住まいとお金の知恵袋 一覧(公開日順)

  • ねぎし三平堂の外観(アイキャッチ)

    林家正蔵師匠が自宅「ねぎし三平堂」を語る

    落語家の林家正蔵氏(60)(以下「正蔵師匠 」)の自宅にお邪魔して、住まいやお金に関するお話をフリーアナウンサーの八木亜希子さんが伺いました。 この記事は、SBIシニアの住まいとお金ch(YouTubeチャンネル)で公開されている、「【第3弾】名門一家の風格漂うお宅を訪問!お父様は昭和の爆笑王【八木亜希子のスターお宅訪問】」と、「林家正蔵~祖父の代から受け継がれる我が家、僕には守っていく責任がある~【MC:八木亜希子】」を元に作成しています。動画の詳細はこちらをご覧ください。 「林家こぶ平」から「9代林家正蔵」へ 本編に入る前に、正蔵師匠の経歴についてご紹介します。 1962年12月1日に東京都台東区根岸で生まれた正蔵師匠は、1978年4月に父である林家三平師匠に弟子入りし、「林家こぶ平」として落語家デビューを果たします。1981年に二ツ目、1987年には真打に昇進し、落語家として活躍する一方で、テレビドラマやバラエティ番組などにも多数出演し、タレントとしても活躍しました。 2005年に9代「林家正蔵」を襲名した後は、落語家として、より精力的に活動しています。2014年には落語協会の副会長に就任し、現在も多数の寄席に出演しながら、落語の発展に尽力しています。 自宅はねぎし三平堂 正蔵師匠の自宅は、資料館「ねぎし三平堂」として開放されています。(※2023年11月1日時点では改装のため閉堂中)名門一家の風格漂う、とても立派な外観でした。 建物に入ってすぐの階段を上る途中で、昭和の爆笑王「初代林家三平師匠」の写真を発見しました。『どうもすいません』と今にも聞こえてきそうです。 階段を上った先には林家一門にまつわるたくさんの資料が展示されていました。右端に移っている高座では、実際に落語会が開かれるそうです。(※2023年11月1日時点では休止中) ▼実際に展示されていた資料の一部 本編動画では、実際に展示されている写真や実際の仕事机や仕事道具など、この記事で紹介しきれなかった資料をたくさん紹介しています。ぜひご覧ください。 本編動画はこちら 林家正蔵師匠にとって自宅とは? 最後に「正蔵師匠にとって自宅とは?」と質問し、スケッチブックに答えを書いてもらいました。 本編動画では、「正蔵師匠にとって自宅とは?」の答えはもちろん、自宅改装の失敗談やYouTube初出しエピソードなど、色々なお話を公開しています。 本編動画はこちら 執筆者紹介 SBIシニアの住まいとお金 メディア部 SBIシニアの住まいとお金は、【人生100年時代を見据えて、「住まい」も「お金」も充実できる人生をサポートしたい】との思いから、60歳以上の持ち家の方を対象に「Youtubeで楽しむ」、「セミナーで学ぶ」、「専門家に相談する」の3つのサービスを運営しています。 <公式サイト> https://www.sbi-efinance.co.jp/senior/ <YouTubeチャンネル> https://www.youtube.com/@sbi_senior/

  • 家族信託の費用

    家族信託にかかる費用・税金と相場、手続きする際の注意点を解説

    家族信託とは、財産の管理、運用、処分を家族に任せるための制度です。親の判断能力が低下した場合、子どもの判断で親の財産を運用、処分できるため、認知症対策として注目されています。家族信託をする場合、どのような費用や税金がかかるのでしょうか。 この記事では、家族信託にかかる費用や税金とその相場について解説します。 家族信託でかかる可能性がある税金 家族信託では、状況に応じて以下5つの税金がかかる場合があります。 贈与税 相続税 所得税(法人税) 固定資産税 登録免許税 それぞれ詳しく見ていきましょう。 贈与税 家族信託の場合、委託者と受益者が同じ人であれば贈与税は発生しません。しかし、委託者以外の人が受益者となった場合、財産を贈与したとみなされ、受益者に贈与税がかかります。 例えば、「父:委託者、子:受託者、母:受益者」とし、信託財産である収益不動産(信託前は父名義)の家賃収入を母(受益者)が受け取るような場合が考えられます。 相続税 家族信託では、信託財産から生じる利益を受け取る「受益者」が亡くなったときに相続が発生します。受益者の死亡によって信託契約を終了する場合は、信託財産を相続する人に相続税が課されます。受益者の死亡後も信託契約を継続する場合は、受益権を引き継ぐ人に相続税がかかります。 所得税(法人税) 信託財産から得られる収入(所得)については、受益者が所得税を納めなくてはなりません。また、受益者が受益権を売却した場合は、その利益に所得税がかかります。なお、受益者が法人であれば、法人税が発生します。 固定資産税 不動産を信託する場合、不動産の所有者が委託者から受託者に代わります。そのため、次年度からは受託者に固定資産税の納税義務が生じます。 ただし、信託契約において「固定資産税は受益者が負担する」と明記すれば、受託者の自己資金ではなく信託財産から納めることが可能です。 登録免許税 信託財産に不動産が含まれる場合、「信託による所有権移転登記」の登録免許税がかかります。 所有権移転登記は、不動産の名義人を委託者から受託者に変更するための手続きです。登録免許税額については後述します。 家族信託を手続きする場合の費用と相場 ここでは、家族信託を自分で手続きする場合と専門家に依頼した場合の費用相場を紹介します。 自分で手続きする場合の費用と相場 戸籍謄本、印鑑証明書、住民票などの資料取得費用 家族信託の手続きでは、戸籍謄本や印鑑証明書、住民票などの公的書類を取得しなくてはなりません。信託財産に不動産が含まれている場合は、登記事項証明書(登記簿謄本)も必要です。取得費用はいずれも1通につき数百円程度です。 信託口口座開設費用 家族信託では、信託財産を管理するための信託口口座を開設します。金融機関によって異なりますが、開設費用は5~10万円程度が一般的です。正確な金額は金融機関に確認しましょう。 公正証書費用 家族信託では、信託口口座を開設する際に、金融機関から公正証書で作成された信託契約書の提出を求められる場合がほとんどです。そのため、信託契約書を公正証書にする必要があります。公正証書にかかる費用は以下のとおりです。 目的の価額 手数料 100万円以下 5,000円 100万円超 200万円以下 7,000円 200万円超 500万円以下 1万1,000円 500万円超 1,000万円以下 1万7,000円 1,000万円超 3,000万円以下 2万3,000円 3,000万円超 5,000万円以下 2万9,000円 5,000万円超 1億円以下 4万3,000円 1億円超 3億円以下 4万3,000円+5,000万円ごとに1万3,000円 3億円超 10億円以下 9万5,000円+5,000万円ごとに1万1,000円 10億円超 24万9,000円+5,000万円ごとに8,000円 出典)日本公証人連合会「手数料」 信託監督人・受益者代理人への報酬 家族信託では、状況に応じて信託監督人や受益者代理人を設定する場合があります。 信託監督人:受益者のために受託者の監督を行う者 受益者代理人:受益者のために受益者の権利を行使する者 信託監督人や受益者代理人を専門家に依頼すると、月額数万円程度の費用がかかります。 登録免許税 上述したように、信託財産に不動産が含まれている場合は、信託登記の登録免許税がかかります。税額は「不動産の固定資産税評価額×0.4%」です。ただし、土地については0.3%の軽減税率が適用されます(2026年3月31日まで)。 例えば、土地3,000万円、建物2,000万円の場合の登録免許税額は、以下のとおりです。 土地:3,000万円×0.3%=9万円 建物:2,000万円×0.4%=8万円 専門家に依頼した場合の費用と相場 専門家に依頼する場合は、上記の「自分で手続きする場合の費用」に加えて、以下の費用負担が発生します。 コンサルティング費用 信託契約書の作成費用 公正証書の手続き代行費用 不動産登記の代行費用 実際にかかる費用は専門家によって異なります。依頼の際に費用をしっかりと確認することが大切です。 家族信託の「損益通算禁止」とは 租税特別措置法第41条の4の2によると、信託財産から生じた損失は、信託財産以外から生じた所得との損益通算ができません。例えば、信託された収益不動産で赤字が生じても、信託財産以外の収益不動産の所得とは損益通算できないため、税負担が増える恐れがあります。 大規模修繕などで赤字の発生が見込まれる収益不動産がある場合は、信託する前に税理士などの専門家に相談しましょう。 出典)国税庁「第41条の4の2(特定組合員等の不動産所得に係る損益通算等の特例)関係」 まとめ 家族信託は、認知症などによる判断能力の低下に備えるには有効な手段です。ただし、専門家に手続きを依頼する場合はまとまった費用がかかります。家族信託でかかる税金・費用の相場を把握したうえで、利用するかを判断しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 家族信託とは?仕組みやメリット・デメリット、手続き方法を解説 親の判断能力が低下した場合、子どもの判断で親の財産を運用・処分することはできません。親の認知症対策としては「成年後見制度」が一般的ですが、近年では新たな財産管理方法として「家族信託」が注目さ...記事を読む

