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「商品・サービス」の記事一覧

  • 買取再販ローンとは?

    買取再販ローンとは?仕組みやメリット・デメリットを解説

    「買取再販ローン」という言葉を聞いたことはないでしょうか。買取再販ローンは不動産担保ローンのひとつで、利用者が特定の不動産事業者に限定されているのが特徴です。特定の要件を満たす不動産事業者であれば、通常の不動産担保ローンより買取再販ローンを利用するほうが、より有利な条件で融資を受けられる可能性があります。この記事では、買取再販ローンの仕組みやメリット・デメリットについて解説します。 買取再販ローンとは 買取再販ローンとは、住宅買取再販(中古住宅を買い取ってリフォーム後に再販)を行う不動産事業者(買取再販事業者)向けの不動産担保ローンです。不動産事業者が中古住宅を買い取る際に、その住宅を担保にすることで、住宅の買取資金とリフォーム資金の一括融資が受けられます。買取再販ローンを利用することで、中古住宅の仕入資金やリフォーム工事費用などをまとめて資金調達できます。 買取再販ローンの仕組み 住宅買取再販の一般的な流れは以下のとおりです。 1. 買取再販事業者は中古住宅を買い取る 2. 金融機関は買取再販事業者に住宅取得資金とリフォーム資金を融資 3. 金融機関は住宅金融支援機構と住宅融資保険契約を締結 4. 買取再販事業者は買い取った中古住宅をリフォームして売却(ローン返済) ※1~3は同時進行 住宅ローンの「フラット35」を提供している住宅金融支援機構では、中古住宅の流通およびリフォーム市場の活性化に取り組んでいます。その取り組みの一環として、平成28年度から買取再販事業者向けのローンを、住宅融資保険の付保対象に追加しました。 住宅融資保険とは、民間金融機関のローンについて、ローン利用者から返済が予定どおり行われず、債務不履行となった場合に、住宅金融支援機構が民間金融機関の損害を補填する保険のことです。買取再販ローンが住宅融資保険の対象になったことで、民間金融機関は買取再販を行う不動産事業者に対して融資しやすくなりました。買取再販ローンを利用すれば、不動産事業者は、買取再販に必要な資金をまとめて調達することが可能です。また、買取再販事業者が中古住宅をリフォームして売却する際に、住宅購入者がフラット35を利用する場合は、住宅の性能が一定の要件に該当する場合は金利引き下げが適用されます。 買取再販ローンのメリット 買取再販ローンのメリットは以下2つです。 ● 魅力的な金利で融資を受けられる ● 買取再販に必要な資金が一括融資される 買取再販ローンは、魅力的な金利で融資を受けられます。金融機関によって適用金利は異なりますが、年率2%前後の金利が適用されることが多いです。一般的な不動産担保ローンに比べて低金利で資金調達できるので、返済時の金利負担を軽減できます。 また、買取再販ローンでは、買取再販に必要な資金が一括融資されるのもメリットのひとつです。買取再販ローンを利用すれば、中古住宅の仕入資金やリフォーム工事費用などをまとめて調達できます。事務取扱手数料などは準備しなくてはなりませんが、必要資金のほとんどを融資でまかなうことができます。 買取再販ローンのデメリット 買取再販ローンは金利が比較的低く、必要資金が一括融資される一方で、以下のようなデメリットもあります。 ● 融資実行までに時間がかかる ● 利用者が特定の不動産事業者に限定される 買取再販ローンは、融資実行までに時間がかかります。買取再販ローンでは金融機関の審査に加えて、住宅金融支援機構の審査も追加されます。必要書類をすべて準備してから最短でも10営業日程度はかかるので、スケジュールに余裕をもって手続きをすることが大切です。 買取再販ローンは、利用者が特定の不動産事業者に限定されるのもデメリットです。買取再販ローンの対象になるには、「住宅関連事業の業歴が法人で1年以上」「宅地建物取引業免許の所有」といった条件を満たさなくてはなりません。また、融資金額や担保物件の要件についても、通常の不動産担保ローンに比べて細かく設定されています。たとえば、融資金額については、1事業者あたりの上限額が設定されており、他の金融機関で住宅融資保険付の借入残高がある場合は、その残高も合わせて融資金額が設定されます。また、担保物件については「リフォームが必要な中古住宅」「リフォーム工事後において新耐震基準を満たす」「住宅融資保険の付保承認が必要」といった要件があります。これらの条件・要件を満たさないと、買取再販ローンは利用できません。 まとめ 買取再販ローンは、融資実行まで時間がかかるデメリットがあります。また、利用者が特定の不動産事業者に限定されるので、特定の要件を満たさなければローンを利用することはできません。しかし、これらのデメリットを考慮しても、低金利で中古住宅の仕入資金やリフォーム工事費用をまとめて調達できるのは大きな魅力です。不動産事業を営んでいて、買取再販ローンの要件をクリアできる可能性があるなら、まずは金融機関に相談してみてはいかがでしょうか。 仮審査( 不動産事業者専用 ) ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 物件の仕入れは資金確保とネットワークが重要?! ーー不動産事業者インタビューvol.1(1) ひとくちに不動産業といっても、さまざまな事業分野があります。その中でも、不動産の物件の仕入れというのは、もっとも基本的かつ重要な業務といえるでしょう。どうすれば優良な物件を入手することができ...記事を読む

  • 不動産担保ローンとリースバック、事業資金調達の際はどう使い分ける?

    【FP相談事例】退職後に家族を応援するための資金を調達したい

    自分だけでなく、家族がやりたいことを実現するために、急にまとまった資金が必要になることはよくあることでしょう。そんな時、先に住宅ローンの完済などへ充当してしまって手持ち資金が少なく、悩む方も多くみかけます。 この記事では、退職金で住宅ローンを完済した後に、家族を応援するために資金を捻出したいという66歳のFさんの相談事例をご紹介します。 [ご相談者 Fさん] 66歳男性 退職後アルバイト。配偶者を亡くし、一人娘(独身)が近所に住む。 自宅はマンション。昨年、退職金で住宅ローンを完済したので、手元の預貯金が少ない。 娘が知人のカフェを引き継ぎ、室内を一部リニューアルしたいと資金の相談を持ちかけてきた。5~6年後には返してくれるようだが、今、資金の余裕がなくどうしたらいいか? (1)自宅に住むのは変わらずお金を生み出す更なる方法 >不動産担保ローンの概要についてはこちら >リースバックの概要についてはこちら Fさん: 昨年、退職金で住宅ローンを完済したので、手元の預貯金はかなり減ってしまいました。それでも、アルバイトをしながら、自分の老後のことは何とかできるようにと思ってがんばっています。 FP吹田:住宅ローンを完済されたのですね。アルバイトなどお仕事をされて収入を得続けられることは、経済面だけでなく、人との関わりや生きがいなどにもつながっていく大切なことだと思います。 Fさん: はい、家にじっとしているよりは、よほど充実しています。実は、一人娘がいるのですが、知人から譲り受けたカフェのリニューアル資金を貸してもらえないかと相談を持ちかけられました。5年前に亡くなった妻とともに可愛いがってきた娘なので、なんとか援助したいのですが、手元の資金は少なく、悩んでいます。 FP吹田:なるほど。お嬢様からはどのくらいの資金で、返済についても何かおっしゃっていましたか? Fさん: はい、500万円~600万円くらいの予算らしく、毎年100万円くらいずつ返すと言われています。実は、娘は証券会社に勤めていた経験もあるので、お金の管理はちゃんとできる方だと思います。 FP吹田:しっかりしているお嬢様ですね。金融機関にお勤めでしたら、銀行からの借入は、審査が厳しく、無担保だと金利が高いのもご存じなのでしょうね。Fさんは、援助して応援したいと思っていらっしゃるのですよね。 Fさん: はい、そうです。今、担保とおっしゃいましたが、せっかく住宅ローンを完済したのだし、自宅を担保にしても住み続けながらお金を捻出する方法ってあるのでしょうか? FP吹田:はい、いくつかあります。実は、先日、不動産を担保に年金形式で分割借入をしていくリバースモーゲージに関するご相談もあったのですが(詳細はこちらの記事参照「不動産担保ローンとリバースモーゲージ、違いを知って賢く使い分けよう!」)Fさんはまとまった資金なので、他の方法がいいでしょう。ご自宅に住み続けながら、ご自宅を活用して資金を生みだす方法として、不動産担保ローンとリースバックという方法があります。 (2)不動産担保ローンとリースバックの違いは? Fさん: 不動産担保ローンはイメージがわきますが、リースバックって何ですか? FP吹田:リースバックというのは、不動産の売却と賃貸の組み合わせで、不動産業者に自宅などの不動産を売却するのですが、そのまま賃貸するというものです。一方、イメージしやすいとおっしゃった不動産担保ローンは、不動産を担保にまとまったお金を借りることです。両方とも特に引越しなども不要で住み続けられるという点は似ていますね。 Fさん: では、違うのはどんなことでしょうか? FP吹田:決定的に違うのは、所有権です。不動産担保ローンは、抵当権を設定はしますが、所有権は自分や家族など現状と変わりません、一方、リースバックは、売却をするので、所有権は一旦買い取った不動産業者に移ります。その不動産業者と、そのまま賃貸契約をするわけです。 Fさん: 引越しなどはしなくても、権利が変わっているんですね。所有権にこだわるかどうかが一つ目の鍵ですね。 FP吹田:所有権を手放すということは、精神的に寂しく感じる方もいらっしゃいますが、維持費の負担、例えば固定資産税の納税義務や地震や災害での修復などの重荷から解放されるとも言えます。 Fさん: 確かにそうですね。他に、返済などの今後については、どのような違いが出ますでしょうか? FP吹田:リースバックは、家賃を支払い、将来、資金ができたら買い戻すこともできます。一方、不動産担保ローンは、借入期間中は借入元本と利息の返済をしていきます。 Fさん: なるほど。今の自分だとリースバックで家賃を払ったり、将来買い戻したりするのは資金的に難しそうです。でも、ローンだと、昨年終わったはずが、また始まるわけですね。 FP吹田:とはいえ、不動産担保ローンの実際の負担は、予算では500万円~600万円という借入金額ですし、何年間借りるかという返済期間によって全然変わってきますよ。それに、不動産担保ローンはFさんのお嬢様が借りる形にする方法もありますよ。 (3)利用者の生活スタイルや性格・志向によって使い分けできる Fさん:え?私がローンを組まなくても、娘の名前で不動産担保ローンを契約できるのですか!それなら、娘が借入希望額や返済期間を決められるので、スッキリするような気がします。たぶん私への負い目を感じることも少なくてすむでしょうし。 FP吹田:そうですね。以下に比較一覧を作成しましたが、基本的にローンが嫌いな方、所有権が変わっても平気な方、物件も共有名義などでなく自分で決められるという方は、リースバックを好まれる傾向が強いようです。 Fさん: なるほど。所有権の変更で、ふと思い出したのですが、うちは小規模なマンションなので、管理組合の理事がよく回ってきます。来年くらいに順番だからお願いねと打診があったのを思い出しました。これは所有権の有無によって、理事を受けれるかどうか影響も出てきますよね。みんなからあれ?って思われてしまいそうで、ちょっと心配です。 FP吹田:マンション内でコミュニティができていて、皆さんよくお話しされる関係なのですね。理事の人事を巡って詮索されたくない場合は、所有権が変わらない状態で、担保評価の範囲内で借入をして返済をしていく不動産担保ローンのほうが、使いやすいかもしれませんね。お嬢様なら、返済計画もしっかり考えていそうでしょうし、お話しされてはいかがでしょうか? Fさん:  わかりました。話してみます。それぞれの仕組みや特徴の違いがわかったので、私も娘も納得できると思います。 不動産担保ローンとリースバックの主な特徴 不動産担保ローンリースバック 仕組み不動産を担保にした借入れ不動産の売却と賃貸の組み合わせ 所有権の変更なしあり 月々の負担額借入元本返済と利息家賃 取引後返済できれば、不動産はそのまま。返済できない場合は、担保不動産を売却。そのまま賃貸として住み続けられる。後で買い戻すことも可能。 資金使途の制限少ないなし 契約当事者所有者本人のほか、家族でも可能。所有&居住者(共有していれば名義人全員) まとめ 住み続けながら資金を捻出する方法として、 不動産担保ローンが向いているタイプは? ・返済計画がしっかりできている方 ・所有権が変わるのが気になる方(近所付き合いやマンション管理組合の理事など) ・本人や家族が不動産を持ち、ローンへの抵抗が少ない方 リースバックが向いているタイプは? ・借金が嫌いな方 ・所有権を手放しても平気な方(固定資産税や維持費など負担が軽くていいなど) ・不動産が共有名義でなく、自分で意思決定しやすい方 不動産担保ローンならSBIエステートファイナンス リースバックならSBIスマイル リースバックの商品詳細はこちら もっと詳しく知りたい方はこちら SBIスマイルのリースバックをご紹介します。仮査定も無料で受け付けています。※SBIスマイルのHPに遷移します。 執筆者紹介 吹田 朝子( Tomoko Suita ) 人とお金の理想的な関係を追求するお金のメンタリスト®・1級ファイナンシャルプランニング技能士・宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・キャリアコンサルタント (社)円流塾代表理事、ぜにわらい協会会長、STコンサルティング(有)代表取締役社長 一橋大学卒業後、金融機関の主計部を経て1994年より独立。中小企業経営者から個人まで相談実績は3,300件以上。自己実現のためのお金の使い方や増やし方のサポートに力を入れている。 <主な著書> 「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」スタンダーズ社・「小学生でもわかる!お金にまつわるそもそも事典」C&R研究所・「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」C&R研究所 など リースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 リースバックとは、所有している資産を第三者に売却し、リース契約を締結することで、それまでと同じ資産を利用し続けることを可能にする取引手法を指します。住宅においては、自宅を売却して現金を得て、...記事を読む リースバックと不動産担保ローンの違いを徹底比較! リースバックと不動産担保ローンは、不動産を活用して資金調達するところは同じですが、特徴や仕組みには違いがあります。両者の違いを理解しておくことで、ご自身のライフスタイルや考え方に合わせて最適...記事を読む

