住まいとお金の知恵袋 一覧(公開日順)

  • リースバックの契約までの流れと必要書類、注意点を解説

    リースバックを検討するにあたり、どのように契約が進んでいくのか不安に思う人もいるのではないでしょうか。リースバックの契約が終わってから後悔することが無いように、契約がどのような流れで進み、何に注意しなければならないかを正しく認識しておきましょう。 この記事では、リースバックの契約までの流れや注意点について詳しく解説します。 リースバックの契約までの流れ 一般的なリースバックの契約の流れは以下のとおりです。 ご相談・仮査定 仮査定結果の提示 現地調査及び査定 契約条件の提示 契約 売買成立・賃貸開始 それぞれどういった手続きなのか、順番に詳しく解説します。 1.ご相談・仮査定 まずはリースバック運営会社に問い合わせをします。一般的には、所有物件の状況や売却価格、家賃などの希望条件について確認されます。相談して問題がなければ、仮査定の申込を行いましょう。なお、仮査定の際には固定資産税額やマンションの場合には管理費や共益費などを確認されるので、問い合わせの際には正しく把握しておくといいでしょう。 2.仮査定結果(売却価格・家賃)の提示 問い合わせ時に提示した情報から仮査定が行われ、概算の売買金額と家賃が提示されます。仮査定では、あくまでその周辺地域の成約事例を基に算出されるので、戸建てなどの個別要因が強い不動産の場合は、本査定との乖離が大きくなることもあります。 3.現地調査及び査定 運営会社が実際に現地に訪問し、物件の状況確認や図面との照合、境界線の確認などが実施されます。仮査定時には分からなかった建物の不具合や図面との相違などがないかを確認したうえで、最終的な売買金額と家賃が確定します。 4.契約条件(売却価格・家賃)の提示 運営会社から本審査の結果が通知されます。売却価格や家賃などの契約条件が提示されるので、内容を確認して契約するかどうかを判断しましょう。なお、運営会社によっては売買価格や家賃の調整が一定の範囲内で可能な場合もあるので、自身の希望を伝えてみるといいでしょう。 5.契約 契約条件に同意する場合は契約手続きに進みます。契約の意思を伝えると、必要書類の確認と契約日の日程調整が行われます。ここで締結される契約は売買契約と賃貸借契約で、物件の買い戻しのための売買予約契約を締結する会社もあります。 6.売買成立・賃貸開始 売買代金の支払いが完了すると、売買が成立して物件の所有権が運営会社に移転します。それと同時に賃貸借契約も成立し、自宅の賃貸が開始されます。 リースバックを利用する際に必要な書類 リースバックを契約するまでに必要書類の提出を求められるタイミングは、本査定時と契約締結時の2つです。それぞれに必要な書類と取得方法を解説します。 リースバックの本査定時に必要な書類と入手方法 リースバックの本査定時に必要な書類は以下のとおりです。 身分証明書(運転免許証、マイナンバーカード、保険証など) 住民票 固定資産税通知書 収入証明書(源泉徴収票、年金通知書など) 身分証明書や住民票は、本人確認や住所確認のために使用します。住民票は自治体の窓口のほか、マイナンバーカードがあればコンビニで発行することも可能です。 固定資産税通知書は、不動産の評価額を確認する際に使用します。固定資産税通知書は自治体から毎年送付されるもので、査定価格の算出のために必要な書類です。なお、固定資産税を確認するために使用するため、場合によっては提出までは求められないかもしれません。 また、リースバックでは賃貸となっても支払いが滞りなくできるかを確認するため、収入状況も審査されます。収入証明書として、勤務先から受け取った源泉徴収票や年金通知書などを準備しておきましょう。 リースバックの契約時に必要な書類と入手方法 リースバックは、査定時と契約時で必要書類が異なります。また、契約は「不動産売買契約」と「賃貸借契約」の2つに分かれており、それぞれ必要な書類は異なりますが、売買契約に伴って利用される書類がほとんどです。 不動産売買契約時には、身分証明書の他に以下の書類が必要です。 印鑑証明書(実印) 権利証(登記識別情報通知、登記済証) 売買契約時に必要な書類は、一般的な不動産売却と同じです。印鑑証明書は、印鑑が登録されたもの(実印)であることを証明する書類です。虚偽の申請で買主が不利益を受けないように、不動産売買では印鑑証明書を添付する必要があります。印鑑証明書は自治体の窓口のほか、マイナンバーカードがあればコンビニで発行することも可能です。 権利証は、不動産の所有者であることを証明する書類です。リースバックで自宅を売却すると、所有権が運営会社に移転します。この所有権移転登記を行う際に、権利証が必要になります。権利証は自宅を取得したときに発行されていますが、万が一紛失している場合にも代替措置があるので、運営会社に相談してみましょう。 賃貸借契約時には、身分証明書や収入証明書を準備します。連帯保証人をたてる場合は、連帯保証人の承諾書も必要です。ただし、保証会社と契約することで連帯保証人が不要となる運営会社もあります。 リースバックの契約時に必要に応じて提出する書類 リースバックの契約時に以下の書類の提出を求められる場合もあります。 ローン残高証明書・抵当権抹消書類 自宅の図面 掘削承諾書(前面道路が私道の場合) 自宅購入時の重要事項説明書 自宅建築時の建築確認通知書 境界確定書 管理規約・総会議事録(マンションの場合) リースバックの契約書に関する注意点 一般的に、リースバックの契約に用いられるのは「売買契約書」と「賃貸借契約書」の2つです。それぞれの契約書の注意点を解説します。 売買契約書 売買契約書は、物件の売却価格や売却代金の支払方法、支払日を確認しましょう。その他、通常の不動産売却と同様に、売主が負う契約不適合責任がどのように記載されているか確認しておくことが大切です。 また、リースバックは売却した自宅の買い戻しが可能な場合、買い戻しの可否や可能期間、買い戻し金額などが売買契約書に特約として記載されています。将来買い戻しを想定しているなら、買い戻し事項の有無と内容を確認しておきましょう。なお、運営会社によっては、売買契約書上の特約ではなく、売買予約契約書を別途締結する場合もあります。 賃貸借契約書 賃貸借契約書を確認する際に最も重要なのが、賃貸借契約が「普通借家契約」か「定期借家契約」かです。どちらも契約期間が定められていますが、普通借家契約は借主であるリースバックの利用者が希望すれば契約更新が可能です。一方、定期借家契約は更新がなく、再契約するためには運営会社の合意が必要となります。 関連記事はこちら定期借家契約と普通借家契約の違いとは? 契約の種類を確認したうえで、敷金や礼金、仲介手数料などの初期費用、更新料の有無、退去の申出期限、原状回復費用の負担割合といった基本的な内容も確認しておきましょう。 リースバックの利用に関する注意点 リースバックを利用する際は、複数の運営会社を比較することが大切です。運営会社によって売却価格や家賃、賃貸借契約の期間・種類が異なります。複数の運営会社に相談したうえで、希望条件に近い会社と契約しましょう。 また、リースバックで自宅を売却する前に、相続人と相談することも重要です。売却後は自宅の所有権が運営会社に移転するため、自宅は相続財産の対象外となります。あらかじめ相続人と相談しておかないと、相続発生後に相続人がリースバックに気づき、トラブルとなるケースもあります。リースバックを利用する場合、自宅を売却することをあらかじめ契約前に相続人に伝えるようにしましょう。 まとめ リースバックは、老後資金の確保や相続トラブルの回避に有効です。しかし、どのように契約が進行し、何に注意すべきかを把握しておかないと、トラブルになる恐れもあります。特に普通借家契約と定期借家契約の違いには注意が必要です。 リースバックで自宅を売却してから後悔しないように、正しく契約の流れと注意点を理解してから実際の契約を進めましょう。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リースバックのトラブル事例と後悔しないためのポイントを解説 リースバックは一般的な不動産売買にはないメリットがある一方で、契約にあたって思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもあるため、商品を調べていく中で「やばい」「やめたほうがいい」などの記事を見ること...記事を読む

