えた方が6割超の61.7%、「ある」と答えた方が38.3%という結果になりました。 次に、「ある」と答えた方にどうやってその資金を蓄えたのか、「ない」と答えた方に今後どうやってその資金を確保しようと考えているかを聞いてみました。 設問:前問で「ある」と答えた方にお聞きします。どうやって備えましたか? 「預貯金」が80.6%、次いで「退職金」が64.5%、「保険」「株式」が38.7%と続きました。 「退職金」の割合が多いのは、日本固有の慣行である終身雇用がまだ残っている時期に退職を迎えた方が一定数いたからだと考えられます。 また、「株式」の割合が多いのはバブル期の株式投資ブームで、株式投資が身近な存在であり、経験者が多いことが想像できます。 設問:前問で「ない」と答えた方にお聞きします。どうやってその資金を確保しようと考えていますか? 「これからも働く」が圧倒的に多く60.0%、次いで「当てがない」が26.0%、「不動産の売却」が12.0%という結果になりました。 「これからも働く」という方が多いのは、現在、高齢者を積極的に採用する企業が脚光を浴びてメディアに頻繁に紹介されているなど、老後でも高齢者が働ける環境になっていることが要因のひとつではないでしょうか。 また、「当てがない」という方が2割以上いるという点は、非常に興味深いと言えます。 まとめ 今回は、団塊の世代に対して「団塊の世代の住宅事情」と「団塊の世代の老後の資金」の2つのテーマについて調査しました。 住宅については、当時景気が良かったこともあり、今と比べて圧倒的に戸建て住宅に人気があったようです。また、住宅ローンが今と比べて短い期間で設定されていることもわかりました。住宅を現金で購入する方が2割もいたのは、この世代ならではのことだったのかもしれません。 また、老後の資金については、まだ確保できていない方が多く、「これからも働く」「当てがない」と考えている方が8割以上いることがわかりました。老後については考えるべきことがまだまだありそうです。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 SBIシニアの住まいとお金に相談してみる お問い合わせは最短即日回答。ご相談は何度でも無料でご利用いただけます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産のプロが選ぶタワーマンションの価値が上がる場所とは? タワーマンションに関する調査を実施 東京近郊のタワーマンションで一番価値が上がるエリアは? ~ 不動産価値に関してアンケート調査を実施 ~ 2020年を境に不動産価値が下がるという話題を耳に... 次に読むべき記事 不動産のプロが選ぶ30年後に価値の落ちない物件とは? 不動産価値に関する調査を実施 東京近郊の30年後に価値が下がらない物件は? ~ 不動産価値に関してアンケート調査を実施 ~ 2020年を境に不動産価値が下がるという話題を耳にすることが多くな...
まじめに仕事に専念してきて、結婚のタイミングを逃してしまった男性も多いのではないでしょうか?いざ落ち着いて、結婚を考えようと思ったら、女性とはなかなかご縁がなく、子供などは絶望的と悩む声も実際よく聞きます。 この記事では、そんな悩みを払しょくすべく、稼業を継いで、国際結婚に前向きに行動する48歳の男性の例をご紹介します。 [ ご相談者 Kさん ] 48歳 男性。独身で、実家の印刷会社を継いだ。 一人息子で、自分の跡継ぎなど結婚への圧力が強く、婚活で苦戦していたが、年齢の差を嫌がることなく会ってくれる国際結婚に方針を変更。 結婚後は、実家の離れを少しリフォームして住む予定。 まずは、仲人さんとともに海外を往復して手続きをする費用やリフォーム費について相談したい。 子供が欲しい婚活で気になる年齢差、国際結婚は年齢関係なく可能性あり Kさん: 実家の稼業のことでいろいろあって、この歳になるまで忙しく、結婚を本気で考えてこなかったのですが、一人息子だし、やっぱり子供が欲しいと思って婚活をしています。 FP吹田:なるほど。実家の印刷業を継がれて、今は落ち着かれたのですね。お子さんを希望される結婚の場合、やはりお相手は、年下の方をお探しなのでしょうか? Kさん: はい。でも、この年齢まで仕事に専念してきたこともあり、なかなか良いご縁に恵まれませんでした。事業も小さな印刷会社ですし。そこで、仲人さんのご紹介で、国際結婚に切り替えました。タイやフィリピンなどですが、そちらの女性は年齢を気にせず、日本での生活を楽しみにしてくれるようなのです。 FP吹田:なるほど。日本は治安もよく、清潔だし、真面目で働き者だから日本人男性は人気があるというのは私も聞いたことがあります。今後、ご実家の事業も、仮に海外展開の可能性があれば、国際結婚がビジネスにも相乗効果をもたらすかもしれませんよね。 Kさん: はい、印刷業だって今までの延長ではダメで、日本以外のルートや新技術にも目を向けているので、ちょうどいいかとは思っています。先日も、現地のお見合いで何より新鮮で、新しいエネルギーに感動し、国際結婚で幸せになりたいと本気で思ったほどです(照れながら)。あとはお金の問題ですね。 FP吹田:なるほど、気持ちの面では不安はなく、前向きそのものですね。お金についてはどのようなことが気になるのですか? 不動産担保ローンと住宅ローンの違いって? Kさん: 国際結婚は、現地でのお見合いや渡航費用の他、国ごとの手続きなどから、式などの結婚費用まで入れて全体として500万~600万円程度はかかると言われています。そのうち一部は納付済みですが、日本で暮らす際の環境整備として、住まいの一部をリフォームすることも考えないといけないと思っています。 FP吹田:住まいのほうは、どなたの名義になりますか? Kさん: 実家の離れで、まだ父親の名義です。いずれ自分が相続する予定ではありますが。リフォームの予算もまだわからず、国際結婚の諸費用と合わせて余裕を持たせて捻出できればと思っているのですが、これだと住宅ローンやリフォームローンは無理でしょうか? FP吹田:そうですね。住宅ローンやリフォームローンは資金使途がどうしても限定されるので厳しくなりそうです。住宅ローン・リフォームローンのほか、資金使途の制限が少ない不動産担保ローンの3つを比較してみましたので、ご覧ください。 不動産担保ローンと住宅ローン・リフォームローンの違い 不動産担保ローン 住宅ローン リフォームローン 担保 不動産 選択できる場合が多い 資金使途 制限が少ない 自宅の購入・増改築に限る 住宅の増改築・改装と付随費用に限る 対象者 所有者本人のほか、家族でも可能 購入・所有者本人で安定収入など信用がある人 所有者本人や家族で、安定収入など信用がある人 住宅ローン控除 なし※ あり なし ※購入を伴う場合は住宅ローン控除の対象となります。 Kさん: 不動産担保ローンですか。資金使途の制限が少なく、担保とする不動産が父の名義の不動産でもよいということですね。 FP吹田:はい、ご家族の所有の不動産も有効活用できるローンです。住宅ローンはいわゆる不動産担保ローンの一部で、担保がご自身名義の自宅に限定されていると思っていただくとよいかと思います。 Kさん: わかりました。さすがに借入が何千万もいくほどではないと思うので、借入期間も住宅ローンのように長期ではなく、短めに考えられると思います。 FP吹田:あと住宅ローンとの大きな違いとしては、不動産担保ローンは、所得税や住民税が軽減される住宅ローン控除が適用できない点が挙げられます。 Kさん: それは問題ありませんよ。おそらく借入は1千万円弱で期間も10年くらいで返せる程度と思うので、影響もないかと。 FP吹田:ご自身で優先順位をしっかりとお考えなのはさすがです。考えてみると、結婚も人生で最大の投資ですものね。 Kさん: はい、まさにそう思います。自分の人生がパートナーとともにいろいろチャレンジできるものになるなら、そこにはしっかり初期投資をしてよいと思っています。 FP吹田:それを聞けて良かったです。住まいのリフォームなど具体的なプランについては、お父様ともご相談されて決められると思うので、今の想いや将来のビジョンをぜひご家族と共有されるとよいと思います。 Kさん: わかりました。資金準備の選択肢があるとわかって、ホッとしました。不動産を担保にする場合は、当然、父にも協力を仰ぐことになるので、しっかり話すことにします。 FP吹田:はい、不動産担保ローンは、ご自身が所有していない物件を親族等から担保に提供してもらう場合は物上保証人になって頂く必要がありますし、場合によっては連帯保証人を求められることがあるので、最終的には取り扱い担当者にも確認してくださいね。 Kさん: はい、父親に迷惑をかけるようなことはしたくないので、しっかりと家族に相談して、担当者にも問い合わせてみます。 まとめ 国際結婚に伴う費用や住まいのリフォームをまとめて資金調達したい場合 住宅ローンやリフォームローンの可能性は? ・資金使途が住宅購入や改築に関するものに限定されてしまうため一般的に厳しい。 不動産担保ローンの可能性は? ・資金使途の制限が少なく、可能性大。 ・担保にできる不動産は家族所有まで幅広い。 ・ただし、住宅ローン控除は適用されない(購入を伴う場合は住宅ローン控除の対象となります)。 ・仮に返済できなくなった場合、担保とした不動産を失うことになるので、担保提供者などの保証人を必要とする場合があることに注意。 執筆者紹介 吹田 朝子( Tomoko Suita ) 人とお金の理想的な関係を追求するお金のメンタリスト®・1級ファイナンシャルプランニング技能士・宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・キャリアコンサルタント (社)円流塾代表理事、ぜにわらい協会会長、STコンサルティング(有)代表取締役社長 一橋大学卒業後、金融機関の主計部を経て1994年より独立。中小企業経営者から個人まで相談実績は3,300件以上。自己実現のためのお金の使い方や増やし方のサポートに力を入れている。 <主な著書> 「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」スタンダーズ社・「小学生でもわかる!お金にまつわるそもそも事典」C&R研究所・「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」C&R研究所 など 次に読むべき記事 不動産担保ローンと住宅ローンの違いとは 自宅を購入するとき、住宅ローンを利用する人が多いでしょう。しかし、外国人や自営業の人など、民間の金融機関の住宅ローンを申し込んだものの、審査に落ちた人もいるかもしれません。そのような時に、不... 次に読むべき記事 社会人の留学費用調達に教育ローンと不動産担保ローンを比較 大学を卒業して社会人になった後で、もう一度学ぶために留学を考える人もいるかもしれません。教育資金を捻出するために、学生であれば、日本政策金融公庫の国の教育ローンや奨学金を候補にすることもでき...