  • 老後の住まいのトレンドは?

    高齢者の住まいの現状は?老後の快適な暮らしのための対策を紹介

    高齢になって体力が低下し、介護の必要性が高まってくると、間取りや設備などに住みづらさを感じるかもしれません。老後を快適に過ごすためには、住まいへの備えが不可欠です。 高齢期の住まいにはさまざまな選択肢があるため、現状や課題を把握したうえで、対策を行うことが大切です。この記事では、高齢者の住まいの現状や老後の快適な暮らしのための対策を紹介します。 高齢者の居住状況 65歳以上の高齢者単身、夫婦世帯の居住状況は以下のとおりです。 持ち家:989万世帯 賃貸:292万世帯 施設:224万人 持ち家の内訳は、単身世帯が422万世帯(約43%)、夫婦世帯が566万世帯(約57%)です。 賃貸は全体の約37%(109万戸)を公営住宅などの公的賃貸住宅が占めています。高齢になると民間賃貸住宅への入居を断られる場合があることから、公的賃貸住宅の割合が高くなっていると考えられます。 施設は、特別養護老人ホーム(特養)をはじめ、介護老人保健施設(老健)や、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など、さまざまな選択肢があります。 高齢者の住まい 介護保険の第1号被保険者(65歳以上の方)3,588万人のうち、3,486万人(約97%)が在宅です。また、要支援、要介護認定者690万人のうち、588万人(約85%)が在宅で介護を受けています。高齢者の9割以上、要介護の高齢者でも約8割が在宅で暮らしているのが現状です。 なお、上述の在宅人数は、居住系サービスを利用している人数も含まれます。居住系サービスとは、施設系サービス(特養、老健など)以外のケア付き住宅のことで、具体的には有料老人ホームやサ高住などが該当します。 高齢者の介護場所の希望 1人暮らしの高齢者が希望する介護場所をみると、要介護度が高くなるにつれて介護施設やケア付き住宅を希望する人が増加しています。 ※国土交通省「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」をもとに編集部作成 そもそも頼る親族がいないことも考えられますが、「親族に迷惑をかけたくない」「要介護度が高いと施設のほうが安心」といった理由も考えられます。 高齢期の快適な暮らしのための対策 要介護認定を受けた高齢者の約8割は、在宅で介護を受けているのが現状です。また、多くの高齢者は、要介護度が低いうちは自宅での介護を希望しています。老後を快適に暮らすには、住まいへの備えが不可欠といえるでしょう。 まずは「持ち家か賃貸か」「介護を受ける場所は自宅か施設か」など、元気なうちに自身のこれからの住まいについて考えておくことが大切です。できる限り自宅に住み続けたい場合は、手すりの設置や段差の解消、トイレの改修といったバリアフリー化を行い、高齢期も安心して暮らせる住環境を整える必要があります。 また、高齢期の住まい選びやリフォームではまとまったお金がかかるため、老後の生活資金が不足しないよう資金計画を立てることも重要です。老後の住まい選びについては、以下の記事で詳しく解説しています。 関連記事はこちら老後の住まいはどうすべき?ポイントを徹底解説 出典)国土交通省「高齢者の住まいに関する現状と施策の動向」 まとめ 日本は今後も人口減少が続き、65歳以上の高齢者の割合が増えていく見込みです。国は老後も安心して暮らせる住環境の整備に取り組んでおり、高齢期の住まいの選択肢は増えています。 老後もできる限り現在の自宅に住み続けるなら、バリアフリー化などのリフォームが必要になるでしょう。介護施設への入居を視野に入れている場合は、賃貸への住み替えも選択肢です。 元気なうちに、老後の住まいについてしっかりと考えておくことが大切です。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 高齢者の自宅売却のトラブルが増加!回避するための対策とは? 「強引に勧誘された」「高額の違約金を請求された」など、高齢者の自宅売却に関するトラブルが増加しています。 相手に言われるがまま売買契約をしてしまうと、高齢者の場合は「住む場所が見つからない」...記事を読む