  • 不動産担保ローンと住宅ローンの違いとは

    不動産担保ローンと住宅ローンの違いとは

    自宅を購入するとき、住宅ローンを利用する人が多いでしょう。しかし、外国人や自営業の人など、民間の金融機関の住宅ローンを申し込んだものの、審査に落ちた人もいるかもしれません。そのような時に、不動産担保ローンなら利用できる可能性があります。 この記事では、不動産担保ローンと住宅ローンの違いを解説します。 不動産担保ローンとは 不動産担保ローンとは、不動産を担保にして、お金を借り入れることができる商品です。所有している不動産を担保にすることで、さまざまな資金使途に利用できます。また、自身が所有していない不動産を担保にした、不動産購入資金のための担保とすることも可能です。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 不動産担保ローンよりも住宅ローンの方がよく知られていますが、住宅ローンも不動産を担保に融資を受けるローン商品であり、不動産担保ローンの一種です。つまり、購入予定の不動産を担保にした、不動産購入に係る資金使途のみに利用される不動産担保ローンを住宅ローンと言います。 不動産担保ローンと住宅ローンの違い ここでは、「不動産担保ローン」として提供されている商品と、「住宅ローン」として提供されている商品の違いを解説します。これらの商品は、主に以下のような項目で異なります。 資金使途 担保不動産 金利 その他 資金使途 前述のとおり、住宅ローンはあくまで不動産購入に係る土地や建物の購入や建築、改築などに資金使途が限定されています。一方で、不動産担保ローンは、生活資金や納税資金、事業資金にも利用できるフリーローンです。これらの特徴から、不動産担保ローンは個人に限らず、法人でも利用できます。 担保不動産 住宅ローンは購入する不動産を担保に借り入れを行うのが一般的です。一方で、不動産担保ローンは購入する不動産の他、自身が所有する不動産や親族所有の不動産でも担保にすることができます。担保不動産は金融機関によって異なるため、詳細は問い合わせ時に確認するようにしましょう。 金利 2023年12月現在、一般的な住宅ローンで最も低い水準の金利は、0.30%程度から提供されています。一方で、不動産担保ローンは住宅ローンに比べると金利が高く、下限で2.00%前後から上限7.00%程度まで幅広く提供されています。この理由は、資金使途が自由である点からも、住宅ローンというより無担保ローンに性質が近く、金融機関にとってのリスクが高いのも一因です。 その他 上記で挙げた項目以外にも、借入限度額や返済期間、団体信用生命保険の有無なども異なります。あくまで一般的な商品による違いであるため、取扱金融機関によってはその限りではありません。詳細は、金融機関に問い合わせてみましょう。 住宅ローンではなく不動産担保ローンを利用する場面 前述のとおり、自宅購入のためにローンを利用する場合は、住宅ローンを利用したほうがいいでしょう。一方で、以下のような場合には不動産担保ローンを検討してみるといいかもしれません。 自宅購入以外の目的で融資を受ける場合 自宅以外の不動産を担保に融資を受ける場合 住宅ローンの審査で落ちてしまった場合 自宅購入以外の目的で融資を受ける場合 不動産担保ローンを利用する主な目的に、生活資金や教育資金、事業資金の借り入れが挙げられます。そのほかにも、既存の借り入れの借り換えなども目的となるでしょう。前述のとおり、住宅ローンはあくまで住宅購入に関する使途に限定されるため、これらの目的に利用することはできません。一方で、不動産担保ローンでは、所有不動産を担保にして、融資を受けることができます。 自宅以外の不動産を担保に融資を受ける場合 住宅ローンでは、資金使途の他、担保とする不動産の制限もあります。例えば、親などの親族が所有する不動産や、投資用のアパートなどの不動産は、担保とすることが難しいでしょう。一方で、不動産担保ローンでは、金融機関によって詳細は異なるものの、担保として認められる可能性があります。 住宅ローンの審査で落ちてしまった場合 どうしても欲しい物件があっても、与信面や健康面の問題で住宅ローンの審査に落ちてしまうこともあるでしょう。不動産担保ローンでも、与信面の審査はありますが、物件の評価に応じて総合的に判断してくれることもあります。また、団体信用生命保険への加入不要な不動産担保ローンもあるので、利用できる可能性があります。 まとめ 不動産担保ローンを自己居住の不動産購入目的で利用しようとすると、民間の金融機関で提供されている住宅ローンよりも金利は高いでしょう。一方で、資金使途や担保不動産、審査による問題から、不動産担保ローンが有効な解決手段になるかもしれません。このような問題がある場合など、不動産担保ローンを検討するといいかもしれません。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 住宅ローン返済中でも、不動産担保ローンで借り入れできる人とは? 不動産担保ローンは、住宅ローンの残高があったとしても該当する不動産を担保にして借り入れできる可能性があります。しかし、必ずしも借り入れできる訳ではありません。この記事では、住宅ローンの残高が...記事を読む

  • 不動産担保ローンとカードローンの違いとは

    不動産担保ローンとカードローンの違いとは

    不動産担保ローンとカードローンは、資金が必要な際に利用できるローンという点では同じですが、特徴やメリット、デメリットは異なります。それぞれの違いを理解し、不動産担保ローンとカードローンを適切に使い分けることが大切です。 この記事では、不動産担保ローンとカードローンの違いについて解説します。なお、カードローンには不動産担保ローンのカード型もありますが、この記事でのカードローンは一般的な無担保カードローンと定義します。 不動産担保ローンとカードローンの概要 不動産担保ローンの概要 不動産担保ローンとは、不動産を担保に資金を借りる有担保ローンです。資金使途は原則自由であり、様々な用途で利用することができます。詳しくは、以下の記事で解説しています。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 カードローンの概要 カードローンとは、利用限度額の範囲なら、銀行やコンビニのATMやインターネットを利用して、何度でも自由に借入や返済ができる無担保ローンのことです。銀行や消費者金融が提供しており、入会金や年会費は必要ありません。資金の利用目的は原則自由で、旅行やレジャー、冠婚葬祭、美容代など、さまざまな用途に利用できます。 ただし、サービスによっては、事業性資金には利用できないこともあります。契約できる年齢には制限があり、20歳以上の方が対象です。また、高齢者の年齢制限は、60代後半までが上限となることがほとんどです。カードローンの中には、初めて利用する方を対象に無利息期間を設定しているサービスもあります。 カードローンのメリット カードローンを利用するメリットとして、以下のものが挙げられます。 審査が早い カードローンは審査が早く、短時間で資金調達が可能です。カードローンは無担保なので、担保について審査する時間を省略できるからです。中には「最短30分で審査結果を回答できる」とうたっているカードローンもあります。申し込みはインターネットで完結するので、店舗に訪問して手続きする必要もありません。 保証人不要 ローンを利用する場合は、保証人が必要なケースもあります。家族や友人に保証人をお願いすることを心苦しいと感じる方は多いのではないでしょうか。また、保証人が思うように見つからないと、保証人を探すのに大変な労力がかかります。カードローンは保証人不要で利用でき、限度額の範囲内であれば何度でも自由に借入や返済が可能です。 ATMやインターネットで借入・返済できる ATMやインターネットで借入や返済できるのも、カードローンのメリットのひとつです。急にお金が必要になった場合でも、近くの銀行やコンビニATMですぐに借りることができます。時間帯によっては、ATM手数料0円で利用可能です。また、スマホやパソコンから手続きすれば、登録口座に振込してもらえます。 カードローンのデメリット カードローンは先ほど紹介したメリットがある一方で、以下のようなデメリットもあります。 金利が高い カードローンの金利は一般的に4%~15%で、さらに高い金利が適用されることもあります。カードローンは担保という保証がないため、利用者が返済できなくなった場合のリスクに備えて金利は高めに設定されています。借入金利が高いと利息の負担額が大きくなり、返済総額が増えてしまいます。 返済期間が長期化しやすい カードローンは、返済期間が長期化しやすいのもデメリットです。ほとんどのカードローンは、「定額(定率)リボルビング方式」と呼ばれる返済方式を採用しており、借入残高に応じて決めた固定金額または借入残高の一定割合を毎月返済していきます。リボルビング方式は、毎月の返済額は少額で済みますが、返済額に占める利息の割合が大きいのが特徴です。元本の返済がなかなか進まないため、返済期間が長期化しやすくなります。 不動産担保ローンとカードローンの違い カードローンと比較した不動産担保ローンのメリット 不動産担保ローンは、カードローンよりも低金利で借入できます。カードローン金利は一般的に4%~15%ですが、不動産担保ローンは一般的に2%~10%程度です。 また、カードローンの限度額は最大1,000万円程度ですが、不動産担保ローンなら、担保とする不動産の価値によっては1億円以上の資金を借りることも可能です。さらに不動産担保ローンは返済期間を10年~30年と長期に設定することができ、カードローンに比べて長期間の借入がしやすいメリットもあります。 カードローンと比較した不動産担保ローンのデメリット 不動産担保ローンは、担保となる不動産の価値を評価する必要があるため、融資に時間がかかります。カードローンのように短時間で審査終了、即日融資というわけにはいきません。 また、カードローンは通常、手数料は発生しませんが、不動産担保ローンでは事務手数料、不動産鑑定費用、抵当権の登記費用などがかかります。借りたお金を返済できなくなると、担保にした不動産を処分されてしまうのもデメリットです。 不動産担保ローンとカードローンをどう使い分ける? 不動産担保ローンを検討した方がいい場合 担保にできる不動産を保有していることが前提ですが、まとまった資金を低金利で調達したい場合は不動産担保ローンを検討するといいでしょう。カードローンと比較して金利が低く、返済期間を長く設定できるため、月々の返済額も安く済みます。事業の運転資金や開業資金など、まとまったお金を借りて長期に渡って返済していきたい場合は、不動産担保ローンが向いているといえます。 カードローンを検討した方がいい場合 カードローンは急に資金が必要な場合や必要な金額が少額な場合は、即日融資が可能で借入時の手数料がかからないカードローンを検討するといいでしょう。ただし、不動産担保ローンと比較して高金利なので、返済が長期化しないように注意が必要です。医療費や冠婚葬祭費用など、急に必要となった費用を一時的に借りて短期間で返済する場合は、カードローンが向いているといえます。 まとめ カードローンは気軽に利用できますが、金利が高いので、長期間にわたって利用すると利息の負担額が大きくなってしまいます。カードローンはどうしても資金が必要なときに短期間だけ利用し、なるべく早く返済することを心掛けましょう。 一方で、担保にできる不動産を保有している人がまとまった資金を低金利で調達したい場合は、不動産担保ローンがおすすめです。不動産担保ローンとカードローンそれぞれのメリットとデメリットを比較し、ご自身の状況に合わせてどちらを利用するか判断しましょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 【不動産担保ローンの即日融資】できるだけ早く資金調達するには? 不動産担保ローンを提供している金融機関の中には、即日融資に対応しているところもあります。持ち家の人で至急まとまった資金が必要になれば、不動産担保ローンで即日融資を受けることを考えるかもしれま...記事を読む