「保証人」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。一方で、保証人が「どのような責任を負うことになるか」理解をしている人は少ないかもしれません。また、一口に「保証人」と言っても、「物上保証人」「連帯保証人」では、責任範囲が異なることをご存知でしょうか。 この記事では、ローンなどの債務における「保証人」や「物上保証人と連帯保証人の違い」について解説します。 そもそも保証人とは 保証人とは、債務者が債務不履行となったときに、その履行の責任を負う人です。融資とその返済を例に挙げると、債務者が返済できなくなった時に、債務者に代わって返済義務を負う人のことを言います。 ところで、何故保証人を立てる必要があるのでしょうか?例えば、金融機関から担保融資を受ける際、債務者本人が担保を提供して、その評価の範囲内でお金を借りることが一般的です。 しかし、返済ができなくなった時に、担保の価値が減少していたら、金融機関は融資金を回収できなくなります。これは金融機関にとっての大きなリスクです。 このようなリスクを避けるために、保証人を立てることで、追加で担保を提供することや、債務を保証人が引き受けることができます。そのため、担保融資では、担保提供と共に保証人が必要になります。 一方で、充分な担保が提供されている場合や、保証協会の保証付き融資などは、保証人が免除されることもあります。 出典)内閣府「保証人とは(法的整理)」 関連記事はこちら住宅ローンの保証会社とは?役割や種類、利用時の注意点を解説 物上保証人とは 物上保証人とは、自分の財産を他人の債務の担保に提供する人のことです。一般的には担保提供者と呼ばれます。あくまで「担保の提供」であり、債務を負担するわけではないため、物上保証人の負担割合は、自身が提供した担保以上の返済義務を負いません。 担保融資を受ける際、債務者に担保として提供する物がない場合は、家族や親戚などが物上保証人になる方法もあります。その際は、物上保証人となることに同意し、本人の所有物である担保を提供することが必要です。 物上保証人になると、債務者が返済できなくなった際には抵当権が実行され、自分が提供した担保の範囲内で物的有限責任を負うという特徴があります。 たとえば、債務者のAさんが3,000万円の借り入れを金融機関から行い、物上保証人のBさんが2,000万円の担保を提供したとします。債務者のAさんが返済できなくなり、債務不履行となった場合、金融機関は抵当権を実行して、物上保証人のBさんの担保から債権回収を行います。 この場合、1,000万円の債務が残りますが、物上保証人のBさんは、残った債務まで返済する義務はありません。 連帯保証人とは 連帯保証人は、「催告の抗弁」「検索の抗弁」「分別の利益」という、通常「保証人」が持つ権利が認められない保証人のことです。順に説明します。 「催告の抗弁」とは、保証人が債権者から債務の履行を請求されたときに、まずは債務者に請求するよう求めることを指します。「検索の抗弁」とは、保証人が債権者に対し、債務者が弁済可能な資産などを所有しているときに、保証債務の履行を拒否できることを指します。 「分別の利益」とは、保証人が複数存在する場合、その頭数で割った金額についてのみ支払義務が生じることです。 これらのことから、連帯保証人の責任範囲は債務者と同等となります。つまり、「連帯保証人」は、本来債務者が負担すべき債務についても、履行せざるを得なくなる恐れがあり、通常の「保証人」よりも重い責任が課されます。 住宅ローンを組む際は保証人が不要 通常、単独で住宅ローンを組む際は購入する家が担保となり、抵当権が設定されるため保証人を立てる必要はありません。例外として、購入する不動産が共有名義の場合や土地の所有者と建物の所有者が異なる場合などは担保提供が必要となります。 例えば、親の所有する土地に子どもが家を建てる場合は、担保提供として金融機関から連帯保証人となることを求められます。住宅ローンの返済が滞った場合や万が一の場合に、金融機関は家だけの抵当権を設定しても担保としての意義がほとんどないからです。 親子間で担保提供が発生する場合は、将来親が亡くなった際に相続人とのトラブルに発展する場合があるため、家を建てる前に話し合うことが重要です。 夫婦で借りる住宅ローン 夫婦で借りる住宅ローンは、ペアローンやフラット35の収入合算を利用する方法があります。フラット35の収入合算には連帯保証型と連帯債務型があります。連帯保証型では夫婦のうち一人が借主となり住宅ローンの返済義務を負い、もう一人がその連帯保証人となって借主が住宅ローンを返済できなくなった際に代わりに返済義務を負います。 夫婦で住宅ローンを組む場合は、それぞれの商品の返済責任義務について確認しておくことが大切です。 物上保証人と連帯保証人の違い 債務者が債務不履行となった場合で考えてみましょう。物上保証人は自身が差し入れた担保の評価範囲内にのみ返済義務が生じます。一方で、連帯保証人は、債務者の債務が完済されるまで返済責任義務が生じます。 つまり、担保提供の有無にかかわらず、金融機関に返済を命じられたら、すべての債務の返済義務が生じます。そのため、物上保証人と比べると責任範囲が広く、リスクも大きくなることがわかります。 このような違いがあるので、保証人となる依頼を受けている場合は、保証内容の範囲やリスクを充分理解しておく必要があります。安易に連帯保証人となることを引き受けないことが大切です。 不動産担保ローンでは保証人が必要? 不動産担保ローンでは、債務者の所有不動産である場合、保証人が原則不要という会社も多いです。なぜなら、担保として提供する不動産の評価が高ければ、債務者自身が責任を負うことができるからです。仮に債務不履行となったとしても、担保として提供している不動産の売却により、融資金を回収できるので、保証人は必要ないのです。 ただし、債務者以外の第三者から担保提供を受ける場合は、保証人が不要とは限りません。この場合、担保の提供者が物上保証人もしくは連帯保証人のどちらかになることが一般的です。 物上保証人になるか、連帯保証人になるかは、金融機関がリスクをどのように考えるかによって分かれます。物上保証人の場合、返済の責任は担保の評価内となります。そのため、債務不履行になったとき、担保の評価が債務残高を下回っていれば、残債分を回収できなくなります。 一方で、連帯保証人の場合、担保の評価が債務残高を下回っていたとしても、その残債までも支払う義務が発生します。このように、債務者自身の与信が低いと判断される場合などに、連帯保証人となることを求められるかもしれません。 まとめ 担保融資では、債務者以外の第三者から担保提供してもらう場合、担保の提供者に物上保証人または連帯保証人になってもらうことが一般的です。物上保証人の責任範囲が担保の評価内なのに対して、連帯保証人は債務が完済するまでが責任範囲となるので、連帯保証人のほうが物上保証人に比べると責任が重くなります。 保証人の違いを正しく理解し、契約後に後悔しないよう気をつけましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 不動産担保ローンとは、土地や建物などの不動産を担保として借り入れを行うローン商品のことです。不動産を担保にすることで、無担保ローンに比べてまとまった金額を低金利で借りることができます。 一方...