  • 自筆証書遺言書保管制度とは

    自筆証書遺言書保管制度とは?メリットと注意点、利用の流れを解説

    相続トラブルを避けるには、遺言書を作成するのが有効です。ただし、本人が自筆で作成する自筆証書遺言の場合、正しく作成しないと無効になる恐れがあります。また、盗難や紛失、偽造・改ざんの危険性もあります。このようなリスクを回避する方法として、「自筆証書遺言書保管制度」があります。 この記事では、自筆証書遺言書保管制度の概要やメリット、注意点、利用の流れを解説します。 自筆証書遺言書保管制度とは 自筆証書遺言書保管制度とは、自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度です。2020年7月10日から開始され、全国312ヵ所の法務局で利用できます。 遺言書の原本はもちろん、画像データとしても長期間適正に管理されます。原本は遺言者死亡後50年間、画像データは同150年間保管されます。紛失の恐れがなく、遺言者が亡くなった際に相続人に通知してもらえるため、自宅で保管するよりも安全です。 自筆証書遺言書保管制度のメリット 自筆証書遺言書保管制度には、以下のようなメリットがあります。 適切な保管によって紛失や盗難、偽造、改ざんを防げる 自筆証書遺言は紙と筆記用具、印鑑があれば1人で気軽に作成できます。しかし、自宅に保管していると紛失や盗難リスクがあり、偽造や改ざんの危険性もあります。自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、法務局で遺言書の原本と画像データが適切に保管されるため、紛失や盗難の心配がなく、偽造や改ざんを防止できます。 無効な遺言書になりにくい 自筆証書遺言書保管制度は、法務局職員が民法に定める自筆証書遺言の形式に適合するかを確認してくれるため、無効な遺言書になりにくいです。ただし、遺言書の有効性を保証するものではなく、遺言の内容について相談することはできません。 相続人に発見してもらいやすくなる 自宅に遺言書を保管すると、相続人が遺言書を見つけられず、遺言者の意思に沿った遺産相続が行われない恐れがあります。自筆証書遺言書保管制度を利用することで、遺言者が亡くなった際に、あらかじめ指定した相続人に対して法務局に遺言書が保管されていることを通知してもらえます。これを死亡時通知と言います。 検認手続が不要になる 遺言者が亡くなった後に自筆証書遺言を発見した場合、偽造や改ざんを防止するため、開封する前に家庭裁判所に提出して、検認を受ける必要があります。検認を受けないと、遺言書の内容に沿った遺産分割はできません。 自筆証書遺言書保管制度を利用することで、この検認手続が不要になり、速やかに遺言の内容を実現することができます。 自筆証書遺言書保管制度の注意点 自筆証書遺言を法務局に提出する際、法務局の職員が民法で定められた形式に適合するかを確認します。しかし、遺言の記載方法まで確認してもらうことはできず、有効性は保証されません。 また、「用紙はA4サイズ、裏面には何も記載しない」など、自筆証書遺言書保管制度を利用するための様式が別に定められており、そういった記載ルールを守る必要があります。 自筆証書遺言書保管制度の利用の流れ 自筆証書遺言書保管制度を利用する場合は、遺言者本人が法務局に出向いて手続きを行います。利用の流れは以下のとおりです。 管轄の法務局を選ぶ 申請書を記入する 事前予約をする 必要書類を持参して法務局で申請する 遺言者の住所地、本籍地、所有する不動産所在地のいずれかを管轄する法務局で申請手続をします。申請書は法務局のホームページからダウンロードするか、最寄りの法務局窓口で入手できます。 手続は事前予約制のため、ホームページ内の予約専用ページ、電話または窓口であらかじめ予約します。必要書類を持参のうえ、予約した日時に法務局で申請を行いましょう。申請時の必要書類は以下のとおりです。 自筆証書遺言書 申請書 本人確認書類 住民票の写し(本籍と戸籍筆頭者の記載があるもの) 3,900円分の収入印紙(遺言書保管手数料) 申請内容に問題がなければ、原本と画像データが保管され、保管証が渡されます。 自筆証書遺言と公正証書遺言との違い 遺言書は、「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類があります。主な違いは以下の3つです。 自書(手書き)の有無 自筆証書遺言は、遺言者が財産目録以外の全文を手書きしなくてはなりません。公正証書遺言は、遺言者から告げられた内容を公証人が遺言書に記載するため、自書は署名のみです。 証明力 自筆証書遺言の内容は、遺言者の自己責任です。公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が法的な有効性をチェックするため、高い証明力を有します。 出張の有無 自筆証書遺言書保管制度を利用する際は、遺言者本人が法務局に出向かなくてはなりません。公正証書遺言は、遺言者が高齢などで公証役場に出向くのが困難な場合、公証人が遺言者の自宅などに出張して遺言書を作成できます。 どちらを利用するべき? 自筆証書遺言の一番のメリットは、公正証書遺言と比較して費用と手間が小さいことです。民法の要件を満たした遺言書を自ら作成できるなら、自筆証書遺言書保管制度を利用するのがいいでしょう。 ただし、遺言書が無効にならないか不安であれば、費用や手間をかけてでも、公正証書遺言を利用する方が確実です。 関連記事はこちら公正証書遺言とは?手続きの費用と必要書類を解説 自筆証書遺言書保管制度の利用状況 法務局によると、2022年の遺言書の保管申請は1万6,802件です。一方、日本公証人連合会によれば、公正証書遺言の作成件数は11万1,977件となっています。公正証書遺言が年10万件程度利用されていることを踏まえると、自筆証書遺言書保管制度の利用は少ないといえます。 ただし、自筆証書遺言を作成して自宅等に保管している人がどの程度いるのかは不明です。これから認知度が高くなることで、自筆証書遺言書保管制度の利用件数が増えていく可能性は十分に考えられます。 出典) ・法務局「遺言書保管制度の利用状況」 ・日本公証人連合会「令和4年の遺言公正証書の作成件数について」 まとめ 自筆証書遺言書保管制度を利用すれば、自筆証書遺言の紛失や盗難、偽造、改ざんのリスクを避けられます。また、法務局職員が民法で定める形式に適合するかを確認してくれるのもメリットです。ただし、遺言書の有効性が保証されるわけではないため、不安な場合は公正証書遺言を検討しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 相続争いを生まないためのリースバックという選択肢 自宅を所有していると、老後も住み続けられる安心感がある一方で、相続に不安を感じることもあるのではないでしょうか。不動産は実物資産であるため、相続人が複数いると簡単に分けられません。また、相続...記事を読む