  • 住宅ローン返済中でも、不動産担保ローンで借り入れできる人とは?

    住宅ローン返済中でも、不動産担保ローンで借り入れできる人とは?

    不動産担保ローンは、住宅ローンの残高があったとしても該当する不動産を担保にして借り入れできる可能性があります。しかし、必ずしも借り入れできる訳ではありません。この記事では、住宅ローンの残高があったとしても借り入れできる人とできない人の差が何かを解説します。 不動産担保ローンの借入可能額は不動産評価額で決定する まずは、不動産担保ローンの借入可能額がどのように計算されるのかを紹介します。 不動産は購入時点で、その購入額と評価額は10%以上乖離するともいわれています。たとえば、5,000万円の物件を購入したとすると、購入した直後であってもその評価額は4,500万円程度とみなされてしまうのです。つまり、物件を購入してすぐの住宅ローンの残高は、頭金を多めに支払っていない限り、不動産評価額より大きくなります。 また、不動産担保ローンの借入可能額は不動産評価額の60%~80%程度とされています。それはなぜでしょうか。例えば、金利1%で返済期間が35年の住宅ローンの場合、借り入れ当初の住宅ローン残高が30%減るのは約12年程度必要です。 万が一融資の返済が滞り、金融機関が担保不動産を現金化できなければ、その間に不動産価格が減少してしまうという恐れもあるのです。不動産担保ローンでは、このようなリスクに備えるために、あらかじめ融資限度額を不動産評価額の60%~80%に設定しています。 住宅ローンの残高が残っている場合、住宅ローンを融資している金融機関が第一抵当権を設定しています。万が一お金を返せなくなった時に、金融機関はその抵当権を行使することで、担保としている不動産を売却し融資の残額を回収します。 住宅ローンの返済が進んでいて、住宅ローンの残高を上回る借入可能額があり、第二抵当権を設定する担保余力があれば、不動産担保ローンとして新たに借り入れができます。ただし、不動産担保ローンでは不動産の評価と信用力の大きく分けて二つの審査対象があるため、必ずしも借入可能額まで借り入れできるわけではないことは理解しておきましょう。 関連記事はこちら不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイント 住宅ローンの残高があっても借り入れできる人 住宅ローンの残高があっても借り入れできる人の例は下記のような人です。 頭金を入れて不動産を買った人 頭金を入れて物件を購入した場合、その金額が大きければ住宅ローンの残高が不動産担保ローンの借入可能額に比べて少なくなる可能性があります。たとえば、5,000万円の物件を購入する際に、2,500万円を頭金として支払えば、住宅購入時点で住宅ローンの残高は2,500万円です。不動産購入直後の不動産評価額を90%の4,500万円、借入可能額を不動産評価額の80%とすると3,600万円となり、住宅ローンの残高2,500万円を差し引いた1,100万円分の担保余力が生まれます。 この担保余力は、万が一返済できなくなり住宅ローンの第一抵当権を行使された後でも現金が残るので、この範囲であれば金融機関としても安心して融資することができます。 このように頭金を入れて物件を購入すると、借入可能額に比べて住宅ローンの残高が減っているので、不動産担保ローンを借り入れできる可能性が高まります。 住宅ローンの繰り上げ返済をしている人 繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に借入金を返済することをいいます。住宅ローンの繰り上げ返済をすることで、支払利息の減少や、返済期間の短縮などのメリットがあります。 住宅購入直後は、実際の購入代金が不動産評価額を上回り、担保余力がなかったとしても、住宅ローンを繰り上げ返済することにより、住宅ローンの残高が借入可能額を下回るようになれば、不動産担保ローンを借り入れできるようになります。 不動産価格が大きく下落した時期に物件を購入した人 最近ではリーマンショックの後に不動産価格が大きく下落しました。このような時期に割安な価格で不動産を購入していれば、景気の回復に伴い不動産価格が上昇したときに、不動産評価額が購入時に比べて高くなることもあります。借入可能額と住宅ローンの残高の差額が担保余力となり、十分な余力があれば不動産担保ローンを借り入れできます。また、価格が大き上昇していれば、購入時の不動産価格を超えて借り入れできる場合もあります。 住宅ローンの返済期間が短く、残高の減りが早い人 金利1%の35年の住宅ローンであった場合、当初残高が30%減るのは約12年程度必要でしたが、返済期間を20年に設定していた場合は7年程度で減ります。同じ金額を借り入れたとしても、毎月の元本返済額の違いにより、残高の減り方が異なります。このように、住宅ローンで同じ金額を借り入れたとしても、返済期間が短く、残高の減りが早ければ、不動産評価を住宅ローンの残高が早い段階で下回り、不動産担保ローンを借り入れられる可能性があります。 まとめ 住宅ローンの残高があったとしても、不動産担保ローンを借り入れできる例を紹介してきました。住宅ローンの残高や不動産評価次第で不動産担保ローンを新たに借り入れできる可能性があります。住宅ローンの残高があったとしても資金不足で困っているなら、一度相談してみてはいかがでしょうか。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローンの「仮審査」とは? 不動産担保ローンを提供している金融機関のホームページには、よく「仮審査」や「事前審査」という言葉が使われています(以後この記事では「仮審査」と呼称します)。住宅ローンを利用したことがある人な...記事を読む

  • 【FP解説】不動産担保ローンとリバースモーゲージの違いとは?

    【FP解説】不動産担保ローンとリバースモーゲージの違いとは?

    「預貯金が十分にはなく、まとまったお金が用意できない」といった悩みを持つことがあるかもしれません。そんな時、持ち家であれば、不動産を活かしてお金を捻出できないか?と思う人もいるのではないでしょうか?例えば、親の介護施設などの費用を捻出する際に、実家の資産価値を活かせないか相談にくる人もいます。 この記事では、1人暮らしの親の介護に関わる費用に悩む62歳男性の事例をご紹介します。 [ ご相談者 Hさん ] 62歳男性 会社員(配偶者あり) 子は独立 1人暮らしの母親(88歳)の足腰が弱くなり、車椅子が必要になったことで(要介護3)、介護施設の入居を考えている。 Hさんには弟がいるが、海外にいるので介護面でほとんど協力は得られない。 (1)リバースモーゲージの特徴と注意点 Hさん: 先日、母が米寿を迎えたのですが、最近足腰が弱まっていたからか転倒し、車椅子が必要になってしまいました。実家は昔ながらの二階建ての一軒家でバリアフリーではなく、介護施設の方が安心かと探しています。ただ、両親も自分も、自由に使える現預金があまり手元にないので、その費用をどう捻出しようかと考えています。調べていたら「リバースモーゲージ」を知ったのですが、どうなんでしょうか? FP吹田:リバースモーゲージは、自宅を担保にして融資を受けられる商品です。資金使途は生活費などにも利用でき、介護施設の入居費用にも使えますね。Hさんのケースであれば、お母様所有のご実家を担保に年金形式でお金を借りられます。ちなみに、リバースモーゲージを考えられた理由はなぜでしょうか? Hさん: 家を売るような話は、到底母に言えないですし、まずは今の住まいを維持した状態で、資金を捻出できる方法はないかと調べていたからです。 FP吹田:なるほど。リバースモーゲージは、ご実家を担保にはしますが、所有権を手放すわけではないので、今回のケースでは選択肢の一つになりそうですね。なお、年金形式で融資を受けられる目安は、担保評価額の約半分程度までが一般的と言われています。 Hさん: え?担保評価額の半分程度なのですか?もっと多いかと思ってました。 FP吹田:リバースモーゲージは、そもそも高齢者向けの商品である上に、死ぬまで利息のみの返済で長期間の融資になるので、評価目一杯の融資は難しく、担保評価に対して保守的にならざるを得ません。しかも、担保評価額は毎年見直されるので、評価額の減少で利用可能額が下がることもあり得ます。その場合、利用可能額を超えてしまった分は一括返済となるので注意が必要です。 Hさん: なるほど。うちは一戸建てとはいえ、そんなに評価額は高くないかもしれないですね。弟は海外にいるので、あまり相談できないですし。 FP吹田:推定相続人はHさんと弟さんのお2人ですか?というのも、リバースモーゲージは、ご実家の所有者であるお母様がお亡くなりになられた後に、売却して一括返済するというのが一般的なので、相続人全員の同意も必要になるのです。 Hさん: そうでしたか。母に万一の際の相続人は僕たち兄弟2人です。リバースモーゲージは、毎月の負担が利息だけと知っていいなと思ったのですが、実際は、借入可能額や相続人同意の件など、ちょっと厳しいかもしれません。他に売却せずにできる方法は何があるでしょうか? (2)不動産担保ローンの特徴とデメリットの解消法 FP吹田:不動産を担保に融資を受けるという点で、共通している不動産担保ローンという選択肢もあります。リバースモーゲージと不動産担保ローンの特徴を一覧にしたので、こちらを見てみましょう。 不動産担保ローンとリバースモーゲージの主な特徴 不動産担保ローンリバースモーゲージ 仕組み一括借入れと返済融資上限枠内の分割借入れ(年金形式) 担保不動産不動産 借入可能目安物件の評価額の6割~8割程度物件の評価額(毎年見直し)の5割程度 所有権の変更なしなし 最終形返済できれば、不動産はそのまま。返済できない場合は、担保不動産を売却。死亡時に不動産を売却して元本一括返済(一部例外あり) 月々の負担元本と利息毎月利息分のみ負担 金利変動金利、固定金利変動金利が多い 相続人の同意不要必要 年齢・所得・資金使途の制限少ないある(高齢者向け) Hさん: 不動産担保ローンだと、担保物件の評価額の6割~8割程度までみてもらえるのですね。 FP吹田:はい、個別事情による部分もありますが、一般的には6割~8割程度と言われており、担保物件についても一戸建てのみでなく、マンションや借地権付建物含め、利用できる対象も幅広いと言えます。 Hさん: なるほど。毎月の返済は、元本と利息ですよね。そこがちょっと不安だったりします。 FP吹田:確かに、毎月の返済が重荷になることを心配される方も多いでしょう。その場合の対策として、返済期間が最長で25年程度まで可能なところを利用し、例えば、お母様の寿命を全うできるような期間にすれば、最後に売却して清算ということもしやすいのではないでしょうか? Hさん: なるほど。期間を長めに設計してもらうのですね。入居金が1,000万円くらいとして、仮に1,300万円くらい借りるとどの程度の負担になるのでしょうか? FP吹田:そうですね、金利4%、返済期間25年の元利均等返済方式で計算すると、毎月約6.8万円(初回の内訳は利息分が約4.33万円、元本返済分が約2.52万円)になります。元利均等返済方式なので、徐々に利息の割合が減っていき、元金と同等になるのが7~8年経過(93回目)のようです。 Hさん: そうか、はじめのうちは金利負担の割合が大きいから、仮にリバースモーゲージで利息のみ返済の場合と比べても、2倍に膨らむわけではないのですね。あとは、返済負担を考慮して余裕をもって借入金額を設計してもらえたら有難いですね。母もどこまで長生きするかわかりませんが、この方法なら、海外の弟には手続きなど煩わせることなくできるので、検討してみます。もちろん、弟に一報は入れておきますが。 FP吹田:そうですね。不動産担保ローンは、資金使途も介護などにとどまらず、事業資金、生活資金など幅広く利用できるので、柔軟性は高いといえます。最後にリバースモーゲージと不動産担保ローンそれぞれのメリットとデメリットを整理しておきますので、ご参考ください。 まとめ リバースモーゲージの主なメリット・デメリットは? <メリット> ・高齢でも借りられる ・毎月の返済負担が小さい <デメリット> ・担保評価額の5割程度が借入可能額の上限 ・生きている限り返済が終わらない ・手続きに相続人全員の同意が必要 不動産担保ローンの主なメリット・デメリットは? <メリット> ・年齢や所得制限があまりない ・担保評価額の6割~8割程度が借入可能額の上限 ・相続人の同意は必要ない <デメリット> ・完済時年齢が設定されている ・毎月の返済負担が大きい 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 吹田 朝子( Tomoko Suita ) 人とお金の理想的な関係を追求するお金のメンタリスト®・1級ファイナンシャルプランニング技能士・宅地建物取引士・住宅ローンアドバイザー・キャリアコンサルタント (社)円流塾代表理事、ぜにわらい協会会長、STコンサルティング(有)代表取締役社長 一橋大学卒業後、金融機関の主計部を経て1994年より独立。中小企業経営者から個人まで相談実績は3,300件以上。自己実現のためのお金の使い方や増やし方のサポートに力を入れている。 <主な著書> 「お金の流れをきれいにすれば100年人生は楽しめる!」スタンダーズ社・「小学生でもわかる!お金にまつわるそもそも事典」C&R研究所・「お金オンチの私が株式投資を楽しめるようになった理由」C&R研究所 など 住宅ローン返済中でも、不動産担保ローンで借り入れできる人とは? 不動産担保ローンは、住宅ローンの残高があったとしても該当する不動産を担保にして借り入れできる可能性があります。しかし、必ずしも借り入れできる訳ではありません。この記事では、住宅ローンの残高が...記事を読む