老後の資金作りや副業として、不動産投資を始める会社員が増えています。マンションやアパートといった投資物件は、安定した家賃収入を得られるのが魅力です。一方で、不動産投資に興味はあっても、投資経験がないと何から始めたらいいかわからないのではないでしょうか。 不動産投資は投資金額が高額なので、その資金を多額のローンで賄う場合は、大きな損失を抱えるリスクもあります。不動産投資に取り組むのであれば、しっかりと準備をしたうえで始めることが大切です。この記事では、不動産投資を始めるための事前準備と基礎知識の学び方について解説します。 不動産投資を始めるための事前準備 不動産投資を始める前に、事前準備として以下4つに取り組んでおきましょう。 不動産投資の基礎知識を習得する 実際に投資物件を購入する前に、まずは不動産投資の基礎知識を習得することが大切です。不動産投資で成功するには、安定して家賃収入を得られる物件に投資する必要があります。万が一、不動産会社に収益性の低い物件を勧められた場合に、知識がないと物件の良し悪しを判断できません。 しかし、経験がなくても知識があれば、投資すべき物件かどうかは判断できます。不動産投資は物件選びに失敗すると大きな損失を抱えるリスクがあるので、基礎知識の習得は必須です。基礎知識の学び方については、後ほど詳しく解説します。 投資資金を貯める 不動産投資は投資金額が高額なので、ある程度まとまったお金が必要になります。金融機関の融資を利用することもできますが、仮に物件価格の全額を融資で賄う(フルローン)場合であっても、諸費用は用意しなくてはなりません。 物件価格が比較的安いワンルームマンションでも、都内の物件なら諸費用だけで100万円程度かかることもあります。多額の借金はリスクが高くなるので、融資を利用する場合でも、諸費用や頭金を用意できるように投資資金を貯めておきましょう。 転職はしないで収入を増やす(安定した企業に勤務している場合) 不動産投資では、金融機関の融資を利用して物件を購入するのが一般的です。勤務先や年収、勤続年数などの属性によって、金融機関の審査結果は変わります。たとえば、東証プライム上場企業などの安定した企業に勤務している場合は、融資してもらえる可能性は高くなります。 しかし、転職して勤続年数が短いと、金融機関の評価が下がって審査に通らなくなるかもしれません。安定した企業に勤務している場合は、転職はしないで収入を増やすことに取り組みましょう。 収入を減らさずに安定した企業へ転職する 現在の勤務先によっては、収入を減らさずに安定した企業へ転職するほうが有利なケースもあります。たとえば、創業したばかりの企業や業績不振の企業に勤務していると、安定収入がないとみなされて、融資審査に通らない恐れがあります。 しかし、勤務先が安定した企業であれば、たとえ勤務年数が短くても、金融機関からの評価は高くなります。現在の勤務先では融資を受けるのが厳しいと思われる場合は、なるべく収入を減らさずに安定した企業への転職を検討しましょう。 不動産投資の基礎知識の学び方 ここでは、不動産投資の基礎知識を学ぶ方法を4つ紹介します。 不動産投資に関する本を読む 不動産投資の基礎知識を学ぶなら、まずは不動産投資に関する本を読むのがおすすめです。タイトルに「教科書」という言葉が入っている初心者向けの本や、個人投資家の成功体験が書かれたものなど、さまざまな内容の本が出版されています。また、ワンルームマンションやアパート一棟、戸建て、競売物件など、物件の種類で分類することもできます。 まずは、基礎知識が学べる初心者向けの本を1冊読んでみましょう。著者によって投資方法や考え方は異なるので、数冊読むとさらに理解が深まります。ただし、「~億円の資産を築いた方法」のようなタイトルの本は、多額の借金をして物件を購入していることが多いので注意が必要です。 不動産投資サイト・ブログを読む 不動産投資サイトやブログは基礎知識だけでなく、最新情報や投資家の体験談を無料で読めるのが魅力です。1記事あたりのボリュームは少ないので、空いた時間にパソコンやスマートフォンから気軽にチェックできます。ただし、個人ブログは本当に正しい情報なのか判断できないこともあるので、参考程度に読むのがいいでしょう。不動産投資サイトやブログは本と併せて読むことで、基礎知識を深めることができます。また、最近では、Youtubeで不動産投資の解説をする動画も増えているため、動画を活用するのもおすすめです。 セミナーに参加する 不動産投資の基礎知識を学ぶには、セミナーに参加する方法もあります。セミナーは講師が直接説明してくれるので、ひとりで学ぶのが苦手な方でも理解しやすいのがメリットです。また、不動産会社によっておすすめの物件や地域は異なるので、複数のセミナーに参加することで、自分に合った投資方法を見つけやすくなります。 セミナー終了後は、個別の無料相談会が行われ、非公開物件などを紹介されることもあります。ほとんどの不動産会社は強引な勧誘を行いませんが、物件購入を強く勧められる可能性もゼロではありません。主催会社やセミナーの評判について、事前に確認してから参加しましょう。 不動産投資を始めている人の話を聞く 友人や知人など、周囲に不動産投資を始めている人がいれば、直接話を聞くのもおすすめです。基本的に不動産会社は物件を購入してほしいので、不動産投資のメリットを強調して説明する可能性があります。 しかし、利害関係がない友人・知人であれば、本やセミナーではわからない不動産投資のデメリットや注意点なども教えてもらうことができます。無理に探す必要はありませんが、可能であれば、実際に不動産投資を始めている人の話を聞いてみましょう。 不動産投資10のリスクとその対策 不動産投資を成功させるには、物件を購入する前にリスクについて理解しておくことが大切です。ここでは、不動産投資における10のリスクと対策方法を紹介します。 空室リスク 不動産投資で最も避けたいのが空室リスクです。投資物件を購入しても、入居者がいなければ家賃収入を得ることはできません。空室リスクを下げるには、利回りだけで判断せず、地域や立地、周辺環境、築年数などを考慮して物件を選ぶことが大切です。たとえば、以下のような物件は、空室リスクが低い傾向にあります。 ・人口が多い首都圏にある ・最寄り駅から近い ・スーパーやコンビニなど生活に必要な施設が揃っている ・築年数が比較的新しい 家賃滞納リスク 入居者がいても、家賃を滞納されてしまうと家賃収入を得られません。仮に入居者が家賃滞納を繰り返しても、入居者の権利は法律で保護されているため、物件所有者の判断で退去させるのは難しいでしょう。 家賃滞納リスクを回避するには、賃貸契約の際に、入居者に保証会社を利用してもらうことが大切です。入居者が家賃を滞納しても、保証会社が家賃を立て替えてくれます。また、家賃滞納に強い管理会社を選んで物件管理を依頼すれば、家賃滞納が発生したときに、管理会社が対応してくれるので安心です。 災害(地震・火事・水害)リスク 不動産投資では、地震や火事、水害によって建物が損壊するリスクがあります。地震については、1981年以降に建てられた新耐震基準の物件を選ぶと安心です。新耐震基準は「震度6強以上の地震でも倒れない住宅」とされており、大きな地震が発生しても、建物倒壊を回避できる可能性が高くなります。 不動産投資では物件を売却することも考慮し、売却しやすい物件を選ぶことが大切です。 火事や水害については、ハザードマップで火事や水害のリスクが低い地域を確認しておくことで、災害に強い地域の物件を選ぶことができます。ハザードマップは物件の所在地である市役所や区役所などのHPから簡単に調べることができます。また、もしもの時に備えて、火災保険や地震保険にも必ず加入しておきましょう。 設備(クーラー、風呂)老朽化リスク 不動産投資には、物件の設備が老朽化するリスクもあります。クーラーや給湯器は約10年が交換の目安になり、ワンルームマンションの場合でそれぞれ10万円程度かかります。また、キッチンや風呂など水回りのトラブルで漏水が発生した場合は、下階の損害も補填しなくてはなりません。 入居者の過失の場合、復旧関連費用は全て入居者負担となり、入居者が加入する火災保険(家財保険)から支払われます。賃貸契約時には、入居者に必ず火災保険に加入してもらい、万が一のトラブルに備えましょう。 流動性リスク 不動産投資には、購入した投資物件が売れなくなってしまう流動性リスクがあります。築年数が古い物件や地方の空室リスクが高い物件などは、なかなか買い手が見つかりません。また、首都圏にある駅近のマンションであっても、1階の物件は売れにくい傾向にあります。マンションの1階は比較的日当たりが悪く、防犯やプライバシーの面から敬遠されることが多いからです。不動産投資では物件を売却することも考慮し、売却しやすい物件を選ぶことが大切です。 信用力低下リスク ローンを利用して不動産投資をしていると、住宅ローンを借りられなくなるリスクがあります。住宅ローンでは、ローンの返済原資は債務者の年収のみです。不動産投資では、空室や修繕によって債務者に自己負担が発生し、住宅ローンの返済に影響が出る恐れが加味され、金融機関は信用力(返済能力)が低下したとみなします。住宅ローンを利用してマイホームを購入する予定があるなら、不動産投資を始めるかどうか慎重に判断しましょう。 金利上昇リスク 不動産投資ローンを利用する場合は、金利上昇リスクがあります。変動金利の場合、金利が上昇すると金利負担が増えて、ローン返済が困難になる恐れがあります。現在は低金利の状況が続いていますが、いつ金利が上昇するかは予測できません。適用金利はやや高くなりますが、金利上昇リスクに備えるなら、固定金利でローンを組むことを検討しましょう。 税金リスク 不動産投資で得られる家賃収入は、所得税の計算上は不動産所得に該当します。不動産所得は総合課税の対象で、給与所得などと合算して所得税が計算されるため、人によっては高い税率がかかります。また、投資物件を売却するときには、売却益に対して税金がかかります。 投資物件の建物部分は、年数が経過すると減価償却によって帳簿価格が下がるので、思った以上に売却益が出て課税されることが多いです。また、物件購入後5年以内の短期売却の場合は、税率が高くなるので注意が必要です。 管理状況悪化リスク 投資先がマンションの場合、管理状況が悪化するリスクがあります。マンションでは、共有部分の清掃や設備点検、大規模修繕への備えとして、毎月管理費と修繕積立金を支払います。しかし、管理組合が機能していないと、修繕積立金の不足や管理費の延滞が発生する恐れがあります。