    2023.11.15制度相続
  • 公正証書遺言とは

    公正証書遺言とは?手続きの費用と必要書類を解説

    公正証書遺言は、自筆証書遺言に比べると無効になる可能性が低いのが特長です。では、相続に備えて公正証書遺言を作成する場合、どのような手続きが必要なのでしょうか。 この記事では、公正証書遺言の特徴と手続き、その費用や必要書類について解説します。 公正証書遺言とは 公正証書遺言とは、公証役場において公正証書として作成する遺言です。証人2名以上の立会いのもと、遺言者が遺言の趣旨を公証人に述べて、公証人の筆記により作成してもらいます。また、遺言書の内容について悩んでいる場合は、必要な助言を受けられます。 遺言者の真意を確認し、適切に手続きが行われたことを担保するため、証人2名以上の立会いが要件となっています。未成年者や相続人は証人になれないので、利害関係のない友人や知人にお願いするといいでしょう。依頼できる人がいない場合は、公証役場で紹介してもらうことも可能です。 公正証書遺言のメリット 公正証書遺言には以下のようなメリットがあります。 遺言書が無効になる可能性が低い 公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が遺言書を作成します。複雑な内容であっても内容を整理して、民法上の方式に沿った遺言書を作成してもらうことが可能です。そのため、遺言書が無効になる可能性は低いでしょう。 紛失や盗難、改ざんのリスクがない 公正証書遺言は、公証役場で原本が保管されます。遺言書が誤って破棄されたり、誰かに盗まれたり、書き換えられたりする恐れがないので安心です。 家庭裁判所での検認手続が不要 法務局に預けていない自筆証書遺言の場合、遺言書の保管者や相続人が家庭裁判所に遺言書を提出し、その検認を請求しなくてはなりません。検認を経ないで遺言を執行すると、5万円以下の過料が科される恐れがあります(民法第1,005条)。 公正証書遺言は検認手続が不要であるため、相続開始後は速やかに遺言の内容を実現できます。 身体が不自由でも利用できる 公正証書遺言は公証人に作成してもらえるため、体力が弱り、あるいは病気等のために、手書きが困難となった場合でも作成が可能です。 また、公正証書遺言は公証役場以外でも作成が認められています。身体が不自由で公証役場に出向くことが困難な場合でも、公証人が遺言者の自宅などに出張して遺言書の作成が可能です。 公正証書遺言の作成費用 公証役場に支払う手数料は、目的の価額(相続財産の価額)に応じて以下のように設定されています。 出典)日本公証人連合会「公証事務(2遺言)」 また、証人を依頼する場合は追加で費用がかかります。友人や知人なら謝礼は自由に決められますが、公証役場で紹介してもらう場合は1人あたり6,000円程度の費用がかかります。弁護士などに遺言書の作成を依頼する場合は、証人を手配してもらうことが可能です。費用は1人あたり1万円程度が相場となります。 公正証書遺言の作成手続きの流れ 公正証書遺言の作成手続きの流れは以下のとおりです。 公証人への遺言の相談や遺言書作成の依頼 相続内容のメモや必要資料の提出 公正証書遺言(案)の作成と修正 公正証書遺言の作成日時の確定 遺言の当日の手続 「遺言者がどんな財産を所有していて、誰にどのような割合で相続させたいか」といったメモを提出すると、その内容に基づいて公証人が遺言書(案)を作成します。 遺言書の内容と作成日時が確定したら、遺言当日に遺言者が証人2名の前で、遺言の内容を改めて口頭で告げます。内容に問題がなければ、遺言者および証人2名が原本に署名・押印します。さらに公証人も原本に署名し、職印を押捺すると公正証書遺言は完成です。 公正証書遺言を作成する際の必要書類一覧 遺言者本人の印鑑登録証明書(3か月以内に発行されたもの) 戸籍謄本、除籍謄本(遺言者と相続人との続柄がわかるもの) 登記事項証明書(登記簿謄本)、固定資産評価証明書など(不動産の相続の場合) 預貯金通帳等またはそのコピー(預貯金等の相続の場合) 受遺者の住民票(財産を相続人以外の人に遺贈する場合) 他にも資料が必要になる場合があるので、詳細は公証役場に確認しましょう。 自筆証書遺言より公正証書遺言をおすすめする理由 公正証書遺言の他に、「自筆証書遺言」という選択肢もあります。 自筆証書遺言は、遺言者が遺言の全文、日付、氏名を自分で手書きして押印する遺言書です。作成に費用がかからず、いつでも手軽に書き直せるのが特長です。ただし、一定の要件を満たしていないと無効になる恐れがあり、紛失や盗難、改ざんの危険性もあります。 自筆証書遺言に比べると手間や費用はかかりますが、公正証書遺言なら「遺言が無効になる」「不正に書き換えられる」といった危険性が低くなります。自分の意志を遺すための遺言が無効になっては元も子もありません。確実性を重視するなら、公正証書遺言をおすすめします。 もし自筆証書遺言を作成される場合は、法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を検討するといいでしょう。この制度を利用すれば、遺言自体の形式不備は防げないものの、紛失や盗難、改ざんの危険性は低くなります。 関連記事はこちら自筆証書遺言書保管制度とは?メリットと注意点、利用の流れを解説 まとめ 公正証書遺言は、法律の専門家である公証人が作成してくれるため、遺言が無効になる可能性が低くなります。公証役場で原本が保管され、紛失や盗難、改ざんを避けられるのも特長です。 ただし、公正証書遺言の作成では、証人2名を手配しなくてはなりません。自分で手配するのが難しい場合は、公証役場や弁護士などの専門家に相談しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 相続争いを生まないためのリースバックという選択肢 自宅を所有していると、老後も住み続けられる安心感がある一方で、相続に不安を感じることもあるのではないでしょうか。不動産は実物資産であるため、相続人が複数いると簡単に分けられません。また、相続...記事を読む

    2023.11.10用語相続
  • 高齢者の自宅売却トラブルに注意

    高齢者の自宅売却のトラブルが増加!回避するための対策とは?