  • リ・バース60と住宅ローンの違いとは

    老後に向けて自宅の住み替えやリフォームなどを行う場合、まとまった資金が必要になります。預貯金があれば手元資金から捻出すればいいですが、老後資金への備えのためにローンを利用しようとしても、高齢になるとローンを借りるのが難しくなります。そのような時に高齢者向け住宅ローンの「リ・バース60」を活用できます。一方で、リ・バース60と通常の住宅ローンは何が違うのでしょうか。 この記事では、リ・バース60と住宅ローンの違いや類似点について詳しく解説します。 リ・バース60とは リ・バース60とは、住宅ローンの一種で満60歳以上の方向けの商品です。通常の住宅ローンと同じように、住宅の購入や建築、リフォーム、住宅ローンの借り換えなどに利用できます。 リ・バース60は毎月の支払が利息のみで、月々の返済負担が少ないのが特徴です。元本の支払いは、債務者が亡くなったときに担保不動産を売却して返済するか、相続人が現金で一括返済するかを選べます。 リ・バース60と住宅ローンの違い リ・バース60と住宅ローンはともに自宅を担保にした住宅ローンである点で共通しています。しかし、金融機関の借入限度額への考え方は大きく異なります。リ・バース60は不動産の評価額をベースに借入限度額を算出する、不動産担保ローンの考え方に近いです。一方で、住宅ローンは不動産の評価額をベースに借入限度額を算出するというよりは、債務者の与信を基に借入限度額を算出します。 このような考え方は融資条件にも表れます。具体的には、リ・バース60と住宅ローンは以下のような点で異なります。 返済方法 リ・バース60は、毎月利息のみを返済する仕組みです。毎月の返済額が小さく、据え置いている元本は債務者の死後に一括返済します。そのため、返済は生きている限り無限に続きます。 一方、住宅ローンは、元本と利息を毎月返済する仕組みです。返済方法は、毎月同じ金額を返済する「元利均等返済」と毎月同じ元本を返済する「元金均等返済」の2つが一般的です。毎月元本を返済していくので、返済期間は有限です。 元利均等返済は返済額が毎月一定のため、返済計画が立てやすいのが特徴です。一方、元金均等返済は元利均等返済より総返済額が小さくなりますが、当初の返済額(元本+利息)が大きくなります。収入や支出、返済期間などを考慮して返済方法を選択することが大切です。 関連記事はこちら住宅ローンの返済額を計算する方法とは?金利と利子の違いを解説 借入限度額 上述のとおり、リ・バース60と住宅ローンの借入限度額の算出方法は異なります。リ・バース60の借入限度額は、不動産評価額の50~60%程度(上限8,000万円)です。つまり、不動産の担保評価額が3,000万円なら、1,500~1,800万円(3,000万円×50~60%)が借入限度額となります。 一方で、住宅ローンは与信によって返済可能と判断されれば、不動産の購入額のみならず、住宅ローンの手数料や登記費用などといった諸費用分まで融資を受けられます。ただし、リ・バース60よりも年齢や収入、勤続年数といった申込人の属性に左右されます。 融資対象 リ・バース60は、契約時点で満60歳以上の方が対象です。満50歳以上60歳未満の方も利用できますが、借入限度額の取扱いが変わってきます。そして、下限年齢は定められていますが、融資条件に上限年齢を定めていることは少ないです。 一方、住宅ローンには上限年齢に制限があり、「完済時年齢80歳まで」が一般的です。安定収入があることや団体信用生命保険(団信)の加入も条件となるため、転職して勤続年数が短い場合や健康状態に問題がある場合は、審査で不利に働きます。 適用金利 適用金利は、リ・バース60が年利2.00~3.00%程度です。一方、住宅ローンは年0.30%程度から提供されていますが、金利タイプ(固定金利・変動金利)や借入期間などによって変わります。具体的な適用金利は金融機関ごとに異なるため、利用前に必ず比較検討することが大切です。 その他 リ・バース60と住宅ローンは、団信の取扱いが異なります。団信は、ローン返済中に債務者が亡くなった場合、保険金によって残債が弁済される制度です。リ・バース60は亡くなった後に元本を返済する、いわゆる亡くなることを前提にした住宅ローンであるため、団信に加入できません。一方で、住宅ローンは一般的に団信への加入が必須です。 また、取扱金融機関の数にも違いがあります。リ・バース60は比較的新しい商品であるため、取扱金融機関は限られます。一方で、住宅ローンは都市銀行から地方銀行、信用金庫、ネット銀行、ノンバンクまで幅広い金融機関が取り扱っています。 リ・バース60と住宅ローンの類似点 リ・バース60と住宅ローンの類似点についても確認していきましょう。 借り入れまでの流れ リ・バース60と住宅ローンは、申込手続きや審査方法は基本的に同じ手順で行われます。ただし、リ・バース60は住宅ローンの借り入れの流れに加えて、推定相続人の同意が必要になります。これは元本の返済が債務者の死後に行われるという商品性から、相続人の協力が必要なためです。 エリア リ・バース60と住宅ローンは、どちらも対象エリアは全国です。ただし、金融機関によっては対象エリアを限定しているケースもあります。上述のとおり、リ・バース60は比較的新しい商品であるため、全国でも取り扱う金融機関が限られ、地方などは対応する金融機関がない場合もあります。 資金使途 リ・バース60と住宅ローンは、住宅の購入や建築、リフォーム、借り換えなどにのみ利用が認められています。事業資金や納税資金、教育資金など、住宅関連以外の使途には利用できません。 収入要件 リ・バース60と住宅ローンは、どちらも一定の収入が必要です。これはどちらも借入可能額が返済比率を基に審査されるためです。なお、リ・バース60は毎月の返済額が少ない傾向にあり、住宅ローンに比べると比較的少ない収入で借り入れができます。 その他 リ・バース60と住宅ローンは、どちらも抵当権による不動産の担保設定が必要です。取扱金融機関ごとに異なるものの、基本的に事務手数料や返済手数料も発生します。また、「市街化調整区域が利用できない」「再建築不可物件が利用できない」といった諸条件も類似しています。 まとめ 年齢の関係で住宅ローンを組めない場合は、リ・バース60が選択肢となります。リ・バース60は住宅ローンの一種ですが、通常の住宅ローンとは異なる点もあります。老後に向けて住宅取得やリフォームを検討するなら、リ・バース60と住宅ローンの違いを理解しておきましょう。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リ・バース60のよくある質問 リ・バース60は、満60歳以上の方向けの住宅ローンです。一般的な住宅ローンは、安定収入が必要で年齢制限もあるため、高齢になると借りるのが難しくなります。一方で、リ・バース60であれば、住宅ロ...記事を読む

  • リ・バース60を利用中に債務者が亡くなると配偶者はどうなる?

    リ・バース60を利用中に債務者が亡くなると配偶者はどうなる?