また、入居者が外国人の場合、文化の違いやコミュニケーション不足が原因で、ゴミ出しや騒音、ペット飼育などのトラブルが発生することもあります。 投資物件としてマンションを購入するときは、重要事項説明書などで修繕積立金や管理費などの状況を確認しましょう。また、外国人の入居者に対しても、しっかりと対応できる管理会社に物件管理を依頼することも大切です。 家賃・物件価格下落リスク 不動産投資には、家賃・物件価格が下落するリスクもあります。新築物件の場合、家賃や物件価格にはいわゆる「新築プレミアム」が上乗せされます。最初の入居者に対しては家賃を高めに設定できますが、退去すると中古物件となり、家賃の下落率は高くなります。 また、新築物件は物件価格の下落率も大きく、購入から数年で2割程度下落することもあります。投資物件の家賃や物件価格は、築年数が経過するほど下落率が緩やかになるため、家賃・物件価格の下落リスクに備えるなら、新築よりも中古物件がおすすめです。 投資物件と不動産事業者の選び方 ここでは、不動産投資における投資物件と不動産事業者の選び方について解説します。 複数のセミナーに参加する まずは、複数の不動産投資セミナーに参加することから始めましょう。セミナーを主催する不動産事業者によって、おすすめの投資方法や物件の種類、考え方などは異なります。たとえば、中古ワンルームに強い事業者もいれば、アパートなどの一棟ものに強い事業者もいます。 また、経験・実績が豊富な会社から、設立されたばかりの新しい会社まで、さまざまな不動産事業者が存在します。複数のセミナーに参加して比較・検討すると、選択すべき投資方法が明確になり、自分にあった投資物件と不動産事業者を見つけやすくなります。 身の丈にあった不動産投資方法を選択する 複数のセミナーに参加して情報収集できたら、身の丈にあった不動産投資方法を選択しましょう。収入に対してあまりにも高額な借り入れをするような投資方法はリスクが高く、万が一失敗したときは大きな損失が発生します。しかし、身の丈にあった投資方法を選択すれば、たとえうまくいかなかったとしても、それほど大きな損失を抱えずに済みます。 たとえば、物件価格が比較的手頃な中古ワンルームであれば、不動産投資初心者でも取り組みやすいでしょう。ただし、資産が潤沢にある場合は、最初からアパートなどの一棟ものに投資するのも選択肢のひとつです。 複数の不動産事業者と関係を持つ 不動産投資方法が決まったら、複数の不動産事業者と関係を持ちましょう。担当者との面談では、以下のような点を確認することが大切です。 ・自分にあった投資方法や物件を提案してくれる ・メリットだけでなく、デメリットやリスクも詳しく説明してくれる ・こちらの話をしっかり聞いてくれる ・強引なセールスや勧誘がない セミナーと同じく、複数の不動産事業者を比較・検討します。面談で強引なセールス・勧誘があった場合、その事業者と取引するとトラブルに発展する恐れがあるので注意が必要です。また、少しでも違和感を覚える不動産事業者についても、関係を続けるのは避けたほうが無難です。 不動産事業者に物件を紹介してもらう 対応に問題がなく、信頼できそうな不動産事業者を見つけたら投資物件を紹介してもらいましょう。不動産事業者によって、取り扱っている物件の数や種類、地域などは異なります。また、不動産情報サイトには公開されていない「非公開物件」を多く取り扱っている事業者もいます。まずは、不動産事業者が紹介する物件の癖を見抜くことが大切です。紹介された物件は安定した収益を見込めるか、選んだ投資方法に合っているかを見極めましょう。 不動産事業者を選別する 物件を紹介してもらったら、担当者の対応や提案内容、物件の特徴などを比較・検討して、付き合う不動産事業者を選別していきます。担当者の対応や提案内容に問題がなくても、紹介された物件が選んだ投資方法と合っていない場合は、無理に付き合う必要はありません。不動産投資を成功させるために、自分が選んだ投資方法にあった物件を紹介してくれる不動産事業者を選びましょう。 ただし、収益性が高い物件は数が少なく、事業者によっては物件を紹介してもらえるまで時間がかかることもあります。投資方法にあった物件を取り扱っている不動産事業者については、優良物件が出てくるまでじっくり待つことも大切です。 実際の物件を見に行く、周辺の物件を見極める 不動産事業者の選別が終わったら、紹介してもらった物件を見に行ってみましょう。現地では最寄り駅からの距離や物件設備、周辺環境などが、担当者の説明と違っていないか確認します。現地に行って初めてわかる情報も多いので、物件情報だけで投資判断せず、必ず実際の物件を確認しましょう。 また、紹介された物件だけではなく、周辺の物件を見極めることも大切です。周辺にどのような物件があるか、賃料の相場、空室があるかどうかなど、可能な範囲で周辺の物件情報についても確認しておきましょう。紹介された物件と周囲の物件を比較することで、より投資判断をしやすくなります。 投資物件を購入するまでの流れとポイント 不動産事業者からの説明を鵜呑みにするのではなく、紹介された物件を自分で比較・分析したうえで購入判断することが大切です。ここでは、物件の比較表の作成や不動産投資ローンの比較、返済シミュレーションの作成について解説します。 紹介された物件の比較表を作成する まずは、不動産事業者から紹介された物件の比較表を作成しましょう。希望をすべて満たすような優良物件は、それほど多くありません。物件の比較表を作成することで、各物件の良し悪しがはっきり見えてくるのはもちろん、どのような項目を重視して物件を選ぶべきかが見えてきます。比較表で確認すべき主な項目は以下のとおりです。 ・物件価格 ・築年数 ・家賃(空室の場合は想定家賃) ・管理費・修繕積立金(マンションの場合) ・表面利回り ・実質利回り ・間取り・広さ ・賃貸状況(入居中または空室) ・最寄り駅・地域 ・最寄り駅からの距離 ・周辺環境 ・修繕状況(マンションの場合は修繕積立金残高も確認) ・管理会社 収益性の高い物件を選ぼうとすると、利回りだけに注目してしまいがちですが、他の項目も重要です。たとえ利回りが高くても、築年数があまりに古いと空室リスクが高くなるほか、いざというときに買い手がつかない恐れもあります。一方で、築年数が新しいと物件価格が高くなって利回りは低下します。 不動産投資で大切なのは、自分に合った物件を見つけることです。初めての投資であることや投資金額を踏まえて、身の丈に合った物件を選ぶことが大切です。安心して長期保有できるように、物件の修繕状況や管理会社等についてもしっかり確認しておきましょう。 不動産投資ローンを使う場合はローンを比較する 不動産投資ローンを使う場合は、ローンを比較するのも大切なポイントです。金融機関によって融資金額や適用金利、返済期間などの融資条件は異なります。金利や返済期間によって月々の返済額や総返済額は大きく変わるので、ローン選びは不動産投資の収支に大きな影響を与えます。複数の金融機関を比較・分析して、融資条件の良いローンを利用しましょう。 返済シミュレーションを作成する 利用する不動産投資ローンが決まったら、返済シミュレーションを作成します。不動産投資を成功させるには、家賃収入の範囲でローン返済を行い、なるべく自己資金の持ち出しが発生しないようにすることが大切です。通常は定期的に退去が発生するので、満室を前提にせず、退去に伴う費用や入居者募集にかかる費用、修繕費、税金などを考慮しても問題なく返済できるかを見極めましょう。空室率を変更したり、繰り上げ返済の金額を調整したりして、複数の返済シミュレーションを作成すると投資判断しやすくなります。 勝てる条件が整ったら思い切って決断する 物件や不動産投資ローンの比較、返済シミュレーションを行い、勝てる条件が整ったら思い切って物件購入を決断しましょう。不動産投資は、株式や投資信託などの金融商品と比べると投資金額が高額なので、たとえ好条件の物件が見つかったとしても、なかなか一歩を踏み出せないかもしれません。 「やっぱり難しい」と思うなら、無理に不動産投資を始める必要はないでしょう。しかし、不動産投資に取り組んでみたい気持ちがあり、時間をかけて投資物件を探して勝てる条件が整ったのであれば、思い切って決断してみてはいかがでしょうか。 投資物件が見つからない場合の対処法 物件探しに取り組んでも、投資したいと思える物件がなかなか見つからないこともあります。ここでは、投資物件が見つからない場合の対処法を2つ紹介します。 不景気になるまで待つ 投資物件が見つからない場合の対処法1つ目は、不景気になるまで待つことです。一般的に景気がよいときは、不動産価格が上昇して利回りが低下するため、収益性の高い物件は少なくなります。景気は一定の周期で後退と回復を繰り返しているので、好景気の後は不景気になって不動産価格は下落します。焦って投資を始めても成功する確率が低くなるので、投資物件が見つからないときは、投資資金を貯めながら不景気になるまで待ちましょう。 最低半年程度は物件を見続ける 投資物件が見つからない場合の対処法2つ目は、不動産への目利きをつけるために、最低半年程度は物件を見続けることです。不動産事業者から紹介される物件だけでなく、インターネットに掲載されている物件情報もチェックし、気になる物件があれば直接見に行ってみましょう。物件情報を見るときは、自分で作成した比較表を有効活用するのがおすすめです。気になる物件が見つかったときは、比較表に追記してより多くの物件を比較・分析することで収益性の高い物件を見つけやすくなります。 まとめ 不動産投資で物件を購入するときは、紹介された物件の比較表を作成して投資すべき物件かどうかを見極めましょう。不動産投資ローンを比較し、返済シミュレーションも作成したうえで勝てる条件が整ったら、思い切って決断することが大切です。ただし、投資したい物件が見つからない場合は、焦って物件を購入しても成功する確率は低くなるので、「不景気になるまで待つ」「最低半年程度は物件を見続ける」といった方法で対処しましょう。 無料相談してみる 不動産担保ローンの疑問にお答えします。 無料相談をしてみる 不動産担保ローンの疑問にお答えします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産投資ローンの審査はココをみる(1) 賃貸アパートやマンション等の収益物件を担保とした貸出しは、金融機関の不動産関連融資の中では主力商品のひとつです。2013年から始まったアベノミクスによって、国内の金融市場は超低金利状態に突入...