    「強引に勧誘された」「高額の違約金を請求された」など、高齢者の自宅売却に関するトラブルが増加しています。 相手に言われるがまま売買契約をしてしまうと、高齢者の場合は「住む場所が見つからない」「違約金の支払いで老後資金が足りない」などの問題が生じる恐れがあります。老後も持ち家で安心して生活するには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。 この記事では、高齢者の自宅売却のトラブル事例や回避するための対策を紹介します。 高齢者の自宅売却トラブルが増加している 国民生活センターの資料によると、契約当事者が60歳以上の自宅売却に関する相談件数は、以下のとおり推移しています。 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 571件 564件 657件 616件 610件 出典)国民生活センター「高齢者の自宅の売却トラブルに注意」 2018年以降は600件を超えているものの、全体的には横ばいで推移しています。 一方で、70歳以上の高齢者の自宅トラブルは増加傾向にあります。以下は、契約当事者の年代別相談割合です。 60歳未満 60~69歳 70~79歳 80歳以上 2016年 35.6% 28.2% 20.6% 15.6% 2017年 35.0% 25.5% 21.9% 17.6% 2018年 34.8% 19.9% 26.1% 19.3% 2019年 34.5% 19.6% 25.5% 20.4% 2020年 30.1% 17.6% 30.4% 21.9% 出典)国民生活センター「高齢者の自宅の売却トラブルに注意」 60歳未満および60歳代は年々減少していますが、70歳以上は増加が続いています。2020年は70歳以上の相談割合が52.3%で、全体の半分以上を占めている状況です。 自宅売却はクーリング・オフ制度を利用できない クーリング・オフとは、一度契約の申し込みや締結を行っても、一定期間内であれば無条件で申し込みの撤回や契約解除ができる制度です。しかし、自宅を不動産業者に売却する場合には、このクーリング・オフ制度を利用できません。 クーリング・オフはできないものの、契約破棄することも可能です。ただし、ほとんどの場合で契約解除には、売買金額の2割程度の違約金が発生するため、経済的に大きな負担となります。 高齢者の自宅売却に関するトラブル事例 高齢者の自宅売却について、具体的にどんなトラブルが発生しているのでしょうか。ここでは、国民生活センターに寄せられた相談事例を3つ紹介します。 長時間の居座り 長期間の勧誘を受け、強引に契約させられた80代女性の事例です。 1人暮らしの自宅に突然、不動産業者が2人で訪ねてきた。「住んでいるマンションを売らないか」と勧められ、連日朝10時から夜まで居座られた。弱気になり「売値を200~300万円上乗せしてくれるなら」と答えたら、2,300万円で売ることになってしまった。書面に署名押印したが、何の書類か覚えておらず、「やっぱり待ってほしい」と言っても取り合ってもらえなかった。 高額の解約料請求 強引に契約させられ、「解約には違約金がかかる」と言われた80代女性の事例です。 不動産業者から「自宅マンションを売ってほしい」と何度か電話があったが、断っていた。後日、外出先から戻るとエントランスで不動産業者が待っており、悪いと思って自宅に上げた。業者は「住み替えの物件を紹介する」と言って勝手に話を進め、内容を理解できないまま書面に署名押印し、その場で手付金約450万円を渡された。翌日不動産業者に契約をキャンセルすると電話すると、「解約料として約900万円支払ってほしい」と言われた。 契約に関する虚偽の説明 嘘の説明を信じて、自宅の売却と賃貸借の契約をしてしまった70代女性の知人の事例です。 知人宅に電話があり、その後不動産業者が訪ねてきた。知人はその日のうちに自宅マンションを約2,000万円で売却し、家賃18万円でそのまま住む契約をした。マンションの相場はもっと高額なはずだが、「このマンションは10年後には取り壊される」という虚偽の説明を信じて契約してしまった。知人は1週間後に不動産業者と会い、「キャンセルしたい」と伝えたが、できないと説得されて手付金を受け取ってしまった。 高齢者が自宅売却のトラブルを回避するには? 自宅売却に関するトラブルを避けるために、以下の3つを心掛けましょう。 わからない、納得できない場合は絶対に契約しない 不動産業者から話を聞いても、契約内容がわからない場合や納得できない場合は絶対に契約しないことが大切です。不動産売買はさまざまな手続きが必要で、仕組みも複雑です。自宅売却はクーリング・オフができないため、よくわからないまま契約してしまうと後悔するかもしれません。 1人で対応すると相手のペースで話を進められ、適切な判断ができない可能性があります。契約前に家族や友人などに相談し、不動産業者との面談ではできるだけ立ち会ってもらいましょう。相談できる身近な人がいない場合には、弁護士などの専門家に相談するのもひとつの手です。 迷惑な勧誘ははっきり断る 「夫(妻)と相談します」「考えてみます」のような断り方をすると、可能性があると判断され、今後も勧誘が続いてしまいます。不動産業者から電話や訪問で勧誘されても、自宅を売却するつもりがないなら「自宅は売りません」とはっきり断ることが大切です。 今後も勧誘してほしくない場合は、「もう勧誘はやめてください」と明確に意思を伝えましょう。消費者が断ったにも関わらず、不動産業者が勧誘を続けることは宅地建物取引業法で禁止されています。 不要な勧誘を避けるには、「知らない電話番号からの電話には出ない」「訪問されても玄関ドアを開けない(インターフォンで対応)」などの対策も有効です。 トラブルになりそうな場合は相談する 「不動産業者の説明がよくわからない」「よく考えずに契約してしまった(解約したい)」など、トラブルになりそうな場合は、なるべく早く消費者生活センターなどに相談しましょう。 連絡先:消費者ホットライン「188(いやや)」 消費者ホットライン「188」に電話し、アナウンスに従って自宅の郵便番号を入力すると、最寄りの消費者生活センターや市区町村の消費生活相談窓口につながります。また、長期間の居座りは不退去罪に当たる可能性があるため、状況によっては警察を呼ぶことも検討しましょう。 まとめ 高齢者が自宅売却のトラブルに巻き込まれると、住む場所が見つからなかったり、高額の違約金を請求されたりする恐れがあります。不動産業者から電話や訪問で勧誘されても、自宅を売るつもりがないなら「売りません」とはっきり断ることが大切です。 不安な場合やトラブルに巻き込まれそうなときは、消費者ホットライン「188」に電話して相談しましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住まいの終活で考えておくべきポイントをFPが解説 「終活」という言葉が一般に広がるなか、近年、「住まいの終活」についても注目されるようになってきました。どのような内容なのか、どうしたらいいのかなどについて考えてみましょう。 「住まいの終活」...記事を読む