  • 不動産担保ローンとリースバックの違いとは

    リースバックと不動産担保ローンの違いを徹底比較!

    リースバックと不動産担保ローンは、不動産を活用して資金調達するところは同じですが、特徴や仕組みには違いがあります。両者の違いを理解しておくことで、ご自身のライフスタイルや考え方に合わせて最適な方法を選択できます。 この記事では、不動産担保ローンとリースバックの違いについて詳しく解説します。 リースバックと不動産担保ローンの概要 リースバックの概要 リースバックとは、不動産売買と賃貸借契約が一体となったサービスです。自宅を売却する場合、通常であれば新たな住まいを探す必要がありますが、リースバックであれば自宅を売却した後もそのまま住み続けられます。また、リースバックは資金使途に制限がなく、老後資金や教育費、事業資金の確保など幅広く活用できます。 関連記事はこちらリースバックとは?仕組みやメリット・デメリットを解説 不動産担保ローンの概要 不動産担保ローンとは、不動産を担保に資金を借りることができるローン商品です。自宅を担保に資金を調達する場合でも、自宅に住み続けながら資金を調達することができます。また、不動産担保ローンも資金使途は原則自由であり、幅広く活用できます。 関連記事はこちら不動産担保ローンとは?メリット・デメリットを解説 リースバックと不動産担保ローンの共通点と違い まず、リースバックと不動産担保ローンは「不動産を活用した資金調達方法」という点では共通しています。しかし、リースバックは不動産売買+賃貸借契約、不動産担保ローンは融資であり、そもそもの仕組みが異なります。 具体的には以下のような違いがあります。 所有権移転の有無 資金の受け取り方(売却と融資) 月々の支払い(家賃と利息) リースバックは、自宅を売却して賃貸に切り替えた時点で所有権は運営会社に移転します。それに対して、不動産担保ローンはあくまで自宅を担保にするだけなので、自宅の所有権は移転しません。 また、リースバックは売却資金を受け取り、その後は毎月家賃を払うのに対し、不動産担保ローンは融資を受け、毎月返済を行う点で異なります。 不動産担保ローンと比較したリースバックのメリット 不動産担保ローンと比較したリースバックのメリットは以下の2つです。 ①審査がない リースバックは不動産売却なので、基本的に年齢や年収などの条件で断られることはありません。持ち家さえあれば利用しやすい商品といえるでしょう。 一方で不動産担保ローンは融資なので、年齢や年収などを審査されます。不動産担保ローンは不動産評価を重視するローンではあるものの、リースバックと比較すると条件次第では利用できない恐れもあるでしょう。 ②持ち家リスクがない リースバックは自宅を売却するため、普段の維持管理や災害などによる被害の修繕にかかる費用は全て運営会社が負担してくれます。 一方で不動産担保ローンは利用した後も自宅を持ち家として保有し続けることになるため、上述の費用は自己負担となります。 不動産担保ローンと比較したリースバックのデメリット 不動産担保ローンと比較したリースバックのデメリットは以下の2つです。 ①必ずしも住み続けられるとは限らない リースバックは賃貸借契約の種類によっては、例え家賃を滞納していなかったとしても退去しなければならなくなる恐れがあります。 一方で不動産担保ローンはあくまで自宅を担保にしているだけなので、返済を滞納しない限りは自宅に住み続けられます。 関連記事はこちらリースバックの退去について解説!強制退去させられることはある? ②リフォームができなくなる リースバックを利用すると自宅の所有権はリースバックの運営会社に移転してしまいます。そのため、リースバックを利用した時点で自由にリフォームをすることができなくなります。 一方で不動産担保ローンは自宅の所有権を手放すわけではないので、利用した後も引き続き自由にリフォームをすることができます。 リースバックと不動産担保ローン、どちらを利用すべき? リースバックは不動産を売却するため、売却金額に対して必要資金が過小な場合はあまり適していません。例えば、不動産評価額が5,000万円のとき、リースバックの売却金額は3,500万円前後が目安です。仮に必要資金が1,000万円である場合には、必要以上の手元資金を確保したことになります。また、売却価格だけに着目すると、取引時点で損失を確定したという見方もできます。 一方で不動産担保ローンの場合は、自宅の不動産評価額をもとに金融機関が定めた借入限度額までであれば、自由に借入額を設定できます。そのため、必要な金額がリースバックによって得られる資金と比較して明らかに小さい場合は、不動産担保ローンの利用を検討すべきと言えます。 ある程度まとまった資金が必要なら リースバックの売却金額は一般的に7割前後と言われていますが、運営会社によっては8割近くになることもあります。さらに、不動産担保ローンの担保掛目は、一般的に6割~8割程度と言われています。 つまり、リースバックの売却金額と不動産担保ローンの融資限度額は同程度、もしくは運営会社や金融機関によって異なるものの、リースバックの方がまとまった金額を調達できることもあります。 また、不動産担保ローンは一般的に、融資希望額が大きくなるにつれて、審査が通りにくくなります。このような状況では、同一商品、サービス内での検討だけでなく、それぞれのサービス間でも比較検討する価値があると言えるでしょう。 まとめ リースバックは売却と賃貸を組み合わせた取引であり、融資である不動産担保ローンとはそもそもの仕組みが異なります。両者の違いを正しく理解したうえで、ライフスタイルや考え方に合わせてどちらを利用するかを検討しましょう。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックとリバースモーゲージの違いを徹底比較! 近年、まとまった老後資金を確保する手段として「リースバック」や「リバースモーゲージ」が注目されています。もし、まとまった老後資金の確保を目的として利用を検討する場合には、リースバックとリバー...記事を読む