大学を卒業して社会人になった後で、もう一度学ぶために留学を考える人もいるかもしれません。教育資金を捻出するために、学生であれば、日本政策金融公庫の国の教育ローンや奨学金を候補にすることもできますが、一度社会人になったあとでは資金調達に悩む声をよく聞きます。 この記事では、転職を繰り返してやっと自分の道を見つけ、フランス料理のシェフを目指してフランスで学びたいと願っている29歳のSさんの事例をご紹介します。 [ご相談者Sさん] 29歳男性 転職を繰り返し、今は国内のレストランでアルバイト中。独身。 様々な職に就いたものの、料理の道に進むことに決めた。 現在は見習いだが、フランスへ留学して本格的にフランス料理を学びたい。 (1)社会人でアルバイトに対する教育ローンは狭き門 Sさん:この歳になって、やっと自分の進む道が決まり、フランス料理を習得するためにフランスに留学したいと思っています。ただ、調べてみたら授業料などで370万円かかることが分かりました。貯蓄では到底足りないので、どうしようかと思っています。また、まずは事前に語学学校にも行きたいとも思っています。 FP吹田:なるほど。今はアルバイト中とのことですが、雇用保険に加入されていますか?まず、語学学校の費用については、厚生労働省の指定教育機関なら、雇用保険の教育訓練給付制度を利用すれば、条件によって20%または50%程度の援助を受けられるかもしれません。 Sさん:教育訓練給付制度はアルバイトでも可能なんですか?今のレストランは1年くらい働いているので、まずは聞いてみようと思います。 FP吹田:仮にパートやアルバイトでも、31日以上の雇用見込みがあり、週20時間以上働いている人は対象になりますし、さかのぼって一定期間以上、雇用保険料を払っていれば、給付の要件を満たすことになるので、まずは確認してみてください。 Sさん:わかりました。フランスの留学費用は、この教育訓練給付は該当しないのでしょうか?あとは、教育ローンについても教えてほしいです。 FP吹田:ざっと調べたところ、教育訓練給付制度は日本国内の制度ですし、厚生労働省が指定した国内の教育施設や資格制度が対象のようです。また、教育ローンの多くは、親が子供の高校や大学、専門学校などの学費のために用意した融資で、社会人にとっては使いにくいようです。 Sさん:やはり狭き門ですね。自分でもちょっと調べて、挫折しました。他に何か良さそうな手だてはないでしょうか? (2)不動産担保ローンと教育ローンを比較すると? FP吹田:そうですね。ご両親やお祖父様、お祖母様はSさんを応援してくださっているのでしょうか? Sさん:はい、実は一人っ子で、両親は共働きだったので、同じ敷地にいるおばあちゃんに育てられました。おばあちゃんにとって孫は自分だけなんですよね。よく料理の話もしているので応援してくれると思います。 FP吹田:近くにいらっしゃって、大切なお孫さんとして応援してくださる関係性は素敵ですね。ところでお祖父様は不動産を所有してらっしゃいませんか? Sさん:おじいちゃんは所有していませんが、おばあちゃんが不動産を所有していると聞いています。 FP吹田:なるほど。もし、お祖母様がSさんを応援してくださる気持ちで、お祖母様所有の不動産を担保にローンを組むことに協力してくださるなら、フランス留学の資金も捻出できるかもしれません。不動産担保ローンは、親族の不動産も担保にできる金融機関もあるので、お祖母様の不動産を担保に、Sさんが契約してSさんが返済するというプランも可能かもしれません。 Sさん:なるほど。それなら、自分もおばあちゃんのためにも頑張れそうです。 FP吹田:しっかり夢を実現するモチベーションにもなりますよね。ここで、不動産担保ローンと教育ローンを比較してみたので、以下をご参考ください。 不動産担保ローンと教育ローンの主な特徴 不動産担保ローン 教育ローン 資金使途の制限少ないあり 債務者所有者本人のほか、家族でも可能留学する本人または保護者で安定収入がある人。本人が社会人の場合、無職だと厳しい。 借入限度物件の担保価値による500万円や1000万円など規程あり 借入(返済)期間短期(1年超)から長期(35年)まで様々3ヵ月から、最長15年・16年が多い 保証人原則不要(担保提供者など保証人を必要とする場合もある)原則不要(収入が少ない場合は、保証人が必要となる) Sさん:なるほど…。教育ローンに比べて、不動産担保ローンは、資金使途も広いのですね。あとは、教育ローンが、社会人で安定収入がないと厳しいというのは、自分の場合やっぱり厳しいなぁと思います。ところで不動産担保ローンを借りる場合、保証人は必要なのでしょうか? FP吹田:保証人が必要かどうかは金融機関によって異なります。しかし、Sさんのケースのように、ご家族の不動産を担保にする場合は、担保を提供される方に保証人を求めることが一般的なので、詳しくは金融機関に確認する必要があります。 Sさん:わかりました。あと、不動産担保ローンの場合、借入上限はだいたいどのくらいなのでしょうか? FP吹田:こちらも金融機関によって異なりますが、一般的に担保評価額の6~8割程度と言われています。その範囲内で、まずはSさんがフランスで必要になる金額を無理なく返済できる期間で設計してもらうのがよいのではないでしょうか? Sさん:はい、明るい光が見えてきました。まずは、今回の件をおばあちゃんや家族に相談してみようと思います。 FP吹田:そうですね。Sさんが大切な一人孫さんで、お祖母様とも仲良くしていらっしゃるのは、大切な財産ですね。 Sさん:やっぱり家族って有難いなぁと思います。両親・おばあちゃんにも感謝しながら、夢をあきらめずにチャレンジしようと思います。 まとめ 留学などでお金がかかる場合の資金調達として、教育ローンの主な特徴・注意点は? 基本的に親が子のためにローンを組む仕組み。但し、本人自身がローンを組むことも可能。 資金使途や借入限度、期間も金融機関の規定しだい。 債務者の収入が少ない場合、保証人が必要となるケースもある。 不動産担保ローンの主な特徴・注意点は? 担保にできる不動産は家族所有まで幅広く、本人が借りて返済するプランが可能。 借入限度額は、担保物件の評価額の8~7割程度まで可能で、資金使途も制約が少ない。 返済期間も長期の設計が可能。 もし、返済できなくなった場合、担保とした不動産を失うことになるので、担保提供者などの保証人を必要とする場合がある。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 吹田 朝子( Tomoko Suita ) 人とお金の理想的な関係を追求するお金のメンタリスト®・1級ファイナンシャルプランニング技能士・宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・キャリアコンサルタント (社)円流塾代表理事、ぜにわらい協会会長、STコンサルティング(有)代表取締役社長 一橋大学卒業後、金融機関の主計部を経て1994年より独立。中小企業経営者から個人まで相談実績は3,300件以上。自己実現のためのお金の使い方や増やし方のサポートに力を入れている。 <主な著書> 「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」スタンダーズ社・「小学生でもわかる!お金にまつわるそもそも事典」C&R研究所・「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」C&R研究所 など 次に読むべき記事 不動産担保ローンとカードローンの違いとは 不動産担保ローンとカードローンは、資金が必要な際に利用できるローンという点では同じですが、特徴やメリット、デメリットは異なります。それぞれの違いを理解し、不動産担保ローンとカードローンを適切...