  • マンション長寿命化促進税制とは

    マンション長寿命化促進税制とは?概要やメリットを解説

    令和5年度税制改正の大綱にて、マンション長寿命化促進税制の創設が決定しました。マンションを適切に管理し、修繕積立金の確保や長寿命化工事を実施することで、区分所有者の固定資産税が軽減されます。ただし、制度の適用を受けるにはいくつかの条件を満たす必要があるため、制度について理解を深めておくことが大切です。 この記事では、マンション長寿命化促進税制の概要やメリット、手続きの流れを解説します。 マンション長寿命化促進税制とは? マンション長寿命化促進税制とは、一定の条件を満たしたマンションが長寿命化工事を実施した場合に、その翌年度の固定資産税が減額される制度です。区分所有者が支払う工事完了翌年度の固定資産税(建物部分のみ)が、1/2~1/6の範囲内で減額されます。減額割合は、各自治体の条例によって決定されます。 「長寿命化工事を実施した場合」とは、以下3つの工事を全て実施した状態をいいます。 外壁塗装等工事 床防水工事 屋根防水工事 なお、マンション長寿命化促進税制の適用を受ける条件については、この後詳しく解説します。 制度創設の目的と背景 多くの高経年マンションでは、管理計画期間の不足や推定修繕工事項目の漏れなどから、修繕積立金が不足しています。国土交通省の「平成30年度マンション総合調査」によれば、現在の積立金残高が計画に対して不足しているマンションは34.8%です。 修繕積立金が不足していることがわかっていても、修繕積立金の引き上げや長寿命化工事の実施は、合意形成が難しいです。一方で、長寿命化工事が適切に行われなかった場合、外壁がはがれて廃墟化が進むなど、周囲に悪影響を与える恐れがあります。 そこで、必要な修繕積立金の確保や適切な長寿命化工事の実施について、所有者の合意につなげるために、マンション長寿命化促進税制が創設されました。 出典)国土交通省「平成30年度マンション総合調査」 マンション長寿命化促進税制の適用条件 マンション長寿命化促進税制の適用を受けるには、マンションと管理計画の面で、条件を満たす必要があります。 マンションの条件 まず、マンションが以下の条件を満たす必要があります。 築後20年以上が経過している 総戸数が10戸以上 過去に長寿命化工事を1回以上実施している これらの条件を満たすマンションでないと、そもそもマンション長寿命化促進税制の適用対象となりません。 管理計画の条件 上述の条件を満たすマンションであることに加え、管理計画を作成し、適切な管理がされている必要があります。具体的には、以下のいずれかの手段で、管理計画の認定を受けている必要があります。 ①マンション管理計画認定制度を利用する マンション管理計画認定制度を利用することで、管理計画が一定の基準を満たしていると自治会から認定を受けることができます。マンション管理適正化法に基づき、2022年4月からマンション管理計画認定制度が開始されました。 関連記事はこちらマンション管理計画認定制度とは?メリット・デメリットを解説 マンション管理計画認定制度の認定を受けたうえで、令和3年9月1日以降に修繕積立金の額を管理計画の認定基準まで引き上げることが、長寿命化促進税制の適用条件です。具体的な金額は以下のとおりです。 出典)国土交通省「マンション長寿命化促進税制の要件」 ②自治体から助言または指導を受ける マンション管理計画認定制度を利用せず、自治体からの助言または指導を受けたうえで、以下の基準を満たすように長期修繕計画を見直す必要があります。 なお、修繕積立金の基準額は以下のとおり定められています。 出典)国土交通省「マンション長寿命化促進税制の要件」 2度目の長寿命化工事の条件 上述のマンションおよび管理計画の条件を満たしたうえで、2度目の長寿命化工事を行い、2023年(令和5年)4月1日~2025年(令和7年)3月31日の期間内に完了させる必要があります。 工事期間については、今後この期間が延長される可能性ないとは言い切れません。どうしても2度目の長寿命化工事を期間内に実施できない場合でも、引き続き動向に注目しておくといいでしょう。 マンション長寿命化促進税制のメリット マンション長寿命化推進税制には、以下のようなメリットがあります。 固定資産税が減額される 上述した条件を満たせば、各区分所有者が翌年度に支払う固定資産税(建物部分のみ)が減額されるため、税負担の軽減が期待できます。なお、減額割合は1/2~1/6の範囲内で、自治体によって異なります。 マンション価値の維持・向上につながる 必要な修繕積立金を確保し、長寿命化工事を行うことで、良好な住環境が保たれます。結果として、マンションの資産価値の向上につながり、売却がしやすくなる可能性があります。 マンション管理組合の負担軽減が期待できる 修繕積立金の引き上げや長寿命化工事の実施は、区分所有者の金銭的な負担が増えるため、話し合いがうまく進まないことがあります。「固定資産税の減額」という共通のメリットによって合意形成が容易になれば、マンション管理組合の負担軽減が期待できます。 マンション長寿命化促進税制の注意点 マンション長寿命化促進税制には、以下のような注意点もあります。 管理計画の認定が必要になる 長寿命化工事の実施には費用がかかる 管理計画認定マンションとして手続きをする場合は、一定の基準を満たす管理計画を策定し、自治体から認定を受けなくてはなりません。また、修繕積立金の額の引き上げも必要です。助言や指導を受ける場合は、長期修繕計画が一定の基準に適合することが要件となっています。 長寿命化工事については、「外壁塗装等工事」「床防水工事」「屋根防水工事」の3つを全て行わなくてはなりません。固定資産税の減額だけでなく、かかる工事費用も考慮したうえで、適用を受けるか判断することが大切です。 マンション長寿命化促進税制を受けるための手続き マンション長寿命化促進税制を受ける場合は、以下の流れで手続きを進めます。 修繕積立金の額を引き上げる マンションの管理計画の認定を取得する 長寿命化工事を実施する 工事完了日から3ヵ月以内に市町村へ減税措置を申告する 各区分所有者が市町村へ申告する際は、以下の書類が必要です。 固定資産税減額申告書 総戸数を確認できる書類 修繕積立金引上証明書(写し可) 管理計画の認定通知書(写し可) 過去工事証明書(写し可) 大規模修繕等証明書(写し可) 必要書類については、管理組合の管理者が取得し、各区分所有者に配布することが想定されています。 まとめ マンション長寿命化促進税制は固定資産税の減額だけでなく、マンション価値の維持や向上、管理組合の負担軽減も期待できます。ただし、管理計画の認定取得などの要件を満たす必要があるため、費用対効果を考慮して適用を受けるか判断しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 マンション管理適正評価制度とは?メリット・デメリットを解説 2022年4月から「マンション管理適正評価制度」が開始されました。本制度は適切に維持管理されているマンションが、市場で評価されるための新たな仕組みです。同じ時期に国の「マンション管理計画認定...記事を読む