  • 不動産担保ローンのよくあるご相談5選

    不動産担保ローンのよくあるご相談5選

    不動産担保ローンは、所有する不動産を担保とすることで、さまざまな資金使途に利用できるローンのひとつです。住宅ローンなどに比べると知られていないので、どのような商品でどのような条件があるのか、詳しく知りたいという人もいるかもしれません。 この記事では、不動産担保ローンのよくあるご相談を5つ紹介します。 ① 住宅ローンを借りていても融資を受けられますか? 住宅ローンを借りている物件でも、融資を受けられる可能性があります。融資を受ける際には、担保物件に第二抵当権を設定することが必要です。万が一返済ができなくなった時には、抵当権の順位が高い順に回収されるので、第一抵当権に住宅ローンがある場合はまず住宅ローンの残高分から回収されます。 たとえば、第一抵当権の住宅ローンの残高が4,000万円、第二抵当権の不動産担保ローンの残高が1,000万円の場合を考えます。不動産の売却価格が5,000万円を超えれば、住宅ローンの4,000万円と不動産担保ローンの1,000万円をともに回収できます。 一方で、不動産の売却価格が5,000万円を下回る4,500万円の時、不動産担保ローンは住宅ローンの残高4,000万円を回収した残りの500万円しか回収できなくなります。このように、第二抵当権での不動産担保ローンはリスクを背負うため、不動産評価が十分に取れることや、第一抵当権の住宅ローンの返済が進んでいる必要があります。 関連記事はこちら住宅ローン返済中でも、不動産担保ローンで借り入れできる人とは? ② 本人以外が所有する不動産を担保にして融資を受けられますか? 金融機関によっては、本人以外の所有不動産を担保にした融資を受けられます。融資の審査が厳しい銀行などでは、一般的に本人以外の所有不動産を担保とすることはできません。一方で、与信業務を専門に行うノンバンクでは、親族等の不動産を担保として融資を受けられる可能性もあります。 ただし、融資を受けるためには、不動産所有者の承諾が得られていることが条件となることが多いです。また、高齢の人が所有する不動産の場合は、契約における意思能力に問題がないかを確認するので、相談をされる際は不動産所有者の承諾を必ず得てからにしましょう。 ③ 妻との共有名義の不動産を担保にして融資を受けられますか? 金融機関によっては、共有名義の不動産を担保にした融資を受けられます。最近では共働きが増えたこともあり、夫婦2人で住宅ローンを借りることもあるでしょう。この場合、持分割合が平等ではない場合もありますが、不動産の所有権は2人の物となります。 共有名義の不動産を担保にしたい場合、共有する人全員が連帯保証人になることができれば、担保にして融資を受けられる可能性があります。 ④ 信用情報に不安がありますが、融資を受けられますか? 信用情報に問題があっても必ずしも審査で否決されるとは限りません。返済に延滞があったり、過去に自己破産したりという経験があると、金融機関が閲覧する信用情報にいわゆる「ブラックリスト」として名前や住所などが掲載されます。このブラックリストに掲載されると、融資をするリスクが高いと判断されて、一般的には融資を断られる場合が多いでしょう。また、この情報はどこの金融機関も確認できるものなので、嘘をついたとしてもすぐに発覚してしまいます。 しかし、信用情報に問題がある債務者へ融資をするかしないかは各金融機関に委ねられています。不動産担保ローンでは、与信に加えて物件の審査も行われるので、物件面でリスクをカバーできると金融機関が判断すれば融資を受けられる可能性もあります。 ⑤ 不動産担保ローンで借り入れすることができる上限金額はいくらですか? 不動産担保ローンの上限金額は、金融機関によって異なり、1億円が上限の会社もあれば5億円が上限の会社もあります。しかし、この融資上限額の条件はあくまで、最大の融資限度額でしかありません。 すべての人が上限ギリギリまで借り入れができる訳ではなく、実際に借り入れできる金額は「個人の信用力」や担保として差し入れる「不動産の価値」によって決まります。個人の信用力を判断する要素は、収入・過去の返済実績・年齢などです。個人の信用力は借入金額もですが、金利にも影響を与えます。 また、不動産の価値は金融機関ごとに独自に計算され、算出された価値以上の融資を行うことはありません。なぜなら、万が一返済ができなくなった場合に、不動産を売却しても融資金を回収できなくなるからです。そのため、融資上限額は5億円と設定している金融機関でも、実際に借り入れができるのは、担保不動産の価値に左右されます。 不動産担保ローンの不安や悩みの解消は相談・仮審査から 不動産担保ローンに関するよくあるご相談を5つ紹介しました。不動産担保ローンの借り入れについて、不安や悩みがある人はまず金融機関に相談してみましょう。 不動産担保ローンは不動産を担保にすることで、無担保ローンよりも有利な条件で借り入れができる可能性があります。その一方で、住宅ローンほど一般的ではなく、その情報も限られています。利用する金融機関に疑問点を相談し、納得した上で不動産担保ローンをご利用ください。 無料相談してみる SBIエステートファイナンスが不動産担保ローンの疑問にお答えします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローンを比較する5つのポイント 不動産担保ローンは銀行やノンバンクなど、多くの金融機関が商品を提供しています。そのため、初めて不動産担保ローンを利用する場合、どのようなポイントを比較すればいいのかわからないかもしれません。...記事を読む

  • 不動産投資ローンの審査はココをみる(2)

    不動産投資ローンの審査はココをみる(2)

    投資用の賃貸アパートおよびマンション向けのアパートローンは、事業用資金の融資という側面が強い、ということを前回述べました。したがって、金融機関は、担保となるアパートやマンションの評価をする際、不動産の担保価値に加えて、不動産賃貸業としての収益性や継続性を判断することになります。 この記事では、アパートローンなど不動産担保ローンによる不動産投資を検討している人に向けて、収益性や事業性についてどんなポイントが審査されるのか、具体的にお話しします。現状、金融機関は、個人に対する新規の投資用不動産向け融資を抑制していますが、前回述べた相続税対策としてのアパートローンの活用は、今後も根強いニーズがあると考えられます。 収益性を左右するのは立地条件 アパート経営、あるいは、マンション賃貸業の収益力は、どんな要因に影響されるのでしょうか。さまざまな要因が挙げられますが、まずは入居者の確保が大前提となります。しかも、一般的にアパートローンは融資期間が長期にわたることから、長期間継続的に入居者が確保されることが重要になります。したがって、アパート経営などを検討する際には、必ず建設予定地周辺の賃貸用不動産に対する需要動向をチェックしなければなりません。 この賃貸需要は立地条件に大きく左右されます。例えば、都心近郊の鉄道路線の駅に近い立地であれば、継続的な賃貸需要が見込めます。具体的には、最寄り駅からの距離は、「徒歩10分」が目安になるとされています。ただし、乗降客の多いターミナル駅であれば、「徒歩15分」程度でも許容範囲と言われています。 以前は、あまり駅に近すぎていると、繁華街や幹線道路の騒音や電車の音がうるさいといったネガティブな要素もありましたが、最近は、防音性に優れた二重サッシの窓が普及しており、騒音を抑えられるようになっています。傾向として、駅に近いほど賃貸需要が見込めるようになりつつあります。 また、駅からのアクセスが良好でなければ、周辺に学校や大きな病院などの施設があるかどうか、といったことがポイントになってきます。前回紹介した、60歳以上の高齢者や要介護認定を受けた60歳未満の方を対象とした「サービス付き高齢者向け住宅」などは、総合病院が近くにあれば、居住者の利便性が大きくアップすると考えられるからです。 さらに、地域の人口動態も考慮すべきです。人口や世帯数が減少している市区町村や地域については、継続的な賃貸需要は見込めません。地域の人口動態をチェックするためには、総務省が発表している「住民基本台帳」が便利です。毎年、都道府県はもとより、全国の市区町村の人口や世帯数を記載しており、増減がわかるようになっています。 2018年1月時点のデータをみると、東京都では、八王子市、青梅市、町田市、福生市といった市で、前年から人口が減少しています。東京都全体では人口流入が続いていますが、このように市区町村レベルでは減少している地域もあります。ここ数年では、23区内でも足立区は減少する年が目立ってきました。都心部でも人口動態には差が生じています。「住民基本台帳」は総務省のホームページで閲覧できるので、ぜひチェックしてください。 長期的な視野に立って収益性を判断する 地域の賃貸需要がある程度把握できた後は、実際に部屋を借りてくれる賃借人を想定することが必要です。賃借人となるのは、単身者が多いのか、それともファミリー層なのか、あるいは高齢者なのか、といったことを想定します。具体的に借り手を想定することで、建築するアパートの間取りや専有面積を決めていくわけです。賃貸アパートやマンションは、いったん建築をしてしまうと、間取りや専有面積を変えることは困難です。最も多くの借り手として見込める層に見合った間取りや専有面積で建築しなければなりません。 例えば、学生や若手サラリーマンがおもな借り手として想定できるのであれば、間取りはワンルームあるいは1K、専有面積は18~20㎡が平均的な広さとなってきます。また、サービス付高齢者向け住宅の場合、単身者はワンルームか1K、専有面積は20~25㎡が妥当といえるでしょう。 こうしたステップを経れば、おのずと賃料も決まってきます。周辺にある同じような条件の物件と比較することで、賃料の〝相場〟がつかめるからです。ただし、ここで注意しなければならないのは、築年数が経過することによる賃料の値下げです。新築の物件であれば、当初は、同じような物件よりも賃料を高く設定しても賃貸需要は見込めるでしょう。しかし、築年数が経過すると、値下げをせざるを得ません。長期にわたるアパートローンの場合、そうした将来的な賃料の値下げも想定して、収益性を判断することが重要です。 実際、築年数が経過して、賃料を大幅に値下げせざるを得なくなった、さらには空室が頻繁に発生している、といったことが起きています。こうなると、当初見込んでいた賃料収入がローンの支払額を下回る、つまり、赤字の状態になりかねません。築年数の経過による値下げを織り込んだ収支計画を作ることができれば、ローンの審査にも通りやすくなると考えられます。 今回は、アパートローンなどで新築の賃貸物件を建築する人を念頭において解説をしてきましたが、投資用の中古アパートやマンションの購入を考えている人にも、内容はすべてあてはまります。購入を検討している物件が賃貸需要に合っているか、地域の人口は増えているかといったことは、中古物件でも何ら重要性は変わりません。建築当初は満室が続いていた単身者向けのワンルームの物件が、近接していた大学や企業が移転したことで空室ばかりになった、というケースも少なくないのです。やはり、長期的に収益性を考えることが大事なのです。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産投資ローンの審査はココをみる(2) 投資用の賃貸アパートおよびマンション向けのアパートローンは、事業用資金の融資という側面が強い、ということを前回述べました。したがって、金融機関は、担保となるアパートやマンションの評価をする際...記事を読む ▼シリーズ「不動産投資ローンの審査はココをみる」の記事一覧 ・第1回:不動産投資ローンの審査はココをみる(1) ・第2回:不動産投資ローンの審査はココをみる(2)

  • 不動産投資ローンの審査はココをみる(1)

    不動産投資ローンの審査はココをみる(1)

    賃貸アパートやマンション等の収益物件を担保とした貸出しは、金融機関の不動産関連融資の中では主力商品のひとつです。2013年から始まったアベノミクスによって、国内の金融市場は超低金利状態に突入し、一般の個人が投資目的でマンションを購入したり、賃貸アパート経営に乗り出したりするケースが増加しました。それに伴って、金融機関の投資用不動産向け融資も伸びていったのです。 2015年には、相続税が課税強化されたことで、賃貸アパート建設が全国各地で拡大しました。保有する土地に賃貸用の不動産物件を建設すると、相続税評価額が小さくなるという優遇措置を活用するためです。しかし、2018年に、地方銀行の賃貸アパート投資向けの不正融資が明らかとなって以降は、個人に対する新規の投資用不動産向け融資は急減しています。 こうした状況下、すでに保有している投資用不動産を担保としたローンの申し込みは増加傾向にあるようです。また、依然として、個人による不動産投資のニーズも衰えてはいません。そこで、賃貸アパートやマンションに対する評価について、足元の動向を踏まえながら改めて解説をしていきましょう。なお、投資用の賃貸アパートやマンション購入向けの融資は、金融機関では「アパートローン」と呼ぶことが多いので、以下、アパートローンと表記します。 「アパートローン」は事業用資金の融資に近い 借り入れる本人や家族が住むために住宅を購入する際の住宅ローンと、投資用アパートおよびマンション向け融資であるアパートローンの最も違う点はどこか? それは、アパートローンには事業用資金の融資という側面が強いことです。 賃貸用アパートおよびマンションへの投資は、単に不動産を取得するだけでは終わりません。用地の取得から始まり、建物の建設、賃借人の募集、家賃の徴収、建物の維持や管理といったさまざまな業務が伴います。 このように、中身は事業性資金の貸出しに近いといえますので金融機関としては採算性を重視することになります。通常、不動産業者が手掛ける商業ビルやオフィスビルへの投資と比較すると、金額的には小さくなりますが、個人としての借入金額はかなり大きいはずです。投資をする個人にとっては、大きなリスクを抱えることになります。 また、ここ数年、「サービス付き高齢者向け住宅」の建設するための資金として、アパートローンを活用するケースも増えています。サービス付き高齢者向け住宅とは、おもに民間事業者が運営するバリアフリー対応の賃貸住宅のことです。2011年に創設された制度により生まれた施設で、60歳以上の高齢者や要介護認定を受けた60歳未満の方を対象とした賃貸住宅です。 超高齢化社会を迎えつつある日本では、社会的なニーズも高く、現在も高水準の建設が続いています。建設にあたっては国からの補助金制度もあり、個人でも保有する土地に建設をするケースが少なくありません。冒頭で言及した、所有する土地に建設をすると相続税評価額を引き下げる効果もあるからです。ただし、そうした社会的なニーズに合致し、優遇制度が利用できる物件であっても、収益性が求められることには変わりありません。 「サブリース」方式の問題点 近年の賃貸用アパートおよびマンション投資ブームの背景には、「サブリース」契約の流行も影響しています。サブリースとは、サブリースを手掛ける会社がアパートを一括で借り上げ、各戸についてはそのサブリース会社が個人などに〝転貸〟をする、という仕組みです。一般的には、住宅メーカーや住宅メーカーの関連会社がサブリースを手がけているパターンが多いようです。 サブリース会社が建物全体を借り上げるため、賃借人の募集や家賃の徴収といった業務はサブリース会社が行ってくれます。アパートのオーナーはそうした煩わしい業務を自分でする必要はありません。オーナーにはサブリース会社から一定の賃料が支払われます。そのため、不動産投資の経験が浅い個人のアパートオーナーなどを中心に、積極的に活用されてきました。 しかし、サブリース方式によるアパート、マンション経営が上手くいかないケースが出てくるようになり、オーナー側に負債が発生している物件が増えてきました。サブリースの契約は、個人が適切な判断をするのが難しく、当事者間で問題が解決できずに裁判に持ち込まれるケースも少なくありません。次回以降では、サブリース契約の注意ポイントについても解説をしたいと思います。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産投資ローンの審査はココをみる(2) 投資用の賃貸アパートおよびマンション向けのアパートローンは、事業用資金の融資という側面が強い、ということを前回述べました。したがって、金融機関は、担保となるアパートやマンションの評価をする際...記事を読む ▼シリーズ「不動産投資ローンの審査はココをみる」の記事一覧 ・第1回:不動産投資ローンの審査はココをみる(1) ・第2回:不動産投資ローンの審査はココをみる(2)

  • 不動産担保ローンの「仮審査」とは?