    満60歳以上の人向けの住宅ローンであるリ・バース60は、一般的な住宅ローンに比べて高齢者の方が活用しやすい商品です。リ・バース60は、毎月の返済を利息のみにして抑えられる一方で、債務者が亡くなった際に、現金もしくは自宅の売却により元本返済を行う商品です。そのため、債務者が亡くなった後に遺された配偶者が住み続けられるのか不安を持つ人もいるでしょう。 この記事では、債務者が亡くなった後に配偶者が家に住み続けられるのかについて解説します。 債務者の死亡後に配偶者が住み続けられるかは契約次第 リ・バース60を利用中に債務者が亡くなった後、配偶者がその家に住み続けられるかは、どのような契約を締結しているかによって決まります。つまり、契約次第ではその家に住み続けることも可能です。 リ・バース60は夫婦で申込みが可能な商品で、その場合、「連帯債務」として夫婦両方が債務者となります。連帯債務で借り入れた場合、万が一どちらかが亡くなった場合でも、もう一方が債務を引き続き負う形となります。つまり、もう一方が亡くなるまでは契約が継続します。 ただし、連帯債務者になれるのは配偶者などの一部の親族に限られます。また、配偶者だとしても年齢などの条件によって、連帯債務で借入れられない場合もあるので、詳しくは金融機関に確認してみましょう。 リ・バース60の収入要件や収入合算 リ・バース60では、借入可能額の計算のために返済比率を用いています。返済比率とは、年間返済額が年収に占める割合のことを言い、返済比率が高いほど返済が厳しくなります。 具体的には、収入要件としてこの返済比率を次のように定めています。 年収400万円未満:30%以下 年収400万円以上:35%以下 例えば、年収200万円の場合、返済比率30%以下にするには年間返済額を60万円(毎月の返済額5万円)以下にする必要があります。ただし、この年間返済額にはリ・バース60の返済分だけでなく、その他のローンを含めた年間の借入返済総額の合計になるので注意が必要です。 ちなみに、連帯債務で借り入れる場合、連帯債務者の収入を合算して計算する「収入合算」ができます。仮に、夫の年収が200万円、妻の年収が100万円の場合、合計した300万円で返済比率を計算して融資額が調整されます。ただし、収入要件以外にも不動産の担保評価額や年齢によっても借入可能額が異なります。 債務者が亡くなった場合はどうなる? リ・バース60では、債務者が亡くなった時に自宅を売却してローンを返済するのが一般的です。そのため、債務者が亡くなった場合、遺された配偶者が同じ自宅に住み続けられなくなる場合があります。ただし、条件によっては債務者が亡くなった後でも配偶者が住み続けられる場合もあります。 債務者が亡くなった場合でも、遺された配偶者が住み続けられるケースには次の3つがあります。 連帯債務で借り入れた場合 契約を引き継ぐことができる場合 残債務を現金一括で返済する場合 連帯債務での借り入れた場合 前述したように連帯債務で借り入れている場合、主債務者が亡くなったとしても配偶者が連帯債務者として契約を継続します。債権の回収は、連帯債務者が亡くなった後にされるため、配偶者は住み続けることが可能です。 契約を引き継ぐことができる場合 配偶者が連帯債務者でない場合でも、債務者が亡くなった後に配偶者が契約を引き継ぐことで家に住み続けることが可能です。ただし、契約を引き継ぐ場合、引き継ぎには条件や審査が必要になります。そのため、必ずしも引き継げるわけではなく、審査結果によっては引継ぎできないので注意が必要です。 残債務を現金一括で返済する場合 リ・バース60の返済方法は、自宅を売却するだけでなく残債を現金で一括返済することも可能です。一括返済できれば家を売却する必要がなくなり、そのまま住み続けられます。また、債務者が存命中に繰り上げ返済することも可能です。 住み続けられない場合は売却手続きへ 上記のケースに当てはまらず、担保物件の売却で一括返済する場合には住み続けることはできません。連帯債務で契約しておらず、契約の引継ぎや現金一括返済ができない場合、担保である家を売却して一括返済が求められます。 売却方法には、自分で売却する「任意売却」と機構に売却を任せる「競売」があります。いずれの売却方法にせよ、家を売却するので住み続けることはできません。ただし、任意売却であれば、金融機関に承諾を得たうえで買主を選ぶことが可能です。また、親族に買い取ってもらうことができれば、そのまま住み続けられる可能性もあるので、検討するとよいでしょう。 なお、債務者が亡くなった場合でも、連帯債務者でない配偶者が必ずしもすぐに立ち退かなければならないわけではありません。金融機関に承諾を得ることで、一定期間住み続けることが可能なため、その期間で引っ越しなどの準備を進めることは可能です。ただし、場合によっては猶予期間を得られないこともあるので、金融機関に相談するようにしましょう。 まとめ リ・バース60では、債務者が亡くなった場合、遺された配偶者が連帯債務者であればそのまま住み続けることが可能です。また、連帯債務者でない場合も、契約を引き継ぐか現金で残債を一括返済することで住み続けられます。 ただし、それらの対応が取れない場合は、住み続けることができないので注意が必要です。この記事で紹介した債務者が亡くなった場合の返済について理解し、リ・バース60を利用するかどうか検討してみてください。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リ・バース60のよくある質問 リ・バース60は、満60歳以上の方向けの住宅ローンです。一般的な住宅ローンは、安定収入が必要で年齢制限もあるため、高齢になると借りるのが難しくなります。一方で、リ・バース60であれば、住宅ロ...記事を読む

  • 不動産担保ローンの担保評価額とは?算出方法や融資可能額の目安を解説

    不動産担保ローンの担保評価額とは?算出方法と融資可能額も解説

    不動産担保ローンを借りるとき、融資上限額は金融機関ごとに定められています。しかし、融資可能額はあくまで担保とする不動産の評価である「担保評価額」に基づいて決定されます。それでは、不動産の担保評価額はどのように算出されるのでしょうか。 この記事では、不動産担保ローンの担保評価額の算出方法や融資可能額の目安について解説します。 担保評価額とは? 担保評価額とは、融資が滞った際などに金融機関が処分可能と見込む金額のことです。不動産担保ローンは、不動産を担保とすることで、債務者の与信だけでは貸せない金額を融資できます。そのため、債務者がローンを返済できなくなった時には、担保不動産を売却して融資金を回収する必要があります。 このような理由から、担保評価額は不動産評価額に一定の担保掛目を乗算して算出されます。不動産評価額を算出する指標は、一物五価とも呼ばれ、複数の指標がありますが、どの指標を採用するかは金融機関によって異なります。担保掛目も金融機関や資金使途によって異なりますが、60~80%程度が一般的です。 関連記事はこちら不動産評価の方法と不動産価値の考え方 不動産担保ローンの担保評価額の算出方法 前述のとおり、担保評価額は、不動産評価額に担保掛目を乗算して算出されます。つまり、不動産評価額と担保掛目がわかれば、担保評価額は算出できます。しかし、担保掛目を開示している金融機関は多くありません。そのため、担保掛目を開示していない金融機関の融資可能額を正確に知りたい場合は、審査を申し込むしかありません。 担保評価額の算出例 たとえば、不動産評価額が5,000万円の場合で考えてみましょう。担保掛目が80%の場合の担保評価額は、4,000万円(5,000万円 × 80%)、担保掛目が60%の場合の担保評価額は3,000万円(5,000万円 × 60%)です。 このように不動産評価額が同じでも、担保掛目が異なることで担保評価額は異なります。加えて、不動産評価額も金融機関ごとによって異なるため、同じ担保不動産で申し込んだとしても、融資可能額は大きく異なるかもしれません。このような理由から、不動産担保ローンを利用する時は、複数の金融機関に相談するといいでしょう。 担保評価額の目安 前述のとおり、多くの金融機関で担保掛目は60~80%です。そのため、担保不動産の時価の60~80%が担保評価額であることが推察できます。担保評価額の目安を知りたい場合は、不動産会社に担保不動産の査定を依頼したり、公示価格や路線価、取引事例などを調べることでも確認できます。 担保評価額の上限まで融資してもらえるのか? 基本的には、不動産の担保評価額が融資可能額の上限となります。ただし、住宅ローンの残債などがある担保不動産は、担保評価額からローンの残債を差し引いた残りが融資可能額となります。 たとえば、不動産評価額が5,000万円、担保掛目が80%の場合で、住宅ローンの残債が1,000万円のケースを考えてみましょう。住宅ローンの残債がない場合は、前述のケースと同様に融資可能額は4,000万円です。しかし、担保評価額から住宅ローン残債を差し引くので、融資可能額は3,000万円(4,000万円-1,000万円)が融資可能額の上限となります。 ただし、融資可能額は不動産の担保評価額だけで決まるわけではありません。金融機関は担保不動産だけでなく、年収や職業、勤続年数、延滞履歴の有無といった申込者の属性も考慮して融資判断を行います。不動産の担保評価額が高くても、返済能力を超える金額を融資してもらうことはできません。 関連記事はこちら不動産担保ローンの審査基準と審査通過のためのポイント まとめ 不動産担保ローンはカードローンのような無担保ローンに比べて金利が低く、まとまったお金を長期間借りられます。そして、不動産担保ローンの融資可能額の上限は、担保評価額の60~80%が目安となり、概算であれば自身で調べることもできます。一方で、急ぎで資金が必要な場合や融資可能額を正確に知りたい場合は、不動産担保ローンを扱う金融機関に相談しましょう。 無料の仮審査を申込む ご所有の不動産を担保にいくらまで融資可能かをご回答いたします。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 不動産価値の高め方とは?立地条件と不動産価値の関係 不動産の価格は価値と連動するため、高く売るためには価値を高めることが大切です。 それでは、所有する不動産をできるだけ高く売るために、オーナーは何を行えば良いのでしょうか。 不動産価値を高める...記事を読む

  • 老齢年金の繰り上げと繰り下げ、どっちがお得?

    老齢年金の繰り上げと繰り下げ、どっちがお得?