「買取再販ローン」という言葉を聞いたことはないでしょうか。買取再販ローンは不動産担保ローンのひとつで、利用者が特定の不動産事業者に限定されているのが特徴です。特定の要件を満たす不動産事業者であれば、通常の不動産担保ローンより買取再販ローンを利用するほうが、より有利な条件で融資を受けられる可能性があります。この記事では、買取再販ローンの仕組みやメリット・デメリットについて解説します。 買取再販ローンとは 買取再販ローンとは、住宅買取再販(中古住宅を買い取ってリフォーム後に再販)を行う不動産事業者(買取再販事業者)向けの不動産担保ローンです。不動産事業者が中古住宅を買い取る際に、その住宅を担保にすることで、住宅の買取資金とリフォーム資金の一括融資が受けられます。買取再販ローンを利用することで、中古住宅の仕入資金やリフォーム工事費用などをまとめて資金調達できます。 買取再販ローンの仕組み 住宅買取再販の一般的な流れは以下のとおりです。 1. 買取再販事業者は中古住宅を買い取る 2. 金融機関は買取再販事業者に住宅取得資金とリフォーム資金を融資 3. 金融機関は住宅金融支援機構と住宅融資保険契約を締結 4. 買取再販事業者は買い取った中古住宅をリフォームして売却(ローン返済) ※1~3は同時進行 住宅ローンの「フラット35」を提供している住宅金融支援機構では、中古住宅の流通およびリフォーム市場の活性化に取り組んでいます。その取り組みの一環として、平成28年度から買取再販事業者向けのローンを、住宅融資保険の付保対象に追加しました。 住宅融資保険とは、民間金融機関のローンについて、ローン利用者から返済が予定どおり行われず、債務不履行となった場合に、住宅金融支援機構が民間金融機関の損害を補填する保険のことです。買取再販ローンが住宅融資保険の対象になったことで、民間金融機関は買取再販を行う不動産事業者に対して融資しやすくなりました。買取再販ローンを利用すれば、不動産事業者は、買取再販に必要な資金をまとめて調達することが可能です。また、買取再販事業者が中古住宅をリフォームして売却する際に、住宅購入者がフラット35を利用する場合は、住宅の性能が一定の要件に該当する場合は金利引き下げが適用されます。 買取再販ローンのメリット 買取再販ローンのメリットは以下2つです。 ● 魅力的な金利で融資を受けられる ● 買取再販に必要な資金が一括融資される 買取再販ローンは、魅力的な金利で融資を受けられます。金融機関によって適用金利は異なりますが、年率2%前後の金利が適用されることが多いです。一般的な不動産担保ローンに比べて低金利で資金調達できるので、返済時の金利負担を軽減できます。 また、買取再販ローンでは、買取再販に必要な資金が一括融資されるのもメリットのひとつです。買取再販ローンを利用すれば、中古住宅の仕入資金やリフォーム工事費用などをまとめて調達できます。事務取扱手数料などは準備しなくてはなりませんが、必要資金のほとんどを融資でまかなうことができます。 買取再販ローンのデメリット 買取再販ローンは金利が比較的低く、必要資金が一括融資される一方で、以下のようなデメリットもあります。 ● 融資実行までに時間がかかる ● 利用者が特定の不動産事業者に限定される 買取再販ローンは、融資実行までに時間がかかります。買取再販ローンでは金融機関の審査に加えて、住宅金融支援機構の審査も追加されます。必要書類をすべて準備してから最短でも10営業日程度はかかるので、スケジュールに余裕をもって手続きをすることが大切です。 買取再販ローンは、利用者が特定の不動産事業者に限定されるのもデメリットです。買取再販ローンの対象になるには、「住宅関連事業の業歴が法人で1年以上」「宅地建物取引業免許の所有」といった条件を満たさなくてはなりません。また、融資金額や担保物件の要件についても、通常の不動産担保ローンに比べて細かく設定されています。たとえば、融資金額については、1事業者あたりの上限額が設定されており、他の金融機関で住宅融資保険付の借入残高がある場合は、その残高も合わせて融資金額が設定されます。また、担保物件については「リフォームが必要な中古住宅」「リフォーム工事後において新耐震基準を満たす」「住宅融資保険の付保承認が必要」といった要件があります。これらの条件・要件を満たさないと、買取再販ローンは利用できません。 まとめ 買取再販ローンは、融資実行まで時間がかかるデメリットがあります。また、利用者が特定の不動産事業者に限定されるので、特定の要件を満たさなければローンを利用することはできません。しかし、これらのデメリットを考慮しても、低金利で中古住宅の仕入資金やリフォーム工事費用をまとめて調達できるのは大きな魅力です。不動産事業を営んでいて、買取再販ローンの要件をクリアできる可能性があるなら、まずは金融機関に相談してみてはいかがでしょうか。 仮審査( 不動産事業者専用 ) ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 仮審査(不動産事業者用) ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 物件の仕入れは資金確保とネットワークが重要?! ーー不動産事業者インタビューvol.1(1) ひとくちに不動産業といっても、さまざまな事業分野があります。その中でも、不動産の物件の仕入れというのは、もっとも基本的かつ重要な業務といえるでしょう。どうすれば優良な物件を入手することができ...
自分だけでなく、家族がやりたいことを実現するために、急にまとまった資金が必要になることはよくあることでしょう。そんな時、先に住宅ローンの完済などへ充当してしまって手持ち資金が少なく、悩む方も多くみかけます。 この記事では、退職金で住宅ローンを完済した後に、家族を応援するために資金を捻出したいという66歳のFさんの相談事例をご紹介します。 [ご相談者 Fさん] 66歳男性 退職後アルバイト。配偶者を亡くし、一人娘(独身)が近所に住む。 自宅はマンション。昨年、退職金で住宅ローンを完済したので、手元の預貯金が少ない。 娘が知人のカフェを引き継ぎ、室内を一部リニューアルしたいと資金の相談を持ちかけてきた。5~6年後には返してくれるようだが、今、資金の余裕がなくどうしたらいいか? (1)自宅に住むのは変わらずお金を生み出す更なる方法 >不動産担保ローンの概要についてはこちら >リースバックの概要についてはこちら Fさん: 昨年、退職金で住宅ローンを完済したので、手元の預貯金はかなり減ってしまいました。それでも、アルバイトをしながら、自分の老後のことは何とかできるようにと思ってがんばっています。 FP吹田:住宅ローンを完済されたのですね。アルバイトなどお仕事をされて収入を得続けられることは、経済面だけでなく、人との関わりや生きがいなどにもつながっていく大切なことだと思います。 Fさん: はい、家にじっとしているよりは、よほど充実しています。実は、一人娘がいるのですが、知人から譲り受けたカフェのリニューアル資金を貸してもらえないかと相談を持ちかけられました。5年前に亡くなった妻とともに可愛いがってきた娘なので、なんとか援助したいのですが、手元の資金は少なく、悩んでいます。 FP吹田:なるほど。お嬢様からはどのくらいの資金で、返済についても何かおっしゃっていましたか? Fさん: はい、500万円~600万円くらいの予算らしく、毎年100万円くらいずつ返すと言われています。実は、娘は証券会社に勤めていた経験もあるので、お金の管理はちゃんとできる方だと思います。 FP吹田:しっかりしているお嬢様ですね。金融機関にお勤めでしたら、銀行からの借入は、審査が厳しく、無担保だと金利が高いのもご存じなのでしょうね。Fさんは、援助して応援したいと思っていらっしゃるのですよね。 Fさん: はい、そうです。今、担保とおっしゃいましたが、せっかく住宅ローンを完済したのだし、自宅を担保にしても住み続けながらお金を捻出する方法ってあるのでしょうか? FP吹田:はい、いくつかあります。実は、先日、不動産を担保に年金形式で分割借入をしていくリバースモーゲージに関するご相談もあったのですが(詳細はこちらの記事参照「不動産担保ローンとリバースモーゲージ、違いを知って賢く使い分けよう!」)Fさんはまとまった資金なので、他の方法がいいでしょう。ご自宅に住み続けながら、ご自宅を活用して資金を生みだす方法として、不動産担保ローンとリースバックという方法があります。 (2)不動産担保ローンとリースバックの違いは? Fさん: 不動産担保ローンはイメージがわきますが、リースバックって何ですか? FP吹田:リースバックというのは、不動産の売却と賃貸の組み合わせで、不動産業者に自宅などの不動産を売却するのですが、そのまま賃貸するというものです。一方、イメージしやすいとおっしゃった不動産担保ローンは、不動産を担保にまとまったお金を借りることです。両方とも特に引越しなども不要で住み続けられるという点は似ていますね。 Fさん: では、違うのはどんなことでしょうか? FP吹田:決定的に違うのは、所有権です。不動産担保ローンは、抵当権を設定はしますが、所有権は自分や家族など現状と変わりません、一方、リースバックは、売却をするので、所有権は一旦買い取った不動産業者に移ります。その不動産業者と、そのまま賃貸契約をするわけです。 Fさん: 引越しなどはしなくても、権利が変わっているんですね。所有権にこだわるかどうかが一つ目の鍵ですね。 FP吹田:所有権を手放すということは、精神的に寂しく感じる方もいらっしゃいますが、維持費の負担、例えば固定資産税の納税義務や地震や災害での修復などの重荷から解放されるとも言えます。 Fさん: 確かにそうですね。他に、返済などの今後については、どのような違いが出ますでしょうか? FP吹田:リースバックは、家賃を支払い、将来、資金ができたら買い戻すこともできます。一方、不動産担保ローンは、借入期間中は借入元本と利息の返済をしていきます。 