    2023.11.01制度
  • 地籍調査とは

    地籍調査とは?目的や得られる効果、調査の流れを解説

    地籍調査は、土地の境界や面積を明確にするために、法律に基づいて実施される調査です。土地を所有していると、地籍調査の案内が来る可能性があります。地籍調査にはどんな目的があるのでしょうか。 この記事では、地籍調査の概要や得られる効果、調査の流れについて解説します。 地籍調査とは 地籍調査とは、一筆ごとの土地の所有者や地番、地目を調査し、境界の位置と面積を測量する調査です。国土調査法に基づく「国土調査」の1つで、市町村が主体となって実施します。 地籍とは、「土地の戸籍」です。土地の現況を示す基礎的な情報が記録されており、土地課税や土地の有効活用など、行政のさまざまな場面で活用されています。 関連記事はこちら地目変更を検討すべきケースとは?手続きの方法と費用も解説 地籍調査の目的 現在、登記所に備えられている地図や図面の多くは、明治時代の地租改正のときに作成された地図に基づくものです。時間経過や当時の測量技術が原因で、境界や形状が現在の土地と異なる場合があります。そのため、登記簿に記載された土地の面積も、正確さを欠いているのが現状です。 地籍調査を行うことで、調査結果をもとに地図が更新され、登記簿の情報も修正されます。 地籍調査の流れ 地籍調査は、市町村が主体となって行われます。市町村の職員が直接実施する場合と、委託された民間会社が実施する場合がありますが、どちらも以下の流れで進められるのが一般的です。 ①説明会の実施 市町村が地籍調査の関係機関と調整を行い、住民からの要望も踏まえて地籍調査の実施計画を作成します。その後、調査実施地域の住民に対して説明会を行い、調査内容や必要性、日程などについて説明します。 ②境界の確認(一筆地調査) 土地所有者の立ち合いのもと、現地で一筆地ごとに所有者や地番、地目を調査します。確認した境界には、各筆の土地の境界がわかるように杭を打ちます。この杭は測量の基準となる重要なもので、破損しないように保存する必要があります。 ③地籍測量、地籍図・地籍簿の作成 土地所有者などに確認してもらった土地の境界の測量(地籍測量)を行います。測量結果をもとに正確な地図(地籍図)を作成し、各筆の面積を計算します。そして、一筆地調査と地籍測量の結果をまとめて地籍簿を作成します。 ④地籍調査の結果の確認 地籍調査をもとに作成された地籍図と地籍簿は、誤りがないかを土地所有者などに確認してもらいます。通常は市町村役場で閲覧でき、期間は20日間です。調査結果に誤りがあった場合は、申し出ることが可能です。必要に応じて修正が行われ、地籍調査の結果が確定します。 ⑤地籍図と地籍簿を登記所へ送付 地籍調査によって作成された地籍図と地籍簿の写しが、登記所に送付されます。登記所では、これまでの地図の代わりに地籍図が備え付けの正式な地図となり、地籍簿をもとに登記簿が修正されます。 出典)国土交通省「地籍調査の流れ」 地籍調査を実施することで得られる効果 地籍調査によって、以下のような効果が期待できます。 土地境界をめぐるトラブル防止 土地の境界が不明確な地域では、土地の売買や相続などをきっかけに、隣人との間で境界を巡るトラブルが発生することがあります。地籍調査を実施し、土地所有者の立ち合いのもと境界を確認することで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。 土地の有効活用の促進 地籍が不明確であることは、土地取引の円滑化や開発事業を妨げる要因です。一部の地籍の問題で、再開発事業がなかなか進まない事例もあります。地籍が明確化されることで、土地取引や開発事業用地の取得を円滑に行うことが可能です。 災害復旧の迅速化 地震や土砂崩れ、水害などにより土地の形状が変わってしまった場合、土地の境界に関する正確な記録がないと、復旧計画の作成などに時間がかかります。地籍調査により土地の境界を正確に記録することで、万が一災害が発生した場合は円滑に復旧活動を行うことが可能です。 課税の適正化と公平化 土地の所有者に対して課税される固定資産税は、必ずしも正確ではない登記簿や公図のデータを参考にしています。そのため、正確な土地の実態が反映されず、課税について不公平な取り扱いとなっている場合があります。地籍調査で土地一筆ごとの正確な地目と面積を把握することで、課税の適正化や公平化が図れます。 地籍調査が進まない要因 地籍調査は昭和26年から実施されていますが、思うように進んでいないのが現状です。令和4年度末における進捗率は、対象地域全体で52%、優先実施地域で80%です。なお、優先実施地域とは、調査対象地域から以下2つを除いた地域のことをいいます。 土地区画整理事業等の実施により地籍が一定程度明らかになっている地域 大規模な国有地や公有地等の土地取引が行われる可能性が低い地域 地籍調査は、特に都市部と山村部で進捗が遅れています。 都市部は、他の地域より一筆ごとの土地が細かく分割されています。土地の権利関係が複雑であるため、多くの費用と時間がかかっています。また、都市部の住民はトラブル回避のために隣人との接触を避ける傾向にあり、調査への協力を得られないことが多いのも調査が進まない理由です。 山村部は、土地取引が少なく調査に費用がかかるため、市町村にとって調査の優先度が低いです。急傾斜地など調査が困難な地域が存在すること、土地所有者の高齢化が進行していることも調査を困難にしています。 出典)国土交通省「全国の地籍調査の実施状況」 地籍調査を迅速化する取り組み 国土交通省は、地籍調査をより迅速に進めるための取り組みを、都市部と山村部それぞれで以下のように進めています。 都市部での取り組み 都市部では、地籍調査の先行調査の位置づけで官民境界等先行調査(街区境界調査)が創設されました。道路等に囲まれた官民境界(街区境界)のみを先行して調査します。この調査によって、未着手だった地域の災害復旧の迅速化や土地所有者の情報更新など、一定の効果が期待できます。 この官民境界等先行調査について国土交通省が行ったアンケートによると、官民境界等先行調査を、先行調査の成果としてではなく地籍調査の成果として扱うべきとの意見が多いことが分かっています。 都市部で地籍調査を実施する困難さから、官民境界等先行調査の位置付けが変更されるかが、今後の焦点となりそうです。 山村部での取り組み 山村部では、航空レーザ測量などを活用し、測量に立ち合いもなく立地にも左右されない手法が開発されました。広域の詳細な地形や樹高分布、樹種の把握を短時間で行うことができます。 この新手法について国土交通省が行ったアンケートによると、新たな手法に対する不安やノウハウ不足から、活用意欲を示す市町村が少ないことが分かっています。一方でこの手法は山村部で地籍調査が進まない原因をほとんど解決できる手法ではあるため、市町村への理解が得られて普及していくかが、今後の焦点となりそうです。 出典) ・国土交通省「地籍調査について」 ・国土交通省「地籍調査の実施主体に対するアンケート調査結果①」 まとめ 地籍調査は、境界トラブル防止や土地の有効利用、災害復旧の迅速化といった効果を得られるため、重要な調査といえます。土地を所有していて地籍調査の案内が来た場合は、隣人とのトラブルを防ぐためにも調査に協力しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 筆界特定制度とは?活用できる場面や申請の流れ、費用を解説 筆界特定制度は、法務省が管轄する制度の一つです。本制度が定められるまで、土地の境界に関する紛争が起きた際、従来は裁判で解決するしかありませんでした。しかし、「筆界特定制度」を利用することで、...記事を読む

    2023.10.25用語
  • 中村雅俊氏が語る「現在」と「これからの姿」

    俳優で歌手の中村雅俊氏(72)(以下「中村氏」)のお住まいにお邪魔して、住まいやお金に関するお話をフリーアナウンサーの八木亜希子さんが伺いました。 この記事は、SBIシニアの住まいとお金ch(YouTubeチャンネル)で公開されている、「中村雅俊氏が語る「現在」と「これからの姿」【MC:八木亜希子】」を元に作成しています。動画の詳細はこちらをご覧ください。 70歳を超えても住居に夢を持つ 中村氏は今の自宅を大変気に入っているとのことでしたが、それでも今後は住まいを変えようという気持ちを持っているそうです。 まず、もし新しく家を建てるとしたら、平屋で屋根が庭になっている家を建てたいそうです。『屋上で寝そべったりバーベキューをやったり(中略)そういうのって楽しそうだな。』と笑顔で語ってくれました。 続いて、もし今の自宅をリフォームするとしたら、離れのガレージをスタジオにしたいそうです。『(今の自宅にあるスタジオルームは狭いので)音楽をやっているものとしては、変えてみたい。』とのことでした。 『夢を持ったり夢を実現させるっていうのは楽しい作業じゃないですか』と語る中村氏は、70歳を超えた今でも住居に夢を持ち、とても楽しそうに見えました。一方で、『分からない未来に対して事を成すということへの不安は感じます。』と、年齢に対する不安とも戦っていることを明かしました。 娘や妻と話す相続の話 中村氏に「相続」についてどう考えているか伺ったところ、『もう今本当に(真剣に)考えています。』とはっきりと答えました。次女である娘が『パパが死んだらさ~、どうするの⁉』と遠慮なく聞いてくるらしく、むしろそういう話題を面と向かって話してくれることを嬉しく思っているそうです。 そういった背景から「相続」について話す機会は結構あるそうですが、自分が家のどこに何があるか何も分からないことに気づき、危機感を覚えたといいます。これまでは家のことを妻に任せきりだったので、そういった状況をなんとかするために、現在は妻に色々教わっている最中だそうです。 これからの中村雅俊氏 「これからどのように生きていきたいか」という質問に対し、中村氏は『自分がこれしたい、あれしたいということをまずやる。(中略)年取ってもういいよ、じゃなくどんどん好奇心を持って首を突っ込む。』と答えました。 さて、最後に問題です。 中村氏がこれから具体的にやりたいと語ったこととは、次のどちらでしょうか。 歌手として歌を歌い続けたい 俳優としてアメリカの映画に出たい 中村氏は歌手としても俳優としても活躍してきた方なので、どちらも正解のように思えます。気になる正解は本編動画で探してみてください。 本編動画はこちら なお、こちらの記事は前編と後編に分かれています。まだご一読いただいていない方は、ぜひ前編も併せてお楽しみください。 >前編はこちら 執筆者紹介 SBIシニアの住まいとお金 メディア部 SBIシニアの住まいとお金は、【人生100年時代を見据えて、「住まい」も「お金」も充実できる人生をサポートしたい】との思いから、60歳以上の持ち家の方を対象に「Youtubeで楽しむ」、「セミナーで学ぶ」、「専門家に相談する」の3つのサービスを運営しています。 <公式サイト> https://www.sbi-efinance.co.jp/senior/ <YouTubeチャンネル> https://www.youtube.com/@sbi_senior/