    老齢年金の受給開始年齢が近づいてくると、受給開始年齢の繰り上げや繰り下げを検討する人も多いのではないでしょうか。受給開始年齢を変更することで、受け取れる年金の見込み額は大きく変わります。 この記事では、受給開始年齢の変更でもらえる年金額が、どのように変わるのか解説します。 老齢年金制度について 老齢年金は老齢基礎年金と老齢厚生年金の2種類があります。老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間などを合算した受給資格期間が10年以上ある場合に、65歳から受け取れます。また、20歳から60歳になるまでの40年間の全期間保険料を納めた人は、65歳から満額の老齢基礎年金を受け取れます。 老齢厚生年金は、厚生年金の被保険者期間があって、老齢基礎年金を受け取るのに必要な受給資格期間を満たした人が65歳になったときに、老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金を受け取れます。 出典)日本年金機構 老齢年金 老齢年金の受給開始年齢の変更と増減率 老齢基礎年金を65歳から受け取れる人は、月単位で65歳より前への繰り上げや66歳以後への繰り下げによる受給もできます。ただし、繰り上げた場合には受給額が減額され、繰り下げた場合には受給額が増額される点を考慮する必要があります。増減額される金額の詳細は、以下のとおりです。 <昭和37年4月1日以前生まれの場合> 繰り上げの減額率:(繰上げ請求月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数)×0.005 繰り下げの増額率:(65歳到達月から繰下げ申出月の前月までの月数)×0.007 <昭和37年4月2日以降生まれの場合> 繰り上げの減額率:(繰上げ請求月から65歳に達する日の属する月の前月までの月数)×0.004 繰り下げの増額率:(65歳到達月から繰下げ申出月の前月までの月数)×0.007 出典) ・日本年金機構 65歳前に老齢年金の受給を繰上げたいとき ・日本年金機構 66歳以後に老齢年金の受給を繰下げたいとき 想定される老齢基礎年金額 前述のとおり、老齢基礎年金は、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年以上である場合、65歳になったときに受け取れます。また、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が10年に満たない場合でも、保険料納付済期間、保険料免除期間および合算対象期間を合算した期間が10年以上である場合には、老齢基礎年金を受け取れます。 なお、令和5年4月分からの年金額は満額の場合795,000円です。つまり、老齢基礎年金が満額もらえる場合に、想定される受け取れる年金の見込み額は下記の計算式によって求めることができます。 受け取れる老齢基礎年金の見込み額 = 795,000円 × 受給期間(年) 次項で具体的に計算していきましょう。なお、昭和37年4月2日以降生まれの場合を想定して計算します。 65歳から老齢基礎年金を受け取った場合 まずは、受給開始年齢を変更しなかった場合、もらえる年金額は795,000円です。しかし、受給期間が何年になるかはわからないため、ここでは男性と女性の平均寿命から計算していきます。 厚生労働省の発表する『令和4年簡易生命表』によると、平均寿命は男性が81.05歳、女性が87.09歳です。つまり、65歳から年金を受け取る場合、受給期間は男性が16.05年、女性が22.09年です。そして、前述の計算式によって、もらえる見込み額は下記のように求めることができます。 男性の場合:12,759,750円(795,000円 × 16.05年) 女性の場合:17,561,550円(795,000円 × 22.09年) 60歳から老齢基礎年金を受け取った場合 次に、受給開始年齢を60歳まで繰り上げた場合を考えます。60歳まで繰り上げた場合、繰り上げ年数は5年(60か月)のため、減額率は24%(0.004 × 60)です。つまり、老齢基礎年金額は604,200円(795,000円 × 76%)です。一方で、受給期間は5年長くなり、男性が21.05年、女性が27.09年となるので、もらえる見込み額は下記のように求めることができます。 男性の場合:12,718,410円(604,200円 × 21.05年) 女性の場合:16,367,778円(604,200円 × 27.09年) 70歳から老齢基礎年金を受け取った場合 最後に、受給開始年齢を70歳まで繰り下げた場合を考えます。70歳まで繰り下げた場合、繰り下げ年数は5年(60か月)のため、増額率は42%(0.007 × 60)です。つまり、老齢基礎年金額は1,128,900円(795,000円 × 142%)です。一方で、受給期間は5年短くなり、男性が11.05年、女性が17.09年となるので、もらえる見込み額は下記のように求めることができます。 男性の場合:12,474,345円(1,128,900円 × 11.05年) 女性の場合:19,292,901円(1,128,900円 × 17.09年) 出典) ・日本年金機構 特別支給の老齢厚生年金 ・厚生労働省 令和4年簡易生命表の概況 最もお得な選択は? これまで説明してきたように、受け取れる年金の見込み額はもらえる年金額と何歳までもらえるかという受給期間の二つの要素の掛け合わせによって決定します。仮に平均寿命まで生きると仮定した場合、上述の3つのシミュレーションを加味すると下記のような結果が得られます。 受給開始年齢別の受け取れる年金の見込み額(単位:円) 60歳からの受給65歳からの受給70歳からの受給 男性の場合(81.05歳)12,718,41012,759,75012,474,345 女性の場合(87.09歳)16,367,77817,561,55019,292,901 このように上記3つの受給開始年齢の選択の中では、男性の場合は受給開始年齢を変更しない時、女性は受給開始年齢を繰り下げた時に受け取れる年金の見込み額が最大であることがわかります。ただし、受給開始年齢は月ごとに変更できるため、何歳まで年金を受け取れるかによって、最大化される受給開始年齢が異なる点には注意が必要です。 受給開始年齢の選択と受け取れる年金の見込み額 下図は年金をいつから受け取るかによって、どのように受け取れる年金の見込み額が変化するかを表した図です。 ※筆者作成 図のように何歳まで年金を受け取れるかによって、受け取れる年金の見込み額は大きく異なります。シミュレーションすることで、下記のようなことがわかります。 75歳11か月まで年金を受け取る場合は、60歳から受給すると受け取れる年金の見込み額が最大である 96歳10か月以降も年金を受け取る場合は、75歳から受給すると受け取れる年金の見込み額が最大である 76歳~96歳9か月の間まで年金を受け取る場合は、寿命が長くなるほど、受給を遅らせると受け取れる年金の見込み額が最大になる 何歳まで年金を受け取るかにかかわらず、62歳6か月~66歳10か月(繰上30か月~繰下22か月)の間から受給した場合は、受け取れる年金の見込み額が最大になることはない まとめ いかがでしたでしょうか。年金を受け取るにあたって、受給期間が何年か仮定する事で、受け取れる年金の総額を最大化することは可能です。一方で、年金を請求する時点では、自身が何年間受け取れるかは誰にもわかりません。自身の貯蓄の状況や何歳まで働くかなどを加味して慎重に判断するようにしましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 老後の一人暮らしに生活費はいくら必要? 近年、未婚率の増加や子どもとの同居の減少により、一人暮らしの高齢者のは増えています。一人暮らしと言っても、未婚の独身者だけではなく、現在は家族と暮らしていても、配偶者との死別などで一人暮らし...記事を読む