    不動産担保ローンの「仮審査」とは?

    不動産担保ローンを提供している金融機関のホームページには、よく「仮審査」や「事前審査」という言葉が使われています(以後この記事では「仮審査」と呼称します)。住宅ローンを利用したことがある人なら、「本審査」前に必ず行う手続きの一つと思うかもしれません。 しかし、不動産担保ローンの仮審査は、住宅ローンで行われるものとは異なります。この記事では、不動産担保ローンの仮審査について解説します。 住宅ローンの仮審査とは 仮審査は住宅ローンにおいて不可欠な手続きの一つです。仮審査を通過しないと、融資をするかどうかを決定する本審査に進めません。仮審査が必要となる理由には、住宅ローンを申し込むタイミングが関係しています。 正式に住宅ローンを申し込めるのは、ローンを借り入れる人が不動産業者と物件の売買契約を交わした後になります。物件の所有権を持っていないと、申し込みはできないことになっているからです。しかし、もし売買契約が完了している状態で、住宅ローンを借り入れることができなければ、物件の引き渡しは行えません。そうなれば売買代金を回収できない不動産会社や、物件を購入する人にとっては大問題です。 このような問題を発生させないために仮審査があります。購入する物件を決めた段階で金融機関に仮審査を申し込み、住宅ローンを借り入れるための条件を満たしているかどうかを審査します。そして、仮審査を通過した人が不動産会社と売買契約を結び、金融機関に本審査を申し込みます。このような段階を踏むことで、売買契約が完了しているにもかかわらず本審査に通らない、という事態を予防できます。 住宅ローンの本審査に落ちる要因 住宅ローンの仮審査はあくまで簡易的な審査です。住宅ローンを借り入れる人の年収や年齢、信用情報といった必要最小限の情報を基に、金融機関が信用力を判断します。そして、仮審査を通過すると本審査に進みますが、仮審査を通過しても必ず本審査に通るわけではありません。 本審査では住宅ローンを提供する金融機関に加えて、債務保証をする信用保証会社にも審査されます。信用保証会社は、住宅ローンを借り入れる人のいわば〝保証人〟といった存在です。そのため、仮審査は短い金融機関だと1~2日で終了しますが、本審査は1週間程度かかるところが多いようです。 本審査を通過できない理由は、以下のような理由が考えられます。 仮審査で申告した情報が事実と異なっている 収入証明書などの書類に不備がある 未申告の高額の借り入れがある 団体信用生命保険に加入できない 不動産担保ローンの仮審査とは 前述のとおり、住宅ローンの仮審査は手順や内容が明確になっています。一方で、不動産担保ローンの仮審査は、各金融機関が独自に行っており、中身は明確になっていません。また、仮審査を受けなくても、直接本審査を申し込むことが可能です。 不動産担保ローンを借り入れる人は不動産を保有しているため、住宅ローンで考慮しなければならない不動産会社との売買契約のタイミングなどが、存在しないからです。それでは、不動産担保ローンの仮審査にはどんな意味があるのでしょうか。 実際に行われている金融機関の仮審査は、多くの場合〝事前相談〟といった役割を担っているようです。不動産担保ローンを検討している人の「正式に審査を申し込む前に、融資が可能かどうかをちょっと聞いてみたい」という要望に対応しているといえます。 不動産担保ローンの本審査には、さまざまな書類が必要です。不動産の登記簿謄本の登記時事項証明書、土地や建物の図面、前年度の固定資産税納付の証明書、固定資産税評価証明書などです。こうした書類を揃えるには、かなりの手間と費用がかかるので、本審査に通過しなかった場合、精神的にもダメージを受けることは想像に難くありません。 まとめ 不動産担保ローンの仮審査は各金融機関によって異なりますが、信用情報や担保物件の簡易的な評価が行なわれています。また、仮審査で融資ができる可能性が高いと判断されても、本審査が通らないことがあるのは住宅ローンと同じです。このような点を理解していれば、気軽に打診ができる事前相談としての仮審査のメリットは小さくないのではないでしょうか。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイント 不動産担保ローンを利用して資金調達するには、金融機関の審査に通過する必要があります。しかし、不動産担保ローンの利用経験がないと、審査がどのように行われ、どうしたら審査を通過できるかわからない...記事を読む