Fさん: なるほど。今の自分だとリースバックで家賃を払ったり、将来買い戻したりするのは資金的に難しそうです。でも、ローンだと、昨年終わったはずが、また始まるわけですね。 FP吹田:とはいえ、不動産担保ローンの実際の負担は、予算では500万円~600万円という借入金額ですし、何年間借りるかという返済期間によって全然変わってきますよ。それに、不動産担保ローンはFさんのお嬢様が借りる形にする方法もありますよ。 (3)利用者の生活スタイルや性格・志向によって使い分けできる Fさん:え?私がローンを組まなくても、娘の名前で不動産担保ローンを契約できるのですか!それなら、娘が借入希望額や返済期間を決められるので、スッキリするような気がします。たぶん私への負い目を感じることも少なくてすむでしょうし。 FP吹田:そうですね。以下に比較一覧を作成しましたが、基本的にローンが嫌いな方、所有権が変わっても平気な方、物件も共有名義などでなく自分で決められるという方は、リースバックを好まれる傾向が強いようです。 Fさん: なるほど。所有権の変更で、ふと思い出したのですが、うちは小規模なマンションなので、管理組合の理事がよく回ってきます。来年くらいに順番だからお願いねと打診があったのを思い出しました。これは所有権の有無によって、理事を受けれるかどうか影響も出てきますよね。みんなからあれ?って思われてしまいそうで、ちょっと心配です。 FP吹田:マンション内でコミュニティができていて、皆さんよくお話しされる関係なのですね。理事の人事を巡って詮索されたくない場合は、所有権が変わらない状態で、担保評価の範囲内で借入をして返済をしていく不動産担保ローンのほうが、使いやすいかもしれませんね。お嬢様なら、返済計画もしっかり考えていそうでしょうし、お話しされてはいかがでしょうか? Fさん: わかりました。話してみます。それぞれの仕組みや特徴の違いがわかったので、私も娘も納得できると思います。 不動産担保ローンとリースバックの主な特徴 不動産担保ローンリースバック 仕組み不動産を担保にした借入れ不動産の売却と賃貸の組み合わせ 所有権の変更なしあり 月々の負担額借入元本返済と利息家賃 取引後返済できれば、不動産はそのまま。返済できない場合は、担保不動産を売却。そのまま賃貸として住み続けられる。後で買い戻すことも可能。 資金使途の制限少ないなし 契約当事者所有者本人のほか、家族でも可能。所有&居住者(共有していれば名義人全員) まとめ 住み続けながら資金を捻出する方法として、 不動産担保ローンが向いているタイプは? ・返済計画がしっかりできている方 ・所有権が変わるのが気になる方(近所付き合いやマンション管理組合の理事など) ・本人や家族が不動産を持ち、ローンへの抵抗が少ない方 リースバックが向いているタイプは? ・借金が嫌いな方 ・所有権を手放しても平気な方(固定資産税や維持費など負担が軽くていいなど) ・不動産が共有名義でなく、自分で意思決定しやすい方 不動産担保ローンならSBIエステートファイナンス リースバックならSBIスマイル リースバックの商品詳細はこちら さっそく仮査定を申し込む SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定は無料で受け付けています。※SBIスマイルのHPに遷移します。 さっそく仮査定を申し込む SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定は無料で受け付けています。 ※SBIスマイルのHPに遷移します。 執筆者紹介 吹田 朝子( Tomoko Suita ) 人とお金の理想的な関係を追求するお金のメンタリスト®・1級ファイナンシャルプランニング技能士・宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・キャリアコンサルタント (社)円流塾代表理事、ぜにわらい協会会長、STコンサルティング(有)代表取締役社長 一橋大学卒業後、金融機関の主計部を経て1994年より独立。中小企業経営者から個人まで相談実績は3,300件以上。自己実現のためのお金の使い方や増やし方のサポートに力を入れている。 <主な著書> 「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」スタンダーズ社・「小学生でもわかる!お金にまつわるそもそも事典」C&R研究所・「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」C&R研究所 など 次に読むべき記事 リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 リースバックとは「セール・リースバック」や「セール・アンド・リースバック」とも称される取引手法で、所有している資産を第三者に売却し、リース契約を締結することで、それまでと同じ資産を利用し続け... 次に読むべき記事 リースバックと不動産担保ローンの違いとは リースバックと不動産担保ローンは、不動産を活用して資金調達するところは同じですが、特徴や仕組みには違いがあります。両者の違いを理解しておくことで、ご自身のライフスタイルや考え方に合わせて最適...
不動産価値に関する調査を実施 東京近郊の30年後に価値が下がらない物件は? ~ 不動産価値に関してアンケート調査を実施 ~ 2020年を境に不動産価値が下がるという話題を耳にすることが多くなりました。実際に、2020年以降は、都市圏での人口の減少、地方の過疎化など、多くの懸念点が指摘されています。 しかし、30年後を見据えて、どのエリアのどういった物件の価値が下がらないのかは見当もつかないはずです。 そこで、今回は、不動産のプロ104人に、30年後に価値が上がる物件やエリア、30年後に価値が下がる物件やエリア、また、最近人気のタワーマンションの価値に関してアンケート調査を実施しました。 第2弾として30年後に価値が下がらない物件について焦点を当てたアンケート結果を紹介します。 【回答者】不動産会社に勤務する代表者、物件仕入れ担当者、営業担当者 104名 【回答期間】2019年9月24日~2019年10月8日 【回答者の不動産業務経験年数】 3年未満 6.7% 5年未満 3.8% 10年未満 17.3% 20年未満 26.0% 30年未満 26.0% 30年以上 20.2% ※すべての回答ではなく回答が有効なものとなります。 不動産価値が落ちにくい物件種別 設問:築年数や広さが同等の場合、下記の物件種別の中ではどの物件の価値が落ちにくいと考えますか? 不動産査定のプロたちが選んだのは、1位が「一戸建て:33.7%」、2位が「タワーマンション:22.1%」、僅差で3位が「大規模マンション:21.2%」となりました。 戸建ての価値が下がらない理由を見てみると下記のコメントがありました。 □ 土地の価値が下がりにくいと考えるため。 □ 基本的には、土地の相場で判断しているため、あまり建物の築年数は関係ない。弊社の考えは建物に付加価値をみていないので、築20年も築30年も建物の価値は評価していない。 □ 近年の物件価格の推移をみる限り、マンション価格は長く上昇傾向にあるが、戸建て価格は一定の水準をキープしている。相場のピークアウトが見られる現在、先に価格が下落するのは、相場の上がっているマンション系が先と考えている。 □ 土地の価格は下がっていないため。相対的にマンションはタワマンにみられる外国人投資家の過剰投資の反動での冷え込みにより、マンション全体が引っ張られる形で調整される状況にある。 □ 建物そのものの価値が経過年数とともに評価0になるため、土地価格のみの評価になる。故に、2020年以後、今後の日本経済情勢・金融政策・土地税制・その他金利等を考慮し日本経済の成長などを考えた場合に、土地そのものが大きく上昇カーブをすることは考え辛く、現在乱立されているホテル・オフィスビル・収益用不動産(マンション・アパート)の需要供給のバランスが大きく崩れると思う。よって、土地そのものは下落傾向ではないかと予想する。都心中心部からドーナツ型に下落していくのではないかと予想している。但し、都心中心部の下落率は少ないと思うが、郊外に関しては、供給のだぶつきにより下落率はそれなりになると思う。 □ 土地そのものは変化しないことと、建物は古くなると目減りするため。 タワーマンションの価値が下がらない理由を見てみると下記のコメントがありました。 □ 人気エリアに立地していることが多いため。 □ 東京都港区に限る。 □ タワマンはその立地も評価されるため。 □ 新規で建てることが難しく絶対数に限りがあるため。 □ 敷地の持分が少なく、資産価値的にも、立地が良い場所に多いので。 □ 購入者が日本人だけに限らず外国人にも需要があるから。 □ 自然災害などで土地離れ傾向にあることと、若い世代が土地への執着がないこと。 マンションも規模が小さいと設備不足や計画段階での立地などで、自然災害など受けやすいと思われるし、価格帯が低い案件は好不況に左右されやすいため。タワーマンションを購入する客層はそれなりの富裕層であることやコミュニティがあることなどから価格が落ちにくいのではと考えている。実際に自分のマンションでそう感じるから。(購入後20年経過) 大規模マンションの価値が下がらない理由を見てみると下記のコメントがありました。 □ もっとも安定感があるため。世帯数が多いので管理費、修繕費も相対的に安くなり売りものが出てもすぐ売れるため。 □ 管理費修繕費の増額があまりないため。 □ 戸数が多くて、管理がしっかりしていると思うため。 □ 一戸建てについては、中古の評価基準が確立されていないので、マンションの方が資産の評価がしやすいと考えている。マンションに限定して考査した場合、共用部の充実度や長期修繕計画の財務面の有利性からすると、大規模マンションは評価しやすいと思います。