  • 確定申告とは?手続きの流れとやり方をわかりやすく解説

    確定申告とは?手続きの流れや方法を解説

    個人で事業を営んでいなくとも、「副業収入がある」「ふるさと納税をした」などの際に、確定申告が必要になることもあります。一方で、どのような時に、どのような手続きが必要なのか、正確に理解していない人も多いかもしれません。 この記事では確定申告の概要や手続き、申告方法を解説します。 確定申告とは 確定申告とは、定められた期間内に確定申告書を提出する手続きです。確定申告書には、1月1日から12月31日の1年間に生じた、すべての所得金額と所得税額を記載する必要があります。確定申告をすることで、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金と、実際に納めるべき税金との過不足が調整されます。 このように、納税者自らが税金を計算して納税するため、「申告納税方式」と呼ばれます。確定申告期間は、毎年2月16日から3月15日であり、申告期限が土日祝日の場合は、その翌営業日が期限となります。 確定申告と還付申告の違い 確定申告と似たような言葉に「還付申告」があります。還付申告とは、納めすぎた税金を受け取るための申告です。納めた税金が不足している場合、確定申告は義務が生じますが、還付申告に義務は生じません。また、確定申告期間とは関係なく、1月1日から5年間提出することが可能です。 出典)国税庁「No.2030 還付申告」 確定申告が必要な人 確定申告は、「確定申告をしなければならない人」と「確定申告をしなくてもよい人」に分かれます。ここでは、どのような人が確定申告をする必要があり、どのような人が確定申告をする必要がないか、を説明します。 確定申告をしなければならない人 まずは、確定申告をしなければならない人について、「会社員」「年金受給者」「それ以外の人(個人事業主等)」に分けて説明します。 会社員 会社員は勤務先で年末調整を受けられるので、基本的には確定申告は不要です。ただし、以下の要件に当てはまる人は、確定申告をする必要があります。 年収が2,000万円を超える人 給与を1か所から受けていて、かつ、給与所得以外(副業など)の所得が年20万円を超える人 給与を2カ所以上から受け取り、かつ、年末調整をされなかった給与収入と給与所得以外(副業など)の所得の合計が20万円を超える人 副業をしている場合でも、所得が20万円を超えなければ、確定申告は不要です。また、給与を2か所以上から受け取っていても、所得が20万円を超えるか否か、が境界線となります。 年金受給者 年金受給者は確定申告不要制度が設けられているため、多くの人が確定申告をする必要がありません。ただし、以下の要件に当てはまる場合は、確定申告をする必要があります。 公的年金等の収入金額(2か所以上ある場合は合計額)が400万円超 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円超 年金受給者も、会社員と同様に、公的年金以外の所得が20万円を超えるか否か、が境界線となります。ただし、異なる点として、公的年金等の収入が400万円を超えた場合にも、確定申告が必要となります。 出典)政府広報オンライン「ご存じですか?年金受給者の確定申告不要制度」 それ以外の人(個人事業主等) 会社員、年金受給者以外の人は、基本的に確定申告をする必要があります。具体的には以下のような人です。 事業所得や不動産所得などがある人 退職所得がある人 個人事業主やフリーランスなど、事業所得がある人は、原則として毎年確定申告をしなければなりません。退職金については「退職所得の受給に関する申告書」を提出すれば、源泉徴収による課税が済みます。ただし、外国企業から受け取った退職金など、源泉徴収されないものがあるので注意しましょう。 出典)国税庁「確定申告が必要な方」 確定申告をしなくてもよい人 確定申告をしなくてもよい人は、前述の「義務がある人」以外の人を指します。しかし、その中には、「確定申告をしたほうが良い人」が存在します。「確定申告をしたほうが良い人」とは、一口に言うなれば、確定申告をすることで、経済的なメリットがある人です。たとえば、以下のような人が該当します。 医療費が10万円を超えた人 寄附やふるさと納税をした人 住宅ローンを借りた人 事業で赤字を出した人 FXや株で損を出した人 医療費控除や寄付金控除は、所得控除に該当し、所得が減少することで減税できます。住宅ローン控除は、税額控除に該当し、所得税や住民税から直接的に減税されます。事業赤字や投資の損失は、損失の繰越控除ができるため、翌年以降の利益を圧縮できる場合があります。 確定申告の方法 確定申告は以下の手続きで進めます。順に説明していきます。 必要書類の準備 確定申告書の作成 確定申告書の提出 納税、還付手続き 必要書類の準備 まずは確定申告に必要な書類を準備しましょう。主な必要書類は以下のとおりです。 確定申告書(AまたはB) 源泉徴収票 各種控除証明書 金融機関の口座情報 マイナンバーカード 確定申告書はAとBの2種類があります。確定申告書Aは、申告できる所得が限定されている簡易版です。確定申告書Bは、すべての所得の申告に使用できます。会社員や年金受給者が医療費控除などを受ける場合は、確定申告書Aを使うといいでしょう。 確定申告書の作成 必要書類が準備できたら、書類の内容に基づいて確定申告書を作成します。主な作成方法は以下のとおりです。 国税庁の確定申告書等作成コーナーで作成する 会計ソフトで作成する 確定申告会場や税務署で作成する 税理士に依頼する 給与所得者などが、医療費控除や寄付金控除などを行う場合は、国税庁の確定申告書等作成コーナーが便利です。個人事業主やフリーランスの人は、市販の会計ソフトを使うと帳簿や青色申告決算書なども一緒に作成できます。 自分で作成することが難しいときは、確定申告会場や税務署で、作成方法を教えてもらうこともできます。また、申告内容が複雑な場合などは、税理士の代行サービスを検討しましょう。 確定申告書の提出 確定申告書の作成が完了したら税務署に提出します。提出方法は以下3つです。 郵送 税務署に持参 e-Tax(電子申告) パソコンやスマホの操作に慣れている人にとっては、e-Taxが最も手軽な方法です。紙で作成した場合など、所管の税務署に持参や郵送する方法もあります。いずれの方法においても、申告期間は毎年2月16日から3月15日です。 納税、還付手続き 納税義務がある人は、納税手続きを行いましょう。納税方法は以下6つです。 ダイレクト納付 インターネットバンキング等 クレジットカード納付 コンビニ納付 振替納税 窓口納付 個人で事業を営んでいる人など、毎年確定申告を行う場合は振替納税が便利です。一度手続きを行うと、次回以降も振替納税とすることができます。一度限りや、毎年するわけではないという人は、e-Taxを利用して、パソコンやスマホから納税することも可能です。 納税ではなく還付の場合は、確定申告書に記入するだけで、別途手続きは不要です。確定申告書に記入した口座に還付金が振り込まれます。通常、還付手続きまでは1か月から1か月半程度かかりますが、e-Taxの場合は3週間程度で処理されることもあります。 出典)国税庁「[手続名]国税の納付手続(納期限・振替日・納付方法)」 確定申告の注意点 申告義務がある人は、必ず期限内に確定申告を行いましょう。確定申告をしないと。無申告加算税や延滞税が課されることがあります。また、申告義務がなくとも確定申告をすることで、減税や損失の繰越控除が利用できる人も、申告をするようにしましょう。 確定申告の内容に間違いがあった場合は、「修正申告」をする必要があります。税額を少なく申告をしているときは、必要な税額に延滞税が上乗せされて課されることもあります。一方で、税額を多く申告しているときは、「更正の請求」を行いましょう。請求内容が認められると、納めすぎた税金が還付されます。 まとめ 確定申告の義務がある人は、必ず期限内に、正しく申告しましょう。また、義務がなくとも、減税メリットがある人もいます。まずは、自身が確定申告の必要があるのか、ない場合でも受けられる控除はないか、などを確認するところから始めてみましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 納税証明書とは?種類ごとの記載事項や取得方法などを解説 金融機関の融資や自治体のサービス、車検などを申し込むときに納税証明書が必要になることがあります。そもそも、納税証明書とはどのような書類なのでしょうか。日常生活で納税証明書が必要になる場面は多...記事を読む

    2022.01.19用語
  • リ・バース60は住宅ローン控除等の優遇制度を受けられる?

    リ・バース60は住宅ローン控除等の優遇制度を受けられる?