  • 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ

    不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ

    ローン金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限が表示されることがほとんどです。このような表示は、個別のローンごとに適用される金利が変わることを表しています。当然、ローンを借り入れる人にしてみれば、金利は低ければ低いほど良い条件であることは間違いありません。では、どうすれば借入金利を低くすることができるのでしょうか?そこには、不動産担保ローンならではの〝コツ〟があるのです。 不動産担保ローン金利の基礎知識 不動産担保ローンの金利についてはあらかじめ知っておくべき基礎知識があります。自身の知識に不安がある人は、まずは以下の「ローン金利の基礎知識に関する記事」を参考にするといいかもしれません。 ▼ローン金利の基礎知識に関する記事 ・適用金利はどうやって決まるのか? ・変動型の金利はどう決まる? ・金利と利子の関係と計算方法 ・不動産担保ローンの金利の実態をさぐる 不動産担保ローン金利の相場 不動産担保ローンの金利は金融機関によって異なります。ここでは取り扱い件数や金額が多い銀行とノンバンクの不動産担保ローンの金利相場を比較してみましょう。 銀行の不動産担保ローンの金利相場 銀行の不動産担保ローンの金利は、比較的低く設定されていることが多いです。具体的には、資金使途が限定されていない不動産担保ローンの場合、比較的低金利な金融機関で下限金利が1.0%前後に設定されています(2023年5月末時点)。一方で、銀行は審査においてローンを借り入れる人と担保不動産に関する細かい条件を設定しており、審査が厳しいという点に注意が必要です。 ノンバンクの不動産担保ローンの金利相場 ノンバンクの不動産担保ローンの金利は、銀行と比較して高く設定されていることが多いです。具体的には、比較的低金利な金融機関で下限金利が2.5%前後に設定されています(2023年5月末時点)。しかし、ノンバンクの不動産担保ローンは、銀行と比較すると審査に通りやすく、また融資までのスピードが早い点がメリットです。 審査結果と金利に与える影響―「融資先の属性」 ローンの金利は、融資を実行する前に金融機関が行う審査の結果に大きく左右されます。つまり、審査の中身を理解すれば、低金利で借りるコツがわかります。まず、金融機関はどんな点をチェックするのでしょうか。 不動産担保ローンの審査では、主に以下のような項目が対象となります。 融資先の属性 担保不動産の価値 担保掛目 資金使途 借入期間 各項目について、どのような点がポイントであるか、詳しく説明していきます。 「融資先の属性」は「信用力」をみる 不動産担保ローンの借り入れ先は、個人か法人に分かれますが、審査内容はそれほど変わりません。どちらも重要なのは融資先の「信用力」であり、信用力を計る条件として「収入」が大きな要素になります。収入とは、融資先が個人であれば年収、企業であれば利益を指します。 また、融資先の「信用情報」も信用力に影響します。過去にローンを借り入れていればその返済状況がチェックされ、ローンの返済が滞ったことがあると信用力は低くなります。反対に、延滞などをせずに返済がされていれば信用力は高くなります。また、個人であれば年齢や勤続年数(法人は設立からの年数)、他の借り入れをすでに利用しているかどうか、といったことも融資先の属性に該当します。 「融資先の属性」におけるポイント 属性では特に収入が重視され、基本的に収入が多いほど信用力は高いと判断されます。しかし、その金額だけが審査対象となるわけではなく、「返済比率」も重要です。返済比率とは、収入に占めるローンの年間返済額の割合のことで、「返済負担率」とも呼ばれます。例えば、年収が500万円の人であれば、返済比率30%という水準は年間返済額が150万円になります。 年間の収入に占めるローンの支払額が大きくなると、それに伴い返済比率は高くなります。返済比率が高くなるほど借り入れの負担は重くなるので、返済が滞るリスクが生じます。そのため、金融機関は審査において返済比率の基準を設定しており、その基準に近いローンには高めの金利が適用されたり、融資そのものが否決されたりすることがあります。 例えば、不動産担保ローンのひとつである住宅ローンの場合、銀行では、返済比率の基準を30%に設定していることが多いです。年収500万円の個人の返済比率30%という水準は、年間返済額が150万円ですので、年収500万円以下の人は年間返済額150万円を超えるローンは組めないことになります。住宅ローンの借入金利も「○%~○%」と表示されています。金利を決定する一つの要素として、返済比率が高くなればなるほど上限の金利に近づき、返済比率が低くなればなるほど下限の金利に近づくといえるでしょう。 したがって、借入金利を低くするには、まず「返済比率を低くする」ということが挙げられます。ただ現実的には、収入を増やすということはなかなか難しいので、年間返済額を減らすことがポイントになるでしょう。 審査結果と金利に与える影響―「不動産の価値」 「担保不動産の価値」の評価方法 カードローンをはじめとする無担保ローンとは異なり、不動産担保ローンは文字どおり不動産をローンの担保にします。そのため、無担保ローンよりも大きな金額を低金利で借り入れることができます。一般的に、担保不動産の価値(=評価額)が高くなるほど、借り入れる金額を増やす、金利を低くするといったことが可能です。 不動産は土地と建物の2つで構成されています。土地の評価には、国税庁が発表している「路線価」(正式名称は「相続税路線価」)を用います。一般的な不動産取引では、「公示地価」や「基準地価」に基づいて売買価格が決定される場合が多いですが、路線価は公示地価や基準地価の8割程度とされています。 建物の評価はやや複雑で、建物の「再調達価格」を算定するところから始まります。再調達価格とは、その建物を新たに建築あるいは購入時に必要となる金額のことで、さらに、建物の「延べ床面積」や「法定耐用年数」などを加味して評価します。 ただし、建物の築年月が法定耐用年数を超えていると評価額はゼロ。例えば、戸建て住宅の法定耐用年数は22年なので、築22年を超えた一戸建ての価格は0円となり、不動産価格は土地だけを評価することになります。 関連記事はこちら不動産評価の方法と不動産価値の考え方 「担保となる不動産の価値」におけるポイント 前述したように、担保不動産の評価額が高いほど、借入金額を増やしたり、金利を低くしたりする余地が広がります。とはいうものの、「すでに保有している不動産の評価額は変わらないのでは」と思っている人がほとんどでしょう。しかし、不動産の評価は所有者の工夫によって変わる要素もあります。 建物の評価の部分でも述べましたが、建物の価値は築年数の経過とともに減少していきますが、リフォームをすることによって価値を高めることはできます。リフォームまではいかなくても、周辺の掃除や外壁のクリーニングを定期的に行い、建物を整えておくことは重要です。 また、土地についても、駅に近い立地であれば、商業施設の新規出店など周辺環境が良くなる場合が出てきます。そうした利便性の高さを、金融機関の融資担当者に積極的にアピールをすることが、担保不動産の評価を上げることにつながります 関連記事はこちら不動産価値の高め方とは?立地条件と不動産価値の関係 不動産としての価値を高めるということは、それが住宅であれば、住環境を改善することにもなります。普段から心がけておくことは、それほど難しいことではないでしょう。 審査結果と金利に与える影響―「担保掛目」 不動産の実質的な担保価値を算定する「担保掛目」 担保掛目とは、担保不動産の評価額に対して、金融機関が設定する比率のことです(「掛目」と呼ばれることもあります)。例えば、担保不動産の評価額が土地と建物を合わせて4,000万円の場合、融資する金融機関の担保掛目が80%という比率であれば、担保評価額は4,000万円×80%=3,200万円となります。 不動産担保ローンにおいて、この担保掛目は非常に重要です。基本的には、この担保掛目を用いて算定される実質的な担保価値が融資限度額になるからです。担保掛目は、金融機関が独自に設定しますが、住宅ローンも含めて、80%程度に設定しているところが多いようです。 なぜ、実質的な担保価値が評価額の100%にはならないのでしょうか。もし、融資の返済が滞り、金融機関が不動産を売却することになった場合、不動産はすぐに現金化することは困難です。保有している間に、価値が減少する恐れもあります。そうしたリスクに備えるために、あらかじめ時価評価の80%程度に設定しているわけです。 「担保掛目」におけるポイント 前述したように、一般的には、担保不動産に金融機関が設定する担保掛目を適用した金額が融資限度額になります。時価評価が4,000万円の物件に対して、担保掛目が80%であれば、融資の限度額は3,200万円です。そして、実際にこの物件を担保として3,200万円を借りる場合、金利は高めに設定されることが多くなります。金融機関にしてみると、限度額をフルに融資することは、受け入れるリスクも最大になるからです。 したがって、融資限度額まで借り入れなければ、金融機関のリスクも減少し、設定される金利を引き下げる余地が生じます。時価評価4,000万円の物件で担保掛目が80%、融資額の上限が3,200万円のとき、例えば2,800万円しか借り入れなければ、400万円の担保余力があります。金融機関としては、担保評価額に対して十分な担保余力があれば、金利を引き下げる余地が出てきます。融資限度額まで借り入れる必要がなければ、借入金額を減らすことで金利を低くできる可能性があります。 審査結果と金利に与える影響―「資金使途」 ローンによって制限がある「資金使途」 資金使途は、借り入れたお金の使いみちのことです。融資審査のときに、金融機関は必ず資金使途を確認します。担保が必要のない無担保型ローンでは、基本的にお金の使いみちは自由ですが、不動産担保ローンでは、金融機関によって資金使途に制限がかかることもあります。 例えば、会社の運転資金にすることを目的とした事業用資金は、不動産担保ローンとしては融資しない銀行が少なくありません。すでに事業で赤字が出ている状態であれば、返済が滞るリスクがあるからです。一方、多くのノンバンクでは、事業用資金の融資をしています。このように、金融機関ごとに資金使途の制限はかわってきます。 「資金の使途」におけるポイント 資金使途は、正しく申告しなければならないのは当然ですが、資金繰りの状況をきちんと伝えることで、金利を低くしてもらえる可能性があります。会社の運転資金として借り入れる場合でも、「事業が上手くいっていない」ということにはならないからです。 例えば、会社の売上げが伸びて、売掛金が大きくなってくると、会社は事業用の立替金を増やしておく必要があります。また、取引先の要請で、売掛金の回収期間が延びてしまうこともあるかもしれません。こうしたことは事業が軌道に乗っているからこそ起こる事態です。 審査の際に、資金使途を運転資金としたうえで、なぜ運転資金が必要になったのかを明確にすることで、融資が受けやすくなり、金利も下げられる可能性が出てきます。その際は、理由の〝証拠〟となる会社の帳簿などを、併せて提出すると、さらに効果が高まるでしょう。 また、仮に事業があまり順調に行っていない場合でも、きちんとした事業計画書を提出することで、融資が受けやすくなることもあります。資金使途自体は変えることはできませんが、工夫する余地はあります。 審査結果と金利に与える影響―「借入期間」 「借入期間」と金利の関係性 ローンの借入期間と金利には密接な関係があります。ほとんどの人は、「借入期間が長いほど高金利になる」というイメージを持っているかもしれません。基本的には、そうした認識は間違ってはいません。借入期間が長期になるほど、予期しない問題が発生するといった返済が滞るリスクが高くなるからです。 ただし、借入期間が長いほど金利が高いというのは、ローンが「固定型」の場合です。固定型は、借入時に設定された金利が返済終了まで変わらない、というものです。これに対して、「変動型」のローンは、一定のタイミングで金利が見直されるというもので、借入後の金融市場の動向によって、金利は上昇することもあれば、低下することもあります。したがって、通常、変動型の金利は借入期間によって大きな違いはありません。 金融機関が融資しやすいローンとは? 上記の傾向から外れる、微妙なケースも存在しています。例えば、住宅ローンには「固定期間選択型」というタイプがあります。これは、「10年固定」といったように、借入後、あらかじめ決めた期間の金利が固定される、というローンです。固定される期間は、3年、5年、7年、10年など、金融機関によってさまざまです(なお、固定期間が終了した後は「変動型」に移行します)。 この固定期間選択型も、一般的には固定期間が長くなるほど、金利は高くなる傾向にありますが、固定期間が短い方の金利が、長い方の金利よりも低いというケースが存在します。 これらの要因としては、日銀の政策金利や金融市場の動向が挙げられますが、ローンを提供している金融機関の貸出金の残高の内容も関係しています。貸出金の残高の内容とは、残高に占める固定型と変動型の割合や、ローンが返済される時期などです。 金融機関としては、固定型に偏っているとか、返済がある時期に集中しているといった事態は避けなければなりません。経営の安定性を高めるために、さまざまなローンをバランスよく提供することが重要になります。 すると、金融機関には、ローンのタイプや借入期間などの条件において、融資をしやすいローンが出てきます。したがって、借入期間を柔軟に設定できるようであれば、金融機関に金利が低くなる期間があるかどうかを聞いてみる、という手があります。ただし、必要以上に借入期間を長くすると、今度は利息の負担が増えてしまうので、その点には注意しなければなりません。 不動産担保ローンを低金利で借りるコツ これまで、低金利で借りるコツを5つの審査項目ごとに述べてきました。以下、簡単に振り返ってみます。 ① 融資先の属性 ローンを借り入れる人の信用力が高いほど低金利での借り入れができる。収入に占めるローンの年間返済額の割合である返済比率を下げれば、信用力を高めることが可能。 ② 担保不動産の価値 建物のリフォームやクリーニング、周辺環境で好転した部分をアピールすることで不動産の価値を高められる可能性がある。 ③ 担保掛目 担保掛目により算出する担保評価額に対する借入金額の比率を下げることで、金利を引き下げる余地が生まれる。 ④ 資金使途 会社の運転資金などの事業用資金を借り入れる場合は、財務状態を正確に申告するとともに、事業計画書などを作成する。 ⑤ 借入期間 金融機関が融資しやすい期間がある可能性がある。借入期間に融通が利くようであれば、低い金利が適用される期間があるかどうかを聞いてみる。 上記のポイント以外にも、初めて不動産担保ローンを借りる場合は、複数の金融機関にローンを申し込んで金利を比較し、最も低金利を提示してきた金融機関から借り入れる、といったことも挙げられます。また、借り入れをした経験があり、すでに返済が終了していれば、同じ金融機関に申し込む方が、低い金利を適用される可能性があります。すでに完済をしたという履歴が、信用力のアップにつながるからです。 このように、低金利で借りるコツというのはいくつか存在します。しかし、そのすべてを活用することはなかなか困難でしょう。融資を受ける側にとって、借入金額や借入期間などは譲歩をしにくいケースが多いと考えられるからです。 しかし、そもそも何のために借り入れるのかという目的、優先順位を整理することで、活用できるポイントが見つかる可能性が出てきます。不動産担保ローンの借入金額は大きな金額です。0.2%あるいは0.1%でも金利が下がれば、軽減される利息は決して小さくはないでしょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローンの金利の実態をさぐる 不動産担保ローンに限らず、金融機関が表示しているローンの金利は、「年○○%~△△%」といった感じで上限と下限を表示していることがほとんどです。そのため、ローンの金利を比較しようとしても、この...記事を読む

  • 不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2)

    不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2)

    この記事では、金融庁の『投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果』について、その中身を掘り下げたいと思います。実は、この調査には、金融機関の融資について金融庁の考え方が、これまでになく非常に具体的に示されています。おそらく、今後、中長期的な指針となっていくと考えられます。 「不動産投資ローン」に改善を促す金融庁 金融庁は、「アパート投資向けの不正融資問題」において、特に、紹介業者が顧客を金融機関に紹介するケースについて警鐘を鳴らしています。簡単にいうと、融資に必要な審査関係資料や契約内容について、紹介業者に依存する傾向がみられ、融資先の顧客の管理体制が〝緩く〟なっているのではないか、というものです。 実際に、金融機関の回答をみると、不動産投資ローンを住宅ローンの延長と捉えてしまい、顧客の給与収入も返済原資の一部とみなしているため、物件のキャッシュ・フローのみで返済の見込みがなくとも、融資が実行されるケースが散見されたようです。 また、中古の物件に対する融資期間が、建物の築年数を控除した法定耐用年数を大幅に超えるケースもあったとされています。そのため、金融機関の9割以上は融資先事業の収支計画のシミュレーションをしている、とされていますが、その「精緻さにばらつきあり」と懸念が表明されています。 銀行や信用金庫では、不動産を担保として融資をする場合、担保不動産の市場価格に加えて、顧客の収入や、融資先が企業であれば事業の収益動向も加味して融資額を決めることが多いとされています。それに対して金融庁が懸念を表明したことにより、少なくとも不動産投資ローンについては、担保不動産の評価、事業の収支計画の妥当性に基づいた与信が行われることになるでしょう。 投資先物件のキャッシュ・フローの重要性 金融庁は、事業の収支計画の審査についても、以下のような提言をしています。 ①不動産投資ローンは、住宅ローンと違って、融資額も大きくなり、事業性融資の性格が強くなる点に留意する。 ②債務の返済は、賃貸事業が長期的に生むキャッシュ・フローの水準が大きく左右するため、金融機関は物件がキャッシュ・フローを生む期間(=建物の耐用年数)をできる限り客観的に検証し、その耐用年数から想定される合理的な融資期間を設定する。 ③債務の完済までの収支シミュレーションに基づき、賃貸事業としての返済可能性を見極めることが重要。 ④ 顧客は、目先の利回りにとらわれることなく、大規模修繕の必要性や物件収支が下振れた際の返済余力や、当初想定した価格で売却できない可能性も考慮しつつ、長期的な事業の収支計画を判断する必要がある。 いずれも、金融機関の審査に対する非常に具体的な提言となっており、金融庁が公表するレポートとしては、〝異例〟の内容といえます。以上のような指針から、今後、不動産投資ローンを受けるためのハードルは、かなり高くなることが予想されます。 投資先の物件が生み出すキャッシュ・フローをおもな返済原資とするということは、不動産の選別は厳しくならざるを得ません。すでに、価格が上昇している物件は、十分なキャッシュ・フローが見込みにくいため、融資が実行されにくくなります。また、建物の耐用年数を客観的に検証して融資期間を決めることになれば、築年数の古い中古物件は融資対象から外れるケースが増えてくるでしょう。 金融機関の審査が問われる時代に これまで、金融機関は、決してキャッシュ・フローについて無視をしてきたわけではありません。ただ、金融庁のレポートも指摘しているように、一部の金融機関では、家賃収入から返済額や経費を差し引いた金額が「黒字」になればよい、と安易に考えていた形跡がうかがえます。これからは、単純なキャッシュ・フローだけでなく、「債務返済倍率」といった不動産投資の健全性を計る指標も併せて、融資の審査を行なうことが求められてくるでしょう。 さらに、金融庁は、融資が実行された後も、当該物件の空室率や賃料などの確認作業を行なうことを金融機関に要請しています。融資期間中に、事業の実績を踏まえた収支計画のシミュレーションの更新を、まったく行っていない金融機関があったためです。 以上は、基本的には不動産投資ローンに関する事柄ですが、金融庁は、今後他の融資全般についても、事業の収支計画をベースとした審査の適正化を進めていく、と見られています。ますます、金融機関の審査のノウハウが重要になっていくでしょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産投資ローンの審査はココをみる(1) 賃貸アパートやマンション等の収益物件を担保とした貸出しは、金融機関の不動産関連融資の中では主力商品のひとつです。2013年から始まったアベノミクスによって、国内の金融市場は超低金利状態に突入...記事を読む ▼シリーズ「不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向」の記事一覧 ・第1回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(1) ・第2回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2)