  • シニア向け分譲マンションとは

    シニア向け分譲マンションとは?特徴とメリット・デメリットを解説

    シニア向け分譲マンションは、高齢者向けのマンションです。シニア向け分譲マンションに限らず、高齢者向け住宅にはさまざまな種類があるため、他の住宅との違いを理解しておくことが大切です。この記事では、シニア向け分譲マンションの特徴や、メリットとデメリットについて解説します。 シニア向け分譲マンションとは? シニア向け分譲マンションとは、高齢者が住みやすいように配慮された分譲マンションです。高齢者向けの設備やサービス、共用施設が充実しており、法律上は一般的な分譲マンションと変わりません。 購入後は物件の所有権を取得するため、売却や賃貸への転用が可能です。また、所有者が死亡した場合は相続が発生します。入居条件はマンションによって異なりますが、基本的には自立した生活ができる高齢者が対象です。入居後に介護が必要になった場合は、外部の業者に介護サービスを依頼する必要があります。 入居時点で要支援、要介護の認定を受けていても、入居可能な物件もありますが、基準はマンションによって異なります。介護度によっては入居が難しい場合もあるため、事前に入居条件を確認しておくことが大切です。 シニア向け分譲マンションのメリット シニア向け分譲マンションには、以下のようなメリットがあります。 バリアフリー化されている シニア向け分譲マンションは、高齢者が安全に生活できるように室内や共用部分がバリアフリー化されています。つまずいて転倒しないように手すりが設置されていたり、間取りも広めにとられていたりするため、老後も生活しやすいでしょう。 高齢者向けサービスを利用できる シニア向け分譲マンションには、高齢者向けのサービスが付随しています。例えば、レストランでの食事提供や見守りサービス、生活相談などの高齢者向けサービスを利用できるマンションもあります。なお、具体的なサービス内容は施設によって異なるので注意が必要です。 また、医療、介護サービスを利用する場合、基本的には自分で外部の業者を探して契約しなくてはなりません。ただし、入居者が円滑に医療、介護サービスを受けられるように、マンションが外部の医療機関や介護事業者と提携している場合もあります。 共用施設が充実している シニア向け分譲マンションは、温泉やレストラン、フィットネスジムなどの共用施設が充実しています。図書館やプール、ゲストルーム、カラオケ、シアタールームなどが利用できるマンションもあるため、趣味を充実させたい人に向いているでしょう。コンシェルジュが常駐しており、困ったことがあればすぐに対応してもらえる物件もあります。 シニア向け分譲マンションのデメリット 一方で、シニア向け分譲マンションには以下のようなデメリットもあります。 費用が高い シニア向け分譲マンションは設備やサービスが充実している分、その維持費のために一般的な分譲マンションよりも費用は高くなります。費用相場は以下のとおりです。 物件価格:数千万円~数億円 月額利用料:10~30万円 分譲形式のため、家賃を払うのではなく、物件を購入することになります。住宅ローンを組むことも可能ですが、金融機関に相談したうえで、無理のない返済計画を立てる必要があるでしょう。 月額利用料の中には、管理費や修繕積立金、食費、水道光熱費、その他サービス利用料などが含まれます。マンションによって料金が異なるため、金額や内訳を確認しておくことが大切です。入居中に介護が必要になった場合は、介護サービス費の負担も追加で発生します。 選択肢が少ない シニア向け分譲マンションは、一般的な分譲マンションに比べて選択肢が少なくなります。また、市場が未成熟で供給戸数はそれほど多くないため、売却したいと思っても簡単に買い手が見つからない恐れがあります。介護施設などへの移動が必要になった場合、なかなか売却できずに困るかもしれません。 シニア向け分譲マンション以外の選択肢 老後の住まいとして高齢者向け住宅を検討する場合、シニア向け分譲マンションの他に以下のような選択肢があります。 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは、高齢者が住みやすいように配慮された賃貸住宅です。一般的な賃貸住宅と同じように、毎月賃料を払って利用します。バリアフリーに対応しており、安否確認と生活相談の提供が義務付けられているのが特徴です。 所有権は得られませんが、その分シニア向け分譲マンションに比べると費用負担を抑えられます。死ぬまで住み続けられるか不安に思うかもしれませんが、「終身建物賃貸借契約」を選択できる施設であれば、死ぬまで住み続けることが可能です。 関連記事はこちら終身建物賃貸借契約とは?メリット・デメリットをわかりやすく解説 シニア向け分譲マンションと同様、自立した生活ができる高齢者が対象であるため、医療、介護サービスを受けるには外部業者との契約が必要です。ただし、施設内で必要な介護サービスを受けられる「特定施設」の指定を受けているサ高住もあります。 関連記事はこちらサービス付き高齢者向け住宅とは?入居条件や費用を解説 有料老人ホーム 有料老人ホームとは、介護サービスや生活支援などのサービスを受けられる居住施設です。「介護付」「住宅型」「健康型」の3種類があります。介護付と住宅型は介護サービスを受けられます。健康型は自立した生活ができる高齢者が対象で、要介護となった場合は退去しなくてはなりません。 入居一時金と月額利用料が必要で、金額は施設によって異なります。契約方法は、利用権方式や建物賃貸借方式、終身建物賃貸借方式があります。利用権方式の場合は、入居時に一時金を払うことによって、専用居室や共用施設などを利用できる権利が保障されます。 関連記事はこちら有料老人ホームとは?費用やサービスをわかりやすく解説 まとめ シニア向け分譲マンションは高齢者に配慮した設備やサービスに加えて、温泉やフィットネスジムなどの共用施設も充実しています。一般的な分譲マンションに比べると費用は高めですが、趣味を充実させたい人に向いているでしょう。 サ高住や有料老人ホームとの違いを理解したうえで、老後の住まいとしてシニア向け分譲マンションを検討してみてはいかがでしょうか。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 老後の住まいはどうすべき?ポイントを徹底解説 老後に豊かな生活を送るには、ライフスタイルに合わせて住まいを選ぶ必要があります。しかし、住まいを選ぶ際には多くの選択肢があるので、どのように選べばよいかわからないのではないでしょうか。 老後...記事を読む