    リ・バース60は、満60歳以上の方でも借り入れができる高齢者向けの住宅ローンです。毎月の返済は利息のみであるため、月々の返済負担が小さいのがメリットです。元本は、債務者が亡くなったときに担保不動産を売却して一括返済します。 通常の住宅ローンとは仕組みが異なりますが、住宅ローン控除などの優遇制度は受けられるのでしょうか。この記事では、リ・バース60で住宅購入時の各種優遇制度が利用できるかを解説します。 住宅購入時に受けられる優遇制度 住宅購入時に受けられる優遇制度には以下のようなものがあります。 住宅ローン控除 住宅ローン控除は、住宅ローン年末残高の一定割合を所得税から控除できる制度です。節税効果が高く、10年以上の長期にわたって所得税が軽減されるのがメリットです。適用初年度は確定申告が必要ですが、会社員なら2年目以降は年末調整で控除を受けられます。 すまい給付金 すまい給付金は、一定の要件を満たす住宅を購入すると、収入に応じて最大50万円の給付を受けられる制度です(1回のみ)。住宅ローン控除は収入が高い人ほど節税効果が高くなりますが、すまい給付金は収入が低い人ほど給付額が増える仕組みになっています。 住宅取得にかかる贈与税非課税措置 住宅取得にかかる贈与税非課税措置は、父母や祖父母などの直系尊属から住宅新築・購入資金の贈与を受けた場合、最大1,500万円まで贈与税が非課税になる制度です。本措置を利用すれば、住宅を購入する際に両親などから援助を受けやすくなります。 リ・バース60は住宅ローン控除を受けられる? リ・バース60を利用して住宅を購入すると、住宅ローン控除を受けることはできません。住宅ローン控除の対象となる住宅ローンは、返済方法について以下のいずれかを満たす必要があります。 償還期間が10年以上の割賦償還の方法により返済されるもの 割賦払の期間が10年以上の割賦払の方法により支払われるもの 割賦償還・割賦期間の10年以上は、債務を負っている期間ではなく、最初の返済から返済終了までの期間を意味します。リ・バース60は、債務者が亡くなるか元本を繰上返済しない限り、返済はずっと続きます。つまり、償還期間(返済期間)が明確に決まっておらず、上記の要件を満たさないので、住宅ローン控除の適用対象外となります。 出典)国税庁「No.1225 住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等」 リ・バース60はすまい給付金を受けられる? リ・バース60で住宅を購入する場合、すまい給付金は受けられます。償還期間が不確定のローンではありますが、年齢が50歳以上なら住宅ローンを利用しなくても給付対象となるからです。 「取得した住宅に自ら居住する」「収入額が一定以下」などの要件を満たせば、リ・バース60でもすまい給付金を受けることは可能です。収入額は年収650万円以下(都道府県民税の所得割額が13.30万円以下)が目安となります。 出典)すまい給付金サイト「すまい給付金とは」 リ・バース60は贈与税の非課税措置を受けられる? リ・バース60を利用する際に、贈与税の非課税措置を受けることは可能です。 本措置では、受贈者(贈与を受ける人)に対して年齢や収入(所得)、住宅の床面積などの要件を設けています。しかし、住宅ローンに関する要件はないため、リ・バース60で住宅を購入するときにも適用対象となります。 両親などから援助を受けられるなら、積極的に活用するといいでしょう。本措置の適用を受けるには、贈与を受けた翌年2月1日~3月15日に一定の書類を添付して、贈与税の申告書を提出する必要があります。 出典)国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」 まとめ リ・バース60で住宅を購入する場合、残念ながら住宅ローン控除は受けられません。しかし、すまい給付金や贈与税の非課税措置は利用できます。リ・バース60を利用するなら、不動産会社などに各種優遇制度を受けられるかを確認しましょう。 SBIエステートファイナンスのリ・バース60の商品詳細はこちら リ・バース60の無料資料請求はこちら お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 リ・バース60を利用中に債務者が亡くなると配偶者はどうなる? 満60歳以上の人向けの住宅ローンであるリ・バース60は、一般的な住宅ローンに比べて高齢者の方が活用しやすい商品です。リ・バース60は、毎月の返済を利息のみにして抑えられる一方で、債務者が亡く...記事を読む

  • 介護施設・老人ホームにかかる費用と選び方を解説

    老人ホームや介護施設にかかる費用、選び方を解説

    老後の住まいを考えたとき、老人ホームや介護施設などの、高齢者向け住宅を検討するかもしれません。一方で、これらの施設にかかる費用がいくらなのか、そもそもどのような人が、どのような施設を選ぶべきなのか、など、わからないことも多いでしょう。 この記事では、老人ホームや介護施設にかかる費用と、その選び方について解説します。なお、高齢者向け住宅については、以下の記事で詳しく解説しています。 >老人ホーム・介護施設とは?公的施設と民間施設の違いも解説 老人ホームと介護施設の違いとは 「老人ホーム」と「介護施設」という言葉は、世間一般で使用されますが、実は正式に定義がされていません。たとえば、厚生労働省のホームページでは、これらの施設を総称して、「高齢者向け住まい・施設」という表記が用いられています。そのため、前述した記事と同様に、この記事でも「老人ホーム」と「介護施設」を以下のように定義します。 老人ホーム:広義の高齢者向け住まい・施設 介護施設:介護サービスを受けられる高齢者向け住まい・施設 なお、厚生労働省の資料では、「高齢者向け住まい・施設」の利用者数は下図のようになっています。 出典)厚生労働省「介護分野をめぐる状況について」 直近、最も利用が多かったのは、介護老人福祉施設です。次いで、有料老人ホーム、介護老人保健施設と続きます。また、有料老人ホームの種別としては、住宅型有料老人ホームが介護付き有料老人ホームの約1.5倍であることがわかります。 老人ホームの種類と費用の目安 では、老人ホームの種類と費用の目安を整理しておきましょう。それぞれの施設の特徴などは前述した記事を参照してください。 なお、以下で紹介する費用はあくまで目安額のため、要介護度などにより変わることもあります。また、施設によっては入所・入居時に一時金が発生する場合もあります。特に有料老人ホームは、グレードが高いものほど一時金が高くなる傾向があり、中には数千万円の一時金がかかるものもあります。 一方で、同じ部屋に対し、一時金があるプランと、一時金がない、もしくは少額である代わりに月額が高めのプランを用意しているところもあります。 介護施設を除く老人ホーム 施設公的/民間一時金(目安)月額(目安) 軽費老人ホーム(自立型)公的0~数百万円8~20万円 住宅型有料老人ホーム民間0~数千万円15~30万円 養護老人ホーム公的不要0~12万円 サービス付き高齢者向け住宅民間0~数十万円10~25万円 シルバーハウジング民間敷金1~13万円 介護施設 施設公的/民間一時金(目安)月額(目安) 介護老人福祉施設公的不要5~20万円 介護老人保健施設公的不要5~20万円 介護医療院公的不要7~17万円 介護療養型医療施設*公的不要7~17万円 軽費老人ホーム(介護型)公的0~数百万円10~25万円 認知症対応型共同生活介護民間0~数十万円10~25万円 介護付有料老人ホーム民間数十万円~数千万円15~30万円 ※介護療養型医療施設は2023年度末で廃止 ※執筆者作成 老人ホームの探し方 老人ホームを選ぶ際には、入所する人の経済状態や要介護度をはじめ、いくつかの条件で絞り込む必要があります。主なポイントは「健康状態」「予算」「立地」の3点です。 健康状態 まずは、入所者の健康状態を確認します。大きな軸としては、「自立している」か「要支援・要介護の状態である」かに分かれます。要支援や要介護の場合は、どの段階なのかということや、認知症であるか否か、ということも重要です。 たとえば、要介護状態で医療的措置が必要な人は、介護医療院や介護療養型医療施設、介護老人福祉施設が候補となります。 予算 次に、自身の経済状況を踏まえた予算設定が必要です。一般的に、民間施設よりも公的施設の方は費用が安いです。しかし、公的施設は需要過多の状態が続いており、入所待ちが常に発生している状況です。 一方で、有料老人ホームなどの民間施設は、公的施設よりも費用が高いものの、供給数が多いため、経済状況に合わせた選択肢もあるかもしれません。予算設定の際には、入所の際に発生する一時金や、毎月負担できる月額を考えましょう。貯金がない場合には、毎月の収入である年金や金融資産、いずれ住まなくなる自宅の活用などを加味して検討します。 立地 親族との近居をした方がいいのか、必要ないかなど、立地条件から絞り込むこともできます。家族が訪れやすいよう利便性を重視する場合は、地域を限定して探すことになります。地域が限定されるのであれば、自身が居住する地域の地域包括支援センターなどで相談をすると、空室状況なども教えてもらえます。 施設見学や体験入所で候補を絞る 老人ホームを前述のような条件で絞り込んだ後は、次のような5つのポイントを確認して施設を決めましょう。 設備:浴室や食堂、リハビリ施設、トイレなど 介護・医療サービス:施設スタッフによる介護か、外部サービスの施設か、看護スタッフがいるかなど 食事:食事がおいしいか、病気に合わせて減塩、低糖などの配慮をしてくれるかなど 入院時や看取り:病院に入院すると退所となるか、看取り(施設で亡くなること)ができるのかなど 経営状態:施設の運営母体の財務状況に問題がないか、倒産時にどのような保証があるかなど 2025年は団塊世代が後期高齢者になり始めることから、大介護時代が始まるとされています。たとえば、介護老人福祉施設は要介護3以上が条件の施設ですが、首都圏を中心に空きがなく要介護度4でも入居待ちとなっているところもあります。 また、公的な介護施設は、重度の人が優先となり、軽度の人の選択余地はなくなることも考えられます。公的施設が難しく、有料老人ホームに入る場合は、具体的に施設を見学し、いくつか候補を絞っておくのがいいでしょう。施設見学や体験入所もできるので、元気なうちに候補を絞っておくと安心です。 まとめ 老後の住まいを決めるのは、元気に動けるときが一番です。人生100年時代とも言われる現在、目先の費用だけでなく、100歳まで長生きをしても払い続けられるかなど、持続性も確認しましょう。費用を捻出するために、自宅という資産を活用する選択肢があるのかどうかを確認しておくことも安心です。 お悩みや疑問は解決できましたか? SBIシニアの住まいとお金なら、住宅ローンのプロに、調べても解決できないお悩みや疑問を相談できます。 執筆者紹介 豊田 眞弓( Mayumi Toyoda ) マネー誌ライターを経て、94年より独立系ファイナンシャルプランナー。 個人相談、講演・研修講師、コラム寄稿などを行う。座右の銘は「笑う門には福もお金もやってくる」。趣味は講談、投資。 <主な著書> 「夫が亡くなったときに読む本」(日本実業出版社)、「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)、ほか著書多数。 老人ホーム・介護施設とは?公的施設と民間施設の違いも解説 誰でも年をとると、身の回りのことができなくなったり、思ったようにできなくなったりしていきます。体が弱ってきたとき、あるいは要介護状態になったとき、自宅以外の住まいの選択肢として、どのような候...記事を読む