(但し駅距離を徒歩10分以内が条件)タワーマンションも大規模の分類になりますが、低層部と高層部の新築時の価格乖離や長期修繕のコストからするとマイナス面もあると考えている。 □ 修繕計画上、資金面(積立金)で優位性があるため。 □ 修繕費の上がり具合が滑らかであることから。 □ 管理費・積立金が潤沢で、管理組合も正常に機能していると思うから。 【考察】 価値の落ちない物件として一戸建てが一番にあがったのは、建物よりも土地の評価が落ちないと考えられていること、マンションの価値が長年上昇傾向にあるがそろそろ下落する可能性が高いと考えている方が多くいることが要因と考えられます。 また、タワーマンションや大規模マンションは管理体制の面での安定感が、下落しないと考えられている要因のようです。 不動産価値を左右するポイント 設問:不動産物件の30年後を見据えた場合に、価値を左右する重要なポイントを重要度合いの高いものから3つまで選んでください。 30年後の不動産の価値を左右するのは、「最寄駅からの距離や公共交通機関の利便性:32.7%」と他を引き離して一番多く、次いで「日常的な買い物施設、飲食店などへのアクセスの良さ:12.9%」、「築年数や建物のグレード:11.9%」「地震・台風などの自然災害に対する安全性:10.5%」となりました。 利便性の良い物件の価値が高くなるのは理解できますが、「地震・台風などの自然災害に対する安全性」が上位に入ったのは、最近の災害の多さを物語っているのではないでしょうか。 不動産価値が下落する要因 設問:不動産物件の30年後を見据えた場合に、不動産価値が下落する要因として最も影響度が高いと思うものを3つまで選んでください。 30年後に物件の価値が落ちる要因としては、「エリア周辺の過疎化:22.1%」、次いで「自然災害の発生:19.0%」、「近隣に嫌悪施設(高速道路、火葬場、刑務所等)の建設が予定:15.2%」となりました。 ここでも自然災害の要因が上位にきています。また、2020年以降に実施される国際的なスポーツイベントの終了についてはそれほど影響しないと考えている方が多いようです。 【考察】 30年後に価値が上がると思われる要因としては、都心での再開発、新駅、ターミナル駅化と回答する方が多く、やはり立地と利便性が価値を大きく左右するようです。また、昨今の自然災害の被害も影響して、安全性確保も価値を上げる要因となっています。 逆に下がる条件としては、過疎化が一番多い回答となりました。また、不動産の価値が上がる要因とは逆に、自然災害が発生しやすいエリアでの不動産価値は低くなると考えられています。 事故物件でも価値が下がらない 事故物件でも価値が下がらないケースを聞いたところ、以下のような回答がありました。 □ 人気がある駅で、単身間取りであればニーズ高いのでそれほど下がらないと思う。 □ 駅近、近隣施設の利便性、良好な管理があれば問題ない。 □ 自殺等心理的瑕疵は難しいが、自然死等は価格的影響がないケースが多い。 □ 立地が良ければ比較的価値が下がらないと思う。 □ 屋上からの飛び降りのケースは、マンションではよくあることだし心理的にそんなに気にならないため、価値が下がらないケースが多い。 全体的に、利便性が良ければ、比較的価値が下がらないと考えている方が多く、やはり、不動産物件は、利便性が一番重要なポイントと言えそうです。 まとめ 今回は、30年後に価値の落ちない物件に焦点を当てて調査したところ、土地の価値が評価される一戸建てが最も価値が下がらない物件だという見解が多い結果となりましたが、タワーマンションや大規模マンションのように管理が行き届いている物件も評価されていました。 逆に価値が下がる要因としては、「エリア周辺の過疎化」や「自然災害の発生」が挙げられ、2020年以降開催される大きなイベントの終了に関しては、それほど影響しないと考えられているようです。 今後、不動産物件の購入を予定されている方は、参考にしてみてください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 不動産のプロが選ぶタワーマンションの価値が上がる場所とは? タワーマンションに関する調査を実施 東京近郊のタワーマンションで一番価値が上がるエリアは? ~ 不動産価値に関してアンケート調査を実施 ~ 2020年を境に不動産価値が下がるという話題を耳に... 次に読むべき記事 不動産評価の方法と不動産価値の考え方 不動産は用いられる指標や利用状況などによって、算出される価値が異なるという特徴を持ちます。また、戸建てとマンションでも資産価値の考え方は異なる場合があります。 この記事では、不動産評価におけ...
自宅を購入するとき、住宅ローンを利用する人が多いでしょう。しかし、外国人や自営業の人など、民間の金融機関の住宅ローンを申し込んだものの、審査に落ちた人もいるかもしれません。そのような時に、不動産担保ローンなら利用できる可能性があります。 この記事では、不動産担保ローンと住宅ローンの違いを解説します。 不動産担保ローンとは 不動産担保ローンとは、不動産を担保にして、お金を借り入れることができる商品です。所有している不動産を担保にすることで、さまざまな資金使途に利用できます。また、自身が所有していない不動産を担保にした、不動産購入資金のための担保とすることも可能です。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 不動産担保ローンよりも住宅ローンの方がよく知られていますが、住宅ローンも不動産を担保に融資を受けるローン商品であり、不動産担保ローンの一種です。つまり、購入予定の不動産を担保にした、不動産購入に係る資金使途のみに利用される不動産担保ローンを住宅ローンと言います。 不動産担保ローンと住宅ローンの違い ここでは、「不動産担保ローン」として提供されている商品と、「住宅ローン」として提供されている商品の違いを解説します。これらの商品は、主に以下のような項目で異なります。 資金使途 担保不動産 金利 その他 資金使途 前述のとおり、住宅ローンはあくまで不動産購入に係る土地や建物の購入や建築、改築などに資金使途が限定されています。一方で、不動産担保ローンは、生活資金や納税資金、事業資金にも利用できるフリーローンです。これらの特徴から、不動産担保ローンは個人に限らず、法人でも利用できます。 担保不動産 住宅ローンは購入する不動産を担保に借り入れを行うのが一般的です。一方で、不動産担保ローンは購入する不動産の他、自身が所有する不動産や親族所有の不動産でも担保にすることができます。担保不動産は金融機関によって異なるため、詳細は問い合わせ時に確認するようにしましょう。 金利 2023年12月現在、一般的な住宅ローンで最も低い水準の金利は、0.30%程度から提供されています。一方で、不動産担保ローンは住宅ローンに比べると金利が高く、下限で2.00%前後から上限7.00%程度まで幅広く提供されています。この理由は、資金使途が自由である点からも、住宅ローンというより無担保ローンに性質が近く、金融機関にとってのリスクが高いのも一因です。 その他 上記で挙げた項目以外にも、借入限度額や返済期間、団体信用生命保険の有無なども異なります。あくまで一般的な商品による違いであるため、取扱金融機関によってはその限りではありません。詳細は、金融機関に問い合わせてみましょう。 住宅ローンではなく不動産担保ローンを利用する場面 前述のとおり、自宅購入のためにローンを利用する場合は、住宅ローンを利用したほうがいいでしょう。一方で、以下のような場合には不動産担保ローンを検討してみるといいかもしれません。 自宅購入以外の目的で融資を受ける場合 自宅以外の不動産を担保に融資を受ける場合 住宅ローンの審査で落ちてしまった場合 自宅購入以外の目的で融資を受ける場合 不動産担保ローンを利用する主な目的に、生活資金や教育資金、事業資金の借り入れが挙げられます。そのほかにも、既存の借り入れの借り換えなども目的となるでしょう。前述のとおり、住宅ローンはあくまで住宅購入に関する使途に限定されるため、これらの目的に利用することはできません。一方で、不動産担保ローンでは、所有不動産を担保にして、融資を受けることができます。 自宅以外の不動産を担保に融資を受ける場合 住宅ローンでは、資金使途の他、担保とする不動産の制限もあります。例えば、親などの親族が所有する不動産や、投資用のアパートなどの不動産は、担保とすることが難しいでしょう。一方で、不動産担保ローンでは、金融機関によって詳細は異なるものの、担保として認められる可能性があります。 住宅ローンの審査で落ちてしまった場合 どうしても欲しい物件があっても、与信面や健康面の問題で住宅ローンの審査に落ちてしまうこともあるでしょう。不動産担保ローンでも、与信面の審査はありますが、物件の評価に応じて総合的に判断してくれることもあります。また、団体信用生命保険への加入不要な不動産担保ローンもあるので、利用できる可能性があります。 まとめ 不動産担保ローンを自己居住の不動産購入目的で利用しようとすると、民間の金融機関で提供されている住宅ローンよりも金利は高いでしょう。一方で、資金使途や担保不動産、審査による問題から、不動産担保ローンが有効な解決手段になるかもしれません。このような問題がある場合など、不動産担保ローンを検討するといいかもしれません。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 無料の仮審査を申し込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 次に読むべき記事 住宅ローン返済中でも、不動産担保ローンで借り入れできる人とは? 不動産担保ローンは、住宅ローンの残高があったとしても該当する不動産を担保にして借り入れできる可能性があります。しかし、必ずしも借り入れできる訳ではありません。この記事では、住宅ローンの残高が...