  • 不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(1)

    不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(1)

    2019年3月に、金融庁から『投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果』が発表されました。これは、金融庁が全国の金融機関を対象として、おもに投資用不動産向け融資の実態についてアンケート調査をしたものです。その内容を2回にわたって紹介します。ここでいう投資用不動産向け融資とは、個人が投資目的で、居住あるいは宿泊用の不動産を取得するために金融機関が行なう融資のことで、一般的に不動産投資ローンと呼ばれるものです。 「不動産投資ローン」が拡大したのは2016年から まず、この調査の背景について説明をしておきましょう。2018年に明るみになったスルガ銀行 の不正融資問題を受けて、金融庁は、銀行と信用金庫、信用組合を対象として、不動産投資ローンの貸出額や残高、さらに、融資審査の中身についてアンケート調査をしました(調査時期は2018年10~11月)。 実は、スルガ銀行の不正融資問題が発覚する前から、すでに金融庁は不動産投資ローンについて注視をしていました。ここ数年、銀行および信用金庫の不動産業向け融資の残高は増加を続ける中、2016年3月期と2017年3月期に、不動産投資ローン(表の表記では「個人による貸家業向け貸出残高」)が拡大をしたからです。 【国内銀行・信用金庫の不動産業向け貸出残高の推移】 上の表は、日銀が発表している銀行と信用金庫の「貸出先別貸出金」というデータを、金融庁が集計したものです。この表をみると、2016年3月期の1年間で、不動産業向けの貸出残高が前年比で6.3%増加していることがわかります。同様に、2017年3月期も6.4%増加しました。一方で不動産業向け融資の増加率に相応して、「個人による貸家業向け貸出残高」も、2016年3月期3.8%、2017年3月期4.0%と増加しました。この時期から、金融庁は、不動産投資ローンのリスクに懸念を持っていたようです。 不動産業向け融資は拡大傾向が続く その後、2018年にスルガ銀行を始めとした、地方銀行のアパート投資向けの不正融資が明らかとなります。その影響で、2019年3月期の「個人による貸家業向け貸出残高」は横ばいとなり、新規の貸出しは急減することとなりました。 ただし、ここで注意すべき点は、不動産業向け貸出については、不正融資が問題化した後もそれまでとあまり変わらないペースで拡大をしていることです。金融庁のアンケート調査には掲載されていませんが、「個人による貸家業向け貸出残高」を除いた不動産業向け貸出残高の推移は、下の表のようになっています。 【国内銀行・信用金庫の不動産業向け貸出残高(個人による貸家業向け貸出残高を除く)の推移】 この表から分かるのは、不動産業向け貸出残高は2019年3月末時点で、前年比5.7%と依然として高い伸びを記録していることです。つまり、銀行と信用金庫の不動産業に対する融資姿勢には、それほど大きな変化はなかったことになります。 不動産業者に、「アパート投資向けの不正融資が社会問題化して以降、金融機関の融資姿勢に変化はあるか?」という質問をすると、「それほど変わっていない」という答えが返ってくることが多いのですが、このデータはそれを裏付けていると言えます。 但し、表①でみたように、不動産投資ローンについては、消極的なスタンスとなる金融機関は増えています。金融庁のアンケート調査によると、「消極的」と回答した銀行は、2016年3月期は全体の4%でしたが、2018年9月期には17%に、同じく、信用金庫は全体の11%から25%へと増加しています。 以上のことから、当面、不動産投資ローンの新規実行は伸び悩む一方、不動産業向け融資にはそれほど影響がない、ということが予想されるでしょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2) この記事では、金融庁の『投資用不動産向け融資に関するアンケート調査結果』について、その中身を掘り下げたいと思います。実は、この調査には、金融機関の融資について金融庁の考え方が、これまでになく...記事を読む ▼シリーズ「不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向」の記事一覧 ・第1回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(1) ・第2回:不動産投資ローンに対する金融機関の融資動向(2)

  • 不動産担保ローンの金利の実態をさぐる

    不動産担保ローンの金利の実態をさぐる

    不動産担保ローンに限らず、金融機関が表示しているローンの金利は、「年○○%~△△%」といった感じで上限と下限を表示していることがほとんどです。そのため、ローンの金利を比較しようとしても、この表示だけで比べることは困難です。実際に借り入れるローンの金利は、融資の審査を通過した後に提示されることになるからです。 時間に余裕があれば、複数の金融機関に融資の申し込みをし、審査後に提示された金利を比較して、いちばん有利なローンを選ぶことができるでしょう。しかし、現実にはなかなかそうはいきません。申し込みごとに必要書類を揃えたりするのは、結構面倒なものです。金利を比較するために、5社も6社も申し込むという人は、かなり少ないと思われます。ほとんどの人は、もっとも早く審査を通過して、ローンが借りられることが決まった金融機関を選んでいるのではないでしょうか。 実際に契約されたローン金利がわかる「平均約定金利」 >不動産担保ローンの概要についてはこちら ただ、やはり金利が高いのか低いのかは、気になるところ。もし平均的な金利の水準がわかれば、それと比較することで、少なくとも金利が高いのか低いのかの目安くらいはつくことになります。実は、その平均的な水準は公表されています。日本貸金業協会は、各種の資料を公表しており、そこには平均的な金利水準も含まれているのです。 日本貸金業協会とは、「貸金業法」という法律に基づいて貸金業を営んでいる金融機関が加盟している業界団体です。2007年12月に、「貸金業法第26条第2項」の規定に基づき、内閣総理大臣の認可を受けて設立されました。参加しているのは、融資を行う、銀行以外の金融機関です。 平均約定金利 前述のように、この日本貸金業協会が発表する統計データの中に、「約定金利」という項目があります。約定金利とは、簡単にいうと、実際に契約されたローンの金利のことで、日本貸金業協会のホームページには、「月末平均約定金利」として、協会に加盟する金融機関が行った、月ごとのローンの金利の平均値を掲載しているのです。早速、そのデータをみてみましょう。以下は、2019年3月上旬に閲覧することができる最新のもので、2018年12月時点のデータです。 ○月末平均約定金利 消費者向け有担保貸付  6.08% 事業者向け有担保貸付  3.66% 消費者向けというのは借りる人が個人で、事業者向けというのは借り手が法人です。また、有担保貸付とは担保があるローンのことで、住宅ローンを除いたものですので、実質的に、不動産担保ローンのデータと考えて問題はありません。このデータは、2018年12月に行われたローンの平均値が個人向け6.08%、法人向け3.66%だった、ということを表しています。個人と法人で、「意外と差があるな」と思った人も少なくないかもしれません。 現在、不動産担保ローンを申し込んでいて、金融機関からローンの金利を提示された人がいれば(あるいはすでに返済を始めている人は)、ローン金利が平均よりも高いか低いのかは、この数値で判断ができることになります。 「平均約定金利」はひとつの目安 ただし、この平均約定金利はあくまで全体の平均値です。すでに、何度か借り入れをしていて、ローンの実績がある、つまり信用力が高い個人や法人が含まれているわけです。新規で不動産担保ローンを借りるときは、この平均約定金利よりも一般的には〝高め〟になるといえるでしょう。 また、貸金業者全体の平均約定金利なので、さまざまな業者が含まれている点にも注意が必要です。平均値を上回っているからといって、必ずしも〝高めの金利〟とはいえません。一見、高めの金利にみえても、同じような業態の金融機関の中では、低い方の金利になっている、といったケースもあり得ます。 業態別の平均約定金利 ちなみに、この日本貸金業協会の統計データには、融資をする金融機関の業態ごとのデータも掲載されています。その業態の名称は、「消費者金融」「事業者金融」「クレジット等」の3種類となっていますが、それぞれの名称が一般的に表す業態とはちょっとズレています。というのも、日本貸金業協会の分類は、金融庁が定めている分類に沿ったものになっているからです。金融庁の分類はかなり複雑になっているため、一般的に用いられている名称とは、そのカバーする業態が違っています。 以下、その業態別の平均約定金利を記しますので、上記の点を考慮に入れ、あくまで参考としてご覧ください。 ○消費者向け有担保貸付(業態別) 消費者金融  5.86%   事業者金融  6.76%  クレジット等 5.66%  ○事業者向け有担保貸付(業態別) 消費者金融  3.98%   事業者金融  4.10%  クレジット等 1.59%  消費者向け、事業者向けともに、消費者金融の金利が事業者金融を下回っていることに、違和感を覚える人もいると思われます。事業者金融の金利の方が高い理由としては、ローンを利用する人や法人が、初回の借り入れであっても借入金額が多額になる場合が比較的多いこと、さらに、起業したばかりの法人が含まれていること、などが考えられます。いずれも、銀行など他業態の金融機関では貸し出しが難しいケースといえるでしょう。その分、金利が高めに設定されることになります。 なお、今回紹介したデータは、日本貸金業協会のホームページにある「月次統計資料」のコーナーで閲覧できます。興味のある方は、一度訪れてみてはどうでしょうか。 不動産担保ローンならSBIエステートファイナンス 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産担保ローン金利の基礎知識と低金利で借りるコツ ローン金利は、一般的に「○%~○%」というように上限と下限が表示されることがほとんどです。このような表示は、個別のローンごとに適用される金利が変わることを表しています。当然、ローンを借り入れ...記事を読む 不動産担保ローンの「仮審査」とは? 不動産担保ローンを提供している金融機関のホームページには、よく「仮審査」や「事前審査」という言葉が使われています(以後この記事では「仮審査」と呼称します)。住宅ローンを利用したことがある人な...記事を読む

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