  • 自営業者が加入可能な国民年金基金とは?

    自営業者が加入可能な国民年金基金とは?

    自営業者やフリーランスは、会社員に比べて年金が少ないと言われています。しかし、国民年金に上乗せして国民年金基金に加入すれば、年金額を増やすことが可能です。 国民年金基金について名前は聞いたことがあっても、どんな制度なのかはよくわからないのではないでしょうか。国民年金基金にはデメリットもあるため、加入する前に特徴を理解しておくことが大切です。 そこでこの記事では、国民年金基金の仕組みやメリット・デメリットについて詳しく解説します。 国民年金基金とは 国民年金基金とは、自営業者やフリーランスなどの国民年金第1号被保険者が安心して老後を過ごせるように、国民年金(老齢基礎年金)に上乗せして加入できる公的な年金制度です。掛金を納めた期間に応じた年金が将来支給されます。 国民年金のほかに厚生年金や企業年金に加入している会社員に比べると、国民年金のみに加入している自営業者の年金額は少ない傾向にあります。厚生労働省の資料によれば、2019年度の平均年金額は厚生年金が月額146,162円に対し、国民年金は月額56,049円です。 自営業者が国民年金基金に加入すれば、会社員との年金格差の解消が期待できます。 出典)厚生労働省「令和元年(2019年)度 厚生年金保険・国民年金事業の概況P8、P20」 国民年金基金に加入できる人 国民年金基金の加入資格は以下のとおりです。 20歳以上60歳未満の国民年金第1号被保険者 60歳以上65歳以下または海外居住者で、国民年金に任意加入している人 上記要件を満たしていれば、学生や主婦でも加入可能です。しかし、国民年金保険料を免除されている人は、国民年金基金には加入できません。 国民年金基金の成り立ち 1980年代後半に国会で「自営業者にも2階建ての年金を整備すべき」との議論が行われ、1989年に国民年金基金制度の導入が決定し、1991年に施行されました。当初は全国47都道府県で地域型国民年金基金、25の業種で職能型国民年金基金が設立されました。 その後の2019年には、加入員・受給者の利便性向上や運営基盤の安定性を図るために全国国民年金基金が成立し、全国47都道府県の地域型国民年金基金と22の職能型国民年金基金が合併しました。 国民年金基金の運営状況 2020年度末の国民年金第1号被保険者数(任意加入を含む)は1,449万人です。それに対して、国民年金基金の加入員数は2003年度末の約78万人をピークに減少が続いており、現存加入員数は約34万人にとどまります。 国民年金基金連合会の運用報告書によれば、2020年度の運用実績は国内外の株価上昇などもあって、年度ベースの収益率は24.44%で、1997年以降の累積実績では年率4.24%の収益率です。また、2021年3月末時点の積立金の運用残高は4兆6,679億円です。 足元の収益率の上昇の一方で、責任準備金は直近10年以上の不足が続いており、財政状況が好調とは言い難い状態が続いています。このまま加入員数の減少や財政運営の悪化が続くようであれば制度が破綻する可能性も低いとは言えなくなる恐れがあります。 出典) ・厚生労働省「令和2年(2020年)度の国民年金の加入・保険料納付状況P1」 ・国民年金基金「事業の概況・状況(現存加入員数の状況)」 ・国民年金基金連合会「2020年度 運用報告書」 国民年金基金のメリット 国民年金基金には以下3つのメリットがあります。 終身年金である 国民年金基金は、65歳から一生涯受け取れる終身年金が基本です。掛金によって将来受け取る年金額が確定するため、老後の資金計画を立てやすいでしょう。 終身年金のほかに、受取期間が決まっている確定年金も用意されています。終身年金に確定年金を組み合わせるなど、ライフプランに合わせて年金額や受取期間を自由に設計できます。 掛金の上限額は月額68,000円で、加入後も口数単位で年金額や掛金額の増減が可能です。iDeCo(個人型確定拠出年金)と併用できますが、その場合は国民年金基金とiDeCoを合わせて月額68,000円が掛金の上限額となります。 万が一のときには家族に一時金が出る 国民年金基金の掛金は掛け捨てではなく、万が一早期に亡くなったときには家族に遺族一時金が支給されます。年金受給前や保証期間中に亡くなった場合は、保証期間に応じた一時金を遺族に残すことができます。 税制優遇がある 国民年金基金には以下3つの税制優遇があります。 掛金は全額社会保険料控除の対象 受け取る年金も公的年金等控除の対象 遺族一時金は全額非課税 掛金は全額が所得控除の対象となるため、確定申告によって所得税・住民税が軽減されます。将来受け取る年金には「公的年金等控除」が適用され、一定額までは非課税で受け取れます。万が一のときに支給される遺族一時金も全額非課税です。 国民年金基金のデメリット・注意点 国民年金基金には以下のようなデメリット・注意点もあります。 任意脱退、中途解約ができない 国民年金基金への加入は任意ですが、自己都合での脱退や中途解約はできません。途中で掛金を払えなくなった場合は、払い込みの一時中断が可能です。年金額は未納期間に応じて減額されます。未納分は後から納付することも可能です(納付可能期間は2年以内)。 なお、自己都合の解約は認められませんが、国民年金第1号被保険者でなくなるなど、加入資格を失う場合は脱退となります。脱退した場合は加入期間の長さを問わず、納めた掛金は将来年金として給付されます。 加入期間中の死亡時には、遺族一時金が掛金を下回ることがある 国民年金基金は年金受給前や保証期間満了前に死亡すると、遺族に一時金が支給されます。しかし、遺族一時金の額は掛金を下回ることがあります。そのため、あらかじめ加入前に遺族一時金の額を確認しておきましょう。 破綻リスクがある 国民年金基金は国民年金法に基づいて運営されている公的な制度ですが、解散する可能性もあります。 上述のように好調な相場環境もあって、直近では収益率や積立金の額は上昇しています。しかし、加入者数は減少が続いており、ピーク時の半分程度に落ち込んでいます。財政運営も一時的に回復していますが、令和2年度の責任準備金の不足分は約8,000億円となっており、今後の状況によっては破綻リスクもゼロとはいえません。 もし解散する場合は、解散時点の残余財産を加入員および受給者で分配することになっており、分配額はそれまで支払った掛金額を下回ることがあります。 まとめ 国民年金基金は一生涯受け取れる終身年金であり、税制優遇を受けられるのが魅力です。国民年金に上乗せして加入できるので、自営業者やフリーランスの年金対策として活用できます。 ただし、任意脱退や中途解約はできないので、メリット・デメリットをよく比較した上で加入を検討しましょう。 執筆者紹介 「住まいとお金の知恵袋」編集部 金融や不動産に関する基本的な知識から、ローンの審査や利用する際のポイントなどの専門的な情報までわかりやすく解説しています。宅地建物取引士、貸金業務取扱主任者、各種FP資格を持ったメンバーが執筆、監修を行っています。 自営業の人の年金は少ない?年金対策も解説 自営業の人は、会社員に比べて年金が少ないといわれますが、具体的にはどのくらい異なるのでしょうか。年金額が異なる理由は、自営業の人と会社員では、適用される年金制度が異なるためです。年金が少ない...記事を読む

    2021.12.29制度年金
  • リースバックにかかる税金・節税方法について解説!

    リースバックにかかる税金と節税方法について解説

    リースバックの利用を検討する中で、利用にあたってどのような税金が発生するのか不安に思う人もいるのではないでしょうか。リースバックは不動産取引の一種であり、リースバックにかかる税金は不動産売却時にかかる税金と同様です。 この記事では、リースバックにかかる税金と、税金対策について解説します。 リースバックの売却と譲渡所得税 譲渡所得税の計算方法 リースバック時に必要な税金のなかで、最も気を付けなければならないのは「譲渡所得税」です。譲渡所得税とは、資産を売却して得た利益に対して課税される税金です。課税対象となる課税譲渡所得金額は以下の計算式で算出します。 課税譲渡所得金額=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-特別控除額 上述の方法で算出した課税譲渡所得金額に、それぞれの家に応じた税率をかけることで譲渡所得税の金額を算出することができます。なお、計算式に登場する譲渡費用の詳細は以下のとおりです。 課税譲渡所得金額 譲渡所得税の税率をかける前の金額 譲渡収入金額 不動産売却時に、リースバックをした売主が受け取る金額 取得費 不動産購入時代金や建築費、家をリフォームした際の費用の合計から減価償却費相当額を控除した合計金額 譲渡費用 不動産売却時にかかった費用の総額(仲介手数料や売買契約書作成時に貼る印紙税なども含む) 特別控除額 控除や特例を使用することで課税を免除できる金額。(詳しくは後程「リースバックにおける税金対策」で解説します。) 譲渡所得税(所得税・住民税)の税率 譲渡所得税として課される所得税と住民税の税率は、リースバックする家を売却年の1月1日時点で何年所有していたかで異なります。 所有期間が5年を超える不動産を売却した場合、その譲渡所得(長期譲渡所得)に対して所得税*が15.315%、住民税が5%課されます。 対して、所有期間が5年以下の不動産を売却した場合、その譲渡所得(短期譲渡所得)に対して所得税*が20.63%、住民税が9%課されます。 リースバックをする際は、マイホームを所有してから何年経っているかを前もって確認するようにしましょう。 ※平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間は、復興特別所得税の2.1%を含む 出典) ・国税庁HP No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき) ・国税庁HP No.3208 長期譲渡所得の税額の計算 リースバックに関するその他の税金 譲渡所得税の他にも、リースバックにかかる税金は3つあります。 固定資産税 固定資産税は「不動産の所有者」に納税義務が発生します。そのため、納税義務が発生するのは買主(貸主)であるリースバック運営会社です。 しかし、固定資産税は土地、建物を、1月1日時点で所有する人が納税しなければなりません。そのため、売却年に限っては1年分の固定資産税を売主側が納税することになります。 そのため、買主であるリースバック運営会社は、固定資産分の金額を物件代金とは別に精算し、売主であるリースバック利用者に支払います。基本的には物件代金の決済日に日割りした固定資産税を精算しますが、実際の運用についてはリースバック運営会社と確認しましょう。 印紙税 印紙税は領収書や契約書の作成時に必要な税金です。リースバックの場合は、不動産売却時に作成する売買契約書にかかります。印紙税は、売買契約書に記載された金額に応じて、以下のとおり変動します。 ※国税庁「土地売買契約書」をもとに編集部作成 納付を忘れると過怠税の徴収対象となり、納付を忘れた印紙税額の2倍相当が上乗せされてしまうので注意しましょう。 登録免許税 リースバックをする際は、家のローンを組んだ時に設定した抵当権の抹消や、所有権の移転のために登記情報を申請します。ここで必要となる税金が登録免許税です。通常、所有権移転は買主が行いますが、その際、住宅用家屋は軽減税率の対象になるため、自宅のある市区町村などの証明書も提出しましょう。 リースバックにおける税金対策 リースバックにはさまざまな税金が必要となりますが、控除や特例を使用することで課税を免除、減額することができます。これが、特別控除です。 居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例 マイホーム売却の場合、所有した期間に関係なく、譲渡所得から3,000万円以下まで控除されます。ただし、同族会社、親族間の売買では適用されないので注意しましょう。また、確定申告も必要となります。 マイホーム売却時の軽減税率の特例 家を所有していた期間が売却年の1月1日現在で10年を超える場合、3,000万円控除後のうちの金額が6,000万円以下の部分は所得税、住民税が通常より低い税率(14.21%)となります。3,000万円の特別控除と一緒に使用できるので、併せて利用しましょう。 また、リースバックで損失が発生する場合でも、確定申告をすることでメリットが生まれる可能性があります。 マイホーム買い換え時の譲渡損失の損益通算及び繰越控除 マイホーム(旧居宅)を売却して、新たにマイホーム(新居宅)を購入した場合に、旧居宅の譲渡損失が生じたときは、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失を損益通算することができます。 さらに、損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰越控除することができます。これらの特例を、マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例といいます。 出典)国税庁HP No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例) リースバックにかかる税金についてのよくある質問 リースバック検討時のお問い合わせとして多い質問を、4つご紹介します。 Q.リースバックをする際、消費税はかかりますか? サラリーマンなどの会社員の場合は、事業を行っているわけではないため、消費税は課税されません。法人や個人事業者が会社の事業に関わる資産を譲渡する場合は、取引した建物について課税の対象になります。 Q.リースバックで権利を譲渡した後も何か税金はかかりますか? リースバック後のマイホームは賃貸物件となるため、固定資産税が課税されることはありません。つまり、売却年の1月1日から売却までの固定資産税は売主負担、売却後の固定資産税は買主負担となります。 Q.将来売却した家を買い戻したいのですが、その際も税金はかかりますか? 物件の購入と同じ扱いになるため、不動産取得税が課税されます。不動産取得税は、不動産の価格×税率で算出されます。税率は数年ごとに更新されるので、最新の情報を確認してから買い戻しましょう。 他にも、所有権の移転などに必要な登録免許税や、売却した時と同様に売買契約書を作成する際に必要な印紙税が課税されます。 Q.相続時にリースバックした住宅の扱いはどうなりますか? リースバックした住宅は所有権を買主へ移転しているので、所有財産としては扱われません。リースバックを利用して得た資金が相続の対象になります。 よくある質問をご紹介いたしましたが、実際、税金の心配を過度にする必要はありません。解説してきたように、個人の売却なら消費税はかかりませんし、譲渡所得税についても居住用財産であれば3,000万円の特別控除が適用されます。 まとめ リースバックは、もとの家に住みながらまとまった資金を得られたり、家を所有することでかかるコストが不要になったりと、メリットの多い売却方法です。売却時に必要な税金を正しく理解して、損のないリースバックを行いましょう。 ご相談・仮査定はこちら リースバックのご相談・仮査定を無料で受け付けています。まずはお気軽にお問い合わせください。 執筆者紹介 菊地 則夫(Norio Kikuchi)/税理士法人スマートシンク代表税理士 成城大学経済学部卒、日本大学大学院法学研究科税法松澤智研究室卒。 得意分野は相続税や不動産税務。「不動産所得」と「住まいと暮らしの税金」のプロフェッショナル集団、税理士法人スマートシンクの代表として日々、土地・建物の税金問題に取り組む。 <主な著書> 「住宅ローン&マイホームの税金がスラスラわかる本2021」エクスナレッジ、「相続の手続と節税が全部わかる本」あさ出版、「不動産税務の手引別巻」大成出版、「不動産実業の手引き別巻」清文社、その他雑誌「家主と地主」、「賃貸Life」新聞など著書多数 リースバックの家賃設定を解説!賃料相場よりも高い? リースバックは、自宅を売却してまとまった資金を手に入れながら、家賃を払うことで同じ家に住み続けられる商品です。自宅を活用した資金調達方法として注目されており、老後資金を確保したい高齢者を中心...記事を読む